『新オズのグリンダ』
第三幕 瀬戸物の国に来て
タンクに乗って進みつつです、グリンダ達は最初の訪問国に向かいます。その訪問国はといいますと。
「瀬戸物の国ね」
「ええ、あの国を訪問するわ」
オズマはグリンダに一緒にボードゲームをしながら答えました、他の皆も一緒にボードを囲んで楽しんでいます。
「そうするわ」
「そうなのね」
「あの国に行くのも久し振りね」
ドロシーはにこりと笑って言いました。
「思えば」
「そうよね」
「最初行った時はね」
ドロシーはその時のことを思い出して言いました。
「瀬戸物だって知らなくて」
「あの国の人達の身体がね」
「それで、だったわね」
「ええ、誤って壊してしまったわ」
ドロシーは反省して言いました。
「本当にね」
「そうだったわね」
「まずはね」
ドロシーは言葉を続けました。
「何といってもね」
「その国を知ることよ」
「その通りよ、何でもね」
「まずは知ることよ」
「今はよくわかるわ」
「それでドロシーも今は」
「ええ、あの国のことをね」
まさにというのです。
「よく知ってるわ」
「そうよね」
「そしてね」
それにというのです。
「他の国のこともね」
「知っているわね」
「そうなっているわ、オズの国のあちこちを巡ってね」
「そのうえでね」
「オズの国の王女になって」
それからというのです。
「私よく冒険に出てるでしょ」
「そしてオズの国の各地を巡ってるわね」
「そうしていきているから」
だからだというのです。
「オズの国の色々なことをね」
「知っているわね」
「オズの国の地理や歴史の本を読んで」
そうしてというのです。
「そのうえでね」
「そうしているわね」
「だからね」
それでというのです。
「瀬戸物の国のことを知っていて」
「他の国のこともね」
「知っているわ」
「そうなったわね」
「今はね」
「いいことね、知ることはね」
オズマは自分が持っているボードゲームのカードを確認しつつ言いました。
「大きな力よ」
「その通りね」
「何でもね」
「まずは知ることよね」
「何も知らないことは」
そうであることはといいますと。
「物凄く弱くてね」
「危ないことよね」
「こんな危ないことはないわ」
オズマは断言しました。
「知らないことはね」
「知らないで何かをすると」
魔法使いも言ってきました。
「失敗するよ」
「そうだよね」
トトは魔法使いのその言葉に頷きました。
「その時は」
「手品もタネを知らないとね」
「出来ないね」
「そうだよ、若し人と会って」
「その人を知らないと」
「失敗もするね」
「そうだよね」
「若しもよ」
ビリーナは強い声で言いました。
「その人が前のノーム王みたいだったらどうなのよ」
「ラゲドーさんね」
エリカが応えました。
「悪い心で一杯だった時の」
「そうよ、騙されたり利用されて」
そうなりというのです。
「そしてね」
「馬鹿を見るわね」
「そうなるわよ、外の世界にはね」
「根っからの悪人もいるわね」
「オズの国にだっていたのよ」
かつてはというのです。
「前のノーム王もウグもね」
「妖魔達だってね」
「そもそもです」
ジュリアも言ってきました。
「東の魔女と西の魔女がです」
「あっ、オズの国の人達を苦しめていましたね」
神宝が言いました。
「そうでしたね」
「二人共ドロシーさんがやっつけましたけれど」
ジョージも言います。
「物凄く悪いことをしていましたね」
「ギリキンの巨人の夫婦だって」
カルロスはこの人達のことを思い出しました。
「悪い人達でした」
「オズの国にも悪い人達がいましたし」
ナターシャは真剣なお顔で言いました。
「人もよく知らないと駄目ですね」
「若し悪い人達に騙されたら」
恵梨香はそう考えるだけでぞっとしました。
「大変なことになりますね」
「まず憎しみを煽る人は絶対に駄目よ」
グリンダは五人に言いました。
「こうした人は人を攻撃させてね」
「ええ、実は自分がよ」
オズマが応えました。
「利益を得ようとしているのよ」
「そうよね」
「よく見たらね」
「本当にね」
「それにお話をよく聞いて内容を確かめたら」
そうすればというのです。
「嘘ばかりだとね」
「絶対に信じてはいけないわ」
「息をする様に嘘を吐く人は」
「絶対に悪人よ」
「その人が若し大金持ちでも偉い人でも」
「信じてはいけないわ」
「憎しみを煽る嘘ばかり言う人は」
オズマはさらに言いました。
「間違いなく悪人で」
「騙されないことよ」
「そうした人はもう自分のことしか考えなくて」
そうであってというので。
「恥も外聞もなくて思いやりもなくてとんでもなく下品よ」
「ええ、その通りよ」
「だから騙されたら」
その時はといいますと。
「自分がね」
「泣くことになるわね」
「最後はね」
「だから知ることね」
「このことが大きいわ」
「悪人についても」
こう言うのでした。
「そうなのよ」
「知ることは最大の武器よ」
「本当にね」
「これ以上の武器はない位よ」
「どんなことでもね」
こうお話をしてでした。
皆で瀬戸物の国に向かいます、そしてそこに着くと小人の国で国の人達も建物も他のものも全て陶器でした。
それです、神宝達五人は言いました。
「慎重に歩かないとね」
「そして動かないとね」
「壊してしまうわ」
「ちょっとしたことでね」
「そうなるわ」
「そう、だからね」
それでと言うグリンダでした。
「気を付けて歩いて動いてね」
「そうします」
「本当に危ないですからね」
「壊したらいけないですから」
「気を付けます」
「それも心から」
「そうしてくれると嬉しいよ」
皆を案内している陶器の身体の兵隊さんも言ってきました、紅い軍服とズボンに黒い帽子とブーツを身に着けています、見れは口髭まで陶器です。
「私達もね」
「そうよね」
「はい、修理は出来ますが」
兵隊さんはグリンダに答えました。
「しかしです」
「壊れることは事実だからね」
「それで、です」
その為にというのです。
「我々もです」
「私達が貴方達のことを知っていてくれて」
「注意してくれるなら」
それならというのです。
「本当にです」
「有り難いわね」
「全く以て」
「そうよね」
「それではです」
兵隊さんはさらに言いました。
「私達の王にもです」
「お会いさせてもらうわね」
「その様に」
小人の国、皆一行の膝の半分位の大きさしかないので本当に小さいです。その国の中を進んで、でした。
皆で王宮の前まで案内してもらいました、するとそこには立派な紅と白のローブとマントを羽織り金色に輝く王冠を被った若い王様が王様の杖を持って立っていまして。
一行特にその先頭にいるオズマに頭を下げました、そのうえで言うのでした。
「ようこそ瀬戸物の国に」
「ええ、お邪魔させてもらったわ」
「来て頂いて何よりです」
「迎えてくれて嬉しいわ」
「それでその子達がですね」
王様は五人を見て言いました。
「外の世界から来ている」
「オズの名誉市民の子達よ」
「左様ですね。我が国に来てくれたのははじめてですね」
「はい」
神宝が答えました。
「僕達は」
「そうですね」
「実ははじめてですね」
「ですが知ってはいますし」
「何かと注意しています」
「お願いするよ、我々は陶器の身体だからね」
だからだというのです。
「本当にね」
「何かとですね」
「注意が必要ですね」
「ちょっとしたことで壊れるので」
「割れるので」
「それで、ですね」
「そうだよ、ただ昔と比べてね」
王様はこうも言いました。
「壊れにくくなったね」
「そうなったわね、オズの国の魔法で」
「はい、そうなりました」
王様はグリンダに答えました。
「有り難いことに」
「よかったわね」
「陶器やガラスはですね」
「とても壊れやすいから」
「私がそれはよくないと思って」
オズマが言ってきました。
「それでね」
「魔法を使われて」
「そう、オズの国の陶器やガラスはね」
「以前に比べてかなりですね」
「割れにくくしたわ」
「そうですね」
「陶器は食器にも使われますが」
ジュリアが言ってきました。
「王宮では違いますね」
「エメラルドの都のね」
「グリンダさんの宮殿でも」
「陶器じゃなくてね」
こちらを使わないでというのです。
「銀を使っているわね」
「左様ですね」
「私達はね」
「はい、そこは違いますね」
「外の世界でもそうなのよね」
「欧州や中国では」
「王様や貴族の人達はね」
そうした人達はというのです。
「銀の食器を使っているわ」
「そうなっています」
「だから割れないわね」
「そうですね、しかし」
「しかし?」
「面白いことに」
こう前置きしてです、ジュリアは言いました。
「日本では銀の食器はないそうですね」
「あちらはね」
「陶器か木の食器では」
「漆塗りね」
「あちらになりますね」
「そうなのよね」
「漆塗りのことは聞いていますが」
王様がここで再び言ってきました。
「しかしです」
「しかし?」
「はい、我々とはまた違いますね」
「そう、木に塗るからね」
「その漆を」
「オズの国でも好きな人が多いわ」
そうだというのです。
「日本に縁のある人達はね」
「武士や忍者といった」
「ああした人達はね」
「そうなのですね、我々も知らないといけないですね」
王様はこうも言いました。
「色々なことを」
「オズの国そして世の中のね」
「あらゆることを、いいことを聞かせてもらいました」
「そうなのね」
「はい、ですから」
それでというのです。
「今回来て頂き嬉しいです」
「そう言ってくれるのね」
「ではごゆっくり」
オズマ達に自分達の国にいて欲しいと言いました、そして皆もその言葉を受けて国のあちこちを見ますが。
皆はお昼は国の外の草原の上にシートを敷いてその上に座って食べました、それは何故かといいますと。
「陶器の身体ですから」
「あの国の人達は何も食べないわ」
グリンダが答えます、この人が食べものや飲みものを出すテーブルかけの用意をしています。今から出すのです。
「陶器の身体もね」
「かかしさんや樵さんと同じで」
「それでね」
そうであってというのです。
「本当にね」
「何も食べる必要がないですね」
「だからね」
それでというのです。
「そうしたものはなくて」
「田畑も牧場も」
「お店もね」
「食堂やレストランもですね」
「パン屋さんもないわ」
「喫茶店もで」
「そして宮殿でもね」
こちらでもというのです。
「食べるものはないのよ」
「飲むものも」
「そうなのよ」
こうお話しました。
「だからね」
「僕達はお食事はですね」
「ここで食べるのよ」
「そうですね」
「それで今日のお昼は」
そのメニューはといいますと。
「中華にしましょう」
「そちらですね」
「そうね、麺類はどうかしら」
神宝ににこりと笑って言いました。
「そちらは」
「麺類ですね」
「そう、それぞれ食べたい麺を言ってね」
そうしてというのです。
「テーブルかけから出して」
「そのうえで」
「食べましょう」
「それじゃあ」
「中国は麺料理が多いけれど」
それでもというのです。
「どの麺も美味しいから」
「好きなものを言って出せばいいですね」
「そうすればいいわ、では皆言ってね」
「わかりました」
神宝も他の皆も笑顔で頷きます、そうしてでした。
それぞれ食べたい中国の麺料理を言って出します、そのうえで食べますが。
オズマは醤油の味のスープの麺を食べて塩味のスープの麺を食べているドロシーに笑顔で言いました。
「美味しいわね」
「そうよね」
ドロシーは笑顔で応えました。
「とても」
「麺っていいわね」
「時々食べたくなるわね」
「ええ」
そうだというのです。
「こうしてね」
「だから今日のお昼はね」
「麺でよかったわ」
「そうよね、麺の太さや形だけれど」
オズマはこちらのお話もしました。
「それぞれで」
「味わいがあるわね」
「そうよね」
「こうした平たい麺もいいよ」
魔法使いが食べているのはそうした麺でした。
「パスタのフェットチーネみたいなね」
「そちらも美味しいわね」
「そうだね」
「中国にはそうした麺もあるわね」
「そして美味しいよ」
「平たいなら平たいでね」
「ドロシーが食べている麺は細くて」
そうなっていてです。
「縮れているね」
「ええ、こちらもね」
「美味しいね」
「とてもね」
「このスープもね」
魔法使いは脂の多い自分が食べている麺のスープも見ました。
「いいよ」
「その麺に合っているのね」
「そうであってね」
それでというのです。
「美味しいよ」
「スープも大事よね」
「麺料理にはね」
「その二つよね」
「うん、それでね」
魔法使いはさらに言います。
「具はね」
「魔法使いさんのは豚肉ね」
「ドロシーは鶏肉だね」
「この具も美味しいと」
「尚更嬉しいわ」
「全くだね」
笑顔でお話します。
「具も大事だよね」
「麺はね」
「そこはあれだね」
「あれっていうと」
「パスタと同じだよ」
こちらと、というのです。
「このことはね」
「あっ、パスタね」
「そう、パスタもだよね」
「ええ、茹で具合も大事で」
それでとです、ドロシーは魔法使いに答えました。
「アルデンテにして」
「そしてだね」
「ソースもね」
「大事だよ」
「そちらも美味しいと」
「尚更いいね」
「勿論そのままでも食べられるわ」
こう言いました。
「オリーブオイルだけをかけて」
「所謂素だね」
「麺でもね、けれどね」
「やっぱりソースがあるとね」
「いいよね」
「だから色々なソースがあるのよ」
スパゲティにはというのです。
「麺類の具と同じでね」
「そうだね」
「そう、私も好きだから」
ここで、です。グリンダも言ってきました。
「パスタは」
「それでよく食べるのね」
「色々なパスタを食べるわ」
「スパゲティもマカロニも」
「フェットチーネとかもね」
「色々食べているのね」
「ラザニアも好きよ」
こうドロシーにお話します。
「それでソースもね」
「色々好きなのね」
「特にトマトを使ったものが」
こちらがというのです。
「好きよ」
「そうなのね」
「それでね」
そうであってというのです。
「チーズをかけて」
「粉チーズね」
「赤ワインと一緒にね」
「楽しむのね」
「そうしているわ」
「そうなのね」
「またね」
グリンダは微笑んで言いました。
「パスタを食べたいわ、その時はね」
「私達も一緒ね」
「そうよ」
オズマにも笑顔で言います。
「そうしましょう」
「ええ、それで皆で食べましょう」
「パスタもね。そして今は」
グリンダは細いストレートに伸びた面を食べています。お汁は豚骨のもので白いそれが美味しそうです。
「こうしてね」
「麺を食べるのね」
「そうしましょう。おかわりもね」
「いいわね」
「そちらもね」
こうしたお話をしながらでした。
皆で楽しく食べていきます、そしてお腹一杯になって少し休んでから瀬戸物の国に戻りました。するとです。
パレードやダンス、舞台劇にライブと瀬戸物の国の様々なものを見ました。そうして王様は一行にあるものをプレゼントしましたが。
「あら、これは」
「赤絵ですね」
オズマもドロシーも中国風の陶器を見て言いました。
「中国のものですね」
「そうよね」
「物凄く奇麗ですね」
「こんなものを貰えるなんて」
「我が国の一番の職人が作りました」
王様は二人に笑顔で言いました。
「こちらは」
「そうなのね」
「中国系の民でして」
「陶器職人なのね」
「はい、それでです」
そうであってというのです。
「陶器をです」
「作ってくれたんですね」
「はい」
そうだとです、王様はジュリアにお話しました。
「これが」
「そうですか」
「どうぞお収め下さい」
「こんな素晴らしいものそうは使えないわね」
オズマは唸って言いました。
「食器とかにはね」
「芸術品ね」
グリンダも言います。
「ここまでのものは」
「そうよね」
「だからね」
それでというのです。
「芸術品としてね」
「展示することにするわ」
「王宮の美術館によね」
「そうするわ」
こうグリンダに答えました。
「この赤絵はね」
「そういえば」
ここでトトが言いました。
「中国ってこうした陶器も有名だね」
「そうね」
ビリーナはトトのその言葉に頷きました。
「絹やお茶にね」
「陶器もね」
「有名よね」
「他にも色々有名だけれど」
「陶器もよね」
「うん、陶器はね」
その中国人の神宝も言ってきました。
「中国の代名詞の一つだよ」
「そうなのよね」
恵梨香も言ってきました。
「中国で陶器はね」
「本当にお茶と絹とね」
ジョージも言います。
「陶器は中国の象徴みたいなものだね」
「今は色々あるけれど」
それでもと言うナターシャでした。
「昔はそうだったわね」
「だからここでも陶器が出たんだね」
カルロスは納得する様に言いました。
「そういうことだね」
「そうね、ただね」
ここでエリカが五人に言いました。
「この陶器って赤絵だけれど」
「どうしたの?」
「それがどうかしたの?」
「奇麗だけれど」
「まさに芸術品だけれど」
「美術館に飾るべきの」
「いや、私こうした赤絵何処かで見たことあるのよ」
そうだというのです。
「実はね」
「というと?」
トトが尋ねました。
「何処でかな」
「確か中華街ね」
そちらでというのです。
「カドリングのね」
「そちらのなんだ」
「梅の奇麗な街にあった」
「そこでなんだ」
「見たのよ」
「あそこのね」
トトにさらに言います。
「奇麗なレストランで見たのよ」
「中華レストランかな」
「あっちじゃ飯店って言うわね」
「そこで見たんだ」
「ええ、その時はベッツイ達が一緒で」
そうであってというのです。
「羊肉のお料理が美味しかったわね」
「そこで食べてだね」
「見たけれど」
それでというのです。
「何とか赤絵って言ったわ」
「何とか?」
「そう、何とかよ」
「その何とかが気になるけれど」
トトはエリカに言いました。
「思い出せない?」
「さて、どうだったかしら」
「覚えていないんだ」
「これがね」
「万歴赤絵ね」
ここでグリンダが言ってきました。
「梅の国の中華街ね」
「そこで見たのよ」
「飯店の中で」
「ええ、物凄く奇麗でね」
それでとです、ビリーナはグリンダにもお話しました。
「それでよ」
「貴女も覚えていたのね」
「それで今言ってるけれど」
「あの国の中華街は私もよく知っているわ」
「あんたの国だから」
「そう、それでね」
そうであってというのです。
「訪問することも多くて」
「あのお店にも行くのね」
「北京料理のお店ね」
「私そこまでは知らないわ」
「北京料理は羊が有名だから」
それでというのです。
「あと家鴨ね」
「そうそう、ベッツイ達北京ダッグ楽しんでいたわ」
「それじゃあ間違いないわね」
「北京料理のお店ね」
「そのお店の名前は陽明っていって」
そうであってというのです。
「王陽明さんから取っているわ」
「何処かで聞いた名前ね」
「有名な学者さんで政治家でもあって」
グリンダはそれでとお話します。
「あの国で暮らしているのよ」
「オズの国にも来ているのね」
「そう、それでこの人が中国の明の時代の人で」
そうであってというのです。
「その明代の赤絵よ」
「万歴赤絵は」
「そうなのよ、物凄く有名な陶器なのよ」
「奇麗で」
「はい、実はです」
王様もここで言いました。
「この赤絵もです」
「こちらもなのね」
「その職人は万歴赤絵を参考にしまして」
「作ったのね」
「そうでした」
こうお話します。
「それでオズマ姫に贈らせてもらいました」
「そうなのね」
「はい、そして」
そうであってというのです。
「満足して頂けたなら」
「嬉しいわね」
「左様です」
満面の笑顔での言葉でした。
「私も」
「そうなのね」
「では夜まで楽しんで下さい」
王様は皆を今度はオーケストラの場所に案内しました、そうしてそのうえでクラシックの音楽も楽しみました。
そして夜はタンクに戻って休みますが。
「ホテルや宮殿にいると言っても」
「いい位だね」
「はい」
神宝は魔法使いに答えました。
「あまりにも豪奢で」
「実際にイメージしたからね」
「ホテルのロイヤルスイートをですね」
「そうしたしね」
「だからここまでですね」
「豪勢で快適なんですね」
「そうだよ」
笑顔での返事でした。
「この通りね」
「そうですね」
「そしてね」
「そして?」
「今夜のご飯だけれど」
「そちらですね」
「さて、何かな」
楽しみな感じで言いました。
「一体ね」
「そうね」
グリンダが応えました。
「カレーはどうかしら」
「カレーですか」
「ええ、皆好きよね」
「はい、カレーはです」
神宝はまさにと答えました。
「僕達五人皆好きです」
「カレーいいですよね」
「何かあったら食べたくなります」
「カレーがあったら幸せです」
「学校でもよく食べます」
「そうでしょ、だからね」
それでというのです。
「これからね」
「カレーですね」
「あれを出してくれるんですね」
「それで食べるんですね」
「今日の晩ご飯は」
「そうしますね」
「ええ、ただね」
こうも言うオズマでした。
「カツにハンバーグに海老フライも出そうかしら」
「トッピングだね」
魔法使いが言ってきました。
「それが出来る様にするんだね」
「ええ、そうしたらどうかしら」
魔法使いにも言いました。
「今回はね」
「いいね、カツもハンバーグもね」
「カレーに合うわね」
「本当にね」
「鶏肉のグリルも」
こちらもというのです。
「出すわ、勿論ルーにはお野菜を入れるわ」
「人参や玉葱をだね」
「ジャガイモもね、そういったものは沢山入れるけれど」
それでもというのです。
「細かく刻んだものにしてね」
「入れるんだね」
「そしてお肉はね」
「トッピングだね」
「それでとなるわ」
「成程ね」
「それでどうかしら」
魔法使いに尋ねました。
「今夜は」
「いいわね」
オズマがにこりと笑って賛成してきました。
「カツもハンバーグも食べられるのよね」
「カレーと一緒にね」
「それで反対するなんて」
そうすることはといいますと。
「考えられないわ」
「そう言ってくれるのね」
「カレーだけでも凄く嬉しいのに」
それに加えてというのです。
「カツやハンバーグもとなるとね」
「尚更よね」
「嬉しいわ、だからね」
それでというのです。
「今夜はたっぷりとね」
「カレーをなのね」
「食べましょう」
「トッピングと一緒に」
「そうしましょう」
「そしてデザートは」
グリンダはこちらのお話もしました。
「マンゴーをね」
「出してくれるのね」
「それとパイナップルにメロンもね」
こうしたものもというのです。
「出すわ」
「南国のフルーツね」
「カレーは元々インドのお料理でしょ」
「ええ、カリーよね」
ドロシーが応えました。
「そうよね」
「そう、それでデザートはね」
「インドは暑いから」
「南国のフルーツはどうかしら」
「実際マンゴーってインドに沢山あるし」
「だからね」
そうであるからだというのです。
「用意したわ」
「そうなのね」
「そう、そしてね」
それでというのです。
「飲みものはミルクを出しましょう」
「カレーに合うのよね」
「だからね」
それ故にというのです。
「出すわ」
「カレーから何もかもが決まるわね」
「ええ、今夜はね」
「それで今から」
「皆で食べましょう」
こうお話してでした。
皆でカレーを食べるのでした、色々なトッピングが用意されたカレーはとても美味しくて、でした。
皆満足します、しかしここでビリーナはこんなことを言いました。
「カレーを食べてもね」
「どうしたの?」
「いや、オズの国には食べる必要のない人達もいるでしょ」
グリンダに言ってきました。
「そうでしょ」
「瀬戸物の国の人達もね」
「そうした人達はこうして食べなくて」
それでというのです。
「食べる楽しみは知らないわね」
「それはもうね」
グリンダは銀のスプーンでカツカレーを食べつつ応えました。
「そうした身体でないからね」
「食べる必要のない」
「飲む必要もないね」
そうしたというのです。
「身体だから」
「じゃあもう最初から必要ないのね」
「だから何ともね」
「思わないのね」
「そうよ、皆羨ましいとも思わないでしょ」
「ええ」
ビリーナはその通りだと答えました。
「全くね」
「そう、それはね」
まさにというのです。
「最初から必要がないなら」
「それならなのね」
「もうね」
それこそというのです。
「何も思わないわ」
「そんなものね」
「そうよ、そもそもオズで羨むことはね」
「誰もしないわね」
「妬むこともね」
そうした感情を持つこともというのです。
「ないわね」
「そうね」
「だから全くね」
それはというのです。
「誰も思わないわ」
「そうしたものね」
「かかしさんや樵さんが言ったことないわね」
「ジャックもつぎはぎ娘もチクタクもね」
「木挽きの馬にしてもでしょ」
「ガラスの猫なんてあれよ」
エリカが笑って言ってきました。
「もう自分はね」
「食べることなんてって言ってるわね」
「一切必要がない」
「とても偉いとか言っているわね」
「自分はそうだってね。それでよ」
エリカはさらに言いました。
「この前ファイター大尉に注意されていたわ」
「彼も食べる必要がないわね」
「そうだけれど」
それでもというのです。
「自分はそうは思わない、その人それぞれの身体のことだってね」
「言われたのね」
「そうだったのよ」
「そう、その人それぞれでね」
グリンダはまさにと答えました。
「身体が違って」
「食べる必要がない人もいて」
「それでどうかはね」
「ないわね」
「そうよ」
こう言うのでした。
「別にね」
「そういうことね」
「そこを間違えるとね」
そうなりと、というのです。
「駄目よ」
「そうなのね」
「身体の仕組みはそれぞれで」
「食べない人もいて」
「そのことも個性でね」
そうであってというのです。
「いいのよ、エリカだって猫の特性があるわね」
「ええ、最高のね」
エリカは胸を張って答えました。
「それが一杯あるわ」
「それは他の皆もよ」
「食べる必要のない人達も含めて」
「そうよ」
まさにというのです。
「それぞれよ」
「そこを認めることね」
「その特性を悪用したりしたら駄目だけれど」
「特性自体はいいことね」
「特徴はね」
そう言われることはというのです。
「そうなのよ」
「成程ね、じゃあ瀬戸物の国の人達もよくて」
「次に行く国の人達もよ」
「ジグゾーパズルの国の人達も」
「いいのよ、それぞれの個性を受け入れる」
「そうしたらいいのね」
「そうよ、そうすれば自分も受け入れられるから」
だからだというのです。
「いいのよ」
「そういうことね」
「その通りよ」
こうしたお話もしました、皆瀬戸物の国でこうしたお話もしました。そのうえで貴重な時間を過ごしたのでした。