『新オズのリキティンク』




                第十幕  また試合を観て

 黒と黄色のチームが球場で野球をしています、リンキティンク王は一塁側の観客席に皆と一緒にいますが。
 球場の観客席全体を観てです、こう言いました。
「三塁側は相手チームの場所であるからな」
「そちらのファンの人ばかりですね」
「うむ、しかしな」 
 ボボ王子に応えて言います。
「この一塁側だけでなくな」
「外野席もバックグラウンド側もですね」
「全て満員でな」
 それでというのです。
「黒と黄色のチームのファンばかりじゃ」
「そうですよね」
「これを観るとな」
 実にという口調で言いました。
「ファンが多いチームじゃな」
「街全体がそうだと言っていいですし」
「それにじゃ」
 王様はさらに言いました。
「応援自体も凄いのう」
「熱狂的ですね」
「まさに全力でじゃ」
「応援していますね」
「もう黒と黄色でじゃ」
 チームカラーでというのです。
「一杯じゃ」
「そうした応援ですね」
「うむ、凄くてな」
 それでというのです。
「わしもついついじゃ」
「その中に入ってしまいますか」
「ここまで凄いとな」
 まさにというのです。
「そうなってしまうわ」
「確かにそうですね」
「あの、このチーム外の世界にもあってです」
 ナターシャが言ってきました。
「球場もこの街じゃないですが」
「そのままありまして」
 恵梨香も言います。
「応援もこんな風なんですよ」
「球場が揺れてますけれど」 
 ジョージはこのことも言いました。
「いつもこうなるんです」
「兎に角人気があるチームで」
 カルロスも言います。
「外の世界でもこうです」
「僕達も皆好きです」
 神宝は自分達のことをお話しました。
「観ていると自然と好きになるチームですね」
「そうじゃな、華があってじゃ」
 リンキティンク王は五人に応えて言いました。
「何があっても絵になるのう」
「そうですよね」
「そこもいいんですよね」
「兎に角華があって」
「絵になって」
「ユニフォームも旗もいいですよね」
「うん、こんな魅力的なチームはないよ」
 魔法使いが観てもでした。
「素晴らしい華があるよ」
「魔法使いさんもそう思われますね」
「他にも野球チームがあってです」
「他のジャンルのスポーツもありますが」
「このチームは別格ですね」
「華があって絵になりますね」
「うん、今負けているけれど」
 スコアボードを観れば一点差でそうなっています。
「それでもね」
「不思議とです」
「華を感じてです」
「絵になります」
「それで応援したくなるんですよね」
「それも心から」
「そうだね」
 魔法使いはナターシャ達五人に笑顔で応えました。
「そうしたチームだね」
「あの縦縞のユニフォームいいね」 
 カエルマンはチームの人達のそれを観ています。
「白地に黒のね」
「いいセンスですね」
 クッキーが観てもでした。
「シンプルでいてです」
「恰好いいね」
「そうですよね」
「まさに虎って感じがしますね」
「ホワイトタイガーだね」
「虎とーーいえばーーです」
 チクタクも言います。
「腹ペコタイガー氏ーーですーーが」
「あっ、そうね」
「そうだったよ」
「虎といえば彼だね」
「オズの国ではね」
「虎の第一人者よ」
「そうーーですーーね」
 まさにというのです。
「そしてーー彼にもーーです」
「このチームの試合観てもらいたいわね」
「じゃあ動画送ろう」
「今の試合のそれをね」
「それで感想貰おう」
「同じ虎だから」
「いいね、じゃあ早速送ろう」
 カエルマンは試合を自分のスマートフォンで撮ってでした。
 早速腹ペコタイガーに送りました、するとでした。
「凄く喜んでるよ」
「やっぱりそうなりますね」
「彼は前からこのチームを知っているとのことでね」 
 それでとです、クッキーにお話します。
「大ファンらしいけれど」
「試合を観るとですね」
「物凄く喜んでくれているよ」
「それは何よりですね」
「うん、しかもね」
 カエルマンはここで、でした。
 四番サードの十番の人がです。
 見事逆転スリーランを打った瞬間を撮って腹ペコタイガーに送ることが出来て自分も笑顔で言いました。
「ここで打ってくれたからね」
「本当にいいですね」
「今のは絵になったよ」
「全くですね」
「いや、あの十番の人特にいいわね」 
 アン王女はガッツポーズでベースを回るその人を観て言いました。
「一点に抑えている十一番の人もいいけれど」
「あの人有名なんです」
「あのチームの人達の中でも」
「外の世界だと永久欠番なんですよ」
「もう僕達も知ってる位のです」
「レジェンド選手なんですよ」
「そうなのね、動きの一つ一つにね」 
 まさにと言う王女でした。
「華があるわ」
「そうですよね」
「僕達もお話に聞いただけでしたが」
「凄い選手だったって」
「実際にこの目で観るとです」
「素晴らしいです」
「そうね、それでこのチームの人達もよね」
 王女はこうも言いました。
「お花見に来てくれるのよね」
「チームの人達が来たいならな」
 リンキティンク王が答えました。
「秀吉さんが言っておったであろう」
「来る者は拒まずね」
「そうであるからな」
 だからだというのです。
「チームの人達もじゃ」
「来てくれる人はなのね」
「そうしてくれるぞ」
「それは何よりね」
「そうじゃ、しかしさっきの十番の人も凄いが」
 リンキティンク王は次のバッターの人を観て言いました。
「あの六番もいいのう」
「ああ、あの人ですか」
「あの人もレジェンドですよ」
「第二次世界大戦前の人ですが」
「あの人も有名です」
「凄かったと言われています」
「そうなのじゃな、これはじゃ」
 リンキティンク王はこうも言いました。
「最強の四番五番じゃな」
「そうですね、これはです」
 王子は驚嘆した声で応えました。
「ベーブ=ルースさんとルー=ゲーリックさんに匹敵する」
「最強の四番五番じゃな」
「お二人は三番四番でしたが」
「この二人はな」
「最強の四番五番です」
「これは強いわ」
 リンキティンク王は心から言いました。
「それで当然じゃ」
「そうですね、ただ相手チームもです」
 王子はこちらのチームのお話もしました。
「今日は登板していませんが」
「ピッチャーか」
「あの十四番の」 
 この背番号でというのです。
「足を思い切り上げて投げる」
「あの右ピッチャーか」
「あの人凄いですね」
「そうじゃな、一六〇キロは普通に出ておるな」
「それだけの速球を投げて」
 そうしてというのです。
「物凄いカーブ投げてますね」
「シュートもあるがな」
「あのカーブときたら」
 それこそというのです。
「物凄い落差ですね」
「滝から落ちる様な」
「三段に曲がる様にさえです」
 そこまでというのです。
「凄い落差ですね」
「あれはドロップじゃな」
 リンキティンク王はこの球種だと言いました。
「昔で言う」
「今は落ちるカーブとか言いますね」
「そうであるな」
「はい、その落ちるカーブがです」
「凄いな」
「そうですよね」
「あの人もレジェンドですよ」
 ナターシャが言ってきました。
「二次大戦前の」
「日本のか」
「はい、日本だとです」
 ナターシャ達が今暮らしているお国ではというのです。
「まさにです」
「レジェンドのか」
「物凄いピッチャーなんですよ」
「そうなのじゃな」
「まさかあの人もオズの国に来ておられるなんて」
 ナターシャは驚きを隠せないお顔で言いました。
「凄いですね」
「うむ、わしも今思い出したが」
 リンキティンク王はナターシャに応えつつお話しました。
「あのピッチャーは凄いぞ」
「王様から見てもですね」
「並のピッチャーではない」
「速球とカーブが」
「何しろ名立たるバッター達をな」  
 それこそというのです。
「次から次にじゃ」
「三振に取るんですね」
「そうじゃ、黒と黄色のチームの十一番の人も凄いが」
「その人もですね」
「凄いのう、それでじゃが」
 ここで王様はこうも言いました。
「何か日本の系列のチームはポジションで背番号が結構決まっておるな」
「あっ、そうですね」
 王子はそう言われて頷きました。
「どうも」
「そうであるな」
「十一、十四、十七、十八、二十一、二十八、三十四等がです」
「ピッチャーの背番号じゃな」
「十六、十九、二十三、四十七もでしょうか」
 こうした背番号もというのです。
「おおよそ」
「そうであるな」
「あとキャッチャーの人は二十七ね」
 王女も言ってきました。
「その背番号が多いわね」
「そうであるな」
「それで一桁だとね」
「おおむね野手の人じゃな」
「背番号一桁のピッチャーの人ってね」
「日本の系列の野球チームでは少ないのう」
「何故かね」
 そうなっているというのです。
「それもかなり」
「不思議とな」
「それはどうもです」
 ナターシャがまた言ってきました。
「日本でそれぞれ有名な人がです」
「その背番号でか」
「十四番がピッチャーの人の背番号になったのは」
 それはどうしてかといいますと。
「やっぱりです」
「今さっき話したか」
「その人の影響です」
「それでそうなったのじゃな」
「その人所属していたチームでは永久欠番ですし」 
 そうなっていてというのです。
「黒と黄色のチームで今投げている十一番の人も」
「同じか」
「元々他のチームで投げていた人の背番号だったらしくて」
 それでというのです。
「あの人もです」
「十一番でか」
「ピッチャーの背番号なんです」
「成程のう」
「それであの人外の世界ではです」
 そちらのチームではというのです。
「永久欠番です」
「十番の人と同じじゃな」
「そうです」
 その通りだというのです。
「それでキャッチャーの人の二十七番はです」
「それもキャッチャーの人でか」
「多分あの人で」
 相手チームで今マスクを被っている人を観てお話しました。
「そうなってます」
「あの人からか」
「日本では」
「そうなのじゃな」
「他の国は違いますね」
「うむ、別に十四番でもな」
 ナターシャに答えました。
「野手だったりするぞ」
「オズの国でもですね」
「そうなっておる」
「それがです」
「日本ではじゃな」
「おおよそですが」
 それでもというのです。
「ポジションによって」
「背番号が決まっておるのじゃな」
「そうなんです」
「成程のう」
「それでオズの国でもだね」
 王子も言ってきました。
「日本の系列のチームはだね」
「そうなっています」
「そのこともわかったよ」
「面白い決まりですね」
「そうだね、しかしね」
 王子は試合を観つつ言いました。
「それをはじめた様な人達がね」
「今オズの国におられて」
「野球をしていることはね」
「凄いことですね」
「うん、あの三番の人なんてね」 
 相手チームのセカンドの人も観て言うのでした。
「洋食が好きでね」
「そうなんですか」
「特にカツカレーが好きで」
 このお料理がというのです。
「よく食べているそうだよ」
「そうですか」
「これがね」
「ふむ、何かとあるのう」 
 リンキティンク王は周りのお話を聞いて思いました。
「日本の野球も」
「そうですね」
 王子も頷きます。
「観ていますと」
「黒と黄色のチームにしてもな
「ただ魅力的なだけじゃないですね」
「うむ、それでじゃ」
 リンキティンク王はさらに言いました。
「もうすぐ七回じゃ」
「ラッキーセブンですね」
「ここで他の国の系列のチームならな」
「私を野球に連れてってを歌いますね」
「そうするな、しかしな」
「このチームといえば」
「風船じゃ」 
 王子にとても楽しそうに言いました。
「それを膨らませてじゃ」
「空高く上げますね」
「それをわし等もしようぞ」
「もうしないではいられないですね」
「この球場におったらな」
 それこそというのです。
「まさにじゃ」
「あれをせずしてですね」
「おる意味がないわ」
「そうですね、それじゃあ」
「七回は風船じゃ」
 満面の笑みで言ってです。 
 皆は七回になると風船を膨らませて上げました、そうして試合を最後まで楽しみました。試合は黒と黄色のチームが勝って。
 ヒーローインタヴューは十番と十一番の人でした、リンキティンク王はお立ち台の二人を見て笑顔になりました。
「まことに華があってじゃ」
「絵になってね」
「最高じゃ、しかしな」
 魔法使いに応えて言います。
「例え負けてもな」
「このチームはそうだね」
「うむ、華があって絵になる」
「そんなチーム他にないね」
「どんなスポーツでもな」
「そう思うとね」
 魔法使いは心から言いました。
「このチームはオズの国に相応しいね」
「そうしたチームじゃな」
「そう思うよ」
「そうであるな、存在自体がじゃ」
 まさにというのです。
「夢の様なな」
「そうしたチームだね」
「外の世界でもこうであるというからな」
 だからだというのです。
「尚更じゃ」
「夢みたいなチームだね」
「お伽の国に相応しいな」
「いや、こんなチームまでオズの国にあるなんて」
 王女も笑顔で言います。
「素敵過ぎるわ」
「全くじゃな」
「応援だってね」 
 ファンの人達のそれもというのです。
「熱狂的でね」
「物凄いのう」
「球場が縦に横に揺れる位の」
 巨大なその場所がというのです。
「そこまでのよ」
「凄い応援でな」
「歓声もね」 
 こちらもというのです。
「本当にね」
「桁外れじゃ」
「ここまでの応援なんて」 
 それこそというのです。
「サッカーやフットボールでもね」
「優勝を決めるな」
「そうした時でもないとね」
「ないのう」
「そう思うわ」
「全くであるな」
「私もそう思うわ」
 こうリンキティンク王に答えました。
「本当にね」
「うむ、いいチームじゃ」
「何から何までね」
 こうしたお話をしてでした。
 皆は球場を後にしました、そして夜は洋食屋さんに入ってそれぞれお料理を注文しましたがここで、でした。
 リンキティンク王は魔法使いが注文したオムライスを見て言いました。
「わしはカツカレーを注文したが」
「球場でのお話からだね」
「うむ、それも美味そうであるからな」
 それでというのです。
「後で食うぞ」
「オムライスの後でだね」
「そうするぞ、しかしな」
 リンキティンク王はこうも言いました。
「どっちも残さずじゃ」
「食べるね」
「食べるものは残さない」
「絶対にね」
「オズの国の決まりじゃ」
 だからだというのです。
「ちゃんと食べるぞ」
「どちらもだね」
「うむ、ではオムライスを食うぞ」
 こう言ってそのオムライスを食べますが。
 食べつつです、リンキティンク王はしみじみとして言いました。
「これも日本から入っておるからのう」
「そうなのよね」
 アン王女は海老フライ定食を食べつつ頷きました。
「これが」
「ここは洋食のお店であるがな」
「洋食自体がね」
「日本のお料理でな」
「日本のお料理のジャンルの一つでね」
 それでというのです。
「日本からよ」
「入っておるな」
「そうなのよね」
「それでじゃ」
 リンキティンク王はさらに言いました。
「このオムライスもじゃ」
「そのうちの一つなのよね」
「そしてこれがまたじゃ」
「美味しいのよね」
「うむ」
 そうだというのです。
「これが実にのう」
「王様はお国でもよく食べてるんだ」
 ボボ王子はハヤシライスを食べつつお話します。
「オムライスをね」
「そうなのね」
「手軽に食べられてね」
「しかも美味しいから」
「だからね」
 それでというのです。
「よく食べてるんだ」
「好物なのね」
「上に大が付く位のね」
 そこまでのというのです。
「そうなんだ」
「だから今もなのね」
「注文したんだ」
「成程ね」
「それとじゃ」
 リンキティンク王はまた言いました。
「ナポリタンも好きじゃ」
「こちらもだね」
 今はそのナポリタンを食べている魔法使いが言ってきました。カツカレーはもうすっかり食べてしまっています。
「そうなんだね」
「そちらも美味いのう」
「そうだよね」
「日本から伝わったな」
「素敵なスパゲティだよ」
「若しじゃ」
 リンキティンク王はオムライスをとても美味そうに食べつつです、魔法使いが食べているナポリタンを見ながら言いました。
「日本から人が来ないとな」
「こうしたものも食べられなかったね」
「このオズの国でもな」
「そうだね」 
 まさにというのです。
「私もそう思うよ」
「私も洋食好きだがね」
 カエルマンは豚カツ定食を食べながらお話します。
「日本のものなんだよね」
「そうなのじゃな」
「日系の人達は違うと思っていても」
「これがな」 
 リンキティンク王はカエルマンにもお話しました。
「恵梨香嬢にしてもじゃしな」
「うん、フランスとかイタリアのね」
「そっちの料理と思ってな」
「日本のお料理とはね」
「最初は思わないな」
「そうなんだよね」
「しかしじゃ」
 リンキティンク王はさらに言いました。
「確かに原型は欧州にあったとしても」
「かなり日本のアレンジが入っているよ」
「そうじゃのう」
「この豚カツにしてもね」
「同じであるな」
「そうなんですよね」
 クッキーはハンバーグ定食を食べながら言いました。
「ハンバーグなんてのも」
「かなりな」
「日本風にアレンジされていて」
「そしてな」
「日本のお料理になっていますね」
「そうじゃ」
 まさにというのです。
「完全にな」
「そうなんですよね」
 ナターシャはソーセージカレーを食べつつ言いました。
「洋食って日本のお料理なんですよ」
「それ僕達も思うんですが」
 ジョージはチキンカレーを食べながら言います。
「日本の子達に言うと驚くんですよ」」
「洋食は日本のお料理じゃないって」
 神宝はポークカレーを楽しみながらお話しました。
「そう言って」
「けれどこんなお料理他の国にないですから」
 カルロスはビーフカレーを食べて言いました。
「日本以外に」
「それで私も最初驚いて」
 野菜カレーを食べている恵梨香も言います。
「やっと受け入れました」
「実際オムライスなんて他の国にないぞ」
 リンキティンク王は自分が食べているものから五人に言いました。
「実際にわしもじゃ」
「オズの国に日本が入るまで」
「アメリカに日系人の人が増えて」
「それがオズの国に反映されるまで」
「それまでですね」
「オムライスを召し上がられたことないんですね」
「そうだった、兎角じゃ」
 さらに言うリンキティンク王でした。
「洋食はな」
「そうですよね」
「日本のもので」
「日本が入らないとですよね」
「食べられないですよね」
「このオズの国でも」
「中華料理もそうでな」
 こちらのお料理もというのです。
「兎角な、その国がアメリカに入らんとな」
「どうしてもですね」
「オズの国でも食べられないですね」
「お伽の国でも」
「そうなりますね」
「アメリカが反映される国ですから」
「そうじゃ、しかしな」
 それでもと言うのでした。
「こうしてじゃ」
「食べられますね」
「その国がアメリカに入ると」
「それならですね」
「その国の文化も出て」
「それで、ですね」
「食べることも出来る、そしてな」
 それでとです、さらに言うリンキティンク王でした。
「こうした街も人な」
「出来てですね」
「来てくれますね」
「そうなって」
「それで、ですね」
「一緒に楽しめますね」
「そういうことじゃよ」
 まさにというのです。
「わし等もな」
「いや、若しアメリカが反映されなくて」
 王子はしみじみとして言いました。
「アメリカが色々なものが入る国でないと」
「わし等もな」
「楽しめないですね」
「そうじゃな」
「そのことは言えますね」
「世界的にこうならな」
「外の世界でもですね」
 王子はハヤシライスを食べつつです。
 コロッケを食べてです、こうも言いました。
「そうなればですね」
「いいのう」
「そうですよね」
「人は色々なものが楽しめてこそな」
「嬉しいですね」
「楽しみが多いならな」
 それだけというのです。
「多いだけじゃ」
「いいですね」
「そうじゃ」
 まさにというのです。
「そうしたものであるからな」
「オズの国もこれからもですね」
「そうであって欲しいしな」
「アメリカもですね」
「そして他の国もな」 
 外の世界のというのです。
「そうであってな」
「欲しいですね」
「うむ」
 実にというのです。
「わしもな」
「ではそうであることを願いながら」
「オムライスの後はな」
「カツカレーをですね」
「食べるぞ」
「そうですね、しかし面白いですよね」
 王子はこうも言いました。
「カツレツとカレーを合わせて」
「それでカツカレーじゃな」
「そう組み合わせるなんて」
「どっちも一緒に食べようと思ってな」
「組み合わせるなんて」
「それで美味いからな」
 食べてみてそうであってというのです。
「凄くな」
「いいですね」
「だからカツカレーも食うぞ」
「是非ですね」
「そうするぞ」
 こう言ってでした。
 リンキティンク王は実際にカツカレーも食べて言いました。
「ほっほっほ、やはりじゃ」
「美味しいですね」
「カツカレーものう」
 こう言うのでした。
「オムライスもよいが」
「こちらもですね」
「幾らでも食べられるわ」
「それは何よりです、それで僕は」
「コロッケを食っておるのう」
「このコロッケもです」
 こちらもというのです。
「いいですよ」
「中のジャガイモがな」
「フランス料理のコロッケはクリームで」
「上品でな」
「あちらはあちらで美味しいですが」
「日本の洋食のコロッケはジャガイモじゃ」
 リンキティンク王はそのコロッケのお話をしました。
「潰してな」
「マッシュポテトを揚げた感じですね」
「これがな」 
 実にというのです。
「またじゃ」
「美味しいんですよね」
「親しみやすい味じゃ」
「そうです、その親しみやすさがです」
 実にというのです。
「いいです」
「全くじゃな、わしも今は食わぬが」
「またですね」
「そのコロッケを食うぞ」
「そうされますね」
「うむ」
 実にというのです。
「そうするぞ」
「それでは」
「今はカツカレーを食うぞ」
 こう言ってでした。
 リンキティンク王はカツカレーも楽しんでです。他の皆もそれぞれのお食事を楽しみました。その後で。
 漫才を観ましたがリンキティンク王はここでも笑って言いました。
「ううむ、このお笑いをじゃ」
「王様もですね」
「さらに学んでな」 
 そうしてとです、ナターシャに応えて言います。
「わしもじゃ」
「やられますか」
「そうしてじゃ」
「笑われますね」
「わしが笑うだけでなくな」
 さらにというのです。
「観る人達もじゃ」
「笑ってもらいますか」
「そうしたい」
 こう言うのでした。
「そう考えておる」
「そうですか」
「うむ、そしてな」
 そうしてというのです。
「お笑いの王様となるのじゃ」
「オズの国で」
「わしはいつも上機嫌でな」
「笑っておられますね」
「しかしな」
 それだけでなくというのです。
「これからはな」
「ご自身が笑われるだけでなく」
「人も笑わせる」
「そうなる様にされますか」
「芸でな」
「そうなんですね」
「オズの国はいつも笑いがある国であるが」
 オズの国自体のお話もします。
「だがさらにじゃ」
「笑いがあれば」
「さらによくなるな」
「そうですね、確かに」
「それなら人を笑わせる」
「そうした技もな」 
 これもというのです。
「身に着けたい」
「そうなんですね」
「だからな」
 それでというのです。
「わしはな」
「漫才をですか」
「あと落語も身に着けたい」
 こちらもというのだ。
「漫才は二人か三人でするのう」
「そうしたことが多いですね」
「王子といつも一緒であってな」 
 王子にお顔を向けつつナターシャにお話します。
「漫才をするならな」
「何時でもやらせてもらいますよ」
 王子は笑顔で答えました。
「僕は」
「うむ、しかしな」
「僕が出来ない時もですか」
「あってな」
 それでというのです。
「そうした時に人を笑わせようと思えば」
「漫才ですか」
「あれは一人でも出来るな」
「はい、一人でお話してです」
 ナターシャもそれではと答えます。
「笑ってもらいます」
「そうしたものであるからな」
「漫才もですか」
「身に着けたい、お笑いはじゃ」
 何と言ってもというのです。
「最高のものであるからな」
「だからご自身が笑われて」
「他の人にもな」
 是非にというのです。
「これからはじゃ」
「笑ってもらうんですね」
「漫才やお笑いでな」
「そうしたもので」
「笑ってもらうには色々な方法があるが」 
 それでもというのです。
「日本のじゃ」
「お笑いもですね」
「非常によい方法であるからな」
「身に着けられるんですね」
「そういうことじゃ、次は落語じゃが」 
 漫才の次はです。
「米朝さんか」
「そうですね、次は」
「この人の落語をな」
「今から聞かれますね」
「そうしようぞ」 
 こうナターシャにお話してでした。
 リンキティンク王は落語も観ました、そうしてお腹を抱えて笑い転げながら学んでそのうえでなのでした。
 お笑いの場を出てふとおやつを食べようとすると。
 藤田さんがいてです、ところてんを食べていて言っていました。
「やっぱりところてんは黒蜜やな」
「そうですよね」
「お酢のはな」
 お店の人にお話していました。
「わし等にはや」
「合いませんわ」
「何ですっぱいねん」
 ところてんがというのです。
「その時点でや」
「おかしいですわ」
「少なくともこの街ではな」
「ところてんといえば」
「黒蜜や」
 これをかけて食べるというのです。
「他にはや」
「ないですね」
「ほんまな」
「それな、わしも思うわ」  
 眼鏡をかけた角刈りの痩せた漫才師の人もいて言います。
「ところてんといったらや」
「黒蜜やな」
「他はないわ」
 こう藤田さんに言うのでした。
「どうしてもな」
「この街におったら」
「どうしてもな」
「そう思うわ」
「ううむ、確かにじゃ」
 リンキティンク王は藤田さん達のお言葉に頷いて言いました。
「この街でところてんはな」
「黒蜜ね」
「それが一番じゃ」
「美味しいのよね」
 王女も言います。
「これがまた」
「そして街の雰囲気にもじゃ」
「会っているわね」
「だからな」
「ここはよね」
「うむ、ところてんを頼むが」 
 そうするがというのです、
「無論な」
「黒蜜ね」
「それにしようぞ」
 こう言うのでした。
「まさにな」
「それがええわ、やっぱりや」
「この街で黒蜜はそれや」
 藤田さんと漫才師の人も言ってきました。
「それに限るわ」
「街の雰囲気からもな」
「そうじゃな、ところでじゃ」
 ここでリンキティンク王は漫才師に尋ねました。
「お主前も見たが名前は何というのじゃ」
「横山やすしや」
 漫才師さんは笑顔で答えました。
「相方をずっと待ってるわ」
「そうなのか」
「この街でな」
「そうしておるか」
「わしは生憎ピンやとあかん」
「ピン?」
「一人ってことや」
 ピンと言われて首を傾げさせたリンキティンク王に答えました。
「そういう意味の言葉や」
「そうであるか」
「わしも相方もピンやとな」
「駄目なのか」
「二人やないとな」
 さもないと、というのです。
「ほんまにな」
「それがお主達の漫才か」
「そや、それでや」
「今はか」
「待ってるんや」
「そうしておるじゃ」
「そや、外の世界ではわしは短気やったが」
 それがというのです。
「今は気長にや」
「待ってるか」
「わしはずっとそやった、けどな」
「それがか」
「オズの国やとな」
 随分と、というのです。
「ほんまにな」
「気長にか」
「何でもやっててな」 
 それでというのです。
「相方待ってるわ」
「そうか、ではな」
「まあこうしてや」
「美味いものも食ってか」
「待つわ」
「そうか、ではな」
 是非にとです、リンキティンク王は横山さんに応えて言いました。
「暫くな」
「待ってるわ」
「そうするのじゃ」
「待つのもええわ」
 藤田さんは笑って言いました。
「オズの国ではな」
「その間も色々と楽しめるからのう」
「それでや」
 その為にというのです。
「せっかちにならんでな」
「じっくりとじゃな」
「待つんや、何でもな」
「焦っても仕方ないしのう」
「そういうことや、ほな今からな」
「わし等もな」
 藤田さんに笑顔で応えました。
「ところてんを食うぞ」
「そうしよな」
 笑顔でやり取りをしてでした。
 一行は今度はところてんを食べました、黒蜜のそれはとても美味しかったですが待っているその間も藤田さん達とのお喋りが面白くて楽しいものでした。








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