『新オズの臆病ライオン』




                第九幕  舞踏会

 ピアノの演奏会と歌劇の観劇の次の日です、ドロシーは皆にホテルの食堂の中で朝ご飯を食べつつお話しました。
「今夜は舞踏会を行うわ」
「えっ、舞踏会!?」
「本当ですか!?」
「舞踏会を行うんですか」
「凄いですね」
「華やかですね」
「ええ、各国の代表の人達を招いてのことだから」
 ドロシーは神宝達五人にお話しました。
「そうした催しもね」
「行うんですか」
「そうなんですね」
「いや、まさかです」
「そんなものを行うなんて」
「私達は思っていませんでした」
「王侯貴族の催しと思っているのかしら」
 ドロシーは五人に朝食のハムエッグを食べつつ応えました、各国の人達は今はそれぞれのホテルにいてこの場にはいません。
「オズの国では違うわよ」
「言うならダンスパーティーだからね」 
 魔法使いはトマトにセロリ、ブロッコリーにレタスにラディッシュが入っていてフレンチドレッシングをかけたサラダを食べつつ答えました。
「オズの国では何処でもやっているよ」
「言うならあれだよ」
 かかしは食べておらず皆の笑顔を見て心の栄養にしています。
「音楽がクラシックになったダンスパーティーだよ」
「オズの国ではそうした感覚だよ」
 樵もかかしと同じく皆の笑顔を心の栄養にしています。
「だから畏まることもないよ」
「僕も参加していいんだよね」
 ボタンはギリキンの紫のオレンジのジャムを入れたヨーグルトを食べつつ言いました。
「そうだよね」
「勿論よ」 
 ドロシーはボタンにも答えました。
「是非参加してね」
「それじゃあね」
「僕達も参加するんだよね」
 腹ペコタイガーは今はミルクをとても美味しそうにごくごくと飲んでいます。
「そうだよね」
「そうよ、皆が参加するから」
 ドロシーは焼いたベーコンをフォークとナイフで切りながら言いました。
「宜しくね」
「いや、今夜も楽しそうだね」
 笑顔で、でした。臆病ライオンは茹でたソーセージとても大きなそれを食べながらドロシーに応えました。
「本当に」
「絶対にそうなるわ」
 ドロシーはまさにと答えました。
「今夜もね」
「いや、何かです」
 神宝は未だ驚きを隠せないお顔です。
「ダンスパーティーなら何度か参加したことがありますが」
「舞踏会を行うと思っていなかったので」
 ジョージもそうしたお顔になっています。
「驚いてしまいました」
「そういえば都の宮殿ではよく行われていますね」 
 カルロスはこちらでのことを思い出しました。
「そうですね」
「ドロシーさんもオズマ姫も踊ってますね」
 ナターシャはドロシーを見て言いました。
「奇麗なドレスを着て」
「そしてとても奇麗に華やかに」 
 恵梨香もドロシーを見て言います。
「そうされていますね」
「私も舞踏会のダンスはオズの国に来てね」 
 そうしてというのです。
「踊る様になったわ」
「カンサスでは周りに僕達以外のお家なかったからね」 
 トトはドロシーの横の席でクロワッサンを食べつつ応えました。
「だからだったね」
「ええ、だからね」
「オズの国に来てから」
「踊る様になったわ」
「そうだね」
「今ではね」
 ドロシーはさらに言いました。
「結構色々なダンスをね」
「踊る様になったね」
「そうなったわね」
「うん、そしてね」 
 トトはさらに言いました。
「今夜はね」
「舞踏会よ」
「そうだね」
「ただお昼の催しもね」
 こちらもというのです。
「あるわよ」
「今日のお昼は何があるのかな」
「海に出るわ」
「海に?」
「それでクルージングをするの」
 そうするというのです。
「今日のお昼はね」
「へえ、そうなんだ」
「それでね」
 ドロシーはさらにお話しました。
「海の景色や船遊びを楽しむのよ」
「そちらも面白そうだね」
 臆病ライオンはドロシーのお話を聞いて言いました。
「舞踏会もいいけれど」
「そうでしょ、それで船の上で」 
 そちらでというのです。
「海の幸をね」
「楽しむんだね」
「お刺身にカルパッチョにフライや天麩羅に」
 そうしたお料理にというのです。
「バーベキューもね」
「楽しむんだね」
「そうするわよ」
「じゃあお昼はね」
「海に行きましょう」
「そうしようね」
 臆病ライオンも頷きました、そして皆は朝ご飯の後で各国の代表の人達と合流して港まで行ってでした。
 そこにある大きなオズの国の紋章がある船に乗ってでした。
 海に出ました、するとすぐにでした。
 皆は青い白く輝く太陽の下で、です。
 マリンブルーの海と銀色の海の上を進みはじめました、その中でバド王は微笑んでこんなことを言いました。
「奇麗ですね」
「ええ、海もお空もね」 
 ジクシー女王も微笑んでいます。
「とてもね」
「そうですよね」
「今日はどんな催しをしてくれるのかと思っていたら」
「海に出るなんてね」
「これも素敵な催しね」
「全くですね」
「いや、海を見ていると」
 ドウ一世は言いました。
「自然と笑顔になるよ」
「王様はそうなのですね」
「そうなのだよ」
 キャンディマンに応えました。
「私は」
「海がお好きなので」
「特にこうした日差しの下での海はね」
「そうなのですね」
「そしてね」 
 バド王はさらに言いました。
「何か歌いたくなるよ」
「じゃあ僕が歌いましょうか」
 バラが言ってきました。
「今から」
「私がフルート吹くから一緒にどうかしら」
 フラフ王女は実際にその楽器を出しました。
「ギターもあるわよ」
「王女様楽器得意なんだ」
「フルートやギターはね」
 こうした楽器達はというのです。
「好きだからね」
「そうなんだね」
「私はアコーディオンが好きだよ」
 チックはこの楽器を出してきました。
「何なら演奏するけれど」
「いいね、どの楽器も」 
 バラは二人の言葉を聞いて思わず笑顔になりました。
「じゃあフルートとアコーディオンでお願いするよ」
「それじゃあね」
「今から一曲」
「あら、ギターが空いたわね」
 お人形の女王はそちらの楽器について言及しました。
「なら私が」
「女王様はギターなんだ」
「細菌凝ってるの」
「へえ、そうだったんだ」
「だから今からね」
 バラに笑顔で答えます。
「貴方が詠うなら」
「奏でてくれるんだ」
「そうさせてもらうわ」
「ならお願いするね」
「そうそう、実は面白い魔法の道具があるんだ」
 ここで魔法使いは皆に言ってきました。
「クリームだけれど」
「どんなクリームかな」
 臆病ライオンがが尋ねました。
「そのクリームって」
「靴や足の裏に塗ると海の上を歩けるクリームなんだ」
「へえ、そうしたクリームなんだ」
「今からそれを塗って」
 靴や足の裏にというのです。
「海の上に降りたら」
「その上を歩けるんだね」
「そうだよ」
「それじゃあね」 
 それならとです、臆病ライオンは魔法使いのお話を聞いて言いました。
「早速ね」
「クリームを塗るね」
「そうさせてもらうよ」
「そして君達も」
 歌い奏でると言ったバラ達にも言いました。
「どうかな」
「それじゃあ」
 バラが笑顔で応えました。
「今から」
「それではね」
「皆で海の上に降りましょう」
 ドロシーはこう提案しました。
「そうしましょう」
「いいね、ではね」
「今から皆で海の上に移ろう」
 かかしと樵も言ってきました。
「そしてその上を歩いて」
「歌って奏でよう」
「踊ってもいいね」
 腹ペコタイガーは笑って言いました。
「そうしても」
「そうだね、じゃあ皆で海の上を床の上にいるみたいにして楽しもうね」
 こうお話してでした。
 皆で靴や足の裏にクリームを塗ってでした。
 海の上に降り立ちました、すると波打つ海の上をです。
 皆本当に床の上にいるみたいに歩きます、そして歌って演奏して踊ります。臆病ライオンはバラの歌とフラウ王女達の演奏に合わせて踊ってからです。
 楽しそうなお顔で、です。こう言いました。
「これもオズの国ならではだね」
「そうだよね、こんな魔法のクリームがあるなんてね」
 神宝も言います。
「思わなかったよ」
「そうだね」
「流石オズの国だね」
 神宝はこうも言いました。
「まさに」
「そうだね、そういえば」 
 個々で臆病ライオンは自分達が今いる場所から少し離れたところに島があることに気付いて言いました。
「あそこに島があるけれど」
「あっ、マンゴーの木が一杯あるね」
「お昼のデザートにね」
 これにというのです。
「マンゴーはどうかな」
「あっ、いいね」
「マンゴー美味しいよね」
「とても甘くて」
「お昼のデザートにマンゴーならね」
「最高よね」
「そうだよね、今から取りに行こうかな」 
 臆病ライオンは島にあるマンゴーの木達どの木にもたわわに実っているその果実達を見て言うのでした。
「そうしようかな」
「そうしたらいいよ」
 魔法使いが答えました。
「クリームの効果は数時間続くからね」
「あの島に行って帰るまではなんだ」
「充分過ぎるまでの時間があるよ」
「それじゃあね」
「今からだね」
「行って来るよ」
 魔法使いに笑顔で答えました。
「そうしてくるよ」
「それではね」
「僕達も一緒に行っていいかな」
 神宝が臆病ライオンに言いました。
「これから」
「君達もなんだ」
「今五人でお話したけれど」 
 いつもの五人でというのです。
「臆病ライオンだけだと持って行けるマンゴーの数が限られているから」
「君達もなんだ」
「一匹と五人で行ったら」
 マンゴーの実を獲りにです。
「その分沢山の実が手に入るね」
「そうだね」
 臆病ライオンもそれはと頷きました。
「数が多い方がね」
「だからどうかな」
「いいね」
 臆病ライオンは賛成の言葉を述べました。
「それじゃあね」
「そうしようね」
「それだとね」
 ドロシーがここで言いました。
「皆それぞれ籠を持って」
「そうしてなんだ」
「獲ったマンゴーの実を籠に入れて」
「持ち帰ればいいね」
「そうしたらいいわ」
「じゃあ背中に籠を背負って」
「そうしてね」 
 そのうえでというのです。
「沢山ね」
「持って帰るんだね」
「そうしましょう」
「それじゃあ」
 こうお話してです、臆病ライオンも神宝達五人もです。
 それぞれドロシーが懐から出した籠を背負ってそのうえで海の上を一緒に歩いていって島に辿り着きました。
 そうしてです、マンゴーの林に行ってです。
 五人と一匹でマンゴーの実を獲っていきます、臆病ライオンはジャンプしてです。
 身をどんどん獲ります、神宝達五人はこのことに目を瞠りました。
「凄いね」
「そうだね」
「高い場所にある実までジャンプして獲るなんて」
「物凄いジャンプ力ね」
「本当に」
「これ位何でもないよ」
 臆病ライオンは五人に笑顔で応えました。
「僕にとってはね」
「流石ライオンだよ」
「僕達じゃ絶対に届かないのに」
「そんな場所にあるのに」
「そこまで跳べるなんて」
「信じられないわ」
「そう言ってくれると嬉しいよ、他にはね」 
 今度はでした。
 マンゴーの木を登ってすぐに枝の上まで行ってです、そこから実を獲って五人に対してまた言うのでした。
「こうしたことも出来るよ」
「うわ、これまた凄いね」
「高い木を一瞬で登って」
「それで実を獲るなんて」
「しかも上に乗った枝は折れないし」
「お猿さん以上ね」
「バランスを取ればね」
 身体のというのです。
「こうしたこともだよ」
「出来るんだ」
「それで実が獲れるんだ」
「そこまで簡単に」
「何でもない様に」
「そうなのね」
「うん、こうしたことは得意とね」
 その様にというのだ。
「行っていいよ、じゃあね
「うん、マンゴーの実を沢山獲って」
「そして持って帰って」
「お昼に食べよう」
「デザートにね」
「皆で楽しみましょう」
「そうしようね」
 臆病ライオンは五人に木の上から応えました、そうしてです。
 五人と一匹臆病ライオンが中心となって沢山のマンゴーの実を獲ってでした。獲った実を全部それぞれが背負っている籠の中に入れまして。
 皆のところに戻りました、ドロシーはその実達を早速船の中の冷蔵庫に入れて冷やしてです。
 お昼まで海の上で遊んで甲板に戻って海の幸を出しました、すぐに魚介類のお刺身やカルパッチョ、天麩羅やフライが出されてです。
 バーベキューも焼かれます、バド王は烏賊のバーベキューを見て言いました。
「これがまたね」
「美味しいのよね、烏賊を焼いても」
 フラウ王女もその烏賊を見て言います。
「お醤油やおソースで味付けして食べる」
「凄くいいよね」
「うん、烏賊も蛸も好きだよ」
 腹ペコタイガーはここでも舌なめずりしました。
「蛸は今回はお刺身であるしね」
「うん、烏賊も蛸みいいよね」
 トトはこう言いつつ牡蠣フライを見ています。
「それに牡蠣だって」
「そちらもいいね」
 腹ペコタイガーはその牡蠣フライも身て応えました。
「本当に」
「そうだよね」
「いや、色々な海の幸があるね」
 魔法使いの目は笑っています。
「これは本当に楽しめそうだよ」
「そうだね、生のものも沢山あって」
 ボタンはお刺身やカルパッチョを見ています。
「凄く美味しそうだよ」
「全く以てね」
「こうしたものを食べて」 
 そうしてというのです。
「今からだね」
「楽しむんだよ」
「いいね、本当に」
「好きなものを食べてね」
 ドロシーは皆に言いました。
「そうしてね」
「そうさせてもらうね」
 バラが応えました。
「是非共」
「調味料も用意したし」
「お醤油もおソースも」
「そうよ、山葵やお塩や胡椒も」
 こうしたものもというのです。
「あるから」
「味付けもして」
「食べていきましょう」
「そうね、カルパッチョに塩胡椒をかけて」
 ジクシー女王はそのお料理を見て言います。
「レモンのお汁をかけて」
「食べるのね」
「そうさせてもらうわ」
 鮭や平目、蛸のカルパッチョ達を見ながらドロシーに答えます。
「今から」
「それではね」
「皆で食べましょう」
「わかったわ」
 ジクシー女王も他の人達も頷いてでした。
 海の幸を楽しみます、するとでした。
 臆病ライオンは烏賊に醤油をかけてバーベキューで焼いたものを食べてから言いました。
「凄く美味しいね」
「そうだね」
 腹ペコタイガーも烏賊を食べて頷きました。
「烏賊も」
「僕さっき蛸も食べたけれどね」
「そちらも美味しいね」
「うん、今回いか焼きやたこ焼きはないけれど」 
 それでもというのです。
「烏賊や蛸もね」
「美味しいよね」
「それも凄くね」
「私ずっと知らなかったのよ」
 ドロシーも言ってきました。
「烏賊や蛸を食べられるなんて」
「それがだね」
「日本や中国の文化もね」
「オズの国に入って」
「そこで食文化も入って」
 そうしてというのです。
「そうしたものも食べる様になってね」
「ドロシーも知ったね」
「食べてみたら」 
 これがというのです。
「美味しくて色々なお料理があって」
「とてもいいよね」
「ええ」
 こう臆病ライオンに答えました。
「烏賊や蛸もね」
「僕もそう思うよ」
「それで今もね」
「烏賊や蛸もだね」
「用意したのよ」
「お魚や貝と一緒に」
「そうなの、今ではね」
 にこりと笑って言うドロシーでした。
「こうした海の幸を食べるとなると」
「欠かせないね」
「そうなっているわ」
「お寿司でも使うしね」
「そうだね」
「そうそう、舞踏会の時だけれど」
 ドロシーは臆病ライオンに夜のこともお話しました。
「一緒に晩ご飯も出るけれど」
「そうなんだ」
「ビュッフェ、バイキングの方式でね」 
 それでというのです。
「色々なお料理が出されるけれど」
「烏賊や蛸を使ったものもだね」
「お寿司も出されるから」
 それでというのです。
「その中にあるわよ」
「そうなんだね」
「だからね」
「その時も楽しみにしていればいいね」
「ダンスと音楽に」
 そうしたものに加えてというのです。
「ご馳走も楽しんで」
「そこでもだね」
「烏賊や蛸もね」
「楽しめばいいね」
「そうよ」
 こう言うのでした、そうしてお昼は海の幸にクルージングを楽しみました。こちらも素敵な催しで。
 各国の代表の人達も満足しました、そして夜になるとです。
 昨日入った歌劇場のダンスホールで舞踏会でした、ドロシーや魔法使い、神宝達はお風呂の後で奇麗なタキシードやドレスに着替えてです。
 ボタンは整ったセーラー服を着てかかしは洗濯したうえで新しい藁を中に入れて樵は全身を油で磨いてピカピカにしました。臆病ライオンと腹ペコタイガー、トトはお風呂の後でリボンで飾られました。
 そんな皆を見てです、ドロシーはエメラルドグリーンで所々にエメラルドを付けているドレス姿で言いました。
「皆奇麗よ」
「いや、舞踏会となりますと」 
 神宝は青いタキシード姿で言いました。
「やっぱり正装ですね」
「そうですよね」
 ジョージのタキシードは赤です。
「何といっても」
「皆タキシードかドレスですね」  
 カルロスも黄色いタキシード姿で言います。
「ここにいる人達は」
「舞踏会ならではですね」
 恵梨香はピンクのひらひらとしたドレスです。
「本当に」
「緊張しますね」
 ナターシャは黒の上品なドレスです。
「こうした場所は」
「だから畏まることはないのよ」
 ドロシーは五人ににこりと笑って答えました。
「だからオズの国はね」
「何でも楽しむ」
「そうした国ですね」
「そうでしたね」
「どんなことでもそうする」
「それも心から」
「だからよ」
 それでというのです。
「いいわね」
「今回の舞踏会もですね」
「そのまま楽しめばいいですね」
「ダンスも音楽も」
「そしてご馳走も」
「飲みものも」
「そうだよ」 
 魔法使いは普段のタキシード姿ですがそれはシルクのとても上品で奇麗なものになっています。シルクハットもそうなっています。
「服だって楽しめばいいしね」
「そうそう、肩肘張らないでね」 
 かかしも五人に優しく言います。
「決して」
「僕達も楽しむしね」
 樵はもうにこにことしています。
「君達もそうしてね」
「この雰囲気だけでも楽しいじゃない」
 腹ペコタイガーは自分達がいるホールを見回しました、見ればその場所は彫刻が飾られオズの国の五色のカーテンやテーブル掛けで飾られていてです。
 オズの各国の万国旗も天井から吊るされて様々なご馳走が用意されてタキシードやドレスで着飾った人達がいます。オーケストラの人達もいます。
「そうだよね」
「その場に飲まれるんじゃなくてね」
 トトはドロシーの足下から言いました。
「楽しんでいこう」
「皆がそう言うのなら」
「僕達もね」
「そうさせてもらうね」
「そういえば舞踏会の経験もあるし」
「はじめてじゃないし」
「そうしていこうね」
 臆病ライオンが言ってでした。
 皆で舞踏会を楽しみはじめました、そして皆でです。
 華麗な音楽に乗ってダンスをはじめました、男女一緒に手を重ね合わせて一緒にくるくると踊ります。その中で。
 臆病ライオンも踊りますがドウ一世はその彼に言いました。
「いや、いい踊りだね」
「そうですね」
 チックは王様のジンジャーブレッドの王様の言葉に頷きました。
「センスがあります」
「そうだね」
「凄く慣れていて」
 さっき一緒に踊ったバラが言います。
「よかったです」
「私も一緒に踊らせてもらったけれど」
 フラウ王女も言いました。
「臆病ライオンさんとてもお上手よ」
「そうだね」
 バド王はお姉さんの言葉に頷きました。
「見ていて思ったよ、僕も」
「ただ勇敢なだけじゃないのよ」
 ジクシー女王は言いました。
「臆病ライオンさんは」
「優しくて暖かい心の持ち主で」
 キャンディマンは臆病ライオンの人柄のお話をしました。
「しかもダンスも上手なのですね」
「そう思うと素晴らしい方ね」
 お人形の女王も思うことでした。
「臆病ライオンさんは」
「そうでしょ、だから私も大好きなのよ」
 ドロシーは各国の代表の人達外見は普段と変わりませんが服等はいつもより遥かに奇麗に整えられているその人達に応えました。
「臆病ライオンさんもね」
「ドロシー王女のオズの国の一番古いお友達の一人なので」
 ドウ一世は言いました。
「それでだね」
「ええ、そのこともあってね」
 ドロシーもその通りと答えます。
「大好きなのよ」
「あの時のことは歌劇でも描かれていましたけれど」
 チックは昨日観たそちらのことを思い出しました。
「運命の出会いでしたね」
「そして今も仲良しですね」 
 バラも言います。
「ドロシーさん達は」
「そうよ、どれだけ助けてもらったか」 
 ドロシーはまた言いました。
「わからない位だしね」
「まさに心の友ね」
 ジクシー女王は微笑んで述べました。
「お互いに」
「そういえばです」 
 バド王はここであることに気付きました。
「ドロシーさんの最初の旅の時の人達が今は皆揃ってますね」
「そうよね、かかしさんに樵さんにトトもで」
 フラウ王女も言います。
「魔法使いさんもおられて」
「ええ、皆今もお友達よ」
 ドロシーはにこりと笑って答えました。
「あの時からね」
「この人達がいなかったら」
 どうかとです、お人形の女王は思いました。
「オズの九にもどうなっていたか」
「わかりませんね」
 キャンディマンが続きました。
「本当に」
「あの冒険がなかったら」
 ある貴婦人とのダンスを終えてです、臆病ライオンは皆のところに戻ってきてそのうえで会話に参加しました。
「ぼくたちもね」
「どうなっていたかしら」
「全く想像出来ないね」
「そうよね」
「いや、ドロシーが来る前からだよ」
 臆病ライオンはドロシーにお話しました。
「オズの国はあったよ」
「そうよね」
「それもずっと前からね」
「紀元前からよね」
「あったんだ、けれどね」
 それでもというのだ。
「比較的何もないね」
「平和で楽しくても」
「誰も死ななくてもね」
 それでもというのです。
「今みたいに何かとある様な」
「そんな国じゃなかったのよね」
「うん、だから僕もね」 
 臆病ライオンもというのです。
「ただ自分は臆病だって」
「思っていて」
「自分に対して否定的だったんだ」
「そうだったのね」
「ずっとね」
「貴方も変わったのね」
「そうだよ、ドロシーが来てからね」 
 それからというのです。
「そうなったんだよ」
「私が来てなのね」
「そしてオズマが女の子に戻って」 
 ずっと男の子と思われていたのがです。
「それでドロシーがオズの国とカンサスを暫く行き来して」
「遂に私がオズの国に定住して」
「変わっていったよ、今じゃね」
「オズの国は随分動いているわね」
「常にね。そうした国になったのは」
 どうしてかといいますと。
「きっかけはね」
「私なのね」
「若しドロシーが来てくれなかったら」
 オズの国にというのです。
「オズの国もどうなったか」
「わからないのね」
「しかもオズマまで出て来てくれたし」
 この人もというのです。
「二人がね」
「オズの国を変えたのね」
「それも劇的にね」
「そうなったってよく言われるけれど」
 それでもとです、ドロシーは答えました。
「私としてはね」
「自覚はないんだね」
「私がオズの国に来たのもオズマが出て来たのもね」
 お二人がそうなったのもというのです。
「全て運命で」
「キリスト教の神様とオズの国の神々のお導きだね」
「そうだと思うわ。オズの国がどんどん変わる様になったのも」 
 このこともというのです。
「全てね」
「神々によるものなんだ」
「人間はどれだけ凄いことが出来ても」
 それでもというのです。
「神々と比べたらね」
「小さなものだね」
「オズアもそう言ってるでしょ」
 今ドロシーと一緒にお話に出ているオズの国の国家元首であるこの人もというのです。今この人ハエメラルドの都にいます。
「人間はね」
「どれだけ凄いことをしてもだね」
「そしてどんな凄い知識や人格や運動神経を持っていても」
「神々と比べたら」
「そう、神々が見たら」 
 それならというのです。
「もう本当にね」
「小さなものだね」
「それこそ等しい様な」
「その間ではやたら優劣が見られても」
「神々から見たらよ」
「等しく小さいんだね」
「だからね」
 そうしたものだからだというのです。
「私はね」
「偉くも凄くもないんだ」
「オズマもいつもそう言ってるでしょ」
「そうだね」
 臆病ライオンもその通りと答えました。
「そのことは」
「だからよ」
「ドロシーは凄くないんだ」
「私はカンサスの農家の娘よ」
 自分のことをこう言うのでした。
「一体何処が凄いのよ」
「ううん、その飾らなさがね」 
 臆病ライオンは微笑んで答えました。
「いいんだよ」
「そうなの」
「ドロシーの魅力の一つだよ」
「そうなのね」
「そう、そして」
 それでというのでした。
「今度は僕とね」
「ダンスをなのね」
「踊らない?」
「そういえば今回まだ一緒に踊ってなかったわね」
「そうだしね」
「それじゃあね」
「一緒に踊ろうね」
 こうドロシーに言うのでした。
「今から」
「よし、じゃあ僕もね」
「僕もご一緒させてもらうよ」
 かかしと樵も言ってきました。
「ドロシーとね」
「そうさせてもらっていいかな」
「是非ね」
 ドロシーは二人にも答えました。
「順番でね」
「そうしようね」
「楽しくね」
「そういえばボタンは何処かな」
 ふと今もドロシーの傍にいるトトが言いました。
「まさかまた寝て」
「僕ならここにいるよ」
 すぐ後ろの席から声がしました、そちらを見ますと。
 ボタンはテーブルの上に置かれているご馳走を立ってお皿の上に入れてフォークで食べています、食べているのはミートローフやテリーヌです。
「それでいただいているよ」
「食べることを楽しんでいるんだね」
「さっきまでダンスをしていたけれど」 
「今は食べてるんだね」
「そうなんだ、一緒にね」
 ボタンはこう言ってでした、自分の傍を見ますと。
 そこには神宝達五人もいてです、それぞれ食べています。
「美味しいよね」
「うん、ご馳走もね」
「ダンスも音楽もよくて」
「雰囲気もで」
「最高の場所ね」
「そうだよね、僕もそれはわかるよ」 
 ボタンは今度はお寿司、烏賊や蛸のそれを食べて言いました。
「いい場所だね」
「そうだね」
「凄くね」
「最初は緊張していたけれど」
「それでもね」
「今はそう思えるわ」
「そうだね、そう思えたら」
 それならと言うボタンでした。
「それでいいね」
「そうだよね、ほら見て」 
 トトはボタンに言ってきました。
「今のドロシー達を」
「今は臆病ライオンさんと踊ってるね」
 ボタンが見れば丁度そうした時でした。
「凄く上手にね」
「それも楽しくね」
「そうしてるね」
「楽しんだらね」
 それならというのです。
「いいんだよ」
「そうだよね」
「幸せって何か」
 トトはこうも言いました。
「それは幸せって感じたらね」
「それで幸せだね」
「その人がね」
「そうだよね、僕もね」
「いつもそう感じてるね」
「そうだよ」
「それでそう感じてるから」
 だからだというのです。
「君もしあわせで僕もドロシーもね」
「幸せだね」
「そうだよ、僕も最初は舞踏会ってね」 
 こうした場所はというのです。
「緊張してね」
「楽しめなかったんだ」
「それどころじゃなかったよ、だってね」 
 トトはさらにお話しました。
「僕はドロシーと一緒にカンサスにいたんだよ」
「大平原で何もなかったんだよね」
 神宝がローストチキンを食べながら言ってきました。
「その頃の君達が住んでいた場所は」
「僕達のお家があってね」
 トトは神宝にもお話しました。
「そして畑があって」
「周りにはだね」
「他にお家もなくて」
 それでというのです。
「人も滅多に来ないし」
「それじゃあだね」
「舞踏会なんてね」
「ある筈がないね」
「うん、だからね」
「最初舞踏会に出た時は」
「凄く緊張したよ、他のこともね」
「そうした場所にいたから」
「だからね」 
 それでというのです。
「見たことも聞いたこともない」
「経験したこともない」
「そんなものばかりだったから」
「ドロシーさんも君も」
「緊張することが多かったよ」
 そうだったというのです。
「かつての僕達はね」
「そうだったんだね」
「けれど今はね」 
 どうかとです、トトは神宝にお話しました。
「それがね」
「変わったんだね」
「そうなったよ」
 こう言うのでした。
「何でもね」
「楽しめる様になったんだね」
「そうなったよ」
「そうなんだね」
「今じゃ何でもね」 
 それこそというのです。
「楽しめるよ」
「そして幸せをだね」
「感じられているよ」
「そうなったんだね」
「最初は本当に緊張するよ」
 このことは否定しませんでした。
「誰でもね」
「舞踏会でも」
「そうだけれどね」
 それでもというのです。
「経験していったら」
「緊張もほぐれて」
「好きになれるものは好きになって」
 そうなってというのです。
「そしてね」
「それでなんだ」
「どんどんしていって」
「よくなるんだね」
「そうだよ、だから今日はね」
 さらに言うのでした。
「飲んで食べて」
「ダンスもだね」
「していこうね」
「それじゃあ」
 神宝はトトの言葉に頷きました、それでです。
 五人で踊ることにしましたがそこにかかしそれに樵とのダンスを終えたドロシーが来て五人にこう言いました。
「男の子三人、女の子二人だとね」
「はい、どうしてもです」
「男の子一人あぶれます」
「交代でそうなります」
「皆いつも踊れないです」
「どうしても」
「だから私を入れてくれるかしら」
 五人の中にというのです。
「それだと丁度いいでしょ」
「そうですね、男の子三人に女の子三人です」
「そうなります」
「それだと丁度いいですね」
「一人あぶれません」
「皆いつも踊れます」
「だからね」 
 そうなるからだというのです。
「どうかしら」
「是非お願いします」
「皆いつも一緒に踊りたいですし」
「それにドロシーさんとも踊れるなら」
「それなら最高です」
「そうして下さい」
「それではね」 
 こうしてでした。
 神宝達五人はドロシーも加えて六人で踊りました、そうして舞踏会を心ゆくまで楽しみました。皆この日も楽しめました。








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