この話は、『桜舞う日の邂逅』や『桜散りし日の決闘』を参考にして創作した話です。

すべてにおいて初挑戦の二次創作SSです。

文法などおかしな点が多々あると思いますが、海より深く、山より高く、大目に見てください。

 

『少年恭也と女子高生薫の恋物語』

第七話 「人の縁」

 

 さざなみ寮の夕食も終焉に近付いていた。恭也の紹介から、真雪と薫の喧嘩などが終わり、耕介が自分の霊剣『御架月』を紹介し、宴は終了した。さすがにこの後、鍛練がある為真雪も薫に酒を呑ませなかった(珍しいこともあるものだ。)

 二人はいつものように、汗を流し鍛錬を終了した。いつもと違うのは終了後、別れ間際に唇を重ねるようになっていた。

 

翌日、『翠屋』。

 

「恭也。今晩その薫さんを家に連れて来なさい。」

 

 桃子が手伝いに来ていた恭也に言う。

 

「何故だ。」

 

「あんたが昨日夕食をご馳走になったんだから、今日は家が薫さんにご馳走するのよ。」

 

 桃子の話も最もだと思った恭也も了解する。

 

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高町家。

 

「始めまして、神咲薫です。」

 

 昨日のさざなみ寮の夕食のように、薫の自己紹介からはじまった。二人は本気であることを証明するため自分達交際を発表した。桃子は喜び、美由希、晶は昨日の夕食時の桃子の予測が当たり、心底驚いていた。薫が持ってきていた霊剣『十六夜』から十六夜を紹介したときは、さすがの桃子も驚愕していたが。そして、薫と十六夜が恭也の膝を治癒した話しになると、桃子の態度が変わった。

 

「薫さん、十六夜さん。本当にありがとうございます。」

 

 いきなりの変貌に薫が戸惑っていた。

 

「恭也は、士郎さんとの約束を守るためとはいえ、あまりにも無茶をし続けていました。私は、それを止めることができませんでした。恭也が膝を壊したとき、私は初めて恭也を叩きました。でも、本当は膝を壊す前に恭也を叩いて止めるべきだったんです。すべてが手遅れになり、恭也は夢も目標も失ってしまうところだったんです。」

 

 恭也も黙って聞いていた。自分の無茶と無謀でどれほど家族を心配させていたのか。守るべきもの見失っていたことを気付かせてくれた平手打ちを思い起こしていた。

 

「でも、薫さんとの出会いで恭也は再び夢と目標を求めることができるようになりました。薫さん、十六夜さんとの縁に感謝します。」

 

「いえ、それを言うならうちも恭也君との縁に感謝します。恭也君と出会えなければうちは、いつまでもうちの悩みを解決できなかったかもしれません。」

 

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 夕食も終わり、恭也と美由希はなのはを寝かせにいき、桃子も『翠屋』に戻っていき、後片付けを買ってでた薫と晶が残っていた。

 

「縁ですか。」

 

 晶のつぶやきに薫が応じる。

 

「城島さん。どうしたんだ。」

 

「晶でいいです。俺と高町の人たちと薫さんの縁を思っていたんです。」

 

 晶は話していた。

 自分の両親の不和に荒れていたこと。

 美由希との出会い。そして……恭也とのやりとりを。

 

「師匠が膝を壊しても剣を振っていたとき、俺は師匠に無駄なことだといったんです。それでも師匠は諦めず、そして膝が治りました。諦めなかったから薫さんたちと出会って、膝が治ったんです。師匠は諦めず人との縁を大切にしたから俺の膝は治ったといっていました。俺はそのとき高町家の人たちと本当に縁を結べたんです。」

 

 晶は感謝していた。高町家とそして自分と高町家をつないでくれた薫と恭也の縁を。

 

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 高町家の晩餐の翌日。薫はインターハイ県予選、夏休みの前まで隣町の合宿所に剣道部の合宿に出かけた。薫との鍛練がしばらくできなかった。

薫は不在だが、以前約束した仁村真雪との手合わせをするため、恭也は美由希を伴いさざなみ寮を訪れた。美由希と美緒は再会を喜んでいた。

 

「ルールはどうしますか。」

 

「ああ、剣のみでやろうか。」

 

 準備運動を終えた二人は、それぞれ構えをとる。

 

「それじゃ、始め。」

 

 リスティの合図に真雪が先制する。体力面を考え、短期決戦を挑むようだ。真雪の剣は薫の様に一撃を重視したものではなく、フェイントを加えた多彩な剣である。さすがの恭也も最初の方は防戦一方だったが、すべて見切っていた。

 

(こいつ。あたしの剣を全部見切ってやがる。不味いな、早く終わらそうと最初から飛ばしているから、そのうち体力が尽きる。)

 

(薫さんとは、タイプが違う。少しでも油断したら取られる。)

 

 二人は一度距離をとった。次でケリをつけるつもりだ。真雪が突きを放つ。しかしこの突きはフェイント。突きから横薙ぎに変換される……が、変換される前に恭也の二刀が真雪を襲った。

 

小太刀二刀御神流 『虎切』

 

 一刀での高速・長射程の抜刀術で真雪の剣を払う。木刀が宙を舞い、もう一刀が真雪の喉元に突きつけられる。

 

 短い沈黙。

 

 その後のため息。

 

「ふぅ。あたしの負けだ。とんでもないガキだな、お前は。」

 

「いえ。ありがとうございます。良い手合わせでした。」

 

 ふたりの手合わせを見学していた、さざなみ寮生達は唖然としていた。皆、真雪の強さを知っていただけに、リスティより歳下の恭也が真雪に勝つとは思いもよらなかったのだ。特に薫から『神咲一灯流』を学んでいる耕介は恭也の強さに末恐ろしさを感じていた。愛やゆうひなどは恭也がどうやって勝ったのかさえ視認できなかった。

 

「恭也君。ほんとに強いんだね。」

 

 知佳が姉を負かした恭也を賞賛する。そして、ほかの皆もそれに習った。そしてリビングに移り、恭也が持ってきていた翠屋のシュークリームと、耕介の作ったおやつを皆でつまみながら、楽しい歓談が始まった。

 

 これも恭也と薫の縁が呼んだ新たな人の縁である。

 

〈第七話 了〉

 

 


後書き

 うう。バトルの表現は難しいなぁ。他の方々のような描写がなかなかできない。

 さて、次回はあの人が出ます。そう薫の親友にして、耕介のおさ……。

 まあ、次回のお楽しみということで(バレバレじゃん〉




薫が桃子さんたちと顔合わせ〜。
美姫 「それと約束の真雪との手合わせね」
だな。さしもの桃子さんも恭也の膝の話が出てくると真面目モードだったな。
美姫 「そりゃあ、そうよ。でも、高町家でも公認となったわね二人」
いやー、これから何が起こるのかな。
美姫 「次回も待ってますね〜」



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