『ベンジャミン=バミーさんのお話』





 この時ベンジャミン=バミーさんは困っていました、どうして困っているかといいますと。
「最近物価が高いのよ」
「おや、そうなのかい?」
「何かとね」
「そんなに景気は悪くないよ」
 ご主人のバウンサーさんはこう奥さんに答えました。
「別にね」
「貴方は満足に働けてて」
「そうだよ、会社の商品も順調に売れてるしね」
「けれどお野菜や果物が高いのよ」
「我々が食べるものがかい」
「そうなの、何かとね」
「そういえば今年の秋は雨の日が多かったね」
 ここで物価が高い理由について考えたバウンサーさんでした。
「それで野菜や果物が不作なのかな」
「きっとそのせいね」
「だからだね」
「人参もお豆も高くて」
「トマトもかい?」
「そうよ、何でもね」
 お野菜や果物はというのです。
「高くて」
「家計が苦しいんだ」
「何とか節約しないと」
「ううん、節約かあ」
 バウンサーさんはそう聞いて難しいお顔になりました、そうして腕を組んで考えつつ奥さんに言いました。
「じゃあわしの煙草もかい」
「それはすぐにでしょうね」
「禁煙か」
「あとお酒もね」
「ウイスキーもかい?」
「ビールは安いし高くなってないからいいけれど」
「ウイスキーは高いからだね」
 ビールに比べてです。
「だからだね」
「ええ、節約するのならね」
「暫くはお別れか」
「そして」
 さらにお話する奥さんでした。
「他にも色々とね」
「節約してかい」
「お野菜や果物が高くなった分ね」
「わし等兎は野菜を食べて生きているからね」
「だからお野菜が高くなるとね」
 どうしてもなのです。
「難しいのよ」
「全く、お肉が安くてもね」
「私達は食べないでしょ」
「兎はね」
「だからなの、もう節約をして」
 そうしてというのです。
「何とかしていかないと」
「寒い話だよ」
「寒くてもね」
 それでもと言う奥さんでした。
「もうそれは仕方ないから」
「やれやれだよ、ではね」
「節約をしていくから」
 こうしてです、バミー家ではお野菜が高くなった分だけ節約をすることになりました、ご主人も煙草やウイスキーを我慢することになって。
 奥さんも毎日市場で頭を悩ませることになりました、一体何を買うかとです。この日も市場で悩んでいました。
「一体何を買おうかしら」
「あら、また悩んでるの?」
 奥さんにピーターラビットのお母さんが声をかけてきました。
「今日も」
「そうなの、お野菜が高いでしょ」
「ええ、最近ね」
「だからね」
 ピーターのお母さんに言います。
「困ってるのよ」
「私もよ」
「私達は兎だからね」
「お野菜を食べるのに」
 そのおお野菜がというのです。
「高いとね」
「困るわね」
「今みたいだとね」 
「あれよね」
 ピーターのお母さんが言いました。
「秋の長雨でね」
「お野菜が不作だったみたいね」
「そのせいでね」
「お野菜が高いのよね」
「人参も蕪もね」
「キャベツもレタスもね」
「お豆も高いし」
 これもというのです。
「ジャガイモも玉葱も」
「とにかく何でも高くて」
「困るわね」
 二人で困ったお顔でお話します、そしてです。
 市場の八百屋さんに行ってもです、困ったお顔でいました。それでお二人でお店の中のお野菜を見ながらお話します。
「何を買おうかしら」
「人参も蕪も買うけれど」
「どっちも高いし」
「キャベツだってね」
「高いわね」
 どうにもとお話して困っています。
 そしてその中で、です。バミーさんの奥さんはお店の隅にある人参や蕪、キャベツやレタスのいらない部分の葉があるのに気付きました。それでピーターのお母さんに対してそうした葉達を指差して言いました。
「ねえ、あれ」
「あっ、葉が一杯あるわね」
「ええ、人参なり蕪なりね」
「その葉がね」
「一杯あるわね」
「あれを買ったら」
「そうよね」
 それこそというのです。
「かなり助かるわ」
「あれだけあったら色々作れるし」
「余りそうなら酢漬けに出来るし」
「それで長い間食べられるから」
「買いましょう」
「そうしましょう」
「ああ、買わなくてもいいよ」
 店長の栗鼠のおじさんが二人に言ってきました。
「どれも邪魔だから切ったり取ったものだからね」
「邪魔なの」
「そうなの」
「そうだよ、全部ね」
 お店の隅にある葉はというのです。
「そんなものだから買わなくていいよ」
「じゃあ貰っていいの」
「そうしていいの」
「いいさ、売る程のものでもないし」
 だからだというのです。
「こんなのだったら好きなだけ貰っていいよ」
「そうなの、じゃあね」
「それ貰うわね」
「それでお家でお料理するわね」
「そうするわね」
「好きにしていいよ」
 こう返したおじさんでした、そしてです。
 お二人はそうした葉を貰えるだけ貰ってそうしてでした、それぞれのお家に帰りました。そしてバミーさんの奥さんはご主人がお仕事から帰るとその葉のお話をしましたがご主人はそのお話を聞いて言いました。
「捨てるのかい」
「ええ、そういえばお店のお野菜はね」
「葉を切ってるね」
「あれは邪魔らしいのよ」
「葉があるとその分かさばるからかな」
「そうみたいね、それで切ってお店に出して」
 人参や蕪をです。
「葉は捨てるのよ」
「そうしてるんだ」
「それでなのよ」
「君とピーター君の奥さんは葉を貰ってだね」
「それもお料理に使うから、だからね」
「お野菜が高い間はだね」
「葉の料理が多くなるわよ、けれどその分ね」
 葉、ただで貰うそのお料理がある間はというのです。
「節約しないで済むわよ」
「じゃあわしも煙草やウイスキーをだね」
「楽しめるわよ」
「それは何よりだよ、ではね」
「ええ、これからね」
「お料理を作ってくれるんだね」
「そうさせてもらうわ」
 こうご主人に言うのでした。
「私達は葉も大好きだからね」
「兎はね、しかしそんな有り難いものを捨てているなんて」
 ご主人は奥さんに首を傾げさせつつ言いました。
「八百屋さんも勿体ないことをしているね」
「だって兎は葉も食べるけれど」
「他の生きものはそうも限らないからだね」
「葉は捨ててるみたいよ」
「そうなんだね」
「けれど捨てる位なら」
 それこそというのです。
「そうしてちゃんと使わないとね」
「食べないと駄目だね」
「炒めたりシチューに入れたりして」
 その葉の調理の仕方も言う奥さんでした。
「そして酢漬けも作るから」
「いいねえ、じゃあね」
「今から作るからね」
「出来たら子供達も読んでね」
「皆で食べましょう」
 その葉達を沢山使った晩御飯をというのです、思わぬ節約が出来てご馳走も食べられることに笑顔のお二人でした。


ベンジャミン=バミーさんのお話   完


                 2017・11・10



野菜の高騰の影響がここにも。
美姫 「世知辛いわね」
だな。まあ、それでもどうにか上手くやりくりしているみたいだが。
美姫 「良かったわね」
ああ。今回もほんわかと読ませてもらいました。
美姫 「投稿ありがとうございました」
ではでは。



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