『新オズの臆病ライオン』




                第十幕  尽きない楽しみ

 舞踏会の次の日です、ドロシーは皆に朝ご飯の後で言いました。
「今日はお食事会をするけれど」
「何を食べるのかな」
「ギリキンの食材を使ったフルコースよ」
 臆病ライオンに笑顔で答えました。
「それを食べるのよ」
「へえ、今度はフルコースなんだ」
「そうなの、どうかしら」
「いいと思うよ、フルコースもね」
「素敵よね」
「そうだしね」
「一品一品ずつ出してもらって」
 お料理をというのです。
「楽しんでもらうの」
「そうするんだね」
「ええ、それにね」 
 ドロシーはさらに言いました。
「勿論他の催しもあるし」
「そちらもだね」
「皆に楽しんでもらうわ」
「各国の代表の人達にだね」
「おもてなしでね」
「それでその催しは何かな」
 臆病ライオンはこのことを尋ねました。
「それで」
「ええ、観光もあるけれど」
「今回時間のある時にしてるね」
「この街のね、それ以外のスポーツの試合をね」
 こちらをというのです。
「観てもらうの」
「それで私達自身もね」
「スポーツをするんだね」
「親善でね」
 それでというのです。
「一緒にするのよ」
「それで何をするのかな」
「バスケットボールよ」 
 このスポーツだというのです。
「それをするのよ」
「そうなんだ」
「試合を観戦した後で」
 その後でというのです。
「そちらも楽しみましょう」
「わかったよ、どっちも楽しそうだね」
 笑顔で言う臆病ライオンでした、そしてです。
 朝ご飯の後で実際に二つのチームに分かれてバスケットボールをすることになりましたがここで、です。
 各国の代表の人達と腹ペコタイガー、ボタン、魔法使いとです。
 ドロシーとトト、かかし、樵、臆病ライオンに神宝達五人に分かれました。ジクシー女王は赤いバスケットボールのユニフォーム姿で言いました。
「赤と青ね」
「そうだね、ユニフォームの色は」
 ドウ一世もその服を着ています。
「我々が赤でね」
「ドロシー王女達が青ね」
「そう分けたの」
 青いユニフォーム姿のドロシーはにこりと笑って答えました。
「今回はね」
「それで今からですね」
 チックがドロシーに言ってきました。
「楽しむんですね」
「そうするのよ」
 ドロシーはチックにも答えました。
「皆でね」
「汗をかくのもいいですよね」
 バラはこれからそうすることを楽しみにしています。
「それもまた」
「じゃあ今からですね」
「試合を楽しみましょう」
 バド王とフラウ王女も言ってきました。
「さっきの観戦も楽しかったですが」
「今度は僕達が実際にやって楽しますね」
「普段こうした服は着ないから」
 お人形の女王もユニフォーム姿です。
「面白いわ」
「いや、私とバド王も着ていますけれど」
 キャンディマンも普段の服をユニフォームに着替えています。
「動きやすくていいですね」
「そうでしょ、じゃあ皆で楽しみましょう」
 ドロシーも言ってでした。
 皆でバスケットボールを楽しみました、皆コートの中で動き回りボールを手に跳んだりはねたりしてです。
 心から楽しみました、その後で魔法使いはタオルで汗を拭きながら言いました。
「いやあ、いい汗かいたね」
「全くだね」
 腹ペコタイガーも言います。
「すっきりしたよ」
「時にはスポーツもいいものだね」
「僕は毎日お散歩して駆け回ってるけれど」
 トトも言ってきました。
「バスケットボールも好きなんだ」
「君はボールが好きだからね」
 かかしがトトに応えました。
「それでだね」
「しかし皆よく動いたね」
 勿論樵もそうでした。
「バスケットボールもいい運動になるよ」
「そうでしょ、丁度バスケットボールの試合を観戦するし」
 それでと言うドロシーでした。
「私達もって思ったのよ」
「いい判断だね、私は普段あまり運動をしないけれど」
 それでもと言う魔法使いでした。
「今言った通りにね」
「時にはよね」
「汗をかくのもいいね」
 こうドロシーに言いました。
「本当に」
「そうでしょ」
「凄くね」
「それで時間を決めて選手を交代する様にしてよかったね」
 かかしはこのことを指摘しました。
「今回の試合は」
「だってドウ一世さんやお人形の女王様がいてね」
「僕やかかし君もいるからね」 
 樵も言ってきました。
「人間の身体じゃないから疲れない人達が」
「チックもだしね」
 今は彼と一緒に遊んでいるボタンが言ってきました。
「そうした人達がずっと試合に出ていたらね」
「疲れる身体の人達にとってハンデでしょ」
 ドロシーはチックにもお話しました。
「そうでしょ」
「そうだよね」
 腹ペコタイガーもその通りと頷きます。
「あと僕や臆病ライオン君も足速いしジャンプ力もあるし」
「そのことも考えたし」
 それにと言うドロシーでした。
「あと皆が公平に試合を楽しめるし」
「色々考えてだね、凄いよ」
 臆病ライオンはここまで聞いてドロシーを純粋に褒め称えました。
「流石ドロシーだよ」
「そう言ってくれて嬉しいわ、それじゃあね」
 ドロシーはあらためて言いました。
「これからもね」
「楽しむんだね」
「そうしましょう」
 こうお話してでした。
 皆はそれぞれの普段の服に着替えました、尚かかしと樵はずっとそのままの外見で臆病ライオンと腹ペコタイガー、トトも同じでした。
 このことについてです、トトは言いました。
「そういえば僕達ユニフォーム着なかったね」
「だって貴方達はどのチームって言えば皆わかるでしょ」
 ドロシーはトトににこりと笑って答えました。
「だからよ」
「それでなんだ」
「かかしさんと樵さんとね」
「僕達はだね」
「ユニフォームはいらないと思って」
「それでだね」
「用意しなかったの。着たかったのかしら」 
 ドロシーはここでふと思いました。
「そうだったら悪いことしたわね」
「あっ、別にね」
「気にしてなかったからね」
「いいよ」 
 トトだけでなく臆病ライオンと腹ペコタイガーも言いました。
「僕達は毛皮が服だからね」
「そうだしね」
「気にしなくていいよ」
「そういえばそうだね」
 神宝は三匹の言葉に頷きました。
「生きものの服っていうと」
「毛皮よね」
 ナターシャも言いました。
「鱗とかね」
「そうしたものが服になるわね」
 恵梨香も言いました。
「人間以外の生きものは」
「そこからさらに服を着たりするけれど」  
 ジョージはこの場合について思いました。
「これって重ね着だね」
「そういえば臆病ライオンさん達を裸って思ったことないよ」 
 カルロスはこのことに気付きました。
「言われてみると」
「僕達も裸って思ったことないよ」
 臆病ライオンも言ってきました。
「別にね」
「そうだよね」
「僕達もそう思わないし」
「毛皮が服だって思うよ」
「裸って思ったことはないわ」
「いつも服を着ているってね」
「そうだよ、着替える必要のない服だよ」
 臆病ライオンはこうも言いました。
「僕達の服はね」
「そうよね。そう考えるといいわよね」 
 ドロシーは臆病ライオンの言葉に笑顔で頷きました。
「生きものの毛皮や鱗や羽毛は」
「そうだね」
「人間だとね」
 ドロシーは自分達のこともお話しました。
「これがね」
「また違うね」
「だって毛も鱗も羽毛もないから」
 だからだというのです。
「それでよ」
「裸に感じるね」
「ええ、それでよ」
「服を着るね」
「服を着ないと寒かったりするし」
「恥ずかしいしね」
「お洒落もね」
 こちらもというのです。
「出来ないから」
「皆服を着るね」
「そして服はね」
 これはといいますと。
「とても大事な文化でもあるのよ」
「そうだね、服もね」 
 臆病ライオンもそれはと答えました。
「立派なそしてとても大事な」
「文化ね」
「そうだね」
「それで私も服は好きで」 
 それでというのです。
「お洒落をしてね」
「楽しんでるね」
「動きやすくて」
 ドロシーは自分の服の好みのお話もしました。
「露出の高くない」
「ドロシーの好きな服ってそうだね」
「膝を覆う位の丈のスカートで」
 そうしてというのです。
「長袖だけれど」
「全体的に動きやすいね」
「靴もね」
 こちらもというのです。
「そうした服が好きよ」
「だから冒険の時はいつもそうした服だね」
「そうなのよ」
 まさにというのです。
「好きなのよ」
「そうだね、ただね」
「ただ?」
「ズボンはね」
 こちらのファッションについてhです、ドロシーは微妙なお顔になってそのうえで臆病ライオンにお話しました。
「オズマもベッツイもトロットもだったけれど」
「ああ、着ないね」
「そうでしょ」
「そうですよね、前から思ってましたけれど」
 神宝もそれはと言いました。
「ドロシーさん達はズボン穿かれないですね」
「そうでしょ」
「キュロットも」
 こちらの服もというのです。
「そうですね」
「あまりね」
「そちらはですね」
「好きでなくて」
 それでというのです。
「穿かないの」
「それはどうしてですか?」
「私達が外の世界にいた頃はアメリカの女の子はズボン穿かなかったのよ」
「皆スカートですか」
「そうだったから」
「今もですか」
「私達はスカートなのよ」
 こちらしか穿かないというのです。
「それも丈はね」
「膝を覆う位ですか」
「ミニスカートもよ」
「穿かれないんですね」
「そうしてるの」
 こう神宝にお話しました。
「やっぱり私達が外の世界にいた頃はなかったから」
「だからですね」
「今もそのファッションなの」
「ドロシーさん達は。ただそれだと」
 神宝はここまで聞いてあることに気付いて言いました。
「オズマ姫は」
「最初からオズの国にいても私達と同じファッションかよね」
「それはどうしてですか?」
「オズマは暫く男の子だったでしょ」
 ドロシーは神宝にこのことをお話しました。
「オズの国の王族だってこともわかっていなくて」
「そうでしたね」
「それでなのよ」
 その為にというのです。
「男の子だった頃ずっとズボンだったし」
「それで女の子に戻れて」
「はじめてスカートを穿いてね」
 そうしてというのです。
「感激して」
「それからですか」
「ずっとね」
「スカートなんですね」
「そして私達といつも一緒にいるでしょ」
 ドロシー、ベッツイ、トロット達とです。
「それで服のお話もしてるけれど」
「ドロシーさん達の影響も受けてですか」
「あの娘もスカートの丈は短くないの」
「そういうことですね」
「オズの国でも民族衣装は兎も角ね」
 各国のです。
「普段着ている青や黄色や緑や赤や紫の」
「ブーツに鈴が一杯付いた三角帽の」
「あの服の時は皆スカートも長いけれど」
「オズの国の人達は基本あの服だよね」 
 臆病ライオンも言ってきました。
「昔から」
「ええ、それは変わらないけれど」
「オズの国の服も増えたからね」
「だからね」
 それでというのです。
「皆民族衣装以外に色々着るけれど」
「スカートだってね」
「その時もね」
 まさにというのです。
「短い人が増えたわね」
「そうなったね」
「随分とね」
「外の世界じゃ国によりますがかなり多いです」 
 神宝が言ってきました。
「ミニスカートの人も」
「そうみたいね」
「オズの国よりずっと」
「オズの国は民族衣装がね」
「今も皆着ているからですね」
「ミニスカートは少ないわね」 
 そうなっているというのです。
「穿けても」
「そうですね」
「私も穿かないわね」
 フラウ王女も言ってきました。
「そういえば」
「姉さん基本ドレスだからね」
 弟さんのバド王が応えました。
「そうだしね」
「ドレスのスカートの丈は長いし」
「それが基本だしね」
「私もスカートは長いものよ」
 ジクシー女王も言ってきました。
「やっぱりその方がね」
「しっくりいくわね」
 お人形の女王もでした。
「ずっとそれを着てきたから」
「そうよね」
「スカートについては」
「長い方がいいわ」
「僕よく言われるんですよ」
 笑ってです、バラはこんなことを言いました。
「スカート穿かないのかって」
「君は男の子か女の子かって聞かれるしね」
「いつもなんですよね」
 キャンディマンに応えて言います。
「それは」
「そうだよね」
「それでなんです」 
 どうしてもというのです。
「言われます」
「そうなんだね」
「別に男の子がスカートを穿いてもいいよ」
 こう言ったのはドウ一世でした。
「キルトもあるし昔の服なんかそうだね」
「ああ、男の人もスカートですね」
 チックもそれはと頷きました。
「ギリシアの神々を見ても」
「そうだね」
「空中庭園の主ギルガメスさんも」
「メソポタミアの神々も」
「何でもあの人達が外の世界にいた頃ズボンはなくて」
「男の人もそうした服でしたね」
「スカートだったよ」
 こちらの服だったというのです。
「そうだったよ」
「そうでしたね」
「そういえばキルトがあるよ」
 臆病ライオンはこの服を思い出しました。
「あの服がね」
「そうよね、あの服はスカートよ」
 ドロシーも頷きました。
「立派な」
「それを着てもね」
「別におかしくないし」
「男の人がスカートでもね」
「いいわ」
「逆に女の人がズボンでも」
 臆病ライオンはこの場合のお話もしました。
「こちらもね」
「いいわ。それぞれの人の好みでね」
「着ればいいね」
「オズの国では誰がどんな服を着なさいとかね」
「そうした法律はないわね」
「そうしが法律を決めようってお話もね」
 それ自体がというのです。
「ないわ」
「そうだよね」
「私達もね」
 ドロシーそれにベッツイ、トロットもというのです。
「考えたこともないしオズマもね」
「考えたことないんだね」
「それぞれの人が着たい服を着ても」
 そうしてもというのです。
「いいでしょ」
「問題ないね」
「だからね」
「そうした法律はないんだね」
「オズの国にはね」
 まさにというのです。
「ないわ、だからね」
「ドロシーもだね」
「公の場で着る服はあっても」
 そして着るけれど、というのです。
「それでもね」
「普段はだね」
「今みたいなね」
「膝を覆う位の丈のスカートで」
「長袖の上着よ」
「そうしたファッションだね」
「そうなのよ」
「成程ね」
「もっと言えばドレスは嫌いじゃないけれど」 
 公の場で着るそうした服はというのです。
「実はね」
「ドレスよりもだね」
「今着ているみたいな」
 そうしたというのです。
「動きやすい服がね」
「ドロシーは好きだね」
「そうなの」
 こう言うのでした。
「私としてはね」
「ドロシーはそうだね」
「ええ、それでね」
 さらにお話するのでした。
「靴もね」
「ヒールじゃなくて」
「やっぱり動きやすいね」
「そうしたものだね」
「そうしたものが好きよ」
 臆病ライオンもに笑顔でお話しました。
「何と言ってもね」
「そして冒険をして楽しんでるんだね」
「そうなのよ」
 こう言うのでした、そうしてです。
 今自分達が滞在している街の観光もしていきます、皆で色々な場所を巡って自然公園もそうしますが。
 自然公園はサバンナでした、臆病ライオンは草原の中に所々木があってシマウマやチーター、ヌーやキリンや像がいるその場所を見て言いました。
「僕サバンナ大好きなんだよね」
「君と同じ種族もいるしね」
 腹ペコタイガーは笑って彼に言いました。
「ライオンも」
「そのこともあってね」
 それでと答える臆病ライオンでした。
「それでなんだ」
「サバンナ大好きなんだね」
「うん、この草原と木もね」 
 その二つの世界もというのです。
「いいね」
「うん、外の世界のアフリカの自然だね」
 魔法使いも目を細めさせています。
「素敵な場所だよ」
「アフリカには色々な自然があるんだよね」
 トトが魔法使いに聞いてきました。
「砂漠とかジャングルとか高山も」
「そうだよ、その中の一つとしてね」
「このサバンナもあるんだ」
「そうなんだ」
 魔法使いもトトに答えます。
「こちらはね」
「そうなんだね」
「そしてオズの国にもサバンナはあって」
「僕達も観られるってことだね」
「今からね」
「歩いても安全だけれど」
 ドロシーも言ってきました。
「移動が楽だからバスに乗ってね」
「うん、中を観て回ろうね」
「公園のね」 
 かかしと樵が応えました。
「そうしようね」
「今から」
「皆でね」
「サファリパークみたいだね」  
 そのお話を聞いてボタンは思いました。
「それだと」
「ええ、ここはそうよ」
 ドロシーもそうだと答えます。
「言うならね」
「サファリパークだね」
「そうした自然公園なのよ」
「それで今からなんだ」
「その公園の中を観て回りましょう」
 こう言ってでした。
 ドロシーは皆にバス自然公園の中を移動する為の白と黒のシマウマ模様のそれに乗って中を観回ることになりました。
 するとです、チックが言いました。
「熊はいないね」
「ああ、そうだね」 
 ドウ一世は彼の言葉に頷きました。
「沢山の生きものがいるけれど」
「そうですよね」
「言われてみるとね」
「ここには熊がいないんだね」
 バラも言いました。
「どうも」
「カリダはいるけれどね」
 チックはバラに少し残念そうに答えました。
「そうだね」
「うん、熊はいないね」
「熊は森や山にいるでしょ」
 ジクシー女王が言ってきました。
「だからね」
「草原にはいないんですね」
「そうした生きものよ」
 チックに対してお話します。
「熊はね」
「そういえば熊センターも森です」
 キャンディマンはオズの国のその場所を思い出しました。
「言われてみれば」
「そうよね」
 お人形の女王も確かにと頷きます。
「森の中にあるわ」
「そうですね」
「そう考えたら」
 それならとです、チックは言いました。
「ここに熊がいないことも当然ですね」
「オズの国には透明の熊もいるけれど」
 バド王はかつてドロシー達が出会ったこの生きもののお話もしました。
「食べるとそうなる実をいつも食べていてね」
「その熊も森の中にいるわね」
「そうだよね」
 バド王はフラウ王女の言葉に頷きました。
「言われてみると」
「そうよね」
「じゃあやっぱりね」
「熊は森の中にいて」
「草原にはいないわね」
「そうした生きものだね」
「けれど色々な生きものがいるね」
 神宝は湖にいるカバの群れを見て言いました。
「この自然公園には」
「そうだね」
 ジョージは像の群れを見ています。
「本当に沢山のね」
「見ていて飽きないよ」
 カルロスはキリンの群れを見て言いました。
「ここはね」
「何かどの生きものものどかね」 
 ナターシャはシマウマの群れを見て思いました。
「この自然公園は」
「オズの国だから襲ったり襲われたりはないから」
 それでと言う恵梨香でした、この娘はレイヨウの群れを見ています。
「それでなのね」
「そうよ」
 ドロシーはオグロヌーの群れを見つつ五人に答えました。
「この自然公園はね」
「そうなんですね」
「オズの国だからですね」
「平和なんですね」
「皆くつろいで」
「そしてのどかに暮らしてるんですね」
「そうよ、そしてね」
 ドロシーはさらに言いました。
「オズの国にしかいない生きものもいたりするのよ」
「カリダもいますし」
「あちらにカバキリンもいますね」
「ドラゴンもいますね」
「大きなヤマアラシも」
「他にもいますね」
「そうでしょ、だからね」
 ドロシーはフラミンコの群れを見ながら五人にお話しました。
「今はこちらを案内したの」
「そうなんですね」
「それではですね」
「今はここを観光して」
「それで、ですね」
「じっくり楽しむんですね」
「そうしましょう」
 こう言ってでした。
 皆で自然公園を楽しみます、その中で神宝達五人は水辺にいる口から大きな牙を生やしたサーベルタイガーそっくりのライオンを観て言いました。
「水ライオンだね」
「外の世界じゃいるかいないかわからない」
「未確認動物になってる」
「あのライオンもいるのね」
「この自然公園ではそうなのね」
「オズの国だからね」
 かかしが五人に答えました。
「外の世界ではいるかどうかわからない生きものもいるよ」
「ここはお伽の国だからね」 
 それでと言う樵でした。
「そうした生きものも普通にいるよ」
「そうですね」
「外の世界とは違いますから」
「色々な生きものがいて」
「その中にはですね」
「ああした生きものもいますね」
「僕あのライオンさんとお話したことあるよ」
 ボタンがこう言ってきました。
「今観ているね」
「へえ、そうなんだ」
「あの水ライオンさんとお話したことあるんだ」
「それは面白いね」
「奇遇っていうか」
「不思議な縁ね」
「ある時起きたらあそこにいて」
 水ライオンが今いる水辺を指差して言います。
「それであの水ライオンさんに起こされたんだ」
「成程ね」
「それは面白いね」
「起きたら自然公園にいて」
「水ライオンさんに起こされるって」
「オズの国ならではだね」
「それで少しお話してその日はこの公園で遊んで」
 そうしてというのです。
「その辺りにあるお弁当の木から実を取ってご飯を食べていたんだ」
「ああ、お弁当の木もあるね」
 臆病ライオンは言われてその木に気付きました。
「それで色々実ってるよ」
「あの木からサンドイッチやハンバーガーを食べてミルクの泉でミルクを飲んで」 
 そうもしてというのです。
「食べて飲みながらね」
「遊んでいたんだ」
「ここの生きものの皆とね」
 ボタンはここで手を振りました、するとそれに応えて自然公園の生きものの皆も右や左の前足を振ってきました。
「そうしてね。一週間位そうして」
「それでだね」
「起きたら今度は狐の国にいたんだ」
「そうだったんだね」
「いや、ここにいてもね」
 ボタンは臆病ライオンにお話しました。
「楽しいよ」
「そうなんだね」
「うん、それでね」 
 さらにお話するボタンでした。
「またここに来たんだね」
「というかそれ忘れていたのかな」
「今思い出したんだ」
 そうだったというのです。
「何しろ前にここに来たのって三十年前で色々とね」
「巡ってきたからだね」
「だからなんだ」
 それでというのです。
「僕はね」
「忘れていたんだね」
「そうだったんだ、けれど思い出したら」
 そうしたらとです、ボタンは臆病ライオンににこりと笑ってお話しました。
「楽しいよ」
「楽しい思い出だね」
「そうだよ」
 まさにというのです。
「本当にね」
「そして今ここにまた来て」
「あらためてね」 
 それでというのです。
「楽しんでいるよ」
「それは何よりだね」
「うん、本当にね」
「ボタンは寝ている間に本当にオズの国の何処に行くかわからないから」
 それでと言うドロシーでした。
「そうしたこともね」
「あろよね」
「そうなのよね」
 こうボタンにお話します。
「本当に」
「それが面白いよね」
「ええ、ただいつも急にいなくなるから」
 朝起きたらというのです。
「探す時もあるわ」
「今回もそうなったしね」 
 魔法使いが笑って言ってきました。
「それで探したし」
「そうそう、けれどGPSがあるから」
 腹ペコタイガーが魔法使いに応えました。
「だからね」
「すぐに見付けられるよ」
「それで迎えに行けるよ」
「有り難いことだね」
「まさに文明の利器だね」
 樵は笑って言いました。
「GPSも」
「全くだよ」
 かかしは樵の言葉に頷きました。
「誰が何処にいるかすぐにわかるんだから」
「とても素晴らしいね」
「そうだよね」
「うん、ましてオズの国の技術はね」
「科学と魔法が一緒になっているから」
「外の世界のGPSより凄いんだよね」
「これがね」
 二人でお話するのでした、そして。
 皆はここで千匹以上もいるオジロヌーの群れ、その数の多さを観て思わず息を呑みました、そしてまずはバド王とフラウ王女が言いました。
「凄い数だね」
「そうね」
「千匹以上もいると」
「凄い数ね」
「いや、驚いたわ」
 お人形の女王も目を瞠っています。
「この数には」
「そうですね」 
 バラも唸っています。
「この自然公園でも一番の群れですね」
「凄い迫力ですね」
 キャンディマンも言います。
「これはまた」
「何十匹でも凄いのに」
 それでもと言うジクシー女王でした。
「千匹以上になるともうその場を埋め尽くさんばかりね」
「人だと村位の規模ですね」 
 チックはその数から言いました。
「これは」
「それ位だね」 
 ドウ一世も否定しません。
「あの群れは」
「オズの国でもそうはないね」
 臆病ライオンも唸った表情です。
「あそこまでの群れは」
「そうね」
 ドロシーもこう言います。
「この自然公園で一番のね」
「群れだよね」
「そうよ」
 まさにというのです。
「断言していいわ、ただ見て」
「何かな」
「あちらにね」
 そのオジロヌーの群れから離れた場所を臆病ライオンそして皆に指し示しました、するとそこにはです。
 オグロヌーの群れがありました、その群れもです。
「多いね」
「同じだけでしょ」
「そうだね」
 臆病ライオンも頷きました。
「多いね」
「ええ、けれどね」 
 それでもと言うドロシーでした。
「オグロヌーの群れの方が少ないのよ」
「だからあのオジロヌーの群れが一番だって言ったんだ」
「そうなのよ」
 これがというのです。
「私もね」
「そうなんだね」
「それでね」
 ドロシーはさらにお話しました。
「あのオグロヌーの群れの方が十匹少ないのよ」
「そうなんだ」
「けれど違わない様に見えるわね」
「うん、同じ位に見えるよ」
「数が多いと」
 それならというのです。
「十匹位の違いはね」
「何でもないんだ」
「そうなるのよ」
 こうお話するのでした。
「これがね」
「そういうことだね」
「数が少ないと」
「十匹も違うと」
「目立つけれどね」
「多いとね」
「ぱっと見ただけだとね」
 それならというのです。
「これがね」
「わからないんだ」
「そうなのよ」 
 こう言うのでした。
「何でもそうよ」
「少ないと目立って」
「多いとね」
「目立たないんだね」
「そうなの、これは何でもと言ったけれど」
「そのことをだね」
「頭に入れて」 
 そうしてというのです。
「やっていくことよ」
「実際にドロシーもそうしてやっているね」
「考えてね」
「少ないと違いがやすくて」
「数のね」
「多いとわかりにくいんだね」
「だからね」
 それでというのです。
「そうしたところを見極めて政治もね」
「やっていってるね」
「私もそうで」
「オズマ姫達もだね」
「そうしていってるのよ」
「そうなんだね」
「多いと少ないのはね」 
 それはといいますと。
「何かとね」
「違うね」
「同じものでもね」
「数が違うとだね」
「そうよ、そうなるから」
 だからだというのです。
「私も注意しているのよ」
「そうしたことにだね」
「そうなのよ」
 こうしたお話をしてでした。
 皆で自然公園を観て回って夜はお食事会となりました、とあるレストランに入ってそこでギリキンの食材を使ったフルコースをいただきますが。
 そのお料理を食べてです、ドロシーは言いました。
「どれもね」
「美味しいです」 
 バラが応えました。
「オートブルから何から何まで」
「そうよね」
「今日もです」
 バラはさらに言いました。
「最高のおもてなしですね」
「満足してくれているのね」
「はい」
 そうだというのです。
「凄く」
「僕もです」 
 バド王も言ってきました。
「満足しています」
「私もですよ」
 フラウ王女もでした。
「凄くです」
「それは何よりよ」
「満足していて」 
 それでというのです。
「幸せです」
「幸せなのね」
「明日も楽しみになってきたわ」 
 ジクシー女王も言いました。
「これはね」
「期待してくれているのね」
「不思議ね。楽しんだ後は」
 それからもというのです。
「もっと楽しみたくなるから」
「それが人間というものだね」
 こう言ったのは魔法使いでした。
「全く以てね」
「人間なのね」
「うん、楽しんでね」
 そうしてとドロシーにお話します。
「そこからさらにね」
「楽しみたくなるのね」
「もう満足と思って」
 そしてというのです。
「満足したままでいたいんだよ」
「そうしたものなのね」
「だからね」
 ドロシーにさらにお話するのでした。
「明日もね」
「楽しむといいのね」
「そうだよ」
 ティーボーンステーキを食べつつ言うのでした、今回皆が食べているコースのメインディッシュはそれです。
「私達はね」
「では今回の会議も」
「このまま最後までね」
「楽しめばいいわね」
「そして楽しんだ後で」 
 それからのこともお話する魔法使いでした。
「あらためてね」
「他のことを楽しむのね」
「そうすればいいよ」
「そういうことね」
「うん、楽しみが尽きない国だからね」
 こうも言う魔法使いでした。
「オズの国は」
「どんどん何時までも」
「楽しんでいこう」
「楽しみに飽きない国だしね」
 臆病ライオンもステーキを食べつつ言ってきました。
「だからだね」
「そういうことだよ」
「それじゃあね」
「皆で楽しんでいこう」 
 魔法使いはステーキを食べながら言いました、そしてデザートまで食べてです。
 皆満足しました、その満足の後でさらに楽しんで満足することはもう決まっていました。








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