『オズのヘンリーおじさん』




                 第一幕  人手が急に

 ドロシーはカンサスにいた時はヘンリーおじさんとエマおばさんと一緒に住んで育ててもらっていました、今エメラルドの宮殿の中で恵梨香達五人にその時のことをお話しています。
「周りは何もなくてね」
「大平原で、ですね」
「畑だけがあって」
「ドロシーさん達は一軒のお家に住まれて」
「それで、ですね」
「ずっと過ごされてましたね」
「そうよ、何もなかったけれど」
 五人に笑顔でお話しています。
「あの時もね」
「楽しかったんですね」
「ヘンリーさんエマさんといつも一緒で」
「それでトトもいて」
「幸せだったんですね」
「カンサスでも」
「大変なこともあったけれど」
 それでもというのです。
「幸せだったわ」
「あの、思えばです」
 恵梨香が言ってきました。
「竜巻があって」
「それに乗ってでしたね」 
 ジョージも言いました。
「そのお家ごとオズの国に来られて」
「そこからでしたね」
 次に言ったのは神宝でした。
「ドロシーさんとオズの国の縁が出来ましたね」
「そう思いますと」
 それならと言ったのはナターシャでした。
「カンサスにおられたから」
「オズの国に来られましたね」 
 カルロスはドロシーに言いました、今は皆で宮殿の中の一室のテーブルに座って一緒にお茶やお菓子を楽しんでいます。
「そうですね」
「そうね、若しカンサスにいなかったら」
 ドロシーもそれはと答えます。
「オズの国にも来られなかったかも知れないわ」
「そうだよね」
 ドロシーが抱いているトトも言ってきました。
「今思うとね」
「そうよね」
「おじさんおばさんと一緒に暮らしてて」
「そこからオズの国に行くことになったから」
 だからだと言うドロシーでした。
「本当にね」
「僕達はカンサスにいてよかったね」
「おじさんおばさんと」
「そうだね、それでね」
 トトはさらに言いました。
「今はおじさんとおばさんも」
「オズの国で暮らしているわ」
「そうなったね」
「もうすっかりオズの国に馴染んで」
 そうなってとです、ドロシーは言いました。
「幸せにね」
「暮らしてくれているね」
「そうなったわ」
「カンサスにいた時は大変なこともあって」
「ええ、畑を売らないとってお話にもなったわね」
「そうだったね」
「それでそうした時に」
 ピンチ、そう言っていい時にというのです。
「私達はまたね」
「オズの国に行くことになったね」
「あの時で五回目で」
 ドロシーがオズの国に行くことになったことはです。
「その五回目で」
「おじさんとおばさんもオズの国に入って」
「ずっとオズの国で暮らすことになったわ」
「ドロシーもね」
「そうなったわ」
「そのことを振り返るとね」
「カンサスにいてよかったし」
 アメリカのこの州にというのです。
「カンサスでの暮らしもね」
「幸せだったね」
「おじさんおばさんトトと一緒だったから」
「そうだね」
「あの、それでなのですが」
 恵梨香が言ってきました。
「今ドロシーさんはエメラルドの宮殿に住んでおられますね」
「ええ、オズマそれにベッツイにトロットと一緒にね」
 ドロシーは恵梨香の今の言葉に答えました。
「そうしているわ」
「そうですよね」
「そしてね」
 そのうえでというのです。
「幸せよ」
「エメラルドの都でも」
「皆特に私が冒険好きで」
 にこりと笑ってこうも言いました。
「四人揃うことは少なくでも」
「オズの国の王女の方々が」
「それでもね」
「四人の王女の方々がですね」
「この宮殿で暮らしているのよ」
 エメラルドの都のというのです。
「そうしているのよ」
「そうですね」
「それでおじさんとおばさんはね」 
 お二人はといいますと。
「今はエメラルドの都の北の方で」
「農家をされていますね」
「そして暮らしているのよ」
 そうだというのです。
「幸せにね」
「それは何よりですね」
「本当にね、今は何の心配も憂いもなくて」
 それでというのです。
「大好きな農業をね」
「やっておられますね」
「玉蜀黍やジャガイモや麦を作って」
 そうしてというのです。
「幸せにね」
「過ごしてくれてるからね」
 トトも笑顔で言います。
「僕達も嬉しいよね」
「本当にね。ただね」
 ここでこうも言ったドロシーでした。
「最近おじさんとおばさんに会ってないわね」
「そうだね、今気付いたけれど」
「ずっと宮殿にいるか冒険で」
「おじさんおばさんにはね」
「会ってないわ」
「そうだね」
「育ての親なのに」
 ドロシーから見てというのです。
「それでもね」
「暫く会ってないことはね」
「よくないわね」
「そうだね」
「それならです」
 神宝はレモンティーを飲みつつ言いました、皆今はこの紅茶を飲んでいます。
「会いに行かれるといいですよ」
「何も予定がないなら」
 ジョージもレモンティーを飲んでいます。
「行かれてはどうですか?」
「それかこう思いますと」
 ナターシャはエクレアを食べながら言いました、お菓子は他には桃のムースに葡萄のタルトがあります。
「オズの国ではそちらに行くことになりますから」
「若しかしたらすぐにでも」
 カルロスはタルトを美味しそうに食べています。
「行くことになるかもしれないですね」
「そうなればいいわね」
 ドロシーは四人の言葉に笑顔で応えました。
「ではそのことを期待しながら」
「そうしてですね」
「今はですね」
「こうしてお茶を飲んでお菓子を食べて」
「それで楽しまれますね」
「そうされますね」
「そうするわ」 
 こう答えるのでした。
「今はね」
「そうしようね、それはそうとして」
 ここでトトがドロシーにこんなことを言いました。
「おじさんとおばさんオズの国は最高だって言ってるね」
「いつもね」
「嵐も旱魃も竜巻も大雨もなくて」
「いつも程よい環境で」
「害虫や害鳥や害獣もいなくて」
「のびのびと農業が出来るって」
「それでいつも沢山作物が採れるから」
 このこともあるからだというのです。
「働きがいがあるってね」
「いつも言ってるわね」
「いいことだよね」
「とてもね」
 その通りと言うドロシーでした。
「私もそう思うわ」
「そうだよね」
「憂いも心配もなく好きなことが出来たら」
 それならというのです。
「これ以上はないまでにね」
「幸せだね」
「そうよね」
「全くだね」
「オズの国は憂いも心配もないから」
 この国はというのです。
「それだけでね」
「幸せな国だね」
「そうよ」
 実際にというのです。
「これ以上はないまでに」
「全くだね」
「農業も工業も漁業も商業も」
 産業のお話もしました。
「そちらで働いている人達も」
「憂いも心配もないから」
「好きなだけ働けるから」
「いいね」
「だからオズの国は発展していっているのよ」 
 そうだというのです。
「オズマの政治もあって」
「皆もそうだからだね」
「そうよ、憂いや心配がないことは」
 このことはというのだ。
「幸せなことの一つよ」
「その通りだね」
「そう思うわ」
 そんなお話をして皆でお茶にお菓子を楽しんでいます、するとそこに今度はエリカが来て言ってきました。
「今日は恵梨香達も来てるのね」
「そうなの」
 恵梨香が五人を代表して微笑んで答えました。
「また遊びに来たの」
「そうなのね」
「それで来て早速」
 恵梨香はエリカにさらに言いました。
「美味しいお茶やお菓子をね」
「いただいてるのね」
「こうしてね」
「それならね」
 お話を聞いて言うエリカでした。
「私もいただこうかしら」
「お茶やお菓子を」
「そうしようかしら」
「それじゃあ貴女の分も用意するわね」
 ドロシーはエリカの言葉を聞いて言いました。
「そうするわね」
「そうしてくれるのね」
「レモンティーでいいわね」
「お砂糖はたっぷり入れたいわね」
 エリカはレモンティーと聞いて笑顔で応えました。
「それでうんと甘くして」
「飲むのね」
「それで見たところ」
 さらに言うエリカでした。
「エクレアにムースにタルトにって」
「どうかしら」
「どれも私の好物よ」
 こう言うのでした、舌なめずりをしながら。
「嬉しいわ」
「それは何よりね」
「オズの国に来て」
 そうしてというのです。
「お茶やお菓子も好きになったわ」
「それは何よりね」
「いや、外の世界にいた時は」
「貴女何でも食べたいって言って」
 そしてというのです。
「最初にオズの国に来た時騒動起こしたわね」
「何度もね」
「けれど今は」
「お魚とか子豚とか鳥とか食べなくてもね」
「お茶やお菓子を食べられるし」
「他の色々なものを食べられて」
 そしてというのです。
「色々なキャットフードもね」
「あるから」
「だからね」
 それでというのです。
「いつも美味しいもの食べて満足しているから」
「それでなのね」
「もうそんなあれを食べたいとかね」
「言い出さなくなったわね」
「そうよ、それに子豚や鳥を食べるより」
 それよりもというのです。
「お茶やお菓子特にキャットフードがね」
「美味しいから」
「だからね」
 それでというのです。
「私としてはね」
「騒動も起こさなくなったのね」
「いつも満足していたら」  
 それならというのです。
「何もね」
「悪戯とかしなくなるわね」
「そうよ、それじゃあ今からね」
「お茶とお菓子を頂くのね」
「そうさせてもらうわ」
「それじゃあ」
 ドロシーはエリカに応えて早速でした。
 ティーカップにお茶を入れました、その間にエリカは自分でお皿を用意してその上にお菓子を置いていきます。
 そしてドロシーが入れてくれたお茶に角砂糖を幾つか入れて言いました。
「さて、それじゃあね」
「今から飲んで食べてだね」
「楽しむわ」
 そうするとトトに答えました。
「存分にね」
「それじゃあね」
「いや、うんと甘いものを楽しむ」
 このことはというのです。
「最高よね」
「そうだね、ただね」
「ただ?」
「いや、君かなりの甘党になったね」
「そうかしら」
「角砂糖かなり入れたし」
 お茶にというのです。
「お菓子も食べるし」
「実際私甘いもの好きになったわ」
「そうだね」
「オズの国に来てから」
 それからというのです。
「そうなったわ」
「それでよく楽しんでるわね」
「この通りね」
 お茶を飲んでムースを食べて言うのでした。
「そしてそれはあんたもでしょ」
「僕もね、オズの国に来てから」
 実際にとです、トトも答えました。
「かなりね」
「甘いものが好きになったわね」
「食べる様になってね」
「そうよね」
「それでドッグフードも」
 こちらもというのです。
「かなりね」
「好きね」
「そうだよ、昔はね」
 トトはここでしみじみとして言いました。
「ドッグフードとかキャットフードなんてね」
「オズの国にもなかったわね」
「外の世界にもなくてね」
 それでというのです。
「そんなもの食べることなんて」
「なかったわね」
「それが外の世界で出来て」
「オズの国でもそうなって」
「食べるとね」
「美味しいのよね」
「そうなんだよね」
 トトは尻尾を振りつつエリカに応えました。
「これが」
「全くよ、それであんたカンサスにいた時は何を食べていたのかしら」
「何ってあるものをね」
「食べてたの」
「そうだったよ」
「そうだったのね」
「カンサスにいた時はね」
 その頃のことをトトもお話します。
「食べるものはいつもね」
「あるものをだったの」
「ドロシーもおじさんもおばさんも」
 その人達もというのです。
「本当にね」
「あるものをなのね」
「食べていたんだ」
「あの頃はそうだったわね」
 ドロシーもその頃のことを思い出しつつ言います。
「本当にね」
「畑で採れたものとかね」
「たまに来てくれる行商人の人から買ったものとか」
「そうしたのを食べていたわね」
「何を食べたいかじゃなくて」
「あるものをね」
「食べていたね」
「そうだったわ、それがね」
 ドロシーはその頃のことを懐かしむお顔で言いました。
「今ではね」
「好きなもの食べられるね」
「こうしてね」
「お魚なんてね」
 それこそと言うトトでした。
「カンサスにいたら」
「あの大平原の中だと」
「食べることなんて」
「なかったね」
「けれど今はね」
「好きなだけ食べられるね」
「貝や海老だって」
「烏賊や蛸だってね」
 こうしたものもというのです。
「好きなだけね」
「食べられるわね」
「有り難いことにね、お寿司だってね」
「そうそう、お寿司なんて」
「知りもしなかったよ」
「あの頃はね」
「ドロシーさんお寿司も好きですね」
 恵梨香が言ってきました。
「そうですね」
「大好きよ」
 ドロシーは恵梨香に満面の笑顔で答えました。
「お寿司もね」
「そうですよね」
「けれどカンサスにいた頃は」
 その頃はといいますと。
「魚介類自体をね」
「食べることはですね」
「なかったわ」
「大平原の中で」
「とてもね、海のものは」
 それこそというのです。
「見たことすらね」
「なかったですか」
「海自体見たことなかったから」
 だからだというのです。
「そこにあるものなんてね」
「食べたこともですか」
「なかったわ」
「そうだったんですね」
「けれどオーストラリアに行った時にね」
「ビリーナと出会った」
「それでオズの国に二度目に行った時に」
 まさにその時にというのです。
「海を見たわ」
「そうだったんですね」
「そしてオズの国ではね」
「周りは海なので」
「冒険に行って」
 その時にというのです。
「よくね」
「ご覧になられてるんですね」
「そうなの」
 こう恵梨香にお話します。
「私もね」
「そうですか」
「日本料理だとお刺身に天麩羅にお鍋に」
「お寿司ですか」
「焼き魚も煮魚も好きよ」
 こうしたお料理もというのです。
「お味噌汁もお吸いものもね」
「鱧のお吸いものいいわね」
 エリカが舌なめずりして言ってきました。
「あんな美味しいお魚があるなんて知らなかったわ」
「鱧はね」
 恵梨香はエリカのその言葉に応えました。
「私も好きよ」
「美味しいからよね」
「ええ、小骨が多いけれど」 
 それでもというのです。
「お吸いものにしてもあらいにしてもね」
「揚げてもよね」
「凄く美味しいから」
 だからだというのです。
「私もね」
「好きよね」
「凄くね」
「そうそう、鱧のお吸いものもあって」 
 ドロシーもそれでと応えます。
「お魚はお味噌汁にしてもね」
「お好きですか」
「それでお寿司もなのよ」
「今では海の幸にも馴染まれていますね」
「川や湖のものにもね」 
 ドロシーは恵梨香ににこりと笑って答えました。
「そうよ」
「オズの国は川や湖にいる鯛や鮪もいますね」
「そうしたお魚もね」
「お好きですね」
「お寿司にしてもね」
「何かお寿司が一番お好きみたいですね」
 恵梨香はお寿司のことをよくお話に出すドロシーに尋ねました。
「ドロシーさんは」
「ええ、和食でお魚だとね」
「お寿司ですか」
「これが一番好きね」
「そうなんですね」
「勿論中華料理でもお魚好きだし」
 そうでというのです。
「アメリカ料理でもね」
「お好きですか」
「そうよ、ムニエルやフライだって好きだし」
 そうであってというのです。
「蒸したり炒飯や麺の中にあっても」
「お好きですか」
「この前オズマと一緒に鯉を食べたけれど」
 このお魚をというのです。
「丸ごとあげてあんをかけた」
「中華料理ですね」
「それで食べたのよ」
「そうでしたか」
「兎に角カンサスにいた時は食べることは殆どなかったわ」
 魚介類をというのです。
「けれど今はね」
「かなりお好きで」
「よく食べるわ」
「そうなられたんですね」
「お寿司だってね」 
 またお寿司をお話に出したドロシーでした。
「好きよ」
「そうそう、ドロシーのお寿司好きってね」
 トトは笑って言いました。
「相当なものだよ」
「自分でもそう思うわ」
「オズの国ではじめて食べたね」
「来てかなり経ってからね」
「日系人の職人さんがいて」
 お寿司のというのです。
「ご馳走になったら」
「とんでもなく美味しくてね」
「それ以来だね」
「病みつきよ」
「そうなっているね」
「ええ、だからね」 
 それでというのです。
「またね」
「お寿司を食べるね」
「そうさせてもらうわ」
「あの、ドロシーさんはお寿司大好きで」
 ナターシャが言ってきました。
「魚介類をよく召し上がられていて」
「この宮殿でもですね」
 こう言ったのは神宝でした。
「皆さんお好きですね」
「確かにこの宮殿でも魚介類よく食べます」
 ジョージはこのことをお話しました。
「色々なお料理で」
「それで楽しませてもらってます」
 カルロスは確かな声で言いました。
「僕達も」
「それは何よりよ、ただね」
 ここで、でした。
 ドロシーはふと思い出した様なお顔になってです、こんなことを言いました。
「おじさんとおばさんはどうかしら」
「ヘンリーさんとエマさんですね」
「お二人はどうか」
「ドロシーさんは宮殿や冒険で楽しまれていても」
「ずっとカンサスにおられて今の農家のお二人は」
「魚介類はどうでしょうか」
「二人共本当に質素なのよ」
 ドロシーは恵梨香達五人に答えました。
「ずっとそこにあるものを食べていて」
「それで、ですね」
「贅沢ではなくて」
「美味しいものを選んで好きなだけ食べるとか」
「そうしたことはなかった」
「そうなんですね」
「そうなの、これがね」 
 お二人はというのです。
「レストランなんか行ったことなかったし」
「カンサスにおられた頃は」
「周りは大平原で」
「他にお家もなくて」
「そんな場所だとですね」
「お店がある筈がないですね」
「そう、私だってね」 
 ドロシーにしてもというのです。
「カンサスにいた頃はね」
「お店行かれたことないですか」
「レストランにも」
「それであるものを召し上がられる」
「そんな生活だったんですね」
「ドロシーさんも」
「二人は今は村にいてね」
 そしてというのです。
「村の人達とも仲良くしていてお店もね」
「村にありますね」
「そうなんですね」
「その村に」
「レストランもありますね」
「そこにも行かれてますね」
「居酒屋にもね、おじさんもおばさんもお酒飲むけれど」
 それでもというのです。
「昔は本当にね」
「そうした状況で」
「何時でも飲めるかっていうと」
「違ったんですね」
「お二人は」
「そんな風でしたか」
「そうよ、お寿司といえば日本酒だけれど」
 和食だからです。
「けれどね」
「日本酒なんてご存知なかったですね」
「カンサスにおられた頃は」
「お米を食べる時はあっても」
「あまりなくて」
「日本酒もですね」
「私だってオズの国に来てかなり経ってからよ」
 それでというのです。
「和食を知って日本酒もなのよ」
「それならですね」
「ヘンリーさんとエマさんもですね」
「お二人もですね」
「ご存知だったか」
「それは、ですね」
「そうだった筈よ、お寿司なんて今もね」
 オズの国の村、お店もあるそこに住んでいてもというのです。ドロシーは恵梨香達に考えるお顔で答えました。
「滅多にね」
「召し上がられていない」
「そうですか」
「お二人は」
「本当に質素な方々で」
「海にも縁がなくて」
「そう考えたら」 
 それならと言うドロシーでした。
「二人に魚介類のお料理ご馳走しようかしら」
「いいね」
 トトはドロシーの今の言葉に頷きました。
「それはね」
「いいのね」
「かなりね」
 ドロシーの腕の中で尻尾をぱたぱたさせて言いました。
「そうだと思うよ」
「そう言ってくれるのね、トトは」
「うん、美味しいものは皆で食べる」
「そうでないと駄目ね」
「皆が満足して幸せになる」
 トトはこうも言いました。
「それがオズの国だね」
「ええ、お伽の国だからね」
「それじゃあね」
「私も賛成よ」
 エリカも言って来ました。
「私も食べたいしね」
「貴女もなの」
「お話を聞いて食べたくなったのよ」
 今のそれをというのです。
「だからね」
「ここはなの」
「そう、私も食べて」 
 そしてというのです。
「お二人もね」
「食べてなのね」
「楽しめばいいのよ」
 こう言うのでした。
「是非ね」
「私も賛成です」 
 恵梨香も言ってきました。
「お二人のこと聞いてたら絶対に魚介類にはあまり縁がないですから」
「お二人が食べたいと言われるなら」
「ご馳走しましょう」
「美味しい魚介類をたっぷりと」
「川や海の幸を」
 ナターシャ達四人も言ってきました。
「そうしましょう」
「お寿司もいいですし」
「他のお料理も」
「そして楽しんでもらいましょう」
「それではね」
 ドロシーは恵梨香達の言葉も聞いて頷きました。
「そうしましょう、おじさん達のお家に行ってね」
「そうしてだね」
「お話して」
 またトトに言いました。
「二人が頷いたら」
「そうしたらだね」
「ご馳走しましょう」
「そうしようね」
 笑顔でお話します、そして夜にです。
 ドロシーはオズマに夕食の場でこのことをお話しました、するとオズマは河豚のお鍋を食べながら頷きました。
「この河豚も美味しいから」
「おじさんとおばさんが楽しんでくれたら」
「凄く嬉しいわ」
「そうよね」
 てっさ、河豚のお刺身を食べているトロットも頷きました。
「こんな美味しいお魚をそうしてくれたら」
「お二人河豚食べたことあるかしら」
 ベッツイは河豚の唐揚げを食べつつ思いました、今夜は河豚料理なのです。
「果たして」
「ないかも知れないわね」 
 ドロシーもお鍋を食べつつ言いました。
「今二人がいる村は川や湖が傍にあるけれど」
「それでもよね」
「質素で昔ながらの生活を今もしているところがあるから」
 だからだというのです。
「河豚とかはね」
「食べたことがないわね」
「そうだと思うわ」
 こうオズマに答えました。
「今もね」
「だったらお話してね」
「二人がそれならって答えたら」
「そうしたらね」
 それならというのです。
「是非ね」
「ご馳走するのね」
「そうしましょう」
 こう言うのでした。
「お二人の村に行ってね」
「それではね」
「そしてね」
 それでというのです。
「河豚以外の魚介類も」
「楽しんでもらうのね」
「エリカが好きな鱧もいいし」 
 このお魚もというのです。
「烏賊や蛸や貝それに海老だってね」
「いいわね」
「だからね」
「何でもなのね」
「食べられる限りね」
「楽しんでもらうのね」
「そうよ、カレーにしても」
 このお料理もというのです。
「シーフードカレーがあるでしょ」
「あのカレーも美味しいわね」
「私達は普通に食べているけれど」
 それでもというのです。
「お二人はどうかしら」
「カレー自体ずっとね」
「縁がなかったわね」
「その筈よ」
「私達よりもね」
「それでカレーっていうと」
 ドロシーはお鍋の河豚を食べつつ言いました。
「ビーフカレーやチキンカレーが主流ね」
「そうね」
「それでシーフードカレーってなると」
「お二人は食べていないわね」
「食べていても殆どね」
「その筈ね」
「ええ、シーフードカレーも美味しいのに」
 それでと言うドロシーでした。
「ここはね」
「お二人にもね」
「食べたいって言ったら」
「ご馳走しましょう」
「是非ね」
「いい考えね」
 ベッツイはドロシーのお話をここまで聞いて頷きました。
「本当に」
「貴女もそう言ってくれるのね」
「さっきも言ったと思うけれれど」
「そうだったわね」
「実際に今河豚美味しいでしょ」
「物凄くね」
「美味しいものは皆が食べて」
 そしてというのです。
「美味しい思いをしてね」
「幸せにならないとね」
「だから」
 それ故にというのです。
「お二人もね」
「今以上にね」
「美味しいものを食べてもらって」
「幸せになってもらうなら」
「それならね」
「二人にお話すべきね」
「是非ね」
「カンサスって本当に海と無縁で」
 それでと言うトロットでした。
「魚介類はね」
「川も湖もね」
「周りになかったのよね」
「井戸はあったけれど」
 それでもというのです。
「雨が降ってそれで畑もやっていけてたけれど」
「川や湖はなのね」
「近くになかったわ」
「それじゃあね」
「おじさんとおばさん魚介類にはね」
「縁がなかったわね」
「あの頃食べるものはあるものばかりで」
 その時お家にというのです。
「選べもしなかったし」
「お肉だってよね」
「そうはね」
「やっぱりね」
「そんな生活だったし」
「贅沢とは無縁で」
「お魚も滅多にだったし」
 ドロシーはその頃のことを思い出します、そうしてトロットに対して答えてお話していくのでした。
「それで今だってね」
「質素なのね」
「元々そうした生活だから」 
 それでというのです。
「今は現代の文明の中にはあっても」
「質素なままね」
「そうなの」
「じゃあこうしたお料理も」
「そうはね」 
 ドロシーは唐揚げを食べながら答えました。
「ない筈よ」
「そうよね」
「それでね」
 さらにお話するのでした。
「普段も自分達の畑で採れた農作物とか」
「そうしたものをお料理してたの」
「食べてるのよ」
「じゃあ余計にね」
「ご馳走することも」
「いいと思うわ、私もね」
 こうドロシーに言うのでした。
「それじゃあね」
「ええ、本当にね」
 こう言うのでした。
「いいと思うわ」
「それじゃあお家に行くわね」
 お二人のというのです。
「そうしてくるわ」
「それではね」
「それからどうなるかわからないけれど」
 それでもというのでした。
「二人が頷いてくれたら」
「それからなのね」
「ご馳走するわ」
「だったらいい場所を知ってるわ」
 オズマが言ってきました、お刺身を食べながら。
「マンチキンの海でね」
「そちらでなの」
「物凄く立派な漁港の街でね」
 それでというのです。
「色々な魚介類が獲れて養殖もしていて」
「魚介類の」
「しかも大きな川と湖もあって」
 それでというのです。
「川魚もね」
「食べられるのね」
「そうなのよ」
「私も行ったことあるかしら」
「多分ね、貴女はオズの国のあらゆる場所を冒険しているから」 
 だからだというのです。
「その街にもね」
「じゃあ行けばわかるわね」
「お二人が食べたいって言ったら」 
 その時はというのです。
「その街にね」
「連れて行くのね」
「そうしましょう」
「それではね」
「そしてね」
 オズマはさらに言いました。
「誰がお二人のところに行くかだけど」
「そのこともお話しないとね」
「そうでしょ」
 是非にというのでした。
「このこともね」
「私は絶対ね」
 微笑んで、でした。ドロシーは言いました。
「行かせてもらうわ」
「それではね」
「そしてトトもね」
 今も一緒にいて自分の席で食べている彼を見て言いました。
「やっぱりね」
「うん、僕達ずっとカンサスで一緒だったからね」
「だからね」
 それでというのです。
「貴方もね」
「一緒だね」
「そしてね」 
 ドロシーは今度はエリカを見て彼女に声をかけました。
「貴女も魚介類好きだしね」
「大好物よ」
「じゃあ一緒によね」
「行かせてもらうわ」 
 こうドロシーに答えました。
「本当にね」
「それではね、そして今回貴方達も来ているから」
 恵梨香達五人にもお顔を向けました。
「どうかしら」
「お願いします」
「冒険になりそうですね」
「それに魚介類も食べられますね」
「それならです」
「僕達も」
 五人は目を輝かせて答えました。
「お願いします」
「是非共」
「ご一緒させて下さい」
「それなら」
「それで、です」
「皆で楽しみましょう」
「それではね」 
 笑顔で言ってでした。
 五人も一緒に参加することになりました、そしてトロットも言いました。
「私もね」
「行きたいのね」
「ええ」
 そうだというのです。
「是非ね」
「そうなのね」
「私もよ」
 オズマも言って来ました。
「最近冒険に出ていなかったし」
「だからなのね」
「貴女もベッツイもトロットもでしょ」
「王女三人ね」
「エメラルドの都のね、それなら」
「同じ王女として」
「私もね」
 ドロシーに微笑んで言うのでした。
「行きたくなったわ」
「王女四人で行くのね」
「今回はね」
「わかったわ、ただ貴女もとなると」
 ドロシーはオズマのお願いを聞いて頷いてからこう言いました。
「ただね」
「それでもよね」
「王女四人がいなくなると」
 エメラルドの都のというのです。
「誰が治めるか」
「それが大事よね」
「だからね」
 それでというのです。
「留守は誰に守ってもらうか」
「その間の政治もね」
「やってもらうかだけれど」
「それなら私は残ろうかしら」
 オズマはあらためて考えました、それで今回は冒険に出ることを諦めようとしました。ですが晩ご飯の後で、でした。
 お風呂に入って寝て朝にやっぱり行くのを止めると言うつもりになりました、ですがその朝になのでした。








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