『新オズのカボチャ頭のジャック』




               第八幕  小川で遊んで

 この日はお休みでした、それでオズマは皆に朝ご飯を食べている時に言いました。
「今日は川に遊びに行かない?」
「川ですか」
「そちらにですか」
「泳いでもいいし」
 皆ににこりとしてお話します。
「他の川遊びをしてもいいでしょ」
「今日は休日なので」
「だからですね」
「くつろいで、ですね」
「遊ぶんですね」
「お昼は川辺でバーベキューを食べて」 
 そうもしてというのです。
「遊ばない?」
「いいね」
 かかしがにこりとして応えました。
「水田ではお水が多くてね」
「お水は馴染んでいるけれど」
「それで川もあるけれど」
「ここからちょっと行った谷の方にあるね」
「小川に行くんだね」
「そうしてね」
 そのうえでとです、オズマはかかしに答えました。
「皆で遊びましょう」
「あの谷だね」
 樵はオズマのお話を聞いて言いました。
「あそこは川辺が石や岩の場所でね」
「バーベキューをするにも向いてるでしょ」
「石や岩の周りには木も多くてね」
「景色も奇麗でしょ」
「遊ぶには最適の場所だね」
「だからね」 
 それでというのです。
「今日はね」
「あそこに行って」
「楽しみましょう」
「じゃあ皆僕に乗るといいよ」
 ガンプはにこにことして言ってきました。
「今回あまり皆乗せていないけれど」
「今日はよね」
「うん、皆を乗せて」
 そうしてというのです。
「そしてね」
「小川まであっという間に行って」
「すぐに楽しもう」
「それじゃあね」
 オズマはガンプの言葉に頷きました、今日の朝ご飯は刻んだお葱を入れた納豆とほうれん草のおひたしに川魚を焼いたものにお味噌汁です、納豆をご飯にかけてそのうえで食べながらそうして言うのでした。
「食べ終わったら」
「皆でだね」
「遊びに行きましょう」 
 ムシノスケ教授にも応えました。
「是非ね」
「遊ぶことも学問だよ」
 教授は目を笑みにさせて言いました。
「そこから多くのものが学べるからね」
「そうよね」
「ではね」
「食べ終わったら行きましょう」
 こう言ってでした。
 朝ご飯を食べ終わると皆でガンプに乗ってそのうえで谷のところにある小川に行きました、そこでなのでした。
 皆まずは釣りをはじめました、そうするとです。
 色々なお魚が釣れます、それでジャックは言いました。
「何か釣り糸を入れたらね」
「それでよね」
 岩場に並んで座って一緒に釣りをしている恵梨香が言いました。
「すぐに釣れるわね」
「そうだね」
「それも色々な種類のお魚がね」
「そうだね、それで釣って」
 ジャックは鮎を釣って言いました。
「そのお魚は魚拓にしてだね」
「また返すのよ」 
 小川にというのです。
「今回はね」
「食べる為じゃなくてね」
「釣ったお魚がどんなのだったかをね」
 このことをというのです。
「記録に残しておくのよ」
「それが魚拓だね」
「そうなの、じゃあどんどんね」
「釣ってね」
「皆どんなお魚をどれだけ釣ったか」
「見ていきましょう」
「それではね」
「今回はお魚でなくてもいいわよ」
 オズマも釣っています、その上で言うのでした。
「蟹でも何でもね」
「小川にいるお魚ならだね」
「そう、何でもね」
 こうジャックに言うのでした。
「いいのよ」
「そうなんだね」
「だからね」
「どんどん釣っていっていいんだね」
「そうしていきましょう」
「それではね」
「あっ、大きな生きものがいるわ」
 ナターシャは釣りをしながら川の中を見て言いました。
「一メートル位の」
「あれは山椒魚だね」
 神宝がすぐに言いました、勿論この子達も釣りをしています。
「オオサンショウウオだよ」
「へえ、この小川にもいるんだ」
 ジョージもオオサンショウウオを見て言います、やや濃い茶色で頭が丸い四本足に長い尻尾を持っている生きものです。
「そうなんだね」
「オズの国は本当に色々な生きものがいるね」
 カルロスも見て言いました。
「オオサンショウウオもなんて」
「あれは日本のオオサンショウウオだね」
 教授は釣りをしながら見て言いました。
「そうだね」
「日本のなの」
「アメリカにもいてね」
 オズマに外の世界のお話をしました。
「同じ仲間だけれど」
「それでもなの」
「外見の細かいところや大きさが違うんだ」
「そうなのね」
「それであのサンショウウオはだよ」
「日本のオオサンショウウオなのね」
「そうだよ、ここにもいるんだね」
「ここでははじめて見たわ」
 オズマは教授に言いました。
「本当に」
「そうなんだね」
「ここには来たことがあるけれど」
 それでもというのです。
「オオサンショウウオもいるのね」
「そうだよ、ではオオサンショウウオを見ながらね」 
 教授はにこりとして言いました。
「釣りをしていこう」
「それではね」
 オズマもにこりとして応えます、そうして魚拓を取っていってその中で蟹や山椒魚もそうしていってでした。
 皆沢山のお魚を釣ってその後は靴と靴下を脱いでです。
 川に入りました、すると恵梨香はすぐに言いました。
「お水が冷たくてね」
「気持ちいいんだ」
「ええ、とてもね」
 ジャックに笑顔で応えます。
「本当にね」
「そうなんだね、僕はね」
「暑さ寒さを感じないから」
「そうした身体でね」
 それでというのです。
「熱い冷たいもね」
「感じないから」
「だからね」
「今もなのね」
「楽しいけれど」
 それでもというのです。
「そうしたことは感じないよ」
「そうよね、貴方は」
「それは僕も同じなんだよね」
「僕もね」
 かかしと樵も言ってきました、二人は川の中に入らないで川辺の石場で石を積み上げてそのうえで遊んでいます。
「そうした身体だからね」
「感じることはないよ」
「暑い寒い熱い冷たい」
「そうしたことは感じないよ」
「だから燃えたり凍ったりしないとね」
「普通に動けるよ」
「それはとても便利だよね」
 ジャックも言います。
「僕達は満足しているよ」
「とてもね」
「そうして過ごしているね」
「そうだよね、いい身体だよ」 
 ジャックは笑って言いました。
「食べることも飲むことも必要なくて」
「眠ることも必要ないし」
「休まなくてもいい」
「ずっと動けるしね」
「そうなのね。感じるってとても気持ちいい時があるわよ」
 恵梨香は自分達の身体のお話をしました。
「暑い時に冷たいもの、寒い時に熱いもの」
「それでかいてきになるね」
「美味しいものを飲んで食べてね」
 そうしてというのです。
「ぐっすり寝る」
「それで休む」
「そうしたらね。けれど貴方達は」
「この身体で満足しているよ」
「幸せね」
「最高にね」
「私達が幸せと感じるのと同じね」
 その身体で生きていてというのです。
「要するに」
「それぞれ幸せだね」
「それぞれの身体でね」
「そういうことだね、じゃあね」
 ジャックは恵梨香と一緒に遊びつつ言いました、小川の中の石の中でこれはというものを探して拾っています。
「今もね」
「こうしてよね」
「お互いのそれぞれの身体でね」
「遊んでね」
「楽しんでいこうね」
「そうしましょう」
 恵梨香はジャックが取った石を見ました、とても青くて丸い素敵な石でした。そうした石達を拾ってでした。
 川辺に上がってみます、するとその中にです。
 紫色で奇麗な球形の掌に乗る位の大きさの石がありました、オズマはその石を見てこれはというお顔になって言いました。
「この石は誰が拾ったのかしら」
「僕だよ」
 ジャックが右手を少し上げて名乗り出ました。
「さっき拾ったんだ」
「貴方がなのね」
「物凄く奇麗だったからね」
「それでいいと思ってなのね」
「拾ったんだ」
「確かにいい石ね」
 オズマはその石をまじまじと見つつあらためて言いました。
「この石は」
「宝石みたいに輝いていないけれどね」
「輝くから奇麗とは限らないわよ」
「色々な奇麗があるね」
「そしてよ」
「この石もだね」
「凄く奇麗よ、この石は貴方が持つといいわ」
「僕がなんだ」
「だって貴方は見付けて拾ったでしょ」
 ジャックに笑顔を向けて言うのでした。
「だからね」
「僕のものしていいんだ」
「ええ、そしてね」
「そして?」
「ここに皆で来た記念にもね」 
 その意味でもというのです。
「大事に持っていてね」
「この奇麗な石が僕の思い出になるんだ」
「そうよ」
 まさにというのです。
「これからね」
「この素敵な石がだね」
「思い出が入ってね」
「そうなるんだね」
「どうかしら」
「いいね」 
 ジャックはオズマのお話に頷いて応えました。
「それじゃあね」
「これからはね」
「この石を持って帰って」 
 そうしてというのです。
「それでだよ」
「お家に飾って」
「そしてね」
 そのうえでというのです。
「今回の思い出にしてね」
「そうさせてもらうよ」
「是非ね。ではね」
 オズマはあらためて言いました。
「もうお昼だから」
「それでだね」
「お昼ご飯を食べましょう」
 こう言うのでした。
「バーベキューをね」
「これから出すんですね」
「ええ、テーブル掛けからね」
 恵梨香にも応えます。
「そうするわ」
「それじゃあ」
「今から食べましょう」
 こう言ってでした。
 オズマはバーベキューを出しました、お肉にお魚にお野菜が網の上で焼かれていて皆で食べます。そうしてです。
 恵梨香は鮎をバーベキューで焼いたものを食べつつ言いました。
「美味しいわね」
「うん、お肉もいいけれど」
「お魚もいいよね」
「川魚をこうして焼いても」
「バーベキューにしても美味しいわね」
 神宝達四人も言います。
「これはね」
「凄くね」
「そうだね」
「あっさりとしていて」
「お塩で味付けしてだけれど」
「そうよね、川魚もね」
 こちらのお魚もというのです。
「美味しいわね」
「オズの国は川や湖でも外の世界だと海にいるお魚もいるけれどね」
「純粋な川魚もいて」
「そうしたお魚もこうして食べると」
「美味しいね」
「バーベキューにしてもね」
 こう四人に言うのでした。
「本当に、鮎や岩魚も」
「鮎は知ってたけれど」
「岩魚もいいね」
「このお魚も美味しいよ」
「それもかなり」
「川魚ってあまり食べないけれど」
 ここで恵梨香はこうも言いました。
「美味しいわね」
「外の世界の日本だとね」
「昔はよく食べたらしいけれど」
「今は違うね」
「海のお魚が多くて」
「川魚はあまりよね」
「それはどうしてかというと」
 ここで言ったのは教授でした。
「虫がいるからだね」
「はい、お父さんとお母さんに言われました」
「だから川魚を食べるには注意しなさいって」
「先生も言ってました」
「特に生で食べることは注意して」
「それで焼いたり煮る時もよく火を通してって」
「そうだね、けれどオズの国ではそうした心配がないし」
 虫のそれはというのです。
「今回はオズマ姫がテーブル掛けで出してくれたものだから」
「そうした心配はないですね」
「安心して食べられますね」
「しかも美味しく」
「だからですね」
「普通に食べられますね」
「そうだよ、お魚もいいけれど」
 教授は焼いた茄子や南瓜も食べつつ言います。
「お野菜もいいよ」
「あっ、確かに」
「色々なお野菜も焼いていますけれど」
「こちらも美味しいですね」
「茄子に南瓜に」
「人参に玉葱も」
「いいね、あと付け合わせのキャベツも」
 これもというのです。
「いいね」
「はい、確かに」
「こっちもいいですね」
「美味しいですし」
「食べるとすっきりします」
「口直しにもなります」
「そうだね、だからこちらも食べよう」
 キャベツもというのです。
「そうしようね」
「はい、そうします」
「こちらも美味しいですし」
「お野菜も食べます」
「お魚も食べて」
「そちらも食べます」
「そうしましょう」
 オズマも言います。
「あとお肉もね、今日のお肉はラムよ」
「羊ですね」
「こちらもいいですね」
「柔らかくて」
「味もよくて」
「こちらもいいですね」
「そうでしょ、最初は牛肉を考えていたけれど」
 それがというのです。
「今回はこちらがいいと思ってね」
「ラムにされたんですね」
「そうですね」
「それじゃあですね」
「お魚にお野菜を食べて」
「ラムもですね」
「そうしましょう、ジュースも飲んでね」 
 今度はジュースを飲んで言いました。
「楽しみましょう」
「はい、あと姫様が飲まれているジュースは」
 恵梨香はそのジュースを見て言いました。
「普通のジュースじゃないですね」
「シードルなの」
「林檎のお酒ですね」
「そうよ、オズの国の子供用のね」
「酔うけれどアルコールの入っていない」
「そうしたものよ」
「そちらですね」
 恵梨香は聞いて納得しました。
「とても美味しそうですが」
「美味しいわよ」
 実際にとです、オズマは答えました。
「こちらもね、だから貴女達もね」
「飲んでいいんですね」
「遠慮は無用よ」
 にこりとして言いました。
「オズの国ではね」
「だからですね」
「飲める人はね」
「皆飲んでいいんですね」
「ワインもいいけれど」
 オズマはこちらのお酒がお好きです。
「このシードルもよ」
「いいから」
「そう、よかったらね」
 それならというのです。
「飲んでね」
「そうさせてもらいます」
「それじゃあです」
「宜しくお願いします」
「飲ませて下さい」
「私達も」
「それではね」
 オズマも応えてでした。
 五人もシードルを飲みます、そうして言いました。
「あっ、確かにです」
「美味しいですね」
「前にも飲ませてもらいましたけれど」
「やっぱりシードルもいいですね」
「こちらも」
「そうでしょ、じゃあバーベキューを食べて」
 そうしてというのです。
「シードルもね」
「飲んで、ですね」
「そうしてですね」
「こうして飲んで」
「そのうえで」
「楽しく飲みましょう」
「そうしましょう」
 恵梨香も頷いてでした。
 オズマと一緒にシードルを飲みます、皆バーベキューを食べるだけでなく飲むことも楽しみます。そうしてです。
 お喋りも楽しんでいましたが。
 ふと川辺に熊が出てきました、黒に近いダークブラウンの毛色で大きさは熊にしては小さめです。そして首のところに白い三日月形の模様があります。
 その熊を見てです、オズマは言いました。
「あの熊は」
「ツキノワグマだね」 
 教授が答えました。
「あの大きさと首の模様を見たら」
「アメリカクロクマやハイイログマとはまた違うわね」
「それがわかるね」
「ええ、当然シロクマともね」
「シロクマ、ホッキョクグマは毛色が白くてね」
「それですぐにわかるわ」
「しかも毛が長くて」
 それにというのです。
「大きいね」
「そうよね」
「ハイイログマも大きくて」
 教授は今度はこの熊のお話をしました。
「体系ががっしりしているね」
「ええ、よく見るとね」
「アメリカクロクマはそうした熊達よりも小さいよ」
「それで体型も違うわね」
「先に挙げた二種類よりもほっそりしているよ」
「そうね」
「そしてツキノワグマはね」
「そうした熊さん達よりも小さくて」
「あの首の模様がだよ」
 白い三日月形のそれがというのです。
「名前の由来にもなっているしね」
「特徴になっているわね」
「そうなんだ」
「それでわかるのね」
「うん、それにオズの国の生きものだから」
 教授はこうも言いました。
「襲ってこないから」
「そのことはね」
「姫様もわかっているよね」
「私がオズの国の国家元首だからね」
 オズマは教授に微笑んで答えました。
「やっぱりね」
「わかっているね」
「そのつもりよ」
「では安心してね」
「一緒に食べよう」
「それではね」
 二人でお話してでした。
 そのままバーベキューを食べているとです、やがて熊だけでなく狼や狐に狸、ハクビシンに栗鼠、鹿達が来てでした。
 皆で一行のところに来て言ってきました。
「オズマ姫だよね」
「こっちに来られてたんだ」
「誰かなって思ったら」
「まさかオズマ姫かって思ったら」
「実際にだね」
「オズマ姫だね」
「そうよ」
 オズマは生きもの達に笑顔で答えました。
「今は水田と南瓜畑の開拓と開墾に励んでいるけれど」
「今日はなんだ」
「こっちにいるんだ」
「それで遊んでだね」
「食べてるんだね」
「そうしているんだね」
「そうなの。さっきまでは釣りや石遊びをしてね」
 そうしてとです、オズマは生きもの達に答えました。
「そして今はね」
「バーベキュー食べてだね」
「ジュースも飲んで」
「それで楽しんでいるんだね」
「そうしているのよ、それで食べ終わったら」
 それからのこともです、オズマは言いました。
「後片づけもするわ」
「後片づけはしないとね」
 ジャックも言います。
「楽しんだ後は」
「いつも奇麗に」
 かかしはジャックに続きます。
「それがオズの国の法律だからね」
「皆が何時でも楽しめる様に」 
 こう言ったのは樵でした。
「エチケットも大事にね」
「そうだよね」
「僕達もこれで気をつけてるしね」
「山やこの谷をいつも奇麗に」
「そうしているからね」
「皆が楽しく快適に過ごせる様に」
「そういえばこの谷奇麗だよね」
 ガンプはここで谷を見回して言いました。
「確かに」
「そうだよね」
 ジャックはガンプの言葉に頷きました。
「ただ景色が奇麗なだけじゃなくて」
「ゴミが落ちていないということでもね」
「奇麗だよね」
「本当に」
「そうしたことをすることも大事よ」 
 オズマが言ってきました。
「だからよ」
「それでなんだね」
「私も法律で定めたの」
「遊んだ後はだね」
「奇麗にお掃除する」
 そのことをというのです。
「それをね」
「法律で定めたんだね」
「そうなの」
 実際にというのです。
「私もね」
「オズの国だとだね」
「もう皆がね」
「楽しんだ後で奇麗にする」
「そう定めたのよ」
 法律にとです、ジャックにお話します。
「だから私達もよ」
「楽しんだ後は」
「ちゃんとね」
「お掃除をするんだね」
「そうよ、いいわね」
「それじゃあね」
「さて、僕達もね」
 ここで、でした。熊が言いました。
「お昼にしようか」
「そうしよう」
 鹿が熊に応えました。
「今からね」
「アケビ出して」 
 狸はそれを咥えています。
「あと栗も」
「柿もあるよ」
 狐はそれを出しています。
「これも食べよう」
「木の実を忘れたら駄目だよ」
 栗鼠はこれを出しました。
「胡桃にドングリをね」
「あとお魚もあるよ」
 狼はそれを咥えて持って来ました。
「岩魚だよ」
「山芋もあるし」
 ハクビシンはそれを出しました。
「あとコクワもね」
「無花果あったわ」
 兎も来て食べものを出してきました。
「それに野苺もね」
「色々あるわね」 
 恵梨香は皆が出してきた食べものを見て言いました。
「この辺りの食べものも」
「そうね、何かとね」
 ナターシャも言います。
「皆が持ってきたけれど」
「山の幸があって」
 カルロスはアケビや野苺を見てお話しました。
「川からお魚もあるね」
「こうしたものを食べるのもいいね」
 ジョージは何度も小さく頷いています。
「美味しそうだね」
「そうだよね、僕達は今バーベキューを食べているけれど」
 それでもと言う神宝でした。
「こちらも美味しそうだね」
「じゃあ一緒にどうかな」
 狼が言ってきました、見ればです。
 狼にしては小さいです、その彼が皆に言ってきました。
「今君達バーベキュー食べているけれど」
「ううん、もうお腹一杯だから」
 恵梨香が皆を代表して答えました。
「それに貴方達が食べるものでしょ」
「だからなんだ」
「私達は後はバーベキューの残りを食べてね」
 そうしてというのです。
「デザートをね」
「いただいてなんだ」
「後片づけをするから」
 だからだというのです。
「遠慮させてもらうわ」
「そうなんだ」
「ええ、貴方達が食べるものはね」
「僕達が食べてだね」
「そうしたらどうかしら」
「そう言うならね」
「それにしても」 
 ここで言ったのはジャックでした、狼を見て彼に尋ねました。
「君他の狼とはね」
「何か違うね」
「そんな感じがするよ」
「僕はニホンオオカミだからね」
 狼は自分の生きものの種類をお話しました。
「木が生い茂っている山の中にいるから」
「それでなんだ」
「他の狼よりも身体が小さくてね」
 それでというのです。
「そうした場所を動くことに向いているんだ」
「草原とは普通の森の中で暮らすんじゃなくてだね」
「山の中でね」
「だからそうした身体なんだ」
「そうだよ」
「そうなんだね、そう言えば皆それぞれの種類の中では小さいね」
 ジャックは他の生きもの達も見て気付きました。
「熊さんでもね」
「だから日本の山の中で暮らしているとね」
 雉も来ています、皆と一緒に食べながらジャックに答えます。
「気候が結構暖かくて結構険しくて木も深いから」
「身体は小さい方がなんだ」
「凄しやすいのよ」
「この辺りは日本の自然環境だね」
 短い角の鹿に似た生きものが言ってきました。
「そうだね」
「そう言う君は誰かな」
「ニホンカモシカだよ」
 自分からジャックに名乗ってきました。
「宜しくね」
「うん、こちらこそね」
「僕が住んでいる場所だってね」
「外の世界ではだね」
「険しい場所でね」
「木も多いんだね」
「そうした場所だから」 
 それでというのです。
「やっぱりね」
「小さい方がなんだ」
「過ごしやすいよ」
「あとオズの国は季節がないけれど」
 ヤマネは栗鼠と一緒に木の実を食べています。
「外の世界だと僕達冬眠もするよ」
「そうもするんだ」
「寒くなるとね」 
 冬になればというのです。
「そうもしているよ」
「何かとあるんだね」
「日本の生きものもね」
「そうなんだね」
「自然環境によって生きものも変わるのよ」 
 オズマがジャックに言ってきました。
「このことも覚えておいてね」
「そうしていくね」
「是非ね。それとね」
「それと?」
「オズの国は外の世界のあらゆる自然が存在しているのよ」
「この広い国の中にだね」
「だからこうしてね」
 今自分達が触れている様にというのです。
「日本の自然もあって」
「他の自然もあるね」
「ジャングルだってあるでしょ」
「そうだね」
「プレーリーもあればサバンナもあって」
 そうした自然環境もというのです。
「大河もあればツンドラもあってアマゾンもね」
「何かとあるよね」
「ジャングルだってね、アマゾンなんて凄いのよ」
 この地域は特にというのです。
「とても大きな川が流れていて」
「そうしてだね」
「その周りに密林が拡がっていて」 
 そうなっていてというのです。
「色々な生きものが沢山いるのよ」
「それがアマゾンなんだ」
「そうなの、オズの国でも特に凄い場所の一つよ」
「僕もオズの国に生まれて百年以上経ってね」 
 そうしてと言うジャックでした。
「色々な場所に行ってきて」
「知ってるでしょ」
「うん、けれどね」 
 それでもというのです。
「行ったことのない場所もあって」
「その目では見ていなくて」
「それでね」 
「知らない場所もあるのね」
「うん、これまで色々な場所に行っても」
 それでもというのです。
「まだね」
「行ったことのない場所もあるのね」
「どうもね、けれど機会があったら」
「ええ、行ってみてね」
「そうするね」
 ジャックはオズマに笑顔で応えました、そしてです。
 バーベキューを食べ終わるとデザートのドーナツを食べます、その頃にはもう生きものの皆も食べ終えています。
 お互い食べ終わったのを見てです、恵梨香は言いました。
「今度は何をして遊ぼうかしら」
「それならだよ」
 狐が言ってきました。
「これから僕達と一緒にワンゲルはどうかな」
「ワンゲル?」
「山の中を歩いてね」
 そうしてというのです。
「見て回ってね」
「遊ぶのね」
「それはどうかな」
「いいわね」
 オズマは狐の提案に笑顔で応えました。
「午前は釣りや石遊びをしたし」
「午後はですね」
「何をしようかと考えていたけれど」
「狐さんが提案してくれましたし」
「それならね」
 是非にというのです。
「ここはお誘いに乗って」
「そうしてですね」
「山に案内してもらって」
「そこで、ですね」
「ワンゲルをしてね」
 そうしてというのです。
「楽しみましょう」
「そうするんですね」
「そうして身体を動かしたら」
 そうすると、というのです。
「それはそれでね」
「楽しいですね」
「身体を動かせてね」
 そのうえでというのです。
「色々な景色を観られて」
「山の中の」
「いいわよ、だからね」
 それでというのです。
「皆で行きましょう」
「わかりました」
「そうと決まれば話が早いね、早速行こう」
 狸が嬉しそうに言ってきました。
「僕達の山の中にね」
「それではね」
「オズの国の日本の自然がある場所は他にもあるけれど」
 それでもというのです。
「ここはここでね」
「いい場所なのね」
「だから見て行ってね」
「山の中を」
「僕達が住んでいるね」
「そうさせてもらうわね」
「是非ね、オズマ姫に」
 鹿は嬉しそうに言いました。
「オズの名士の人達がこんなに来てくれるなんて」
「嬉しいんだ」
「そうだよ、名誉市民の子達も一緒だし」
 ジャックに恵梨香達五人も見つつお話します。
「だからね」
「余計にだね」
「嬉しいよ、じゃあ行こうね」
「そうするんだね」
「後片づけをしてね」
「そうそう、それは忘れたら駄目だね」
 ジャックもそれはと言います。
「何といっても」
「うん、それを終わらせて」
「そしてね」
「それから山に行こう」
「そうしようね」 
 こうお話してでした。
 皆で飲んで食べた後の片付けをしてから山に入ってワンゲルを楽しみました、山の中は木々が生い茂っていてです。
 とても自然が豊かです、見れば皆の中に猪もいて一行に言ってきました。
「ここは空気が奇麗で涼しいね」
「うん、木が多いからね」
 ジャックが答えました。
「そうなるね」
「日差しが強い時もね」
「木が覆いになってくれて」
「それでだよ」
 まさにその為にというのです。
「涼しいんだよ」
「そうだね」
「雨が降る時は」
 猪はその時のお話もしました。
「穴も沢山あるから」
「そこに入ってだね」
「雨宿りをすればいいしね、お家だってね」
「あるんだね」
「皆ね」
 そうだというのです。
「これが」
「快適なのかな」
「凄くね」
「ちなみに僕は狸君と同居しているんだ」
 猪と同じく山に入った時から一緒の穴熊が言ってきました。
「仲良くね」
「いつもお世話になってるね」
「こっちこそね」
 その同居している狸に笑顔で応えます。
「お世話になってるよ」
「お互いかな」
「そうなるね」 
「仲もいいね」
 ジャックは二匹を見てこうも言いました。
「このこともね」
「いいわね」
 オズマも見てにこりとなりました。
「本当に」
「そこもオズの国だね」
「本当にね」
「そう、オズの国にいたら」
 カモシカが言ってきました。
「皆ね」
「仲良くだね」
「生きていけるからね」 
 ジャックの横を歩きつつ笑顔でお話します。
「それでだよ」
「君達もだね」
「この山でね」
 まさにというのです。
「仲良く楽しくね」
「過ごしているね」
「うん、それで今はね」
「僕達とだね」
「こうしてね」 
 まさにというのです。
「ワンゲルをしているんだ」
「そうだね」
「楽しくね」
「そうだね、ただね」 
 ここで教授はです。
 生きものの皆を見てこう言いました。
「ここは日本の生きものが揃っているけれど」
「どうしたのかな」
「猿はいないね」
 この生きものはというのです。
「そうだね」
「いるよ」 
 教授が言うとでした。
 頭上の木の上から声がしました、そしてです。
 皆が見上げると木の上にです、猿がいました。猿は軽快に動き回って皆のところに来て言ってきました。
「さっきまで寝ていたんだ」
「そうだったのか」
「僕は今日は早いうちにお昼を食べてね」
 そうしてというのです。
「さっきまでなんだ」
「お昼寝をしていたんだ」
「そうなんだ」
 こう教授にお話します。
「だからいなかったんだ」
「そうだったのか」
「うん、じゃあね」
「これからはだね」
「一緒に行こう」
 こう言ってでした。
 猿も一行の中に入ってそうしてワンゲルを楽しみます、そしてです。
 夕方まで山中を歩いて歩くことと景色を満喫してでした、山の頂上に行くとオズマはそこで山の生きもの達に言いました。
「じゃあここから帰るわ」
「そう、ガンプに乗ってお空を飛んでね」
 ジャックが続きます。
「そうしてね」
「村まで一気に帰りましょう」
「そうしようね」
「そうしたら」
 ガンプに乗ってお空を飛んでです。
「夜までにね」
「帰られるわ」
「そうだね、それではね」
「今から帰りましょう」
 オズマは笑顔で言ってでした。
 皆をガンプに乗せて最後は自分が乗ってです。
 山の生きもの達と手を振り合って再会を約束してでした。
 今はお別れをして村に戻りました、ガンプに乗って戻るとまさに一瞬で一行は晩ご飯とお風呂を楽しむことが出来ました。








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