『オズのヘンリーおじさん』




                第三幕  お二人のお家で

 一行はヘンリーおじさんとエマおばさんが住んでいる村に着きました、村は緑のアメリカのお家が立ち並ぶエメラルドの都によくある村です。
 緑の服を着た人達が幸せそうに農業そしてそれぞれのお仕事に勤しんでいます、携帯電話を使っている人もいて自動車も走っています。
 そんな村の中に入ってです、トロットは言いました。
「別にね」
「昔なところはないわね」
 ベッツイも言います。
「この村には」
「今のオズの国の村ね」
「アメリカ風のね」
「わし等が外の世界にいた頃よりずっと進歩しているよ」
 キャプテンは唸って言いました。
「あの頃は自動車なんて物凄く少なくてね」
「携帯電話なんてなかったしね」
 ハンクも言います。
「今お空にジェット機が飛んでるけれど」
「飛行機はまだ複葉機で」
「全然ね」
「今とは違っていたよ」
「そうだったね」
「だからおじさんとおばさんもだよ」
 トトは村の子供達が遊びながらアニメのお話をしているのを聞きながら言いました、今もドロシーの足下をとことこと歩いています。
「パソコンや携帯電話を持っていてね」
「使っているのね」
「お家にはテレビもあってね」
 トトは横を歩いているエリカに言いました。
「それでだよ」
「そうした暮らしなのね」
「今はね」
 そうだというのです。
「だからお仕事もトラクターとか使って」
「今の農具を使っているのね」
「機械のね」
「物凄く便利になったって言ってるわ」
 ドロシーも言います。
「カンサスにいた頃と比べると」
「オズの国は魔法も公にあってね」
 オズマが応えます。
「科学と一緒に使われているし」
「独特の技術があるわね」
「そこに今は錬金術や仙術も入ってね」
「かなりのものになっているわね」
「そしてね」 
 オズマはドロシーにさらに言いました、自分達の横の緑の木に止まっているリョコウバト達を観ながら。
「アメリカの影響も受けるから」
「外の世界の技術にオズの国の技術が合わさって」
「素晴らしいものになってるわ」
「ヘンリーさんとエマさんもよね」
「その中で暮らしているわ」
「だからカンサスにいた頃とはまた違うわね」
「そうした生活だけれど」
 それでもというのです。
「それでもね」
「お二人は質素だから」
「昔ながらの生活をね」
 今もというのだ。
「送っているわ」
「そうなのね」
「カンサスにいた頃の食生活はね」
 ドロシーとトトを含めてです。
「本当にね」
「質素で」
「あるものをで」
「お二人は今もなのね」
「ピューリタン的?」 
 ドロシーは考えるお顔で言いました。
「キリスト教で言う」
「オズの国にも今はキリスト教入ってるけれど」
「ええ、けれどあれするなこれするなはね」
「言わないわね」
「それでそのキリスト教の一派で」
「ピューリタンの人達もいるわね」
「あの人達凄く質素で真面目で」
 そうした教えでというのです。
「おじさんとおばさんはピューリタンじゃないけれど」
「かなり質素で真面目で」
「そうした人達で」
 それでというのです。
「今もね」
「昔ながらのところがあるのね」
「そうなの」
 まさにというのです。
「あの人達は。だから」
「食べるものも」
「流石にカンサスにいた頃みたいなあるものを食べるんじゃないけれど」  
 それでもというのです。
「質素なのはそのままで」
「魚介類も」
「贔屓目で見てもあまりで」
 食べていなくてというのです。
「それでね」
「そのうえでなのね」
「お寿司とか和食とか中華の」
「お料理を食べてもらうわね」
「魚介類を使ったね、だからこそ」
「今からね」
「おじさんとおばさんに会って」
 そうしてというのです。
「冒険の旅に出て」
「漁港でよね」
「堪能してもらうわ」
 魚介類を使ったお料理をというのです。
「是非ね」
「ドロシーのお話なら聞いてくれるわ」
 トロットは笑顔で言いました。
「貴女はお二人にとって娘でしょ」
「育ててくれたね」
「それならよ」
「大丈夫ね」
「お話聞いてくれるわ」
「しかも今刈り入れとか終わったのね」
 このことはベッツイが言ってきました。
「それならね」
「忙しくもないし」
「大丈夫よ」
「僕もそう思うよ」
 ハンクはベッツイと一緒に歩きつつドロシーに言いました。
「いい条件が揃っているから」
「私達と一緒に来てくれるのね」
「冒険の旅とは無縁みたいだけれど」
 それでもというのです。
「お二人はね」
「たまには旅行に出てもいいしね」
 ドロシーはハンクに応えました。
「それじゃあね」
「うん、是非ね」
「行きましょう」
「それじゃあね」
「ただここで決め手が欲しくない?」
 ハンクはここでこうも言いました。
「大丈夫と思っていても」
「確実にする為に」
「何かね」
「決め手ね、何がいいかしら」
「それが問題ね」
「決め手、ですか」 
 恵梨香はドロシー達の今のお話に考えるお顔になりました。
「それですか」
「ドロシーさんの誘いで」
 そこでと言うジョージでした。
「魚介類の美味しさと冒険の旅の楽しさもですね」
「そうしたことをお話したらかなりですね」
 神宝も言います。
「いけますよ」
「ただそこに決め手となると」
 カルロスも考えるお顔になっています。
「何がいいでしょうか」
「ぢょっと考えますね」
 ナターシャも真剣に考えています。
「どうも」
「どうしたものかしら」
 ドロシーはその決め手について考えました。
「一体」
「魚介類を楽しんでもらう為に冒険の旅の誘うんだね」
 またハンクが言ってきました。
「じゃあそこから考えたらどうかな」
「そうね」
 ドロシーはハンクのその言葉に頷きました、黄色い煉瓦の道村の中の底を歩く皆の左右の田畑ではトラクターに乗った人達がいてです。
 草刈り機で草を刈って牛や馬と一緒に働いている人達もいます、鶏や家鴨、豚の世話をしている人達もいます。
 そうした人達やお仕事を観つつです、ドロシーは考えました。
「そこから考えるべきね」
「そうだね」
「だったら」 
 ドロシーはここで閃きました。
「実際におじさんとおばさんに」
「魚介類を食べてもらう」
「そうしますか」
「それを決め手にしますか」
「実際に食べてもらって」
「美味しいことをわかってもらいますか」
「私が魚介類好きになったのも」
 恵梨香達五人に答えました。
「食べてからだしね」
「魚介類をですね」
「ドロシーさんご自身が」
「そうされたからで」
「それまではですね」
「ドロシーさんもですね」
「美味しさを知らなくて」
 魚介類のそれのです。
「好きではね」
「なかったですね」
「食べる前は」
「味を知らなくて」
「その美味しさを」
「だからですね」
「そうだったわ、おじさんとおばさんも」
 お二人もというのです。
「そうね、それなら」
「食べてもらいますか」
「お二人に」
「そうしてもらいますか」
「今回は」
「それが決め手になりますか」
「そうなるわ、そしてその決め手のお料理は」
 それはといいますと。
「何と言ってもお寿司ね」
「ドロシーさんが大好きな」
「あのお料理ですね」
「今回最初にお話に出た」
「あのお料理ですね」
「そちらにしますね」
「握り寿司や巻き寿司を出して」
 そしてというのです。
「食べてもらうわ」
「そしてですね」
「その美味しさを知ってもらう」
「お寿司ひいては魚介類の」
「そうして漁港に行くことを誘いますね」
「美味しい魚介類が食べられるそちらに」
「そうしてもらうわ、じゃあね」
 ドロシーは確かな声で言いました。
「これからね」
「お二人のお家に行って」
「そしてですね」
「お寿司を出しますね」
「食べてもらって」
「誘いをかけますね」
「そうするわ」
 こう言ってでした。
 ドロシーは皆をお二人のお家の前に案内しました、そのお家は緑のエメラルドの都の色の二十世紀初頭のアメリカの村のお家でした。
 そのお家を見てです、トトは言いました。
「本当にね」
「昔からね」
「おじさんとおばさんのお家は変わらないね」
「そうよね」
 ドロシーはトトの言葉に頷きました。
「もうどんなお家も建てて住めるのに」
「もっと大きくて立派なお家にね」
「プール付きのとても大きなね」
「そんなお家にもね」
「住めるのに」
「おじさんとおばさんはね」
 お二人はというのです。
「今もね」
「こうしたお家なのよね」
「二人で住んで」
 そしてというのです。
「それで普通に暮らせるなら」
「これ位でいいって言って」
「こうしたお家なのよね」
「流石にカンサスの頃よりずっといいお家だけれど」
 それでもと言うトトでした。
「今のオズの国の基準から見たら」
「かなり質素ね」
「そうだよね」
「あの」 
 ここで恵梨香が言ってきました。
「昔日本のお家って兎小屋って言われていました」
「そうだったの」
「物凄く小さくて」
 それでというのです。
「そんな風にです」
「言われていたのね」
「そうでしたけれど」
 こうドロシーに言うのでした。
「昔は」
「じゃあこのお家もかしら」
 ドロシーは恵梨香の言葉を受けて思いました。
「小さいから」
「兎小屋ですか」
「少なくとも今のオズの国ではね」
「小さいお家ですか」
「結構以上にね」
「そうだよね」
 またトトが言って来ました。
「このお家は」
「そうよね、おじさんとおばさんはいいっていうけれど」
「質素だって言うとね」
「かなりよね」
「そうだね、まあ扉を開けたらベッドと簡単なキッチンがあるだけの」
 そうしたというのです。
「他には何もないね」
「そうしたお家じゃないわ」
「カンサスにいた頃みたいな」
「二階建てでキッチンとリビングとね」
 ドロシーはトトにお話しました。
「おトイレとバスルーム寝室に書斎もあって」
「お外に物置があってね」
「ガスも水道も電気も通っている」
「そうしたお家だからね」
「パソコンもあるし」
「あの頃とは全く違うよ」
「こうしたお家でもね」
「そうね、それじゃあ」
 ドロシーはあらためて言いました。
「お家のベルを鳴らして」
「そしてね」
「おじさんとおばさんに会いましょう」
「これからね」
 こうお話してでした。
 ドロシーは玄関、お家とお庭があって壁に覆われたその正面にあるボタンを押しました。するとです。
 玄関のボタンがあるベルのところからです、お年寄りの女の人の声が聞こえてきました。穏やかで優しい感じの声です。
「どなた?」
「私よ」
 ドロシーはその声の人に答えました。
「おばさん、おじさんもいるかしら」
「あら、ドロシーなのね」
「ええ、映像でも出てるわね」
「今点けたわ」
 映像のそれをというのです。
「さっきまで切っていたわ」
「もう、今はね」
「玄関の映像もよね」
「あるから」
 だからだというのです。
「ちゃんと点けてね」
「ええ、それじゃあ」
「お願いね、それでおじさんもいるかしら」
「今お家の中でパソコンと向かい合ってるわ」
「お仕事で?」
「収穫とかは終わったけれど」
 それでもというのだ。
「管理データの入力をしてるの」
「そうなのね」
「それが終わったら」
 そうなると、というのです。
「暫くはかなり暇よ」
「それなら丁度いいわ」
 ドロシーはおばさんのお話を聞いてにこりとなりました。
「今からお家に入っていいかしら」
「いいわよ、あらオズマ姫もおられて」
 おばさんは映像を見て言いました。
「他の人達もね」
「一緒よ」
「そうよね」
「それがどうしてかもお話するから」
 だからだというのです。
「今から皆と一緒にね」
「お家の中になのね」
「入れてくれるかしら」
「いいわよ」 
 これがおばさんの返事でいsた。
「それじゃあね」
「ええ、お邪魔するわ」
「只今でしょ」
 おばさんは笑ってこう返しました。
「だってここはあんたのお家よ」
「おじさんとおばさんがいるから」
「あんたのお家はエメラルドの都の宮殿もで」
 それでというのです。
「ここもね」
「私のお家ね」
「だからね」 
「お邪魔しますじゃなくて」
「只今よ」 
 この挨拶になるというのです。
「そうなるわ」
「そね、言われてみれば」
「そうでしょ、あんたとトトはね」
「じゃあ」
「ええ、言ってね」
「只今」 
 ドロシーは笑顔で挨拶を訂正しました、そして玄関の扉を開けて皆をトトと一緒に先導してお家の中に入ってです。
 そうしてお家の中に入るとでした。
 おばさんそしておじさんそれぞれエメラルドの都の色である緑色のオズの国の民族衣装を着たお二人がです。
 皆を笑顔で迎え入れてコーヒーを人数分出してくれてです、そのうえで皆の挨拶を受けてからリビングでドロシーのお話を聞きますが。
 まずはおじさんがです、こう言いました。
「お魚かい」
「あと貝や海老ね」
「蛸も烏賊もか」
「海の幸をなの」
「ええ、どうかしら」
 ドロシーはお二人に言いました。
「これからね」
「ドロシーの誘いか」
「それならね」
 お二人はドロシーの言葉にこう反応しました。
「是非ね」
「行かないとな」
「丁度お仕事も一段落したし」
「暇だしな」
「けれど冒険の旅ね」
「それで魚介類を食べるのか」
 お二人は考えるお顔で言いました。
「わし等も」
「皆と一緒に」
「どうかしら」
 ドロシーはお二人に尋ねました。
「それで」
「だから断る理由はないよ」
 おじさんが笑顔で答えました。
「ドロシーが誘ってくれるなら」
「そう言ってくれるのね」
「ドロシーはわし等の娘だ」
「そのことは変わらないから」
 それでと言うおばさんでした。
「そのドロシーのお誘いならね」
「どうして断るか、しかし」
 おじさんは心配そうに言いました。
「わし等は魚介類はな」
「昔から殆ど食べたことはないわ」
 おばさんも言います。
「カンサスにいた頃から」
「カンサスにいた頃はあるものばかり食べてのう」
 おじさんもこう言うのでした。
「あれが食べたいこれが食べたいとかな」
「贅沢言えなかったわね」
「そしてオズの国に来ても」
「結構昔ながらのお食事よね」
「ああ、お肉や色々なものを食べられる様になってもな」
「その時食べたいと思うものを」
「調味料や香辛料もふんだんに使えて」
「夢の様な生活だよ」
 おじさんは満ち足りた笑顔で言いました。
「本当に」
「そうよね、今は村のお店にも行って」
「それで楽しめるしな」
「満足してるわね」
「何も不自由なくな」
「お食事もそうで」
 おばさんはここでリビングのテレビを見て言いました、今は電源が切られていて画面は真っ黒です。
「電気があってテレビが観られて」
「ラジオどころかね」
「パソコンもある」
「携帯電話だってね」
「水道もガスも通っていてな」
「何時でもお風呂が入られるし」
「洗濯も好きなだけ出来て」
 家事のお話もします。
「食器洗いだってな」
「自由に出来るわ」
「新鮮なお水を飲めて」
「何の不自由もないわ」
「いや、こんな幸せになるなんてな」
 おじさんは機微を捻りつつ言いました。
「まさにお伽の国だよ」
「そうよね」
「そこで魚介類を食べに行くのか」
「どうなのかしら」
「殆ど食べたことがないし」
「そうしたものを食べるのは不安も感じるわ」
「不安を感じるなら」
 それならとです、ドロシーはお二人に言いました。
「今から食べましょう」
「今からか」
「魚介類を食べるの」
「そう、お寿司をね」
 こちらをというのです。
「食べましょう」
「そうか、お寿司をか」
「今からなのね」
「食べましょう」
 お二人にこうも言いました。
「魔法のテーブルかけから出すから」
「お寿司か、そういえばな」
「はじめて食べるわね」
 お二人は今度はお顔を見合わせてそれぞれ言いました。
「オズの国に来て長いけれど」
「それでもな」
「和食自体ね」
「殆ど食べないしな」
「お肉やお菓子は食べても」
「昔ながらのものが多いな」
 その食生活のお話をするのでした。
「わし等が食べるものは」
「昔のアメリカ料理よね」
「ハンバーガーやチキンナゲットもあまりないな」
「ええ、アイスクリームだってね」
「お菓子は食べてもな」
「昔のものよ」
「ピザだってな」 
 このお料理もというのです。
「あまり食べないな」
「パスタだってね」
「いや、昔のアメリカ料理はね」
 ドロシーは困った笑顔になって応えました。
「もう離れて」
「今のお料理か」
「それを食べるべきなのね」
「他の国のお料理もね、今のオズの国の料理は今のアメリカ料理以外もあって」
 それでというのです。
「色々食べられるから」
「和食だけでなく中華料理もありますし」
 トロットも言います。
「フランス料理イタリア料理もあって」
「メキシコやスペイン、ドイツのお料理もありますよ」
 ベッツイもお二人に言いました。
「色々な国のお料理が」
「本当に色々な国のお料理があって」
 それでと言うハンクでした。
「楽しめるからね」
「だから何でも食べられるのよ」
 エリカもお二人に言います。
「昔ながらのお食事以外にも」
「だからドロシーの言う通りにね」
 トトは家族としてです、お二人に言いました。
「ここはお寿司を食べようね」
「美味しいですよ」
 キャプテンはお二人に笑顔でお話しました。
「お寿司は」
「茶碗蒸しとかも出して」
 それでと言うオズマでした。
「色々楽しめばいいわね」
「そうね、じゃあ最初からご馳走するつもりだったし」
 それでと言うドロシーでした。
「今からお寿司出すわね」
「そうしようね」
 トトが応えました。
「ここは」
「ええ、それでね」 
 ドロシーはトトにさらに言いました。
「オズマが言う通り茶碗蒸しもね」
「出すね」
「お寿司にはね」
「茶碗蒸しも欠かせないからね」
「あちらも出して」
 そしてというのです。
「そのうえでね」
「楽しんでもらおうね」
「お寿司をね」
「果たしてどんな味か」
「食べたことないけれど」
 おじさんとおばさんは不安そうに言いました。
「ドロシーが言うなら」
「食べてみるか」
「ええ、これからね」
「ドロシーが言うなら心配いらないしね」
 お二人はドロシーにこう応えてでした。
 ドロシーはそれを受けて自分のテーブルかけから皆の分のお寿司握り寿司や巻き寿司をかなりの種類と量を出してです。
 人数分の茶碗蒸しも出しました、それでお二人に食べてもらいますと。
「何と、これは」
「物凄く美味しいわ」 
 お二人はそれぞれお寿司を食べたその瞬間に目を丸くさせました。
「こんな美味しいものがあったのね」
「いや、凄いな」
「鮪美味しいわ」
「ハマチもな」
「いや、どれも美味しいですよ」 
 恵梨香は鰻を食べて言いました。
「この鰻も」
「平目もです」
 ナターシャはこちらを食べています。
「最高ですよ」
「コハダだって」
 神宝はこのネタに舌鼓を打っています。
「物凄く美味しいです」
「鮭もいいですよ」
 カルロスはこのネタを満面の笑顔で食べています。
「何とも言えない味です」
「いや、鰯の美味しいこと」
 ジョージは満面の笑みを浮かべています。
「これ以上はないまでです」
「いや、どれも美味しいよ」
「そうよね」 
 お二人は食べつつ言いました。
「トロも鳥貝も」
「蛸や烏賊も」
「どれもはじめて食べるけれど」
「美味しいものばかりだよ」
「タラの白子もいいし」
「ほたても赤貝も」
「美味しいものばかりだよ」
 どんどん食べつつ言います、そしてです。
 おじさんはその中で河豚も食べて言いました。
「河豚もはじめて食べたが」
「確か外の世界だと毒があるのよね」 
 おばさんも言います。
「それで迂闊に食べられない」
「そうだよな」
「けれど食べてみたら」
 おばさんも河豚の握りを食べて言います。
「これがな」
「河豚も美味しいわね」
「そうだな」
「凄くね」
「そう、これがお寿司で」
 ドロシーは海老を食べながらお二人にお話しました。
「病みつきになるでしょ」
「どれも美味しくてな」
「本当にね」
「お寿司もいいが」
「魚介類自体もね」
「そう、これが魚介類で」
 ドロシーはお二人にさらにお話しました。
「これからね」
「漁港まで行ってか」
「楽しむのね」
「そうしてもらうのよ」
「いや、蛸が美味しくて」
 オズマはにこりと笑って言いました。
「たまらないわ」
「そうよね、蛸とか烏賊って美味しいわ」
「お魚にも負けない位にね」
 トロットとベッツイも蛸を食べつつ応えます。
「貝類もそうで」
「海老だってね」
「もう海の幸はどれもね」
「最高よ」
「そうだね、しかしお寿司には色々あって」 
 それでと言うおじさんでした。
「卵焼きや納豆もあるけれど」
「こうしたものも美味しいわ」
 おばさんは河童巻きを食べて言いました。
「胡瓜だってね」
「こうしたお寿司もな」
「凄くいいわね」
「そう、お寿司は奥が深いの」
 まさにと言うドロシーでした。
「それでその漁港ではね」
「こうしたお寿司もか」
「食べられるのね」
「中華料理、イタリア料理、フランス料理、スペイン料理でもね」 
 こうしたお料理達でもというのです。
「食べられるの、アメリカ料理でもね」
「食べられるのか」
「そうなのね」
「昔ながらのアメリカ料理でなくて」 
 そうでなくというのです。
「今のアメリカ料理はね」
「魚介類もか」
「食材であるのね」
「そうなっているの、昔ながらのカンサスのお料理はそうだとしても」
 お二人が食べている様なというのです。
「けれどね」
「それでもだね」
「今のアメリカ料理はなのね」
「そうなっているから」
 だからだというのです。
「漁港ではね」
「魚介類を使ったアメリカ料理もか」
「食べるのね」
「そうしましょう」
 ドロシーは大トロを食べつつお二人にお話しました。
「これからね」
「こんな美味しいものが食べられるなら」
「折角のドロシーのお誘いだし」
 お二人もそれでと応えます。
「今からね」
「行かせてもらうか」
「留守番をしっかりして」
「そのうえでな」
 こうお話してでした。
 お二人は早速お家の戸締りをしてそのうえで出発することにしました、それでまずはお寿司を食べ終えたのですが。
「いやあ、満足したよ」
「本当にね」
 満面の笑顔でお話しました。
「こんな美味しいものがあるなんて」
「思わなかったな」
「お寿司最高だったわ」
「全くだ」
「生のお魚も食べたことがなくて」
「お米も殆どな」
「茶碗蒸しだってね」
 こちらもというのです。
「そうだったけれど」
「それがな」
「最高だったわ」
「また食べたい位だよ」
「その食べたいと思う気持ちがよ」
 まさにと言うドロシーでした。
「大事でね」
「それでだな」
「これから食べに行くのね」
「そうしましょう、その漁港は新鮮な魚介類が海から沢山獲れて」
 そうしてというのです。
「川の幸だってね」
「獲れてか」
「沢山食べられるのね」
「そうなの」
 そうした街だというのです。
「鯉とか鮎とかうぐいもね」
「そうしたものもか」
「食べられるのね」
「何なら蛙やすっぽんもね」
 こうしたものもというのです。
「食べられるわ」
「ああ、蛙は食べたことがあるが」  
 それでもと言うおじさんでした。
「あまりな」
「なかったの」
「そうだったな、しかし蛙は美味いな」
「鶏肉みたいな味でね」
「その蛙も食べられるのか」
「そうなのよ」
「ああ、蛙って食べられますね」
 恵梨香がお話を聞いて思い出したみたいな口調で言ってきました。
「そうですね」
「ええ、それで美味しいのよ」
「私実はです」
「食べたことがないの」
「いえ、あるにはあるんですが」
 それでもというのです。
「殆どです」
「食べたことがなかったの」
「そうなんです」
「日本ではあまり食べないのね、蛙は」
「そうですね、すっぽんは食べても」
 こちらの生きものもというのです。
「高級で」
「あまり食べられないのね」
「そうです」
「日本ではそうなのね」
「はい、それで私川の生のものは」
 恵梨香はさらに言いました。
「お父さんとお母さんが食べていいと言った場合しかです」
「食べられないの」
「外の世界だと虫がいまして」
「川のお魚には」
「ですから」
 その為にというのです。
「お父さんとお母さんがいいと言わないと」
「食べられないの」
「何でも凄く清潔なお水の中にいるか」
 若しくはというのです。
「冷凍したものでないと」
「鯉とか食べられないの」
「そうなんです」
 外の世界ではというのです。
「危ないから」
「そうした事情があるのね」
「そうです、ですが鯉も美味しいですね」
 こちらのお魚もというのです。
「鮎も」
「そうしたものもね」
「凄く美味しくて」
 それでというのです。
「私大好きです」
「恵梨香は鮎も好きなのね」
「はい、鮎を焼いたものも」
「じゃあ鮎もね」
「ヘンリーさんとエマさんにですね」
「食べてもらうわ、いや他にね」
 さらに言うドロシーでした。
「ブイヤベースとかもね」
「食べてもらいますね」
「シーフードを使ったパスタも」
 こうしたものもというのです。
「イカ墨とかペスカトーレとかね」
「そうしたものをですね」
「あと蟹とクリームのものも」
「そうしたものも」
「食べてもらって」
 そしてというのです。
「満喫してもらうわ」
「色々なものをですね」
「一口の魚介類のお料理といっても」 
「沢山ありますね」
「この前中華料理でも食べたけれど」
「冒険をはじめてすぐに」
「中華料理のものも多いから」
 だからだというのです。
「おじさんとおばさんが満足するまで」
「漁港の街に留まってもらって」
「魚介類のお料理を色々とね」
「楽しんでもらいますね」
「海のものも川のものも」
 両方というのです。
「そうしてもらおうかしら」
「そうね、そうしてもらうべきね」
 是非にとです、オズマも頷きました。
「ここは」
「そうよね」
「時間はあるし」
「おじさんとおばさんにはね」 
 お二人はというのです。
「好きなだけね」
「その街にいてもらって」
「そしてね」
「満喫してもらうのね」
「もう三食ね」
 それこそというのです。
「魚介類を使ったもので」
「色々食べてもらって」
「そしてね」
 それでと言うドロシーでした。
「満足してもらいましょう」
「いや、そこまでしてくれるか」
「それは凄いわね」
 お二人もお話を聞いて笑顔で応えました。
「流石ドロシーね」
「わし等の為にそこまでしてくれるなんてな」
「当然よ、おじさんとおばさんは私にとって家族なのよ」
 ドロシーはお二人に確かな声で答えました。
「それならね」
「当然か」
「そうなのね」
「そうよ」
 そうしたことをすることはというのです。
「だからね」
「もう遠慮することはないから」
 トトも言って来ました。
「全くね」
「そうよね」
「うん、家族の間ではね」
「遠慮は無用よ」
「というかおじさんもおばさんも」
 トトはこうも言いました。
「遠慮がちだよね」
「カンサスにいた頃からね」
「いつもね」
「それがね」
 どうにもというのでした。
「僕達としてはね」
「困るのよね」
「遠慮されるとね」
「オズの国では遠慮は駄目よ」
 オズマはこのことを言いました。
「だからね」
「それで、ですか」
「私達もですか」
「遠慮しないで」 
 それでというのです。
「漁港ではね」
「魚介類をですか」
「満喫していいんですね」
「そうよ、好きなだけね」
 それこそというのです。
「そうしてね、ではね」
「今からですね」
「行くんですね」
「そうしましょう」
 戸締りをした後はというのです。
「是非ね」
「わかりました、それでは」
「遠慮せずに行かせてもらいます」
「そうしましょう」
 笑顔で言ってでした。
 皆で戸締りを手伝ってそうして出発となりました、その出発の時にトトはこんなことを言いました。
「さて、今からね」
「あらためて出発よ」
 ドロシーが応えました。
「漁港までね」
「そうするね」
「それでね」 
 ドロシーはさらに言いました。
「それまでの旅もね」
「楽しくだね」
「進めていきましょう」
「漁港に行くまでもだね」
「楽しいものにしないとね」
「折角だからね」
「そう、漁港まで行くにしても」  
 それでもというのです。
「楽しく行きましょう」
「それじゃあね」
 トトも頷いてそうしようと答えました。
「何かとね」
「楽しくしましょう」
「おじさんもおばさんもね」
 お二人共というのです。
「旅はね」
「殆どだよ」
「したことないわ」
 二人も実際にと答えます。
「これまでね」
「カンサスにいた頃は全くだったし」
「ずっとあそこにいて」
「それで今もだよ」
「ずっと農業をしているから」
「そうよね、だったら尚更ね」 
 ドロシーはお二人に笑顔で応えました。
「楽しいものにさせてもらうから」
「だったらな」
「期待させてもらうわね」
「是非共ね」
 笑顔で言葉を返してでした。
 ドロシーは皆と一緒に出発しました、今楽しい旅があらためてはじまりました。








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