『オズのホボ王子』




               第六幕  狐の国で

 一行は今はティータイムに入っていました、道の横で休憩をしてです。
 お茶にお菓子を出します。お菓子は上段はシュークリーム、中段はシフォンケーキ下段はアイスクリームです。
 そのお菓子達を食べながらです、王女はこう言いました。
「お外でこうしてね」
「ティータイムもいいよね」
「ええ、甘いお茶を飲んで」
 王女はとても甘くしたレモンティーを飲みつつ言いました。
「そしてね」
「そのうえでだね」
「お菓子を食べる」
「解放感のある場所でね」
「それがよ」
 まさにというのです。
「至福の時間の一つよ」
「そうだね」
「オズの国は至福が多いけれど」
「その中でもね」
「今この時もよ」
「至福の時間だね」
「本当にね、だから楽しみましょう」 
 是非にというのです。
「今は」
「それではね」
「甘いものは心の栄養だよ」 
 教授はここでこう言いました。
「本当にね」
「心を幸せにしてくれるから」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「食べることはね」
「心にいいのね」
「そうだよ、だからね」
「こうして食べていいのね」
「そうだよ」 
 教授もレモンティーを飲んでいます、見れば皆今はレモンティーを飲んでいます。
「だからだよ」
「こうして」
「皆で飲もう」
「そうしていけばいいわね」
「是非共ね」
「それにしても」 
 ここでモジャボロがシュークリームを食べて言いました。
「このシュークリームは美味しいね」
「そうだね」
 弟さんが応えました。
「かなりね」
「生地も生クリームも黄色で」
「ウィンキーのものでね」
 見ればシフォンケーキもアイスクリームも黄色です、アイスクリームはレモンなので余計にそうなっています。
「いいね」
「そうした感じだね」
「僕はシュークリームも好きでね」
 それでというのです。
「こうして食べるとね」
「それだけで幸せになれるね」
「本当にね」
「全くだよ」
「確かにこのお菓子美味しいですね」
 ナターシャもシュークリームを食べて言います。
「それもかなり」
「そうよね」
 恵梨香も同意でした、見れば一緒にシュークリームを食べています。
「とても甘くてそれでいて食べやすくて」
「最高だったよ」 
 神宝はシュークリームの後でお茶を飲んで言います。
「本当にね」
「そうだね、こんな美味しいのもね」
 カルロスは今はアイスクリームを食べていますがこう言いました。
「オズの国ならではだよ」
「全くだね」
 ジョージはお茶を飲みながら思いました。
「オズの国のお菓子はどれも最高だよ」
「オズの国は何処もお菓子が美味しいんだよね」
 王子も笑顔で言います。
「本当に」
「そうですよね」
「それも果物みたいに実ったり」
「あと牧場もありますし」
「色々な場所から採れますし」
「そのこともいいですね」
「作ることも出来るしね、僕としてはね」
 王子は今はシフォンケーキを食べつつ言いました。
「僕達の国のね」
「牧場ですね」
「お菓子の牧場」
「王子はあそこのお菓子が好きなんですね」
「王子のお国だから」
「それでなんですね」
「そうだよ、だからね」  
 それでというのです。
「戻ればね」
「あのお菓子を食べるんですね」
「牧場のお菓子達を」
「そしてそうして」
「そのうえで、ですね」
「楽しまれるんですね」
「そうするよ、けれどその前に」
 五人に笑顔で言いました。
「色々巡ろうね」
「はい、そうしてですね」
「色々な人達を招待していきますね」
「王子主催のパーティーに」
「これからもそうしていきますね」
「左様ですね」
「そうしていこうね」 
 笑顔でこう言ってでした。
 王子は皆と一緒にティータイムを楽しんで、でした。
 それから旅を再開し夜になると夕食を食べて近くの川で身体を奇麗にして歯も磨いてからテントで寝ました。
 それから次の日の午前中にでした。
 一行は狐の国に着きました、狐達が人間の服を着て二本足で歩いているその国に到着するとすぐにでした。
 狐の国の衛兵、ハルバートを右手に持っていて腰に拳銃がある黄色い軍服のその衛兵が一行を見て言いました。
「また豪華な顔触れですね」
「そうかな」
「ええ、かなり」
 こう王子に答えました。
「オズの国の名士達ばかりではないですか」
「それって僕達もかな」
「まさかと思うけれど」
「僕達も名士?」
「まさか」
「そんな筈ないわよね」
「どう考えても」
「何を言っているんだ、君達はオズの国の名誉市民じゃないか」
 衛兵はジョージ達五人に笑って言いました。
「そしてオズの国のあちこちを旅して冒険しているね」
「名士だったんだ」
「そうだったんだ」
「僕達も」
「オズの国の名士だったの」
「そうだったのね」
「そうだよ、だから僕もそう言ったんだ」
 豪華な顔触れともオズの国の名士達ともというのです。
「そうなんだ、ではね」
「これからだね」
「狐の国に入っていいんだ」
「王子達と一緒に」
「そうしていいのね」
「私達五人も」
「オズの国は来る者は拒まずだけれどさらに歓迎させてもらうよ」
 こう五人に言うのでした。
「ではね」
「うん、それじゃあね」
「今から入らせてもらうよ」
「そうさせてもらうね」
「そしてそのうえで」
「この国も楽しませてもらうわ」
「是非共ね」
 笑顔で応えてでした。
 一行は狐の国に入りました、するとです。
 国の中では皆化けたり化かしたりすることを楽しんでいます、そして揚げやきつねうどんのお店もあります。
 その揚げのお店を見て王女は言いました。
「もう狐といえば」
「そう、油揚げだね」
「そうなっているわね」
「元々はね」 
 教授はこうお話しました。
「オズの国の狐は揚げを食べなかったんだ」
「揚げ自体がなかったわね」
「それがね」
「日本文化が入って」
「そして日本の食事も入ってね」
 そうなってというのです。
「それでだよ」
「油揚げも入って」
「そしてね」
 そうなってというのです。
「今ではだよ」
「皆大好物なのね」
「稲荷寿司もでね」
「そしてきつねうどんも」
「全部ね」  
 まさにというのです。
「食べる様になったんだ」
「そういうことね」
「そうだよ、ただね」
 ここで教授はこうも言いました。
「きつねうどんときつねそばはね」
「同じでしょ」
「油揚げが入っているよ、ただどうも日本ではね」
 外の世界のこの国ではというのです。
「地域によって呼び方が違うんだ」
「そうなの」
「うん、天かすが入っていたらたぬきうどん、たぬきそばとなる地域もあれば」
「そうでない場合もあるの」
「僕達が先日行った大阪がそうだね」
 この街がというのです。
「きつねうどんはあってもたぬきうどんはなかったね」
「そうだったね」
 王子も言われて頷きました。
「あちらは」
「そうだったね」
「天かすが入っていたらはいからうどん、はいからそばだったよ」
「そして揚げはきつねうどん、たぬきそばだったね」
「そうだったよ」
「そうした違いがあるんだ」
「成程ね」
「そしてこの国では」
 見るとです。
「きつねうどんときつねそばで」
「たぬきうどんとたぬきそばだね」
「揚げと天かすでね」
 その二つの具でというのです。
「それぞれね」
「名前が付けられているね」
「そうだね」 
 こうしたお話をしながらです。
 皆は狐の国を巡っていきました、そしてです。
 そうしてでした、一行は狐の王様の宮殿に入りました、するとです。
 そこには狸の国と貉の国のそれぞれの国の王様達もいました、彼等はです。
 王子達を見ますと笑顔で迎えてくれました。三人共丁度宮殿の中庭のテーブルで何かお話をしているところでした。
「おお、これはこれは」
「よく来てくれたね」
「今丁度化けることについての話をしていたんだ」
「そうだったんだ」
 王子は三人のお話を聞いて言いました。
「君達は」
「そうだよ、そうしていたらね」
「そこに君達が来たんだ」
「それで何の用かな」
「それはね」
 王子はここで自分達がこの国に来た理由をお話しました、そのうえで三人の王様達に対して言いました。
「それでどうかな」
「是非にだよ」
「是非受けさせてくれるかな」
「そうさせてくれるかな」 
 三人共こう言いました、見れば三人共王様らしく立派な服を着てその頭にはきらきらの冠があります。
「願ってもない申し出だよ」
「それではね」
「パーティーに参加させてもらうよ」
「そう言ってくれて何よりだよ」
 王子も笑顔で応えます。
「ではね」
「その日にね」
「僕達はリンキティンク王の国に着いて」
「そしてね」
「楽しませてもらうよ」
「皆と一緒にね」
「そうさせてもらうよ」 
 三人もこう言ってでした。
 お話は決まりました、それで後はどうするかといいますと。
 王様達は一行を宴に招きました、それで一緒に劇や芸を楽しみますが。
 狐も狸も貉も化けることが凄く上手です、その彼等を見てモジャボロは言いました。
「皆化けるのが上手だね」
「それが僕達の特技でね」
「生きがいだからね」
「だから得意だよ」
 王様達はモジャボロに答えました。
「皆ね」
「いつも楽しんでいるしね」
「大好きだよ」
「そうだね、しかしね」
 ここでモジャボロはこうも言いました。
「貉はアナグマだね」
「そうだったね」
 弟さんが応えます。
「何かっていうと」
「そうなんだよね」
「それで狸と貉は似ているけれど」
「そっくりと言っていいけれど」
「実は違うんだよね」
「別々の生きものなんだよね」
「狐と狸は仲間なんだ」
 狐の王様が言ってきました。
「同じ犬の仲間でね」
「けれど狸と貉は同居してもね」
 狸の王様も言います。
「違う仲間なんだ」
「貉はアナグマだからね」
 貉の王様も言ってきました。
「犬とはまた違うんだ」
「そうだね、それぞれ違うね」 
 モジャボロも王様達に言われて納得しました。
「そこは」
「そうだよ」
「それぞれそうなっているんだよ」
「僕達はね」
「それが面白いね」
 モジャボロはしみじみとした口調で言いました。
「同じ化けることが得意でもね」
「それぞれ違って」
「そしてオズの国では仲良しだよ」
「いつもお互いの国を巡って楽しく過ごしているよ」
「そういうことだね」
 モジャボロは笑顔で頷きました、そしてです。
 皆で楽しい催しを見てからは揚げやきつねうどん、きつねそばそれに他の美味しい和食を楽しんでお風呂に入りましたが。
 王子はそのお風呂について上がってから皆に言いました。
「檜風呂よかったね」
「最高の贅沢でしたね」
「蒸し風呂もありましたし」
「本当によかったですね」
「水風呂も」
「露天風呂まであって」
「宮殿にいたけれど」
 ジョージ達五人に応えて言います。
「どうもね」
「温泉ですね」
「温泉にいる気分ですね」
「日本の」
「そうだね、どうもね」
 王子は首を傾げさせて言いました。
「この国はどんどん和風になっているよ」
「いえ、そうでもないですよ」
「アメリカの街並みの場所も多いですよ」
「それにアメリカのお料理も多くて」
「パーティーの催しもです」
「アメリカのものが多くて」
「ミュージカルもあったじゃないですか」
 五人は王子にお話しました。
「あと中華街もあって」
「中華料理もありましたし」
「京劇もしましたね」
「それを見ますと」
「中国もあります」
 さらに言う五人でした。
「あとコサックダンスもして」
「ウォッカも飲んでましたよ」
「そういうのはロシアですね」
「ロシアもありましたよ」
「この国の文化も」
「そう言われるとそうだね、日本文化だけでなく」
 王子も言われて頷きました。
「他の国の文化もあるね」
「そうですよね」
「見てみますと」
「狐の国は色々な文化があります」
「確かに揚げが大好きですが」
「それだけでないです」
「狐は外の世界では凄く広い場所にいるからね」
 他ならぬ狐の王様が言ってきました。
「お話を聞くと」
「アメリカにもいて」
「中国にもいて」
「ブラジルにはいないですが」
「日本にもいます」
「ロシアにもです」
「そんな風だから」
 それでというのです。
「だからね」
「それでだね」
「そう、狐の国もね」
「色々な文化が入っているんだ」
「僕の国もだよ」
 貉の王様も言ってきました。
「貉、アナグマも広い場所にいるからね」
「それでなんだ」
「貉の国もだよ」
「色々な文化があるんだ」
「そうなんだ」
「僕の国も同じでね」 
 狸の王様も言います。
「色々面白いよ」
「そうなんだね」
「これがね」
「日本ばかりでもないんだね」
「これがね」
「どの国も狐のお話が多いね」
 ここで教授が言ってきました、見れば今はバスローブにズボンという格好でかなりゆったりとなっています。お風呂上りなのは明らかです。
「アメリカにしても中国にしても」
「日本やロシアもなんだ」
「そうだよ」
 その通りだというのです。
「童話とかでね」
「よく出るんだ」
「そうなんだ」
 これがというのです。
「面白いことにね」
「成程ね」
「だから国も」
「色々な文化があって」
「一口には言えないんだ」
「そういうことなんだね」
「そういえばね」
 ここで王女がこんなことを言いました。
「大阪に晴明神社ってあったわね」
「陰陽師の人がおられたね」
「安倍晴明さんね」
「あの人は確か」
「お母さんが狐だったわね」
「そう言ってたね」
「そうしたことを見ても」 
 王女は王子にお話しました。
「余計に親しみが持てるわね」
「それはそうだね」
「かなりね」
「うん、皆愛嬌があってね」
 こう言ったのはモジャボロの弟さんです。
「親しみやすいね」
「そうだね」
 モジャボロは弟さんの言葉に頷きました。
「本当に」
「そう思うよ」
「オズの国の他の生きもの達と同じで」
「皆愛嬌があるよ」
「本当にそうだね」
「ははは、愛嬌があることはいいことだね」
 狐の王様が笑顔で応えました。
「じゃあこれからもね」
「愛嬌をだね」
「出していくんだね」
「そうしていくよ」
 こう二人に答えるのでした。
「是非ね」
「愛嬌があれば」
 こう言ったのは狸の王様です。
「それに越したことはないね」
「そうだね」
 貉の王様も頷きます。
「それでは我々は」
「これからも」
「楽しく化けて遊んで」
「愛嬌よく暮らしていこう」
 こうしたことを言うのでした、一行はそんな彼等と楽しい時間を過ごしてそうしてから彼等とも一時のお別れを告げてです。
 次に案内する人のところに向かうことにしました、次は誰かといいますと。
「ミュージッカーのお家に行って」
「そうしてなのね」
「彼も招待しよう」 
 王子は黄色い煉瓦の道を歩き地図を見つつ王女にお話します。
「そうしよう」
「それではね」
「彼のお家はここから一日だね」
「一日歩いてなのね」
「着くよ」
 こう王女にお話しました。
「そうなるよ」
「わかったわ、ではね」
「また歩いて」
「ミュージッカーのお家に向かいましょう」
「そうしようね」
 こうお話してでした。
 王子は皆を先導してミュージッカーのお家に向かいます、そしてです。
 ミュージッカーのお家まであと少しというところでとても大きなヤマアラシが道に横たわっていました。
 そのヤマアラシを見てです、ジョージ達五人は言いました。
「確かこのヤマアラシって」
「昔道を通って人に通せんぼみたいにして」
「それで困らせていたね」
「そうしたヤマアラシだったわね」
「そうだったわね」
「その時のことは反省しているよ」 
 ヤマアラシは五人に答えました。
「だから僕も今はそんなことはしないよ」
「そうなんだ」
「それはいいことだね」
「じゃあ今はどいてくれるかな」
「私達が道を通りたいから」
「そうしてくれるかな」
「いいよ、実は急に眠くなってて」
 それでというのです。
「ここで寝ていて今目が覚めたところでね」
「それじゃあどいてくれるんだね」
「そうしてくれるんだね」
「これから」
「それじゃあね」
「どいてくれるかしら」
「うん、ただ僕は前にも君達と会ったかな」
 ヤマアラシはふとこう思いました。
「そうだったかな」
「前に会ったかな」
「言われてみれば」
「そうだったかな」
「結構色々巡っていて」
「色々な人に会ってるし」
 五人はヤマアラシに言われてそういえばとなりました。
「そうかもね」
「だったらお久しぶりになるわね」
「そうだね」
「ヤマアラシさんに会ったことがあるなら」
「それなら」
「こちらこそね、じゃあ僕はこれから湖のところに行くから」
 そうするというのです。
「それでお水を飲むよ」
「そうするんだね」
「じゃあまたね」
「また会おうね」
「そうしましょう」
「次の機会に」
「そうしようね」
 ヤマアラシはこう言ってお別れをしてでした。
 湖の方に歩いていきます、一行は彼とお別れをしてです。
 あたらめて出発するとでした。
 今度はカバキリンに出会いました、カバキリンはその大きな口を開けて一向に対して尋ねてきました。
「君達何処に行くのかな」
「ミュージッカーのところだよ」
 王子が答えました。
「そこに行くんだ」
「あの人のところになんだ」
「そう、今からね」
「あの人なら今はお家にいるよ」 
 カバキリンは王子に答えました。
「だからね」
「お家に行けばだね」
「会えるよ」
 そうだというのです。
「だから行くといいよ」
「それではね」
「あの人はよくあちこちに外出してね」
 カバキリンはミュージッカーのことをお話しました。
「そしてね」
「旅を楽しんでいるね」
「そうなんだ、けれどね」
「今はだね」
「お家にいて」
 そうしてというのです。
「音楽を楽しんでいるよ」
「それではね」
「今から行くといいよ」
「それではね」 
「僕は湖に行くよ」
「君もかい。さっき会ったヤマアラシもだったけれど」
 それでもというのです。
「君もだね」
「あそこの湖のお水は美味しいからね」 
 だからだというのです。
「それでなんだ」
「この辺りの生きものはだね」
「湖に行って」
 そうしてというのです。
「それでね」
「行くんだね」
「そうするんだ、ではね」
「うん、またね」
「また会おうね」 
 こうお話してでした。
 カバキリンも湖の方に行きました、そして一行は遂にでした。
 ミュージッカーのお家に着きました、お家はカラフルで随分賑やかな感じです。そのお家のチャイムを鳴らすと。
 すぐにミュージッカーが出てきました、ミュージッカーは身体中から色々な音楽を賑やかに奏でています。
 ミュージッカーはお家から出て玄関にいる皆のところに来て尋ねました。
「何か御用かな」
「うん、実はね」
 王子が答えました。
「君を僕が主催するパーティーに案内したいんだ」
「そういう貴方はボボ王子だね」
「そうだよ、場所と時間はね」  
 王子はそのお話もしました、すると。
 ミュージッカーは王子にまさかというお顔でこう尋ねました。
「私も来ていいのかい」
「是非にと思ってだよ」
 王子は笑顔で答えました。
「貴方にもね」
「招待をしてくれたんだ」
「そうなんだ」
 実際にというのだ。
「それで来たから」
「だからなんだ」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「返事を聞きたいけれど」
「是非共」
 ミュージッカーは笑顔で答えました。
「そうさせてもらうよ」
「それではね」
「その時は音楽を奏でて」
 そうしてというのです。
「楽しんでもらうよ」
「期待しているよ」
「それではね、あとね」
「あと?」
「丁度お昼だから」
 それでというのです。
「これからお昼ご飯をと考えていたけれど」
「そうだったんだ」
「一緒にどうかな」
 こう言うのでした。
「これから」
「オズの国では遠慮はいけない」
 王子は微笑んで応えました。
「それではね」
「私と一緒にだね」
「ご飯を食べさせてもらうね」
「王子のパーティーの前に」
「貴方と一緒にだね」
「食べようね」
「それではね」
 こうお話してでした。
 皆は実際にです、ミュージッカーのお家に招待されて。
 テーブルを囲みました、出されたのはサラダとベーコンとチーズのピザとペスカトーレのスパゲティそれにラザニアとワインや葡萄のジュースにです。
 デザートに桃のタルトがあります、モジャボロはそのメニューを見て目を丸くさせて笑顔で言いました。
「これはまた美味しそうだね」
「全部私が作ったんだ」
 ミュージッカーは笑顔で答えました。
「最近お料理にも凝っていてね」
「それでだね」
「サラダもピザもスパゲティもね」
「そしてラザニアもだね」
「タルトはお店のものだけれど」 
 それでもというのです。
「ワインやジュースもね、けれど」
「それでもだね」
「他のものは私が作ったんだ」
 そうだというのです。
「それではね」
「これからだね」
「一緒に食べよう」
「それではね」 
 こうお話してでした。
 皆でテーブルに着いていただきますをして食べはじめました、モジャボロの弟さんはペスカトーレを食べて言いました。
「うん、アルデンテだね」
「確かに」
 教授もペルカトーレを食べて頷きます。
「この味はね」
「そうだね」
「茹で加減もいいし」
「ソースの味付けもね」
「いいね」
「大蒜もオリーブも利かして」
「本当にね」
 二人で食べながらお話します。
「美味しいね」
「そうだね」
「他のお料理も美味しいですよ」
 恵梨香はサラダを食べて言います。
「ドレッシングも素敵な味で」
「ええ、このサラダ美味しいわ」
 ナターシャもサラダを食べて言います。
「レタスにセロリ、トマトも新鮮でね」
「このドレッシングはイタリアンだね」
 神宝はドレッシングが何かを指摘しました。
「そうだね」
「新鮮で丁寧に切られたお野菜にまんべんなくかけられたドレッシング」
 カルロスも言います。
「いい組み合わせだよ」
「こんな美味しいサラダを食べられるなんて」
 ジョージもにこにことしています。
「嬉しいよ」
「そうね、ピザも素敵な味だし」
 王女はこちらを食べています。
「ミュージッカーは料理上手ね」
「いや、音楽もよくて」
 王子はラザニアのチーズとトマトの味を楽しんでいます。
「お料理もなんだね」
「最近そうなったよ」
 実際にとです、ミュージッカーは答えました。
「私はね」
「興味を持って作る様になって」
「そうしてなんだ」
 まさにというのです。
「出来る様になったんだ」
「そうなんだね」
「いや、自分でもここまで上手に出来るなんて」
 歌って言います、この辺り流石はミュージッカーです。
「思わなかったよ」
「音楽は好きでも」
「お料理が出来るなんてね」
「音楽とお料理は別だからね」
「全くね、だからだよ」
 まさにというのです。
「本当にね」
「意外で」
「驚いているよ、けれど作ってみると楽しくて」
 そしてというのです。
「そうしてね」
「作っているんだね」
「今もね」
「成程ね」
「ただデザートは」
 そちらはといいますと。
「どうもね」
「苦手なんだ」
「これがね」
 そうだというのです。
「私は」
「上手に出来ないんだ」
「思っていた味じゃないんだ」
 作ってみてもというのです。
「苦労しているよ」
「それでも作ってるんですね」
 ジョージが尋ねました。
「そうなんですね」
「うん、毎日ね。ただ今のタルトはね」
「買ったものですか」
「勉強の為に。買ったものを食べて」
 そうしてというのです。
「そしてね」
「そのうえでなんですね」
「その味を再現しようとね」
「努力されていますか」
「いや、努力はしていないよ」
 ミュージッカーはこのことは否定しました。
「楽しんでいるよ」
「お料理をすることを」
「そうなんだ」
 こうジョージに言うのでした。
「私はね」
「勉強して作っていても」
「音楽と一緒でね」
 それをする時と、というのです。
「私はなんだ」
「楽しんでいるんですか」
「そう、勉強して作ってね」
 そうしてというのです。
「楽しんで」
「そうしていてですか」
「努力はね」
「されていないですか」
「私はね」
「そうなんですね」
「努力はね」
 また言うミュージッカーでした。
「私はしないよ」
「そうですか、ですが」
「努力を努力と思わない」
「本当に好きなものについてはそうですね」
「ご本人が努力と思っていないだけで」
「その実は」
「そうなるかな、まあ私は努力はしないで」
 ミュージッカーはまた言いました。
「やっぱりね」
「楽しんでいますか」
「ただそれだけですか」
「勉強して作って」
「そうしてですか」
「楽しまれていますか」
「そうなんだ、だからこれからも」
 まさにというのです。
「そうしていくよ」
「そうですか」
「じゃあデザートもですね」
「楽しんで作っていく」
「そうしていかれますか」
「これからも」
「私はね、音楽と一緒にね」
 こう言ってでした。
 ミュージッカーは皆と一緒に食事を楽しみ増した、それが終わってから一行はミュージッカーとも一時のお別れをしてです。
 次の目的地に向かうことにしました、ですが。
 道を歩きつつです、王子はにこにことして言いました。
「いや、素敵な旅だね」
「招待も順調で」
「色々な場所に行って」
「色々な人に出会えて」
「色々なものも食べられて」
「そうしてですね」
「本当にそう思うよ」 
 ジョージ達五人に言います。
「僕達はね」
「素敵な旅をしていますね」
「そうして楽しんでいますね」
「皆で」
「そう思うと幸せですね」
「最高ですね」
「本当に最高だよ、もう心が弾んで」
 そうしてというのです。
「うきうきしているよ」
「お顔がそうなっているね」
 モジャボロが王子のお顔を見て言いました。
「まさにね」
「うきうきしているんだ」
「もう天にも昇る様な」
 そうしたというのです。
「お顔になっているよ」
「そうなんだね」
「本当に最高の旅だね」
「そう思っているよ」 
 心からという言葉でした。
「実際にね」
「やっぱりそうだね」
「うん、それと」
 王子はモジャボロに言いました。
「最高の気持ちはね」
「これからもだね」
「続くね」
「最高の最高、最高と思っても」
 今の時点でというのです。
「さらにね」
「上があるね」
「幸せには限りがないから」 
 だからだというのです。
「絶対にだよ」
「もっと幸せになって」
「パーティーは」
 それが行われる時はというのです。
「絶対にだよ」
「今以上に幸せになって」
「そしてね」
「その幸せがだね」
「さらにだよ、空は何処までも高く続いていて」
「幸せもだね」
「そうだよ」
 こう言うのでした。
「絶対にな」
「その通りだよ」
 教授が笑顔で言ってきました。
「空の高さには限りがないね」
「そうだね」
「もうそれこそ」 
 まさにというのです。
「高くなっていって宇宙にまで至って」
「さらにだね」
「続いているからね」
「際限がないね」
「逆に下は」
 不幸はといいますと。
「地底には限りがあるね」
「地球の核に至るからね」
「不幸はそうだよ、しかしね」
「幸福はだね」
「空に限りがない様に」
「何処までもだね」
「あるよ、人間の成長は無限で」 
 そしてとうのです。
「幸せもね」
「無限だね」
「もうこれ以上の幸せはないと思っても」
 それでもというのです。
「きっとだよ」
「さらにだね」
「上があるんだ、だから今最高と思っても」
「まだだね」
「幸せを求めていいし求めたら」
「得られるんだね」
「きっとね」
 そうなるというのです。
「そうしたものだよ」
「だから僕も」
「うきうきしていてもね」
「最高と思わないことだね」
「さらに幸せになるんだ」
「それを目指すよ」
 王子は誓いました。
「皆と一緒にね」
「自分だけ幸せになろうと思ったら」
 どうかとです、モジャボロは言いました。
「もうね」
「それはだね」
「そう、限界があるしやがて皆からね」
「自分だけになるとね」
「よく思われないよ」
「だからだね」913
「オズの国は皆がそうしているけれど」
 モジャボロは笑顔で言いました。
「皆で幸せになる」
「皆と一緒にね」
「そうなればいいんだ」
「そうだね、それじゃあ」
「うん、一緒にね」
「幸せになろうね」
 こうお話してでした。
 王子は皆と一緒に先に進んでいきます、そうしてパーティーに人を招待していくのでした。








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