『オズのヘンリーおじさん』




                第九幕  バーベキュー

 この朝皆はホテルの食堂でお茶漬けを食べました、ゴマ醤油で味付けした生の鯖を冷えたご飯の上に乗せてそこにお茶をかけて食べますが。
 エリカはそのお茶漬けを食べつつこんなことを言いました。
「いや、ちょっとね」
「どうしたんだい?」
「ご飯をこうして食べるなんて」 
 キャプテンに応えました。
「考えもつかなかったわ」
「そう、ご飯をね」
「リゾットやお粥はあるわ」
 こうしたお料理はというのです。
「お米を使ったもので」
「どれも美味しいね」
「けれどね」
 それでもというのです。
「こうしてよ」
「味付けした生のお魚を乗せるなんてね」
「冷えたご飯の上にね」
「それ自体がないね」
「そしてその上に熱いお茶をかけて食べる」
「他にはお漬けものとかを乗せるのよね」
「そうよ」
 恵梨香がその通りだと答えました、この娘もお茶漬けを食べています。
「お茶漬けのもとなんてのもあるし」
「それで皆食べるのよね」
「日本ではね」
「いや、和食って色々独特だけれど」
「こうしたものもあるの」 
 こうエリカにお話します。
「日本では皆食べてるよ」
「これまた独特ね」
「独特過ぎるよ」
 トトもこう言います。
「本当にね」
「トトもそう言うのね」
「言うよ、どういった発想か」
 恵梨香にこうまで言います。
「不思議な位だよ」
「そこまでなのね」
「そこまでだよ」
 実際にというのです。
「お茶漬けという食べものは」
「外国から来た皆が言うけれど」
「そう、ないよ」
 神宝も恵梨香に言います。
「中国にもね」
「当然アメリカにもないから」
 ジョージも言いました。
「最初見て何かって思ったよ」
「お米をよく食べる国でもね」 
 カルロスは首を傾げさせています。
「ちょっと以上にないよ」
「とても不思議なお料理の一つね」 
 ナターシャも言いました、勿論この子達もお茶漬けを食べています。
「和食の中でも」
「いや、あっさりしていて美味しいけれど」
 トロットは神妙なお顔になっています、そのうえでの言葉です。
「けれどね」
「不思議なお料理ですか」
「ご飯をこうして食べることはね」
「よくこんなお料理考えついたわね」
 ベッツイはトロットにこう言いました。
「かなり独特の発想ね」
「冷えたご飯を食べるにはどうすればいいか」
「熱いお茶をかければいいなんてね」
「それで味付けした生のお魚とかお漬けものもその時使う」
「そうそう考え付かないわよ」
「多分ね」
 ハンクは二人に言いました。
「ご飯の質も関係あるね」
「ご飯っていうとお米?」
「それも関係あるの」
「うん、このお米はジャポニカ米だね」
 皆が食べているお茶漬けのそれを見て言いました。
「このお米は粘りがあるね」
「インディカ米に比べてね」
「そうね」
「だからね」
 その為にというのです。
「お茶漬けにも合うんだよ、そしてお魚やお漬けものにもね」
「合うのね」
「ジャポニカ米は」
「そしてお茶は日本のお茶だけれど」
 ハンクはお茶のお話もしました。
「こちらもね」
「ジャポニカ米に会うから」
「いいのね」
「そうだと思うよ」
 こう言うのでした。
「お茶漬けはね」
「そうなのね」
「ジャポニカ米と日本のお茶あってのものなのね」
「これをインディカ米で出来るかな」 
 ハンクは首を少し傾げさせて言いました。
「果たして」
「難しいわね」
 ドロシーもそれはと答えました。
「やっぱり」
「そうだよね」
「それでお茶もね」
「中国茶は合わないね」
「中国のどのお茶もね」
「中国でもお茶をお料理に使うけれどね」
 それでもというのです。
「こうしたね」
「ご飯にかけるのはちょっとないわね」
「聞かないね」
「中華料理はご飯も使うけれど」
「中華料理のお米もインディカ米だしね」
「そのこともあるわね、ましてや」
 ドロシーはさらに言いました。
「紅茶を使うことは」
「ちょっとね」
「お茶漬けにはないわね」
「ストレートティーでもね」
「ないわね」
「そうはね」 
 こうお話するのでした。
「考えられないよ」
「やっぱりね」
 どうしてもというのです、ドロシーにしても。
「お茶も選ぶわね」
「日本のお茶でないとね」
「出来ないわね」
「うん、日本独特のお料理だよ」
「けれど朝とかに食べると」
 オズマは笑顔で言いました。
「物凄く美味しいわね」
「いや、最高だよ」
「お茶漬けもね」
 おじさんもおばさんも食べています、お二人は満面の笑顔です。
「こんな食べものがあるなんて」
「知らなかったけれど」
「いいわね」
「こんな美味しいものもあるんだね」
「あの、お二人何か」
 恵梨香はそんなお二人を見て少し驚いたお顔になって言いました。
「お茶漬けがお気に召したみたいですね」
「そうね」
 ドロシーもお二人を見て言います。
「どうもね」
「そうですよね」
「あの、お茶漬けって」 
 ドロシーは恵梨香に言いました。
「日本でも独特みたいね」
「はい、何でも日本の九州の方の」
「そちらのお茶漬けなのね」
「こうして鯖を生で食べるのは九州で」
「日本の他の地域にはないのね」
「九州から来ている子がお話してくれたことがあります」
 そうだったというのです。
「こうしたお茶漬けがあるって」
「本当に日本のその地域のお料理で」
「私も食べたことなかったです」
 日本人の恵梨香もというのです。
「これが。ほやはあるんですが」
「あちらはなの」
「関西にも来ることがありまして」
 ほやはというのです。
「お父さんとお母さんも好きで」
「お家でも食べるの」
「はい、そうですが」
 それでもというのです。
「このお茶漬けはです」
「なかったのね」
「はい、ですが食べますと」
「美味しいわね」
「そう思います」
 恵梨香としてもです。
「いいですね」
「そうね、お昼はバーベキューだけれど」
「お茶漬けもいいですね」
「そうよね、あっさりしていてね」
「朝食に向いていますね」
「そうね、ただ日本じゃ皆食べてるのね」
 オズマは恵梨香にこのことを尋ねました。
「それもよく」
「はい、そうです」
 恵梨香もその通りだと答えます。
「私も好きですし」
「そうなのね、本当にオズの国でもね」
「そうはですか」
「食べないわね」
「和食は広まっていても」
「納豆とかを食べても」
 それでもというのです。
「お茶漬けはね、あと卵かけご飯は最近ね」
「食べられていますか」
「そうだけれどね」
「日本では卵かけご飯もです」
「よく食べるのね」
「お茶漬けと同じで」
「シンプルだけれどね」
 ドロシーは卵かけご飯についてこう言いました。
「あちらも美味しいわね」
「そうですね」
「生卵を食べるのは」 
 こうしたことはといいますと。
「オズの国ではね」
「なかったんですね」
「ええ、それで外の世界でも」
「日本以外ではです」
「なかったのね」
「皆に言われます」
 日本以外の国から来たです。
「そう」
「そうでしょうね」
「お茶漬けも卵かけご飯も」
「日本だけよ」
「そうなんですよね」
「けれど食べてみるとね」
 オズの国にも入ってきていてというのです。
「どちらもね」
「美味しいですね」
「ええ」
 恵梨香ににこりと笑って答えました。
「どちらもね」
「そんな食べものもあるのかい」 
 おじさんは卵かけご飯にも興味を示しました。
「何かよさそうだな」
「そうね」
 おばさんも興味津々です。
「そちらの食べものもね」
「今食べているお茶漬けも美味しいが」
「そちらもよさそうね」
「何時食べられるか」
「ちょっと楽しみね」
「あっ、それだったらね」
 ドロシーは二人のお話を受けて言いました。
「お昼はバーベキューにね」
「卵かけご飯か」
「そちらを食べるのね」
「そうしましょう」
 笑顔で言うのでした。
「是非ね」
「そうか、それじゃあな」
「そちらも楽しみにしているわね」
「宜しくね。あとビーチで食べるけれど」
 ドロシーはバーベキューを食べる場所のお話もしました。
「泳ぐ?」
「ああ、それはな」
「別にいいわ」 
 お二人はそちらは断りました。
「私達泳げないしね」
「だからな」
「そちらはね」
「いいわ」
「わかったわ。じゃあ他のことでね」
 それでとです、ドロシーはお二人に応えました。
「ベーベキュー以外にも楽しみましょう」
「水着にはならないですね」
「そうなるわね、泳がないから」
 ドロシーは笑顔にも答えました。
「今回は」
「そうですね」
「ビーチでもね」
「ビーチにいても泳ぐだけじゃないですね」
「他にもね」
「色々楽しみ方がありますね」
「そうでしょ、だからね」
 それでというのです。
「今回はね」
「おヨグ以外のことを楽しんで」
「そうしてね」
「バーベキューもですね」
「楽しみましょう」
「それじゃあ」
「お茶漬けを食べたらホテルを出ましょう」
 こうお話してでした。
 皆で朝ご飯のお茶漬けを堪能してからビーチに出ました、皆水着に着替えないでそのままビーチの岩場に行きました、そうしますと。
「ヒトデがいるな」
「イソギンチャクもね」
「カイもウミウシもいるな」
「前に食べた海鼠もいるわね」
 おじさんとおばさんはこうした生きもの達を見付けて言いました。
「蛸もいてね」
「貝もいるな」
「色々な色の小魚もいて」
「面白いわね」
「こうした場所に来るとね」
 ドロシーは色々な生き物を見付けて言うお二人にお話しました。
「色々な生きもの達がいるのよ」
「こうしてなのね」
「沢山いるのね」
「そうなの」 
 実際にというのです。
「海にはこうした場所もあるのよ」
「そうなんだな」
「楽しい場所でもあるのね」
「他には海の底にはね」
 ドロシーはそちらのお話もします。
「珊瑚があったりするか」
「ああ、それは聞いたことがあるよ」
「私達もね」
「凄くき奇麗らしいな」
「宝石にもなっていて」
「そうよ、だからそちらもね」
 海の底もというのです。
「よかったらね」
「行くだね」
「そうするのね」
「今回の旅行の間にね」
「この街には潜水艇もあるのよ」
 オズマも言ってきました。
「だからね」
「それに乗ってね」
 ドロシーがまたお二人にお話します。
「海の底を観ましょう」
「そうしたことも楽しめるなんてな」
「凄いわね」
「色々楽しめるのがオズの国だから」
 それでというのです。
「そちらにも国があるし」
「海の底にもか」
「国があるの」
「人魚さんのお国があるの」
 この人達のというのです。
「他には乙姫さんの竜宮城があってね」
「そうなのか」
「そうした場所もあるの」
「四海龍王さん達もおられて」
 そうしてというのです。
「海の神様達もね」
「ポセイドンさんやエーギルさんか」
「海の神様っていうと」
「そう、あの方々もおられて」
 海の底にはというのです。
「結構以上に賑やかよ」
「海の底は何もないと思ったら」
「オズの国ではそうなのね」
「そうよ、潜水艇も潜水艦もあるから」
 こうした船達がというのです。
「賑やかなのよ」
「そうか、お伽の国だけあるな」
「海の底も賑やかなのね」
「そうなの、だからね」
 それでというのです。
「私も行った楽しむ時があるの」
「ドロシーはオズの国の色々な場所に行ってるからね」
 トトが応えました。
「だからね」
「そう、海の底にもね」
「行ってるからね」
「何度もね」
「そういえばオズの国って海の底も面白いんですね」
 恵梨香もイソギンチャク達を観ながらお話します。
「色々な人達がいて」
「海も面白いけれど」
「海の底もなんだ」
「前に潜水艦に乗せてもらったけれど」
「その時も色々見せてもらったけれど」
「他にもなんだ」
 五人全員で言いました。
「乙姫さんがおられて」
「四海龍王さん達もで」
「神様達もおられて」
「人魚の国だけじゃないんだ」
「そうなのね」
「そうよ、だから貴方達も機会があったら」
 ドロシーは恵梨香達五人にお話しました。
「海の底にも行ってね」
「わかりました」
「そうさせてもらいます」
「これからは」
「その機会があれば」
「そうさせてもらいます」
「私も一緒させてもらうかもね」
 その時はというのです。
「若しかしたら」
「その時は宜しくお願いします」
「海の底はまだ長くいたことがなくて」
「あまりよく知らないですし」
「どなたかが一緒なら」
「それなら嬉しいです」
「その時はね、オズの国は地上だけじゃないから」
 人が暮らしていて国がある場所はというのです。
「そちらもね」
「行くといいですね」
「そうよ、そうしてね」
 そのうえでというのです。
「色々なものを見て回ってね」
「楽しむことですね」
「そうしたらいいわ」
 こう言うのでした。
「その時は」
「いや、何と広い世界か」 
 おじさんはそのお話を聞いてしみじみとして言いました。
「オズの国は」
「地上だけでなくて」
 おばさんも言います。
「お空にも地下にもで」
「海の底にまで人がいてな」
「国があるなんて」
「全く以て凄い国だな」
「あらためて実感するわね」
「全くだ、外の世界も広いが」
「オズの国も広いわね」 
 こうおじさんに言いました。
「とてもね」
「全くだな」
「そのことを今実感したわね」
「ここで色々な生きものも見てな」
「そうなの、世界は広くて」
 ドロシーは笑顔でお二人に答えました。
「オズの国もなのよ」
「そういうことだな」
「お伽の国の世界も広いのね」
「そうよ、こうした場所もあってね」
「色々な場所で人が暮らしていてか」
「国もあって」
「とても広いの。そして賑やかなのよ」
 ただ広いだけでなくです。
「色々な人が暮らしていて色々な国があるから」
「だからだな」
「賑やかなのね」
「それで旅をしてもよ」
 ドロシーがよくそうしている様にです。
「凄くね」
「楽しいか」
「そうなのね」
「楽しいことしかないわ」
 そうだというのです。
「オズの国自体にね」
「そうなんだな」
「じゃあ私達も旅をしていいのね」
「例えばね」 
 こうもです、ドロシーは言いました。
「お空を飛ぶ列車に乗って」
「オズの国の鉄道はそうだな」
「お空も飛べるわね」
「車窓から夜空の星座を観ることも素敵よ」
「銀河鉄道の夜ですね」
 恵梨香はドロシーの今のお話を聞いて目を輝かせました。
「その旅は」
「あっ、日本の童話の」
「そうですよね」
「そうね、まさにね」
 ドロシーもその通りだと答えました。
「銀河鉄道の夜の旅もね」
「オズの国では出来ますね」
「そうなのよ」
「夢みたいですね、私あの作品を読んで」 
 恵梨香は目を輝かせてお話しました。
「物凄く憧れたんです」
「ああした旅をしたいって」
「はい、今は飛行機があって」
「お空で夜空を観られるわね」
「そうですが」
 それでもというのです。
「ああしたです」
「旅がしたいのね、恵梨香は」
「前にオズの国の列車に乗せてもらいましたけれど」
「あの時はお昼だったかしら」
「そうでしたから」
 だからだというのです。
「一度です」
「夜になのね」
「旅をしてみたいですね」
「では今夜どうかしら」
「出来ますか」
「ええ、どうかしら」
「ではお願いします」
 ドロシーに笑顔で答えました。
「その時は」
「それではね」
「宜しくお願いします」 
 こうしたお話もしながら海の岩場の生きもの達を観ていってです、お昼はバーベキューですがお野菜以外はです。
「全部海の幸だな」
「そうね、お肉じゃなくて」
 おじさんとおばさんは網の上で焼かれているものを食べつつ言います。
「お魚に貝に海老に」
「蛸に烏賊でな」
「それでどれも美味しいわ」
「そうだな」
「そう、バーベキューもいいんだよ」
 トトは舌鼓を打つお二人に蟹を尻尾を振りつつ食べながら答えました。
「海の幸のね」
「そうだな、本当にな」
「お肉のバーベキューにも負けていないわ」
「そうだよね、僕も大好きだよ」
「いや、絶品よ」
 エリカは舌なめずりをしました、そして自分が食べているオマール海老を丸ごと焼いたものを見ました。
「こちらもね」
「オマール海老か」
「これまた美味しそうね」
「だから言った通りよ」
 エリカはお二人に喉を鳴らしながら答えました。
「絶品よ」
「そうなんだな」
「美味しいのね」
「だから食べてね」
 オマール海老の方もというのです。
「いいわね」
「それじゃあな」
「次はオマール海老をいただくわね」
「ビールに合うな」 
 キャプテンは烏賊を丸ごと焼いてその上におソースをかけたものを食べて冷えたビールを飲みながら言いました。
「これはまた」
「そんなにいいんだ」
「最高だよ」  
 焼いた南瓜やニンジンを食べているハンクに答えます。
「焼いた烏賊を食べてね」
「そうしてビールを飲んだら」
「それでも外でとなると」
 それこそというのです。
「最高に幸せになれるよ」
「そうなんだね」
「お魚もいいわよ」 
 ベッツイは串に刺して焼いてその上にバターを乗せたものを食べています。
「こちらもね」
「貝だってそうよ」
 トロットは貝にご満悦です。
「とても美味しいわよ」
「殻ごと焼いてね」
「それで開いたのを食べたら」
「凄く美味しいのね」
「そうよ、ただお魚も美味しそうだから」 
 それでというのです。
「次はね」
「お魚ね」
「それを頂くわ、そのお魚はイサギね」
「そうよ、美味しいわよ」
「では次はそちらをね」
「私は蛸をいただいているけれど」
 見ればドロシーは実際に蛸を食べています。
「思えばカンサスにいた時は」
「食べるなんて思わなかったわね」
「夢にもね」
 車海老を食べているオズマに答えました。
「思わなかったわ」
「そうよね」
「オズの国で住む様になっても」
「暫くはよね」
「そうだったわ」
 夢にも思わなかったというのです。
「とてもね」
「皆そうだったわね」
「それが日本や中国特に蛸は日本ね」
「あの国もオズの世界に入って」
「それでね」 
 そうなってというのです。
「食べる様になって」
「今もそうして食べているわね」
「そうよ、蛸はこうして焼いても美味しいし」
「煮ても揚げてもね」
「そしてお刺身にしてもね」
 そちらでもというのです。
「素敵な食べものよ」
「そうよね」
「気持ち悪いとか怖いとか」
「その姿を見て」
「思わないわ」
「美味しそうって思うわね」
「烏賊と同じよ」
 オズマににこりと笑って答えました。
「今蛸に思うのはね」
「そうよね」
「あの、大蛸とか大きな烏賊とか」
 恵梨香もその蛸を食べています、そのうえで言うのでした。
「何が怖いのか」
「貴女は思わないのね」
「わからないです、漫画やアニメで出ても」
 それでもというのです。
「怖くないです」
「そうなのね」
「美味しそうと思っても」 
 大蛸や大きな烏賊をというのです。
「怖いとか気持ち悪いとかは」
「思わないのね」
「全く」
「オズの国ではもう怖いと思える生きものはいないけれどね」
「海でもですね」
「そうよ、誰も襲ってこないから」
 だからだというのです。
「蛸も烏賊もで鮫もね」
「襲ってこないですね」
「そうよ」 
 全くというのです。
「だから安心してね」
「わかりました」
 恵梨香もそれではと頷きました。
「海でも」
「そうしてね、ただね」
「ただ?」
「今思ったけれど皆鯨は食べても」
 見ればバーベキューの上には鯨のお肉もあります、ステーキの様に切られていてそれを焼いています。
「セイウチやトドは食べたことはないわね」
「アラスカとかで食べるんですよね」
 ジョージがその鯨を食べつつ応えました。
「イヌイットの人達が」
「缶詰にもなっていて」
 神宝も鯨を食べています。
「日本でも売られているんですよね」
「どんな味か知らないですが」
 カルロスも同じく鯨を食べています。
「食べることは聞いています」
「美味しいんでしょうか」 
 ナターシャは鯨肉にお醤油をかけて一口食べてから思いました。
「それで」
「そう思ったら食べたいでしょ」
 四人ににこりと笑って言いました。
「そうでしょ」
「それならですね」
「今からですね」
「セイウチやトドのお肉も出して」
「焼いて食べるんですね」
「そうしましょう、こちらも美味しいから」
 だからだというのです。
「出すわね」
「わかりました」
「お願いします」
「是非頂きます」
「焼いたうえで」
「そうしてね」
 こうお話してでした。
 ドロシーはそのセイウチやトドのお肉も出してでした。
 そちらのお肉も焼きます、それで四人も食べて恵梨香もでした。そのうえでこれはというお顔になって五人でお話しました。
「こうした味なのね」
「珍味だね」
「どんな味かなって思ったけれど」
「期待と不安があったけれど」
「期待になったわね」
「そう、海の幸は色々あって」
 それでとです、ドロシーもそうしたお肉を自分のお皿の上に乗せて食べながら五人に対してお話しました。
「こうしたものもあるのよ」
「いや、まさかです」
「セイウチやトドのお肉まで出してくれるなんて」
「そして食べさせてくれるなんてです」
「思いませんでしたから」
「驚いています」
「驚きといっても色々あるけれど」
 それでもというのです。
「こうした驚きはいいでしょ」
「はい、確かに」
「凄くいいです」
「物凄く嬉しいです」
「思わぬ珍味を口に出来て」
「幸せです」
「そう思ってくれたならいいわ」 
 ドロシーにしてもです。
「皆で食べましょう」
「ううむ、セイウチやトドもか」
「食べられるのね」
 おじさんとおばさんははじめて知ったというお顔でした。
「このことも考えもしなかったけれど」
「そうなんだな」
「そうよ、もう何でもね」
 それこそとです、ドロシーはここでもお二人に答えました。
「食べられるの、それで今回のバーベキューは」
「こうしてか」
「海の幸は何でも焼いて食べるのね」
「焼いて食べて美味しいならね」
 それならというのです。
「そうしていくわ、ただね」
「ただ?」
「ただっていうと」
「海胆もと思ったけれど」
 それでもというのです。
「焼くよりも生で。夜に海鮮丼でと食べましょう」
「海胆っていうとあれか」
 おじさんは海胆と聞いて目を丸くさせて言いました。
「丸くて黒くて棘がやたら生えた」
「見るからに痛そうよね」
 おばさんも言います。
「そういえばお寿司のネタにもあって」
「お刺身でもあったか」
「食べてみたら美味しかったわね」
「あれもそうだったな」
「その海胆にね」
 それにと言うドロシーでした。
「イクラ、蟹に烏賊を乗せた」
「そうした丼か」
「白いご飯の上にそうしたものね」
「こちらも凄く美味しいから」
 それでというのです。
「夜はね」
「夜空を列車に乗って旅してか」
「星座を観ながらなのね」
「食べてね」
 そうしてというのです。
「食べましょう、夜空の下は海よ」
「夜の海か」
「そちらなのね」
「夜の星座やお月様の光に照らされて」
 そうなっていてというのです。
「きらきらと光る夜の海もね」
「奇麗なんだな」
「そうなのね」
「そうなの」 
 実際にというのです。
「だから楽しみにしていてね」
「それじゃあな」
「そちらも期待させてもらうわ」
「是非ね」
「そして今はな」
「焼かれた海の幸とお野菜を楽しませてもらうわ」
 お二人は今度は一緒に焼かれたオマール海老先ほ程エリカが食べていたのを見て自分達もとなって食べて言うのでした。
「お酒も飲んで」
「よく冷えたビールをな」
「そう、今はビールが一番だよ」
 まさにと言うキャプテンでした、見れば今も飲んでいます。
「白ワインもいいだろうけれど」
「うん、ビールも美味しいよ」
「キャプテンさんの言う通りよ」
 お二人も飲みつつ答えます。
「凄く美味しいわ」
「海の幸のバーベキューとよく合うよ」
「この通りだよ、もう止まらないよ」
 飲んで食べることがというのです。
「わしは今はお魚を食べているがね」
「それはホッケね」
 オズマはキャプテンが食べているお魚を見て言いました。
「開きにした」
「そう、このお魚もなんだよ」
「美味しいわよね」
「そしてビールにもだよ」 
「合うのね」
「オズマ姫もどうかな」 
 キャプテンはオズマにも勧めました。
「子供用のアルコールがないビールで」
「酔うことの出来る」
「どうかな」
「私今白ワイン飲んでいるけれど」 
 グラスのそれが手にあります、オズマが今食べているのは烏賊です。焼いて上にバターを乗せたものです。
「ビールもなのね」
「どうかな」
「じゃあ今飲んでいるものを飲み終えたら」
 そのワインをというのです。
「それからね」
「頂くんだね」
「そうさせてもらうわ」
 こう答えて実際にでした。
 烏賊を食べてからジョッキに入ったよく冷えたビールを飲んで食べてみるとでした。
 これがです、すごくでした。
「いいわね」
「そうだね、こちらもね」
「ビールもね」
「オズマ姫はお酒はワインが多いね」
「魚介類の時は白で」
 今の様な時はというのです。
「お肉やパスタの時は赤でね」
「飲み分けているね」
「そうしているわ」
「そうだね」
「あと甘いお酒が好きで」
「カクテルもよく飲むね」
「元々ジュースが好きだから」
 それでというのです。
「甘いお酒もね」
「好きだね」
「それでワインもよく飲むけれど」
「ビールはあまり飲まないね」
「けれどこうした時はね」
 お外でバーベキューを食べている時はというのです。
「ビールもいいわね」
「そうだね」
「飲みはじめたら」
 そうしたらというのです。
「止まらない位ね」
「いいね」
「そう思うわ」
 こう言うのでした。
「本当にね」
「そうだね」
「海の幸だけじゃなくて」
「お外に出ているからね」
「青いお空に海とね」
「海の香りにね」 
 潮のそれにというのです。
「日差しもね」
「いいね」
「ビールに合うわ」
「そういったものもおつまみになるんだよ」
「だからどんどん飲めるわね」
「そうなっているわ」
 こう言ってオズマはさらに飲みます。
「いい感じよ、ただね」
「ただ。どうしたのかな」
「飲んで食べ終わったら」 
 そうしたらというのです。
「ちょっと休みたいわね」
「そうしてお酒を抜くんだね」
「そうしたいわ」
「それもいいね」
「そうね」
 少し考えてから答えました。
「すぐそこに温泉もあるから」
「海を見ながらかな」
「そう、温泉に入って」
 そうしてというのです。
「身体を奇麗にもしてね」
「お湯にも浸かって」
「お酒も抜きたいわ」
「いいね、アルコールは入っていないから」
「お風呂に入ってもいいから」
 だからだというのです。
「食後はね」
「温泉だね」
「まずはそちらに入って」
 そうしてというのです。
「そのうえでね」
「気持ちよくお酒を抜いて」
「それからまたね」 
 あらためてというのです。
「また岩場に行って」
「海の生きもの達をだね」
「観ましょう」
「それもいいね」
「ええ、今日はね」
「お昼はそうして」
「そして夜はね」
 この時はというのです。
「夜空を列車でね」
「観ていくんだな」
「そうするのね」
「海の上のね」
 こう言うのでした。
「そうするわ」
「うん、それじゃあな」
「宜しくね」
「何かと面白いな」
「この旅行は」
「そう言ってくれて嬉しいわ」
 ドロシーはおじさんとおばさんのお話を聞いて笑顔で言いました。
「本当に。それじゃあね」
「夜もか」
「そうして楽しむのね」
「そうするわ、しかし銀河鉄道の夜はね」
 ドロシーはこの童話のお話もしました。
「とても素敵なお話ね」
「はい、私達皆大好きです」
 恵梨香はドロシーに目をきらきらとさせて答えました。
「とても素敵なお話で」
「そうよね」
「悲しい結末ですが」
 それでもというのです。
「幻想的で奇麗な」
「いいお話ね。宮沢賢治さんなら」
 この作品を書いたこの人はというのです。
「今はオズの国におられるけれど」
「あの人もですか」
「色々と人助けをしながらね」
 そのうえでというのです。
「舞台を上演したり詩や童話をね」
「オズの国でも書かれているんですね」
「そうよ、だからね」
 それでというのです。
「機会があったらお会いしてね」
「その時を楽しみにしています」
 笑顔で応えた恵梨香そして外の世界から来た子供達でした。今はバーベキューを食べて海を見ていますがそうしたお話もしました。
 そしてです、バーベキューの後はまた岩場の生きもの達を観ました。楽しい時間はさらに続くのでした。








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