『新オズのグリンダ』
第四幕 ジグゾーパズルの国
一行は瀬戸物の国の後はジグゾーパズルの国に向かいました、タンクは今度は川の上を進んでいます。
その状況を見てです、ビリーナは透けて見える周りを眺めながら言いました。
「お水の上を進んでいるわね」
「ええ、確か水陸上用だとね」
エリカはタンクのキャタピラが水面を進んでいるのを見ながら応えました。
「車体を半分お水の中に入れて」
「それで進むのよね」
「そうなのよね」
「けれどこのタンクはね」
「水面を進んでいっているわ」
「お水の中に車体が入らないで」
「そうしてね」
「そうした風にも進めるよ」
魔法使いが笑顔で答えました。
「最初にお話した通りにね」
「そうなのね」
「そうも進めるのね」
「水中も進めて」
「水底も」
「そうよね」
「そうだよ、よかったらね」
皆が望むならというのです。
「そうして進めるけれど」
「それじゃあね」
「お願いするわ」
ビリーナとエリカが答えてでした。
他の皆も是非と言いました、こうしてタンクは水中に入ってそこを進んでからさらに下りてでした。
水底に着くとそこも進みます、トトはそのタンクの中で言いました。
「まさにオズの国の乗りものだね」
「ええ、ただ乗れるのじゃなくてね」
ドロシーが応えました。
「色々な場所を進めるわね」
「しかも中から景色を見られる」
「それも三百六十度ね」
「オズの国の魔法を使って」
「科学もね」
「錬金術や仙術だってあるし」
「色々な技術を使ってね」
そうしてというのです。
「開発されているから」
「こうしたものができるね」
「そうよ、色々な技術があったら」
それならというのです。
「素晴らしいものが出来るよ」
「その通りね」
「ただ魔法も科学もちゃんと学んで認めて」
グリンダがここでこう言いました。
「正しい方に使うことよ」
「大事なことはね」
オズマが応えました。
「そのことよ」
「外の世界では非科学的な人もいるわね」
「ええ、もう科学をね」
オズマはグリンダにまさにと答えました。
「全くよ」
「信じないで」
「それでね」
そうであってというのです。
「おかしなことをするのよ」
「そんな人がいるわね」
「魔法や他の技術もね」
そういったものもというのです。
「逆に非科学的と言ってね」
「否定するわね」
「そう、どちらも正反対な様で」
「そう見えてもね」
「実はね」
これがというのです。
「同じよ」
「そうよね」
「何でも頭から否定するなら」
「大きな間違いね」
「さもないと痛い目も見るわ」
「自分もね」
「そうなるわ」
こうお話します、そしてでした。
水底から周りの景色、泳いでいるガーや鯰を見てでした。ジュリアは言いました。
「水族館の中にいるみたいですね」
「そうですよね」
神宝がまさにと頷きました。
「それも移動する」
「水底のものも見えて」
ナターシャはそちらを見ています。
「素敵ですね」
「こんなことが出来るタンクなんてないです」
ジョージはきっぱりと言いました。
「外の世界には」
「しかも花火が撃てるんですから」
このことはカルロスが言いました。
「尚更素敵ですね」
「こうした水陸両用もあるんですね」
恵梨香は頷きつつ言いました。
「外の世界にはないですけれど」
「うん、水陸両用車は好きな人は好きでね」
魔法使いは神宝達五人にもお話しました。
「外の世界でも人気があるね」
「はい、あります」
「面白いですから」
「軍隊でも使っていまして」
「そうしたタンクもあります」
「自動車だけでなくて」
「そのお話を聞いてね」
そうしてというのです。
「それならオズの国でもと思って」
「開発されたんですね」
「このタンクを」
「水陸両用の」
「そして開発されるなら」
「それならですね」
「オズの国の魔法や科学を使って」
そのうえでというのです。
「開発、製造したよ」
「科学も魔法も信じてですね」
ジュリアが言ってきました。
「そしてよく学ばれて」
「そうしてね」
「九十九パーセントの努力をされて」
「そしてね」
そのうえでというのです。
「閃きも貰って」
「造られましたね」
「そうなんだ、そして」
そうであってというのです。
「出来たよ、飛行船やヘリも同じでね」
「このタンクもですね」
「そうだよ、潜水艦はね」
こちらはといいますと。
「実はね」
「実は?」
「キャプテンさんと色々お話をして」
キャプテン=ビルともというのです。
「そうして造ったんだ」
「あの人は船乗りなので」
「そう、だからね」
それでというのです。
「そうしたんだ」
「そうでしたか」
「殆ど共同開発だよ」
そう言っていいまでだというのです。
「潜水艦はね」
「キャプテンさんがそこまで」
「そうだったんだ、そして開発して」
そうしてというのです。
「よかったよ」
「それは何よりですね」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「これからもね」
ジュリアに笑顔でお話しました。
「こうしたものは開発してね」
「造っていきたいですね」
「常に何かを造っていく」
「素晴らしいものを」
「そうしていきたいね」
「魔法も科学も用いて」
そうしてというのです。
「そうですね」
「そう、そのうえでね」
「それは素晴らしいことですね」
「だからこそやっていくよ」
こう言うのでした。
タンクはさらに進んでいきます、そしてでした。
ジグゾーパズルの国に着きました、するとグリンダは神宝達五人にお話しました。
「貴方達が知っている通りにね」
「はい、この国の人達はですね」
「身体がジグゾーパズルで出来ていて」
「それで、ですね」
「何かあるとあちこち外れて」
「また組み立てる必要がありますね」
「そうした人達で」
そうであってというのです。
「他の生きものや建物もね」
「同じですね」
「ジグゾーパズルですね」
「そうなっていて」
「外れて組み立てる」
「そうですよね」
「そうよ、オズの国はお伽の国だから」
そうであるからだというのです。
「色々な人がいてね」
「それで、ですね」
「そうした人達もいますね」
「お伽の国だからこそ」
「瀬戸物の国があって」
「ジグゾーパズルの国も」
「ええ、そうしたことを受け入れていきましょう」
こう言ってでした。
グリンダはレモンティー、カドリングの赤いレモンを搾ってそのお汁を入れたそれを飲みつつ言いました。
「レモンティーを飲んで他のね」
「ミルクティーですね」
「その紅茶も飲むことですね」
「そちらのお茶も」
「そして他の紅茶も」
「そうするといいですね」
「そういうことなのよ」
こうもお話しました、そしてでした。
オズマもレモンティーを出して飲んでそのうえで言いました。
「確かに美味しいわ」
「レモンティーもですね」
「そしてミルクティーもで」
神宝にお話します。
「ストレートティーもね」
「美味しいでしね」
「そしてね」
オズマはさらに言いました、
「ブランデーを入れてもね」
「美味しいですね」
「とてもね」
こちらの紅茶もというのです。
「お砂糖を入れても入れなくてもね」
「どちらでも」
「アメリカでは紅茶はね」
こちらはといいますと。
「レモンティーよね」
「コーヒーを飲む人が多くて」
「それで紅茶はね」
「レモンティーですね」
「コーヒーもレモンティーも美味しくてね」
「他の紅茶もですね」
「そう、だからね」
それでというのです。
「色々受け入れてね」
「飲むことで」
「ジグゾーパズルの国もね」
「そうした人達でそうした国で」
「わかって認めてね」
「そうさせてもらいます」
神宝も他の子達も頷いてでした。
そのうえでジグゾーパズルの国に入りました、見れば本当にです。
人も他の生きものも建物も全てがジグゾーパズルで自動車や草木もでした。全てが組み立てられています。
そのパズルの道を進みつつです、トトは言いました。
「何度来ても面白いね」
「貴方ジグゾーパズル好きだしね」
「オズの国に来てね」
ドロシーに応えて言います。
「そうしてからね」
「好きになったわね」
「出来る様になってね」
それでというのです。
「好きになったよ」
「そうよね」
「ボードゲームも好きになって」
トトはさらに言います。
「ドミノだってね」
「好きになってね」
「遊ぶ様になったよ」
「そうよね」
「色々遊ぶ様になったよ、僕も」
こうも言うトトでした。
「今はね」
「そうなったわね」
「だからね」
「この国は面白い国ね」
「僕から見てね、ここに来たら」
そうしたらというのです。
「ジグゾーパズルをしたくなるよ」
「じゃあ後で一緒にしましょう」
「いいね」
トトは自分のすぐ隣にいて一緒に歩いているドロシーににこりと笑って答えました、一行は青い軍服とブーツのジグゾーパズルの兵隊さんに案内されてです。
国の大通りを進んでいき王宮に入りました、そこで青い豪奢な服を着た少し年配の王様やはりジグゾーパズルの身体の人とお会いしました。
そしてです、オズマがお話をしましたが王様は最後に笑顔で言いました。
「我が国の贈りものですが」
「何かしら」
「いつも素晴らしいものを頂いていますが」
当然オズマも訪問する国々にいつも贈りものをしています、お互いにそうすることがオズの国でも常識です。
「今回は見事な杖でしたね」
「エメラルドと銀のね」
「それと比べたら粗末ですが」
それでもというのです。
「贈らせてもらいます」
「それはどういったものかしら」
「こちらです」
この言葉と共に出されたのは。
とても大きな、縦も横も何メートルもあるジグゾーパズルでした、そこにはオズマにドロシー、かかしに樵にとです。
オズの国の名士の人達が揃っています、エメラルドの都の宮殿の玉座の間で皆笑顔で立っています。
そのパズルを見てです、オズマはうっとりとして言いました。
「素晴らしいわ」
「そう言って頂けますか」
「私達の絵をなのね」
「はい、そちらをです」
「ジグゾーパズルにしたのね」
「そうです」
まさにというのです。
「このパズルは」
「そうなのね」
「それでこのパズルをばらばらにしますので」
「皆でなのね」
「楽しまれて下さい」
「それじゃあね」
「パーツは十万はありますので」
だからだというのです。
「凄くです」
「楽しめるわね」
「それも長く、そして」
王様はさらに言いました。
「完成した時はです」
「嬉しいわね」
「ジグゾーパズルは組み立てる時も楽しくて」
「完成させるとね」
「このうえなく嬉しいですね」
「ええ、本当にね」
オズマは笑顔で答えました。
「ジグゾーパズルはね」
「ですから」
そうしたものだからだというのです。
「是非です」
「楽しませてもらうわ」
「そうされて下さい」
「是非ね」
オズマはにこりと笑って応えました、そしてです。
そのパズルは一旦バラバラにされてでした、オズマ達にプレゼントをされてそのうえでなのでした。
皆でタンクに持って帰りました、オズマはそのパーツ達を見て言いました。
「さて、訪問が終わってね」
「そうしてよね」
「ええ、全部が終わったらね」
グリンダにお話しました。
「皆で力を合わせてね」
「組み立てるのね」
「そうしましょう」
「いいわね」
グリンダは笑顔で頷きました。
「これだけパーツがあると」
「皆でやってもよ」
「かなり時間がかかって」
「その分楽しめるわね」
「そして完成した時は」
どうかといいますと。
「これ以上はないまでにね」
「嬉しいわね」
「そうなるわ」
「それじゃあ今は置いておきましょう」
「皆で楽しみましょう」
「そういえばね」
ここでビリーナが神宝達五人に言いました。
「あんた達色々遊ぶけれど」
「ジグゾーパズルも好きだよ」
「外の世界でもしているわ」
「皆でね」
「そしてこのパズルも楽しみよ」
「私達が参加させてもらえたら」
「勿論あんた達もよ」
ビリーナはきっぱりと言いました。
「ちゃんとね」
「参加してね」
オズマも言います。
「宜しくね」
「そうさせてもらえますね」
「それは嬉しいです」
「これだけのものを組み立てるとなると」
「どれだけ楽しいか」
「今からわくわくします」
「そう、いい頭の体操になるのよ」
ビリーナはにこりと笑ってこうも言いました。
「ボードゲームといいね」
「ジグゾーパズルもね」
「このパーツにはこのパーツとか」
「絵の欠片にパーツの形も見て」
「そして一つずつ合わせていく」
「それがいいのよ」
「そう、私も大好きでよくやるわ」
「あんた頭使うこと得意だしね」
エリカはビリーナに言いました。
「そうだしね」
「そう、それでね」
「ジグゾーパズルもよくやるわね」
「そうなのよ」
「ビリーナは何か当てるのも得意で」
ドロシーは微笑んで言いました。
「最初にノーム王と会った時も」
「活躍してよね」
「皆を助けてくれて」
「ノーム王をやっつけたわね」
「そうだったのよ」
「そうよね」
「頭脳派なのよ」
ビリーナはというのです。
「これがね」
「それでジグゾーパズルも得意ってことね」
「他のパズルもよ」
ビリーナは胸を張って言いました。
「得意よ」
「そうなのね」
「だからね」
それでというのです。
「パズルなら任せてね」
「解いてくれるのね」
「そうよ、迷路だってね」
こちらもというのです。
「得意よ」
「解くのが」
「何かとね、ただね」
ここでビリーナはこんなことを言いました。
「私でも解けない場合があるわよ」
「パズルでも迷路でもなの」
「そう、私も万能じゃないからね」
ドロシーにお話しました。
「そうしたものもあるわ」
「そうなのね」
「そのことは言っておくわ」
「解けない場合もあるのね」
「そしてね」
さらに言いました。
「わからないこともね」
「あるのね」
「そうよ、絶対じゃないわよ」
「得意でもなのね」
「ええ、どんなジグゾーパズルもすぐに完成させられたら」
それならというのです。
「もう神様よ」
「ジグゾーパズルの神様ね」
「そうよ」
まさにというのです。
「そうだったらね」
「迷路でもよね」
「何でもね」
「すぐに絶対に出来たら」
「神様よ、そのことは言っておくわ」
「わかったわ、得意と絶対は違うわね」
「ええ、そしてね」
さらにです、ビリーナは言いました。
「ジグゾーパズルは都に帰って」
「それからよね」
「解きましょう」
「皆でね」
ドロシーはにこりと笑って応えました、皆はそのジグゾーパズルを贈られてとても喜びました。そうしてです。
国を挙げての歓待、パズルを組み立てるショーや音楽祭にライブ、そして他にも何かと素敵な催しを見せてもらいました、そして三時になりますと。
皆は国から出てそのすぐ傍で敷きものを敷いてティータイムとなりましたが。
「この国の人達も食べないわね」
「ええ、飲むこともね」
グリンダはエリカに答えました。
「ないわ」
「そうよね」
「ジグゾーパズルの身体だから」
そうであるからだというのです。
「それでよ」
「そうよね」
「そしてね」
さらにお話します。
「寝ることも休むこともね」
「しないわね」
「だから私達はね」
「ティータイムはなのね」
「一旦国から出て」
そうしてというのです。
「そのうえでね」
「楽しんでいるのね」
「そうよ」
お茶を飲みつつ言います。
「こうしてね」
「そういうことね」
「それで今回はね」
トトはこう言いました。
「中華風だね」
「そうしたの」
グリンダはトトにも答えました、見れば中国茶にです。
上段には桃饅頭、中段にはごま団子、下段には杏仁豆腐があります。まさに中国のティーセットです。
「瀬戸物の国で赤絵をいただいたでしょ」
「中国風のね」
「そしてジグゾーパズルの国を見たら」
そうしたらというのです。
「チャイナタウンもあったでしょ」
「あったね」
トトはまさにと答えました。
「そういえば」
「チャイナタウンは色々な街にあるからね」
魔法使いも言いました。
「オズの国には」
「外の世界でもそうなんです」
神宝が桃饅頭を食べつつ言いました。
「チャイナタウンは世界中にあります」
「色々な国にありまして」
恵梨香は杏仁豆腐を食べています。
「観光地になっています」
「楽しい場所ですよね」
ジョージは桃饅頭を手にしています。
「チャイナタウンって」
「中国系の人がいますと」
カルロスはごま団子を食べつつ言いました。
「必ずと言っていい位にありますね」
「それでオズの国でもですね」
ナターシャは杏仁豆腐を食べながらお話しました。
「あちこちにありますね」
「そうだよ、オズの国の各地にあってね」
魔法使いは神宝達五人にお茶を飲みながらお話しました。
「この国にもだよ」
「あるんですね」
「そういうことですね」
「中国系の人達がいて」
「チャイナタウンがあって」
「それで今回は」
「グリンダは中国のものにしてくれたんだよ」
まさにというのです。
「ティーセットをね」
「中国はお茶の国だから」
オズマは熱いお茶を飲んでにこりとしています。
「とてもいいわね」
「そうですね」
ジュリアが応えました。
「中国はです」
「ええ、まさにね」
「お茶の国でして」
「それでね」
そうであってというのです。
「お茶が美味しくてお菓子もですね」
「美味しいのよ」
「そうですね」
「今回グリンダが出してくれたお菓子達もそうでね」
「他のお菓子もですね」
「美味しいのよ」
「お茶にも合って」
「そうよ」
まさにというのです。
「だから今回はね」
「中国のティーセットを楽しむことですね」
「皆でね」
「そういえば」
ここで神宝はふと気付いて言いました。
「今回は皆食べる人ですね」
「そうね」
グリンダが応えました。
「言われてみれば」
「そうですね」
「食べる必要がない人もいるのよね」
「オズの国は」
「そう、そしてね」
グリンダは神宝にさらにお話しました。
「ジグゾーパズルの国でもね」
「同じですね」
「そうよ」
まさにというのです。
「食べたり飲んだりする必要がないのよ」
「そうした身体ということですね」
「寝ることも休むこともね」
「必要ないですね」
「そうした人達がいないだけよ」
「ただそれだけですね」
「そうよ、瀬戸物の国でもお話したけれど」
それでもというのです。
「そうした人達もいる」
「個性ですね」
「そのことをね」
「覚えておくことですね」
「そうしてね」
「わかりました」
それならとです、神宝も他の子達も頷きました。そしてそれぞれ言いました。
「身体はそれぞれですね」
「その人の」
「そしてそれが個性ですね」
「それだけのことですね」
「食べることがなくても」
「そうよ、どんな身体でもね」
それでもというのです。
「それは個性よ」
「皆キャプテンさんは大好きだね」
魔法使いは五人に尋ねました。
「そうだね」
「はい、大好きです」
「とてもいい人ですよね」
「僕達にも優しくて」
「いつも笑顔で」
「気さくな人ですね」
「けれどかつてはキャプテンを馬鹿にしていた人もいたと思うよ」
そうだったというのです。
「彼は片足がないからね」
「だからですか」
「片足だからですか」
「キャプテンさんを馬鹿にしていたんですか」
「そんなことで」
「酷いですね」
「そんな人もいるからね」
真帆筒会は悲しいお顔で言いました。
「外の世界にはね」
「身体が何処か違うだけで」
「自分とは」
「それだけで馬鹿にする」
「そんな人確かにいますね」
「外の世界ですと」
「そうだね、身体の違いなんてね」
それはといいますと。
「実は何でもないことだよ」
「そうなのよね」
ドロシーも言いました。
「私カンザスにずっといてね」
「それでだね」
「殆ど人に会わなくて」
そうであってというのです。
「白人以外の人はね」
「会ったことがなかったね」
「ずっとね」
そうだったというのです。
「そうだったよ」
「そうだったわね」
「けれどね」
それがというのです。
「変わったのはね」
「オズの国に来てからだね」
「この国は白人どころかね」
「色々な人達がいるね」
「そうした国だから」
「実際ドロシーは色々な国の人に会ったね」
「ええ」
その通りだというのです。
「私もね」
「それで知ったね」
「そうだったわ、そしてオズの国の人間の人達も」
この人達もというのです。
「アジア系の人もいて」
「アフリカ系の人もね」
「混血している人達も」
「色々な人がいるね」
「ラテン系の人達もね」
「そうした人達にも出会って」
「そしてね」
そうなってというのです。
「本当にね」
「わかったね」
「色々な人がいて」
「身体の違いは個性だね」
「そのことがね。この国は本当に色々な人がいて」
そうであってというのです。
「色々な生きものもいるから」
「お伽の国だからね」
「そう、そしてね」
そうであってというのです。
「他にもね」
「あるね」
「ええ、神様だって色々おられるし」
「世界中の神様が」
「そのこともあるし」
「身体の違いはね」
「個性であってね」
その人のというのです。
「受け入れるものよ」
「私もそう思うよ」
魔法使いは杏仁豆腐を食べながらお茶を飲んでいるドロシーに言いました。
「私も言われることがあったからね」
「魔法使いさんにしても」
「小柄で髪の毛がないからね」
「ああ、そうしたことで」
「人は何でもないことをね」
「馬鹿にしたりするわね」
「外の世界では個性というものがまだよくわかっていないから」
だからだというのです。
「そうなっているよ、けれど大事なものは」
「心よね」
「まず個性がない人がいないし」
そうであってというのです。
「心こそがね」
「見るべきものよね」
「神宝達にキャプテンのお話をしたけれど」
「とてもいい人よね」
ドロシーが見てもです。
「一緒にいて楽しいわ」
「そうだね、心を見るとね」
キャプテンにしてもです。
「素敵な人だよ」
「本当に問題は心ね」
「そうだよ、だから以前のノーム王はね」
「ラゲドー氏は」
「心があまりにも悪かったから」
だからだというのです。
「よくなかったんだ」
「そうよね」
「本当に心だよ」
魔法使いは言いました。
「大事なのはね」
「身体の違いじゃないわね」
「そのことをわからないとね」
そうでないと、というのです。
「駄目だよ」
「本当にその通りね」
ドロシーはまさにと頷きました、ティータイムはこうしたお話をしてそのうえで楽しんだのでした。
その後は皆でジグゾーパズルの国に戻って歓待を受けました、そうして楽しい時間を過ごして出発となりましたが。
タンクに乗り込んでそのタンクが動きはじめてからです、神宝達五人はお話しました。
「こうして色々な国を巡って」
「楽しいね」
「そして勉強になる」
「楽しい勉強ね」
「そうだよね」
「そう、ここで言う勉強は学問でね」
グリンダが五人にお話しました。
「学問は楽しむものよ」
「そうですよね」
「ムシノスケ教授も言っておられますね」
「学問は楽しいものだって」
「楽しまないと学問じゃないって」
「言っておられますね」
「そう、本当にね」
実際にというのです。
「学問はね」
「楽しむもので」
「それで、ですね」
「今の私達もですね」
「各国を巡って色々なものを見て」
「楽しく学んでいるんですね」
「オズの国の地理や自然、人をね」
そうしたものをというのです。
「学んでいるのよ」
「旅行や冒険もまた学問ですね」
「それでドロシーさんも学ばれましたね」
「オズの国の各地を冒険して」
「そうして見て回って」
「学ばれましたね」
「そうしてきているからね」
だからだというのです。
「ドロシーはオズの国では大学者でもあるのよ」
「私はそう言われると意外だけれど」
それでもとです、ドロシーも言ってきました。
「確かにね」
「色々知っているでしょ」
「ええ」
グリンダにそうだと答えました。
「オズの国のことをね」
「いつも冒険してね」
「オズの国の各地を巡ってね」
「色々なものを見てね」
「色々な人とお話をしてね」
そうしてというのです。
「よく知っているわ」
「そう、それがね」
「私の冒険が学問ね」
「そうなのよ」
まさにというのです。
「冒険であってね」
「学問でもあるのね」
「冒険や旅行はね」
そうしたものはというのです。
「ただ冒険や旅行であるだけでなくて」
「学問でもある」
「そうなのよ」
これがというのです。
「そしてドロシーはね」
「学者でもあるのね」
「それもかなりのね」
「大学者と言うまでの」
「冒険を楽しんでいるでしょ」
「心からね」
ドロシーはその通りだと答えました。
「いつもそうしているわ」
「今もでしょ」
「そうさせてもらっているわ」
「それこそがね」
まさにというのです。
「学問でね」
「私は学者でもあるのね」
「そういうことよ」
「成程ね、しかしね」
それでもとです、ドロシーは言いました。
「学問というと私はまだね」
「大層なイメージがあるのね」
「ええ」
グリンダにまさにと答えました、タンクは今も周りの景色を皆に見せています。カドリングの赤い草原と森が見えます。
「私ずっとカンザスにいて」
「学校にも通っていなかったわね」
「読み書きはおじさんおばさんに教えてもらって」
そうしてというのです。
「聖書を読む位だったわ」
「そうだったから」
「それでね」
そうであってというのです。
「本当にね」
「学問については」
「無縁だったわ、学校教育もね」
「縁がなくて」
「そうであってね」
「今もそう思うのね」
「そうなの」
グリンダにお話しました。
「私学校とか学問には全く縁がなかったから」
「今は色々な本を読んでいるわね」
オズマが言ってきました。
「そうよね」
「ええ、冒険の間も夜寝る前とかにね」
「そうよね」
「漫画も読んでね」
そうしてというのです。
「小説もね」
「読んでいるわね」
「そうしているわ」
「小説も文学で漫画だってね」
「学問になるの」
「ええ、小説は文学という学問で」
そう分類されてというのです。
「漫画だってね。色々なものを知ることが出来るでしょ」
「思わぬ知識が出たりするわね」
「人も描かれていてね」
「学べるわ」
「何でも外の世界だとね」
オズマはドロシーに言いました。
「いい漫画はおかしな思想書よりずっと学問になるそうよ」
「そうなのね」
「そこまでよ」
「漫画からは学べるのね」
「そうよ」
実際にというのです。
「これがね」
「そこまでのものね」
「だから漫画や小説を読んでも」
「学問ね」
「あらゆるものがね」
それこそというのです。
「学問なのよ」
「この世にある」
「そしてね」
そうであってというのです。
「ドロシーは冒険や旅行でね」
「学問をしているのね」
「難しい本を読んで」
そうしてというのです。
「難しく考えることじゃないのよ」
「楽しくあちこち行ったり読んだりする」
「そうよ、難しいものはね」
そうしたものはといいますと。
「別にね」
「学問じゃないのね」
「そこを勘違いすると」
そうなると、というのです。
「駄目なのよ」
「学問は難しいものじゃない」
「そうよ」
まさにというのです。
「これがね」
「成程ね」
「だからこれからは」
オズマは言いました。
「学問を難しいものだって考えて」
「拒まないことね」
「そうすることよ」
「それが大事ね」
「それは先入観というもので」
「よくない先入観ね」
「そうなるの」
こうお話しました。
「この場合はね」
「そうなのね」
「まずはね」
「やってみることね」
「そう、何でもね」
「先入観なしで」
「そうしてね」
そのうえでというのです。
「いいと思ったらね」
「やってみることね」
「だから学問もね」
「難しいって思わない」
「そんな先入観は捨てて」
そうしてというのです。
「そのうえでね」
「学ぶことね」
「楽しんでね」
「そうすることが大事ね」
「そう、そしてね」
それでというのです。
「色々知ることよ」
「楽しみながら」
「もうドロシーはそうしているから」
冒険や旅行を経てというのです。
「だからね」
「これからもよね」
「そうしていってね」
「わかったわ」
ドロシーはオズマの言葉に頷きました、そうしてそのうえで次の場所に向かうのでした。タンクの旅は続きます。