この話は、『桜舞う日の邂逅』や『桜散りし日の決闘』を参考にして創作した話です。

すべてにおいて初挑戦の二次創作SSです。

文法などおかしな点が多々あると思いますが、海より深く、山より高く、大目に見てください。

 

『少年恭也と女子高生薫の恋物語』

第二話 「神咲薫」

 

「医者から言われました。完治していると。」

 

 高町君は喜んで報告してきた。

 

「これも、神咲さんのおかげです。」

 

 最初にあったとき以外は、どちらかというと無愛想だった彼の笑顔。なんて、素敵な笑顔じゃろう。うちの胸が高鳴った。小学生。いや中学生くらいの少年に。

 

「それは、よかった。」

 

 高鳴る胸を誤魔化すように返答した。

 

「しかし、医者は不思議がっていました。『ありえない』と。『どんな魔法を使ったのか』と。」

 

 彼自身も不思議がっているようじゃった。

 しかし、言えない。

 うちの霊力と霊剣『十六夜』の『癒し』で彼の足を癒したことは。寮のみんなに心配をかけないように、時間をかけてゆっくりと『癒し』を施し彼を完治させた。だから、うちの負担はそれほどでもない。

 何故、うちは彼を癒したのだろう。

 

「その件については聞きません。治して頂いただけで充分です。それと、初対面のときは失礼しました。気休めじゃなかったんですね。」

 

 普段は無口だった彼がよく、喋っている。よほど嬉しいのだろう。しかし、何故彼はこの歳でこんな雰囲気をもっているのだろう。

 

「高町君。君は、剣道をやっているのじゃろう。うちもしとる。膝の調子をみるため軽く打ち合わんか。」

 

「いいですね。でも、俺のは『剣道』ではなく『剣術』です。」

 

「実戦流派というわけか。うちの流派もそれに近い。『神咲一刀流』というんじゃ。」

 

「ああ、薩摩示現流を元にした、鹿児島のいち流派ですね。」

 

 表の『一刀流』は、一般にはあまり有名ではないが一流どころには知名度が高い。

 

「それでは、打ち合うのではなく試合しませんか。」

 

「完治したとはいえ、無理はいかんよ。」

 

「軽く試合をする。ということでいいでしょう。」

 

「仕方なかね。」

 

 うちは、持ってきていた木刀を取り出した。彼も二本の木刀を持ってきていた。どうやら、鍛錬をするつもりだったようだ。

 

「小太刀。それも二刀流とは珍しいね。流派はなんだい。」

 

「………小太刀二刀御神流です。」

 

 ん……どこかで聞いた流派じゃな。

 

「ルールはどうします。」

 

「軽い試合じゃ。互いの獲物のみにしよう。」

 

「わかりました。」

 

 お互い低位置に着く。

 うちは正眼に構え、彼は一本の小太刀を腰に差し、もう一本を構える。

 

「神咲一刀流。神咲薫。」

 

「永全不動八門一派、御神真刀流。小太刀二刀術。高町恭也。」

 

「「参る。」」

 

 うちの剣と彼の剣がぶつかる。この歳でなんて重い一撃を放つんじゃ。しかも、速い。

 

「追の太刀。」

 

 二撃目を打ったとき、彼の剣がうちの剣をすり抜けたように迫る。とっさに身を翻しかわす。さらに彼は迫る。三撃目を放つと彼はもう一本を抜き、うちの剣を防ぐともう一本をうちの首に突きつけた。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

 

 軽く試合など甘かった。最初から全力でぶつからなくては勝てる相手じゃない。この歳でこの剣腕。しかも一月のブランクがあるのに。膝を砕くほどの鍛錬はけっして無駄ではなく、彼の血肉となっていたのだ。

 

「うちの負けじゃな。」

 

「いえ、全力でこられていればどうなったか。」

 

 この子は強くなる。しかし一人ではまた無茶をする。

 

「どうだろう。これからは二人で鍛錬をしないか。」

 

 この子と鍛錬をすれば、うちにも益がある。なにより、この子とはこれからも会いたい。

 

「いいですね。一人では限界を感じていたんです。義妹は、まだ俺と打ち合えるレベルではありませんから。」

 

 それでも並みの奴よりは強いですが………。と付け加えていた。

 

「妹さんも剣を。」

 

「ええ、俺が教えています。」

 

 うちは、その言葉に唖然となる。

 この歳で人に教えているのか。しかも、自分を鍛えながら。彼の才能は想像を絶するようだ。

 

「妹はまだ俺たちにはついてこれないでしょうから。二人きりで。」

 

 ………二人きり………。

 

 はっ………。うちは何を考えていたんじゃ。相手はまだ子供だぞ。

 なのに、胸が高鳴ってしまう。

 こんなことが仁村さんに知られたら。

 

『なんだ。神咲はそういうのが趣味なのか。』

 

と、またからかわれてしまう。

 

「ああ、それじゃあ明日から。」

 

 約束を交わしその日は別れた。

 

 

 

 

 

「薫。あの方とこれからも会えるのが、嬉しそうですね。胸の高鳴りが私にも聞こえてきていますよ。」

 

「な……なにを言い出すんじゃ十六夜は……………。」

 

「しかし、薫のことはよく知っているつもりでしたが年下趣味とは知りませんでした。」

 

「い…………十六夜ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ。」

 

 仁村さんの前に十六夜にからかわれてしまった。

 

〈第二話 了〉


後書き

 どうだったでしょうか。

 しかし、鹿児島の人間の言葉遣いはわからないね。

 鹿児島の人たち。つっこまないでね。




完治した恭也と薫の鍛練がこうして始まると。
美姫 「さしもの薫もやっぱり十六夜が相手では敵わないわね」
まあ、それは確かにな。
さて、これからも恭也との接点が生まれた所で、今回はお終いと。
美姫 「次はどんな展開になるのかしら」
次回も待っています。
美姫 「待ってますね〜」



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