『新オズのリキティンク』




                第八幕  何処でも行ける電車

 この日は皆で電車に乗ってです。
 動物園それに水族館に行くことにしました、皆まずは動物園に行くことにしましたが電車に乗りましたが。
 その電車に乗ってです、魔法使いは皆に着席したうえで言いました。七人用の席に向かい合って座っています。
「この電車は回るんだよね」
「そうだね、この街の中心をね」
「環状線といってね」
 カエルマンに笑顔で応えます。
「この街を円形に走っていて」
「街の主な場所に行けるよ」
「それもすぐにね」
「便利なものだね」
「これに乗ればね」 
 魔法使いは笑顔のまま言います。
「この街の主なところにだよ」
「何処でもだね」
「すぐに行けるよ、道頓堀にも行けるし」
 すぐにというのです。
「大坂城にもね」
「そうだね」
「そしてだよ」
 魔法使いはさらに言いました。
「私達がこれから行くね」
「動物園にもだね」
「行けるよ」
 それが可能だというのです。
「天王寺動物園にね」
「あの、その動物園ですが」 
 クッキーが言ってきました。
「かなりです」
「生きものの種類と数が多いわね」
 アン王女が応えました。
「本当に」
「そうですよね」
「だからね」
「行ってですね」
「沢山の生きものを観られて」
「楽しめますね」
「そのことも嬉しいわね」
 王女はにこにことして言いました。
「ではね」
「はい、これからですね」
「楽しく行きましょう」
「この電車に乗って」 
 ガタゴトと揺らされながらお話します、そしてです。
 動物園に行くと実際に色々な生きもの達がいました、外の世界にもいる生きもの達だけでなく他にもです。
 オズの国にしかいない生きもの達もいます、その彼等がです。
 動物園の中のそれぞれのお家であるコーナーにいたりその外に出てくつろいだり遊んでいます、その彼等がです。
 来園した人達とも遊んでいます、その人達の中にです。
 皆も入ります、そこでリンキティンク王は言いました。
「ほっほっほ、いいのう」
「そうですよね、見て下さい」
 一緒にいるボボ王子が応えました。
「ドードー鳥が歩いていますよ」
「おお、相変わらず愛嬌があるのう」
「王様あの鳥好きですね」
「あの鳥もな」 
 リンキティンク王はこう答えました。
「好きで他の生きものもな」
「王様はお好きですね」
「色々な生きもの達と遊ぶこともな」
 このこともというのです。
「大好きじゃ」
「それでは」
「うむ、一緒に遊ぼうぞ」
「凄いですね、オオツノジカがいますよ」
 ナターシャはその生きものを見て目を細めさせました。
「凄く大きな角ですね」
「こちらにはオオナマケモノがいます」
 カルロスはその生きものを見ています。
「気持ちよさそうに寝ていますね」
「これは始祖鳥ですね」 
 神宝は傍を飛ぶ歯のある鳥を見ました。
「黄色と青で奇麗ですね」
「うわ、サーベルタイガーですよ」
 ジョージは牙のある生きものに気付きました。
「恰好いいですね」
「確かこの生きものは」
 恵梨香はある生きものを見てこう言いました。
「クァッガですね」
「確かどの生きものももう外の世界にはいないね」
 王子が五人に応えました。
「そうだったね」
「はい、そうなんです」
「今私達が見ている生きものは」
「もう外の世界にはいないです」
「ですがオズの国ではですね」
「今もいるんですね」
「そうだよ、この国は色々な生きもの達がいてね」
 そうしてというのです。
「もう外の世界にいない生きもの達もだよ」
「普通にいて」
「楽しく過ごしていますね」
「それで僕達も見られて」
「一緒に遊ぶことも出来るんですね」
「そうですね」
「そこもよいであろう、見るのじゃ」  
 リンキティンク王は目の前にいるずんぐりとしたビール瓶みたいな身体と小さい尻尾を持つ蛇を見て言いました。
「この蛇をな」
「ツチノコですね」
「外の世界では幻の蛇と呼ばれている」
「あの蛇ですね」
「オズの国では普通にいるんですね」
「それでこの動物園にもいるんですね」
「ほっほっほ、この国はお伽の国じゃ」
 だからだとです、五人にお話しました。
「こうした生きものがいてもじゃ」
「普通なんですね」
「お伽の国だから」
「幻の生きものもいますね」
「いるのかどうかわからない様な」
「そうした生きものまで」
「そういうことじゃ、しかしじゃ」
 ここで、でした。
 リンキティンク王はそのツチノコを見てこうも言いました。
「この蛇は変わった蛇じゃ」
「何がかな」
 そのツチノコが言ってきました。
「僕の何処が変なのかな」
「お主酒好きじゃな」
「大好きだよ」
 ツチノコも否定しません。
「よく飲むよ」
「そうであるな」
「けれどそれはね」
「オズの国ではじゃな」
「普通だよ」
 こう言うのでした。
「蛇でもね」
「お酒を飲むな」
「うわばみさんなんか特にね」
「うむ、しかしな」
「しかし?」
「お前さんは他にもじゃ」
 それこそというのです。
「変わったところがある」
「というと?」
「蛇は身体を横にくねらせて動く」
「そうしたーー骨格ーーですから」
 チクタクが言ってきました。
「それがーーです」
「当然であるな」
「はいーーそうーーです」
「それがじゃ」
 まさにというのです。
「わしはな」
「蛇にしてーーですーーね」
「変わっておるとな」 
 その様にというのです。
「思うのじゃ」
「そうなのーーですーーね」
「しかも鼾もかく」
 今度はこのことを言いました。
「それもじゃ」
「まあ他の蛇にそれはないね」 
 ツチノコはまたリンキティンク王に応えました。
「確かにね」
「そうであるな」
「僕達はそうした身体なんだよ」
「それでジャンプすることもな」
「得意だよ」
「それも他の蛇にないのう」
「何かね」
 今度はカエルマンが言ってきました、腕を組んで深く考えるお顔になってそのうえでツチノコを見つつお話します。
「君達は哺乳類にね」
「近いかな」
「うん、身体を縦に動かして動くし」
 見れば尺取り虫みたいな動きです。
「ジャンプをするし鼾もね」
「それもなんだ」
「凄くね」
「哺乳類に近いんだ」
「私はそう思うよ」
「しかし鱗があるのう」
 リンキティンク王はまた言いました。
「お主は」
「そうだよ」
「そこは爬虫類であるな」
「こちらでは爬虫類だけれど」
 王子はそれでもと言いました。
「外の世界ではどうなのかな」
「鱗はセンザンコウのものみたいなのかな」 
 首を傾げさせてです、カエルマンは言いました。
「それで実はね」
「外の世界のツチノコはか」
「実は哺乳類じゃないのかな」
「その可能性があるか」
「というかね」
 カエルマンはさらに言いました。
「その動きはね」
「どうしてもか」
「哺乳類だからね」
「それでか」
「私はそう思ったよ」
「若しくは妖怪かな」
 こう言ったのは魔法使いでした。
「そうなのかな」
「ツチノコはか」
「外の世界ではね」
「何か謎が多いのう」
「実在しないっていう人もいますよ」 
 ナターシャが言ってきました。
「他の生きものと見間違えたって」
「それもあるね」
 魔法使いも否定しませんでした。
「よくあるからね」
「そうですよね」
「兎角ね」
「外の世界のツチノコは、ですね」
「蛇つまり爬虫類にしてはね」
「おかしなところが多いですね」
「考えてみるとね」
 そうだというのです。
「どうもね」
「謎が多いのう」
「まあこっちではそうした蛇だってね」
 またツチノコが言ってきました。
「思ってね」
「こっちでは蛇か」
「僕達はね」
「ではそれで納得してよいか」
「そうしてくれたら嬉しいよ」
「わかった、納得するぞ」
 リンキティンク王はツチノコににかっと笑って応えました。
「わしはな」
「そういうことでね」
 ツチノコもリンキティンク王が納得してくれて笑顔になりました、そしてその場を尺取り虫みたいに動いて後にしました。
 一行はツチノコと別れた後は恐竜のコーナーに行ってです。
 恐竜と一緒に遊びます、ナターシャ達五人はブロントサウルスの背中に乗せてもらってくつろいでいます。
 そうしながらです、一緒にいるリンキティンク王に言いました。
「実は外の世界にも天王寺動物園がありまして」
「恐竜がいるんです」
「ですが本物じゃないです」
「像なんです」
「動かないし声も出さないです」
「そうしたものなんです」
「そうか、しかしオズの国には恐竜もおる」
 この生きものもというのです。
「それでじゃ」
「こうしてですね」
「恐竜を見られて」
「それで触ることも出来て」
「一緒にいられるんですね」
「背中にも乗れますね」
「そうじゃ、この国ならではじゃ」
 恐竜と遊べることもというのです。
「まさにな」
「まだ外の世界にも恐竜がいる」
「そうしたお話はあります」
「はっきりとわかっていませんが」
「世界のあちこちにあります」
「ネス湖とかにも」
「ネス湖ならオズの国にもあるぞ」
 五人に笑ってお話しました。
「これがな」
「そうなんですね」
「じゃあネッシーもいますね」
「ネス湖があるとなると」
「そうなんですね」
「あの恐竜もいますね」
「うむ、まさに恐竜でな」
 それでというのです。
「楽しく過ごしておるぞ」
「流石お伽の国ですね」
「ネッシーまでいるなんて」
「しかも恐竜だなんて」
「オズの国ではそうなんですね」
「よく言われている様に恐竜なんですね」
「恐竜はオズの国では普通じゃよ」
 リンキティンク王はこうも言いました。
「全く以てな」
「ドラゴンもいますし」
「グリフォンもですし」
「そうした国だからですね」
「恐竜もいて」
「それが普通なんですね」
「そうじゃ」
 まさにというのです。
「オズの国では誰もおかしいと思わんぞ」
「ですね、オズの国では普通ですね」
「恐竜がいることも」
「外の世界ではもういない生きもの達が普通にいて」
「不思議な生きもの達も大勢いる」
「そうした世界ってことですね」
「そういうことじゃよ」
 皆に笑顔でお話するリンキティンク王でした、そしてです。 
 そうしたお話をしながら皆で動物園を巡ってでした、その後で今度は水族館に行くことにしてでした。
 途中お昼を食べてから行きました、水族館は地下鉄で行きましたが。
 地下鉄についてです、カエルマンはこんなことを言いました。
「路線が沢山あってね」
「慣れないとわかりにくいね」
「そうだよね」 
 カエルマンは魔法使いにお話しました。
「何処がどうつながっているか」
「それぞれの駅がね」
「それがね」
 どうにもというのです。
「わかりにくいよ」
「説明を聞くとわかるけれど」
「そうじゃないとね」
「けれど目的地にまですぐに行けて」
「地下鉄もいいね」
「そうだね」
 こうしたお話をしてでした。
 皆で地下鉄に乗って水族館に向かってでした。
 そのうえで水族館に着くとです。
 こちらにも色々な生きもの達がいます、お魚に貝類にです。
 蛸や烏賊それにウミガメや鯨達もいてでした。
「うわ、スナメリいますね」
「マッコウクジラも」
「シャチもいます」
「イルカも沢山いて」
「イッカクもいますね」
 ナターシャ達五人は水族館の中を見回して言います、皆今は魔法の光を浴びてその服のまま水族館の巨大な水槽の中を歩いてです。 
 そうしてそこにいるお魚達を観て回っていますが。
「凄いですね」
「巨大な水槽の中に色々な生きものがいますね」
「お魚に鯨に」
「ウミガメまでいて」
「ラッコやアシカもいますね」
「まさに海だね」 
 魔法使いも言います。
「ここは」
「そうですね」
「海の中を歩いているみたいです」
「こんなこと外の世界ではないです」
「水槽はその外から見ます」
「そうするものですから」
「それを普通に歩いて観られるのがね」
 その中をというのです。
「オズの国でね」
「それで、ですね」
「こうしたこともですね」
「普通に出来るんですね」
「オズの国だから」
「魔法の力で」
「科学の力もあるからね」
 それでというのです。
「普通だよ」
「そうですね」
「それではですね」
「このままですね」
「この水槽の中を歩いて」
「色々な生きもの達を観ていくんですね」
「そうしていこう、そしてここから出ても」
 水槽からというのです。
「色々な生きもの達を観られるよ」
「さて、ペンギン達を観ましょう」
 王女は楽しそうに言いました。
「次はね」 
「はい、そうしましょう」
「この水槽の後は」
「そちらに行きましょう」
「それでペンギンとですね」
「遊ぶんですね」
「そうしましょう」
 五人に笑顔でお話して実際にでした。
 皆は水槽の後はペンギンのコーナーに向かいました、服も身体も髪の毛もそこから出ても濡れていません。
 それで皆上機嫌でペンギン達のコーナーに行きますと。
 ペンギン達は海水の中で陽気に遊んでいます、そこにトドやセイウチ達もいます。
 その彼等を見てです、チクタクは言いました。
「まるでーーです」
「どうしたのじゃ?」
「海にーーいるーーみたいーーです」
 こう言うのでした。
「まさに」
「そう言われるとそうじゃな」
 リンキティンク王もそれはと答えます。
「わしもじゃ」
「思われーーますーーね」
「うむ」
 その通りだというのです。
「そう思える」
「海ではーー泳げーーますーーが」
「しかしな」
「この様にーーですーーね」
「普通に歩いたり飛ぶ様に動くことはじゃ」
 そうしたことはというのです。
「出来ぬからのう」
「あの光をーー浴びないーーと」
「そうじゃ、しかし今はな」
 その光を浴びたからだというのです。
「この通りじゃ」
「海の中ーーでも」
「ペンギン程とまではいかずとも」 
 それでもというのです。
「動けるわ」
「そうですね、ただ」
 ボボ王子はペンギン達の動きを見つつリンキティンク王にお話しました。
「ペンギンの動きは凄いですね」
「うむ、まさに飛んでおるな」
 リンキティンク王も彼等の動きを見て王子に応えます。
「そうした風じゃ」
「ペンギンは飛べないですが」
「そうした鳥でもな」
「海の中ではです」
「まさに飛ぶ様にな」
「しかもかなり速く」
 本当に速く泳ぎます、その姿も飛ぶ様です。
「そうしますので」
「それでな」
「まさにです」
「飛ぶ様じゃ」
「トドやセイウチも速いですし」
「アザラシ達もな」
「全くだね、あとよく見ると」
 魔法使いもそのペンギン達を見て言います。
「ペンギンも色々な種類がいるよ」
「そうですね、微妙に外見が違いますね」
 クッキーも泳いでいる彼等を見て言いました。
「それぞれの種類で」
「そうだね」
「ペンギンと一口に言っても」
「そう、その種類はね」
「多いんですね」
「そうした鳥だね」
「そうですね、それとです」
 クッキーはさらに言いました。
「オオウミガラスもいますね」
「ペンギンと一緒にね」
 魔法使いもわかっていました、そうして応えました。
「いるね」
「そうですね」
「こうして一緒に見るとね」
 どうかとです、カエルマンは笑ってお話しました。
「確かにそっくりだね」
「よく言われるけれど」 
 アン王女も言います。
「本当にね」
「そっくりだね」
「見分けがつきにくいわ」
「オズの国ではどっちがどっちかね」
「見極める遊びもあるわね」
「そこまでだからね」 
 カエルマンは笑顔でお話しました。
「ペンギンとオオウミガラスが似ているのは」
「私も違いがわかる様になるまで苦労したわ」
「私もだよ、どっちがどっちかね」
 彼等が泳ぐその水槽の中をすいすいと歩きつつお話します、見ればこの人が一番快適な感じで動いています。
「区別がね」
「つきにくいわ」
「それが出来るまでにはね」
 それこそというのです。
「それなりの学問が必要だよ」
「そうよね」
「それが出来る様になれば」
 それこそというのです。
「その分嬉しいね」
「そうなるわね」
「些細なことでも」
 それでもというのです。
「そうしたことがわかるとね」
「嬉しいわ」
「全くだね」
「ううん、凄いもの見ていますね」
 ナターシャはその飛ぶ様に泳ぐ彼等を見て言いました。
「傍で泳ぐペンギン達なんて」
「そこにトドやセイウチやアザラシもいて」
 恵梨香も言います。
「オオウミガラスもなんて」
「本当に速いですね」
 カルロスも彼等を見て言いました。
「ペンギンやアザラシって泳ぐと」
「陸地に出ている時は遅いのに」
 ジョージの口調はしみじみとしたものでした。
「泳ぐとこんなに速いなんて」
「そうした身体の仕組みなんですね」
 神宝も言いました。
「こうした生きもの達は」
「別にじゃな」
 リンキティンク王は彼等に手を振りつつお話しました、手を振られた方も陽気に笑ってどうもと言って応えます。
「陸地で生きるばかりが生きものではない」
「海で暮らすのもよし」
「陸は休む位にして」
「主に暮らす場所はお水の中」
「それでもいいんですね」
「完全にお水の中にいることも出来ますけれど」
「魚や鯨はそうであってな」
 こうした生きものは完全に水中にいてというのです。
「ペンギン達の様にじゃ」
「陸地では休む位にして」
「そしてですね」
「主な場所はお水の中」
「それならお水の中で素早く動ける体型ですね」
「それもまたいいんですね」
「体型はそれぞれの場所に適したな」
 そうしたというのです。
「ものがあるということじゃ」
「それぞれの生きもので」
「それぞれの環境に適しているんですね」
「だからここにいる皆はですね」
「お水の中でこんなに速いんですね」
「ここまでの動きが出来るんですね」
「それが進化ということじゃな、ではじゃ」
 リンキティンク王はさらに言いました。
「今度は海の恐竜のところに行くか」
「いや、海に恐竜はいないそうですよ」
 こう言ったのは王子でした。
「最近の学説では」
「いや、おるぞ」
 リンキティンク王は王子に即座に反論しました。
「しかとな」
「プレシオサウルスやイクチオザウルスですね」
「そうじゃ、アーケロンとかな」
 具体的なその名前を挙げていきます。
「おるぞ」
「はい、確かにいますが」
「今いると言ったではないか」
「これが恐竜と呼ばないそうです」
「では何と呼ぶのじゃ」
「大型の水棲爬虫類とです」
 その様にというのです。
「呼ぶそうです」
「そうなのか」
「恐竜は骨格で区別するそうで」
 それでというのです。
「海のものはです」
「そうした骨格でないのか」
「何か身体の一部の骨にです」
 そこにというのです。
「恐竜は共通の形があって」
「プレシオサウルス等にはないのか」
「それで、です」
「今は恐竜とは呼ばんか」
「はい」
 そうだというのです。
「最近は」
「学説ではそうか」
「学説はいつも変わるものですね」
「ムシノスケ教授もそう言うのう」
「はい、ですから」
 王子はリンキティンク王にさらにお話します。
「恐竜についてもです」
「今はか」
「そうなっています」
「よくわかったぞ」
 リンキティンク王は王子ににこりと笑って応えました。
「以後覚えておくぞ」
「それは何よりです」
「うむ、しかしな」
「しかし?」
「いや、学問というのは奥が深い」
 しみじみとして言うのでした。
「これまでそうだと言われておったことがな」
「常に変わりますね」
「そう思うとな」
「学問は奥が深い」
「そうじゃ」
 まさにというのです。
「こんなに深いものはない」
「そうですね、僕も思いますよ」
 王子はにこりと笑って応えました。
「学問は本当にです」
「奥が深いのう」
「全く以て」
「しかも面白い」
 リンキティンク王はこうも言いました。
「学べば学ぶ程わかってきてな」
「それがですね」
「面白い、わしは面白くないことには興味はないが」
「逆にですね」
「面白いとじゃ」
 そうしたものならというのです。
「一も二もなくじゃ」
「楽しまれますね」
「うむ」
 その通りだというのです。
「わしはな」
「だから今ではですね」
「遊ぶことも大好きでじゃ」
 そしてというのです。
「歌って踊って飲んで食べてじゃ」
「学問もですね」
「好きでじゃ」
 それでというのです。
「やっておるぞ」
「そうですね」
「これが勉強と言われるとな」
 ここでは少し苦笑いで言いました。
「嫌じゃが」
「王様は勉強嫌いですから」
「それはな、しかしな」
「学問はですね」
「好きでじゃ」
「いつも楽しまれてますね」
「うむ、ではな」
 それではというのです。
「これからもな」
「楽しみますね」
「そうする、では大型の水棲爬虫類達のところに行くぞ」
 こう言ってでした。
 皆で大型の水棲爬虫類達のコーナーに行きました、するとです。
 そこにはです、プレシオサウルスやイクチオザウルス、アーケロンにです。
 モササウルス、エラスモサウルス、クロノサウルスといった生きもの達が巨大な姿で動いています。その彼等を見てです。
 リンキティンク王は小躍りせんばかりに喜んで言いました。
「ほっほっほ、何時観ても恰好よいわ」
「王様こうした生きものお好きですよね」
「恐竜にしろそうですし」
「何かこう大型の」
「昔の生きものお好きですね」
「そうですよね」
「大好きじゃ、あとじゃ」
 ここで、でした。リンキティンク王は。
 大型の水棲爬虫類達と同じ場所にいるシーラカンス達を見て言いました。
「この魚も好きじゃぞ」
「あっ、シーラカンスですね」
「外の世界でもいます」
「深海にいるんですよね」
「それであまり見付からないんですよね」
「只でさえ大昔からいる生きもので貴重なのに」
「この形がじゃ」
 ナターシャ達五人にお話します。
「面白くてのう」
「だからですか」
「シーラカンスお好きなんですか」
「面白い形だから」
「それでなんですね」
「お好きなんですね」
「左様じゃ」
 五人に笑ってお話します。
「大型の水棲爬虫類達も大好きじゃが」
「シーラカンスもですね」
「お好きで」
「ここで見られてですね」
「嬉しいんですね」
「かなり」
「そうじゃ、だからここもじっくり見ようぞ」
 こう言うのでした。
「これまでのところと同じくな」
「そうすべきだね、あとね」
 魔法使いが言ってきました。
「ここにはラッコもいればジンベエザメもいるからね」
「あの大きな鮫もか」
「そうだよ、さっきの巨大な水槽にもだよ」
「おったか」
「さっき私達は出会わなかったけれど」 
 それでもというのです。
「ちゃんといてね」
「皆が見ておるか」
「そうしているよ」
「ではあらためか」
「あの水槽に行ってね」
 もう一度というのです。
「見たらどうかな」
「それがよいのう」
「他には淡水生物のコーナーもあるしね」
「そっちでもじゃな」
「うん、行ってね」
 そうしてというのです。
「楽しもうね」
「それではな」
 リンキティンク王は笑顔で頷いてでした。
 そちらの水槽に戻りました、すると実際にです。
 ジンベエザメを見ることが出来ました、リンキティンク王はその巨大な鮫を見て上機嫌で言いました。
「ほっほっほ、実にじゃ」
「大きいですね」
「うむ、しかもじゃ」 
 クッキーに応えて言います。
「愛嬌のある外見であるのう」
「怖さはないですね」
「そうじゃな」
「王様好みですか」
「こうした生きものもな」
 実にというのです。
「好きじゃ」
「そうなんですね」
「だからな」
 それでというのです。
「ここでじっくりとな」
「見ますね」
「そうしようぞ、それにじゃ」
 さらに言うのでした。
「上の方にも大きなエイがおるぞ」
「あれはイトマキエイだね」
 カエルマンはそのエイを見上げて言いました、今回も魔法の光を浴びてそのうえで水槽の中にいるのです。
「マンタともいうね」
「やはり飛ぶ様に泳いでおるな」
「実際に海面まで跳び上がるよ」
「そうなのか」
「私も見たことはないけれど」
「そうするのじゃな」
「時折ね」
 こうお話するのでした。
「それで膿の中に戻るんだ」
「イルカみたいにするか」
「そう考えていいよ」
「成程のう」
「そしてだよ」 
 そのうえでというのです。
「海の中でもね」
「あの様にであるな」
「お空を飛ぶみたいね」
「泳ぐのじゃな」
「そういえばです」 
 ナターシャが言ってきました。
「オズの国のお空では鳥だけでなくお魚も飛んでいますね」
「沢山ね」
「私とお空を旅した時に見たね」
 魔法使いがここで応えました。
「そうだったね」
「はい、飛行船でそうした時に」
「そのお魚の中にマンタもいたね」
「見たことを覚えています」
「そうだったね」
「鮫もいて」
 そのお魚の中にというのです。
「それで、です」
「ジンベエザメもいたね」
「そうでした」
「オズの国のお空はだよ」
「ああしてですね」
「水中みたいにね」
 まさにそうした感じでというのです。
「沢山のお魚がだよ」
「暮らしていますね」
「鳥も飛んでいてね」
 そうしてというのです。
「彼等もいるんだよ」
「そうなっていますね」
「だからね」
 さらにお話する魔法使いでした。
「またお空を旅する時が来たら」
「ああしてですね」
「お空のお魚達をだよ」
「見られますね」
「そうだよ」
「その時も楽しみです」
 笑顔で、です。ナターシャは応えました。
「お空のお魚さん達を見る時が来ることも」
「そうだね」
「またお空の旅もしたいね」
「あらためて」
「その時が来たら」
 五人全員で言います。
「今の旅も満喫して」
「そしてきっとその機会が来るから」
「その機会が来たら」
「あのお魚さん達見よう」
「皆でね」
「ほっほっほ、魚は水の中だけではない」
 リンキティンク王がここでまた言いました。
「それもまたオズの国であるな」
「そうね」
 王女が笑顔で応えました。
「外の世界ではないことがね」
「まさにじゃ」
「普通にあるわね」
「だからじゃ」
「そうしたこともあるから」
「面白いのじゃ」
「本当にそうね、何かね」
 王女は笑顔のまま言いました。
「私もこれまで色々旅をしてきたけれど」
「それでか」
「ええ、色々な場所を巡って」
 そうしてきてというのです。
「凄くね」
「楽しめたか」
「色々なものを見聞き出来てね」
 それが出来てというのです。
「今ではよ」
「こうした場所にも来られてじゃな」
「楽しめているわ」 
 こう言うのでした。
「本当にね」
「わしもじゃ、では今はな」
「水族館を楽しんで」
「明日からもな」
「街全体をよね」
「楽しもうぞ」
「それがいいわね」
 リンキティンク王のその言葉に頷きました。
「どんどん楽しみましょう」
「是非な」
 まさにというのです。
「そうしようぞ、それでじゃ」
「それで?」
「明日はまた通天閣を登ってじゃ」
 そうしてというのです。
「そのうえでな」
「さらになのね」
「串カツを食しようぞ」 
 この食べものをというのです。
「是非な」
「いいわね」
 王女も笑顔で応えます。
「串カツもね」
「美味いのう」
「とてもね」
「わしも大好きでな」
 それでというのです。
「何かとじゃ」
「食べているわね」
「うむ」
「この街でね」
「キャベツもな」
 このお野菜もというのです。
「食べるぞ」
「あれも欠かせないわね」
「串カツを食べる合間に食べるとじゃ」
「すっきりするのよね」
「だからじゃ」
「キャベツも食べて」
「そしてな」
 そのうえでというのだ。
「楽しむぞ」
「ええ、そうしましょう」
「是非のう」 
 こうお話してでした。
 一行は串カツも楽しみました、この街での楽しい日々はさらに続きます。








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