『オズのカリフ王』




                第八幕  精霊達の連合王国

 一行は天帝さんの宮殿から次の歴訪先の国に飛行船で向かいます、その次の歴訪する国はといいますと。
「精霊の国であるが」
「あら、その国ってね」
 ビリーナはノーム王からお話を聞いて言いました。
「ポリクロームのね」
「ええ、私の祖国よ」 
 ポリクロームもそうだと答えます。
「精霊の国って」
「そうであるな」
「ええ、私は虹の精霊でね」
 ポリクロームはノーム王にトロットが出してくれた冷たいレモンティーを飲みつつ応えました。お露だけでなく今は他の飲みものも飲める様になったのです。
「一家皆で一つの国でね」
「他にもであるな」
「お空の色々な精霊の国があってね」
 そうしてというのです。
「その国全部が集まって」
「一つの国になっておるな」
「そうなの、どの国も王様がおられるから」
「連合王国であるな」
「精霊の国はね」 
 オズの国のお空のというのです。
「そうなっているわ」
「そうであるな」
「それでね」 
 ポリクロームはさらにお話します。
「これからね」
「精霊の国をな」
「訪問してくれるのね」
「そうさせてもらう」
 ノーム王はここで笑顔で言いました。
「是非な」
「それではね、案内役はね」
「お前さんであるな」
「そうさせてもらうわ」
「そういえば前にポリクロームのお家に行ったね」
 ジョージはここでこのことを思い出しました。
「そうだったね」
「前にこの飛行船に乗せてもらった時だったわね」 
 ナターシャもその時のことを言いました。
「お邪魔させてもらったわ」
「あの時もこうしてお空を旅してね」
 神宝も言います。
「その時だったね」
「それで今回はね」
 恵梨香は今のお話をしました。
「お家じゃなくてお国に行くのね」
「ポリクロームの国が連合王国だとは知らなかったけれど」
 それでもと言うカルロスでした。
「是非お邪魔させてもらいたいね」
「ええ、楽しんでね」
 ポリクロームは五人の子供達にも言いました。
「うん、それじゃあね」
「そうさせてもらうわね」
「一体どんな国か」
「楽しみよ」
「連合王国っていうけれど」
「それぞれの種族の王様が集まってね」
 そしてというのです。
「一年ごとに王様の中から国家元首が代わるのよ」
「確かね」
 ここで応えたのはトロットでした。
「順番でよね」
「そう、それぞれの王様がね」
「一年ごとにね」
「連合王国を代表するね」
「国家元首を務めるのよね」
「そうなっているの」
 ポリクロームはトロットにお話しました。
「私達の国はね」
「お空の精霊さん達のお国は」
「連合王国はね」
「連合王国と言っても色々な形があるわね」
 トロットはこうも言いました。
「幾つもの国の王様を一人の人が兼ねている場合とね」
「私達の国みたいにね」
「それぞれの国に王様がいて」
「順番で国家元首を務めたりね」
「一番偉い王様がいたりね」
「そうなっているわね」
「最初の国はあれだね」 
 キャプテン=ビルも言いました。
「外の国のイギリスだね」
「そうよね」
 トロットも頷いて応えます。
「あの国はね」
「四つの国から成り立っているね」
「イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドで」
「それで四ヶ国の王様をね」
「一人の人が務めているよ」
「そうよね」
「それでポリクロームみたいな国もね」
 それぞれの国に王様がいて順番で代表と務める国がというのです。
「あるよ」
「外の世界で言うとマレーシアよね」
「そうだよ」
「それで」 
 トロットはさらに言いました。
「最後のね」
「それぞれの国に王様がいてね」
「一番偉い王様がいる場合もね」
「あるよ」
「そうよね」
「そこはね」
「その君それぞれね」
「そうだよ」
「それで一番偉い人が皇帝になるとよね」
 つぎはぎ娘が言ってきました。
「帝国になるのよね」
「そうよね」
 ビリーナはつぎはぎ娘に応えました。
「ブリキの樵さんは皇帝なのよね」
「それでウィンキーを治めているけれど」
「そのウィンキーもね」
「オズの国の中の一国で」
「オズの国全体の国家元首となると」
「オズマなのよね」
「オズの国はオズの国で特徴があるからのう」
 ノーム王は腕を組んで考えるお顔で言ってきました。
「皇帝の上にじゃ」
「お姫様がおられる」
「そうであるな」
 ドワーフ王に応えました。
「オズの国は」
「王も皇帝もな」
「皆な」
「全てな」
 まさにというのです。
「オズマ姫を国家元首としてな」
「オズの国におる」
「オズの国は皇帝の上に王女となる」
「そんな国じゃ」
「そうした国もある」
「そうであるな」
「確か外の世界だと皇帝が一番偉いのよね」 
 つぎはぎ娘はこのことを指摘しました。
「そうなのよね」
「そうそう、それで日本の天皇陛下がね」
 ビリーナが応えてお話します。
「皇帝なのよね」
「日本語では天皇となって」
「英語だとエンペラーとなってね」
「皇帝になるのよ」
「そうよね」
「それでオズの国は」
「皇帝を戴く国のさらに全体の国としてね」 
 ウィンキーのというのです。
「オズの国自体があって」
「その国家元首がオズマ」
「エメラルドの都の国家元首であると共にね」
「そして一緒に私達もいるのよ」
 トロットも笑顔で言ってきました。
「ドロシー、ベッツイにね」
「あんたもね」
「三人でオズマを助けているわね」
「国家元首の彼女をね」
「そうよね」
「オズの国はそうなっているわね」
「外の世界とはまた違うんだよね」
 ジョージも言います。
「国の在り方が」
「その国それぞれで違うわね」
 ポリクロームも言ってきました。
「そのことは」
「そうだよね」
「国が成り立った経緯がそれぞれだから」
 それでというのです。
「当然ね」
「国の在り方もね」
「違ってその形もよ」
「違うね」
「そうよ」
 まさにというのです。
「これはね」
「その違いを理解する」
「そのことも大事ね、私達はそれぞれの種族で家族で」
 ポリクロームは自分達の国のことをお話しました。
「一つの国だったけれど」
「それがだね」
「それぞれ集まって」
「そのうえでだね」
「一つの国家になったのね」
「連合王国に」
「それぞれの家族が集まって一緒になったらもっと賑やかで楽しくなるってお話して」 
 そしてとです、ポリクロームはジョージ達五人にお話しました。
「一つの国になったの」
「成程ね」
「そうなんだね」
「仲良く集まって」
「それで連合王国になった」
「そうなのね」
「そうなの、それで一つの国になって」 
 それぞれの種族即ち家族がというのです。
「皆実際にね」
「楽しくだね」
「過ごしているんだね」
「オズの国のお空で」
「そうしてるのね」
「皆仲良く」
「そうよ、その国に案内するわね」
 これからと言ってでした。
 ポリクロームはオズの国の空の地図と羅針盤を出してそのうえで皆に詳しい航路をお話してそうしてでした。
 案内します、そして。
 精霊達の連合王国に着くとそこはでした。
「おお、雲がな」
「それぞれ位置していてな」
「その上にお家があるのう」
「ギリシアの神々の様な神殿がな」
 ノーム王もドワーフ王もその国を見て言います。
「雲が立体的にな」
「それぞれの場所にあるな」
「そしてその中心に一際大きな雲があって」
「そこにお城があるのう」
「あれが私達の首都なの」
 ポリクロームはノーム王とドワーフ王に微笑んでお話しました。
「あそこで私達の王様達そしてね」
「代表する王様がじゃな」
「おられてな」
「それでじゃな」
「政治を執っておられるの、王様はね」
 ポリクロームはさらにお話しました。
「それぞれの家族のお父さんなのよ」
「ふむ、そうなのじゃな」 
 ノーム王はポリクロームのお話に頷きました。
「精霊の国は」
「それでそれぞれの種族で家族もね」
「多いか」
「大家族なのよ」
 精霊の人達はというのです。
「そのことも見てね」
「それではな」
「では首都にね」
 お城、立派な宮殿のあるその雲を見て言いました。見ればその宮殿は太陽の様に輝く左右対称の壮麗な宮殿で様々なお花と木とお水で飾られたお庭もあります。
「行きましょう」
「ではな」
 ノーム王が応えました。
 それで連合王国の首都に向かい雲の縁のところに飛行船を停めてでした。
 そのうえで首都に入るとでした。
 ポリクロームの様に虹色に輝く髪の毛の奇麗な女の子や男の子達もいればです。
 赤や青、緑に黄色、白に銀に金色にとです。
 様々な髪の毛の色で白いポリクロームと同じ服を着た女の子達にです。
 白い上着にズボンの男の子達もいます、ノーム王は彼等を見て言いました。
「どの子も精霊さん達か」
「そうなの、それでね」
 ポリクロームがお話しました。
「赤い髪の毛が火の精霊の子でね」
「火のか」
「青がお水で緑が雷、黄色が土で白が雪で銀色が風、金色が光でね」
「虹色はであるな」
「虹よ、あと紫の髪の毛の子達は」 
 見ればその色の精霊の子達もいます。
「夜よ」
「夜の精霊さんか」
「それで夜の精霊の王様が今の私達の国家元首だけれど」
 その役目を受け持っているというのです。
「王様と女王様がいるの」
「女王か」
「そう、夜の女王様よ」
「そうした人もいるのか」
「それで歌が凄く上手なの」
 その夜の女王さんはというのです。
「驚く位にね」
「そんなに上手なのか」
「私達精霊は皆歌もダンスも好きでね」
 いつもくるくると踊っているポリクロームの言葉です。
「それでね」
「夜の女王殿はか」
「凄くね」
 まさにというのです。
「歌がお上手だから」
「その歌もか」
「聴いてくれるかしら」
「是非共」
 ノーム王は笑顔で応えてでした。
 そのうえで皆で宮殿の中に案内してもらいました、すると。
 とても奇麗なまるで絵画の様なお庭にです。
 様々な精霊の人達の力で照らされている輝きに満ちた豪奢な宮殿の中には様々な装飾がありその奥の王の間にでした。
 それぞれの精霊の王様達がみらびやかな服を着て王冠を被っていてです、その中心にです。
 見事なローブを身にまとった威厳に満ちたお顔立ちで紫の髪の毛の男の人が冠を被って立派な玉座に座っていてです。
 そのお隣に濃い紫のドレスを着て色白で小柄な紫の髪の毛の上に金色の冠を被った人が座っています、その人達がです。
 皆で一行をお迎えします、そして玉座の男の人が言ってきました。
「ようこそ、精霊の国へ」
「貴殿が夜の精霊の王様ですな」
「今現在のこの国の国家元首を務めています」
 ノーム王に笑顔で答えました。
「それで玉座に座っています」
「そうでありますな」
「はい、ではこの度はです」
「この国で、ですな」
「心ゆくまでお楽しみ下さい」
「我が国のことはもうお聞きですね」 
 夜の精霊のお隣にいる女の人も言ってきました。
「左様ですね」
「はい、それで貴女が夜の女王ですな」
「はい」
 笑顔での返事でした。
「その通りです」
「やはりそうでしたか」
「それで我が国のことは」
「ポリクローム嬢からお話してもらいました」
「そうですね、ではです」
「これよりですな」
「歓待させて頂きます」
 こう言ってでした。
 精霊の人達も一行を歓待してくれました、宮殿の中を隅から隅まで案内してくれてそのうえでなのでした。
 歌にダンスに舞台も披露してくれてそしてです。
 夜の女王も歌いますがその歌は。
「おお、これは」
「確かにな」
 ノーム王もドワーフ王も唸りました。
「見事な」
「素晴らしい歌じゃ」
「これ程までとは
「思いも寄らなかったわ」
「夜の女王様は精霊の国一の歌い手なの」
 ポリクロームはお二人に笑顔で言いました。
「もう誰よりもね」
「この国ではか」
「歌が上手なのか」
「そうなの」
 まさにというのです。
「この通りね」
「物凄く高い声で音程を完全にコントロールしてるわね」 
 トロットは夜の女王の歌を聴いて言いました。
「物凄く難しい歌なのに」
「ええ、こんな難しい歌あたしでも完璧に歌えないわ」
 つぎはぎ娘も言います。
「あたしダンスにね」
「歌もよね」
「大好きでよく歌って」
「それでかなり自信があるけれど」
「実際に貴女も歌上手よ」
「そうでしょ、けれどね」 
 そのつぎはぎ娘でもというのです。
「ちょっと以上にね」
「この歌はなのね」
「完全には歌えないわ」
「そこまで難しいのね」
「ええ、こんな歌があるなんて」
 つぎはぎ娘はまた言いました。
「あたしもびっくりよ」
「そうなのね」
「けれど完全に歌えなくても」
 それでもと言うつぎはぎ娘でした。
「歌いたいわ」
「完全にでなくてもなのね」
「歌いたいならね」
 それならというのです。
「もうね」
「それでよね」
「歌いたいわ」
 そうだというのです。
「あたしはね」
「そう考えるところが貴女ね」
「そうでしょ、好きでね」
「歌いたいなら」
「もう上手とかそういうことはね」
「関係ないのね」
「そうよ」
 まさにというのです。
「だから完全に歌えないかもと言ったけれど」
「歌いたいのね」
「歌いたいなら歌えよ」 
 またこう言ったつぎはぎ娘でした。
「上手下手はね」
「関係ないわね」
「そうよ」
「そうね、言われてみればね」
「ええ、歌いたいなら」 
 それならというのです。
「楽しくね」
「歌えばいいのね」
「そうよ、だから後でね」
「この曲を歌うのね」
「絶対にそうするわ」
「そう、歌は上手下手じゃないの」
 ポリクロームはつぎはぎ娘達にも言ってきました。
「大事なのはね」
「歌いたいかどうかよね」
「そのことが重要で」 
 それでというのです。
「精霊の国でもよ」
「そう考えられているのね」
「だってオズの国だから」
 精霊の国もこの国の中にあるからだというのです。
「それでよ」
「そうなっているのね」
「そうよ」 
 実際にというのです。
「だからね」
「あたしもこの歌歌っていいのね」
「歌いたいならね」
「じゃあそうするわね、ただね」
 ここでこうも言ったつぎはぎ娘でした。
「この歌ダンスはないわね」
「ええ、夜の女王様は歌われる時はね」
「ダンスは踊らないの」
「そうした歌も多くて」 
 夜の女王が歌う歌はというのです。
「この歌もなのよ」
「物凄くダンスがありそうな曲だけれどね」
「曲名は復讐は地獄の様にっていうの」
「曲名はそうね」
「本当に音が高くてね」
「テクニックもね」
「とんでもないレベルが必要だけれど」
 それでもというのです。
「ダンスはね」
「ない曲ね」
「けれどダンスをしたいなら」
「それもしていいのね」
「貴女のダンスは有名だしね」
「オズの国でもよね」
「貴女だから出来るダンスもあるけれど」
 つぎはぎ娘のぬいぐるみの身体だからです、骨もお肉もなくてとんでもなく柔らかい跳ねられる身体がです。
「それでもね」
「踊れるならよね」
「そして踊りたいならね」
 それならというのです。
「こちらもね」
「していいわね」
「ええ、ただね」
「ただ?どうしたの?」
「貴女しか出来ないダンスもあるけれど」
 ポリクロームはつぎはぎ娘に言いました。
「それぞれの身体でも出来る様によね」
「そう、アレンジしてもね」
「いいのよね」
「だって身体はそれぞれでしょ」
 つぎはぎ娘はポリクロームに言いました。
「そうでしょ」
「ええ、骨や筋肉がある身体の人もね」
「というかあたしみたいなね」
「ぬいぐるみの身体の人の方がよ」
「少ないわよね」
「オズの国でもね」
 色々な人がいる国でもというのです。
「そうよ」
「そうでしょ、だからね」
 つぎはぎ娘はポリクロームに言いました。
「そこはそれぞれね」
「アレンジしていいわね」
「好きなさまにね」
「その身体に従って」
「そうしていいのよ」
「そういうことね」
「ええ、それでこの歌もね」
 夜の女王の歌もというのです。
「あたしも歌って」
「そして踊って」
「アレンジもしていけばいいのよ」 
 こう言ってでした。
 つぎはぎ娘は夜の女王の歌が終わってから自分もその歌を歌いました、そのうえでダンスも披露しました。
 その歌に合わせてのダンスはこれまた凄いもので。
「ううむ、流石だな」
「全くだな」
 ノーム王もドワーフ王も唸りました。
「跳んで跳ねてな」
「実につぎはぎ娘らしい」
「いいダンスだ」
「これ以上はないまでにな」
「ではわし等もな」
 ドワーフ王はノーム王に笑顔で言いました。
「是非な」
「うむ、楽しませてもらうとな」
「こちらも楽しませないとな」
「それがオズの国だ」
「お互いに楽しむ」
「皆でな」
 ノーム王も笑顔で言いました。
「それではな」
「是非共な」
「今度はわし等だ」
「わし等が歌おう」
「そして踊ろう」
 こう言い合ってつぎはぎ娘の次にです。
 実際に歌とダンスを披露しました、その後で。
 皆はお食事となりましたがトロットが言ってきました。
「精霊の人達はお露とかを飲むだけでしょ」
「お食事はそれだけだからな」
「私達はね」
 食べる身体の人達はとです、トロットはキャプテンに応えました。
「テーブル掛けからね」
「お料理を出して」
「そして食べましょう」
「そうしよう」
「さて、今日は何にしようかしら」
 トロットは晩ご飯のお話をしました。
「一体」
「そうだね、何にしようか」
 キャプテンも一緒に考えました。
「夜は」
「お料理は色々あるけれど」
「何を食べようか」
「まずお野菜は」
 それはといいますと。
「ソテーにしようかしら」
「それだね」
「ええ、ほうれん草と茸とね」
 それと、というのです。
「ベーコンの」
「そのソテーだね」
「それと野菜スティックに」
 トロットは生野菜もと言いました。
「スープは海老のスープで」
「海老か」
「ええ、そちらのスープにして」
 キャプテンの考えるお顔で応えました。
「それでロブスターのフライに」
「前菜はだね」
「そこにね」
 トロットはさらに言いました。
「生ハムも出して」
「そしてメインは」
「マトンの脛肉を煮たもので」
 それにしてというのです。
「おソースをかけた」
「それにするんだね」
「それにしましょう、パンも出して」
「デザートは何かな」
「そうね、ドーナツにしましょう」
 デザートはこちらというのです。
「それにして」
「皆でだね」
「食べましょう、飲みものはそれぞれね」
「飲みたいものをだね」
「飲んで」
 そうしてというのです。
「楽しくね」
「皆でだね」
「食べましょう」
「今からね」
「そうしましょう」
 こうお話してでした。
 食べる人歯トロットが出したものを笑顔で食べました、ポリクロームもそこにいましたが彼女は白いワインを飲んで言いました。
「ワイン美味しいわ」
「そういえば精霊さんは飲むものはよかったね」 
 ジョージはオレンジジュースを飲みつつ言いました。
「お露以外にも」
「それでワインも飲むんだね」
 カルロスはグレープフルーツのジュースを飲んでいます。
「そうなんだね」
「ジュースもお茶も飲むしね」
 神宝は林檎ジュースを飲んでいます。
「お酒もいいんだね」
「それで今はなのね」
 恵梨香は桃のジュースを飲んでいます。
「ワインを飲んでいるのね」
「最初はお露だけかしらって思っていたら」
 ナターシャが飲んでいるのは葡萄のジュースです。
「お茶も飲めてね」
「お酒もよ」
「そうだよね」
 ジョージはまさにと応えました。
「飲めるね」
「それで酔うけれど」
 それでもというのです。
「次の日には全く残らないの」
「そうなんだね」
「精霊はね」
「そうした身体の仕組みになってるんだ」
「ええ、だからね」 
 ポリクロームはさらにお話しました。
「精霊の人達は皆よ」
「お酒好きなんだ」
「ええ、大好きよ」
 そうだというのです。
「本当にね」
「そうなんだね」
「だからお父さんも飲むし」
 この人もというのです。
「兄さんや姉さん達もね」
「皆だね」
「ええ、お母さんもね」
「虹の精霊の人達も皆で」
「他の精霊の人もよ」
「夜の女王様もかな」
「あの方は赤ワインが大好きで」
 それでというのです。
「よくね」
「飲まれてるんだね」
「そうなのよ」
「成程ね」
 ジョージもそのお話に納得して頷きました。
「あの方はそうなんだ」
「似合うわね」
「そうだね」
「あの方に赤ワインって」
「それはね」
 恵梨香達四人もそれはと頷きます。
「そう言われたら」
「似合うね」
「すぐにその光景が思い浮かぶよ」
「あの方が赤ワインをグラスで飲まれるお姿が」
「全くだね」
「そうでしょ、私も赤ワインを飲む時があるけれど」 
 ポリクロームは今は白ワインを飲みつつ言いました。
「どちらかというとね」
「白ワインだね」
「ポリクロームが好きなのは」
「そちらのワインで」
「赤ワインよりもね」
「今みたいに飲んでるんだ」
「そうなの、とても美味しいわ」
 今も飲みつつ言いました。
「とてもね。それに落ち着いてるわ」
「それは祖国にいるからよね」
 ビリーナがポリクロームに落ち着いているという理由を言いました、今はお豆を一粒ずつ食べています。
「それでよね」
「そうなの、今回はこうしてね」
「私達と一緒にいてね」
「旅をしているけれど」
「その途中でね」
「皆の歴訪にお付き合いして」
 その中でというのです。
「こうしてね」
「祖国に一時的に立ち寄れて」
「それが里帰りになってね」
「落ち着けるわね」
「そうなの。やっぱり祖国に帰ったら」
 そうしたらというのです。
「落ち着けるわ」
「そうよね、私だってね」
 ビリーナは自分もとお話しました。
「お国に帰ったら」
「落ち着くわね」
「とてもね。くつろげるわ」
「そうよね」
「だって自分のお家があってね」
 そうしてというのです。
「家族がいてだから」
「一番落ち着けるわね」
「旅はとても素敵で楽しいものだけれど」
 それでもというのです。
「やっぱりね」
「その途中でもそうで」
「最後はね」
 旅のというのです。
「今回の歴訪もそのうちの一つだし」
「それではね」
「その最後はよ」
「お家に帰って」
「落ち着くことがね」
 それがというのです。
「何といってもよ」
「一番いいわね」
「本当にね」
「ううむ、旅はそこまで楽しい」
 ノーム王はラムの脛肉を食べてです。
 それから大好きなビールをジョッキでぐびぐびと飲んでからビリーナに応えました。もうお顔は真っ赤になっています。
「お家に帰るまでじゃな」
「そうよ、あんたもわかってるでしょ」
「空の国々の歴訪ははじめてであるがな」
「それでもでしょ」
「国内を巡幸してな」
 その旅行を行ってというのです。
「地下や地上の国々を歴訪したことはあるからのう」
「それで楽しんでよね」
「うむ、最後はな」
 何と言ってもというのです。
「お家、宮殿に帰ってな」
「ほっとするまでがね」
「旅行でその最後がな」
「またいいでしょ」
「落ち着ける、それはな」
 このことがというのです。
「最高の幸せの一つじゃな」
「全く以てそうよね」
「だからポリクローム嬢もじゃな」
「ええ、今とても幸せな気持ちよ」
 ポリクロームはノーム王にも答えました。
「これ以上はないまでにね」
「そうであるな」
「ワインを楽しんでいるだけでなくて」
「ほっとして落ち着いてな」
「その気持ちもね」
 こちらもというのです。
「楽しんでいるわ」
「そうじゃな」
「またね。歴訪をするけれど」
「その中で一旦帰ることが出来てな」
「とても嬉しいわ」
「そうであるな」
「歴訪が終わったら今度はね」
 ポリクロームはノーム王に笑ってお話しました。
「ちゃんとね」
「自分のお家のじゃな」
「私のお部屋に戻って」
 そうしてというのです。
「何よりもね」
「ほっとするな」
「そうするわ」
 こうノーム王にお話しました。
「その時まで思いきり楽しんで」
「そのお部屋に帰った時もじゃな」
「最高にね」
「楽しむな」
「帰った、そしてほっとして」
「落ち着いてな」
「そうなった気持ちをね」
 まさにそれをというのです。
「楽しませてもらうわ」
「そうであるな」
「では今夜はね」
「こうして楽しむな」
「宴をね、それで今晩は」
「うむ、そのことであるが」
 ここで夜の精霊の王様今の精霊の国全体の王様が出て来て言ってきました。
「皆さんのお部屋、寝室は用意しているので」
「そうなのか」
「お風呂に入ってもらって」
 ノーム王にお話しました。
「くつろいで頂きたい」
「それでは」
「有り難いのう」 
 ノーム王はそのお話を聞いて頷きました。
「この国でもそこまでもてなしてもらって」
「わし等は果報者じゃ」
 ドワーフ王も言ってきました。
「これ以上なくな」
「全くじゃ、常に楽しめて満足出来ておる」
「これこそな」
「最高の果報者とじゃ」
「言えるのう」
「そうじゃな」 
 ノーム王はドワーフ王の言葉に頷きました。
「昔わし等はな」
「ラゲドー氏がロークワット氏といった頃はな」
「何もかもが嫌いで憎くてな」
「不満ばかりでな」
「何をしても見てもな」
「楽しくなかったのう」
「何一つとしてな」
 まさにというのです。
「そうであった」
「傍から見てノームは好ましい種族でなかった」
 ドワーフ王もビールを飲んでいます、その中で言いました。
「どうもな」
「やはりそうであったか」
「うむ、それがな」
「今はか」
「楽しく明るいな」
 そうしたというのです。
「よい種族にな」
「なったか」
「わし等が見てもな」
「いや、どうもな」 
 ノーム王はその頃の自分達を思い出して言いました。
「あの頃はな」
「お主達はじゃな」
「本当に何もかもがな」
「面白いと感じなくてじゃな」
「それで不平不満ばかりでな」
 それでというのです。
「悪いことばかり考えておった」
「それが変わったのう」
「わしも王様になってな」
「オズの国にじゃな」
「完全に入る様にして」
 政治としてそうしてというのです。
「それでな」
「オズの国の人達とじゃな」
「積極的に交流もしてな」
「楽しいことを知っていったな」
「うむ」
 実際にというのです。
「何処をどうすれば楽しくなるか」
「そして幸せになるか」
「そうしたことをな」
「知っていってじゃな」
「そうじゃ」
 それでというのです。
「今はな」
「楽しくなる方法を知って」
「それを満喫してな」
「幸せになったのう」
「そうじゃ、そしてその幸せにな」
 これにともです、ノーム王は生ハムを食べてからまた言いました。
「感謝する」
「そうすればな」
「さらに幸せになれる」
「全くじゃ、楽しさと感謝を知ることはな」
「幸せになれるな」
「その一歩じゃ、それがわかって」 
 そしてというのです。
「オズの国にいてな」
「ノームも今は幸せじゃな」
「あのラゲドー氏もな」 
 前の王様だったあの人もというのです。
「今では楽しく幸せにな」
「そして感謝してな」
「暮らしておる」
「そうであるな」
「ううむ、かつてはわし等は何もかもが嫌いで憎くて」
「不平不満ばかりでじゃな」
「何も楽しくなかった、しかもな」
 ノーム王はさらに言いました。
「好かれてもいなかったな」
「オズの国では嫌われることはないがのう」
「距離を置かれるのう」
「好ましくないと思われるとな」
「そうであるな」
「それでじゃ」
 ドワーフ王はノーム王の為にビールのジョッキを出してでした。
 それをノーム王に勧めてそれでまた言いました。
「わし等もじゃ」
「兄弟の様な間柄でもな」
 ノーム王はそのジョッキ、ビールが並々と入ったそれを受け取りつつ応えました。
「そうした相手はな」
「どうしてもな」
「付き合わんのう」
「距離を置いてな」
 そうしてというのです。
「付き合わん」
「そうなるのう」
「だからな」
「あの頃はじゃな」
「わし等も付き合わなかった」
 そうだったというのです。
「全くな」
「そしてわし等は孤独であった」
「孤独で尚更じゃな」
「わし等は悪いことばかり考える様になった」
「そうじゃな、しかし思うことは」
 それはといいますと。
「今の様におるとな」
「悪いことも考えぬのう」
「いいことばかり考える」
「では今のままでじゃな」
「いきたい」
 是非にという言葉でした。
「ずっとな」
「ならな」
「うむ、こうしてな」
「何でも楽しんでな」
「感謝してな」
「幸せになるのじゃ」
「そうじゃな、ビールも美味い」
 今飲んでいるというのです。
「とてもな」
「そのこともよいのう」
「もっと飲みたい位じゃ」
 こう言うのでした。
「どんどんな」
「そうじゃな、それが楽しいからのう」
「幸せじゃ、そして幸せを満喫する為にな」
「今はじゃな」
「ビールを飲むぞ」
 今の様にというのです。
「そうするぞ」
「わしも同じじゃ、ではな」
「これよりじゃな」
「もっともっと飲むぞ」
「歌に踊りも楽しみ」
「こっちもじゃ」
 笑顔で言ってでした。
 ノーム王は実際にジョッキに並々と入っているビールをごくりと飲んでお髭に泡がたっぷり付いた状態で言いました。
「よいのう」
「お髭に泡がついてるわよ」
 トロットが笑って言ってきました。
「キャプテンさんもだけれど」
「おお、そうなっておるか」
「ええ、そこは拭いてね」
「そうであるな」
「ちゃんとしないとね」
「そうするぞ、そしてじゃ」
 ハンカチを出して自分の髭を拭いてからです、ノーム王はまた言いました。
「また飲むぞ」
「今夜もそうして」
「幸せになるぞ」 
 笑顔で言ってでした。
 ノーム王はドワーフ王と肩を組んで陽気に飲んで歌いはじめました、そのお姿は心から幸せを楽しんでいるものでした。








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