『栗鼠のナトキンのお話V』
栗鼠のナトキンは相変わらず悪戯好きです、それでまた梟のブラウン爺様を怒らせてしまってです。
慌てて逃げ出しました、そして逃げ延びたところで言いました。
「やれやれ、爺様は相変わらず怒りっぽいな」
「おや、ナトキンさんじゃない」
そこに子猫のトムが通りがかってナトキンに声をかけてきました。
「どうしたのかな」
「いや、実はブラウン爺様の羽根にひっつき虫をくっつけたんだよ」
「えっ、そんなことしたの」
トムはナトキンのお話を聞いて驚きました。
「そんな酷い悪戯をしたんだ」
「酷いかい?普通だよ」
「僕そんなことしたらお父さんとお母さんに凄く怒られるよ」
トムはナトキンに驚いたまま答えました。
「そうなるよ」
「そうかい?」
「そうだよ、それで爺様怒ったよね」
「もう怒って家から出て行けって言われたよ」
ナトキンはそうなったと言いました。
「一緒にお茶を飲んでいたのにね」
「あの、そんな悪いことをしたら」
トムはナトキンにどうかというお顔でお話しました。
「謝らないと駄目だよ」
「爺様にかい?」
「そうだよ」
こう言うのでした。
「そうしないとね」
「悪戯じゃないか」
「悪戯でも怒らせたら駄目だよ」
トムはナトキンにこう反論しました。
「絶対にね」
「だからかい」
「うん、だからね」
それでというのです。
「謝ろう」
「爺様にかい」
「うん、ナトキンさんだけだと気まずかったり怖いなら僕も一緒に行くよ」
トムはナトキンに言いました。
「だからね」
「謝らないと駄目か」
「うん、そうしよう」
「どうしてもそうしないと駄目かい?」
「どうしてもね」
絶対にとです、トムはナトキンに言い巻いた。そうしてです。
トムに連れられて爺様のところに行きました、まずはトムが言って事情をお話してナトキンが爺様のお部屋に入ってです。
爺様に謝りました、爺様はまだ怒っていましたが紅茶を飲みながら言いました。
「トムに免じて許す、しかし今度したら嘴で突くぞ」
「そうするんだ」
「そうだ、トムに感謝するのじゃ」
爺様はこう言いました、ですがトムの仲介を受けてそのうえでこのことは終わったとしました。
それで一羽と二匹でお茶を飲みましたが爺様はトムを見て言いました。
「トム、立派なことをしたな」
「そうかな」
「そうだ、悪いことを悪いと言って謝る様に言ってな」
ナトキンにというのです。
「付き添ってことを収めた、立派なことだ」
「そうなんだね」
「それは大人でも出来ない者は出来ない」
爺様はトムにこうもお話しました。
「それが出来たお前さんは立派な」
「大人の人よりも?」
「もういい大人だ、少なくともナトキンよりもな」
「そんなこと言われると照れるよ」
「照れなくていい、ことのよし悪しはわかってしっかりと動く」
「それが出来たらいいんだね」
「そうだ、ナトキンもそうするんだ」
今度はナトキンにお顔を向けて言いました。
「いいな」
「ちぇっ、僕にはそう言うんだ」
「そうだ、悪戯も程々にしろ」
爺様はナトキンを叱りました、ナトキンもそう言われて恐縮しました、そうしてそれから彼の悪戯は随分とましになりました。
栗鼠のナトキンのお話V 完
2024・12・25