『新オズの臆病ライオン』




                第四幕  命の大きさ

 動物園を巡る中で、です。神宝達五人はあることに気付いてそのうえで臆病ライオンに対して言いました。
「あの、臆病ライオンってね」
「いつも足下気にしてるね」
「それも凄く」
「足元の確認をいつもして」
「それで歩いているわね」
「うん、虫を踏んだら駄目だからね」
 臆病ライオンは五人に答えました。
「だからなんだ」
「へえ、虫を踏まない様になんだ」
「気を付けてるんだ」
「オズの国では誰も死なないから虫を踏んでも虫は死なないけれど」
「それでもなの」
「注意しているの」
「踏まれると痛いしいい気持ちはしないだろうから」
 それでというのです。
「僕はいつもね」
「注意しているんだ」
「虫を踏まない様に」
「足下をよく見て」
「そうしてなんだ」
「注意しているんだ」
「そうなんだ」
 こうお話するのでした。
「本当にね」
「凄く優しいね」
 神宝は臆病ライオンのお話を聞いてしみじみと思いました。
「そんなことまで考えているなんて」
「それで実行しているなんてね」
 恵梨香も言います。
「とんでもない優しさよ」
「臆病ライオンが優しいことは知っていたけれど」
 それでもと言うジョージでした。
「これ程なんてね」
「こんな優しい人や生きもの他にいるのかな」
 カルロスは思わず首を傾げさせてしまいました。
「果たして」
「オズの国一番のハートの持ち主樵さん位かしら」
 ナターシャは他ならぬ樵を見つつ言いました。
「臆病ライオン以上に優しいとしたら」
「うん、僕も臆病ライオンは凄く優しいと思うよ」
 樵も言ってきました。
「これ以上はないまでにね」
「そうですよね」
「樵さんから見てもですよね」
「臆病ライオンは優しいですよね」
「誰にも負けない位」
「そこまでですよね」
「だから僕も負けていられないと思ってね」
 樵にしてもというのです。
「いつも優しくあろうとしているんだ」
「人には優しくしないとね」
 かかしも言います。
「オズの国の法律でもあるし」
「思いやりと労わりですね」
「そしてその心を理解する」
「それが優しさですね」
「具体的にどういったものかというと」
「痛みも知ることですね」
「若しそうしたものがないと」
 かかしはさらに言いました。
「そんな人と一緒にいたいかな」
「いたくないです」
「外の世界ではたまにそんな人いますけれど」
「皆から嫌われます」
「そして誰からもそっぽ向かれます」
「そうなります」
「そう、優しさは人を助けてね」
 そうしてというのです。
「自分も助けるんだよ」
「そのことは僕もよくわかるよ」
 腹ペコタイガーも言ってきました。
「臆病ライオン君も他の人も見てね」
「そうだね、私もだよ」
 魔法使いは腹ペコタイガーの言葉に頷きました、今皆は爬虫類のコーナーにいる鰐や蛇、蜥蜴や亀を観て回っています。臆病ライオンはその中で足下にいる虫達を踏まない様に気を使っているのです。
「優しさがどれだけ素晴らしいものか」
「そして自分を助けるかね」
「オズの国は皆がね」
「そのことがわかっているからね」
「素晴らしいよ、そして人の優しさを見て」 
 そうしてと言う魔法使いでした。
「さらに優しくなろうとしているよ」
「そうだね、自分さえよければいいのなら」
 それならと言うトトでした。
「昔のノーム王みたいにね」
「嫌われてね」
「最後は誰からも助けてもらえなくなるよ」
「堂々と自分さえよければいいと言って意地悪ばかりする人なんてね」
「何があってもね」
「誰も助けないよ」
「むしろ攻撃されるね」
 外の世界で起こることをです、トトは言いました。
「そうなるね」
「そうなるよ、絶対にね」
「そうだよね」
 トトは魔法使いの言葉に頷きました。
「かえって自分をね」
「追い詰めるね」
「情は人の為にならず」
「まさにその通りだよ」
「そうね、それに優しさは勇気の源でもあるわね」
 ドロシーは臆病ライオンと今はのどかに寝ている蛇を一緒に観つつ言いました。
「優しいからこそね」
「勇気があるんだ」
「そうよ、本当の優しさはね」
 ドロシーは今も臆病ライオンの背中に乗っているボタンにお話しました。
「誰かの為に動けるものよね」
「その人のことを想って」
「だからよ」
 それでというのです。
「本当の優しさを持っているとね」
「勇気も持っているんだ」
「だから臆病ライオンもよ」
 他ならぬ彼を見つつお話します。
「ちゃんとね」
「勇気を持っているんだね」
「そうなのよ」
「そうなんだね、しかしね」
 臆病ライオンはドロシーのお話をここまで聞いて彼女に言いました。
「僕が思うにね」
「どうしたの?」
「いや、かかし君が知恵で」
 オズの国一の知恵者である彼のことを見て言うのでした。
「樵君が優しさで」
「貴方は勇気ね」
「それぞれ欲しくて」
「魔法使いさんにそれぞれオズの国一のそれの持ち主って言われたわね」
「そうだけれど」
「君達全員が備えているよ」
 臆病ライオン達に言った魔法使いの言葉です。
「知恵も優しさも勇気もね」
「僕達がだね」
「そうなんだね」
「三つ共備えているんだね」
「そうだよ、それぞれ最も強いものを持っていてもね」 
 魔法使いは臆病ライオンだけでなくかかしと樵にもお話しました。
「君達は三つ共だよ」
「備えているんだね」
「勇気、優しさ、知恵を」
「全部持っているんだ」
「だから君達は今まで多くのことが出来てね」
 このオズの国でというのだ。
「沢山の人を助けられたんだ」
「成程ね」
「そうだったんだね」
「僕達に備わっているものは一つでないから」
「そうだよ、ただやっぱり勇気は臆病ライオン君で」
 こちらは彼が一番強く持っているというのです。
「知恵はかかし君、優しさは樵君だね」
「そうね、それぞれ一番強く持っているわね」
 ドロシーもその通りだと答えます、この娘は腹ペコタイガーの背中に乗せてもらっていてそのうえで動物園を視て回っています。
「皆は」
「そうだね」
「それぞれ強く持っているけれど」
「一番強く持っているのはね」
「臆病ライオンは勇気でね」
「かかし君は知恵、樵君は優しさだね」
「そうね、この三つは全部ある程度備えていないと」
「どれも発揮されないものだね」
「そうね、優しさがないと知恵も勇気もなくて」
「知恵がないとね」
「優しさも勇気もなくて」
 そうしてというのです。
「勇気がないと」
「知恵も優しさもないよ」
「残る二つも発揮されないわね」
「三つ全部あってこそだよ」
「一番いいものも発揮されるのね」
「そうだね、私もそのことがわかったのは」
 それはといいますと。
「オズの国に戻って来て」
「それからなのね」
「わかったよ」
 そうだというのです。
「それからよ」
「オズの国に戻って」
「あらためてね」
「大切なものがわかったのね」
「そうなんだ」 
 実際にというのです。
「私もね」
「オズの国はたくさんのことがわかる国でもあるから」
「素晴らしいものにいつも沢山触れられるからね」
 だからだというのです。
「本当にね」
「わかるのよね」
「何かと素晴らしいことがね」
「それは何よりね」
「全くだよ」
「ううん、そんなこと考えなかったよ」 
 臆病ライオンは二人のお話を聞いて言いました。
「僕はね」
「そうなのね」
「僕は自分が勇気があるとは思っていなかったし」
 こうドロシーにお話します。
「そしてね」
「知恵や優しさもなの」
「あるとはね」
「自分で思ってなくてもよ」
 ドロシーはその臆病ライオンに微笑んで答えました。
「貴方も皆もね」
「三つ共持っているんだ」
「そうなのよ、だからね」
 それでというのです。
「貴方も勇気をよ」
「発揮しているんだ」
「そうよ、そして勇気を発揮すれば」
 臆病ライオンがというのです。
「その時は優しさも知恵もね」
「発揮されるんだね」
「時には知恵か優しさがあって」
 そうしたものがというのです。
「勇気がね」
「発揮されるんだね」
「この三つは別々にあるんじゃなくて」
 そうでなくてというのです。
「それぞれ合わさっていて」
「影響し合っているんだ」
「そうしたものよ、言うなら三つの宝石がね」
 知恵、優しさ、勇気がというのです。
「お互いにね」
「つながってるんだね」
「そしてね」
「影響し合っているんだ」
「そうしたものってね」
「ドロシーは考えているんだね」
「今はね、貴方達三人はそれぞれ三つのものを強く持っていて」
 そしてというのです。
「その中でなのよ」
「僕は勇気、かかし君は知恵、樵君は優しさをだね」
「最も強くね」
 まさにというのです。
「それぞれね」
「持っているのよ」
「成程ね」
「それでこれからもね」
 是非にというのでした。
「発揮していってね」
「そうなる様にするよ」
「そうしてくれたらね」
 ドロシーは臆病ライオンににこりと笑って答えました。
「私も嬉しいわ」
「お友達としてだね」
「ええ、お友達が頑張ってくれたら」
 そのお友達として言うのでした。
「私もね」
「嬉しいんだ」
「貴方も他の人達も頑張ってくれたら」
「そう言われると僕もだね」
「そうでしょ、私達が頑張ったら嬉しいでしょ」
「応援したくなって困っていたら」
 それならというのです。
「是非ね」
「助けたくなるわね」
「そうなるのがね」 
 それがというのです。
「本当のお友達だね」
「そう思うわ、ただね」
「ただ?」
「いや、素直にこう思えることが」
 それがというのです。
「いいのよね」
「そうなんだ」
「外の世界には嫉妬っていう感情があって」
「どんな感情かな」
「その人が活躍したり凄かったりするとね」
 そうならというのです。
「嫌に思って何なのよってなるね」
「そうした感情なんだ」
「よくない感情よ」
 こうも言うのでした。
「怒ったり慢心したりするのと一緒で」
「よくないもので」
「それでね」
 その為にというのです。
「嫉妬することはね」
「よくないことで」
「お友達が活躍したりして」
「素直に喜べることは」
 それはというのです。
「素晴らしいことだってね」
「思うんだね」
「そうなの、オズの国にはそれもないから」
 嫉妬という感情がというのです。
「素晴らしいわ」
「僕にはわからないよ」
 嫉妬というものがです、臆病ライオンは首を傾げさせてしまいました。
「とてもね」
「そうよね、けれどね」
「そうした感情もあるんだね」
「具体的に言うと前のノーム王がオズの国が素晴らしいって嫌そうに言ってたわね」
「いつもね」
「あれがよ」
 まさにというのです。
「私達が言うね」
「嫉妬なんだ」
「あの人は他にも怒ったりしてばかりで」
「意地悪でもあってね」
「悪い心がね」
 それがというのです。
「あの人には沢山あったけれど」
「嫉妬もだね」
「あってね」
 それでというのです。
「具体的に言うと」
「あの人のそうした感情がだね」
「そうなのよ」 
 嫉妬だというのです。
「本当にね」
「かなり悪い感情なのはわかったよ」 
 臆病ライオンは以前のノーム王、即ちラゲドー氏を思い出しつつ答えました。
「僕もね」
「ええ、ただオズの国にはね」
「ない感情だね」
「あの頃ノームの国はオズの国とは別の国で」
「そうした感情もだね」
「あってね」
 そうであってというのです。
「当然だったけれど」
「それでもなんだ」
「ノームの国もオズの国に入って」
 そうなってというのだ。
「嫉妬も他の悪い感情もね」
「なくなったんだね」
「そうよ」
 こうお話するのでした。
「今ではね」
「それはいいことだね」
「素直に喜べることはね」
「お友達の頑張りや活躍をだね」
「それだけで素晴らしいことなのよ、誰が活躍しても」
 お友達でなくてもというのです。
「素直に喜べて褒められるならね」
「ううん、何でもない様で」
「実はね」 
 それがというのです。
「違っていてね」
「素晴らしい琴なんだね」
「そうよ、だからね」
 それでというのです。
「私達はこれからもね」
「素直にだね」
「皆の活躍を喜びましょう」
「そうしていこうね」
 臆病ライオンはドロシーの言葉に笑顔で頷きました、そうして皆で動物園の中をさらに巡りますが。
 ここで神宝達五人はあることに気付いて言いました。
「臆病ライオンってね」
「動物園の皆に一礼されてね」
「凄く声をかけられているわね」
「そうだね」
「見ていたら」
「僕はオズの国のライオンの王様だからなんだ」
 臆病ライオンは五人ににこりとしてお話しました。
「それで皆がなんだ」
「慕ってくれて」
「それでなんだ」
「声をかけてくれて」
「挨拶もしてくれるのね」
「それも礼儀正しく」
「嬉しいことにね、そしてね」 
 臆病ライオンはさらに言いました。
「その礼儀に応えてね」
「臆病ライオン自身もだね」
「ちゃんと礼儀を守ってるね」
「そして挨拶を返しているね」
「紳士的に」
「そうしているね」
「礼儀には礼儀で返さないと」
 そうしないと、というのです。
「駄目だよね、まして僕はライオンの王様だから」
「それじゃあね」
「ちゃんとしないと駄目だね」
「王様なんて偉い立場になったら」
「尚更」
「礼儀も守らないと駄目だね」
「さもないとね」
 それこそというのです。
「王様に相応しくなくなるよ」
「そうだよね、僕はオズの国の虎の王様だけれど」
 腹ペコタイガーも言ってきました。
「ちゃんとね」
「君も礼儀を守っているね」
「そうしないとね」
 こう臆病ライオンに応えるのでした。
「王様としてね」
「相応しくないね」
「王様だったら」
「王様の義務があるしね」
「その義務も果たさないと」
 そうしないと、というのです。
「駄目だね」
「そうだよね」
「本当にね」
「そういえばね」
 トトも言ってきました。
「ビリーナだけれど」
「ビリーナは女王様だね」
 臆病ライオンはすぐに応えました。
「あの娘は」
「鶏の国のね」
「ご主人が王様でね」
「それでビリーナもね」
 彼女もというのです。
「女王様として」
「礼儀を守っているね」
「そうなんだよね」
「誰でも礼儀を守らないといけないけれど」
 臆病ライオンはトトに応えて言いました。
「王様とかね」
「責任ある立場になるとね」
「他の人や生きもの以上にだよ」
「そうしたものを守らないといけないね」
「そうだよ、挨拶をされてもね」
「礼儀正しく返すだね」
「そうしないとね」
 さもないと、というのです。
「駄目だよ」
「そうだね」
「その通りよ、私だってね」
 ドロシーも言ってきました。
「そこはね」
「ちゃんと守ってるよね」
「ええ、ただ最初はね」 
 臆病ライオンに少し苦笑いをして答えました。
「凄くね」
「大変だったね」
「ええ、だって私元々はね」
「カンサスの農家の娘さんだったね」
「王女じゃなかったから」
「オズの国の首相さんでもね」
「なかったから」
 それでというのです。
「最初は礼儀作法とかね」
「オズの国の責任ある立場の人じゃね」
「なかったから」
 だからだというのです。
「とてもね」
「苦労したね」
「そうだったわ」
 こう言うのでした。
「本当にね」
「そうだったね」
「けれどね」 
 それでもとです、ドロシーはあらためて言いました。
「今はね」
「そうじゃないね」
「慣れたし責任感もね」
 オズの国の王女、総理大臣としてのそれがです。
「生まれてね」
「肌についてきたね」
「そうなったから」
「今ではだね」
「何もね」
「礼儀作法もだね」
「苦じゃないわ」 
 そうなったというのです。
「全くね」
「そうなったことは何よりだよ」
「やっぱり責任ある立場になると」
「その立場に相応しいものが求められるよ」
「そうなのよね」
「全くだね」
「だから私達はこれからもね」 
 是非にとです、臆病ライオンに言いました。
「ちゃんとしていきましょう」
「王様、女王様として」
「礼儀作法もね」
「そうしていこうね」
「しっかりとね」
 こうしたお話をしました、そしてです。
 皆で動物園の皆に挨拶を返したりもしました、ただ動物園の中のアザラシ達と挨拶をしていてです。
 ふとです、ボタンは気付いたみたいに言いました。
「物凄く大きなアザラシさんもいるね」
「ああ、ゾウアザラシ君だね」
「キタゾウアザラシ君とミナミゾウアザラシ君だね」
 かかしと樵が応えました。
「彼等だね」
「それぞれお鼻に特徴があるね」
「うん、他のアザラシさんに比べて」
 ゾウアザラシさん達はというのです。
「凄く大きいね」
「そうした種類なんだ、彼等は」
 魔法使いもボタンにお話します。
「大きいね」
「そうしたアザラシさんなんだ」
「そうだよ、アザラシといっても色々で」
 それでというのです。
「中にはね」
「こんな大きなアザラシさんもいるんだね」
「そうなんだ」
「色々なんだね、アザラシさんも」
「そうだよ」
「象っていうけれど」
 神宝も言います。
「象さんよりもね」
「大きいわね」
 ナターシャは彼等を見上げて言います。
「かなりね」
「そうだね、こんなに大きいなら」
 ジョージも言います。
「象さんより大きいよ」
「これだけ大きいと強いだろうね」
 こう言ったのはカルロスでした。
「それもかなりね」
「そうね、ただお顔を見れば穏やかだから」 
 恵梨香はそれでと言いました。
「そんなに怖くない感じね」
「僕達別に何もしないよ」
「大人しいつもりだよ」
 そのゾウアザラシ達が言ってきました。
「沢山食べるけれど」
「狂暴じゃないよ」
「そう、外の世界でも怖いアザラシはいるけれど」
 それでもと言う魔法使いでした。
「彼等はね」
「大人しいんですね」
「穏やかで」
「身体は大きいですが」
「それでもですね」
「優しいんですね」
「そうした生きものだよ」
 こう神宝達五人にお話します。
「彼等はね」
「というか大きくてもね」
 臆病ライオンも言いました。
「怖いかっていうと」
「違うね」
「そうだね」
「言われてみれば」
「大きくてもね」
「怖いとは限らないわ」
「自分より大きな相手には身構えても」 
 それでもというのです。
「大事なのはね」
「中身だね」
「その相手の」
「それを見るべきで」
「外見で判断したら駄目だね」
「例えどれだけ大きかったり怖そうでも」
「そうだよ、そのことはね」
 臆病ライオンはさらに言いました。
「皆もわかってね」
「うん、そうしていくよ」
「大事なのは中身であって」
「性格で」
「外見で判断しない」
「どんな相手も」
「僕なんかライオンだからね」 
 今度は自分のことをお話しました。
「凄く怖いとか恰好いいとか言われても」
「違うっていうんだね」
「臆病ライオンさんは」
「とても怖がりで」
「それで怖くなんかない」
「そう言うのね」
「そうだよ」
 まさにというのです。
「僕はね」
「そうだよね」
「臆病ライオンさん自身が言ってるね」
「怖くない」
「実際怖くないわ」
「とても優しいわ」
「僕に勇気があるかどうかはわからないけれど」 
 時分ではです。
「けれど怖く思われない様にはね」
「しているよね」
「いつも」
「そうだよね」
「実際私達も怖く感じないし」
「むしろ親しみを感じるよ」
「親しみを感じてくれるなら」
 臆病ライオンにしてもです。
「これ以上嬉しいことはないよ」
「そうよね、私最初から貴方が大好きよ」
 ドロシーは臆病ライオンの一番古いお友達の一人として言いました、笑顔で言いますがその笑顔はとても暖かいものでした。
「怖いなんてね」
「思ったことないんだね」
「全くね」
 それこそというのです。
「思わないわ」
「そうなんだね」
「それで今夜も一緒にね」
「晩ご飯食べるんだね」
「ホテルに帰ったら」
 その時はというのです。
「皆でバーベキューを」
「バーベキューなんだ」
「色々なお肉やお野菜を焼いて」 
 そうしてというのです。
「皆でね」
「食べるんだね」
「そうしましょう」
 こう言うのでした。
「今夜もね」
「今夜もだね」
「いつもそうしているから」
 だからだというのです。
「今夜も、になるわね」
「そうだね」 
 臆病ライオンも頷きました。
「言われてみれば」
「そうでしょ、それじゃあね」
「うん、今夜もね」
「楽しく食べましょう」 
 動物園のアザラシのコーナーの前でお話してでした。
 実際にホテルに帰るとその中庭プールが見えるそちらを前にしてバーベキューを楽しみます、網の上で、です。
 皆お肉やお野菜を焼いて食べます、臆病ライオンは特大の牛のステーキ肉を食べつつこんなことを言いました。
「いやあ、最高だよ」
「美味しいのね」
「うん、この分厚くてね」
 それでというのです。
「おソースもよくかけられていて」
「美味しいのね」
「凄くね」
 楽しく食べつつ言うのでした。
「そう思うよ」
「それは何よりね」
「そう言うドロシーは」
 彼女を見ますと。
「串に刺したお肉食べるね」
「ええ、こちらも美味しいわ」
 牛肉に玉葱やピーマンがそこにあります。
「凄くね」
「後でそちらもね」
「食べるのね」
「そうさせてもらうよ」
「僕はね」 
 腹ペコタイガーは鴨の胸肉を炊いたものを食べつつ言います。
「今はね」
「鴨を食べてるね」
「うん、こっちもね」
「美味しいんだね」
「そうだよ」
「鴨も美味しいんだね」
「凄くね」
 こう言うのでした。
「皮だってね」
「そうそう、皮が美味しいんだよ」
 神宝も言ってきました。
「鶏肉とかは」
「そういえば君鶏とか家鴨の皮好きだね」
 臆病ライオンはその神宝に言いました。
「そうだね」
「大好きだよ」
 神宝は恵梨香達四人と一緒にお肉や茸を焼いて食べつつ答えました。
「特に北京ダッグがね」
「家鴨の皮を焼いたものだね」
「それを薄い生地で包んだね」
「あれが好きだね」
「大好きで」
 それでというのです。
「機会があったらね」
「食べてるね」
「そうだよ」
「確かに美味しいね」
 臆病ライオンも認めることでした。
「北京ダッグは」
「それで鳥の皮はね」
「そうだよね」
「皮を食べることが」
 まさにこのことがというのです。
「中華料理ではね」
「意識されているね」
「そうなんだ」
「じゃあ僕も今度は鳥を焼いたものを食べようかな」
「皮もだね」
「うん、腹ペコタイガー君も美味しそうに食べてるし」
 目の前の彼も見て言います。 
「次はね」
「いいと思うよ」
「こうした時は色々食べたいよね」 
 トトも言ってきました。
「お肉にしても」
「そうだよね」
「だからね」 
 それでというのです。
「僕だって今は豚肉を食べてるけれど」
「他のお肉もだね」
「色々食べたいよ」
「じゃあ次は何を食べるのかな」
「マトンにするよ」
 こちらのお肉だというのです。
「それを頂くよ」
「マトンもいいよね」
「そうだよね」
「じゃあそれぞれね」
「好きなお肉を楽しもう」
「他の食べものもね」
「こうした時はね」
 ドロシーはまた串に刺したバーベキューを食べて言いました。
「お野菜もね」
「美味しいよね」
「だから私もね」
「今玉葱やピーマンを食べてるね」
「人参や茄子もね」
「あと茸も焼いてるね」
「ええ、色々とね」
 まさにというのです。
「食べてるわ」
「そうだね」
「そういえば私達はよくバーベキューを食べるね」
 魔法使いも串に刺したバーベキューを食べつつ言います、見ればケチャップをかなり付けています。
「そうだね」
「ええ、お外で皆で楽しく食べられるから」
「だからだね」
「旅に出た時はね」
「よく食べるね」
「お外だと」
 そちらで食べるならというのです。
「やっぱりね」
「バーベキューだね」
「サンドイッチとかもいいけれど」
「バーベキューもだね」
「いいから」
 だからだというのです。
「よくね」
「出して食べるね」
「今夜はホテルにお願いしてだけれどね」
「食べるね」
「そうなの、実際に美味しいでしょ」
「凄くね、お酒にも合うしね」 
 魔法使いはジョッキのビールも飲みつつ応えました。
「いいと思うよ」
「そうよね」
「この開放感がいいね」
 かかしも笑顔で言います。
「バーベキューは」
「食べない僕達も好きだよ」
 樵も言いました。
「バーベキューはね」
「皆の明るい笑顔が見られるから」
「だからね」
「うん、バーベキューはいい食べものだよ」
 臆病ライオンはステーキを食べ終えてでした。
 皮付きの鳥の太腿の部分をよく焼いたものを食べてそうして言いました。
「本当にね」
「そうだね」
「凄くね」
「うん、こうして食べて」
 そうしてというのです。
「飲みものもね」
「沢山飲むね」
「そちらも」
「ミルクをね」
 かかしと樵に応えて言いました。
「いただくよ」
「僕もだよ」
「僕もいただくよ」
 腹ペコタイガーとトトも言いました。
「飲みものはね」
「今はミルクだよ」
「ミルクいいよね」
 ソーセージを食べているボタンも言ってきました。
「凄く」
「うん、そうだね」
「美味しいよね」
「こうした時もね」
「僕もそれを飲むよ」 
 こう三匹に言いました。
「沢山ね、そうしてね」
「どうするのかな」
「ミルクを沢山飲むとよく寝られるから」
 臆病ライオンにそれでとお話します。
「今夜はね」
「よく寝るんだね」
「そうするよ」
「君は寝ることが大好きだから」
「沢山飲むよ」 
 それが出来る様にというのです。
「そうするよ」
「それもいいことだね」
「うん、ただね」
「ただ?」
「寝ている時に」
「また何処かに行くかも知れないね」
「僕はね」
 このことも言うのでした。
「今日もそうなったし」
「その時は任せてね」 
 ドロシーがにこりと笑って言ってきました。
「私達がね」
「迎えに来てくれるんだ」
「ええ、貴方のいる場所はわかるから」
 GPSでというのです。
「だからね」
「すぐにそこに行って」
「そしてね」
 そのうえでというのです。
「迎えに行くから」
「そすいてくれるからなんだ」
「うん、絶対にだよ」
 臆病ライオンも言ってきました。
「その時はね」
「迎えに来てくれて」
「一緒にいるから」 
 だからだというのです。
「安心してね」
「そうしていいんだね」
「そうだよ」
 こう言うのでした。
「安心してね」
「そう言うならね」
「そして」
 臆病ライオンはさらに言いました。
「今はね」
「ミルクもだね」
「僕達も飲むしね」
「僕もだね」
「存分に飲んでね」
「沢山だね」
「飲みたいだけね」
 ボタンがというのです。
「そうしてね」
「じゃあね」
「ミルクはいい飲みものだしね」
「美味しいし栄養があって」
「だから飲みたいなら」
 それならというのです。
「もうね」
「どんどん飲むことだね」
「そう、そしてね」
 そのうえでというのです。
「楽しもうね」
「そちらもだね」
「是非ね」
 笑顔での言葉でした。
「そうしようね」
「うん、そして夜はね」
「よく寝るね」
「そうするよ」
 こうも言うのでした。
「朝までね」
「ぐっすりと」
「そうね」
 ドロシーも笑顔で頷きました。
「私もね」
「ミルク沢山飲むんだね」
「そうしてね」
 臆病ライオンに応えて言うのでした。
「今夜もね」
「ぐっすりと寝るんだね」
「そうするわ」
「そうなだね、やっぱりよく寝ないと」
「ええ、寝る人にはよくないから」
「寝るべきだね」
「そして牛乳はその助けになるから」
 よく寝られることについてです。
「沢山飲むわ」
「そうするね、それじゃあね」
「バーベキューを食べて」
 そうしてというのです。
「牛乳もね」
「皆で飲むんだね」
「そして気持ちよく寝ましょう」 
 こうしたお話もしてでした。
 ドロシーも臆病ライオンも他の皆もバーベキューも牛乳もたっぷりと楽しんででした。その後でお風呂に入って暖かいベッドの中でぐっすりと眠りました。








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