『新オズのオジョ』




                第十二幕  皆で出て

 オズマ達は中華街で京劇を楽しみました、その後は飯店中国のホテルに入ってそこで休みましたが。
 オズマは晩ご飯の満漢全席を食べる中で皆に言いました。
「皆に吉報よ」
「吉報?」
「吉報っていいますと」
「ええ、ドロシー達もこの中華街に来るそうよ」 
 皆に笑顔でお話します。
「お仕事を終えてね」
「そうですか」
「ドロシーさんもですか」
「この中華街に来られるんですか」
「そうなの」
 見ればオズマは今は中国の服を着ています、緑のエメラルドの都の服を基調として奇麗な刺繍と模様があってエメラルドで飾られています。
 その服を着てです、皆に言うのです。
「いよいよね」
「それはいいわね、ただね」
 ビリーナは自分の場所テーブルの上からオズマに言いました。
「あんた今中国の服を着ているわね」
「ええ、旗抱ね」
「凄い服ね」
「これも中国の服なの」
 見れば頭に飾りもあってお姫様そのものです。
「とても奇麗でしょ」
「ええ、まさにお姫様よ」
「そうでしょ」
「あんたに相応しい恰好ね」
「そうーーですーーね」
 チクタクも言います、食べることはないですが皆がそうするのを見て楽しんで心の栄養としているのです。
「オズの国のーー主のーー服です」
「皆も着られるわよ」
「そうなの?」
「女の子はね」
 こうビリーナに答えます。
「そうなのよ」
「そうなのね」
「だからね」
 それでというのです。
「皆もね」
「人間の娘はなのね」
「着てみればいいわ」
「じゃあナターシャと恵梨香ね」 
 ビリーナは着るべき娘達をすぐに出しました。
「二人ね」
「それに明日来るドロシーもね」
「ドロシーは明日来るのね」
「かかしさん、樵さんと一緒にね」
「二人も一緒ね」
「ええ、三人で来るのよ」
 オズの国の中華街にというのです。
「そうしてくれるのよ」
「まさか三人が来るなんて」
 ボタンはお料理を楽しみつつ言いました。
「凄いね」
「そうでしょ」
「まさかドロシー王女にここでお会い出来るとは」
 関羽さんも言います。
「想像しなかった」
「全くですね」
 玄奘さんは関羽さんのそのお言葉に頷きました。
「このことは」
「願いは適うし思わぬいいこともどんどん起こる」
 孫悟空さんは精進酒ビールのそれをごくごくとジョッキで美味しそうに飲みつつ言います。
「そういうことですよ」
「そうそう、ここはオズの国ですから」
 猪八戒さんはもりもりと食べています。
「こういうことも起こるんですよ」
「お師匠様、ここは喜びましょうぞ」
 沙悟浄さんも食べています。
「ドロシー王女との出会いを」
「そうすべきですよ」
 玉龍さんはお茶を飲みつつ玄奘さんに言います。
「我々も」
「素直に幸せを楽しむ」
 ここで、です。
 真っ赤はお肌に赤い鎧と服それに黄色い燃え上がる様な立った髪の毛の人が言ってきました。その人を見てです。
 オジョはまさかとなってその人に尋ねました。
「ええと、赤兎馬さんかな」
「左様、実はオズの国では人の姿にもなれて」
「それで、ですか」
「主殿と共にいられる」
「うわ、何か格好いいね」
 ジョージは人間の姿になった赤兎馬を見て言いました。
「真っ赤なお肌と黄色い髪の毛で」
「背も高くて引き締まった身体だしね」
 カルロスも言います。
「お顔も整っていて」
「サッカー選手みたいね」
 恵梨香はこう言いました。
「人間になった赤兎馬さんって」
「お馬さんだった時も恰好よかったけれど」
 ナターシャはそのお姿をじっと見ています。
「人間になってもね」
「まさか赤兎馬さんまで人間になれるなんて」
 神宝も言います。
「流石オズの国だね」
「うん、誰かと思ったけれどね」 
 オジョは五人に応えて言いました。
「赤兎馬だったんだね」
「人間になってもですね」
「物凄く格好いいですね」
「関羽さんと一緒にいても絵になります」
「本当にスポーツ選手みたいで」
「お肌も髪の毛も恰好いいです」
「実は馬の時も人間の時も困っている」
 こうも言う赤兎馬でした。
「実は」
「困っているっていうと」
「女の子に囲まれて」
「いや、そのお姿ならね」
 オジョは赤兎馬にこう返しました。
「もてるよ」
「馬でも人でもか」
「うん、しかも凄い能力で性格も謹厳実直だから」
 こうしたこともあってというのです。
「もてない筈がないよ」
「そうなのか」
「そこは受け入れていいと思うよ」
「だが私は異性には興味がない」
「そうなんだ」
「あるのは主殿への忠義のみ」
 オジョに関羽さんを見つつお話します。
「それのみだ」
「その忠義嬉しく思う、だが」
 関羽さんは赤兎馬にこう返しました。
「そうしたことは受け入れてもいい」
「左様ですか」
「人気があることはいいことだ」
 このこと自体がというのです。
「だからだ」
「それで、ですか」
「そのことを受け入れてな」
 そしてというのです。
「やっていくことだ」
「そうしてもいいですか」
「それがしはそう考えている」
「主殿がそう言われるなら」
 赤兎馬も頷きました、そうしてです。
 関羽さんと一緒に満漢全席を飲んで食べました、その後で皆お風呂に入って歯も磨いて奇麗なベッドで休みました。
 その朝です、皆お野菜や鶏肉が沢山入った中華粥を食べた後で、でした。ある人達の訪問を受けました。その人達はといいますと。
「あら、もう来たの」
「ええ、魔法使いさんに送ってもらったの」
 ドロシーがオズマに笑顔で答えます。
「それでなの」
「今来てくれたのね」
「さっきまでエメラルドの都にいたけれどね」
「魔法使いさんが送ってくれたんだ」
 かかしと樵も一緒です。
「開いたら望のところに行けるドアを出してくれてね」
「僕達はそれでここまで来たんだ」
「魔法使いさんの魔法ね」
 オズマはそのドアのことを聞いて言いました。
「まさに」
「そうよね、道具を使うね」
 こう返すドロシーでした。
「あの人の魔法よね」
「そうよね、それでそのドアを使ってなのね」
「ここまで来たのよ」
 一瞬でというのです。
「そうしたのよ」
「そうなのね」
「それでオズマ今の服だけれど」
 旗抱姿のオズマに言います。
「また随分と奇麗な服ね」
「似合っているかしら」
「凄くね。ドレス姿の貴女も王女様だけれど」
「今の私もなのね」
「王女様よ」
 オズの国の国家元首だというのです。
「それに相応しい姿だわ」
「そう言ってくれたら嬉しいわ」
「実際にね」
「貴女も旗抱が気に入ったみたいだし」
 それでとです、オズマはドロシーに言いました。
「貴女も着てみる?」
「旗抱をなの」
「ええ、そうしてみる?」
 トロシーににこりと笑って誘いをかけます。
「今から」
「着ていいの」
「いいわ、この街で売っているし」
「うん、いいね」
「ここは是非着てみるべきだよ」
 かかしと樵はオズマのその言葉に頷きました。
「ドロシーもね」
「そうしよう」
「それと昨日私が言ったけれど」
 オズマの足元からビリーナが言ってきました。
「恵梨香とナターシャも着ればいいわ」
「四人皆で着ましょう」
 オズマはビリーナの言葉も受けて言いました。
「そうしましょう」
「それじゃあ」
 ドロシーが頷いて恵梨香とナターシャもでした、そうしてです。
 四人は旗抱を着ました、ドロシーは白で恵梨香はピンクそしてナターシャは黒のそれぞれの旗抱姿になりました。
 それぞれの旗抱には金や銀で奇麗な刺繍が入れられていて宝石で飾られています、ドロシーはその姿になって飯店にある鏡で自分の今の姿を見て言いました。
「こうした服もね」
「素敵よね」
「ええ、とてもね」
「オズの国の正式な礼装に加えるべきかしら」
「いいと思うわ」
 ドロシーはオズマににこりと笑って答えました。
「この服もね」
「そうよね」
「それじゃあね」
「今はこの服を着て」
「街を歩いていきましょう」
「それとですが」
 オジョが提案してきました。
「恵梨香達も着飾りましたし」
「神宝達もなのね」
「そうしたらどうでしょうか」
「いいわね、じゃあ貴方達もいいかしら」
「よかったら」
 三人はオズマの問いにすぐに一斉に答えました。
「お願いします」
「それじゃあね」
 こうしてです、三人の男の子も着飾りました。三人は中国の袖が広くて縁のない丸い帽子もあるゆったりとした丈の長い上着とズボン姿になりました。
 神宝は青、ジョージは赤、カルロスは黄色でやっぱり奇麗な刺繍が施されています。オジョはその姿の三人を見て言いました。
「タキシードとは違う立派さがあるね」
「あの、オジョさんも着られますか?」
 神宝がオジョに言いました、
「この服を」
「あっ、僕はいいよ」
「いいんですか?」
「僕はこの服が礼装だから」
 自分の胸に手をやって神宝に答えます。
「だからね」
「マンチキンの服がですね」
「そう、この服がね」
 まさにというのです。
「普段着であってね」
「礼装なんですか」
「そう、だからね」
「着飾ることはですね」
「この服を立派にすることなんだ」
「僕もだよ」
 ボタンも言ってきました。
「セーラー服がね」
「普段着でだね」
「礼装だよ」
 こう神宝に答えます。
「そうだよ」
「普段着が礼装だね」
「そうなんだ」
 オジョと同じくというのです。
「だからね」
「それでなんだ」
「僕も他の服は着ないよ」
「だったらね」
 ここで言ったのはオズマでした。
「二人の服をクリーニングしてアイロンをかけてね」
「そうしてですか」
「奇麗にしましょう、帽子もそうして」
 オジョにさらに言います。
「飾りも靴も磨いてね」
「そちらもですか」
「ええ、ピカピカにしてね」
 そうしてというのです。
「奇麗にしましょう」
「そうしてくれますか」
「今すぐ飯店の人にお願いして」
 服や帽子、靴を奇麗にしてというのです。
「そしてね」
「そうしてですか」
「その間皆でお風呂に入りましょう」
 服や靴を奇麗にする間はというのです。
「そうして待ちましょう」
「それでお風呂からあがったらですね」
「二人をピカピカの服が待っているわよ」
「じゃあかかしさんもクリーニングして」
 ドロシーも言います。
「樵さんも油を塗って磨いて」
「あっ、いいね」
 かかしはドロシーのその言葉に乗りました。
「じゃあ藁も交換しよう」
「では早速だね」 
 樵も言います。
「奇麗にしようか」
「よし、おいらもな」
 孫悟空さんも言います。
「風呂で自慢の毛をこれ以上はないまでに奇麗にするか」
「孫悟空さんお風呂も」
「おう、大好きだぜ」
 神宝に笑顔で答えます。
「本当にな」
「そうなんですね」
「風呂に入ってあったまってな」
「そうしてですね」
「身体も洗うけれどな」
「毛を奇麗にしますね」
「ああ、そうすることが大好きなんだよ」
 こう神宝に言います。
「だからな」
「今からですね」
「昨日の夜も入ったけれどな」
 それでもというのです。
「今からな」
「そうですか、じゃあ」
「一緒に入ろうな」
 こう言ってでした。
 皆でオジョ達の服を奇麗にする間お風呂に入りました、かかしと樵も身体を奇麗にしました。そしてです。
 お風呂から上がるとでした、孫悟空さんは。
「兄貴また奇麗になりやしたね」
「全くですな」
 猪八戒さんも沙悟浄さんもでしたが孫悟空さんは特にでした。
 赤がかった金色の毛が一本一本奇麗になってつやつやとなっています、枝毛なんて一本もありません。
 その姿の孫悟空さんにです、二人で言うのです。
「まるで宴に行く様な」
「見事な男伊達ですね」
「そうだろ、おいらの男前っぷりは磨けば磨くだけ光るのさ」
 孫悟空さんも笑顔で言います。
「オズの国の猿一の色男たあおいらのことでい」
「悟空、そんなことを言ってはいけませんよ」
 徳井になる孫悟空さんを玄奘さんが嗜めます。
「身を清めることはいいことですが」
「それでもですか」
「はい、得意になることはです」
 これはというのです。
「よくありません」
「だからですか」
「ここは静かに」
 孫悟空さんを穏やかな声で注意します。
「宜しいですね」
「お師匠様に言われますと」
 孫悟空さんも謙虚になりました、そしてです。
 オジョ達を見ますと服がピカピカです、アイロンもあてられていて本当に奇麗なものになっています。
 その皆を見て関羽さんは言いました。
「やはり身を清めることはいいことだ」
「身体も服もですね」
「うむ、それでだ」
 清めると、というのです。
「心もそうなってだ」
「いいですね」
「左様、ではこれより」
「ええ、皆でね」
 オズマが関羽さんに応えました。
「巡っていきましょう、そして今日は招待された式典にもね」
「参加されますか」
「私が参加するけれど」 
 オズの国の国家元首としてです。
「皆もね」
「同席していいですか」
「是非ね」
 こう言うのでした。
「そうしてくれるかしら」
「それでは」
 関羽さんが頷いて他の人達もでした。
 オズマと一緒にまずは中華街で遊んでです。
 式典に呼ばれました、その式典はといいますと。
 黄帝廟の完成をお祝いするものでした、そこにオズマも梁山泊の人達も参列していますがそこにです。
 関羽さんも来て中華街の人達は驚きました。
「関羽様が来られたぞ」
「これまた何と素晴らしい」
「あの方までもが来られるなんて」
「ははは、旅に同行してだが」 
 それでもとです、関羽さんは中華街の人達に笑顔で応えました。
「こうしたことは遠慮は無用だ」
「そうですか」
「ではですか」
「これからもですか」
「呼んでくれればだ」
 その時はというのです。
「こうしてだ」
「来てくれますか」
「この中華街にも」
「そうしてくれますか」
「是非共」
 こう言うのでした。
「そうさせてもらう」
「それは何よりです」
「ではこれからもです」
「何かあればです」
「呼ばせて頂きます」
「やっぱり関羽様は凄い人気ですね」
「全くだね」
 オジョは神宝の言葉に頷きました。
「中華街ではね」
「本当にそうですね」
「全くだよ」
 かかしもその通りだと言います。
「このことは」
「中国系の人達にとって関羽さんは絶対のヒーローだよ」
 樵も言います。
「まさにね」
「そうだね」
「うん、だからこの人気もね」
「当然だね」
 二人も式に出席しつつお話します。
「じゃあ今度からはね」
「関羽さんも式典に出席するね」
「そうさせて頂く」
 関羽さんは謹んで答えました。
「是非」
「宜しくお願いします」 
 中華街の市長さんも言ってきました。
「それでは」
「これからは」
「遠慮もいいけれどな」
 孫悟空さんはこう言いました。
「し過ぎるとかえってよくないな」
「そうなのよね」
 オズマは孫悟空さんの言葉に頷きました。
「これが」
「そうですよね」
「ええ、関羽さんは礼儀正しくてね」
「謹厳で」
「それが遠慮にもつながっているけれど」
「それも過ぎると」
 遠慮がというのです。
「かえってですね」
「そうよね」
「だから関羽さんは」
「こうした申し出は受ける」
「その方がいいですよ」
「それならば」
 関羽さんも頷きます、そしてです。
 皆であれこれお話します、そうしてでした。
 式典に参加してそれが終わってです、皆で宴となり色々な種類の中華料理をお茶やお酒と一緒に楽しみますが。
 その中で、です。ふと誰かが言いました。
「この後の京劇だけれど」
「役者さんがね」
「まだ決まっていないんだよね」
「困ったよ」
「京劇?」
 そう聞いてです、オジョはラーメンを食べつつ言いました。
「昨日上演していたね」
「また別のお芝居みたいだよ」
 ボタンは水餃子を食べつつオジョに言いました。
「どうもね」
「西遊記や三国志じゃないんだ」
「またね」
「じゃあ水滸伝かしら」 
 ビリーナはそれではと言いました、向日葵の種を食べています。
「若しかして」
「それならーーです」
 チクタクがここで言いました。
「もうーーおられーーます」
「ああ、梁山泊の人達がね」
「ご本人がーーおられるーーなら」
 それならというのです。
「もうーーですーーね」
「役者さんに困らないね」
「左様ーーです」
 まさにというのです。
「そこは」
「そうーーですーーね」
「じゃあどんな作品かな」
「京劇といっても色々な題目があるね」
 かかしが言ってきました。
「そういえば」
「うん、ミュージカルや歌舞伎や歌劇もそうでね」
 樵も言います。
「京劇もだね」
「それじゃあ何かしら」
 ドロシーは蛙の唐揚げを食べつつ言いました。
「一体」
「そこは聞いてみましょうか」
「そうしましょう、詳しくね」
 こうしてです、オジョは中華街の人に京劇のどんな題目を上演するのか聞きました、するとでした。
 尋ねられた若い男の人はこうオジョに言いました。
「実はオズの国を舞台にした作品なんだ」
「えっ、オズの国のですか」
「オズの国だけにしかない題目なんだ」 
 京劇のです。
「それなんだ」
「そうした作品もあるんですね」
「オズの国だよ」
 だからだというのです。
「それだけにね」
「オズの国にしかない作品もですね」
「あってね」
 それでというのです。
「今から上演するけれど」
「役者さんがですか」
「まだ決まっていなくて」
「困っていますか」
「役がね」
「それはどういった作品ですか?」
 神宝はその人に尋ねました。豚バラ煮込みを食べつつ。
「一体」
「オズの国にしかない京劇って」
 恵梨香はどうかというお顔で首を傾げさせました。八宝菜を食べています。
「どんな作品かしら」
「ちょっと以上にわからないわね」
 ナターシャも言います。ピータンを食べています。
「本当に」
「中国を舞台にした作品ならわかるけれど」
 カルロスもどうかというお顔になっています。かに玉を食べています。
「それでもね」
「オズの国が舞台の京劇って」
 ジョージもわかりません。お饅頭を食べています。
「どんな作品かな」
「見当がつかぬ」 
 関羽さんもでした、フカヒレスープを食べつつどうかとなっています。
「これは」
「さて、何か」
 玄奘さんも麻婆豆腐を食べつつ言います。
「わかりかねます」
「本当に何ですかね」
 猪八戒さんは刀削麺を食べつつ不思議そうなお顔になっています。
「その演目は」
「誰にもわからぬということも」 
 沙悟浄さんはマンゴープリンを食べつつ言います。
「あるのですな」
「というかですね」
 玉龍さんも杏仁豆腐を食べつつどうなのかとなっています。
「こんなわからないこともないですね」
「オズの国でしかない京劇の作品」
 赤兎馬は人間の姿でタピオカミルクを口にしつつ言いました。
「わからぬ」
「私もわからないわ」
 このことはオズマも同じでした、チンジャオロースを食べつつ首を傾げさせます、
「どういった作品か」
「皆さんが出ています」
 ここで市長さんが言ってきました。
「実は」
「私達がなの」
「はい、この子達がオズの国に来てです」
 市長さんは神宝達五人を見つつオズマにお話します。
「都で皆さんと謎ときをする」
「そうした作品なの」
「そうなんですよ」
「京劇でも謎ときの作品があるんだね」
 オジョが言ってきました。
「そうなんだ」
「そうなんだよ」 
 実際にというのです。
「これが」
「ああ、そういえば」
 ここで神宝が言ってきました。
「包青天の作品は裁判ですから」
「謎ときもなんだ」
「その要素もありますね」
「だから京劇でもなんだね」
「謎ときがあってもです」
「普通なんだ」
「はい、ですから」
 それでというのです。
「推理ものもいいかと」
「そうなんだね」
「まあどんな舞台でも推理の作品があるわね」
 このことはドロシーも言いました。
「作品によっては」
「ミュージカルや歌劇でもですか」
「歌舞伎でもね、だからね」
「いいんですね」
「だからね」
「この作品があっても」
「いいと思うわ」
 こう言うのでした。
「本当にね」
「それじゃあ」
「ええ、今からね」
「その作品についてですね」
「詳しく聞いてみましょう」
 こうお話してでした。
 オジョは市長さんにその題目の内容を聞くとです。
 オズマがエメラルドの都でなくなったドロシーへのプレゼントを探すものでした、そこで謎ときもあるのです。
 そして登場人物はといいますと。
「僕達も出るんだ」
「そうなんだ」
 まずはかかしと樵が言いました。
「これはね」
「また面白いね」
「僕達も出るんですね」
 神宝も言います。
「今回の舞台は」
「そうだね」
「五人全員出るね」
「オズマ姫を助ける役で」
「出るのね」
 他の四人も言います。
「まさか私達もなんて」
「舞台に出るなんて」
「僕達が来た後って聞いたけれど」
「そうなんだ」
「そうだよ、君達も出るよ」
 市長さんは五人にも言いました。
「ちゃんとね」
「そうなんですね」
「五人全員が出てですね」
「そうしてですね」
「オズマ姫と一緒にですね」
「謎ときともの探しをするんですね」
「そうだよ、ここにいる人だとボタン君やビリーナさん、チクタクさんも出るよ」
 市長さんは皆を見て言います。
「ここにいる人達は皆ね、オジョ君もね」
「僕もですか」
「うん、出るよ」
「というかオズの国の名士で出ない人は」
「この場にいる人ではいないよ」
 そうだというのです。
「これがね」
「そうなんですか」
「それじゃあ」
 そう聞いてです、オズマはです。
 それはというお顔になってそれで言いました。
「じゃあね」
「じゃあといいますと」
「私達全員が出るなら」
 こう市長さんに言いました。
「私達がそれぞれのキャラクターになってね」
「出てくれますか」
「そうさせてもらうわ」
 こう言うのでした。
「これからね」
「それでは」
「ええ、舞台の用意ね」
「お願いします」
 こうお話してそうしてでした。
 皆でそれぞれ本人さんを演じることにしました、ですが。
 衣装を着てメイクをする時になってです、オジョはメイクをする中で言いました。
「しかしね」
「しかしっていいますと」
「いや、自分自身を演じるけれど」
 それでもとです、そのメイクを見て神宝に言います。
「何でメイクをするのかな」
「ああ、それはです」
 まさにとです、神宝はオジョに答えました。
「京劇ですから」
「だからなんだ」
「はい、メイクとです」
 京劇のそれと、というのです。
「お面はです」
「絶対なんだ」
「そうなんです」
「私もね」
 見ればビリーナもでした。
「色々ゴテゴテ付けてるわね」
「京劇だからね」
「ありのまま出ないのね」
「それじゃあ舞台映えしないからね」
「何かね」
 ビリーナは鏡に映る自分の姿を見て言いました。
「今の私孔雀みたいよ」
「僕もだよ」
 中華街に来てからは静かだったトトも言います、見ればトトも派手に飾られていて普段の倍の大きさがあります。
「この通りだよ」
「君も凄い恰好だね」
「動きにくいよ」
「まさかね」
 また言うオジョでした。
「こうした格好するなんてね」
「マンチキンの服からですね」
「うん、中国の服を着るなんてね」
「想像していませんでしたね」
「全くね」
 そうだったというのです。
「僕もね」
「ですが似合ってますよ」
「そうだったんだ」
「はい、美形の役ですし」
「いいんだね」
「そう思います」
「旗抱よりもっと凄い恰好になるなんて」
 ドロシーも言います。
「流石にね」
「想像していませんでしたね」
「ええ、けれどね」
 れでもというのです、ドロシーは笑顔で言いました。
「ワクワクするわね」
「舞台に出るからですね」
「とてもね、それにね」
「それに?」
「京劇に出ることははじめてだから」
 このジャンルの舞台にはというのです。
「なおさらよ」
「そうですか」
「とてもワクワクしているわ」
 オジョにこうも言います。
「今の私はね」
「そうなんですね」
「しかも私自身を演じるなんて」
 このこともというのです。
「楽しみだわ」
「そうなんですね」
「メイクもね」
「あのーーですーーね」
 チクタクが言ってきました。
「私自身ーーというーーのに」
「貴方はお面付けてるわね」
「何故ーーでしょうーーか」
「それはね」
 どうかとです、ドロシーはチクタクに答えました。
「今お話している通りにね」
「京劇ーーだからーーですーーか」
「京劇は役によってね」
「メイクーーをしてーーですーーね」
「お面を被るものよ」
「だからーーですーーか」
「貴方はお面を被る役になっているから」 
 それでというのです。
「被るのよ」
「そうーーですーーか」
「そういうことでね」 
 納得してというのです。
「いいわね」
「わかりーーましーーた」
「それじゃあね」
 こうしてでした、チクタクもです。
 舞台に出ることにしました、ですが。
 ここでオジョがこう言いました。
「京劇は女の人が出てもいいんだね」
「昔は女形があったんですが」
「そこは歌舞伎と同じだね」
「今は女優さんがです」
 普通にというのです。
「出ていまして」
「それでなんだ」
「別にです」
 これといってというのです。
「おかしくないです」
「そうなんだね」
「はい、ですから」
「オズマ姫やドロシーさんが出てもだね」
「いいんです」
「そうなんだね」
「そこは気にしないで」
 それでというのです。
「やっていきましょう」
「それじゃあね」
「それとです」
 神宝はオジョにさらにお話しました。
「出るのは僕達だけですね」
「それがどうかしたのかな」
「面白いですね」
「オズの国だけの京劇だからなんだ」
「そんな作品もあるんだって、しかも僕達が役になっているなんて」
 このこともというのです。
「面白いですね」
「うん、自分自身を演じるなんてね」
「そうそうないですよね」
「関羽さん達もこうした気持ちだったのかな」
「不思議でそれでいて面白いですね」
「そんな気持ちだよ」
 今はとです、オジョは神宝に答えました。
「本当にね」
「そうですよね」
「自分自身を演じるなんて」
「本当に滅多にないことですし」
「面白いね」
「ええ、では」 
 神宝はあらためて言いました。
「僕達自身を演じましょう」
「そうしていこうね」
「自分自身を演じることはね」
 オズマも笑って言います、オズマも旗抱よりも派手な格好になっています。そしてメイクもかなりのものです。
「自然にしていけばいいけれど」
「それでもですか」
「人に観てもらうから」
「演じることですね」
「自分自身を理解してね」
 そしてというのです。
「そのうえでね」
「そうしていくものですか」
「そう思うわ」
 こうオジョにお話します。
「私達はね」
「そうなんですね」
「そう、だからね」
「これからですね」
「やっていきましょう」
「それでは」
「ええ、今からね」
 こう言ってでした。皆は舞台に出ました。そうしてです。
 皆で演じます、その中でです。
 ドロシーは舞台から出た時に五人に言いました。
「いい?こうした衣装だからね」
「汗かきますね」
「しかも動きますし」
「余計に汗かきますから」
「だからですね」
「水分補給もですね」
「忘れないでね」
 こちらもというのです。
「いいわね」
「はい、そうします」
「そこは絶対ですね」
「ちゃんとしておいて」
「舞台をやっていくことですね」
「水分補給も忘れないで」
「そうしてね」
 言いながらです、ドロシー自身お水を飲みます。そうしてです。
 お水を飲んでからこう言いました。
「こまめに摂っていきましょう」
「わかりました」
「僕達もそうします」
「飲んでです」
「そしてです」
「舞台に戻ります」
「貴方達は今は舞台に出ていないけれど」
 それでもというのです。
「すぐに出るわね」
「五人全員で出ます」
「それでオズマ姫と一緒にお芝居します」
「そうします」
「だから今のうちにですね」
「水分を摂っておくことですね」
「オズマもね」
 主役である彼女もというのです。
「水分摂らないとね」
「そうですよね」
 神宝は舞台の方を見てドロシーに応えました。
「あの人は特にですね」
「ええ、主役でね」
「一番舞台に出ておられて動かれて」
「喋っているから」
 だからだというのです。
「本当にね」
「尚更ですね」
「水分を摂って」
 そしてというのです。
「頑張ってもらわないとね」
「駄目ですね」
「そう、だからね」
「オズマ姫にもですね」
「こうお話してね」
 そしてというのです。
「頑張ってもらうわ」
「それじゃあね」
「それとね」
「それで、ですね」
「お水とね」
 それと一緒にというのです。
「塩分もね」
「摂ることですね」
「貴方達もオズマもね。そこはちゃんとしてね」
「そうします」 
 神宝も他の子達も答えました、そうしてです。
 舞台を演じていきました、その舞台が終わるとです。
 皆挨拶をします、拍手は文字通り万雷の如きでした。
 その拍手と最後の挨拶の後で、です。オジョは皆に提案しました。
「関羽さんも玄奘さん達も入れて」
「どうするの?」
「記念撮影をしませんか?」
 こうオズマに言うのでした。
「舞台衣装のままで」
「あっ、舞台が終わったし」
「僕達がこうした格好するなんて」
「滅多にないことだし」
「記念にどうですか?」
「いいわね」
 オズマはオジョのその提案ににこりと笑って答えました。
「それじゃあ今からね」
「はい、舞台衣装のままで」
「皆で集まってね」
「写真を撮りましょう」
「じゃあ関羽様や孫悟空さん達も」
 神宝もオジョの提案を受けて言います。
「僕達のところに来て下さい」
「そしてだな」
「はい、一緒に撮りましょう」
「それではな」
「そうしましょう」
 こうして関羽さん達も一緒にでした。
 舞台の後の記念撮影を撮りました、その後で皆楽しく中華街全体でパーティーを開きました。歌に踊りそして美味しいものが一杯あるそれはとても楽しいものでした。


オズのオジョ   完


                   2020・7・11








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