『オズのヘンリーおじさん』




                第五幕  漁港に着いて

 一行は森に入りました、もうマンチキンに入っていて森の葉も下の草も全て奇麗な青色になっています。 
 その青い木々を見てです、おじさんは言いました。
「いや、マンチキンに入るとな」
「草木も何もかもが青くなるのよね」
「そうよな」
「ウィンキーは黄色で」
 おばさんはこの国のお話もしました。
「ギリキンは紫で」
「カドリングは赤でな」
「そして私達が今暮らしているね」
「エメラルドの都は緑だな」
「そうよね、オズの国はね」
「それぞれの色があるな」
「それが大きな特徴ね」
「わし等が最初にオズの国にいた頃は」
 おじさんはその時のお話もしました。
「マンチキンの服を着ていたな」
「青いね」
「いや、その時のことを思い出して」 
 そしてというのです。
「今懐かしく感じてるよ」
「私もよ」
 おばさんもでした。
「あの時のことはね」
「忘れられないな」
「カンサスでどうなるかって思っていたけれど」
「これからな」
「畑もお家も手放しそうで」 
 そうした状況に陥っていてというのです。
「果たしてね」
「どうなるかと思っていたら」
「ドロシーのお陰でな」
「この国に来られたわね」
「オズの国にな」
「若しも」
 それこそというのです。
「ドロシーがいなかったら」
「わし等はどうなっていたか」
「わからなかったわね」
「全くだ、そしてだ」
「今みたいに幸せにはね」
「過ごせなかったな、それで今朝もな」 
 おじさんは笑顔で言いました。
「あんな美味いご飯を食べられなかった」
「白いご飯にお味噌汁にめざしにね」
「お漬けものにな」
「納豆もね」
「いや、納豆はお寿司にもあったけれどな」
 それでもというのです。
「あの匂いは凄かったな」
「衝撃だったわ」
「けれどご飯にかけて食べたら」 
 納豆をというのです。
「これがな」
「凄く美味しいわね」
「そうだったな、だからな」 
 それでというのです。
「この国に来られてよかったよ」
「こうしたものも見られるしね」
「国によって色が違う」
「このこともね」
「オズの国ではこうだからね」 
 ドロシーが二人に応えました。
「国によってね」
「色が違うこともか」
「オズの国では普通なのね」
「そうよ、私も最初は驚いたわ」
 オズの国に最初に来た時はです。
「何もかもにね」
「オズの国の」
「色だけじゃなくて」
「お伽の国だから、けれど何度も行き来して」
「遂に定住してか」
「それでなのね」
「今じゃもうすっかりよ」
 笑顔で言うのでした。
「オズの国の住人よ」
「というかドロシーがいなくて」
 それでと言うオズマでした。
「オズの国は語れないわ」
「貴女でないの?」
「だって貴女がオズの国に来てくれたから」
 それでというのです。
「オズの国のことが外の世界にも伝わったから」
「だからなの」
「本当にね」
「私があってなの」
「オズの国は語れるのよ」
「そうなのね」
「そして貴女がいたから」
 オズマは微笑んでさらに言いました。
「ヘンリーさんとエマさんもね」
「オズの国に来られたの」
「そして幸せに暮らせているのよ」 
 そうだというのです。
「本当にね」
「そうなのね」
「その通りだよ」 
 おじさんが言ってきました。
「ドロシーがいてくれたからだよ」
「今私達は幸せなのよ」
「しかも長生き出来ているしな」
「この国でね」
「そうそう、オズの国は皆不老不死だからね」 
 トトも言ってきました。
「僕達も外の世界だとだよ」
「とっくの昔にな」
「いなくなっていたわ」
「そうだったんだよね」
 おじさんとおばさんに答えました。
「本当は」
「そうね、若しね」 
 ドロシーは自分の足下を歩いているトトに応えました。
「私達がずっと外の世界にいたら」
「そうだったならね」
「私達はとっくの昔によ」
「いなくなっていたね」
「そうだったわ」
「そうした意味でもだよ」
「オズの国に来てよかったわね」 
 ドロシーはしみじみとして言いました。
「本当に」
「そうだね、それでね」
「それで?」
「一つ思うことはね」 
 トトはドロシーに言いました。
「この森はどんな森だったかな」
「確か狼の森よ」
「ああ、そうなんだ」
「その名前の通りね」
「狼さん達がいるんだ」
「そうなの」 
 こうトトにお話します。
「この森はね」
「いや、狼って聞いたら」 
 ハンクが言ってきました。
「昔はね」
「貴方は怖がったわね」
「うん、外の世界にいたら」
「そうよね、けれど私達がいたらね」
 ベッツイは穏やかな声でお話しました。
「外の世界でもね」
「狼は襲って来なかったね」
「狼は実は人を殆ど襲わないから」
 だからだというのです。
「私が一緒ならね」
「僕も大丈夫だね」
「安全よ」
「いや、わしも昔は狼は怖いと思っていたよ」
 キャプテン=ビルも言ってきました。
「実はね」
「そうよね、皆狼は怖いって言ってたわ」
 まさにと言うトロットでした。
「物凄くね」
「そうだったね」
「狂暴で残忍で悪いことばかりする」
「狡猾でね」
「そう思っていたよ」
「私もよ」
 エリカもでした。
「狼ってとんでもなく悪い生きものって思っていたわ」
「皆狼をそう思っていたわね」
 ドロシーも言います。
「本当に」
「狼より怖くて悪い生きものはいない」
「そう思っていたわね」
「ええ、けれどオズの国だと」
「そうでもないというか」
「外の世界でもね」
 こちらでもというのです。
「そうなのよ」
「怖くないのね」
「ベッツイの言う通り人を襲うことはね」
「まずないのね」
「そう、それで最低限のものしかね」
「襲わないのね」
「そうした生きものなのよ」
 狼はというのです。
「本当にね」
「というかです」 
 恵梨香が言ってきました。
「皆どうして狼を嫌うのか」
「僕達もわからないです」
 神宝も言います。
「どうにも」
「今狼を怖がる子供っています?」 
 ジョージも首を傾げさせます。
「むしろ恰好いいですよ」
「だって狼から犬になってますし」 
 カルロスはこのことを言いました。
「それだと」
「童話でも最後やられてますし」
 ナターシャも言いました。
「別に怖くないです」
「あの、聞いたんですが」
 恵梨香がまた言ってきました。
「日本で狼は『大神』だって」
「大きな神様ね」
「偉大な」
 ドロシーにお話します。
「田畑を荒らす生きものを食べてくれる」
「あっ、日本は農耕社会で」
「そうですから」
「田畑が大事ね」
「何と言っても」
「それで田畑を荒らす生きものを食べてくれるなら」
「そうでしたら」
 それならというのです。
「もうです」
「素晴らしい生きものなのね」
「神様です」
「成程ね」
「そしてです」 
 それにというのです。
「日本の童話では狼が悪役で出ることは」
「鬼ばかりね」
 オズマが言ってきました。
「そうよね」
「はい、鬼が凄く出ます」 
 恵梨香はその通りと答えました。
「あと狐や狸が悪戯をして」
「化かしてよね」
「ばれて懲らしめられます」
「そうなるわね」
「ですが」
 それでもというのです。
「狼が出ることはです」
「ないわね」
「そうした童話は知らないです」
「うむ、狼は人を襲わない」
 こう言ったのはおじさんでした。
「わしも今は知っているよ」
「ヘンリーさんもですか」
「昔は怖い悪い生きものと思っていたけれど」
「今はですね」
「むしろ親しめる」
 そうしたというのです。
「生きものだとね」
「思われていますか」
「そうだよ」
 恵梨香に微笑んでお話します。
「今はね」
「あら、お話をしていると」
 おばさんは自分達から見て左手の木々が茂っている方を見ました、そうして皆に笑顔で言うのでした。
「出て来たわ」
「ああ、そうだな」 
 おじさんはおばさんの言葉に頷きました。
「ここでな」
「そうね」
「何十匹もいるな」
「結構な群れね」
「狼の森というからな」
「あれだけの狼がいるのね」
「ここは狼の村なの」
 ドロシーがお二人にお話します。
「だからね」
「あれだけの狼がいるのか」
「そうなの」
「そうよ、けれど何もしてこないでしょ」
 ドロシーは微笑んでお話しました。
「私達を見ているだけで」
「ただな」
「そうしているだけね」
「襲うことなんて」
 そうしたことはというのです。
「絶対にね」
「しないな」
「平和なのね」
「オズの国だし狼という生きもの自体がね」
 まさにというのです。
「安心していいわ」
「そうだな、むしろな」
「前足を振ってきているわね」
「ええ、黄色い煉瓦の道を歩いていたら」
 森の中を通っています、皆はその上を歩いて先に進んでいます。
「これといってね」
「何もしてこないな」
「別にね」
「そう、この森は狼の森でね」
「狼の村だな」
「縄張りね」
「だから煉瓦の道を出るとね」 
 そうすると、というのです。
「よくないの」
「そうだよ」
 その狼から言ってきました。
「ここは僕達の村だから」
「それでよね」
「黄色い煉瓦の道は通っていいけれど」
 それでもというのです。
「あまりね」
「森の中にはよね」
「入って欲しくないよ」 
 若い雄の狼が言ってきます、見れば狼達はどんどん出て来て一行の周りにいます、子供の狼も一杯います。
「それはね」
「そうよね」
「けれど襲わないから」 
 それは絶対にしないというのです。
「一緒に遊びたいならね」
「遊んでくれるの」
「そうするけれど」
「無断でよね」
「煉瓦以外を出るとね」
「嫌ね」
「そうだよ」 
 こう言うのでした。
「本当にね」
「そうなのね」
「うん、しかしね」
 ここで、でした。
 狼はドロシー達を見てです、こんなことを言いました。
「ドロシー王女だけじゃなくて」
「ベッツイ王女にトロット王女」
「オズマ姫までおられるなんて」
 他の狼達もお話します。
「エメラルドの都のお姫様勢揃いなんてね」
「珍しいね」
「かなりレアなことだよ」
「もうね」
「四人全員でおられるなんてね」
「時にはこうしたこともあるのよ」
 ドロシーは狼達ににこりと笑って答えました。
「私達全員で冒険することもね」
「あるんだ」
「じゃあ私達そのレアな場面を目にしているのね」
「それは凄いね」
「幸せなことだよ」
「しかも」
 狼達はおじさんとおばさんも見て言いました。
「ヘンリーおじさんとエマおばさんもおられるしね」
「ドロシー王女のご家族の」
「育ての親のね」
「お二人まで一緒とか」
「名誉市民の五人の子供達もだし」
「激レア中の激レアだね」
「わし等が珍しいというか」 
 おじさんは狼達の言葉を聞いて驚きの声をあげました。
「狼君達が知っているのか」
「私達が村以外の人達に知られているなんて」 
 おばさんも言います、驚きの表情で。
「信じられないわ」
「全くだな」
「私達なんてね」
「只の年寄りの百姓なのにな」
「そうなのに」
「いや、ドロシー王女のご家族だよ」
 先程の若い雄の狼が言ってきました。
「だからだよ」
「それでなのか」
「私達のことを知ってるの」
「もう皆知ってるよ」  
 それこそというのです。
「オズの国の皆がね」
「わし等のことを知っているのか」
「そうなの」
「ドロシー王女のご家族で」
 それでというのです。
「物凄く真面目で質素で謙虚で素朴な人達だって」
「有名なのか」
「オズの国でも」
「そうだよ」
 まさにというのです。
「本当にね」
「そうなのか」
「私達の性格も有名なの」
「そうだよ、そして」 
 それにというのです。
「お二人はいつも村にいるね」
「ああ、そこで農業をやってるよ」
「そうしているわ」
「それで旅行とかは」
「滅多にしないわ」
「そんなお二人にもお会い出来たから」 
 だからだというのです。
「もう劇レア中の激レアだよ」
「そうなのか」
「私達もいて」
「そうだよ」
 まさにというのです。
「お二人にもお会い出来て嬉しいよ」
「いや、会えて嬉しいとか」
「そう言って貰えるなんて」
「恐悦至極だよ」
「本当にね」
 お二人は信じられないといったお顔です、そしてです。
 狼は五人も見てそれでと言うのでした。
「それで君達にも遭えてね」
「嬉しいの」
「僕達にも会えて」
「狼さん達も嬉しいんだ」
「そうなの」
「そう思ってくれてるんだ」
「そうだよ、まさにね」
 それこそというのです。
「奇跡だよ」
「奇跡って」
「僕達普通によく来ていて」
「オズの国のあちこち歩いて」
「それで冒険もして」
「遊んでるけれど」
「いや、君達いつもオズの国にいる訳じゃないね」
 このことを言うのでした。
「それでオズの国の各地を旅してるから」
「こうしてなの」
「会えることがなんだ」
「珍しいんだ」
「狼さん達としては」
「そうなるの」
「そうだよ、僕達はこの森が村で」
 それでというのです。
「出ないからね」
「ああ、狼はね」
「そうだったね」
「基本縄張りから出ないね」
「そうした生きものだったわ」
「基本的に」
「それでこの森に君達が来てくれて会えて」
 そうなってというのです。
「嬉しいんだ」
「そういうことね」
「僕達がこの森に来て」
「それで会えたから」
「喜んでくれるのね」
「そうなんだ」
「うん、ただ君達は別に自分達を偉いとか思っていないね」
 狼達にはこのこともわかりました。
「ヘンリーさんエマさんと同じで」
「偉いってね」
「僕達の何処が偉いのか」
「何も出来ないのに」
「オズの国には凄い人が沢山おられるのに」
「何処が偉いのかな」
「そう思うことはいいことだと思うよ」
 こう五人に言うのでした。
「凄くね」
「そうなのね」
「僕達がそう思うことって」
「凄くいいことなんだ」
「自分達は偉くない」
「そう思うことは」
「偉くないと思うから努力するね」
 そうするというのです。
「だからね」
「いいことなのね」
「自分達は偉くない」
「そう思うからこそ努力する」
「それでなのね」
「いいことなんだね」
「その通りよ」
 オズマも言ってきました。
「そう思うこと自体がね」
「いいことなんですね」
「努力するから」
「そこからさらによくなるから」
「だからいいんですね」
「自分は偉くないって思うことは」
「自分自身を知れば」
 そうすればというのです。
「すぐにわかるわ」
「自分は偉くない」
「誰でもですか」
「そう思いますか」
「自分自身を知ると」
「そうなるんですね」
「そうよ、人間は神様じゃないのよ」
 決してというのです。
「だったら何を出来ても」
「神様と比べるとですね」
「全く何も出来ない」
「そうした存在ですね」
「人間は」
「だから偉くないんですね」
「私なんて一人じゃ何も出来ないわ」
 オズマは自分のことを言いました。
「ドロシーや皆がいてね」
「そうしてこそですか」
「何でも出来るんですか」
「逆に言えばオズマ姫だけだとですか」
「何も出来ないんですね」
「そうなんですね」
「そうよ、何度かピンチになってるでしょ」
 五人にこうも言いました。
「桃になったりして」
「あっ、ノーム王の宮殿でも」
「緑のバッタのおもちゃになったり」
「あとノーム王が攻めて来たり」
「色々ありましたね」
「オズマ姫も」
「そうよ、若し私が偉いなら」
 それならというのです。
「本当によ」
「ピンチもなかったですね」
「それこそ一度も」
「ピンチもなく乗り越えられた」
「そうですね」
「そうなっていたから」
 だからだというのです。
「本当にね」
「偉くないですか」
「オズマ姫も」
「オズの国の国家元首であられても」
「そして魔法が使えても」
「凄い知識や知恵を備えておられても」
「全くよ」
 それこそというのです。
「偉い筈がないわ、だからね」
「努力されていますか」
「もっとよくなろうと」
「偉くないから」
「もっと出来る様になりたいから」
「努力されていますか」
「そうしているわ、スポーツ選手なんかね」
 オズの国のというのです。
「少しでも今よりよくなる為に」
「それこそ毎日ですね」
「汗をかいて」
「そうして努力して」
「活躍しようとされていますね」
「エジソンさんもね」
 発明王と言われているこの人もというのです。
「本当にね」
「凄い努力されていて」
「九十九パーセントの努力」
「そこに閃きが備わって」
「一パーセントのそれが」
「そうしてですね」
「あそこまでなっているのよ、オズの国で自分が偉いと思う人は」
 それこそというのです。
「誰もいないわ」
「そうした国ですね」
「皆ふんぞり返らずに」
「今以上にと思って努力する」
「そうしている国ですね」
「誰もが」
「そうなのよ、だから貴方達もね」 
 恵梨香達五人もというのです。
「これからもね」
「そうは思わないで」
「それで、ですね」
「努力していくことですね」
「それが大事ですね」
「何よりも
「そうよ」
 まさにというのです。
「そのことを忘れないでね」
「そうしていきます」
「今よりよくなる為に」
「ふんぞり返ったりしないで」
「それで、です」
「頑張っていきます」
「そうしてね、じゃああらためてね」
 オズマは今度はにこりと笑って言いました。
「先に進みましょう」
「そうしましょう、じゃあ狼さん達またね」
 ドロシーはオズマに応えて彼等に声をかけました。
「会いましょう」
「うん、またね」
「ドロシー王女達がまた冒険の旅に出たら」
「その時にね」
「会おうね」
「そうしましょう」
 笑顔でお話をしてでした。
 狼達と別れて道をさらに進んでいきます、やがて一行は川の前に出ました、その川を見てでした。
 ドロシーはにこりと笑ってです、皆に言いました。
「この川を下っていけばね」
「そうそう、漁港の街までね」 
 今もドロシーの足下にいるトトが応えます。
「すぐにね」
「行けるわ」
「そうだね」
「だからね」
 それでというのです。
「この川を行き来している」
「船に乗せてもらえれば」
「すぐにね」
 その幅が何百メートルかある川を見て言うのでした。
「行けるわ」
「そうだよね」
「だから」
「うん、ここはだね」
「船が来るのを待ちましょう」
「ドロシーはその船に乗って漁港の街まで行ったことがあるのよね」
 トロットが尋ねました。
「そうよね」
「ええ、何度かね」
「何度もなのね」
「そうなの」
「その貴女が言うなら」
 それならとです、トロットは頷いて応えました。
「間違いないわね」
「そう言ってくれるのね」
「何度も経験して知っている人が言うなら」
 それならというのです。
「問題ないわ」
「それじゃあ」
「ええ、今からね」
 まさにというのです。
「その船を待ちましょう」
「それでどんな船かしら」
 ベッツイはこのことを尋ねました。
「船と一口に言っても色々だけれど」
「ええ、その船はね」
 それはというのです。
「波止場に来るけれど」
「あそこね」
 ベッツイは自分達のすぐ傍にあるそれを見て頷きました。
「あそこに来る船ね」
「六十メートル位の車も乗せられる客船なのよ」
「ああ、客船なの」
「そんなに高くないね」
 船のそれがというのです。
「そうした船なの」
「ちょっとした場所を行き来する遊覧船だね」 
 キャプテンはその船のお話を聞いてこう察しました。
「そうだね」
「ええ、言うならね」
「そうだね、それじゃあね」
「その船が来たら」
「皆で乗って」
「街に行きましょう」
「そうしようね」
「いや、船旅までするなんて」
 ハンクは嬉しそうに言いました。
「いいね」
「そうね」 
 エリカはハンクの言葉にまさにと応えました。
「歩いての旅もいいけれど」
「船旅もいいよね」
「そう思うわ、じゃあね」
「波止場に行ってね」
「船を待ちましょう」
「もうすぐ来るわね」
 ドロシーは携帯電話で今の時間と船が来る時間をチェックして言いました。
「それじゃあね」
「波止場に行って」
「そうしてなのね」
「船を待ちましょう」
 おじさんとおばさんにも言ってでした。
 ドロシーは皆を波止場今皆がいる川の傍丁度向こう岸まで渡るアーチ状の橋の隣にある波止場にです。
 案内しました、するとでした。
 すぐにドロシーが言った位の大きさの青いマンチキンの色の遊覧船が来ました、皆その船に乗り込むとすぐにでした。
 船は出発しました、そして川を下りはじめますが。
「今度は船旅なんて」
「素敵ね」
 おじさんとおばさんは席に座って左右の川とそこから見える景色を眺めながら嬉しそうに言いました。
「森もよかったけれど」
「川もな」
「それでこの船で川を下って」
「漁港の街に行くんだな」
「そうよ、それで着いたらね」
 ドロシーは二人に答えて言いました。
「次はね」
「どうするんだい?」
「街に着いたら」
「まずはホテルに入って」
 そうしてというのです。
「そこで少し休んでから」
「食べに行くのかい」
「そうするのね」
「そうよ」
 まさにというのです。
「それからはね」
「そうなんだな」
「ホテルに入るのね」
「そのホテルがまた素敵なの」 
 笑顔でお話するドロシーでした。
「宮殿みたいなのよ」
「宮殿だって!?」
「それはまた凄いわね」
 お二人もお話を聞いて驚くことでした。
「私達そんなホテルに泊まったことないわ」
「そもそも旅行自体殆ど行かないしな」
「いつもお家にいて」
「それで二人で暮らしているだけだからな」
「けれど旅行に出たら」
 それならというのです。
「そうした楽しみもね」
「あるんだな」
「そうなのね」
「そうなの、だからね」
 それでというのです。
「そちらのこともね」
「楽しめばいいか」
「ホテルも」
「そうして。皆でロイヤルスイートに泊まるから」
 そのお部屋にというのだ。
「豪華なホテルの中でもね」
「豪華なのか」
「特になのね」
「そのお部屋に泊まって」
 そうしてというのです。
「街の海の幸や川の幸をね」
「食べていくか」
「そうするのね」
「そうしましょう」
 ドロシーも景色を楽しんでいます、そのうえでお二人にお話しましょう。
「是非ね」
「うん、じゃあね」
「街に行きましょう」
 お二人も笑顔で頷きました、そしてです。
 船は川をどんどん下っていってでした、そのうえで。
 水門の前に来ました、水門の左右は青い城壁で囲まれていてその向こうには見事な街並みも見えます。その街並みを見てでした。
 お二人は目を輝かせてです、こう言いました。
「これは凄い街だな」
「そうね」
「大きな水門があってな」
「見事な城壁もあって」
「その向こうに見える街の何と見事なこと」
「こんな街もそうそうないわね」
「オズの国じゃよくあるわよ」
 ドロシーは目を見開いて感嘆しているお二人に答えました。
「これ位の街はね」
「そうなのか」
「他にもこうした街が沢山あるのね」
「ええ、オズの国は広くて」
 そうしてというのです。
「沢山の街や村があってね」
「そうしてか」
「こうした街も沢山あって」
「驚くことはないんだね」
「そうなのね」
「外の世界のニューヨークやロサンゼルスみたいな街がね」
 それこそというのです。
「結構あるのよ」
「ニューヨークか」
 おじさんは外の世界にいた頃のことを思い出しまして言いました。
「あの街は一度行ったことがあったけれどな」
「まだカンサスにいた頃にね」
「今のニューヨークはあの頃よりもだな」
「ずっと凄くなって人もね」
「多くなっているな」
「ええ、それでそのニューヨークと同じ位の街もね」
「オズの国に幾つもあってか」
「そしてね」
 そのうえでというのです。
「繁栄しているの、そしてこの漁港位の街もね」
「多いか」
「今のオズの国にはね」
「そうなんだな」
「それじゃあこの街にね」
「今から入って」
「船を降りて」 
「港でか」
「ええ、そうしてね」
 そのうえでというのです。
「ホテルまでね」
「行くか」
「そうしましょう」
「川の上にいるのに」
 それでもと言う恵梨香でした。
「潮の匂いがするわね」
「ええ、海が近いからね」 
 ナターシャは恵梨香のその言葉に微笑んで頷きました。
「その匂いもするわね」
「ここからだと海はまだ見えないけれど」
 それでもと言うカルロスでした。
「近いのは確かだね」
「この街にいたら」 
 それならと言うジョージでした。
「海の幸が楽しめるね」
「そして川に近くに湖もあるから」 
 神宝はそちらも見ています。
「川の幸も豊富に食べられるね」
「そうよ、だからね」  
 それでというのです。
「まずはこれからね」
「港で船を降りて」
「そしてですね」
「ホテルに入って」
「そうしてからですね」
「食べに行きますね」
「そうしましょう」
 ドロシーは五人にも言いました、そうしてです。
 皆を乗せた船は水門を潜って街に入りました、川は街の中も流れています。その街並みはといいますと。
「凄く賑やかね」
「そうね」
 ベッツイとトロットはその街並みを見てお話しました。
「沢山の人達が明るく働いていて」
「建物も建て並んでいて」
「それでね」
「凄くいい感じね」
「そうよね」
 二人でさらに言うのでした。
「私達もこの街に来たことがあるけれど」
「それでもね」
「前よりも繁栄していて」
「いい感じになってるわね」
「この街はこうなのよ」
 ドロシーは二人に笑顔でお話しました。
「オズの国自体がそうだけれど」
「どんどんよくなっていくのね」
「日に日に」
「それでよね」
「私達が前に来た時よりいいのね」
「そうよ、皆漁をして」
 魚介類をというのだ。
「それを加工してね」
「食べられる様にしているわね」
「売ってるお店も多いわね」
「ホテルもあるし」
「レジャー施設も充実しているわね」
「公園やスーパー銭湯やビーチもあるからね」
 この街にはというのです。
「だからね」
「ええ、そうした場所もね」
「楽しめばいいわね」
「そうよ」 
 まさにというのです。
「街ではね」
「食べるだけじゃないんだね」
 キャプテンも聞いてきました。
「この街では」
「そうなの、プールもあるし」
「ビーチもあって」
「泳ぐこともね」
「出来るんだね」
「そうなの、身体も動かしたら」
 そうすればというのです。
「余計にでしょ」
「食べものが美味しくなるね」
「そうなるから」
 だからだというのです。
「ここはね」
「是非だね」
「色々と楽しんで」
 街にあるものをというのです。
「それでね」
「食べることもだね」
「楽しむの、魚介類を使ったお料理なら」 
 それならというのです。
「あらゆるお料理がね」
「ある国だね」
「ほら、たこ焼き屋さんもあるでしょ」
 ドロシーは船から見える街の中に屋台を見付けて言いました。
「ああしたものもね」
「食べられるんだね」
「そうなの」
 まさにというのです。
「この街はね」
「それじゃあ」
 キャプテンは笑顔で応えました。
「身体も動かして」
「色々なものを楽しんで」
「そのうえでね」
「食べていきましょう」
「そうしよう」
「たこ焼きか」
 おじさんはその出店を見てとても興味深そうに言いました。
「一体どんな味か」
「興味があるわね」
 おばさんも言いました。
「お隣のお店のいか焼きも」
「どんなものかな」
「それじゃあね」 
 ドロシーはお二人のお話を聞いて笑顔dで応えました。
「まずはね」
「たこ焼きにいか焼きか」
「そちらを食べるのね」
「そうしましょう、勿論お寿司も食べるけれど」
 それだけでなくというのです。
「そうしたものもね」
「うん、食べよう」
「そうしましょう」 
 笑顔でお話してでした。
 そして皆で港に着くと船を降りました、漁港での楽しい日々がはじまるのでした。








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