『オズのジンジャー将軍』




                第十一幕  遂に来て

 カルロス達は爽やかな日差しの中で働いていました、カルロスはそのお日様を見上げてこう言いました。
「いや、お日様の下で身体を動かすっていいよね」
「カルロス本当にそういうの好きだね」
「元々身体動かすの好きだけれど」
「特にお日様の下でそうするのが好きね」
「サッカーもだし」
「うん、やっぱりお日様の光を浴びてね」
 ジョージ達四人にも答えます、皆で今は果樹園の中のミルクの泉からミルクを汲んで身体を動かしています。
「身体を動かすことがね」
「好きだよね」
「スポーツもそうで」
「それで働くことも」
「そのことも」
「うん、大好きだよ」
 まさにというのです。
「本当にね、だから今もね」
「楽しいね」
「楽しくやってるね」
「私達から見てもわかるわ」
「カルロスが一番楽しんでるわ」
「実際に楽しいしね」
 とても晴れやかな笑顔で言いました。
「今の僕はね」
「ええ、ただね」
 そのカルロスに恵梨香が言いました。
「それもあと少しで終わりね」
「将軍とご主人の親戚の人達が来られるから」
 ナターシャも言ってきました。
「だからね」
「僕達のお手伝いも終わりだね」
 ジョージの口調は残念そうなものでした。
「皆で楽しんでいたけれど」
「カルロスだけじゃなくてね」
 神宝も残念そうです。
「僕達もそうだったけれどね」
「いや、僕は残念じゃないよ」
 カルロスは恵梨香達四人に笑顔でこう返しました。
「だってすぐにまた別の楽しいことがあるね」
「だからなのね」
「今のこのお仕事が終わってもなのね」
「残念じゃないんだね」
「もうすぐそうなっても」
「そうだよ、今の楽しみが終わったらすぐに別の楽しみがはじまるんだよ」
 だからだというのです。
「全然残念じゃないよ」
「そうなるからなのね」
「残念じゃなくて」
「すぐに別の楽しみに向かう」
「そうするんだね」
「そうしようね、皆で」 
 カルロスだけでなくというのです。
「今のお仕事が終わったら」
「次の楽しみに向かう」
「そうするのね」
「カルロスがそう言うなら」
「それなら」
 四人も頷きました、そうしてでした。
 皆は残念に思うことなく働き続けました、そして汲んだミルクを今はお家にいて家事をしているジンジャー将軍のところに持って行きますと。
 将軍は五人に笑顔でお礼を言いました。
「有り難う、じゃあこのミルクでチーズやヨーグルトを造るわね」
「チーズですか」
「それにヨーグルトもですか」
「いいですね」
「今から楽しみです」
「どれも美味しいですから」
「そうするわね、あとね」
 将軍はさらに言いました。
「赤ちゃんにも飲ませてあげるわ」
「やっぱり赤ちゃんにはミルクですよね」
「ミルク飲まないと駄目ですよね」
「それも沢山」
「だからですね」
「赤ちゃんにもですね」
「飲ませてあげるわ、そしてね」
 将軍は今度はでした。
 今はお家にいて今から果樹園の中のパトロールに出る犬達そして今も果樹園全体のレーダー役をしている猫のワインに言いました。
「貴方達にもね」
「待ってました」
「じゃあミルク飲んでパトロールに出ます」
「そうさせてもらいます」
「ミルクを頂いてから」
 犬達も言いました。
「是非共」
「ミルク飲むと元気出ますから」
「果樹園の中もよく動けます」
「それによく寝られるんですよね」
「ミルクを飲んだら」
「ええ、私もよ」
 将軍はにこりと笑って彼等に答えました。
「ミルクを飲んだらね」
「元気が出て」 
 ワインが言って来ました。
「そして寝る時はよく寝れるんですよね」
「それがミルクですよね」 
 サフランは笑顔で言いました。
「美味しいうえにです」
「元気にさせてくれて気持ちよく寝かせてもくれる」
 ふわりのお顔もにこりとなっています。
「最高の飲みものですよね」
「お茶やジュースもいいですが」
 桜の尻尾は丸くなって上で振られています。
「ミルクも最高ですよね」
「ヨーグルトやチーズもいいですが」 
 ビスケットも言います。
「ミルクをそのまま飲むのもいいですね」
「じゃあ今から頂きます」 
 レモンのお顔は早く下さいというお顔になっています。
「待ってますね」
「この待つ間が待ち遠しくても」
 それでもとです、杏仁は言いました。
「絶対に飲めますからね」
「沢山飲んで」
 そしてと言うメイプルでした。
「行ってきますね」
「パトロールをして皆さんにどの木が収穫出来るかお話したら」
 シュガーはそれからのことを考えています。
「お昼寝ですね」
「そうしてね、本当に皆よく動いた後はよく寝るのよ」
 将軍は彼等に寝ることは特に言いました。
「よく働いたらよく寝る」
「それは絶対のことですよね」
「やっぱり身体を動かしたら」
「その後は寝ないといけないですね」
「どうしてもそうですね」
「そう、だから今日もよく寝るのよ」
 こう言うのでした。
「よく動いた後はね」
「わかりました」 
 猫も犬達も笑顔で答えてでした、カルロス達と一緒にミルクを沢山飲んでそうしてから彼等のお仕事に出ました、そしてカルロス達もです。
 今度は苺の収穫にあたりました、そこにはかかしと樵それにビリーナがいましたが。
 ビリーナは彼等が来るとこう言いました。
「美味しそうな苺が沢山あるわよ」
「そうだね」
「奇麗な青い苺が一杯だね」
「どの苺も美味しそうだよ」
「もう今にも食べたい位だな」
「畑一面奇麗な苺ばかりね」
「そうでしょ、その苺を摘んで」
 そしてとです、ビリーナはさらに言いました。
「楽しみましょう」
「見事なマンチキンの苺だね」 
 かかしはその苺を摘みながら言いました。
「本当にね」
「全くだね、コバルトブルーでね」
 樵は苺の色のお話をしました。
「見ているだけで惚れ惚れするよ」
「宝石みたいだね」
「うん、サファイアにも負けていないね」
「そうした青さだね」
「この苺達はね」
「私はマンチキンの苺も好きだけれど」 
 ビリーナはかかしと樵にも言いました。
「ウィンキーの苺も好きなのよ」
「あの黄色い苺だね」
「僕の国の苺もだね」
「好きよ、その色がね」
「味は変わらないっていうけれど」
「色は違っていてね」
「あちらの色も好きよ」 
 こう言うのでした。
「黄色い苺もね」
「ウィンキーの黄色い苺だけれど」 
 カルロス達五人もお仕事に入りました、そうして苺達を摘みながらそのうえでビリーナに言いました。
「黄色い西瓜の黄色だね」
「あの黄色ね」
「そう、あの色だね」
「そうね、黄色は黄色でもね」
「そちらの黄色だね」
 カルロスはさらに言いました。
「そしてウィンキーは勿論西瓜もね」
「黄色いわよ」
「そうだね」
「けれど西瓜は西瓜の味で」
「苺は苺の味だね」
「そうよ」
 ビリーナは嘴で苺を摘みながらカルロスに答えました。
「それは違うわよ」
「そうだね、それで苺もね」 
 カルロスはにこにことしてこんなことも言いました。
「ミルクと合うんだよね」
「ええ、ただ私はね」
「ビリーナは?」
「ミルクも好きだけれど」
 それでもというのです。
「飲むのなら苺そのものをジュースにして」
「ああ、苺ジュースだね」
「それが好きね。それでその時は」
 苺ジュースを飲む時はといいますと。
「ギリキンのが好きよ」
「紫の苺ジュースがなんだ」
「そうなの」
 こうカルロスにお話しました。
「それでギリキンに行ったらね」
「あの国の苺ジュースを飲んでるんだ」
「一度はね」
 必ずというのです。
「そうしているわ」
「そうなんだね」
「そう、それにね」
「それに?」
「ジャムならカドリングよ」 
 苺ジャムはというのです。
「あの国の赤いジャムがね」
「好きなんだね」
「そうよ、ジャムはパンの切り端に付けて」
「そうして食べてるね」
「そうしているわ、これも好きよ」
「成程ね」
「そしてエメラルドの都にいたら」
 その時はといいますと。
「緑よ」
「緑の苺だね」
「あの国のジャムを食べるわ」
「そうしてるんだね」
「いつもね」
 こう言いつつでした。
 ビリーナはせっせと苺を摘んで、でした。皆と一緒に働きました。それが一段落した時にそこにドロシーがトトと一緒に来ました。
 そしてです、カルロス達に言ってきました。
「そっちはもう終わったかしら」
「はい、今終わったところです」
 カルロスが答えました。
「後はリアカーに乗せてお家に送るだけです」
「わかったわ、じゃあ私達今からバウムクーヘンの収穫に行くけれど」
「そちらにですね」
「一緒に来てくれるかしら」
「わかりました」
 カルロスは笑顔で答えました。
「そうさせてもらいます」
「それじゃあね」
「はい、今度はバウムクーヘンですか」
「そうなの」
「あのお菓子も美味しいですよね」
「僕も大好きだよ」
 トトも言ってきました。
「あのお菓子は」
「君もなんだ」
「うん、ドロシーと一緒によく食べてるの」
「そうなんだね」
「エメラルドの都でもね」
「都にバウムクーヘンが美味しいお店があるの」
 ドロシーは笑顔でお話しました。
「だからね」
「そこで、ですね」
「よく食べてるの」
「そうですか」
「甘い紅茶と一緒にね」
「緑の紅茶ですね」
「そうよ、エメラルドの都のね」 
 この国では色は緑なので紅茶でも緑なのです、ですから紅茶ではなくグリーンティーと言う人もいます。
「そちらにね」
「行ってですね」
「そしてね」
 そのうえでというのです。
「トトと一緒に食べているの」
「そうですか」
「紅茶じゃなくてコーヒーの時もあるけれど」
「そこはその時の好みですか」
「ええ、ただバウムクーヘンはね」
 このお菓子自体はというのです。
「そうなの」
「そうですか」
「それじゃあ今からね」
「バウムクーヘンをですね」
「獲りましょう」
 笑顔でお話してでした。
 皆で今度はバウムクーヘンの収穫をしました、バウムクーヘンの収穫もかなりの量でした。それが終わるとでした。
 カルロス達五人は今度はオズマとアン王女がいる柘榴の収穫にあたりました、ここまでは臆病ライオンに案内してもらいましたが。
 臆病ライオンは柘榴を見ながらこんなことを言いました。
「オズマ達は柘榴も好きだけれど」
「それがどうしたの?」
「いや、柘榴って食べにくいよね」
 こうオズマに言いました。
「割って一粒一粒食べるから」
「かぶりついてもいいのよ」
 オズマは臆病ライオンににこりと笑って答えました。
「そうしてもいいのよ」
「そうなんだ」
「ええ、私は確かに一粒ずつ食べているけれど」 
 それでもというのです。
「それでもね」
「そうして食べてもいいんだ」
「そうなの」
「別に食べ方は決まっていないわよね」
 アン王女も言いました。
「柘榴は」
「ええ、というかどの食べものもね」
「どういった食べ方でないと駄目とか」
「特にないわ」
「そうよね」
「オズの国の法律でもないわ」
 それでも決まっていないというのです。
「これといってね」
「だから柘榴も」
「一粒一粒食べなくても」
 その実を取ってです。
「別にいいのよ」
「そういうことね」
「ええ、そうよ」
「いや、柘榴はあまり食べたことないですけれど」
 カルロスが言ってきました。
「美味しいわね」
「はい、それでその柘榴もですね」
「これから獲るわ」
「そうしますね」
「それで貴方達に来てもらったの」
 カルロス達にというのです。
「そうしてもらったのよ」
「そうですね」
「ドロシー達の方が終わってすぐで悪いけれど」
「いえ、大丈夫です」
 カルロスも他の子達もそれはと笑顔で返しました。
「楽しいですから」
「もう是非やらせてもらいます」
「今からすぐに」
「働かせてもらいます」
「柘榴も獲らせてもらいます」
「わかったわ。もう柘榴の収穫が終わったらお昼だし」
 その時間になるというのです。
「あと少しね」
「はい、頑張りましょう」
「頑張って美味しいお昼を食べましょう」
「そうしましょう」
「柘榴を獲って働いて」
「楽しんで」
「そうしましょうね」
 オズマは自分から言って動きますがこの時もでした。
 物凄く速くしかも的確に動きます、それで一緒に働いている王女も言いました。
「その動きがいいわね」
「いつもしているみたいですよね」 
 カルロスも言いました。
「オズマ姫の動きは」
「そうよね」
「はい、本当に」
 こう言うのでした。
「オズマ姫の動きは」
「どうしてこんなに動きがいいのかしら」
 王女はこうも言いました。
「本当にね」
「いつもされている訳じゃないのね」
「そうした人達より動けるのは」
「やっぱり楽しんでいて」
「やる気があるからでしょうか」
「そうね、私身体を動かすことも好きで」
 それでとです、オズマも言いました。
「その時にやってることが一番好きだから」
「だからなのね」
「こうしたお仕事もね」
「速いのね」
「そうだと思うわ」
 王女に笑顔で答えました、せっせと動きながら。
「私もね」
「好きだとよく動けるのはね」
「王女もわかるわね」
「ええ。じゃあ私も同じだけね」
「働くのね」
「そうするわ」
 そのオズマに笑顔で答えてでした。
 王女もよく働きました、勿論カルロス達五人もです。そうして柘榴は瞬く間に収穫されてお昼どころか十一時前に終わってしまいました、それでです。
 オズマは柘榴の木の隣にあるライチの木を見て言いました。
「今度はね」
「ライチね」
「これを獲る?」
「いいわね」 
 王女はオズマの提案に頷きました。
「まだ時間あるし」
「お昼までね」
「それでそのお昼までね」
「ライチも収穫出来そうだし」
「だったらね」
 それならというのです。
「今度はね」
「ライチね」
「こちらを獲りましょう」
 こうしてでした、今度はライチを収穫しますがカルロス達はそのライチを獲りながらこんなことを言いました。
「ライチは確か楊貴妃さんがお好きだったね」
「あの凄く奇麗だったっていう」
「あの人が好きで」
「よく食べたっていうわね」
「そうしたお話ね」
「じゃああれかな」
 臆病ライオンは五人のお話を聞いて言いました。
「ライチを食べたら美人になれるのかな」
「まあそんな感じだね」
「ライチってそんな風なところあるね」
「皮も奇麗でね」
「中身も白くて奇麗で」
「食べても凄く美味しいし」
「そうだね、じゃあオズマ達が食べたら」 
 そのライチをというのです。
「今以上に奇麗になるね」
「私は別にいいわ」
 オズマは臆病ライオンの今の言葉ににこりと笑って答えました。
「奇麗になろうとはね」
「思わないんだ」
「だからね」
「ライチはなんだ」
「好きだけれど」
 このことは事実でもというのです。
「そうしたことは意識しないで食べるわ」
「そうするんだね」
「そうしていくわ」
「そうなんだね」
「オズマ姫はそのままで充分過ぎる程お奇麗ですし」
 カルロスも言って来ました。
「別にですか」
「私よく奇麗とか可愛いとか言われるけれど」
「事実ですよ」
「そうしたことは意識していないの」
「そうなんですか」
「外見のことはね」
 こうカルロスに答えました。
「意識していないの」
「あっ、人は中身ですね」
「そう、性格こそが大事だから」
 それでというのです。
「お顔のことはね」
「意識していないんですね」
「そうよ」
 全くというのです。
「性格のことをね」
「気にしておられますか」
「そうなの。性格が悪かったら」
 若しそうならというのです。
「どうしようもないから」
「そのことにこそですか」
「気をつけているの」
「だからライチもですか」
「そうしたことは意識しないで」
 食べれば奇麗になるということはというのです。
「それでね」
「それで、ですね」
「普通に食べるわ」
「ライチにしても」
「そうするわ、それじゃあね」
「そのライチもですね」
「収穫しましょう」 
 こう言ってでした。
 オズマはアン王女そしてカルロス達と一緒にでした。
 ライチも収穫しました、そしてライチも無事に収穫してからお家に帰るとそこにでした。
 マンチキンの服を着た二組の老夫婦にやはり若い二組の夫婦がいました、カルロス達はその人達を見てすぐにわかりました。
「あっ、その人達は」
「将軍とご主人のご両親とですね」
「ご主人の従弟のご夫婦で」
「将軍の妹さんとご主人ですね」
「その人達ですね」
「そうなのよ」
 将軍が五人ににこりと笑って答えました。
「この人達がね」
「そうですね」
「遂に来てくれたんですね」
「それでこれからは将軍そしてご主人と一緒にですね」
「この果樹園で働いてくれますね」
「そうなるんですね」
「その通りよ、今まで有り難うね」 
 将軍は五人にお礼も言いました。
「私達が大変な時に働いてくれて」
「いえ、それはいいです」
「僕達も楽しませてもらいましたし」
「もう何かと」
「果樹園で働かせてもらって」
「美味しいお菓子や果物をいつもご馳走になりましたし」
「むしろ私達の方がお礼を言うべきだわ」
 ドロシーもにこりと笑って言いました。
「本当にね」
「私もそう思うわ」
 王女も言いました。
「本当にね」
「そうですか」
「むしろね」
 こう将軍に言うのでした。
「そうしたい位よ」
「皆さんの方がですか」
「むしろね」
「そうですか」
「ええ、だからね」
 ドロシーはまた将軍に言いました。
「今度は私達がおもてなししたいわ」
「おもてなしといいますと」
「今度は私達がご馳走を出すわ」
 こう言うのでした。
「テーブル掛けからね」
「私とドロシーが持っているから」
 そのテーブル掛けをとです、将軍も将軍にお話します。
「今からから楽しみにしていてね」
「そこまで言われるなら」
 それならとです、ご主人が応えてでした。
 オズマ達からのお礼を受けることにしました、するとでした。
 二人はすぐにとんでもない量のステーキを出しました、それにレタスと胡瓜、トマトにアスパラガスのサラダにです。
 マッシュポテト、ソーセージの茹でたものに生ハム、スパゲティカルボナーラ、コーンポタージュ、鰯のフライに舌平目のムニエルにパンそしてです。
 フルーツの盛り合わせにチョコレートケーキを出しました、これにはトトも驚きました。
「うわ、凄いね」
「そうだね」
 臆病ライオンも言いました。
「メニューも多いけれど」
「その量もね」
「かなりだね」
「本当にそうだね」
「うわ、何から食べればいいのかな」 
 こう言ったのはジョージでした。
「一体」
「色々なジュースやミルクもあるし」
 神宝はそちらを見ています。
「飲みものも充実しているね」
「見ているだけでお腹が空くわ」
 いつもクールなナターシャもこう言います。
「本当に」
「まさかこうしたものを出してくれるなんて」
 恵梨香の目はきらきらとしています。
「流石オズマ姫とドロシーさんね」
「全くよね、私も目を奪われたわ」
 ビリーナにしてもでした。
「これはね」
「そうだよね」
「本当にこれは凄いね」
「物凄いご馳走だよ」
「一体何を食べればいいのかしら」
「迷う位だよ」
「迷う必要はないわよ」
 ドロシーはカルロス達五人に言いました。
「好きなものを食べればいいのよ」
「その時好きなものをですか」
「食べればいいですか」
「迷わないで、ですか」
「一番好きなものを食べれないい」
「そうすればいいんですね」
「フルコースでもないし」
 順番は決めていないというのです。
「そうすればいいわ」
「そうですか、それじゃあです」
「そうさせてもらいます」
「これはというものを食べさせてもらいます」
「これからそうします」
「ドロシーさんの言われる通りに」
「いや、凄いですね」
 シュガーも言いました。
「どれも美味しそうです」
「皆も食べてね」
「僕達もですか」
 シュガーはドロシーに聞き返しました。
「これを食べていいんですか」
「勿論よ」
「それじゃあ」
 メイプルはドロシーの返事を受けて頷きました。
「そうさせてもらいます」
「遠慮なくね」
「オズの国では遠慮は無用」
 杏仁はこの言葉を出しました。
「そういうことですね」
「その通りよ」
「では僕達もいただきます」
 レモンも言いました。
「そうさせてもらいます」
「是非そうしてね」
「それでは今から」
 ビスケットは尻尾をぱたぱたと振ってドロシーに応えました。
「頂きます」
「何を食べるのかも迷わずに」
 桜はドロシーのその言葉を言いました。
「いただきますね」
「そうしてね」
「迷うのは駄目ですしね」
 ふわりも尻尾をぴこぴことさせています。
「目に入ったものをいただきます」
「ええ、皆でそうしましょう」
「では僕はステーキを」 
 サフランはそちらをと言いました。
「いただきますね」
「ええ、好きなものをそうしてね」
「では僕はミルクを」 
 ワインはこちらでした。
「それをいただきます」
「ええ、皆好きな者を食べてね」
 ドロシーも言ってでした、皆で食べるのでした。そしてでした。皆でいただきますをしてそれからでした。
 皆それぞれ好きなものを食べはじめました、そこでです。
 かかしは将軍のお父さんとお母さんに尋ねました。
「貴方達はこれからだね」
「はい、娘達と一緒に住んで」
「そうして働いていきます」
 お二人はそれぞれサラダとフライを食べながら答えました。お二人共穏やかでとても優しそうな感じです。
「家の畑は他の人に譲りましたし」
「後はこちらで」
「そうするんだね、頑張ってね」  
 是非にと言うのでした、かかしも。
「皆と一緒に」
「私達もです」
「そうさせてもらいます」
 今度はご主人のお父さんとお母さんが言ってきました。こちらの人達は結構粋で恰好のいい雰囲気です。ステーキとムニエルを食べています。
「是非共」
「私達も家の畑は譲りましたし」
「この果樹園は広いからね」
 かかしは自分も実感していることを言いました。
「本当に皆で頑張らないと大変な場所だよ」
「実は僕達もそう思っていたんです」
「前からでした」
 ご主人の従弟さんと奥さんはまだ十代といった感じです、とても若くてスパゲティとソーセージをそれぞれ食べています。
「それでいい機会と思いまして」
「街の雑貨屋さんを友達に譲ってきました」
「僕はサラリーマンでした」
「私は公務員でした」
 今度は将軍の妹夫婦のお二人でした、お二人共しっかりした感じです。食べているのはムニエルとサラダです。
「ですがお話を聞いて」
「それで仕事を辞めてきました」
「それでこれからは皆で一緒に働いていくんだね」
「これは頼もしいね」
 樵はその人達を見て言いました。
「どの人もしっかりしているし」
「そうよね」
 ドロシーは樵に応えました。
「この人達なら大丈夫ね」
「そうだね」
「人手もしっかりと確保出来たから」
「もうね」
「これからはね」
「この果樹園もね」
「人手不足にならないわ」
 これまでの様にというのです、そしてです。 
 皆でご馳走を食べていきますがカルロス達五人は心から言いました。
「いや、美味しいね」
「どのお料理も」
「本当に美味しくて」
「量も多いし」
「最高ね」
「うん、僕達もその皆の笑顔を見て」
「とても楽しいよ」
 かかしときこりも言いました。
「皆凄く嬉しそうだから」
「その笑顔が最高の心の栄養になっているよ」
「それは何よりです」
 カルロスはステーキを食べながら応えました。
「では今もですね」
「どんどん笑顔になってね」
「その笑顔を見せてもらうからね」
「そうさせてもらいます」
 笑顔で言ってでした。
 皆はさらに食べていきました、そうしてです。
 かかしと樵はそんな皆を見て自分達も笑顔になりました、その時にです。
 ふとです、オズマは自分の携帯に着信音が届いたのでそれで出てでした、その後でこう言ったのでした。
「皆ここに集まるみたいよ」
「皆っていうと」
「そう、私達のお友達がね」
 オズマはドロシーに笑顔で答えました。
「ここに来るそうよ」
「というと」
「そう、魔法使いさん達がね」
 その皆がというのです。
「ベッツイもトロットもね」
「そうなの」
「今から都からね」
「この将軍のお家になの」
「そう、将軍のご家族が揃ったお祝いにね」
「それでなのね」
「来てね」
 そしてというのです。
「お祝いしてくれるそうよ」
「それは凄いわね」
「それは本当ですか?」
 将軍もそのお話を聞いて驚いています。
「私のお家に」
「ええ、オズの国の皆がね」
「来られるんですね」
「今都を発って」
 そしてというのです。
「こちらに向かっているそうよ」
「早いですね」
「それも飛行船でね」
「それを使ってですか」
「今こちらに向かっているわ」
「だとするとすぐですね」
 将軍はそのお話を聞いて頷きました。
「それなら」
「ええ、本当にすぐにね」
「こちらに来てくれますか」
「そうなるわ、だからね」
 それでというのです。
「楽しみにしていてね」
「わかりました」 
 将軍はオズマに満面の笑顔で答えました。
「それでは」
「飛行船は便利よね」
 オズマは皆が乗っているというそちらのお話をしました。
「本当にね」
「ええ、気球もいいけれどね」
 ドロシーも答えました、二人共今はムニエルを食べています。
「飛行船は大勢の人が乗れるから」
「いいのよね」
「それで乗り心地もいいから」
「素敵なのよね」
「まさに空のお船ね」
「それが飛行船ね」
「空の旅も楽しめる」
 そうしたというのです。
「素敵な乗りものよ」
「それが飛行船ね」
「僕達も乗せてもらったことがありますけれど」
 カルロスは今度は生ハムを食べています、そうしながらドロシーに言いました。
「本当にです」
「素敵な乗りものよね」
「あの時の旅は忘れられないです」
 こう言うのでした。
「本当に」
「そうよね」
「あの時の旅も素敵だったわ」
「オズの国では色々な旅をしてきたけれど」
「飛行船の旅もよかったよ」 
 ナターシャ達四人も言います。
「その飛行船に乗ってなんて」
「皆さん楽しんでるだろうね」
「そうしながらこちらに来てくれる」
「凄くいいね」
「全くだね、何ていうか」
 さらに言うカルロスでした、生ハムを食べながら。
「僕達もまた飛行船に乗りたくなったよ」
「うん、こうしたお話をしていると」
「そうなってきたね」
「どうにも」
「あの時のことを思い出して」
「機会があればまた乗れるよ」
 五人に臆病ライオンが言ってきました、その飛行船に乗っての旅の時に一緒であった彼が。
「その時を楽しみにしていようね」
「そしてだね」
「今は今の楽しみを満喫する」
「そうすればいいね」
「その楽しみのことを期待しながら」
「そのうえで」
「そうしようね」 
 こう五人に言うのでした、とても大きなソーセージを食べながら。
「是非ね」
「うん、それじゃあね」
「今はこうして飲んで食べて」
「美味しい思いをして」
「それで楽しんで」
「満足しよう」
「皆でね、しかし今回も」
 実にとです、臆病ライオンはさらに言いました。
「面白かったね」
「そうだね」
「楽しい旅だったよ」
 かかしと樵が応えました。
「僕達はウィンキーから来たけれど」
「とても楽しかったよ」
「将軍も助かったし」
「皆がいい思いをしたね」
「そう、皆がいい思いをして満足する」
 オズマもにこりとして言いました、フライを食べながらの言葉です。
「それがね」
「オズの国だね」
「そうだね」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「今回もね」
「いいことだね」
「皆がいい思いが出来たから」
「我儘はよくないけれど」
 それでもというのです。
「皆が幸せならね」
「いいね」
「それこそが最高だね」
「そして皆が満足出来る」
 オズマはこうも言いました。
「それがオズの国でしょ」
「そうだよ」
「それこそがオズの国だよ」
「まさにその通りだよ」
 かかしも樵も臆病ライオンも答えました。
「それこそがね」
「だから今回もだよ」
「まさにオズの国だったよ」
「そうですね、オズの国ならではの面白い生きものにも会えましたし」
 またカルロスが言ってきました。
「本当にです」
「満足したね」
「君達にしても」
「そうなったね」
「凄く」
 実際にとです、かかしと樵そして臆病ライオンに答えました。
「そうなりました」
「というか満足しなかったことはないです」
「オズの国に来て」
「これまで何十回も来てますけれど」
「いつもです」 
 満足しているとです、カルロス達五人の子供達は答えました。
「そして今回もでした」
「本当によかったです」
「満足してばかりでした」
「だからまたです」
「来たいです」
「何時でも来てね」 
 将軍も言ってきました。
「ここにね」
「私のお家にもですね」
「お邪魔していいんですね」
「今みたいに」
「そうしていいんですね」
「楽しませてもらって」
「ここもオズの国よ」
 将軍のお家そして果樹園もというのです。
「だからね」
「わかりました、ではです」
「そうさせてもらいます」
「またこちらに来させてもらいます」
「きっとお邪魔する機会がありますから」
「その時は」
「宜しくね、それとだけれど」 
 見れば将軍は今はフルーツの盛り合わせを口にしています、そうしてオレンジやキーウィを食べながら言うのでした。
「このフルーツも」
「美味しいわね」
「はい」
 林檎を食べている王女に答えました。
「凄く」
「これがテーブル掛けの出したものよ」
「そうなんですね」
「だから私もね」
 王女もというのです。
「オズマ姫達が出してくれたものをね」
「こうしてですね」
「楽しくいただいてるの」
「そうなのですね」
「事実美味しいから」
 それ故にというのです。
「こうしてね」
「左様ですね」
「それでこのキーウィも」
 それを食べつつ言うのでした。
「いただきますね、もう一個」
「私もね。キーウィ美味しいわよね」
「甘酸っぱくて」
「そうよね」
「だから私も好きでして」
「果樹園でも作っているのね」
「そうしています」 
 好きだからというのです。
「はじめて食べた時これはいいと思って」
「甘酸っぱくて美味しくて」
「しかもお菓子にも作れて」
「サラダに入れてもいいわね」
「肉料理に使っても」
「そうしたことにも使えますから」
 それで美味しいからというのです。
「今ではこうしてです」
「食べているわね」
「はい」
 実際にというのです。
「これからもそうしていきます」
「いいことね」
「ニュージーランドのものなんですよね」
 カルロスはこう言いました。
「キーウィって」
「外の世界ではそうね」
「そうですよね」
「何でもあちらでは鳥のキーウィもそうよね」
「はい、それでキーウィの国とか言われています」
「食べるキーウィも有名で」
「鳥のキーウィも有名ですから」
 それでというのです。
「キーウィの国です」
「そう言われているわね」
「面白いですね」
「私もそう思うわ」
 王女はカルロスににこりと笑って答えました。
「オズの国には鳥のキーウィもいるけれど」
「そのキーウィのことも含めてですね」
「キーウィの国があることもね」
 こう言いつつそのキーウィを食べるのでした、そのうえで来るべき人が来てくれたことを皆でお祝いして楽しむのでした。








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