『新オズの臆病ライオン』




              第一幕  ギリキンからの招待

 この時神宝達五人は学校にいました、学校の授業が終わってそのうえでそれぞれのお家に帰ろうとしますと。
 神宝が皆にです、こう言いました。
「これからオズの国に行かない?」
「あっ、いいわね」
 ナターシャは神宝の提案に笑顔で応えました。
「最近行ってなかったし」
「そうだね、暫くぶりにお邪魔しよう」
 ジョージも頷きました。
「これからね」
「そうね、じゃあお家に帰る前にね」
 恵梨香も言います。
「皆で時計台に行きましょう」
「あそこの渦に入ってね」
 そうしてとです、カルロスは笑顔で恵梨香に続きました。
「それでオズの国に行こう」
「そうしようね、オズの国にいてもこちらでの時間は全く経っていなくてね」 
 それでとです、神宝はこのことも言いました。
「寄り道にもならないし」
「いいのよね」
「寄り道はあまりよくないけれどね」
「時間が経って遅くなって」
「お母さんもお父さんも心配するから」
「けれど時間が経ってなくて悪い場所に行く訳でもないし」
 このこともあってというのです。
「いいね」
「ええ、それじゃあね」
「今から行こう」
「オズの国にね」
「そうしようね」
 皆で頷いてでした。
 そのうえで時計塔に行くことにしました、ですが。
 ここで神宝はこうも言いました。
「ただランドセルはね」
「あっ、そうね」
「一旦お家に帰ってね」
「それは置いて」
「それから行った方がいいね」
「うん、寄り道にはならなくても」
 オズの国に行ってもです。
「考えてみるとね」
「一旦お家に帰った方がいいわ」
「それからオズの国に行った方がね」
「それじゃあね」
「お家にランドセル置いてから行こう」
 五人でこう決めてでした。
 実際にそうしてからオズの国に行くことにしました、皆それぞれのお家に帰って宿題もちゃんとしてです。
 それから八条学園の大学の方にある時計塔に入って最上階にある青い渦からオズの国に入りました。
 するとです、出て来たのは。
 ヘンリーおじさんとエマおばさんのお家の畑の傍でした、お二人は五人がいきなり畑仕事をしているその前に出て来て驚きました。
「何と、ここに出て来るなんて」
「こんなことははじめてね」
「お前さん達のことは知っているが」
「まず私達のところに出たのはね」
「はい、はじめてですね」
 神宝もそれはと答えました。
「実際に」
「そうだよな」
「いや、驚いたわ」
「しかしよく来てくれたね」
「またオズの国に来てくれたのね」
「はい、ただお邪魔しましたが」
 ここで神宝はあることに気付きました、その気付いたことはといいますと。
「オズの国で何をするかは決めていないです」
「そういえばそうね」
「お邪魔しようと言ったけれど」
「それで実際にお邪魔したけれど」
「具体的に何をするかは」
「全く考えていなかったね」
 神宝は恵梨香達ともお話しました。
「そういえば」
「そうなのよね」
「ううん、じゃあこれから考える?」
「何をするか」
「今回はね」
「それならだよ」
 おじさんがここで言ってきました。
「今日ここにドロシーが来るんだ」
「ギリキンの国に行くのだけれど」
 おばさんも言ってきました。
「その途中に立ち寄ってくれるのよ」
「そうするからな」
「ドロシーと一緒にギリキンに行ったらどうかしら」
「お前さん達がよかったらな」
「あの娘にお話してね」
 こう五人に言います、するとです。
 五人はそのお話を受けてお互いでお話しました。
「ドロシーさんが来られるんだ」
「じゃあドロシーさんにお願いしてね」
「ギリキンの国への旅に同行させrてもらう?」
「そうする?」
「さしあたって何もすることがないし」
「ドロシーはもうすぐしたら来るわよ」
 おばさんがまた言ってきました。
「あの娘はね」
「他にも一緒の人がいるよ」
 おじさんはこのことも言います。
「誰かまでは聞いていないけれど」
「ドロシーさんだけじゃないですか」
「じゃあいつもの感じですね」
「皆で旅をするんですね」
「ギリキンの国まで」
「そうなるよ、だからね」
 それでというのです。
「まずはドロシーと会ってはどうかな」
「わかりました」
「じゃあそうさせてもらいます」
「まずはドロシーさんとお会いします」
「それから決めさせてもらいます」
「今回はどうするか」
 こうお話してでした。
 皆でまずはドロシーを待ちました、お話のすぐ後でおじさんは携帯でドロシーに今何処にいるのかを尋ねました。するとです。
「ああ、もうか」
「ええ、今皆と一緒にそちらに向かっていてね」 
 ドロシーはおじさんに携帯の向こう側からお話しました。
「あと二十分位でね」
「こっちに来てくれるか」
「そうなるわ」
「実は今こっちにあの子達がいるんだよ」
「神宝達かしら」
「ああ、わかったか」
「わからない筈がないわ、実はさっきオズマから携帯で連絡があったの」 
 ドロシーはにこりと笑って答えました。
「あの子達がオズの国に来たって」
「オズマ姫はご存知だったか」
「オズの国に出入り出来る渦の一つに反応があったって」
「ああ、あの渦か」
「世界のあちこちにあってね」
「八条学園にもあったな」
「あそこの渦に反応があって」
 それでというのです。
「わかったらしいのよ」
「成程な」
「それでね」
 そのうえでというのです。
「あの子達が何処に出て来たかはね」
「わからなかったか」
「それはこれから調べるって」
 その様にというのです。
「言ってたけれど」
「わしの家にだよ」
 そこにというのです。
「出て来たよ」
「そうだったのね」
「それで今は待ってもらってるがな」
「あと二十分位でそちらに行くし」
 ドロシーはおじさんに答えました。
「それじゃあね」
「ああ、こっちに来たらな」
「神宝達とお話をするわ」
「そうするか」
「ええ、じゃあこのままね」
「こっちに来てくれるな」
「そうさせてもらうわ」
 おじさんに笑顔で答えてでした。
 そのうえで携帯でのやり取りを終えてです、おじさんは五人にドロシーとのやり取りのことをお話しました。
「そういうことでな」
「そうですか、それじゃあですね」
「僕達はこのままですね」
「こちらで待たせてもらって」
「ドロシーさん達と合流して」
「ギリキンの
国に行くんですね」
「そうしたらいい」
 おじさんは五人ににこりと笑って応えました。
「是非な」
「わかりました」
「そうさせてもらいます」
「あと二十分位でしたね」
「じゃあすぐですね」
「それ位ですと」
「そうだな、まあお茶を飲むなり遊んでな」 
 そうしたことをしてというのです。
「待っていてくれるか」
「あっ、よかったらお手伝いしていいですか?」
「お二人のお仕事を」
「丁度畑仕事をしておられましたし」
「よかったらです」
「お手伝いさせて下さい」
「別にいいわよ」 
 おばさん¥が笑って応えました。
「あと少しで一段落するから」
「気持ちだけ受け取っておくよ」 
 おじさんも言います。
「だからな」
「あんた達はそうしていなさい」
「お茶を飲むなり遊んだりしてな」
「そうしたことをしてね」
 こう言うのでした。
「お茶畑の近くのテーブルにあるわ」
「よく冷やしたレモンティーがあるぞ」
「お菓子もあるからね」
「そちらを楽しんでくれるか」
「それか遊んでね」
「そうしたことをしてな」
「それじゃあ」
 五人はお二人に言われてでした。
 それならとなってまずは五人でかくれんぼをして遊びました、そして暫くしてからお茶とお菓子を楽しみましたが。
 ドロシーが来ました、そのうえでまずはおじさんとおばさんに挨拶をしました。
「こんにちは、元気だった?」
「ああ、この通りな」
「私達は元気よ」
 お二人は笑顔で応えました。
「今日も楽しく畑仕事をしてるわ」
「二人でな」
「それは何よりね、それでよね」
 ドロシーはさらに言いました。
「あの子達も来てるわね」
「今テーブルの方にいるぞ」
「あちらにね」
 二人でドロシーにお話します。
「それでお茶を飲んでいるわ」
「お菓子も楽しんでいるぞ」
「さっきまで遊んでいてね」
「わし等を手伝ってくれると言ったが遠慮したんだ」
「お仕事もうすぐ終わるから」
「気持ちだけ受け取ってな」
「そうなのね、じゃあね」
 ドロシーは二人の言葉を聞いて頷きました。そして一緒にいる皆に言いました。
「じゃあ今からね」
「うん、そちらに行こう」
 ドロシーの足下にいるトトが応えました。
「テーブルの方にね」
「おや、かなり楽しんでいるね」 
 かかしはテーブルの方を見て言いました。
「皆ね」
「そうだね、楽しそうに飲んで食べて」
 樵もそちらを見て言います。
「実に楽しそうだね」
「皆楽しそうで何よりだよ」 
 臆病ライオンはこのことを自体を喜んでいます。
「本当にね」
「ここまでお茶とお菓子の匂いがするよ」
 腹ペコタイガーは思わず舌なめずりをして言いました。
「レモンティーにレモンパイだねこれは」
「じゃあそっちに行こう」 
 ボタン=ブライトも見て言います。
「そうしよう」
「ええ、皆でね」
 ドロシーも応えてでした。
 皆で五人のところに行きます、する五人は笑顔で自分達から挨拶しました。
「こんにちは、ドロシーさん」
「また来させてもらいました」
「それでこちらに出まして」
「今はご馳走になってます」
「ヘンリーさんとエマさんからいただいています」
「そうなのね。事情は聞いてるわ」 
 ドロシーは笑顔で応えました。
「それじゃあね」
「はい、それならですね」
「これからギリキンですね」
「あの国に行きますね」
「そうしますね」
「僕達もご一緒させてもらっていいですね」
「是非ね。実はギリキンの北の諸国が集まってね」
 ドロシーは五人を迎え入れることを決めてからさらに言いました。
「会議を行うけれど」
「僕達はその会議にオズの国代表として出席するんだ」
 かかしもお話します。
「その為にあちらに行くんだ」
「今回はオズマ姫は同じ時期にグリンダさんと会談があってね」
 樵はオズの国家元首である彼女の事情をお話しました。
「出られなくてね」
「代理でドロシーが出てね」
 臆病ライオンもお話します。
「僕達も一緒なんだ」
「僕達も代表だよ」 
 腹ペコタイガーはこうお話しました。
「オズの国のね」
「それで今からあちらに行くんだ」 
 トトは今もドロシーの足下にいます。
「そうするんだ」
「僕は朝起きたら都の宮殿にいたんだ」
 それでと言うボタンでした。
「それでドロシーに誘われて一緒に行くことになったんだ」
「ううん、会議なんだ」
 そう聞いてです、神宝は唸る様に言いました。
「政治だね」
「そうだね」
 カルロスも頷きます。
「完全にね」
「どんなお話をするかわからないけれど」
 それでもと言うジョージでした。
「政治のことなのは間違いないね」
「それじゃあ私達はただ一緒に行かせてもらうだけね」 
 ナターシャはこう思いました。
「子供だから」
「子供は政治に関わらないしね」
 恵梨香も言います。
「それじゃあね」
「あっ、皆も会議に参加してもらうわ」 
 ここでドロシーはこう言いました。
「それだけでもいいのよ」
「そうなんですか?」
「参加させてもらうだけでもいいんですか」
「それも子供なのに」
「私達もですか」
「政治の場にいていいんですか」
「私だって貴方達と変わらない年齢でしょ」
 ドロシーはにこりと笑って答えました。
「オズの国にいても」
「そう言われますと」
「確かにそうですね」
「ドロシーさんも僕達と年齢変わらないですね」
「何歳か年上なだけですね」
「三歳か四歳位でしたね」
「オズマもでしょ」
 オズの国家元首である彼女もというのです。
「オズの国は皆歳を取らなくて」
「ずっとですね」
「ドロシーさんもオズマ姫も子供のままですね」
「僕達と同じ」
「けれど政治に携わっておられますね」
「お姫様として」
「だからね」 
 それでというのです。
「皆もよ」
「そのことは気にしないで」
「それで、ですか」
「会議に参加していいんですね」
「政治の場に」
「僕達も」
「そうよ、それに政治のことを知ることもね」
 このこともというのです。
「いい勉強よ」
「ほら、あれだよ」
 ここで臆病ライオンが言ってきました。
「日本の学校では学級会があるね」
「ああ、あれだね」
「日本ではあるね」
「僕達も参加しているよ」
「そこで先生のお話を聞いてね」
「自分達の意見を言ったりするわ」
「あれは政治の場みたいなものだってね」
 臆病ライオンは五人にお話しました。
「オズマ姫が言ってるよ」
「そうなんだ」
「あれは政治なんだ」
「何かって思ったら」
「何でもないと思っていたら」
「そうなんだ」
「お話する内容は違ってもね」
 またドロシーが言ってきました。
「基礎みたいなものね」
「政治のそれだね」
 かかしも言います。
「学級会は」
「それをやってると思えばね」
 樵も言いました。
「いいかな」
「そうだね」
 トトはかかしと樵の言葉に頷きました。
「かなり極論になるかも知れないけれど」
「けれどお話を聞いて皆で話し合って決めていくのはね」
 腹ペコタイガーも言います。
「政治のはじまりだね」
「そうなんだね、僕わからないけれど」
 ボタンはいつもの調子でした。
「皆がそう言うならね」
「そうだっていうのね」
「そうなんだろうね」
 こうドロシーにお話しました。
「やっぱり」
「そうね、それじゃあ」
「皆でだね」
「ギリキンの国に行きましょう」
「そうしようね」
「さて、今回はこの顔触れでまずはギリキンに行こうね」
 臆病ライオンはにこにことして言いました。
「会議の場までね」
「そうしようね、そういえばね」
 神宝は臆病ライオンに応えて笑顔で言いました。
「臆病ライオンや腹ペコタイガーと一緒に何処かに行くこともね」
「これまで何度かあったね」
「そうだったね」
「そして今回もだよ」
「一緒にだね」
「ギリキンまでの旅を楽しむことになるね」
「そうだね、ただ今回はね」
 臆病ライオンは笑顔で応えました。
「すぐにね」
「ギリキンの国まで行くんだ」
「そうするんだ」
「黄色い煉瓦の道を歩いていかないんだね」
「今回はね」
 まさにというのです。
「そうだよ」
「そうなんだね」
「実は魔法使いさんが飛行機を持って来てくれるの」
 ドロシーガ笑顔で言ってきました。
「オズの国のね」
「じゃあその飛行機に乗って」
「すぐにね」
 まさにというのです。
「ギリキンの北の方までね」
「行くんですね」
「そうするから」
 だからだというのです。
「今回はね」
「道中の旅はないですね」
「そうなるけれど」
 それでもというのです。
「きっとね」
「今回も楽しいものになりますね」
「オズの国では全てが楽しいからね」
 だからだというのです。
「そうなるわ」
「それじゃあ期待しています」
「さて、オズの国の飛行機は凄いよ」
 かかしがその飛行機のお話をしてきました。
「科学だけじゃなくて魔法も使われているからね」
「空港がなくても自由に離着陸が出来るんだ」
 樵も言います。
「それも滑走なしにね」
「しかも超音速で飛んで騒音もなしだよ」
 腹ペコタイガーはそちらのお話もします。
「完全自動操縦だしね」
「その飛行機に乗って行くんだよ」
 トトも言います。
「揺れないし乗り心地も快適だよ」
「それに乗って行くわよ」
 ドロシーも笑顔で言います。
「だから楽しみにしていてね」
「何かオズの国の乗りものは何かと凄いですね」 
 神宝はドロシー達のお話に思わず唸ってしまいました。
「本当に」
「そうよね」
 恵梨香も驚きを隠せません。
「科学と魔法が合わさっていて」
「それで外の世界にはないものになっているよ」
 ジョージも言います。
「本当にね」
「これまで色々なものに乗せてもらったけれど」 
 オズの国のです、カルロスはこれまでのことを思い出しています。
「今回は飛行機だね」
「さて、どういったものかしら」
 ナターシャも期待している感じです。
「一体」
「それはもうすぐわかるわ」
 ドロシーが五人にお話しました。
「飛行機自体が来るからね」
「だからですね」
「実際にその飛行機に乗ってですね」
「それでわかりますね」
「乗ってみて」
「そうして」
「そうよ、お話をするより乗ってみる」
 五人ににこりと笑ってお話します。
「乗りものはね」
「そうすることですね」
「まずは」
「実際に」
「お話をするよりも」
「そうしてみることですね」
「そうよ、一緒に乗りましょう」
 こうしたことをお話してでした。
 皆は今度は飛行機を待つことにしました、その間ヘンリーおじさんとエマおばさんはドロシー達にもレモンティーとレモンパイを振舞いました。
 そしてその中で臆病ライオンはお皿に一敗のレモンパイを食べながら一緒に食べている腹ペコタイガーに言いました。
「いや、おばさんの焼いたパイはね」
「いつも美味しいね」
「そうだよね」
「僕も大好きだよ」
 腹ペコタイガーは食べつつ応えました。
「おばさんが焼いてくれたパイはね」
「そうだね」
「アップルパイやピーチパイもいいけれど」
「このレモンパイだってね」
「こちらも美味しいよね」
「本当にね」
 実際にというのです。
「美味しくてね」
「幾らでも食べられるね」
「そしてね」
 臆病ライオンはレモンティーも飲みつつ言います。
「紅茶だってね」
「いいよね」
「レモンティーもね」
「おばさんのお料理いいよね」
「何でもね」
 腹ペコタイガーにこうも言いました。
「おばさん自身が言うには」
「どうしたのかな」
「おばさんカンサスにいた頃は」
 その頃はといいますと。
「そんなにね」
「お料理得意じゃなかったんだ」
「そう言ってるんだ」
 おばさん自身はというのです。
「何か食材も調味料もキッチンもね」
「お料理に必要なものがだね」
「全部まともに揃ってなくて」
 それでというのです。
「あまりね」
「お料理もなんだ」
「作っても」
 そうしてもというのです。
「美味しくはね」
「ならなかったんだ」
「そう言ってるよ」
「カンサスにいた時はね」
 そのおばさんもお話してきました。
「とても貧しくて食材も調味料もね」
「今みたいにはだね」
「揃わなくてキッチンもね」
 臆病ライオンに応えてお話します。
「とてもね」
「こんな風にはだね」
「作れなかったのよ」
「成程ね、幾ら料理上手でも」
 腹ペコタイガーもここまで聞いて言いました。
「食材や調味料が揃ってないと」
「そしてキッチンも充実していないとね」
 また臆病ライオンが言いました。
「どうにもね」
「美味しくなくなるんだね」
「お料理の腕と」
 それに加えてというのです。
「そうしたもの全てが揃ってね」
「お料理は美味しくなるんだね」
「そうみたいだよ」
「成程ね」
「それでね」 
 臆病ライオンはさらに言いました。
「オズの国では皆揃っていてレシピもね」
「ああ、本でもサイトでもね」
「充実しているからね」
「美味しいものが作られるんだね」
「あとインスタント食品や冷凍食品もあるな」
 おじさんが笑って言ってきました。
「缶詰もあるし」
「僕全部好きだよ」
「僕もだよ」
 二匹でおじさんに応えました。
「缶詰もインスタント食品も冷凍食品も」
「全部ね」
「いや、外の世界にいた時はなかったな」
 おじさんはしみじみとして言いました。
「缶詰以外は」
「そういえばボームさんが来られて結構経ってからだったね」
 臆病ライオンはふと気付いて応えました。
「インスタント食品や冷凍食品が出て来たのは」
「オズの国にもな」
「そうだったね」
「いや、それまでは」
 そういったものが出るまではというのです。
「食べものも限られていたよ」
「どうしても」
「そうだよ、手軽に食べたい時は」
 そうした時はというのです。
「そうしたものをだよ」
「楽しむね」
「わしもな」
「私も食べることが多いわ」
 おばさんも言ってきました。
「本当にね」
「若しもね」
 臆病ライオンはこうも言いました。
「インスタント食品や冷凍食品が出て来なかったらどうなっていたかな」
「そうね、そういったものが出るまではね」
 ドロシーが考えるお顔で応えました。
「手軽に食べられるものがね」
「限られていたね」
「そうだったわ」
「それは寂しいね」
「ええ、何かとね」
「インスタント食品や冷凍食品があって」
 神宝も言ってきました。
「かなりの人が助かっています」
「外の世界ではそうなのね」
「はい、若しです」 
 それこそとです、神宝はドロシーにお話しました。
「あそうしたものがないといざという時に餓える人がです」
「出たのね」
「それも大勢の人が」
 そうなっているというのです。
「外の世界ですと」
「オズの国では餓えることがないけれど」
「お腹が空いてもですね」
「そこまではね」
「そうですよね」
「周りを見れば何処でもね」
 オズの国のです。
「食べものも飲みものもあるし」
「だからお腹が空いてもですね」
「そうなってもね」
「食べるものがありますね」
「オズの国ではね」
「外の世界ではそれが違いまして」
 神宝はドロシーにそれでとお話しました。
「餓えもあって」
「人が餓えない為になのね」
「そうしたものがありますと」
 インスタント食品や冷凍食品がです。
「保存も出来てすぐに食べられるので」
「助かるのね」
「そうなんです」
「だから外の世界でそうしたものが生まれて」
「沢山の人達が助かっています」
「そうね、外の世界では」
「はい、本当に」
 こうお話するのでした。
「インスタント食品や冷凍食品が出て来てから」
「ううん、外の世界で生まれてね」
 臆病ライオンはレモンパイを食べつつお話しました。
「オズの国も入って」
「オズの国では手軽に食べられるね」
「そうしたも食べものだよ」
 インスタント食品や冷凍食品はというのです。
「味も楽しめる」
「そうしたものだね」
「確かに長い間味が保てるし」
「オズの国じゃ食べものは腐らなくても」
「やっぱり長く置いていると味が変わるよ」
「けれどそういったものは味が変わらないから」
「重宝するんだ」
 こう神宝にお話します。
「何かとね」
「そうだね」
「うん、それで外の世界では」
「多くの人を救ったんだね」
「そうなんだ、僕の国でもね」
 中国でもというのです。
「インスタント食品の代表の」
「インスタントラーメンだね」
「沢山の人が食べているから」 
 そうしているからだというのです。
「本当にね」
「助かってるんだね」
「そうなんだ」
「有り難いものだね」
「心から言えるよ」
 まさにというのです。
「僕もね」
「インスタント食品は」
「そして冷凍食品もね」 
 こちらもというのです。
「決して馬鹿に出来ないよ、じゃあオズの国のね」
「そうしたものもだね」
「機会があれば」
 その時はというのです。
「食べたいよ」
「じゃあその時が来ればね」
 臆病ライオンも笑顔で応えます。
「是非ね」
「食べようね」
「そうしようね」
 こうお話してでした。
 皆で飛行機が来るまでレモンティーやレモンパイを楽しみました、そしてお空に大きな四発のジェットエンジンを持つ両翼が後ろに向いている緑色の飛行機が来ました。
 機体が丸いその飛行機を見てです、ドロシーは皆に言いました。
「あれがね」
「魔法使いさんが乗っている飛行機ですね」
「これから僕達を乗せてくれる」
「そしてギリキンのlにまで連れて行ってくれる」
「その飛行機ですね」
「そうですね」
「そうよ」
 その通りだというのです。
「今来てくれたのよ」
「そうなんですね」
「何か外の世界の飛行機と似た外見ですね」
「そう思いました」
「大型の旅客機みたいですね」
「ぱっと見たところ」
「そうね、ただね」
 ドロシーはその奇麗な緑色の飛行機を見つつさらに言います。
「オズの国の飛行機だから何かとね」
「さっきお話してくれた通りですね」
「何かと違いますね」
「外の世界の飛行機とは」
「そうですよね」
「やっぱり」
「そうよ」
 その通りだというのです。
「あの飛行機はね」
「中がまた凄いんだよね」
 トトはドロシーの足下で尻尾を振って言いました。
「これがね」
「そうそう、オズマも乗るね」
 かかしも言います。
「王室のものだから」
「王室専用機だからね」 
 樵の口調はしみじみとしたものでした。
「それだけに内装が違うんだよね」
「僕も乗ったことがあるけれど」
 そこから言うボタンでした。
「立派だよね」
「その飛行機に乗って」
 腹ペコタイガーも飛行機を見ています、飛行機はどんどんこちらに来ています。
「そしてね」
「ギリキンに行こうね」
 臆病ライオンは皆に告げました。
「そうしようね」
「さて、ではな」
「私達は見送らせてもらうわ」
 おじさんとおばさんは皆ににこりと笑って言いました。
「ドロシーが行く前に顔を見せにきてくれてな」
「嬉しかったわ」
「だって最近おじさんとおばさんに会ってなかったから」
 それでと言うドロシーでした。
「今回ギリキンの国に行くことになって」
「それでだな」
「いい機会だと思ってよね」
「行く前にね」
 ギリキンの国にです。
「会いに来たのよ」
「毎月会っているけれどな」
「今月もなのね」
「毎月一回は会わないと」
 そうしないと、というのです。
「私としてはね」
「寂しいんだな」
「私達もだけれど」
「だって家族なのよ」
 ドロシーはお二人に笑顔でお話しました。
「それで会わないなんてね」
「ないか」
「一ヶ月に一回は」
「王宮でオズマや皆と暮らして」
 そうしてというのです。
「冒険もするけれど」
「それだけじゃないか」
「私達とも会わないとなのね」
「私は寂しいわ、カンサスにいた時は」
 その時のこともお話するのでした。
「ずっと一緒だったしね」
「あの大平原の中で畑仕事をしてな」
「そうして暮らしていたわね」
「一軒家でな」
「何もないね」
「あの時は何もなかったけれど」
 カンサスにいた時はというのです。
「幸せだったわ」
「大変だったんだよね」
 臆病ライオンはドロシーにカンサスにいた時のことを尋ねました。
「何かと」
「ええ、何もなくて借金ばかりあってね」
 ドロシーは臆病ライオンに答えて言いました。
「そして」
「苦労したね」
「そうだったわ、けれどね」
「そんな中でもだね」
「私はおじさんとおばさん、それにトトと一緒にいて」
 トトも見て言うのでした。
「あの時もね」
「幸せだったんだね」
「そうだったの」
 まさにというのです。
「今もそう思うわ」
「そうなんだね」
「そして今もね」
 臆病ライオンにさらにお話しました。
「幸せでね」
「おじさんおばさんともだね」
「毎月一回でもね」
「ここまで来て」
「会ってね」
 そうしてというのです。
「楽しくね」
「一緒の時間を過ごしているね」
「そうなのよ」
「それで今回も来たから」
「嬉しいわ、それじゃあね」
「おじさんおばさんとも会ったし」
「気分よくね」
 そのうえでというのです。
「ギリキンの国にね」
「行くね」
「そうしましょう」
「それじゃあね」
「それとね」
 さらに言うドロシーでした。
「おじさんとおばさんは冒険はね」
「ああ、わし等はここで暮らしているよ」
「ずっとね」
 お二人でドロシーに答えました。
「他の場所にはだ」
「行くつもりはないわ」
「ここで畑仕事をして二人で暮らして」
「ドロシーも来てくれたらね」
「わし等はそれで充分だ」
「何もいらないわ」
「そうなのよね、冒険や旅行は最高に楽しいけれど」
 それでもというのです。
「私がそう思うことで」
「わし等はここにいて畑仕事が出来ればだよ」
「それで最高に幸せなのよ」
「だからな」
「今回もここにいるわね」
「わかったわ、じゃあまた来るわね」
 おじさんとおばさんににこりと笑って告げました。
「そうするわね」
「ああ、それじゃあな」
「またね」
 二人も笑いました、そしてドロシーに暫しの別れを言いました。
 ドロシーは皆を連れて飛行機が垂直に着陸した方に行きました、いよいよギリキンでの楽しい沢山の出来事がはじまるのでした。








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