『オズのカリフ王』




                第二幕  いざ出発

 魔法使いは臆病ライオンと腹ペコタイガーと共にウィンキーの国からエメラルドの都に戻って来ました、見ればかかしと樵も一緒です。
 ビリーナは彼等を見て言いました。
「そういえば魔法使いさん達は今日戻って来る予定だったわね」
「うん、気球で出発してね」
 魔法使いはビリーナに笑顔で答えました。
「そして気球で戻って来たよ」
「それで速かったのね」
「今回はお空から行こうと思って」
 それでというのです。
「気球を使ったけれど」
「正解だったのね」
「うん、楽しい行き来で」 
 それでというのです。
「お仕事もね」
「楽しかったのね」
「かかし君樵君とね」
 今一緒にいる二人と、というのです。
「道の修理をしてきたよ」
「それはよかったわね」
「無事に終わったよ」
 臆病ライオンが楽しそうに言ってきました。
「道の修理はね」
「いや、随分壊れている部分があったけれど」
 腹ペコタイガーも言ってきました。
「それがだよ」
「無事に修理出来たね」
「そうなったよ」
「有り難いことにね」
「これで皆楽しく道を歩けるよ」
 樵はその道達があったウィンキーの皇帝として述べました。
「修理出来たからね」
「それが終わってね」
 かかしも言ってきました。
「僕達はオズマに挨拶に来たんだ」
「それで二人も来たのね」
「そうなんだ、それでだけれど」
「お話は聞いたよ」
 かかしと樵は笑顔で言いました。
「ノーム王が来るそうだね」
「ドワーフ王と一緒に」
「お空の国々の歴訪の為にね」
「宮殿の飛行船を借りて行くそうだね」
「そうなの、もう準備は出来たから」
 それでとです、オズマもお話します。
「後はお二人が来ればね」
「それで出発だね」
 魔法使いが応えました。
「こちらの参加者の人達と一緒に」
「そうなっているわ」
「そうなんだね、ではね」
「ええ、私達はね」
「宮殿に残ってお仕事をしよう」
「そうしましょう」
「それでお二人は何時来るの?」
 つぎはぎ娘はオズマに尋ねました。
「一体」
「今日のらしいわ」
「あら、今日なの」
「さっきノーム王からメールが届いたけれど」 
 オズマは自分のエメラルドで造られた携帯電話を出してお話しました。
「今日のお昼にはね」
「こっちに到着するのね」
「そうなるわ、だからお二人が到着したら」 
 その時はというのです。
「早速ね」
「出発するのね」
「そうしてもらうわ」 
 こう言うのでした。
「いいわね」
「わかったわ」
 笑顔で、でした。つぎはぎ娘は答えました。
「それじゃあね」
「ええ、準備は整っているから」
「後はね」
「楽しく出発してね」
「そうさせてもらうわ」
 つぎはぎ娘は跳びはねて応えました、早速歌とダンスをはじめますがぬいぐるみの身体を使ってぴょんぴょんと跳びます。
 そしてです、そのうえでなのでした。
 歌とダンスを何曲か楽しみました、その後でこんなことを言いました。
「ベッツイとハンクは大学に行ってたわね」
「モジャボロさんと弟さんと一緒にね」
 トロットが答えました。
「ムシノスケ教授のところに行ったわ」
「そうだったわね」
「エリカとガラスの猫も一緒よ」
 彼女達もというのです。
「それで今は王宮にいないわ」
「じゃあ王宮に残るのはオズマ達ね」
「そうなっているわ」
「じゃあ留守番お願いね」
 つぎはぎ娘はあらためて言いました。
「皆ね」
「僕達も暫く都にいるしね」
「ウィンキーにはジャックが残ってくれているからね」
 かかしと樵がお話しました。
「だからね」
「暫く王宮で働かせてもらうよ」
「お願いするわね」
 オズマも二人に応えます。
「暫くの間ね」
「それではね」
「一緒に頑張っていこうね」
「そうしましょう」
 こうしたお話をしながらでした。
 皆で午前中田野敷く過ごしました、ジョージ達五人はつぎはぎ娘と一緒に歌って踊って楽しんでいましたが。
 その踊りを見たキャプテン=ビルは笑って言いました。
「皆動きが軽快だね」
「いえ、流石にです」
「つぎはぎ娘には負けます」
「歌もそうですが」
「踊りは特にです」
「どうにもならないです」 
 五人はこうキャプテンに答えました。
「とても」
「つぎはぎ娘は身体の構造が違いますから」
「ぬいぐるみの身体なんて」
「どんな動きも出来ますし」
「リズム感も抜群ですから」
「何言ってるのよ、あたしはあたしよ」
 つぎはぎ娘はその五人に言いました。
「身体の仕組みが違うのはまた別よ」
「そうなんだね、じゃあそれぞれの身体でだね」
 ジョージはつぎはぎ娘の身体を見て言いました。
「楽しめばいいんだね」
「私達は私達で」
 恵梨香も言います。
「そうしたらいいのね」
「時々つぎはぎ娘みたいに踊れたらって思うけれど」
 それでもと言うナターシャでした。
「また違うのね」
「僕達の身体でありったけ楽しむ」
 神宝は考えるお顔で言いました。
「それでいいんだね」
「それぞれの楽しみ方があるんだね」 
 カルロスの口調はしみじみとしたものでした。
「そういうことだね」
「そうよ、思いきり楽しんだらね」
 それならというのでした。
「それでいいのよ」
「誰かより凄いかじゃなくて」
「劣ってるとかじゃなくて」
「楽しめばいい」
「そういうことだね」
「歌と踊りは」
「他のこともでしょ、今回は競争じゃないんだし」 
 それでというのです。
「遊びなんだしね」
「楽しめばいいんだ」
「そうなんだね」
「それじゃあ一緒にね」
「歌と踊りを楽しむ」
「それも思い切り」
「そうしましょう、じゃあ続けるわよ」 
 こう言ってでした。
 皆で歌って踊って楽しい時間を過ごしました、そしてです。
 キャプテンは皆を見てこんなことを言いました。
「わしも踊っていいかな」
「あんたもいいでしょ」
 つぎはぎ娘はすぐに答えました。
「別に」
「片足でもかい」
「片足でもいいでしょ」
「踊ってもかい」
「何が問題なの?」 
 つぎはぎ娘はキャプテンにあっけらかんとして返しました。
「一体」
「ああ、お前さんの考えだと」
「そうよ、自分のそれぞれの身体でね」
「楽しめばいいね」
「あんたの足のことは知ってるわよ」
 片足が義足であることはというのです、見れば確かにキャプテンの足は今も片足は木の棒のそちらになっています。
「それでもよ」
「踊れるんだね」
「ええ、それにオズの国じゃ片足でもね」
 例えそうであってもというのです。
「動きに問題ある?」
「いや、別に」 
 キャプテンはすぐに答えました。
「こっちの世界に来てからというもの」
「こけたりしないでしょ」
「バランスを崩すことさえだよ」
「しないわね」
「傷口が痛むこともないよ」
「義足を付けているところね」
「全くだよ」
 こうつぎはぎ娘に答えました。
「そんなことはないよ」
「だったらね」 
 それならというのです。
「どんどんね」
「踊ればいいんだ」
「そうよ、あんたの動きでね」
「そうなんだね、しかし」
「今度は何よ」
「いや、踊りが下手だとね」 
 キャプテンは今度はこんなことを言いました。
「どうかと思って」
「そのこともよ」
 つぎはぎ娘はまたしても何でもないといった口調で答えました。
「上手下手じゃないのよ」
「問題はだね」
「楽しめばいいんだから」
「下手でもだね」
「そうよ、そんなことはどうでもいいのよ」
「楽しむかどうかで」
「あくまでね、それじゃあね」
「今からだね」
「そうよ」
 まさにというのです。
「好きなだけ踊ればいいのよ」
「それじゃあ」
「あたし達と一緒に踊りましょう」
「歌ってだね」
「そうしましょう」
「それではね」
 キャプテンも遂に頷きました、そしてです。 
 実際に皆と一緒に歌って踊ると、でした。
「あっ、キャプテンさんも踊れますね」
「結構いけてますよ」
「それに歌もお上手で」
「かなりいいです」
「問題ないです」
「そうか、踊りのことばかり考えて」
 キャプテンはジョージ達五人に応えて言いました。
「歌までは考えてなかったよ」
「いや、それがですよ」
「お上手ですよ」
「僕達よりかなり」
「音程もしっかりしていて」
「堂々と歌えてまして」
「あたしもそう思うわよ」 
 つぎはぎ娘もキャプテンの歌について答えます。
「お上手よ」
「そうか、久し振りに歌ったが」
「いけてるわよ」
 実際にというのです。
「本当にね」
「ならこれからも」
「歌えばいいわ、歌えば歌う程ね」 
 そうすればというのです。
「上手になるしね」
「それはその通りだね」
「踊りだってそうだし」
「わしもか」
「どんどん歌って踊って」 
 そうしてというのです。
「楽しめばいいわ」
「わかったよ、これまで臆していたけれど」 
 自分が片足だからとです、キャプテンは答えました。
「踊っていくよ、そして他のことも」
「やっていくわね」
「何ならスポーツも」
 こちらもというのです。
「やっていこうか」
「いいですね、身体が悪くてもです」
 ジョージが笑顔で応えました。
「スポーツは出来ますよ」
「外の世界ではそうか」
「はい、中にはです」 
 ジョージはさらにお話しました。
「パラリンピックっていって」
「パラリンピック?」
「身体障害者の人のオリンピックもあります」
「そうなのか」
「今はそうなんですよ」
「オリンピックをしているのは聞いたが」
「キャプテンさん達が外の世界におられた頃もありましたね」
 こうキャプテンにお話しました。
「そうでしたね」
「そうだったが」
「はい、今はです」
「そうしたものも行われているんだな」
「キャプテンさんみたいに足が悪い人も」
 そうした人もというのです。
「ちゃんとです」
「スポーツをしているんだな」
「そうなんですよ」
「そうなんだな」
「ですから」 
 ジョージはキャプテンにさらに言いました。
「どんどんされて下さい」
「車椅子でも運動している人いまして」
「お身体の何処か悪くてもです」
「スポーツで汗を流す人もいます」
「それでパラリンピックでメダルを獲得する人もいます」
 恵梨香達四人も加わって五人でお話します。
「ですからキャプテンさんもです」
「お好きなスポーツされて下さい」
「それに片足でも身体の動きは問題ないですね」
「こけたりバランス崩したりされないですね」
「そのこともありますし」
「そうだな、ではこれからは好きなスポーツをしていこう」
 キャプテンは五人の言葉に頷いて言いました。
「踊りだけでなく」
「そうしましょう」
「何かと楽しいですよ」
「では私達と一緒に」
「歌と踊りだけでなく」
「スポーツも楽しみましょう」
「これからはそうしていくよ」
 キャプテンも笑顔で応えてでした。
 その上で今はつぎはぎ娘それにジョージ達五人と一緒に楽しく歌って踊りました、そうしてなのでした。 
 午前中を過ごしました、そうしているとです。
 お昼前にカリフ王が来ました、見ればドワーフ王も一緒でそれぞれのお国の外交使節団も連れています。カリフ王は都に到着すると早速でした。
 ドワーフ王と一緒にオズマの前に出て一礼してして言いました。
「この度は申し出を受けてくれて何と有り難いか」
「いえいえ、お安いご用よ」
 笑顔で、です。オズマはカリフ王に応えました。
「これ位はね」
「そう言ってくれるか」
「だって私はオズの国の国家元首よ」
「オズの国全体のだね」
「オズの国には沢山の国があるけれど」
 その中にです、カリフ王のノームの国もドワーフの国もその中にあります。
「その全ての国のね」
「国家元首だね」
「そうなっているから」
 だからだというのです。
「こうした時はね
「助けてくれるんだね」
「国の中の国同士の外交のことも」 
「国家元首としてだね」
「しっかりとね」
 ノーム王に笑顔でお話します。
「考えてそして」
「助けてくれるんだね」
「そうよ、それでこれからは」
「これからは?」
「ノームやドワーフの国でもね」
 彼等のお国でもというのです。
「お空を飛べる乗りものをね」
「用意しておくことだね」
「そうしたらね」
 それならというのです。
「こうした時もね」
「自分達で思うままに行けるね」
「そうなるから」
 だからだというのです。
「便利よ」
「確かに。今まで我が国は地下になって」
「わしの国もだよ」
 ドワーフ王も言ってきました。
「地上に出ることもあまりなくてな」
「そうだな」
「空のことは考えたこともなく」
「交流を持つ様になったのも比較的最近だ」
「そうだからな」
「これまで空を飛ぶ乗りものは持って来たことがなく」
「今回はオズマ姫のお世話になっているが」
 それでもというのです。
「人のお世話になるよりも」
「まずは自分達で何とかする」
「それがオズの国だし」
「わし等も用意するか」
「そうするか」 
 二人でお話します、こうして二国のこれからの方針が決まりました。そのうえであらためてオズマに言いました。
「そうしていくとする」
「空を飛ぶ飛行機なりを用意して」
「地中に空港を置いて」
「そこから飛んでいくことにするよ」
「それがいいわ、お空に行く時はね」
 オズマも笑顔で応えます。
「地面が左右に開いたりしてね」
「それでそこからか」
「わし等の飛行機が飛び立つ」
「それはいいな」
「何か恰好いいな」
「そうだしね」 
 それでというのです。
「お二人もお空の乗りものを用意してね」
「そうしていくよ」
「これからは」
 二人はオズマに笑顔で応えます、そうしてでした。
 あらためて二国の方針が決定しました、その後ででした。
 二人はそれぞれの国の使節団と一緒に飛行船に乗り込みます、トロット達同行する人達も一緒ですが。
 ここで、です。ビリーナは使節団の人達を見て言いました。
「あまり多くないわね」
「そうだろうか、かなり連れて来ているが」
「そのつもりだが」
 ノーム王とドワーフ王はビリーナにこう返しました。
「我等としては」
「少ないか」
「ええ、どうなのかしら」
「それぞれの国の規模があるでしょ」
 トロットが言って来ました。
「貴女が想定してるのは都のね」
「オズマ達の使節団ね」
「オズの国全体の国家元首になると」
「その使節団もなの」
「かなりの規模になるわよ」
「そうなのね」
「そう、それでね」 
 トロットはさらに言いました。
「ノームの国それにドワーフの国としてはね」
「この規模でなのね」
「最大限なのよ」
「そうなのね」
「国の大きさでね」
 それでというのです。
「そうしたことの規模もね」
「決まるのね」
「ええ、けれど数の問題じゃないでしょ」
 トロットはこうも言いました。
「大事なのはね」
「真心ね」
「そうよ」
 それだというのです。
「ノームの国もドワーフの国もね」
「しっかりとなのね」
「真心があるから」
「数の問題じゃないのね」
「そうよ、だからね」
「そうしたことは考えないで」
「そのうえでね」
 こうビリーナにお話するのでした。
「各国をね」
「歴訪するのね」
「そうしましょう」
「わかったわ、私が間違っていたわね」
 ビリーナは潔くこのことを認めて応えました。
「そうしたことはもう言わないし」
「わかってくれるわね」
「完全にね」
「そういえばね」
 ここでジョージが言ってきました。
「ビリーナの国は国民の数は多いね」
「ええ、私と夫の国はね」 
 ビリーナはジョージに答えました。
「何しろ鶏だから」
「どんどん生まれて」
「どんどん増えてね」
「数が多いね」
「人口いえ鶏口はね」
 それはといいますと。
「オズの国の中の国でもね」
「かなりだね」
「そうなっているわ」
「そのこともあるね」
 ジョージはそれならと頷きました。
「自分の国の数が多いと」
「それならなのね」
「尚更ね」
 まさにというのです。
「そう思うよ」
「そういうことね」
「そういえばビリーナの国国民の数多いね」
 カルロスもジョージとビリーナのお話から思いました。
「今も増えていっているし」
「最初はビリーナとご主人だけだったのが」
 ナターシャはそれがとお話しました。
「お子さんお孫さん曾孫さんとなって」
「オズの国の他の鶏も沢山来てね」
 神宝はこのこともあってと言います。
「どんどん増えたんだよね」
「皆結婚して子供産んでいって」
 恵梨香は卵を思い出しつつ言いました。
「あっという間に増えたのよね」
「ははは、わしは最初それが怖くて仕方なかった」
 カリフ王はここで笑って言ってきました。
「何しろ鳥は卵を産むからのう」
「特に鶏はね」
「うむ、毎日の様に卵を産むな」
「子供が生まれる卵を産んで」
「そして普通にな」
「食べられる卵も産むけれど」
 こちらもというのです。
「あんた達はね」
「卵自体が一番の脅威でな」
「触っただけで死んだわね」
「そんな身体だったからな」
 ノームのその身体のことを言うのでした。
「いやはやだった」
「卵が怖くて」
「お前さん達もな」
 鶏達もというのです。
「怖かった」
「そうだったわね」
「しかしそれがな」
 カリフ王は笑って言いました。
「今ではな」
「卵怖くなくなったわね」
「美味しく食べられる位な」
 そこまでというのです。
「変わったぞ」
「だから私の国を訪問したこともあったわね」
「お前さんとも親しくしてな」
「そうなってるわね」
「ははは、オムレツを肴に飲む」 
 ドワーフ王は笑って言ってきました。
「これがまたいい」
「そうだな、しかしお前さん本当に酒が好きだな」
「言っておるだろ、酒はドワーフの友だ」
 カリフ王にもです、ドワーフ王は笑顔で答えました。
「だからな」
「それでだな」
「卵料理を食べる時もな」
 この時もというのです。
「やはりな」
「酒か」
「それがあるとな」
「嬉しいな」
「まことにな」
 そうだというのです。
「それは変わらん」
「そういうことか」
「うむ、ではな」
「それではだな」
「これからな」
 まさにというのでした。
「そうしたものも楽しみつつな」
「飛び立つか」
「そうしようぞ」
「もうすぐ出発よ」 
 つぎはぎ娘が言ってきました。
「いいわね」
「うむ、いよいよだな」
「お空に飛び立つわよ」
「楽しみじゃ」
 カリフ王はつぎはぎ娘のお話に笑顔で応えました。
「ではな」
「これからね」
「飛び立つのを待とう」
「もう準備万端整ってるから」
 トロットもカリフ王達に言ってきました。
「すぐにね」
「出発出来るな」
「そうよ」
「では行ってらっしゃい」 
 オズマは残る人達と一緒に皆の見送りに来ています、その先頭から出発する人達に笑顔で告げました。
「これからね」
「ええ、行って来るわ」
 トロットが応えました。
「そうしてね」
「ノーム王とカリフ王の歴訪をね」
「空のね」
「一緒に行って来てね」
「そうさせてもらうわ」
「さて、どんな歴訪になるか」
 カリフ王も言いました。
「これからな」
「わからないですね」
「いや、全く」
「我々はノームではじめて空に出ます」
「空に入るのですから」
 ノーム王と一緒に歴訪するノームの人達も言ってきました。
「果たしてどうなるか」
「わからないですね」
「これからは」
「全く以て」
「わしもだ」
 ドワーフ王も同じでした。
「やはり地下にいるとな」
「そうですよね」
「空は無縁です」
「地上に出ることすら少ないですから」
「そうしたものですから」
「それがだ」
 まさにと言うドワーフ王でした。
「これからはじまる、果たしてどうなるか」
「楽しみですよ」
「うきうきしています」
「思わず踊りたい位です」
「これからのことを考えると」
「ははは、踊るのは後だぞ」
 ドワーフ王は一緒に行くドワーフの人達にお口を大きく開けて応えました。
「今は出発の時だからな」
「おっと、そうですね」
「では今は踊るのを控えます」
「静かにしています」
「そうしています」
「その様にな、では今は」
 ドワーフ王はノーム王にあらためて声をかけました。
「一時の別れをしよう」
「そうだな、また会う時までな」
「オズマ姫達とは暫しの別れだ」
「戻る時まで」
「また会いましょう」
 オズマも笑顔で応えました。
「それじゃあね」
「行って来る」
「そうして来るぞ」
 二人でオズマに応えてでした。
 そのうえで出発します、飛行船は歴訪に参加する人達を乗せてドアを閉めてでした。
 お空に飛び立ちました、そのうえでドロシー達の手を振っての一時の別れの自分達も窓から手を振って応えてです。
 お互い姿が見えなくなるまで振り合いました、その後で。
 ノーム王は下を見てこんなことを言いました。今飛行船の中は三百六十度モニターになっていて宙に浮かんでいる様にお空が見えます。
「ううむ、嘘の様だ」
「全くだな」 
 ドワーフ王も完全に同意でした。
「わし等が空にいるなぞな」
「いや、これまでな」
「全くだな」
「想像も出来なかった」
「そうだ、こんなものはな」
 全くと言うのでした。
「これまでな」
「それがだ」
「こうして宙にいるなぞ」
「これだけでも信じられん」
「しかもこの景色はどうだ」
「そうだ、それだ」
 まさにとです、ノーム王はドワーフ王に言いました。他のノームやドワーフの人達も驚いています。
「下に広大に拡がる地上にだ」
「前後左右には水平線」
「上には何処までも続く空」
「こんな景色は見たことがない」
「これが空か」
「そうなのだな」
「その通りだよ」
 キャプテンが驚く二人に言ってきました。
「これこそがな」
「空だな」
「そうなのだな」
「そうだよ、空はこんなものだよ」
 まさにというのです。
「空を飛ぶということだよ」
「いや、魔法の様だ」
 腕を組んで、です、ノーム王は言いました。
「これは」
「確かに魔法の技術も使われているよ、しかし」
「飛行船はだな」
「科学だよ」
 こちらの技術だというのです。
「わし等が今乗っている飛行船はね」
「そちらの技術か」
「それで乗っていてね」
 そうしてというのです。
「景色もだよ」
「楽しめるんだな」
「そうだよ」
 まさにというのです。
「科学でね」
「成程な」
「これからずっとだよ」
「こうして空を見られるか」
「歴訪の間ね」
「それはいいな」
「オズの国の空を」
 そちらをというのです。
「堪能出来るよ」
「それは何よりだ」
「おお、鳥だ」
 ドワーフ王は飛行船の横を飛ぶ鴈の群れを指差しました、見れば先頭の鴈を軸にデルタ型の陣形を組んで飛んでいます。
「空を飛ぶ鳥だ」
「何と見事か」 
 ノーム王はカリフ王に言われてそちらも見て驚きました。
「あの様にして飛んでいるのか」
「図鑑に書かれていた通りだな」
「うむ、そうだな」
「外見もそうでな」
「見事な陣形を組んで飛んでいるな」
「実に奇麗だ」
「全くだな」
 こう言うのでした。
「見応えがある」
「はじめて見られたしな」
「実にいいな」
「空に出てよかった」
「まことにそうだな」 
 二人でお話します、見ればです。
 二人以外のノームやドワーフの人達も大はしゃぎです、お空に鴈の群れを見てです。その彼等を見てです。
 つぎはぎ娘は皆にです、こんなことを言いました。
「今こそよ」
「どうするの?」
「踊るのよ」
 こうビリーナに答えました。
「歌ってね」
「嬉しいからなのね」
「そうよ、嬉しい時はね」
 まさにというのです。
「歌ってね」
「踊るものね」
「今はそうしてもいい時でしょ」
「ええ、お別れの時も終わってね」 
 一時のです、ビリーナも答えます。
「そうよ」
「そうなったからね」
「今はなのね」
「嬉しいなら」
 それならというのです。
「是非ね」
「歌って踊って」
「喜びを表現してね」
 そうしてというのです。
「さらにね」
「喜んだらいいのね」
「そうよ、何ならね」
「あんたがなのね」
「早速ね」
 率先してというのです。
「喜ぶわよ」
「そうするのね」
「ええ、そうしていいわよね」
「そう言うなら」
 カリフ王が言ってきました。
「わし等もだよ」
「そうよね、今はね」
「特に儀礼もないし」
「お仕事のね」
「それならだよ」
 是非にというのです。
「楽しく踊ろう」
「歌ってね」
「そのうえでな」
「楽しむわよ」
「皆でそうしようぞ」
 早速でした。
 つぎはぎ娘とカリフ王とドワーフ王はです。
 ノームそしてドワーフの皆と一緒に歌って踊ります、キャプテンはそれを見てそのうえでトロットに言いました。
「わしもだよ」
「踊るのね」
「歌ってな」
「そうしたいのね」
「いや、昨日つぎはぎ娘にジョージ達と歌って踊って」
 この時のことを言いました。
「それでわかったんだ」
「キャプテンさんもなのね」
「足のことは気にしないで」
 そうしてというのです。
「存分に楽しめばいいと」
「わかってくれたのね」
「だからこそ」
 是非にというのです。
「今からだよ」
「皆の中に入るのね」
「そうしてくるよ」
「それはいいことよ」
 是非にとです、トロットも笑顔で頷いて答えました。
 そのお返事も受けてでした、キャプテンも皆の中に入って歌って踊ります、ジョージ達五人はこの時はそこに入りませんでしたが。
 歌と踊りを見てです、空中にいる景色も見て言いました。
「最初からいいね」
「素敵なはじまりだね」
「いきなりね」
「そうしたものになって」
「幸先がいいわ」
「はじまりがよくて最後もいいなら」
 トロットは五人に応えました。
「最高ね」
「そうですね」
「途中何があっても」
「最初と最後がいいなら」
「それならです」
「最高の思い出になりますね」
「そうでしょ、今回の歴訪もね」
 まさにと言うのです。
「まずはね」
「最初がいいですね」
「それが」
「それならですね」
「まず幸先いいスタートが切れた」
「嬉しいことですね」
「本当にね、では最後も大事だけれど」
 そちらを最高のものにするだけでなくというのです。
「途中もね」
「よくしていきますね」
「そうしたものにしますね」
「皆で頑張って」
「そのうえで」
「そして最後まで、ですね」
「皆でそうしていきましょう」
 トロットは五人ににこりと笑って言いました。
「今回もね」
「そうする為にもね」
 まさにとです、ビリーナが言ってきました。
「私はどんどんよ」
「頑張ってくれるのね」
「知恵を出してね」
 そのうえでというのです。
「やらせてもらうわ」
「お願いね、ビリーナって活発なだけじゃなくて」
「知恵もあるでしょ」
「ええ、機転が利いてね」 
 そうしてというのです。
「ここぞという時は」
「そうでししょ」
「皆を助けてくれるわ」
「それが私なのよ」 
 トロットに胸を張って答えました。
「オズの国きっての鶏よ」
「いざという時皆を助けてくれる」
「そうしたね」 
 まさにというのです。
「鶏なのよ」
「その貴女がいてくれたら」
「何があってもよ」
「助けてくれるわね」
「そうさせてもらうわ」
「そうよね、では頼らせてもらうわね」
「そうしていいわよ、それでね」
 ここでさらに言ったビリーナでした。
「今日の夕方はね」
「晩ご飯ね」
「何を食べるの?私は玉蜀黍がいいわ」
「貴女はそちらね」
「ええ、塩茹でにした」
 そうしたというのです。
「あっさりしたのをね」
「いただくのね」
「そうしたいわ」
「わかったわ、では貴女にはそちらを出すわね」
 トロットは笑顔で応えました。
「そうさせてもらうわね」
「お願いね」
「それで皆はね」
 今度は他の人達のメニューについて考えました。
「何がいいかしら」
「それは私は答えることじゃないわね」
 ビリーナはこのことはと言いました。
「私は食べないからね」
「それでよね」
「このことについてはね」
 皆の晩ご飯のことはというのです。
「何も言わないわ」
「ええ、まあ夕方になって」
 その時になってとです、トロットは思いました。
「皆がそれぞれ食べたいものを言えばいいわね」
「あの、ノーム王とドワーフの人達と一緒におられる」
「その人達の分もですね」
「出せますよね」
「テーブル掛けから」
「ちゃんと出来ますよね」
「ええ、テーブル掛けからね」
 トロットはジョージ達五人に笑顔で答えました。
「どれだけでも出せるわ」
「そうなんですね」
「それならいいです」
「皆が食べられるならいいですよね」
「誰かが食べられないって可哀想ですよ」
「皆がそう出来ないのは」
「そうでしょ、だからね」 
 それでというのです。
「安心してね」
「わかりました」
「では皆で、ですね」
「三食楽しく食べますね」
「それもたっぷりと」
「そうしますね」
「そうしていくわ」
 トロットは笑顔で言いました、ですが。
 歌と踊りが終わった後で、でした。お話を聞いていたノーム王はドワーフ王と一緒にそのトロットに言いました。
「いや、わし等もテーブル掛けは持っているぞ」
「それで持って来たぞ」
「各国の主はオズマ姫から貰っておるからな」
「プレゼントしてもらってな」
 こうトロットに言うのでした。
「だからな」
「わし等はわし等で食べられる」
「心配は無用だぞ」
「わし等の分を出さなくてもな」
「そうだったのね、けれど食べる時はね」
 トロットは二人の王様のお話を受けてこう返しました。
「皆で集まってね」
「食べることだな」
「仲良く」
「そうしましょう」
 ノーム王とドワーフ王に提案しました。
「食べる時はね」
「大勢で食べた方が楽しい」
「だからだな」
「そうよ、休む時はそれぞれのお部屋で休んで」
 ノームの人達、ドワーフの人達にです。
 トロットと恵梨香とナターシャにビリーナ、キャプテンとジョージに神宝にカルロスのお部屋はもう決まっています。つぎはぎ娘は寝ないので今皆がいる大広間が割り当てられています。
「食べる時はね」
「ここでだな」
「食べるのだな」
「遊ぶこともね」
 それもというのです。
「そうしましょう、皆でね」
「わかった、ではな」
「楽しく一緒に食べるとしよう」
 二人の王様も笑顔で応えました。
「ではそのうえで」
「楽しく旅をしようぞ」
「そうしましょう」
 トロットも笑顔で応えました、そうしてです。
 皆で食べるお話もして空の旅を楽しむのでした、地下からお空への歴訪は今はじまったばかりでした。








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