『ミセス=ティトルマウスさんのお話』




 ミセス=ティトルマウスさんはとても奇麗好きです。ですからお家の中はいつもとても奇麗にしています。
 ですがお家の中は今は汚れています、それで汚して散らかした張本人である子供達に怒って言いました。
「あんた達またなのね」
「またって?」
「またってどうしたの?」
「どうしたもこうしたもないわよ」
 怒ったまま言います。
「あんた達またお家の中を汚して」
「あれっ、そんなに汚れてる?」
「別にだよね」
「そんなに汚れてないよ」
「散らかってもないし」
「別に」
「そうよね」
 子供達はこうお話します、彼等の間で。
「これ位普通だよ」
「そうだよね」
「お母さんそう言うけれど」
「別にこれといって」
「何もね」
「これの何処が散らかっていないの」
 お母さんは自覚のない子供達にまた言いました。
「早く片付けなさい」
「えっ、片付けるの?」
「面倒臭いよ」
「これ位いいじゃない」
「普通だから」
「何もしなくていいんじゃないの?」
「つべこべ言わずに片付けなさい」
 有無を言わせない口調でした。
「いいわね」
「仕方ないなあ」
「折角遊んでたのに」
「それでも?」
「片付けないといけないの?」
「今から」
「そうよ、早く片付けなさい」
 まさにというのです。
「いいわね」
「お母さんは厳しいなあ」
「何でそんなに奇麗好きなの?」
「これ位何でもないのに」
「すぐに片付けろ、お掃除しろで」
「面倒臭いわね」
「やれやれよ」
 子供達はブツブツ言いながら後片付けをします、お母さんはそうさせながら早速お掃除の開始です。そうしてテキパキとお掃除をしながらです。
 嫌々後片付けをしている子供達にこうも言うのでした。
「いい?鼠は奇麗好きなのよ」
「あれっ、そう言われてるの?」
「そうなの?」
「よく汚いって言われるわよ私達」
「そうよね」
「病気を感染させるとかね」
「人間達が言ってるんじゃ」
 子供達はお母さんのお話にこう返しました。
「それがどうして?」
「どうして奇麗好きなの?」
「それは違うんじゃ」
「僕達鼠は」
「それは偏見なのよ」
 お母さんははっきりと言い切りました。
「そう思われてるだけ、実はね」
「奇麗好きなの?」
「お母さんみたいに」
「そうだっていうのね」
「鼠は実は奇麗好き」
「そうだって」
「そうよ、鼠は奇麗好きなのよ」
 また言った奥さんでした。
「お母さんがそうでしょ」
「それでなんだ」
「お母さんも奇麗にしているの」
「それもいつも」
「そうしてるんだ」
「そうよ、お母さんのお母さんも奇麗好きでしょ」
 お祖母さんもというのです。
「お母さんのお母さんのお母さんもそうでしょ」
「あっ、ひいお祖母ちゃんね」
「そういえばお祖母ちゃんもひいお祖母ちゃんもだよね」
「奇麗好きよね」
「お父さんやお祖父ちゃんやひいお祖父ちゃんはともかくとして」
「皆そうだね」
「いつも奇麗にしているのが鼠よ」
 お母さんはまた言いました。
「わかったらいいわね」
「いつもなんだね」
「奇麗にして」
「だからいつも後片付けをして」
「そうしないと駄目なの」
「今も」
「そうよ、わかったらいつもこうしなさい」
 後片付けをしてというのです。
「お掃除もして」
「わかったよ」
「お母さんすぐに怒るし」
「それじゃあね」
「ちゃんと後片付けするから」
 子供達は皆で、でした。ぶつぶつと言いながら後片付けをしてお母さんはお掃除をしました。そうしてとりあえず奇麗にしたのですが。
 子供達と晩御飯を食べた後でその食器を片付けて洗い終わってほっとした時にですご主人が帰ってきましたが。
 そこで、です。ご主人はお友達を何人も連れて来て言うのでした。
「今日はここで飲もうってなったんだ」
「うちでなの」
「うん、そうなんだ」
 ご主人は奥さんにとても陽気に言いました。
「いいかな」
「いいってもう皆さん来てるじゃない」
「そうだね」
「それじゃあもう」
「飲んでいいかな」
「だから来られてから言ってもどうしようもないでしょ」
 奥さんは仕方ないといったお顔で応えました。
「そうでしょ」
「あはは、それはそうだけれどね」
「それで何を飲むの?」
「まあ何でもね」
「何でも?」
「そう、何でもね」
 お酒ならというのです。
「いいよ」
「エールでもウイスキーでもなの」
「何でもいいよ」
「じゃあおつまみは」
「それも何でもいいよ」
 とても適当に答えるご主人でした。
「それもね」
「それじゃあ何もわからないわよ」
「だから何でもいいんだ」
「ナッツでも何でも?」
「そう、何でもね」
 ご主人の返事は変わりません。
「いいよ」
「じゃあ胡桃とアーモンド出すわね」
「それじゃあね」
「お酒はウイスキーをロックでね」
「それで頼むよ」
 こうお話してでした、そのうえで。
 ご主人は何人ものお友達と楽しく飲みはじめました、ご主人はウイスキーを上機嫌に飲みつつお友達とお喋りをして胡桃やアーモンドを食べて楽しい時間を過ごしました。
 ですがお酒を飲み終わってお友達が皆帰ってから奥さんに言われました。
「飲むのはいいけれど」
「何かな」
「また散らかして」
 見ればテーブルの上もその周りも食べ散らかした胡桃やアーモンドと零れたお酒それにカップやお皿で散らかり放題です。
「それもこんなに」
「あれっ、散らかってる?」
「散らかってるわよ」
 こうご主人に言うのでした。
「見てわからないの?」
「そうかな」
「そうじゃないわよ、早く後片付けをして」
 そしてというのです。
「お掃除をしないと」
「駄目っていうんだ」
「そうよ」
 まさにという口調でご主人に言います。
「全く、子供達みたいに」
「子供達はどうしたのかな」
「もう皆寝かしたわ」
「それは何よりだね」
「何よりじゃなくてよ」 
 また言う奥さんでした、カリカリしたまま。
「こんなに散らかして」
「後片付けしろっていうんだね」
「そうよ、今からね」
「君は相変わらず厳しいね」
「厳しいんじゃなくて普通よ」
 それこそとです、奥さんはご主人にも怒りました。
「だからいいわね」
「あと片付けをだね」
「そう、私も手伝うから」
「それじゃあね」
「コップもお皿も落とさないでね」
 持とうとしたご主人に注意しました。
「いいわね」
「大丈夫だよ」
「かなり酔ってるじゃない」
 だから大丈夫じゃないというのです。
「それで言うのよ」
「まあまあ」
「まあまあじゃないわよ」
 あくまでご主人を怒ります、そしてでした。
 奥さんはご主人と一緒に後片付けをしてお掃除をしました、そうしてその後でお皿やコップを洗ってようやくでした。
 ベッドに入って寝ました、その翌朝です。
 ご主人と子供達をお仕事と学校に送ってからお家の中を隅から隅までお掃除をして玄関も掃きます、するとです。
 その奥さんにです、お友達の猫のリビーが来て言ってきました。
「あら、今朝もなのね」
「ええ、こうしてね」
 まさにと答える奥さんでした。
「玄関もね」
「奇麗にお掃除をしてるのね」
「そうなの」
 そうするというのです。
「お家の穴もね」
「隅から隅までね」
「お掃除をしたし」
「それでなのね」
「位まからね」
「またなのね」
「そう、お掃除をしてね」
 そしてというのです。
「後はね」
「お買いものね」
「それをするわ」
「いつもお掃除からよね」
「奇麗じゃないとね」
 どうにもというのです。
「私気が済まないから」
「昔からそうよね」
「ええ、本当にこればかりはね」
 奥さんは箒を手にリビーに言いました。
「こうしないとね」
「気が済まなくて」
「奇麗にしてるのね」
「そういうことよ、それじゃあね」
「今日も奇麗にして」
「それで明日もね」
 今日だけでなく、というのです。
「お掃除をして奇麗にするわ」
「毎日なのね」
「そうしていくわ」
「頑張るわね、じゃあ私もね」
 リビーはそんな奥さんの言葉を聞いて笑顔で言いました。
「頑張るわ」
「そうするのね」
「ええ、そうするわ」
 こう言ってでした、そのうえで。
 奥さんはリビーと別れた後もお掃除をしました、そうしてそのうえでです。今日も奇麗にするのでした。


ミセス=ティトルマウスのお話   完


                           2017・3・11



まあ、子供は大抵片づけたがらないからな。
美姫 「でも、綺麗な方が良いのは確かよね」
まあな。今回はどこの家でもありそうな感じの話だったな。
美姫 「子供たちもちゃんと片づけたし」
今回もまた楽しかったです。
美姫 「投稿ありがとうございました」
ではでは。



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