『新オズのオジョ』




               第二幕  凄く美味しいお料理が

 皆は旅をはじめて最初のお昼ご飯を食べました、オズマが出したテーブル掛けを皆で囲んでいます。
 そのメニューを見ておじょは笑顔で言いました。
「今回は中華料理なんですね」
「ええ、飲茶にしたの」
 オズマはオジョににこりと笑って答えました。
「関羽さん達のお話をしていてこれならって思って」
「それで、ですね」
「そうなの。じゃあ今からね」
「皆で食べるんですね」
「そうしましょう」
「それじゃあ」
 オジョはオズマの言葉に笑顔で応えてでした。
 皆でいただきますをしてから食べます、見れば海老蒸し餃子にフカヒレ蒸し餃子、蟹焼売に中華ちまきにピータン、肉饅に中華風サラダ、小龍包に海老の唐揚げ、麻婆豆腐に海鮮麺、八宝菜、チンジャオロース、炒飯と色々あります。 
 そのメニューを見てボタンは言いました。
「これ全部食べていいの?」
「好きなものをね」
 オズマはボタンにも答えました。
「食べていいのよ」
「凄いね」
「好きなだけそうしていいの」
「どれから食べようかな」
 ボタンは迷う言葉も出しました。
「一体」
「何ていうかね」 
 ビリーナもそのメニューを見て言います。
「量だけでなく種類も沢山あって迷うわね」
「そうでしょ、けれどそうした時はね」
「迷うならよね」
「もう自分がまず食べたいものを食べて」
 そしてというのだ。
「その後でね」
「また食べたいものを食べればいいわね」
「ええ、そうしたらいいわ」
 こうビリーナに言うのでした。
「自分がまず食べたいものを食べるの」
「そうね、ただあたしはね」
「ええ、ビリーナはこれよ」
 彼女の前にある豆をごま油で炒めたものを見てお話します。
「食べてね」
「そうさせてもらうわね」
 ビリーナも頷いてでした、そのうえで。
 お豆を食べます、そうしてでした。
 他の皆は飲茶を楽しみました、その中でオジョはお茶を飲みました。そうしてこんなことを言うのでした。
「やっぱりね」
「どうーーしました」
「いや、飲茶は食べてね」
 チクタクに応えるのでした。
「こうしてね」
「お茶もーーですーーね」
「飲んでね」
 そうしてというのです。
「楽しむものだよ」
「そうなのーーですーーね」
「うん、お酒を飲む場合もあるけれど」
 この場合はといいますと。
「僕はアルコールなしでもお酒よりもね」
「お茶ーーですーーか」
「それかジュースだね」
 こちらの場合もあるというのです。
「そうしたものを飲みながらね」
「楽しむーーのーーですーーね」
「うん、中国茶も美味しいね」
「中国のお茶っていうと烏龍茶だと思っていましたけれど」
 恵梨香も中国茶を飲みつつ言います。
「違うんですね」
「中国のお茶の一つに過ぎないね」
 ジョージも中国茶を飲んでいます、そのうえでの言葉です。
「烏龍茶は」
「中国もお茶の種類が多いわよ」
 ナターシャが飲んでいるのは紅茶です。
「日本以上かも知れないわね、その種類は」
「元々お茶の国だし」
 カルロスはアイスコーヒーを飲んでいます、そのうえでの言葉です。
「種類も多いね」
「うん、お茶の種類多いよ」
 実際にとです、神宝は中国茶を飲みつつ答えました。
「中国は」
「そうよね」
「だから烏龍茶だけじゃないね」
「他にも沢山の種類があって」
「それで飲んでるんだね」
「そうなんだ、だから今はね」
 神宝は今度は海鮮麺を食べてお話しました。
「このお茶を飲もうね」
「ええ、お茶は他にも出せるから」
 オズマも言ってきます、オズマは薬膳茶を飲んでいます。
「何でも言ってね」
「そうさせてもらいます」
「お茶を飲んで」
 そしてというのです。
「今出しているものを楽しんだら」
「その後は、ですね」
「杏仁豆腐を出すわね」
「そちらはデザートですね」
「そうよ」 
 その通りだというのです。
「そちらを出すから」
「だからですね」
「今はこのメニューを楽しみましょう」
「わかりました」
 神宝はオズマの言葉にも頷いてでした、そのうえで。
 皆で餃子も麺も炒飯も食べました、気付いた時にはテーブル掛けに出していたお料理は全部なくなっていました。そしてです。
 最後の杏仁豆腐を食べてオジョはこんなことを言いました。
「ここまで食べてね」
「満足ですか」
「お腹一杯だよ、というかね」
「というか?」
「僕中華料理が大好きなんだよね」
「そうなんですか」
「色々好きな食べものはあるけれど」
 それでもというのです。
「中華料理もね」
「大好きで、ですね」
「それでね」
「満足されたんですね」
「それで最後の杏仁豆腐も」 
 こちらもというのです。
「楽しんでいるよ」
「そうですか」
「飲みものも飲んで」
 そしてというのです。
「楽しむんだ」
「そうされますか」
「うん、それとね」
「それと?」
「魔法使いさんやグリンダさんは中華料理を食べる時お酒を飲むけれど」
 そのお酒はといいますと。
「赤ワインが多いんだよね」
「あっ、何か中華料理にはです」
 神宝はオジョの言葉に気付いた表情で答えました。
「結構です」
「赤ワインが合うんだ」
「そうみたいでして」
 それでというのです。
「魔法使いさん達もです」
「赤ワイン飲むんだね」
「美味しそうに飲まれていますね」
「うん、見るとね」
「ワインは欧州のお酒ですが」
「中華料理にも合うんだね」
「そうみたいですね、お肉や麦もよく使いますから」
 中華料理はというのです。
「合うみたいですね」
「そうなんだね」
「僕達もアルコールの入っていないワイン飲みますけれど」
「合うんだ」
「はい、これが」
 実際にというのです。
「飲んで思いました」
「実際にだね」
「中華料理とも合いますね」
「そうなんだね、僕はお酒は飲まないからね」
「アルコールが入っていなくてもですね」
「さっき言った通りお茶やジュースが好きだからね」
 それでというのです。
「飲むならね」
「そちらですね」
「そうなんだ」
 お茶やジュースだというのです。
「コーラやカルピスも好きだよ」
「僕はジュースがいいよ」
 ボタンはあどけないお顔で言いました、見れば今回の食事では実際に甘いジュースばかり飲んでいます。
「オレンジや林檎のね」
「ボタンはそうだよね」
「それか牛乳だね」
「牛乳も確かにいいね」
「うん、それを飲んで」
 そしてというのです。
「楽しんでいるよ」
「そうだね、君は」
「甘い飲みものか牛乳だよ」 
 ボタンは自分の好きな飲みもののお話をさらにいます。
「そしてね」
「そして?」
「苦い飲みものは苦手なんだ」
「コーヒーとかはだね」
「うん、甘いものじゃないとね」 
 どうしてもというのです。
「苦手だよ」
「そうなんだね」
「僕はコーヒーは好きだけれど」
 それでもとです、オジョは言いました。
「ボタンは苦手だろうね」
「わかるんだ」
「だって甘いものが大好きだからね」
 それでというのです。
「そのことはわかるよ」
「そうなんだ」
「それじゃあ皆で食べて飲んで」
「そしてだね」
「先に進んでいこう」
「早くオジョさんのお家に行って」 
 神宝はここでこう言いました。
「そしてね」
「そのうえーーでーーですーーね」
「オジョさんの心配ごとを解決しよう」
 チクタクにも言います。
「是非ね」
「その心配ごとは何なの?」
 このことを聞いたのはボタンでした。
「そういえば」
「そのことまだ聞いていないわね」 
 ビリーナも言ってきました。
「全然ね」
「そうだったね、僕達は」
「ここでちょっと聞きたいけれど」
「どうしたの?」
「笹のことなんだ」
 オジョはボタン達に答えました。
「家の近所のね」
「笹?」
「うん、竹の木にお花が咲いて」
 そしてというのです。
「笹の葉が枯れるんだ」
「竹ってお花咲くんだ」
「うん、それでね」
 そのうえでというのです。
「お花が咲いたら笹が枯れるんだ」
「そうなんだ」
「それで近所にパンダさんがいるけれど」
「そのパンダさんがなんだ」
「困っているんだ」
「あっ、パンダさんは笹を食べるね」
 ボタンも言われてこのことを思い出しました。
「そういえば」
「そう、だから笹が枯れるとね」
「困るね」
「だからね」
 それでというのです。
「僕に困ったって言ってくれて」
「それでなんだ」
「相談してくれてね」
 それでというのです。
「僕もオズマ姫に連絡してね」
「エメラルドの都に呼ばれたんだ」
「そうだったんだ」
 まさにというのです。
「それでなんだ」
「それじゃあ」
「そう、それでね」
 今はというのです。
「何とかして欲しいんだ」
「成程ね、オズマ姫はそのことを聞いていたのかしら」
「ええ、お話を聞いてね」 
 それでとです、オズマはビリーナに答えました。
「それでオジョを都に来てもらってね」
「魔法で一瞬でなのね」
「それでね」
 そのうえでというです。
「お話を詳しく聞いて」
「道案内もなのね」
「してもらっているの」
「そうなのね」
「そう、それで笹のことはね」
「何とかなるのね」
「私の魔法ならね」
 それを使えばというのです。
「お花は咲いたままでもね」
「笹は枯れないで済むのね」
「パンダさんも困らないわ」
「それは何よりね」
「今は枯れていないから」 
 だからだというのです。
「ここに来るまでね」
「それまでだね」
「途中の問題を解決するわ」
 そうするというのです。
「先に行きながらね」
「何かあるのね」
「実は途中困っている人や壊れた道があるから」
「そうした人を助けてあげて」
「それで道もなおすのね」
「そうするから」
「オジョのお家まで歩いて進んでいくのね」
「そうなの、前から何とかしようと思っていたし」 
 だからだというのです。
「冒険の旅に出たのよ」
「ただ中華街を訪問するだけじゃないのね」
「それまでにやらないといけないことがあるから」
「オズの国の国家元首として」
「それでなのよ」
「そこまで考えることは流石ね」
 まさにとです、ビリーナはオズマのその言葉に頷きました。
「オズマ姫だわ」
「そう言ってくれるのね」
「実際にそう思ったからね」
 だからだというのです。
「冒険に出たの」
「そういうことね」
「困っている人を助けて」
 そしてというのです。
「道が壊れていればなおす」
「それも政治ね」
「オズの国の皆を幸せにすることが政治で」
 それでというのです。
「政治が私のお仕事よ」
「そういうことね」
「そう、それとね」
「それと?」
「一つ思うことは」 
 それは何かといいますと。
「私達ってね」
「ええ、どうしたの?」
「冒険に出る時いつも思うけれど安全になったわね」
「ああ、オズの国も昔はね」
 ビリーナはオズマのその言葉に頷いて言いました。
「もっとね」
「危険があったわね」
「危ない場所や生きものも多くてね」
「どうなるかっていう時もあったわね」
「ピンチの連続とかね」
 まさにというのです。
「多かったわね」
「そうだったわね」
「それが物凄く安全になったわね」
「それはやっぱりですね」
 オジョがお茶を飲みつつ言ってきます。
「オズマ姫の政治のお陰ですよ」
「それでなの」
「オズマ姫と他の人達が力を合わせて政治をしてオズの国をよくしてくれて」
 そうしてくれてというのです。
「オズの国はです」
「よくなったのね」
「はい、ですから」
 オジョはさらにお話します。
「凄く安全になりました」
「そうなのね」
「それとです」
 オジョはオズマにさらにお話します。
「皆昔に比べて穏やかになりました」
「危険な生きものもね」 
 ビリーナはオジョに応えました。
「そうなったわね」
「カリダにしてもね」
「妖魔達にしてもね」
「昔は凄く凶暴だったのに」
 それがというのです。
「それが普通にね」
「穏やかになったわね」
「皆がそうなって」
「そこからも平和になったわね」
「皆が穏やかなら」
「自然とそうなるわね」
「うん、中に物凄く好戦的な人がいたら」
 その場合はというのです。
「大変なことになるよ」
「昔のノーム王がそうでしたね」
 ここで神宝が言ってきました。
「やたら攻めよう、戦争をしようって」
「オズの国を自分のものにしよとね」
「そうした人がいますと」
「やっぱり平和じゃなくなってね」
「安全でもなくなりますね」
「そのノーム王もね」
「王様が代わりましたし」
 その王様はといいますと。
「ラゲドー氏からカリフさんになって」
「カリフさんは最初から比較的穏やかでね」 
 それでというのです。
「今はその最初より遥かにね」
「穏やかになりましたね」
「だからね」 
 それでというのです。
「オズの国全体がね」
「平和になったんですね」
「昔よりもさらにね」
「それで安全にもですね」
「なったんだよ」
 こう神宝にお話します。
「有り難いことにね」
「本当に有り難いことですね」
「平和と安全はね」
 この二つはといいますと。
「オズマ姫の政治のお陰でオズの国最大の財産のうちの二つだと思うよ」
「若し平和で安全でないなら」
 それならとです、神宝は俯いて言いました。
「本当にそれだけで」
「悲しいことだよね」
「そうですよね」
「だからオズマ姫の政治はね」
「素晴らしいんですね」
「オズの国を物凄く平和と安全にしてくれて」 
 そしてというのです。
「それを守ってくれているからね」
「そうですね」
「しかも皆食べるものも飲むものも」
 そうしたものはといいますと。
「好きなものを好きなだけ口に出来てね」
「そのことも素晴らしいですね」
「服もあって住む場所もあるから」
「尚更幸せですね」
「僕もそうだしね」
 他ならぬオジョ自身もというのです。
「好きなものを食べて飲んでね」
「好きな服を着てですね」
「好きな家に住んでいるから」
 だからだというのです。
「とても幸せだよ、お友達も大勢いるしね」
「本当に幸せなんですね」
「趣味も満喫しているし」
「オジョさんの趣味は何ですか?」
「畑仕事に読書にゲームだよ」
 こうしたものがオジョの趣味だというのです。
「バスケットボールの観戦もね」
「バスケットボールお好きですか」
「大好きなんだ」
 これがというのです。
「こちらも楽しめるからね」
「だからですね」
「僕は本当に幸せだよ」
 心から言うのです。
「何かとね」
「そうなんですね」
「うん、だからね」
 オジョはさらに言います。
「いつも満足していてね」
「幸せですね」
「そうなんだ、だからこそね」
「パンダさんのことはですね」
「心配でね」
 それでというのです。
「どうにかならないかって思って」
「オズマ姫にもですね」
「お話出来てよかったと思ってるよ」
「それでパンダさんがタスからですね」
「そう思っているよ」
「自分が幸せならですか」
「人の不幸に気付いてね」
 それでというのです。
「助けられるのかもね」
「そういうものですか」
「僕はそうした人間かもね」
「それは違うと思うわ」
 お話するオジョにです、オズマは微笑んでこう言いました、
「人が困っていることに気付いている人は自分がどうでも気付けるのよ」
「そうなんですか」
「そしてどうにかしようって思う人はね」
「どんな状況でもですか」
「気付いてね」  
 そうしてというのです。
「助けられるのよ」
「僕はそうした人ですか」
「私はそう思うわ」
「そうですか」
「今もボタンや神宝達に美味しいものを勧めているしね」
 見ればそうしています、オジョは子供達に美味しいと思った食べものも美味しいから食べてと言って勧めています。オズマもそれを見て言います。
「もうそこにね」
「出ていますか」
「ええ、だからね」
 それでというのです。
「オジョは自分がどんな状況でも人が困っていることに気付いて助けられるわよ」
「実際にいい人だよ、オジョは」
 ボタンもこう言います。
「僕から見てもね」
「そうなんだ」
「今も餃子勧めてくれてるし」
 美味しいからとボタンのお皿に置いています。
「それを見たらね」
「そうなんだね」
「オジョと一緒になったことはあまりなかったけれど」
 ボタンはこれまでオジョとは何度か会っただけなのです。
「それでも今よくわかるよ」
「だといいけれどね」
「だからパンダさんも助けられるんだよ」
「僕はお願いをしただけだよ」
「そのお願いをするだけでも違うよ」
「そうなのかな」
「自分でーー出来ないーーことなら」
 チクタクは機械の身体なので何も食べる必要がありません、ですがいつも通り皆が飲んで食べて笑顔になるところを見て心の栄養を得ています。それでこの場にいてそれでオジョの今の言葉に応えたのです。
「政治でーーとーーなります」
「それでなんだ」
「オジョさんがーーお願いーーしたーーことーーは」 
 このことはといいますと。
「パンダさんにーーとってーーいいことーーです」
「そうなんだね」
「パンダさんがーー助かるーーので」
「そうよ、一人で出来ないことは皆でして」
 オズマがまた言います。
「国としてそれを行うことが政治でね」
「パンダさんのこともですか」
「助けるのが政治よ、だからね」
「僕がお願いしたことはですね」
「いいことでね」
 それでというのです。
「オジョならではよ」
「人が困っていることに気付いて、ですか」
「助けられる人よ」
「そうなんですね」
「その貴方も棒県の旅に一緒で」
 オズマは笑顔でこうも言いました。
「嬉しいわ」
「そうも言ってくれますか」
「心からね」
 にこりと笑って言うオズマでした、そうしたお話をしつつです。 
 皆で楽しく飲茶を食べて最後に杏仁豆腐も食べて、でした。皆は冒険を再開しました。そうして歩いていますと。
 目の前の川の橋が壊れていました、神宝はその橋を見て言いました。
「この橋が」
「ええ、壊れている橋でね」
 オズマが答えます。
「私が修理すべき橋よ」
「そうなんですね」
「橋が壊れていると川を渡れないわね」
「そのままでは無理ですね」
「泳ぐか船で渡るか」
「見たところ船はないですね」
「泳ぐしかないけれど」 
 橋がない川を渡るならです。
「泳げない人は困るし服を脱いで泳がないと濡れるし」
「色々困りますね」
「だからね」
「橋は必要ですね」
「そう、だからね」 
 それでというのです。
「これから橋を修理するわね」
「魔法で、ですね」
「そうするわ」
 オズマは神宝に笑顔で応えました、そうしてです。
 先のエメラルドで造った星のジュエルがある白い五十センチ位の長さのステッキを出してそうしてでした。
 橋に向けて一振りするとでした、ジュエルから虹の光が出てでした。
 壊れている橋に光が当たって橋全体を光で包んで。橋は一瞬で修理されました。神宝はそれを見て言いました。
「凄いですね、一瞬でなおりましたね」
「ええ、魔法を使うとね」
「壊れた橋も一瞬でなおるんですね」
「オズの国で魔法は私とグリンダ、魔法使いさんしか使えないけれどね」
「その魔法を使うとですね」
「この通りね」
 まさにというのです。
「一瞬で修理されるのよ」
「そうなんですね」
「だからね」
 オズマはさらに言います。
「魔法はこうした時に使わないとね」
「困っている人の為にですね」
「人が困ることならちゃんとする為にね」
「そういうことですね」
「そう、それでね」
 オズマはさらに言います。
「先に進んでいきましょう」
「壊れた道もありましたね」
「そちらのこともね」
 まさにというのです。
「魔法でちゃんとしていきましょう」
「それじゃあ」
 神宝はオズマの言葉に頷きました、そうして皆で橋を渡りました。ビリーナは橋を渡ってから言いました。
「いい橋だったわね」
「橋を渡ると素敵な音楽が聴こえたね」
 ジョージがビリーナに笑顔で言いました。
「しっかりした頑丈さだけでなくて」
「渡りはじめて渡り終えるまで音楽が聴こえて」
 カルロスはにこにことして言います。
「素敵な気持ちだったよ」
「いい曲だったわね」
 恵梨香は音楽自体について言及します。
「上品でそれでいて明るくて」
「何処かで聴いた曲だったけれど」
 ナターシャは首を傾げさせて言いました。
「誰の何て曲だったかしら」
「確かモーツァルトの曲だよ」
 神宝が四人にお話しました。
「フィガロの結婚の序曲だよ」
「あっ、去年授業で習ったよ」
「歌劇だったね」
「授業で習って聴いていたのね」
「何処でかしらと思ったら」
「うん、いい曲だよね」 
 神宝もこう言います。
「実際に」
「ええ、モーツァルトさんの音楽はオズの国でも広く愛されているから」
 だからだとです、オズマが言ってきました。
「その曲にしたの」
「橋を渡った時に聴こえる曲はですね」
「そうなの」
「そうだったんですね」
「ちなみにモーツァルトさんもオズの国におられるわよ」
「そうなんですか」
「皆を幸せにしてくれる人だから」
 その音楽でというのです。
「しかもずっと子供の心を持っている人だから」
「そのこともあってですか」
「オズの国におられてね」
 そしてというのです。
「今も作曲をして皆を幸せにしてくれているの」
「その音楽で」
「そうなの、とても純真で明るい人よ」
「ただね、あの人ちょっと品のない冗談が好きなのよね」
 ビリーナはこのことについてはどうかという感じです、橋を渡った一同は黄色い煉瓦の道を進んでいっています。
「どうにも」
「そこは困ったことだけれど」
「ええ、それでもね」
「悪い人かどうかっていうと」
「絶対にいい人よ」
「悪いことはしないから」
 確かに冗談は品がないにしてもというのです。
「それでもね」
「いい人ね」
「モーツァルトさんもこの世界に来られてるんですね」
 神宝の言葉はしみじみとしたものでした。
「そうなんですね」
「オズの国は皆を幸せにしてくれた人が来る世界だからよ」
「それで、ですね」
「ボームさんも来られているし」
 ずっとオズの国のことを皆に教えてくれた人です、今はオズの国にいて毎日とても楽しく暮らしています。
「ベーブ=ルースさんもエジソンさんもでしょ」
「それでモーツァルトさんもですね」
「そして関羽さんもね」
 これからお会いすることになるこの人もというのです。
「とても強くて優しくて聡明な人でしょ」
「身分が低い人には凄く優しかったらしいです」
「そうした人でもあったからよ」
「あの方も来られてるんですね」
「そうなのよ」
 オズの国に来ているというのです。
「そうしているのよ」
「そうなんですね」
「そう、そしてね」
 オズマは神宝にさらにお話しました。
「他の人達もよ」
「皆を笑顔にしてくれた人はですね」
「オズの国に来てね」
「今はオズの国の住人ですね」
「市民になっているのよ」
「それもまたオズの国ですね」
「そうよ、それで私もモーツァルトさんの曲を知っていて」
 それでというのです。
「橋を渡った時に聴こえる音楽にしたの」
「そうだったんですね」
「オズの国は歌劇場もあるしね」
 こちらの場所もというのです。
「それぞれの国でね」
「エメラルドの都のものは凄いですね」
 オジョはこちらの歌劇場のお話をしました。
「中に入っても」
「そうでしょ、外観も立派だけれど」
「内装も観客席も凄いですね」
「舞台もね」 
 こちらもというのです。
「全部凄いでしょ」
「はい、本当に」
「歌手もオーケストラの人も凄くて」
 そしてというのです。
「指揮者の人も凄いのよ」
「誰ですか?指揮者は」
「フルトヴェングラーさんやトスカニーニさんよ」
「何でも外の世界で凄い指揮者だったらしいわ」
 ビリーナもオジョにお話します。
「お二人外の世界では凄く仲が悪かったらしいけれど」
「今はどうなのかな」
「和解して普通の関係になってるわ」
「オズの国だからだね」
「そう、そのことはね」
「オズの国は争いのない国だから」
「それでよ」
 まさにオズの国だからだというのです。
「そうなったのよ」
「それでお二人がだね」
「主に指揮をしてくれていて」
 それでというのです。
「指揮者もいいのよ、モーツァルトさんも指揮するしね」
「あれっ、モーツァルトさん指揮出来るんだ」
「そうだったんだ」
「作曲だけじゃなかったんだね」
「ピアノは弾けるって聞いていたけれど」
「指揮も出来たの」
 神宝達五人もこのことには驚きました。
「音楽の天才って聞いていたけれど」
「指揮者でもあったのね」
「僕はじめて聞いたよ」
「僕もだよ」
「そちらの才能もあった人なんだ」
「作曲をしているならその音楽もわかっているわね」
 オズマは五人にこうお話しました。
「それでなのよ」
「だからですか」
「それで、ですか」
「モーツァルトさん作曲だけじゃないんですか」
「ピアノも弾くことが出来て」
「指揮も出来るんですね」
「そうよ、モーツァルトさんが作曲した作品をモーツァルトさん自身が指揮するの」
 そうするというのです。
「凄いことでしょ」
「夢みたいですね」
「物凄いお話ですね」
「そんなこともあるなんて」
「流石オズの国ですね」
「お伽の国ですね」
「そう、お伽の国だから」
 まさにそれが為にというのです。
「そうしたこともあるのよ」
「オズの国は外の世界とは全く違うっていうしね」
 オジョも五人に笑顔でお話します。
「だからね」
「こうしたこともですね」
「普通にあるんですね」
「オズの国だから」
「そういうことですね」
「外の世界と違うんですね」
「そういうことなんだ、だからその機会があったら」
 モーツァルトさん自身が指揮するモーツァルトさんの作品を聴くこともとです、オジョはお話しました。
「楽しんでね」
「そうさせてもらいます」
「夢みたいなお話ですよね」
「そんなことを見られるなんて」
「それじゃあその時は」
「心からそうさせてもらいます」
「是非共ね、じゃあさらに先に行こうね」
 オジョは皆の先頭に立ってでした。
 皆を案内してくれます、すると今度はです。
 前から四匹の虎が来ました、二匹は大きくて二匹は小さいです。神宝達五人はその彼等を見て一瞬驚きましたが。
 すぐにです、こう言いました。
「ああ、オズの国だから」
「別に襲われないね」
「例え虎でもね」
「だから別に怖がらなくてもいいわね」
「考えてみれば」
「はいーー驚かれるーーことはーーありまーーせん」
 チクタクも五人に言います。
「外の世界ーーではーーないですーーから」
「そうだよね、虎はね」
 神宝がチクタクにお話します。
「外の世界じゃ凄く怖いね」
「猛獣ーーですーーね」
「だからね」
 それでというのです。
「怖いって思ったけれど」
「襲われーーないーーので」
 オズの世界ではというのです。
「安心してーー下さい」
「腹ペコタイガーさんと同じだよ」
 見ればボタンも驚いていません。
「だからね」
「怖がらなくてだね」
「普通に進んでいけばいいよ」
「そうなんだね」
「僕虎もライオンも怖いと思ったことないよ」
「オズの国だからだね」
「外の世界のことは殆ど知らないけれど」
 それでもというのです。
「虎はね」
「怖がることはないね」
「そうだよ」 
 全く、というのです。
「だからこのまま行こう」
「それじゃあね」 
 神宝はボタンの言葉にも頷きました、そうしてです。
 前から来る虎達に向かいます、お互いに自然に道を開けます。ここでお互い左通行になりますがこの時もです。
 ふと五人は気付いたお顔になって言いました。
「オズの国はアメリカが反映されるからね」
「左側通行なんだよね」
「日本にいると右側通行だけれど」
「オズの国は左側ね」
「こちらの通行ね」
「あっ、そのことはね」
 まさにとです、オジョは五人に言いました。
「日本から来た人や妖怪の皆が言うね」
「そうなんですね」
「オズの国は左側通行だって」
「日本の特徴の一つですよね」
 神宝は今自分達がいる国のことからお話しました。
「右側通行は」
「あと郵便ポストは赤いっていうね」
「日本はそうですね」
「けれどオズの国は違うからね」
「アメリカが反映されるからですね」
「だからね」
 その為にというのです。
「そうなるんだ」
「そういうことですね」
「うん、色々な国の文化が入っているけれど」
「やっぱりアメリカが反映される国ですね」
「それがオズの国なんだ」
 このことはどうしてもというのです、そうお話してです。
 一行は虎達と擦れ違いました、この時にです。
 虎達は歩きながら一行に会釈しました、そしてオズマに挨拶しました。
「こんにちは、オズマ姫」
「お会い出来て何よりです」
「ええ、こちらこそ」
 オズマも笑顔で言葉を返します。
「お会い出来て何よりだわ」
「はい、ではまたお会いする時に」
「その時を楽しみにしています」
 笑顔でお話してでした。
 虎達は一行と別れました、その間剣呑な空気は一切ありませんでした。神宝はそのことも見て言いました。
「やっぱりオズの国なんだなと」
「あらためて思ったでしょ」
「うん、生きものも喋ってね」
 ビリーナに応えます。
「そしてね」
「別に襲われなくてね」
「オズマ姫を慕っているんだね」
「彼等もオズの国の住人よ」
「だからだね」
「そう、オズの国の市民だから」
 その為にというのです。
「オズマ姫を慕っているのよ」
「それで礼儀正しく挨拶もするんだね」
「そういうことよ」
「成程ね」
「それとね」
 ビリーナはさらにお話しました。
「あの虎達が家族なのはわかるわね」
「大きいのが二匹、小さいのが二匹でね」
「多分旅行かお散歩よ」
「それをしているんだ」
「そう、その時にね」
「僕達と擦れ違ったんだね」
「それだけのことよ」
 そうだというのです。
「だから最初からね」
「怖がることはなかったね」
「オズの国にいたらそうよ」
「そういうことだね」
「そもそも皆お腹空いていないから襲わないわよ」
 食べるものがあるからだというのです。
「別にね、もうその辺りにお弁当の木があるでしょ」
「そこで食べられるからだね」
「ええ、好きなものをね」
 だからだというのです。
「それで何時でも好きなだけ食べられるから」
「それでだね」
「ほら、ここにもあるでしょ」
 丁度道の横に木がありました、もうマンチキンの国に入っていて木の葉は青くなっています。草原も同じです。
 そしてその木にはです。
「お弁当が沢山あるでしょ」
「お弁当の木だね」
「もう道の横に一定の距離であるから」
「ここで食べられるんだね」
「果物の木や飲みものの木もあるわよ」
 そうしたものもあるというのです。
「お菓子の木もね」
「凄いね」
「オズマ姫が植えさせたのよ」
「これも政治なのかな」
「そうよ、旅をする皆がお腹が空かない様にね」
 その為にというのです。
「植えてもらったの」
「そうですか」
「そう、そしてね」
 そのうえでとです、オズマは神宝にお話しました。
「あの虎さん達もよ」
「お弁当を召し上がられたんですね」
「そうよ」
 まさにというのです。
「これがね」
「そうですか」
「だから私達もね」
「お弁当を頂くことも出来ますね」
「そうよ、だから晩ご飯の時は」  
 その時はというのです。
「お弁当もいいわね」
「そうですね、それじゃあ」
「その時はそれぞれ好きなお弁当を好きなだけ食べましょう」
 こう言ってです、そのうえででした。
 今は皆で楽しく先に進んでいきました、晩ご飯のことを決めたうえで。
 その時にオジョがこんなことを言いました。
「僕はサンドイッチがいいかな」
「晩ご飯は、ですか」
「うん、今そう思ったよ」
 こう神宝にお話しました。
「オズマ姫のお話を聞いてね」
「そうですか、サンドイッチですか」
「神宝は食べるかな、サンドイッチ」
「はい、中国でも食べていて日本でもです」
「食べているんだ」
「それでオズの国でも時々」
 こちらでもというのです。
「そうしています」
「そうなんだね」
「手軽でしかも美味しいですね」
「中に色々入れられてね」
「素敵な食べものですよね」
「うん、まさに砂と魔女以外は挟めて食べられる」
「サンド、砂とウィッチ、魔女ですね」
 神宝もすぐに応えました。
「挟んで食べられますね」
「砂は誰も食べられないしね」
「魔女はとてもですね」
「食べられるものじゃないよ」
「そういうことですね」
「うん、じゃあ晩ご飯は僕はサンドイッチを食べるよ」
 笑顔でこう言ってでした、オジョは先に先にと進んでいきました。その彼に案内されて皆もそうしていきます。








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