『子豚のロビンソンのお話V』





 子豚のロビンソンはこの時お家に黒犬のダッチェスが来ていて一緒にお茶を飲む用意をしていました。
 その中で、です。ダッチェスはロビンソンにこんなことを言いました。
「鼠のパイは出ないよね」
「鼠のパイ?そんなの出ないよ」
 ロビンソンはダッチェスにこう答えました。
「僕鼠は食べないしね」
「それでだね」
「うん、そもそもそうしたパイはお昼か夜に出るよね」 
 ダッチェスはこうも言いました。
「そうだよね」
「大体そうだね」
「それだとだよ」
 ダッチェスにさらに言いました。
「今言った通りね」
「君は鼠は食べないんだね」
「何でも食べるけれど」
 豚だからこのことは当然です。
「けれどだよ」
「鼠は嫌いなんだ」
「そうなんだ、それに君も好きじゃないよね」
「好きじゃないから確認したんだよ」 
 まさにとです、ダッチェスはロビンソンに答えました。
「僕もね」
「そのこともわかっているし」
「出さないんだね」
「うん、お菓子だよ」 
 出すものはというのです。
「それも丁度ティータイムだしね」
「それに合わせたお菓子だね」
「そうだよ、それで僕は何を出すと思う?」
「ティータイムというからあれだね」
 ダッチェスは紅茶を淹れながら答えます、紅茶はミルクティーでミルクもお砂糖もたっぷりと入れています。これは二匹でお話して決めたことです。
「ケーキとかクッキーとかスコーンとか」
「あっ、そう思う?」
「違うの?」
「それは食べてのお楽しみだよ」
 にこりと笑ってです、ロビンソンはダッチェスに答えました。
「ちゃんと三段で出すけれど」
「その三段がなんだ」
「お楽しみだよ」
「それじゃあね」 
 こうお話してでした。
 ダッチェスが紅茶を淹れたところで冷蔵庫からそのお菓子達を出してです。
 三段のティーセットにしてテーブルの上に出しました、それはといいますと。
「へえ、これはまた」
「面白いね」
「一番上はドーナツだね」
 丸いリングはチョコレートでコーティングされています、そしてドーナツ自体も見事なチョコレート色です。
「アメリカだね」
「そうなんだ」
「そして中段はマンゴープリン」
「中国だよ」
 ロビンソンはダッチェスに笑って答えました。
「そちらだよ」
「そうだね、そして下段は」
 見ればです、そこにあるものは。
 極めて濃い紫でぷるんとした棒の様な形をしたものです、固いですがそれでいて弾力がありそうなお菓子です。
 そのお菓子を見てです、ダッチェスは言いました。
「日本のお菓子の」
「羊羹だよ」
 ロビンソンはまた答えました。
「それだよ」
「そうだね、まさかこうした組み合わせなんてね」
「思わなかったね」
「うん、本当にイギリスのね」
「スコーンやケーキのだね」
「そうしたものだと思っていたら」
 それがというのです。
「他の国のそれも三国だなんてね」
「お母さんが買ってくれたんだ、君も来てお茶を楽しむと聞いて」 
「それでなんだ」
「用意してくれたんだ、三つ共安かったそうでね」
「だから買ってだね」
「今から食べるんだ」
 一緒にというのです。
「それでいいね」
「うん、僕はお菓子なら何でも好きだよ」
 ダッチェスは笑顔で答えました。
「鼠のパイは苦手でもね」
「それでもだね」
「うん、大好きだから」
 お菓子は何でもというのだ。
「それじゃあね」
「一緒に食べようね」
「そうしようね」
 笑顔でお話してでした。
 二匹で多国籍な三段セットとミルクティーを楽しみました、ここでダッチェスはロビンソンにその中で言いました。
「ミルクティーは何にでも合うね」
「どの国のお菓子にもね」
「これはイギリスでいいね」
「紅茶についてはね」 
 紅茶のお話もしました、そちらも最高でした。本当に今日のお茶会は二匹にとって最高のものになりました。


子豚のロビンソンのお話V   完


                 2022・8・31








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