日常編その4の3 『真夏の旅行in海 参The大人組』

「そうだな、なのはたちにはアルフがついてるし、俺は忍たちと一緒に沖に出るとしよう」

「ん、おっけ〜。ノエル、シュノーケル恭也の分も出したげて」

「かしこまりました」

ノエルは参加人数を数えて道具を取りに別荘へ一旦戻る。

「アルフ、そっちは頼んだぞ」

「ああ、子供達はあたしに任せてたっぷり遊んできな」

恭也に話しかけられたアルフはにっこりと笑ってガッツポーズをとりながら答える。

「せっかくだしな、そうさせてもらうさ」

恭也もにこやかに返す。

「どんな魚が居るかな?」

「潜るのはあんまし経験あらへんから楽しみや〜」

「綺麗なお魚いるかなぁ?」

「シュノーケリングは初めてなのでちょっとドキドキです」

「ここの海は綺麗だからね〜、期待していいよ〜」

そんな横でわいわいやっている一同。
そこへノエルが戻ってくる。

「お待たせしました。沖までは船を出そうと思うのですがよろしいですか?」

「ん、よろしく〜」

「かしこまりました」

指示を受け船を動かしに行くノエル。

「忍さん船持ってるんですか!?」

「一応ね、クルーザーみたいにでっかいのは無いけど10人くらいなら乗れるよ〜」

「おお〜!」

忍を羨望の眼差しで見つめる一同。

「ノエルは船も動かせるのか?」

そんな中恭也は別の事が気になる様子。

「うん、一級船舶持ってるしね。飛行機もセスナまでなら乗れるよ」

「凄いな」

「せっかくあるのに勿体無いからってノエルが頑張ってくれてさ」

「へぇ〜」

(そういえば父さんも大概の物には乗れたな。
 どこに免許取る時間があったのかわからんが……)

などとやっているうちに近くの桟橋にボートよりは大きいがクルーザーと言うほど大きくは無い船が来る。
まぁサイズとしては漁船くらいだろうか。

「わぁ〜結構おっきいね」

「まぁね〜。さ、みんな乗り込むわよ!」

「お〜っ!」

忍の合図でみんな乗り込んでいく。

『いってらっしゃ〜い!』

船が動き出すと子供組とアルフが手をふりふり見送ってくれる。

『いってきま〜す!』

大人組もそれに答えるように手を振る。
とはいっても目的地は150mほどしか離れていないのだが。

「とうちゃ〜く」

「結構近いんですね」

「シュノーケリングやった後に100m以上泳ぐよりはラクでしょ?」

「それは確かに」

「ここは結構な遠浅だからね、この辺で水深6、7mくらいかな」

そういいながら海面を覗き込む忍に合わせて皆も覗き込む。

「わぁ〜水きれいだ〜」

「あっ!うっすらだけどお魚見えた!」

「え?どこどこ?」

恭也もそれに釣られ海面を覗き込むと、

「ほぉ……これは……」

澄んだ水に思わず眼を奪われる。

「さぁ!見てるばっかじゃなくて潜りにいくよ〜!」

『は〜い!』

みんなして我先にとシュノーケルを装着していく。

「それでは海に入る前に少し注意事項などを説明させていただきます」

並んだみんなの前でノエルが説明を始める。

「今回は私や恭也様がいらっしゃるのであまり細かいことは申し上げませんが……」

「いや、俺もそんな得意と言うほどではないのだが」

「恭也はいざとなったら変身すればいいんだし、Xsなら水中でも30分はもつよ」

「あ、そうか」

ちなみにガディンは水着のポケットに入れてある。

「では改めて、まず耳抜きはしっかりしてください。
 ゴーグルに耳抜き用のくぼみがあるのでそこから鼻をつまんで口を閉じ息を吐けばOKです。
 浮上する時は同じように鼻をつまんで唾を飲むなどして内圧を下げてください」

ノエルの説明に真剣に耳を傾ける一同。

「それと、何かトラブルがあった場合パニックにならないよう落ち着いて行動してください。
 あとグローブがありませんのでむやみに魚などに触らないように注意してください。
 とりあえずこのあたりを守っていただければあとはこちらで対処します」

『は〜い!』

説明が終わると船体後部のタラップから次々に海へ入っていく。

「んっ……っぷあっ!すっげぇ!上じゃうっすらしか見えなかったけど魚すごいたくさんいる!」

入ると早速顔をつけて海の中をみた晶が興奮ぎみに言う。
それを受けて皆シュノーケルクリアのついでに海中に目を向ける。
そこには色取り取りの魚達が泳ぎ、薄く海底に射し込む日光が幻想的な光景を作り出していた。

「すっご〜い!」

「これは……感動やなぁ」

「ふっふ〜ん、凄いでしょ〜」

感動する皆に対しえっへんと胸を張る忍。

「色んなお魚がいますねぇ。恭也さんなんて魚か解ります?」

「ふむ……」

那美に聞かれもう一度海中を見る恭也。
そして顔をあげて一言。

「あの青い魚は食えるな」

『…………』

一同沈黙。

「黄色いのは食えるが不味いな、赤っぽいのは美味いが腹を壊すからお勧めできない」

「いや、あの、お師匠?」

「その、種類や名前はわかりますか?」

「……さぁ?」

「さぁって、恭ちゃん……」

キョトンとしつつ首をかしげるレアな恭也の表情に呆れつつも萌える一同。

「父さんと旅をしていた頃に食べたんだが、そういえば名前は聞いてなかったな」

「普通食べる種類じゃないと思うんだけど……」

「死ぬか生きるかだったからな、背に腹は変えられん」

「相変わらず壮絶な過去ね……」

「と、とりあえず潜ってみよっか!」

「せ、せやなぁ、も少し近くでおさかな見たいし!」

なんだか微妙な空気になったところで晶とレンが逃走を計る。
それをきっかけに皆で潜る事に。
幻想的な海中の風景に色取り取りの魚達、皆時間を忘れ没頭していく。

(あっ、結構すばしっこいなぁ。まてぇ〜!)

魚と追いかけっこをする晶。

(あ〜、なんかこうふわふわすんのが落ち着くわ〜)

潮の流れに身を任せ漂うレン。

(わわっと……バランス取るの難しいなぁ)

身体能力は高いはずなのに凡ミスの多い美由希。

(きゃぁ!お、お魚がいっぱい来て……つ、つつかないでぇ〜)

魚寄せの潰したソーセージをぶちまけ魚にたかられてる那美。

(フローターを搭載したとはいえフレームや電装部品のせいで浮きにくいですね……)

ロボットだからマシーンだから重いのは仕方ないがやっぱりちょっと気になる乙女心なノエル。

(ん〜、何回来てもここの海は綺麗でいいわね〜)

満足げに周囲を見渡し頷く忍。

(む、あの魚は美味かったな……なにか捕まえる道具でも持ってくればよかったか)

そして恭也はらしいと言えばらしい事を考えたりと、皆それぞれに楽しんでいる。
楽しい時はあっという間に過ぎ、日は大分傾いてきて日は僅かに赤みをおびていた。

「結構長い事遊んじゃいましたね」

「そだね〜、そろそろ戻ろっか」

忍の号令にあわせ船に乗り込み、再び浜辺に戻ると子供組の姿が見えない。

「みんなどこいったのかな?」

「あっ、パラソルのとこに書置きありました〜」

「ん〜っと、なになに……」

書置きには、

[たくさん泳いでつかれちゃったので先にもどってます、ゴメンネ。
 PS.さっきトラックが来て食べ物とか届けてくれました。お魚とかが多かったよ。

                           なのは]

と書かれていた。

「いっけね!カメ、急いで戻ってメシ作るぞ!」

「合点承知や!」

そういうと猛スピードで別荘へ駆け出していく晶とレン。

「二人とも元気だねぇ」

「私なんか泳ぎすぎてヘロヘロですよぉ〜。
 明日の筋肉痛が怖いです……」

「ちょっとはしゃぎすぎちゃったわね、なのはちゃん達には悪い事しちゃったかな」

別荘の方を見やり申し訳なさそうに頭を掻く。

「しかしなんで食材を宅配にしたんだ?」

「ほら、ここって別荘だしそんなしょっちゅう使うわけでもないしね。
 ちょっとしたおやつとかは前もって揃えるけど、大人数の夕食とか量が多いのは宅配の方がラクなのよ」

「ふむ、なるほど」

そんなことを話しつつ別荘へ戻る。

「あっ、みんなおかえり〜!」

そこへなのは達が出迎えてくれる。

「ごめんね〜遅くなっちゃって」

「晶とレンは?」

「さっき物凄いいきおいでキッチンにかけこんでったで」

はやてが指差した先からあわただしく動く二人の声が聞こえた。

「すまなかったな、つい時間を忘れて楽しんでしまった」

「そんな、私達も先に帰っちゃってごめんなさい」

「こらこら、謝りあわへんの!」

「きゃっ!?」

お互いに誤りあう二人を見かねたのか、はやてがフェイトの背中に抱きつく。

「あたし達もいっぱい練習できたし、恭也さん達も楽しめたんならええやん」

「そう言ってもらえると助かるな。上達は出来たのか?」

「浮き方覚えてバタ足でちょっと泳げるようになったよ〜」

「私はクロールで人並みには泳げるようになったと思います」

「ほう、頑張ったな」

恭也はそういうと二人の頭を撫でる。

「あっ……♪」

「えへへ〜♪」

撫でられた二人は幸せそうに目を細める。

「なのははどうだったの?」

「うっ……」

美由希に尋ねられたなのはは一瞬口ごもる。

「ちかぢかはやてちゃんに抜かれそうな気がします……」

「あらら……」

「なぜか沈んじゃうの」

「ま、まだ若いんだしこれからがんばろ!ね?」

「うう……おに〜ちゃんもおね〜ちゃんも運動得意なのになんでなんだろ?」

美由希はなのはの手を引きながら食堂へとむかう。
それにあわせて皆も移動していく。

「ほら、恭也もいくよっ」

「お、おい、引っ張らなくても……」

恭也はと言うと忍に引っ張られながら連れて行かれていた。






あとがき〜
え〜もぬすごい遅くてごめんなさい。
まぁ色々ありまして書く余裕が無かったです……
そんなわけで海旅行大人組です。流石に全員まとめては無理そうだったので分岐型にしてみました。
綺麗な海でのシュノーケリングはマジ感動物です。
俺も彼らと同じく時間忘れて潜ってた記憶が……
翌日の筋肉痛は死ぬかと思いましたけどね。
子供組の水泳教室はもうしばらくお待ちください。



こっちはシュノーケリングで楽しんだみたいだな。
美姫 「美由希か那美あたりが盛大なドジっぷりを発揮するかと思いきや」
すんなりと潜れたみたいだな。
恭也も珍しくのんびりと出来たみたいだし。
美姫 「のんびりとした一日だったわね」
もう一方の選択はどんな一日になるのか。
美姫 「そちらも楽しみにしてますね」
ではでは。



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