『新オズの臆病ライオン』




                第八幕  歌劇も観て

 ドロシーは皆、各国の人達も含めて街のある場所に案内しました。その外装はギリキンの紫の大理石で築かれたギリシアの神殿の様です。
 その建物の前に案内してです、ドロシーは皆に笑顔で言いました。
「今夜はここで観劇よ」
「お芝居を観るんだね」
「そう、歌劇を観るのよ」
 そうするとです、ドロシーは臆病ライオンにお話しました。
「私達のことを歌劇にしてくれたね」
「ああ、そうした作品も多いよね」
 臆病ライオンはドロシーの言葉に頷きました。
「オズの国には」
「そうでしょ」
「オズの国の有名人はね」
 それこそ誰もがです。
「お芝居や漫画やアニメに出てるね」
「小説にもね」
「実際にあったことをそのまま書かれたりとか」
「創作も多いわね」
「うん、特にドロシーとオズマはね」
 オズの国で特に有名なこの二人はといいますと。
「登場が多いね」
「そうなのよね」
「それで今夜観るお芝居はどんなのかな」
 かかしがドロシーに尋ねました。
「一体」
「私達が出会った時のことよ」
 ドロシーはにこりと笑って答えました。
「私が最初にオズの国に来た時ね」
「ああ、あの時だね」
「そうなの」
「あの時も色々あったね」
 樵は笑って言いました。
「僕達が出会ってね」
「そうしてだったわね」
「ドロシーは一旦カンサスに帰ったね」
「それまでのことを歌劇にしてくれたの」
「ははは、あの時のことを思い出すと」
 魔法使いも笑って言います。
「本当に懐かしいよ」
「そうよね」
「あの時はまさかまたオズの国に戻るとはね」
「思わなかったわね」
「そうだったよ」
「まさかこの国に来るなんてね」
 今もドロシーと一緒にいるトトも言ってきました。
「思わなかったよ」
「ええ、けれど今思うとね」
「とても楽しいことばかりだったね」
「危ない時もあったけれど」
「それでもね」
「あの時谷に落ちたカリダと会ったことがあったけれど」
 オズの国にいるこの獣にです。
「まさか私がまたオズの国に来るなんてね」
「思っていなかったんだね」
「それで王女になるなんて」
 オズの国のというのです。
「本当にね」
「思いもしなかったんだね」
「そう言っていたわ」
「あのカリダどうなったのかなって思ってたけれど」
 それでもと言う臆病ライオンでした。
「元気なんだね」
「オズの国では誰も死なないでしょ」
「それでだね」
「谷から落ちても元気でね」
「この前会ったんだ」
「今は山菜や果物や茸が大好きだそうよ」
 こうした山の幸がというのです。
「それで平和に暮らしているわ」
「それは何よりだね」
「そうよね、そのカリダも出るそうよ」 
 その歌劇にはです。
「私達以外にね」
「じゃああの人達も出るのかな」
 腹ペコタイガーは少し考えながら言いました。
「北の魔女や西の魔女も」
「勿論よ」
「そうなんだね」
「そうなのよ」
「そういえばあの時西の魔女って消えたと思ったら」
「健在よね」
「今は改心して楽しく暮らしているね」
 この人のお話もするのでした。
「そうだね」
「そうよ」
 ドロシーもその通りだと答えます。
「あの人もそうしているわ」
「それは何よりだね」
「凄く楽しそうなお芝居だね」
 ボタンもお話を聞いて思いました。
「聞いているだけでも」
「実は私前に一度観たけれど」
 その歌劇をとです、ドロシーはボタンにも答えました。
「とてもね」
「素敵な歌劇なんだね」
「そうよ」
 こう言うのでした。
「モーツァルトさんが作曲してくれたし」
「へえ、あの人がなんだ」
「脚本はボームさんが書いてくれたし」
「僕達のことを最初に外の世界に紹介してくれた」
「王室歴史編纂室長のあの人がね」
 他ならぬこの人がというのです。
「そうしてくれたのよ」
「そうなんだね」
「だからね」 
 そうした作品だからだというのです。
「凄く楽しいわよ、今回出演している人も豪華だし」
「歌手の人達もですね」
 神宝が応えました。
「そうなんですね」
「しかもオーケストラは王宮管弦楽団で」
 ドロシーはオーケストラのお話もしました。
「オズの国一のオーケストラだから」
「あっ、エメラルドの都が主催する会議の前の催しなので」
 ナターシャはその事情がわかりました。
「そのオーケストラですね」
「そうよ、指揮者も演出家もね」
 そうした人達もというのです。
「王宮から来てくれたのよ」
「それは期待出来ますね」 
 ジョージは目をキラキラとさせて言いました。
「本当に」
「そうでしょ、だから楽しみにしておいて」
 ドロシーはまた言いました。
「今夜はね」
「そうさせてもらいます」
 カルロスも是非にと言いました。
「本当に」
「夜が待ち遠しいです」
 恵梨香は歌劇場を見ながらドロシーに言います。
「本当に」
「そうしていてね。ただその前にね」 
 ドロシーは皆に言いました。
「お昼にも催しがあるの」
「それは何かな」
「ピアノの演奏会よ」 
 ドロシーはまた臆病ライオンに答えました。
「それにね」
「皆で出席してだね」
「ピアノの音楽をね」
「楽しむんだね」
「そうしてもらうのよ」
「ピアノとは素敵ね」
 ジクシー女王はドロシーのお話ににこりとなりました。
「私は過激も好きだけれど」
「ピアノもなのね」
「大好きだから」
 それでというのです。
「お昼もね」
「期待してくれるのね」
「是非ね」
「さてさて、音楽を聴くとなると」
 ドウ一世は今にも踊りそうな調子です。
「思わず踊りたくなるね」
「全くですね」
「そうですよね」
 チックとバラはもう踊っています。
「自然と」
「そうなりますね」
「ミュージッカーさんやつぎはぎ娘さんみたいにね」
「はい、聴き終わったらです」
「皆で踊りましょう」
「クラシックだと演奏中に踊ることはマナー違反だけれど」 
 お人形の女王はそれでもと言いました。
「終わって会場を後にしたらいいわね」
「舞台も観られるし」
 キャンディマンはこのことについても言います。
「実に楽しそうだね」
「今日もね」
「全くですよ」
 キャンディマンはお人形の女王にも応えました。
「本当に」
「ドロシー王女はあの時まだカンサスの人で」
「私達も後でお会いしたけれど」
 バド王とフラウ王女はドロシーにはじめて会った時のことを思い出しながらそのうえでお話します。
「今とはまたね」
「雰囲気が違うのよね」
「私は私でしょ」
 ドロシーはお二人の言葉に首を傾げさせました。
「変わらないわよ」
「いえ、やっぱり今と違います」
「何かと」
「そうかしら」
「だって少し年上になったしね」 
 臆病ライオンが言ってきました。
「オズの国の王女になったし」
「それでなの」
「しかもあの時からも数多くの冒険をして」
 このこともあってというのです。
「沢山の人や生きものと会ってきたね」
「そういえばそうね」
「しかもね」
 臆病ライオンはさらに言いました。
「王女としてオズの国の政治にも携わって」
「首相は私だしね」
「だからね」
「その分私も変わったのね」
「天真爛漫さと勇気と機転はそのままで」
 それでというのです。
「人間としてかなり成長してるよ」
「そうなので」
「だからあの時と比べると」
 今のドロシーはというのです。
「全く違うよ」
「そうなのね」
「只でさえいい娘だったドロシーがね」
 今ではというのです。
「さらによくなったよ」
「そうなのね」
「けれどあの時のドロシーもね」
 オズの国に最初に来た時のです。
「素晴らしかったから」
「それでなのね」
「今夜の歌劇は楽しみだよ」
「貴方もなのね」
「うん、とてもね」
 こうドロシーに言うのでした。
「楽しみだよ」
「僕達もです」
「あの時のお話走っていますけれど」
「どんな作品か楽しみです」
「今夜が待ち遠しいです」
「早く夜にならないかと」
 神宝達五人も言ってきました。
「お昼のピアノも楽しみですが」
「歌劇もです」
「今日は凄く楽しそうですね」
「音楽尽くしで」
「素晴らしいものになりそうですね」
「絶対にそうなるわ。私はその歌劇をはじめて観たのはモジャボロさんやムシノスケ教授と一緒にグリンダのお城に行った時で」
 その時に観たというのです。
「とてもよかったの」
「そうなんですね」
「それでご存知なんですね」
「どんな作品か」
「だから僕達に言えるんですね」
「素敵な作品だって」
「しかも歌手もオーケストラも指揮者も演出も揃ってるから」
 その全てがというのです。
「絶対に素晴らしいものになるわ」
「ではまずはね」
 かかしが言ってきました。
「お昼だね」
「ええ、お昼ご飯を食べてね」
「それからピアノの演奏会だね」
「そちらに行かせてもらうわ」
「そうなるね」
「ピアノの方も楽しみだよ」
 樵は実際に期待しているお顔です。
「どんな曲かね」
「ショパンやベートーベンやシューベルトよ」
 ドロシーは作曲家の人からお話します。
「それでオズの国でも有名な演奏家の人がね」
「演奏してくれるんだね」
「そうなんだね」
「そうなの」
 かかしと樵に笑顔で答えました。
「だからこちらも楽しみにしていてね」
「僕昔はピアノの曲聴いてたら眠くなったけれど」
 ボタンは彼らしいことを言いました。
「最近は違うよ」
「ちゃんと聴いていられるわね」
「何か夜ぐっすり寝たら」
 そうしたらというのです。
「それでね」
「ピアノを聴いても眠くなくなったのね」
「そうなんだ、もう夜寝たら」
 その時のこともお話するのでした。
「そのままぐっすりね」
「朝まで起きないのね」
「夢は見ても全くだよ」
 それこそというのです。
「起きなくなったんだ」
「そうなのね」
「僕も寝ることが大好きだけれど」
 トトも言ってきました。
「音楽を聴いてるとね」
「眠くならないのね」
「音楽に聴き入って」
 そうなってというのです。
「寝ることはね」
「しないわね」
「全くね」
 そうだというのです。
「そうなったよ」
「それは何よりね、ではお昼を食べたら」
「それからだね」
「行きましょう、今日のお昼はスパゲティとピザよ」
 こうしたものだというのです。
「色々な種類のスパゲティとピザを用意してくれるから」
「皆で食べるんだね」
「そちらを楽しみましょう」
「それはいいね、実は僕カルボナーラを食べたいんだ」
 腹ペコタイガーは舌なめずりをして言いました。
「イカ墨もね」
「そちらもなのね」
「すごくね」
 そうだというのです。
「スパゲティと聞いた瞬間にね」
「そうなったのね」
「そうなんだ」
 こうドロシーに言うのでした。
「他のスパゲティもだけれど」
「その二つもなのね」
「そうなんだ、そちらも楽しみだよ」
「ピザもいいね」
 魔法使いは笑顔で言いました。
「食べながらワインも飲もう」
「その組み合わせね」
「スパゲティもだけれど」
 そちらと一緒にというのです。
「赤ワインもね」
「欠かせないのね」
「パスタやピザを食べるなら」
「お酒はワインね」
「それも赤をね」
 こちらをというのです。
「楽しみたいよ」
「それじゃあ」
「私はその組み合わせを楽しむよ」
「そうしてね」
「お昼ご飯まで楽しめるなんて」
 臆病ライオンは心から思って言いました。
「最高だよ」
「最高のさらによね」
「最高だよ」
 こうドロシーに言うのでした。
「本当にね」
「私もそう思うわ、ではね」
「スパゲティとピザの後で」
「ピアノを聴いてね」
「夜は歌劇だね」
「歌劇の前に夕食だけれど」
 ドロシーこちらのお話もしました。
「こちらは懐石料理よ」
「和食だね」
「しかも料亭でね」
 そちらでというのです。
「いただくわ」
「そちらもいいね」
「国家の行事だからね」
「会議と一緒で」
「だからよ」 
「色々今回は豪勢なんだね」
「そして凝ってるの」
 そうだというのです。
「そうなっているのよ」
「そうなんだね」
「王宮にいた頃にオズマとお話をして」
 そうしてとです、ドロシーは臆病ライオンに笑顔で言いました。
「細かい日程までね」
「決めたんだね」
「ただね」 
 こうも言うドロシーでした。
「途中何かとあるのは付きものね」
「それはね」 
 臆病ライオンも否定しませんでした。
「あるね」
「そうでしょ、だからね」
「何があってもいい様に」
「余裕もね」
「ある様に予定を組んだんだ」
「そうなのよ」
「過密だとね」
 そうしたスケジュールならとです、臆病ライオンは言いました。
「いざという時にね」
「すぐにスケジュールが破綻するでしょ」
「そうだね」
「だからね、今日もこれでね」
「余裕を以てなんだ」
「スケジュール組んだの、お昼を食べてから演奏会で」
 そうしてというのです。
「夕食、歌劇だけれど」
「それぞれの間にだね」
「結構余裕はあるわ。それで終わったら」
 歌劇までというのです。
「それぞれの宿泊先に戻って」
「休むんだね」
「お風呂も入ってね」
 そうもしてというのです。
「そのうえでね」
「休みんだね」
「朝までね、あと今午前中だけれど」
「特に予定ないね」
「敢えてこれといってね」
「それもだね」
「余裕を考えて」
 いざという時に備えてです。
「この時に催しとかを回すことも考えて」
「空けておいたんだね」
「余裕を以て考えること」
 このことがというのです。
「大事だから」
「最初からそのことを考えてスケジュールを組んだんだね」
「そうよ、余裕を置けるのなら」
「置くことだね」
「何でもかんでも詰めてだと」 
 そうしたスケジュールを組むと、というのです。
「本当に何かあったら」
「スケジュールが破綻するね」
「そうなるから」
 だからだというのです。
「私もオズマもね」
「そうしたことを考えてだね」
「スケジュールを組んだのよ」
「そうだね、それじゃあ」
「今日からね」
「そのスケジュールでだね」
「進めていくわ」
「それじゃあね」 
 臆病ライオンも笑顔で頷きました、そうしてです。
 お昼に皆でスパゲティとピザを食べてでした、それから皆でピアノを聴きます。そのピアノを聴いてでした。
 ドウ一世はにこにことです、こんなことを言いました。
「最高の演奏だね」
「はい、全く以て」
「素敵ですね」
 チックとバラが応えます。
「この演奏は」
「いい曲ですね」
「そして演奏する人もお見事で」
「最高ですね」
「全くだね」
「この曲は野薔薇ね」
 ジクシー女王は曲名を言いました。
「シューベルトさんの」
「あの旅行好きの」
「それでいつも大勢のお友達と一緒にいる」
「ええ、あの人の曲よ」
 バド女王とフラウ王女に答えました。
「その曲を演奏したのよ」
「そうなんですね」
「この曲が野薔薇ですね」
「何度か聴いてるけれど素敵な曲ね」
「さっきの曲もよかったわね」
 お人形の女王は野薔薇の前に演奏された曲のことを言いました。
「私気に入ったわ」
「あの曲はアヴェ=マリアですね」
 キャンディマンが演奏会のパンフレット、入場の時に演奏を行うホールのスタッフの人に渡してもらったそれを読みつつ答えました。
「やはりシューベルトさんの曲です」
「そうなのね」
「どちらの曲も本来は歌もあるそうですが」
「今回はピアノだけね」
「そうですね」
「いや、ピアノだけでも素敵だよ」
 トトは尻尾をぱたぱたとさせつつ言いました。
「どの曲もね」
「そうだね、聴いていると幸せな気持ちになれる」 
 トトの隣にいる腹ペコタイガーが彼に応えました。
「とてもね」
「素敵な曲だね」
「どちらの曲もね」
「こんな素敵な曲を作曲してくれるんだからね」
「シューベルトさんは素晴らしいよ」 
 かかしと樵も聴いて思いました。
「最高の音楽家さんの一人だね」
「紛れもなくね」
「私は外の世界にいた時から聴いてるけれど」
 しみじみとして言う魔法使いでした。
「何度聴いてもいいね」
「うん、そうした曲だね」
「野薔薇もアヴェ=マリアもね」
「そうね、演奏している人も素晴らしいし」
 ドロシーはうっとりとなっています。
「本当に素敵よ」
「これで後に歌劇もあるんだよね」
 臆病ライオンはドロシーに尋ねました。
「そうだよね」
「そうよ、お昼はこちらでね」
「その後夕食を食べて」
「それで夜はね」
「歌劇だね」
「そうなるわ」
「お食事に音楽にってね」
 笑顔で言う臆病ライオンでした。
「最高だよ」
「そうでしょ」
「お昼のスパゲティとピザもよかったしね」
「貴方ボロネーゼとベーコンのピザかなり食べていたわね」
「うん、美味しかったからね」
 臆病ライオンは正直に答えました。
「そうしたよ」
「そうよね」
「それで飲みものは濃い紫のぶどうジュースだったけれど」
「そちらもよく飲んだわね」
「そちらも美味しくてね」
 だからだというのです。
「そうしたよ」
「そうよね」
「本当にね」
「あのジュース美味しかったわね」
「そうだったね」
「私もそう思ったわ」
 飲んでみてというのです。
「本当に」
「そうだったね、そして今は」
「ピアノを聴きましょう」
「そうしようね」 
 こうお話をしてでした、皆でピアノの曲を聴いていきました。シューベルトさんの曲の他にでした。
 ショパンさんやベートーベンさんの曲も聴いてその後で料亭に行って懐石料理を食べました、その懐石料理を食べてです。
 バド王もフラウ王女も目を丸くさせてこう言いました。
「またこれはね」
「物凄く美味しいわ」
「これまでも懐石料理をご馳走になったことはあるけれど」
「この料亭のものも美味しいわ」
「うん、そうだね」
 バラも食べて言います。
「これは美味しいよ」
「何か若返る感じがするわ」 
 ジクシー女王も言いました。
「これはね」
「あの、お料理一つ一つがです」 
 カルロスも食べて言いました。
「物凄くいいんですが」
「食材も調理の仕方も素敵で」
 ナターシャも言います。
「宝石みたいです」
「色合いも奇麗で」
 恵梨香はそちらのお話をしました。
「何か芸術品みたいです」
「食べる芸術品ですね」 
 ジョージもこう言いました。
「これはまさに」
「こんなものが食べられるなんて」
 神宝も唸っています。
「信じられません」
「信じられなくても事実よ」
 ドロシーは皆に笑顔で答えました、食べられない人達は食べている人達のうっとりとした笑顔を見つつ言いました。
「今私達がこのお料理を食べていることはね」
「そうですね」
「信じられなくても」
「これは事実ですね」
「紛れもなく」
「そうですね」
「そうよ、本当にね」 
 まさにというのです。
「事実だから」
「美味しいものを食べられるのが事実っていいよね」
 腹ペコタイガーも食べながら言います。
「何よりも」
「そうでしょ」
「うん、幸せだよ」
「昔はアメリカにもオズの国にもこうしたお料理はなかったけれど」
 魔法使いも言います。
「確かに美味しいね」
「そうだよね」
 トトも食べています、そのうえでの言葉です。
「幾らでも食べられそうだよ」
「お酒も美味しいよ」
 魔法使いは日本酒も飲んで言いました。
「こちらも」
「魔法使いさんワイン飲んでたね」
 臆病ライオンは魔法使いに尋ねました。
「お昼は」
「そして今はだよ」
「日本酒だね」
「そちらを楽しんでいるよ」
「そうだね」
「どちらもね」
 まさにというのです。
「いいよ、懐石料理を食べて」
「日本酒を飲むこともだね」
「こちらもね」
「そうなんだね」
「君もどうかな」
 魔法使いは臆病ライオンにもどうかと言いました。
「お酒も」
「ううん、オズの国では生きものもお酒を飲めるけれど」
「子供には酔うけれどアルコールのないものがあってね」
「けれどね」
 それでもとです、臆病ライオンは魔法使いに答えました。
「今はいいよ」
「そうなんだね」
「歌劇に集中したいからね」
「だからだね」
「僕ってお酒飲むとかなり気持ちが昂って」
 そうなってというのです。
「あまり歌劇に集中出来なくなるからね」
「だからだね」
「そう、本当にね」
 今はというのです。
「遠慮するよ」
「魔法使いさんはかなり飲んでもあまり酔わないね」 
 腹ペコタイガーはこのことを言いました。
「そうだね」
「うん、お酒は強い方だよ」
「そうだね」
「だから今飲んでもね」
 おちょこで日本酒を飲みつつ答えました。
「然程ね」
「酔わないね」
「ピアノの時もそうだったし」
「歌劇もだね」
「普通にね」
 その状態でというのです。
「飲めるよ」
「そうだね」
「ではね」
「ええ、今は懐石料理を楽しみましょう」
 ドロシーは笑顔で言ってでした。
 皆で懐石料理を楽しんでそうしてでした、料亭を青tにしてそのうえで今度は先程入り口を見た歌劇場に入りました。
 中に入るとまずは立派なロビーやレストランやバーがありまして。
 皆はロイヤルボックスに案内されました、臆病ライオンはその中に入って言いました。
「ドロシーがオズの国の王女で」
「今回は王様や女王様が多いでしょ」
 ドロシーは臆病ライオンに答えました。
「だからね」
「僕達はロイヤルボックスだね」
「こちらで観るのよ」
「そうするんだね」
「ただね」
 ドロシーは臆病ライオンに笑ってこうも言いました。
「私は普通の席で観ることもね」
「好きなんだね」
「飾らないでね」
 そうしてというのです。
「観ることもね」
「そこはドロシーだね」
「だって私元々ね」
「カンサスで暮らしていたから」
「何も飾らないで生きてきたから」 
 だからだというのです。
「本当にね」
「そちらで観ることもなのね」
「好きなの」 
 そうだというのです。
「私は、けれど今回はね」
「公だからだね」
「そう、今回の観劇もね」 
 こちらもというのです。
「それでなのよ」
「ロイヤルボックスでだね」
「観させてもらうわ」
「僕達の冒険を歌ってくれた歌劇を」
「そうさせてもらうわ」 
 こうお話してでした。
 皆で歌劇を観ます、まずは指揮者の人が拍手とともに出て来てです。
 そのうえで明るい序曲が演奏されて幕が開いてでした。最初にドロシーを演じる歌手の人がトトを演じる犬と一緒に出て来てです。
 ヘンリーおじさんんそれにエマおばさんカンサスで歌ってそれから竜巻でオズの国に入って物語が本格的にはじまり。
「僕が出て来たね」
「僕もだよ」
「僕も出たね」 
 かかしも樵も臆病ライオンも自分達が出て来て言いました。
「いや、こんなに恰好いいかな」
「美形過ぎるよ舞台の僕は」
「ここまでスマートじゃないよ」
「私だってね」
 ドロシーも言います。
「もっとあたふたしていたわね」
「ううん、この時僕はドロシーに頼りきりで」
 トトもその時のことを思い出しています。
「こんなのではね」
「違ったのね」
「僕はそう思うよ」
「しかし凄い舞台だね」
 魔法使いはそちらを観て唸っています。
「アニメみたいにどんどん変わっていってるよ」
「そうよね、森に村に川に橋にって」
 ドロシーは魔法使いの言葉に頷きました。
「私達のあの冒険の場がね」
「次々に出て来るね」
「それも忠実にね」
「そうなっているね」
「歌だって」 
 臆病ライオンはそれを聴いて言いました。
「素晴らしいね」
「そうね、どの歌手の人もね」
「見事な歌唱だよ」
「本当にね」
「僕はバスかな」 
 臆病ライオンは声のお話をしました。
「これは」
「そして僕はバリトンかな」
「僕はテノールだね」
 樵もかかしも言いました。
「明るくてコミカルな感じの」
「そんな風だね」
「僕も明るいテノールだね」
「それで私はソプラノね」
 トトに続いてドロシーも言いました。
「この声の高さは」
「そんな感じだね」
「貴方も高いテノールで」
「ドロシーも高いね」
「ううん、これはね」
 魔法使いは笑って言いました。
「いいね」
「魔法使いさんはバスバリトンだけれど」
 ドロシーは前にも作品を観たのでこのことを知っています。
「明るく楽しいね」
「そんな声だね」
「そうよ、それで西の国の魔女はね」
 この人はといいますと。
「メゾソプラノでも低いのよ」
「そちらの声だったね」
「それぞれの役がね」
「声の域で区分されているのが歌劇だね」
「それでね」 
 その為にというのです。
「皆それぞれの声の域になっているわね」
「そうだね、それじゃあね」
「聴いていきましょう」
「そうしようね」
 こうしたお話もしてです。
 皆で観て行きます、するとエメラルドの都を忠実に再現した舞台が第二幕に出て来てです。
 皆その再現ぶりに息を呑みました、そして魔法使いが動かしていた巨大なお顔に変装していた天使に火の玉にもです。
 その再現の見事さに唸りました、そうして冒険でのかかしや樵、臆病ライオンの活躍の迫力とドロシーと魔女のやり取りもありましたが。
「いつも観て思うのはね」
「何かな」
「いや、私こんな利発だったかしらってね」 
 臆病ライオンに少し苦笑いでお話するのでした。
「思うのよ」
「この歌劇を観て」
「そうなのよ」
「それを言ったら僕もね」
 臆病ライオンもでした。
「さっきも言ったけれど」
「恰好よ過ぎるのね」
「そう思うよ」
「全くだね」
「本人が観るとどうしてもそうかなってなるね」
 かかしと樵も言います。
「どうにも」
「そうだね」
「私もね」
 魔法使いも言います。
「もっと恰好悪いよ」
「僕だってね、こんなのかな」
「これが創作ってことね」
 ドロシーはトトに少し達観して言いました。
「要するに」
「どういうことかな」
「実際よりも美化されているのよ」
 こうトトに言うのでした。
「創作だとね」
「そうなるんだ」
「その方がお話が面白いし」
 美化する方がというのです。
「創る人達歌劇だと作曲家や脚本家の人達が見た私達もね」
「出ているんだ」
「私達自身が自分達をどう思っていても」
「それでもだね」
「その人達が見た私達はね」
「こんな風だったりするんだ」
「主観と客観は違っていて」
 その両方がです。
「その為にね」
「歌劇での僕達はこんな風なんだ」
「成程ね、そういえば僕達皆から愛されてもらっていてね」
 臆病ライオンもそれではとなりました。
「人気があるね」
「そして私達を好きでいてくれるなら」
「とても素敵に書いたりしてくれるんだね」
「描いて作曲して演奏してくれてね」
 そうしてと言うドロシーでした。
「歌ってくれるのよ」
「そういうことだね」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「このことはね」
「受け入れることだね」
「こうしたものだってね」
 その様にというのです。
「笑顔でね」
「そうなんだね」
「ええ、オズの国では悪くは書かれないしね」
「よく書かれるね」
「そうでもあるから」
 だからだというのです。
「余計にね」
「受け入れることだね」
「それでいいのよ」
「成程ね」
「広い心でね」
「ドロシーがそう言うなら」
 それならとです、臆病ライオンは頷きました。
「そこまでかなと思っても」
「受け入れてね」
「観ていきましょう」
「それじゃあね」
 臆病ライオンも頷きました、そしてお話は進んでいき。
 魔法使いは一人だけアメリカに気球で戻ることになってドロシーは途方に暮れてそこからグリンダと会ってです。
 遂にカンサスに帰って喜びの歌を歌いますが。
 幕が下りてです、ドロシーは言いました。
「この時はまさかね」
「またオズの国に来てだね」
「合わせて五回来て」
「その五回目で遂にだったね」
「オズの国に定住するなんてね」
 トトにお話しました。
「思わなかったわ」
「全くだね、僕もね」
「オズの国の住人になったしね」
「ドロシーと一緒に」
「そうだったわね」
「おじさんもおばさんもね」
 お二人もというのです。
「そうなって」
「それでね」
「今もオズの国にいるなんて」
「思いもしなかったわね」
「そうだったよ」
「人の運命ってわからないわね」
 ドロシーはしみじみとした口調で言いました。
「本当に」
「全くだね」
「けれどね」
 笑顔で言うのでした。
「オズの国に定住出来て」
「幸せだよね」
「最高にね」
「そうだね」
「運命ですね」
 こう言ったのは神宝でした。
「ドロシーさん達がオズの国に定住したのは」
「そうね」
 ドロシーもそれはと頷きました。
「まさにね」
「そうですね」
「キリスト教の神様とオズの国の神々に導かれた」
「運命ですね」
「だから私は今のお芝居の時にね」
「カンサスからオズの国に行かれて」
「そしてね」
 そのうえでというのです。
「さらにね」
「何度もオズの国に行かれて」
「そしてね」
「今はオズの国の王女様ですね」
「そうなったのよ」
「そうですね」
「その運命のはじまりを歌劇にしてくれるなんて」
 舞台を観つつ言うのでした。
「こんな嬉しいことはないわ」
「そうですよね」
「ええ、あの時はカンサスに戻れて嬉しかったし」
「今もですね」
「凄く嬉しいわ」
 歌劇は最後の場面に入っています、ドロシーの喜びの歌にです。
 おじさんとおばさんそれにトトも加わって歌っています、ドロシーはその歌を観ながら神宝にお話しました。
「実際はここまで喜んでいなかったけれど」
「それでもですね」
「本当にね」
 あの時はというのです。
「嬉しかったわ、懐かしい思い出よ」
「そうですか」
「ええ、そうよ」 
 こうしたお話をしました、そしてです。
 皆で幕が下りてカーテンコールが行われるのも観ました、拍手を歓声が観客席を支配しますが劇場支配人の人が来てです。
 皆にです、こう言いました。
「こちらから歌手やオーケストラや他のお客さんに挨拶をしてくれますか」
「ええ、私達を題材にしてくれた作品だから」
「そうしてくれますか」
「わかったわ」
 ドロシーは支配人さんの言葉に頷いてでした。
 皆と一緒にロイヤルボックスから席を立って今歌劇場にいる人達に笑顔で挨拶をしました、そして拍手と歓声を受けたのでした。








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