『新オズのグリンダ』




                第五幕  鏡の国

 一行は次の国に向かっています、その国はといいますと。
「鏡の国なのね」
「ええ、その国に行くわ」
 オズマはグリンダにお話しました。
「次はね」
「あの国ね」
「そう、いいわね」
「いいわ」
 笑顔での返事でした。
「それじゃあね」
「行きましょう」
「次はね」
「あの」
 神宝がここでオズマに尋ねました。
「鏡の国ってどんな国ですか?」
「僕達の言ったことのない国ですね」
 カルロスも言いました。
「そうですね」
「はじめて聞く国ですね」
 ジョージにしてもです。
「その国は」
「そうですね、オズの国は色々な国があるので」
 恵梨香はそれでと言いました。
「それで、ですね」
「本当に色々な国がありますね」
 ナターシャも言いました。
「オズの国は」
「それでその国にね」
 ドロシーは五人にもお話しました。
「行きましょう」
「わかりました」
「是非行きましょう」
「それでお邪魔しましょう」
「オズの国にも」
「そうしましょう」
「そうしましょう」
 こうしたお話をしながらです、皆は鏡の国に向かいそして到着しました、その国はどうした国かといいますと。
「うわ、壁も屋根もです」
「全部鏡ですね」
「合わせ鏡にもなっていて」
「迷路みたいですね」
「凄い国ですね」
「そうなのよね」
 エリカが国に入って目を丸くさせている五人にお話しました。
「この国は何もかもがよ」
「鏡になっているね」
「お花や木まで」
「石もそうで」
「本当に何もかも映して」
「反射もしているわ」
「そうした国よ、ただね」
 エリカは五人にこうも言いました。
「人や生きものは普通の身体でしょ」
「そうだね」
「ここにいる人達はね」
「生きものだってね」
「普通の身体だね」
「そうなっているね」
「そうした国なのよ」 
 この国はというのです。
「周りの全てが鏡であるだけよ」
「成程ね」
「そうした国もあるのね」
「瀬戸物やパズルの国もあって」
「そうした国もある」
「そうだね」
「そう、わかってね」 
 確かな声で言いました。
「それしかないから」
「この国はこうだってね」
 トトはエリカに言いました。
「受け入れることだね」
「そういうことよ、それで合わせ鏡が多くて」
 そうなっていてというのです。
「見ていると私が連なってよ」
「何匹もいる感じだね」
「そうした風に見えるけれど」
 それでもというのです。
「それがね」
「この国だね」
「そういうことなのよね」
「うん、合わせ鏡の迷路だね」
「この国はね」
「いつも思うけれど」
 ビリーナは首を傾げさせて言いました。
「この国の人達は迷わないのかしら」
「迷路みたいになっていてだね」
「ええ、それでね」
 魔法使いにも応えます。
「そうなっていてもね」
「それも大丈夫だよ」
「どうしてなの?」
「だってこの国に生まれて」
 そうしてというのです。
「育って生きてきているんだよ」
「ずっとなのね」
「そう、ずっとね」
 まさにというのです。
「そうしているからね」
「もうそれが普通で」
「そうなっていてね」
 それでというのです。
「自然になっているからね」
「何でもないのね」
「そうだよ」
「成程ね」
「そしてね」 
 そうしてというのです。
「私達はそうじゃないから」
「案内を受けて」
「進んでいこうね」
「それじゃあね」
「宜しくお願いします」 
 ここで、でした。一行の前にいた鏡の国の兵隊さんが言ってきました。白い軍服とブーツでブラウン野髪と目を持っています。
「この度は」
「ええ、お願いね」
 グリンダが応えました。
「案内をね」
「はい、ではまずはです」
 兵隊さんは笑顔で返事をしました。
「王宮にです」
「案内してくれるわね」
「これより」
「それじゃあね」
「それでなのですが」
 兵隊さんはさらに言いました。
「王宮に入りましても」
「それでもよね」
「慣れていない方はです」
「気を付けないとね」
「王宮もすべてが鏡なので」
 だからだというのです。
「お気を付け下さい」
「そうですね」 
 神宝は兵隊さんの言葉に頷きました。
「合わせ鏡ですと」
「うん、迷路だからね」
「王宮もそうなっているのね」
「むしろ王宮って広くてお部屋や廊下も多いし」
「尚更だね」
「だからです」
 兵隊さんは神宝達にも言いました。
「くれぐれもです」
「気を付けます」
「周りの人のお話をよく聞きます」
「そのうえで進みます」
「慎重に歩きます」
「前も周りも見て」
「そう、大事なのはね」
 オズマも五人に言いました。
「周りの人のお話を聞いて」
「慎重に、ですね」
「進むことですね」
「この国では」
「そうしないと駄目ですね」
「迷路みたいなので」
「そうよ、そしてね」
 オズマはさらに言いました。
「それはこの国だけじゃないわ」
「人生もですね」
「この国だけじゃなくて」
「他のことでも同じで」
「人生自体がそうですね」
「そういうことですね」
「そうよ、さもないとね」
 それこそというのです。
「大事よ」
「はい、それじゃあ」
「そうしていきます」
「この国だけじゃなくて」
「他のことについても」
「人生自体に対して」
「そうしてね。ただね」 
 オズマはここで真面目に言いました。
「周りの人といっても」
「いい人も悪い人もいますね」 
 ジュリアがオズマに言ってきました。
「外の世界では」
「ええ、それでね」
「それで、ですね」
「悪い人の言うことを聞くと」 
 そうすると、というのです。
「よくないわ」
「そうですね」
「もう騙すつもりでね」 
 最初からです。
「言う人がいるから」
「だからですね」
「そう、本当にね」 
 まさにというのです。
「人をよく見ることよ」
「それが大事ですね」
「絶対に信用してはいけない人は」
 その悪い人の具体的なお話もします。
「いつも誰かを罵ったり敵を見付けて攻撃したり」
「そうしたことを言う人ですね」
「そしてね」
 そうであってというのです。
「よく聞いたら嘘ばかりとか薔薇色の未来ばかりね」
「言う人ですね」
「自分の言うことを聞いてね」
「その通りにしたらですね」
「薔薇色の未来だってね」
「言う人はですね」
「特に誰かを追い出したりしたら」 
 そうしたらというのです。
「そうなるって言う人はね」
「悪い人ですね」
「それも罵ってばかりで」
 他の人をというのです。
「そしてね」
「そうしてですね」
「そしてね」
 そうであってというのです。
「人を騙して利用して」
「そうさせますね」
「そうするから」
 だからだというのです。
「絶対によ」
「聞いたら駄目ですね」
「ええ、人を罵ることはね」
「悪いことですね」
「それもそればかりなら」
「悪い人ですね」
「人のいいことを言う、罵るんじゃなくて」 
 そうでなくというのです。
「何処をどうすればいいか」
「具体的にですね」
「言う人の言うことをね」
「聞くことですね」
「そうよ、あと駄目出しばかりの人は」
 オズマはそうした人のお話もしました。
「聞いてもね」
「ええ、意味がないわ」
 今度はグリンダが応えました。
「もうね」
「そうよね」
「だって否定なんてね」
「誰でも言えるわ」
「もうあげつらってね」
「あら捜しをしてね」
「そしてね」 
 そのうえでというのです。
「適当なこと言って」
「あれが駄目これが駄目だって」
「そう言えばね」
「いいだけね」
「だからね」
「駄目出しばかりの人はね」
「楽をしている人で」
 そうであってというのです。
「人の欠点を見付けて指摘出来る自分は偉い」
「勘違いしているわね」
「そうした人でね」
 そうであってというのです。
「もうね」
「お話を聞いてもね」
「仕方ないわ」
「外の世界ではそうした人がいるわね」
「そんな人の言うこともね」
「聞かないことね」
「そうすることよ」
 まさにというのです。
「悪い人も見極めて」
「聞かない様にして」
「そしてね」  
 そうであってというのです。
「確かな人の言うことをね」
「聞くことね」
「ええ、罵る人否定する人はね」
「まず信じない」
「敵を指し示して罵って」
 そうしてというのです。
「その人達がいなくなれば薔薇色か」
「違うわね」
「その言っている人が偉くなったら」
「その人こそが問題ね」
「好き放題やりだすわよ」
「そうなるものね」
「そしてそうしたことがわからないと」
 そうでないと、というのです。
「失敗するわ」
「そうなるわね、そんなことを言う人は」 
 ここで、でした。グリンダはこんなことを言いました。
「鏡を見ることね」
「その人の顔を映し出すね」
「そうよね」
「そう、鏡に映し出される」
「その顔を見たら」
「もうね」
 それこそというのです。
「わかるわ」
「人を罵っているとね」
「悪いお顔になるわ」
「そのお顔を見て考えて」
「そしてね」
 そのうえでというのです。
「わかることよ」
「そうすることね」
「そうしたことが出来ないなら」
「失敗するわね」
「最悪人生自体をね」
「ええ、だから外の世界では気を付けることよ」 
 くれぐれもというのです。
「心からね」
「鏡も見て」
「そのうえでね」 
 こうしたお話をしてでした。
 皆は案内を受けて国を進んでいきます、ここで神宝達五人は足元を見てあることに気付いたのでした。
「地面や道は鏡じゃないね」
「そうだね」
「壁も屋根も鏡だけれど」
「地面とか道はね」
「鏡じゃないわ」
「それはないわ」 
 笑顔で、です。グリンダが言ってきました。
「だって女の子はスカートでしょ」
「ああ、そうですね」
「スカートならですよね」
「鏡だと」
「大変なことになりますね」
「映されて」
「だからね」
 そうであるからだというのです。
「鏡の国でも地面はね」
「違いますね」
「そこは」
「そうなのよ」 
 こうお話しました。
「そこはね」
「ちゃんとですね」
「そこはそうなっていますね」
「女の人の為に」
「ちゃんと考えいますね」
「いい国ですね」
「多くの人のそれぞれのことを考えないと」
 さもないと、というのです。
「よくないのよ」
「そうね、男の人だけだとね」
 ドロシーも言いました。
「ズボンだからね」
「キルトの人以外はね」
「あの服でもないとね」
「そう、男の人はズボンね」
「大抵の人はね」
「だから地面が床や道が鏡でもいいけれど」
「女性はね」
 どうしてもというのです。
「スカートだから」
「今の私達だってね」
「今は女の人もズボンを穿くけれど」 
 それでもというのです。
「やっぱりね」
「オズの国はスカートの人が多いわね」
「だからね」
「そうしたことも考えないとよ」
「駄目で」
「この国もよ」
「ちゃんと考えているわね」
 ドロシーは言いました。
「この国の人達も」
「そうよ、ただね」
「ただ?」
「鏡だと滑るしね」
「そうそう、普通の地面や道よりもね」
「そのことも問題で」
「それでね」 
 そうであってというのです。
「そのこともよ」
「いいことね」
「全部が鏡の国でも」
「ちゃんと鏡でない部分もあるわね」
「それでそうでないとね」 
 さもないと、というのです。
「何かとね」
「問題が出るわね」
「そうなるわ」
 実際にというのです。
「私達も覚えておかないとね」
「その通りね」
 こうしたお話もしました。
 そして王宮に案内されると実際にとても広くて廊下もお部屋も多いです、そうした環境であるので。
「鏡ばかりでね」
「本当に迷いやすいわね」
 ビリーナもエリカも言います。
「何度かお邪魔した位だと」
「どうしてもね」
「だからね」
「案内の人は必要ね」
「よく知っている人のね」
「その通りよ」 
 お互いに案内の兵隊さんについていってお話します。
「さもないとね」
「迷ってね」
「どうなるか」
「わからないわ」
 そうなるというのです。
「慣れないとね」
「そうなるわよ」
「はい、鏡合わせなので」
 兵隊さんも言います。
「どうしてもです」
「迷うはね」
「慣れていないとね」
「私達は生まれてからずっとこの国で暮らしていますので」
「もう何でもないわね」
「それが普通だから」
「左様です、ですが」
 それでもというのです。
「鏡合わせで迷路になっていますので」
「慣れていないと迷うから」
「案内の人の言うことはちゃんと聞かないとね」
「そうして下さい」 
 こうお話してでした。
 兵隊さんは皆を案内します、そうしてこの国の元首である栗色の長い波がかった髪の毛と緑色の目がとても奇麗な若い女王の前に案内しました。女王は一行を迎えると恭しく一礼してそれから言いました。
「お待ちしていました」
「お邪魔するわね」
「はい、それでは歓待致します」 
 オズマに笑顔で言うのでした。
「お楽しみ下さい」
「ええ、ではね」
「ゆっくりして下さい」
 こうお話してでした。
 早速国を挙げての歓待となりました、マジックに演劇にサーカスにです。
 色々な催しがありました、そしてこの世界ではです。
「飲んで食べられる国だからね」
「それで、ですね」
「お料理が出ますね」
「飲みものも」
「この国ではそうですね」
「そうした身体の人達の国なので」
「そうなんだ、だからね」 
 魔法使いは神宝達五人にお話しました。
「存分にだよ」
「楽しんでいいですね」
「これから」
「それならです」
「ご馳走になります」
「飲んで食べさせてもらいます」
「今日はです」
 女王が皆が王宮の食堂、やはり壁も店長もテーブルも椅子も鏡になっているその中で微笑んで言いました。
「お寿司を出させてもらいます」
「お寿司なの」
「はい」
 ドロシーに微笑んで答えました。
「そちらです」
「そうなのね、お寿司ね」
「本格的な」
「日本のものね」
「お寿司といってもですね」
「ええ、色々あるわ」
 ドロシーは女王に微笑んで答えました。
「アレンジされてね」
「アメリカ風のものもありますね」
「まさにそれぞれの国のね」
「食文化が入って」
「色々なお寿司があるわ」
「ですが今回はです」
 女王はドロシーにお話しました。
「日本のお寿司です」
「そうなのね」
「そちらをお楽しみに下さい」
「握り寿司かしら」
 グリンダが女王に尋ねました。
「それで」
「はい、握り寿司もありまして」
 女王はグリンダにも答えました。
「巻き寿司もあります」
「そちらもなのね」
「色々なお寿司をです」
「出してくれるのね」
「三人の職人がいまして」
「呼んでくれたの」
「国にあるお寿司屋さんが今日は都合よく三人共休日でして」
 そうであってというのです。
「招きました」
「休日に悪いわね」
「いえ、また別の日に休みますので」
「そうしてくれるのね」
「ですから今日はです」
「私達に握ってくれるのね」
「これより。では私も頂きますので」
 女王もというのです。
「存分にお楽しみ下さい」
「それではね」 
 こうしたお話をしてでした。
 皆で鏡のテーブルに着いてでした、そのうえで前に日本のお寿司屋さんの様にカウンターに沢山ノネタを用意している職人さん達に注文します、そうしてでした。
 それぞれ食べます、そこでトトはこんなことを言いました。
「山葵がなくてもね」
「食べられるわね」
「僕はね」
「私もね、昔はね」
 エリカはトトにこう返しました。
「山葵があるとかえってね」
「駄目だったんだ」
「あの一気に来る刺激がね」
 山葵のそれがというのです。
「駄目だったわ」
「そうだったんだ」
「けれど今は大丈夫よ」
「食べられるんだね」
「オズの国では猫も犬も人間の食べものを食べられるけれど」
「お伽の国だからね」
「けれど最初はね」 
 どうしてもという口調で言いました。
「あの刺激がね」
「駄目だったんだね」
「つうんと一気にお鼻にくるね」
「僕も最初あれがね」
 トトにしてもです。
「苦手だったよ」
「そうだったのね」
「今は大丈夫だけれどね」
「それで山葵がなくても」
「あってもでね」
 どちらでもというのです。
「食べられるよ」
「そうなのね」
「どんなネタでもね」
 言いつつ海老を食べます、エリカは鮪でした。その横ではジュリアがイクラの軍艦巻きを食べていますが。
 魔法使いはウニの軍艦巻きを食べてです、笑顔で言いました。
「ウニを食べるなんて」
「凄いですよね」
「うん、オズの国ではね」
「ずっと食べなかったですね」
「それがね」
「日本では食べていて」
「お寿司のネタにもなってね」
 それでというのです。
「私もだよ」
「いただいていますね」
「こうしてね」
 実際にというのです。
「それも美味しくね」
「実際にウニも美味しいですね」
「さっき君も食べたね」
「はい、美味しかったです」
 ジュリアはにこりと笑って答えました。
「ウニも」
「そうだね」
「トゲトゲで機雷みたいですが」
「それでもね」
「美味しいですね」
「その中身はね」
 ウニのそれはというのです。
「とてもね」
「美味しいですね」
「これがね」
「他にもです」
 ジュリアはここで、でした。
 たらの白子を注文してです、こう言いました。
「色々とです」
「美味しいものがあるね」
「海の幸には」
「そうだね」
 まさにというのです。
「ありますね」
「そうだね、そして」
 それにというのでした。
「色々なネタをいただく」
「お寿司は」
「そうしたらいいね」
「自分が食べたいものを」
 こうお話してでした、魔法使いは今度は蛸を注文して食べました。そしてそのうえでさらに食べました。
 勿論オズマも食べています、今はハマチを食べていて神宝達に言いました。
「どうかしら、この国のお寿司は」
「とても美味しいです」
 神宝は鮭を食べつつ言います。
「病みつきになる位にね」
「どんどん食べられます」
 ジョージは鰯を楽しんでいます。
「これは」
「本当に日本のお寿司ですね」
 恵梨香は烏賊を食べながら言いました。
「このお寿司は」
「本当にお寿司といっても色々ですが」
 カルロスはカレイを食べています。
「このお寿司はまさに日本のお寿司ですね」
「職人さん達もそうで」 
 ナターシャが食べているのは河豚です。
「いいですね」
「そうよね、そしてね」 
 オズマは五人にこうも言いました。
「私も日本の本格的なお寿司が好きで」
「王宮でも召し上がられていますね」
「エメラルドの都の」
「そうされてますね」
「何度か一緒にいただいています」
「王宮のお寿司も美味しいですね」
「一度食べて大好きになったの。それでね」
 ハマチを食べるとです、オズマは。
 納豆巻を握ってもらいました、そしてそれを食べて言いました。
「こうして納豆巻きも好きになったわ」
「驚きますよね」 
 神宝が笑って言ってきました。
「納豆自体が」
「ええ、こんな食べものがあるのかって」
「糸を引いていて」 
 そうしてというのです。
「しかも匂いが凄くて」
「普通はない食べものよね」
「とても」
「けれど食べてみるとね」
 これがです。
「美味しいのよね」
「それでお寿司にもいけますね」
「ネタとしてね」
「そうなんですよね」
「不思議な食べものよ」 
 納豆はというのです。
「とてもね」
「全くですね」 
「私も驚いたわ」
 グリンダも言ってきました。
「納豆はね」
「食べものに思えなかったわね」
「オズの国に日系人の人が増えて」
「あの人達が伝えてくれたけれど」
「最初はお寿司や天婦羅を紹介されて」
「美味しくてね」
「和食は最高だとね」
 その様にというのです。
「思ってね」
「色々なものを食べて」
「その中でよ」
「納豆を紹介されて」
「驚いたわ」
 そうだというのです、グリンダは茶碗蒸しを食べつつ言います。
「私も腐ってるって思ったわ」
「やっぱりそうよね」
「食べられないともね」
 その様にもというのです。
「思ったわ」
「そうよね」
「けれどね」
 それがというのです。
「食べてみるとね」
「美味しいわね」
「ええ、ご飯に合って」
「おうどんやお蕎麦にかけてもよ」
「美味しいわね」
「納豆はね」
「不思議な食べものね。今はね」
 グリンダはさらに言いました。
「塩辛もお味噌もね」
「好きなのね」
「特にお味噌が好きで」
 そうであってというのです。
「お味噌汁に味噌漬けもね」
「いいわよね」
「ええ、お味噌で味付けしたものは」
「どれも好きね」
「そうなっているわ」
「はい、私もです」
 女王も言ってきました。
「お味噌を使ったお料理が好きです」
「そうなのね」
「この国は日本や中国の文化も沢山入っています」
「どちらも鏡がいい国ね」
「ですから」
 そうであってというのです。
「こうしてお寿司もありまして」
「お味噌もなのね」
「ありまして」 
 それでというのです。
「よく食べています」
「そうなのね」
「ステーキも好きですが」
 この肉料理もというのです。
「お肉を味噌漬けにしまして」
「それで網焼きにするわね」
「これがです」
 実にというのです。
「特にお気に入りです」
「お味噌の中でも」
「はい」
 そうだというのです。
「私は」
「いいわね、しかし貴女かなり日本が好きみたいね」
「中国もです」
「鏡が有名な国だから」
「ですから」
 それでというのです。
「好きです、どちらの鏡もいいですね」
「そうね、西洋風の鏡もいいけれど」
「東洋の鏡もいいですね。それで」
 女王はさらに言いました。
「今はです」
「ええ、お寿司をね」
「いただいて下さい」
「そうさせてもらうわ」
「日本の食文化を」
 こうお話してでした、今は皆は女王と一緒にお寿司を楽しみます。その後は中国の服を着せてもらったりしまして。
 漢服、宮廷の皇后が着る服を着てです、オズマはうっとりとして言いました。
「こうした服もいいわね」
「そうね、それで貴女はね」
 ドロシーも漢服を着て言います。
「正装だと白ね」
「ええ、私はね」
 オズマは青いそれを着るドロシーに言いました。
「そうよ」
「白い絹に白いダイヤでね」
「飾ってもらってる服だけれど」
「いいわね」
「凄く気に入ったわ」
「何でもね」
 ドロシーはさらに言いました。
「旗抱もあるそうよ」
「あちらも中国の服ね」
「私達が今着ているのは明の頃の服で」
「旗抱は清ね」
「その頃の服でね」
 そうであってというのです。
「時代によってね」
「服は変わるから」
「中国もよ」
「そうなっているわね」
「私も着ていいなんて」
 ジュリアは桃色の漢服を着ています。
「嬉しいです」
「貴女も使節団の一員よ」
 オズマはにこりと笑って答えました。
「だからね」
「それで、ですか」
「こうした時はね」
「一緒にですか」
「そう、着ればいいのよ」
「そうですか」
「だからね」
 それでというのです。
「楽しんでね」
「わかりました」
「グリンダも着ているけれど」 
 ビリーナは赤い漢服の彼女の隣にいます。
「凄く似合ってるわ」
「そうなのね」
「あんたはどんな服でも似合うわね」
 こうも言うのでした。
「背が高くてスタイルがいいから」
「だからなの」
「オズマ達も似合うけれど」 
 どんな服でもというのです。
「あんたは尚更よ」
「似合っているのね」
「ええ、モデルさんみたいよ」
「そこまでかしら」
「私が言ってるのよ」
 胸を張ってです、ビリーナは言いました。
「だったらね」
「嘘じゃないわね」
「私は嘘は言わないわ」
 決してという口調での返事でした。
「誇りに賭けてね」
「貴女はそうね」
「それで言うのよ」
 グリンダに胸を張って言いました。
「何を着ても似合うのね」
「そうよ、今だってね」
「漢服もなのね」
「そして似合う色はね」
 それはといいますと。
「赤よ」
「カドリングの色ね」
「そう、あんたの国だし」
 このこともあってというのです。
「そのこともあってね」
「イメージね」
「それもあってよ」
「似合うのね」
「そうよ」
 まさにというのです。
「あんたに赤はね」
「一番似合うのね」
「だからね」
 それでというのです。
「楽しんでね」
「それじゃあね」
「そしてね」
 それにというのでした。
「私はね」
「お風呂で奇麗にしてきたわね」
「もうこれでね」
 ここでも胸を張って言いました。
「充分い」
「そうよね」
「僕もそうだよ」
 トトもお風呂に入った後です、毛はドライヤーで乾かされていてとても奇麗になっています。
「この通りね」
「私もよ。いいでしょ」
 エリカもお風呂上がりで毛はつやつやとしています。
「美人度がさらに上がってるわ」
「確かにね。私達は毛が服だから」
 それでとです、ビリーナはエリカに応えました。
「だからね」
「お風呂に入ってね」
「乾かしてブラッシングもしたら」
「もうよ」
 それでというのです。
「正装よ」
「そうなるのよね」
「うん、だからね」 
 トトも言います。
「今の僕達はね」
「とても奇麗になっているわ」
「本当にね」
「これでいいよ、さて夜もね」
 トトはとても奇麗な毛並みを嬉しく思いながら言いました。
「催しがあるんだよね」
「舞があるのよ」
 オズマがお話しました。
「次はね」
「舞っていうと」
「日本のね」
 この国のというのです。
「平安時代のね」
「それがあるんだ」
「そうよ」
 まさにというのです。
「夜はね」
「そうなんだ」
「そう、夕食は何でも中国のもので」 
 そうであってというのです。
「満漢全席でね」
「催しは日本の舞だね」
「そうだから」
 それでというのです。
「夜もね」
「楽しめるね」
「そうよ」
「それは嬉しいね、僕アジアも好きでね」 
 トトはとても嬉しそうに言いました。
「そうしたものを見られるならね」
「楽しみね」
「そうだよ」
 実際にというのです。
「それじゃあね」
「ええ、一緒にね」
「楽しもう」
「そうしましょう」
「それで女王から貰ったものだけれど」
 黒い漢服を着た魔法使いが言ってきました。
「鏡でね」
「ええ、その鏡がね」
「また立派なものだね」
「凄いものよ」 
 ドロシーが応えました。
「平安時代の日本のもので」
「かなり貴重なものだね」
「魔法の鏡で」
 そうであってというのです。
「照魔鏡よ」
「普通の鏡じゃないね」
「こんな貴重なものをって」
 そう言っていいまでのというのです。
「素晴らしいものよ」
「そうだね」
「その鏡も貰ったし」
「この国でもおもてなししてもらっているし」
「嬉しいわ」
「全くだね、この国の人達も喜んでくれているし」
 このこともあってというのです。
「凄くね」
「嬉しいわね」
「鏡の国に来てもね」 
 笑顔でお話します、そして夜のおもてなしを受けてそのうえで今日は鏡の国の王宮にお部屋を提供してもらって休みました。次の日は朝から鏡張りのお風呂に入ってそれから楽しい朝食となったのでした。








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