『新オズのつぎはぎ娘』




                第十二幕  お菓子に囲まれて

 様々な種類のお菓子で造られた素晴らしいお部屋の中にです。
 多くのテーブルが置かれそこにお菓子達が山積みになっています、そして沢山の人達がいてドロシー達を笑顔で迎えました。
 そして一人の男の子が出てきてドロシーに言ってきました。着ている服は昔のドイツの服です。質素ですが清潔な感じです。
「待っていました」
「貴方がこの国の王様かしら」
「はい、妹と一緒にこの国の王様をしています」
「確か貴方は」
 ここでジョージが言いました。
「ヘンゼルさんですか」
「そうだよ」
 ヘンゼルはジョージに質問ににこりと笑って答えました。
「お菓子と言えば僕だからね」
「それで、ですね」
「この国の王様でね」
「私が女王様なの」
 今度は昔のドイツの女の子の服を着た女の子が出てきました。
「お兄ちゃんと一緒にこの国を治めているわ」
「グレーテルさんですね」
「ええ、私達もこのオズの国の住人なのよ」
「お伽の国に入ったんですね」
「そうなの、今日は皆が来てくれると聞いてね」
 それでというのです。
「歓迎のパーティーを開かせてもらったの」
「そうなんですね」
「だからね」
 それでというのです。
「これからね」
「はい、パーティーをですね」
「楽しんでね」
「エジソンさん達も来てくれているし」
 ヘンゼルはエジソンさん達を見て言いました。
「嬉しいよ」
「我々が来たのはね」
 エジソンさんはヘンゼルににこりと笑って答えました。
「本当にね」
「本当に?」
「そう、気が向いてなんだ」
 それで来たというのです。
「お菓子が食べたくなってね」
「それでなんだ」
「そう、それぞれね」
 マイケルさんやルースさん達もというのです。
「そうなんだよ」
「そうだったんだ」
「そうなんだ」
「それを言ったらあたし達もよ」
 つぎはぎ娘も言ってきました。
「それはね」
「お菓子の国に来たいと思ってなんだ」
「そうよ」 
 こうヘンゼルに答えます。
「素敵な国と聞いてね」
「それでなんだ」
「そうなのよ」
 ヘンゼルに陽気な声でお話します。
「あたし達はね」
「皆それで来てくれたんだ」
「というか行きたいから行くもので」
 そしてというのです。
「来たいから来るものでしょ」
「それもそうだね」
「だから皆ね」
「ここに来たいと思ったからだね」
「来たのよ」
「言われてみればそうだね」
「そして皆が来たということは」
 つぎはぎ娘はヘンゼルにこうも言いました。
「それだけこの国が魅力的な国だということよ」
「皆が来たいと思う位にだね」
「いい国だから」
 だからだというのです。
「あたし達もエジソンさん達も来てね」
「他の人達もだね」
「来るのよ、実際この国には沢山の人が来るでしょ」
「そうしてくれてるよ」
 ヘンゼルはつぎはぎ娘にその通りだと答えました。
「有り難いことにね」
「そうよね、そうなるのはね」
「この国がいい国だから」
「見たらお菓子だけじゃなくて」
 国の全てがお菓子で出来ていてしかもお菓子を食べ放題であるだけでないというのです。つぎはぎ娘は言いました。
「街も奇麗で国にいる人達もいい人ばかりで」
「いい人ばかりなのはオズの国だから」
 それでとです、グレーテルが答えました。
「だからよ」
「そうなのね、けれどね」
「そうしたお国だからなのね」
「皆が来るのよ」
 つぎはぎ娘はグレーテルにも答えました。
「こうしてね」
「そういうことなのね」
「そうよ、そして今からよね」
「パーティーがはじまるわ」
「それじゃあね」
「そういえば」
 ここで恵梨香が言いました。
「ヘンゼルとグレーテルにはお父さんとお母さんがいたわね」
「あとお菓子の家の魔女ね」
 ナターシャはこの人のことを思い出しました。
「あの人もいるわね」
「お話によってはお母さんは継母で悪い人だね」
 カルロスは特にこの人のことを言いました。
「最後いなくなっていたね」
「魔女もやっつけられて」
 神宝もこの人のことを言います。
「いなくなったね」
「お父さんとお母さんはいるから」
 ヘンゼルは子供達に笑顔で答えました。
「この宮殿で仲良く暮らしているよ」
「お父さんもお母さんもあのお話の中では大変だったけれど」 
 それでもとです、グレーテルもお話します。
「今はこの宮殿で私達と幸せに過ごしているの」
「魔女はどうなったのかな」
 ジャックは二人にこの人のことを尋ねました。
「それで」
「もう魔法は使えないけれど」
「この国で占いとかトランプを皆に教えてくれているよ」
 この人はそうなったというのです。
「僕達とも仲直りをしてね」
「凄くいい人になったのよ」
「それがこのわしなのじゃよ」
 黒い服に幅の広い魔女の服を着た背中の曲がったお婆さんが出て来ました、その手には箒があります。
「今は悪さをしないでお菓子を食べて占いをして楽しんでおるぞ」
「改心したんだね」
「一度この子達に懲らしめられてのう」
 ジャックにヘンゼルとグレーテルを見つつお話します。
「反省したのじゃ」
「それはいいことだね」
「いや、子供達と幸せに暮らせてね」
「本当にいいわよ」 
 今度はとても穏やかな顔立ちの中年の男の人と女の人が出てきました、見れば着ている服はヘンゼルとグレーテルのそれと同じく昔のドイツの服です。
「ここは食べものも飲みものも幾らでもあるし」
「何不自由ないからね」
「それは何よりだね」
 木挽きの馬は二人のお話を聞いて言いました。
「大変な暮らしがそうなってね」
「全く以てね」
「お伽の国に来られて本当によかったわ」
「そうだね、ずっと幸せに暮らせるからね」
 木挽きの馬は笑顔でこうも言いました。
「ここに来られるだけで凄く幸せなことだよ」
「というか君もう魔法は使えなくてもいいんだね」
 かかしは魔女に尋ねました。
「そうなっても」
「ほっほっほ、悪さをする為の魔法よりも」
 魔女はかかしの問いに笑顔で答えました。
「ここでお菓子を食べてジュースを飲んでな」
「占いやトランプをしてだね」
「暮らしている方がな」 
 そちらの方がというのです。
「ずっとよいわ」
「そうなんだね」
「遥かにのう」
「何か君達の童話を読むと」
 樵はヘンゼルとグレーテルに言いました。
「怖いものがあるけれどね」
「それがね」
「完全に変わったんです」
「お父さんもお母さんも魔女の宝で生活が楽になって」
「魔女も懲らしめれて反省して」
「それは何よりだね」
「あと貴女あれだよね」
 腹ペコタイガーも魔女に言います。
「子供達を食べようとしていたね」
「滅相もない、魔女は実は子供は食わん」
 魔女はそのことは否定しました。
「精々召使としてこき使うだけじゃ」
「そうするつもりだったんだ」
「そうしたらオープンで焼かれて生姜のケーキにされてじゃ」
「そうだったんだ」
「そこから戻されてな」
「反省したんだね」
「魔法は悪いことに使ってはいかんと」
 その様にというのです。
「そう思ってな」
「それでなんだ」
「わしも反省してな」
「悪いことはしなくなって」
「今ではこの国で暮らしておる」
 幸せかつ平和にというのです。
「この様にな」
「それは何よりだよ」
 臆病ライオンもお話を聞いて言います。
「本当にね」
「うん、やっぱり皆が仲良くね」
 まさにとです、ヘンゼルは臆病ライオンに答えました。
「するのが最高だね」
「というか喧嘩ばかりしてもね」
「何にもならないね」
「その通りだよ」
 臆病ライオンはヘンゼルに答えました。
「本当に」
「いや、来てよかったよ」
「ドロシー王女達に同行してね」 
 ピーターは二つの頭で言いました。
「本当にね」
「ここまでの旅も面白かったし」
「お菓子の国まで来られて」
「本当によかったよ」
「ようこそ、お菓子の国へ」
 グレーテルが応えました。
「それじゃあね」
「僕もだね」
「ご馳走になっていいんだね」
「勿論よ、ただね」
「ただ?」
「ただっていうと」
「私二つ頭のドラゴンさん見たのはじめてよ」
 ここでグレーテルはこのことを言いました。
「このこともオズの国ならではね」
「外の世界でも二つ頭の生きものはごく稀に出ますね」
 ジョージが言ってきました。
「蛇でも」
「鷲でもあるわね」
「それが国の紋章にもなったりしますね」
「ええ、そうね」
「けれどオズの国でも二つ頭の生きものは珍しいですか」
「そうね、ドラゴンでも」 
 グレーテルはジョージに答えました。
「蛇でも鷲でもね」
「珍しくて」
「私もはじめて見たわ」
「ヒドラやラドンはいるけれど」
 トトはこうした生きもののお話をしました。
「彼等はああした種族だからね」
「また特別よね」
「そうだね、ヒドラもラドンも一匹ずつしかいないし」 
 その彼等もというのです。
「やっぱり数は稀だね」
「本当にそうね」
「どうもね」
「だからピーターは珍しいドラゴンよ、これはね」
 ドロシーがここでこう言いました。
「素敵な個性よ」
「頭が二つあることは」
「そうなんだね」
「あらためて思ったわ」
 こうピーターに言うのでした。
「本当にね」
「僕は何とも思っていなかったけれど」
「頭が二つあることは」
 ピーター自身はこう言います。
「それでもね」
「周りから見たらかなり独特なことで」
「それは個性なんだね」
「それも素敵な」
「そうよ、じゃあその二つの頭でね」
 是非にともです、ドロシーはピーターにお話しました。
「お菓子を食べて甘い飲みものを飲みましょう」
「それじゃあね」
「世界中のお菓子が揃っているので」
 ヘンゼルがまた言ってきました。
「好きなものを食べて下さい」
「飲みものもです」
 グレーテルはこちらのお話をしました。
「色々ありますので」
「そちらもなのね」
「好きなだけ飲んで下さいね」
 ドロシーに対してお話します。
「是非」
「わかったわ、それじゃあね」
 ドロシーが応えてでした、そのうえで。
 皆で仲良く食べて飲みはじめました、そしてです。
 その中でつぎはぎ娘は歌とダンスをはじめました、最初は約束通りベーブ=ルースさんの歌でした。
 その歌を聴いてです、ジョージは歌とダンスを終えたつぎはぎ娘に言いました。
「いや、その歌もね」
「どうだったかしら」
「よかったよ」
 こう言うのでした。
「本当に」
「あたしが思うルースさんを歌わせてもらったわ」
「そうなんだね」
「それがよかったのね」
「そうだと思うよ」
「それは何よりよ、ただね」
 ここでこうも言ったつぎはぎ娘でした。
「一つ気になることがあったわ」
「気になること?」
「これだけ子供達に夢を与えてくれた人が揃っているのに」
 つぎはぎはこうも言いました。
「一人足りない気がするわ」
「ベルさんなら今は電話のことで忙しいからね」 
 エジソンさんが答えました。
「来られないよ」
「ディマジオ君やゲーリック君は試合中だしね」 
 今度はルースさんがお話します。
「こうした人達とはまたの機会にだよ」
「それと女優さんや女性シンガーの人もそれぞれお芝居やコンサートに出ていて」
 マイケルさんはこうした人達のお話をします。
「今は、なんだ。俳優さんの多くもね」
「そう、その俳優さんでね」 
 まさにその人でとです、つぎはぎ娘は言いました。
「お一人いないって思ったのよ」
「それは誰かな」
「ディーンさんよ」
 つぎはぎ娘はジョージに答えました。
「あの人よ」
「ああ、ジェームス=ディーンさん」
「あたしあの人のファンなのよ」
「そうだったんだ」
「最高に素敵でしょ」
「あの恰好良さは特別だね」
 ジョージはつぎはぎ娘にドーナツを食べつつ答えました。
「確かに」
「そうでしょ、それでね」
「あの人がいないからなんだ」
「そのことがね」 
 どうしてもというのです。
「あたしとしてはね」
「残念なのね」
「そうなのよ」
「だったらね」
 窓の外からです、宮殿のお庭でそこに集まっている人達と仲良くお菓子やジュースを楽しんでいたバニャンさんが言ってきました。
「ディーンさんに連絡してみたらどうかな」
「ご本人になの」
「そうしたらどうかな」
 こう提案するのでした。
「今大丈夫かどうか」
「来られるか」
「そうね」 
 その様にというのです。
「してみたらどうかな」
「いいわね」
 ドロシーはバニャンさんの提案に頷きました。
「それじゃあね」
「これからなのね」
「私がディーンさんに連絡を取るわ」
「そうしてくれるの」
「私のスマホはオズの国の全ての人に連絡出来るの」
 ドロシーはつぎはぎ娘に自分のスマホを取り出しつつお話しました。
「それでね」
「これからだね」
「そう、ディーンさんに連絡するわね」
「それじゃあお願いするわね」
「ええ、任せてね」
 こうつぎはぎ娘に答えてでした。
 ドロシーはすぐに連絡を取りました、その後でつぎはぎ娘に笑顔で言いました。
「今はカドリングの国におられるそうよ」
「あの国になのね」
「そこで映画の撮影をしていたけれど」
「それが終わってなのね」
「そう、それでね」
 そのうえでというのです。
「次の映画撮影まで時間があるから」
「こっちに来られるのね」
「暫くはオフとのことだから」
 それでというのです。
「こちらにもね」
「来られるのね」
「そうよ、ただね」
 ここでドロシーはどうかというお顔になって言いました。
「カドリングとの距離があるから」
「今すぐには無理なの」
「鉄道や車を使っても」
「今すぐここには、は無理なのね」
「ええ、残念だけれど」
「それならね」
「僕が行こうか」
 ピーターが二つの頭で言ってきました。
「そうしようか」
「ここは」
「ドラゴンはお空を飛べるから」
「そう、しかも風より速いよ」
「ジェット機よりも早く飛べるんだ」
 ピーターはドラゴンの飛ぶ能力についてもお話します。
「特に乗ってくれる人がいたら」
「とんでもなく速く飛べるよ」
「それならだよ」
 ここでリンドバーグさんが言ってきました。
「僕が乗る人になってね」
「それでだね」
「ディーンさんのところに僕と一緒に行ってくれるんだね」
「そうしようか」
 こう言うのでした。
「今から」
「それならね」
 ドロシーはリンドバーグさんの提案を受けて言いました。
「ディーンさんの詳しい居場所を言うから」
「そしてだね」
「今から僕達はそこに向かえばいいね」
「そうしましょう、バニャンさんも凄く速く行けるからお願い出来るし木挽きの馬も移動は凄く速いけれれど」
 それでもとです、ドロシーは言うのでした。
「やっぱりね」
「うん、移動はお空の方がいいね」
「陸地はどうしても障害があるけれどね」
 ピーターがドロシーのその言葉に応えます。
「お空には何もないから」
「どんどん飛んでいけるからね」
「お空の方がいいから」
 だからだというのです。
「ここはピーターとリンドバーグさんにお願いするわ」
「ではピーター君、今すぐに行こう」
 リンドバーグさんはドロシーの言葉を受けてピーターに言いました。
「そうしよう」
「うん、じゃあまずはお庭に出よう」
「そこで元の大きさに戻るからね」
「そしてね」
「すぐに行こうね」
 ピーターも応えてでした、リンドバーグさんと一緒にお庭に出て元の大きさに戻るとそこからすぐにでした。
 リンドバーグさんを背中に乗せて飛び立ちました、そしてあっという間に姿が消え去ったと思ったらです。
 すぐに戻ってきました、ジョージ達五人はその速さに仰天しました。
「えっ、もう!?」
「もう戻ってきたんだ」
「今行ったと思ったら」
「まだ三分も経っていないんじゃないかしら」
「本当に速いわね」
「だから僕達ドラゴンの飛ぶ速さは凄いんだ」
「特に背中にパイロットの人を乗せているとそうなるんだ」
 ピーターは驚く五人に二つの頭を笑顔にさせて答えました。
「だからだよ」
「こうして一瞬で戻ってこられたんだ」
「勿論リンドバーグさんも一緒だよ」
「ディーンさんもね」
「よし、戻ってきたね」
 リンドバーグさんがピーターの背中から出てきて言ってきました。
「速く戻れて何よりだよ」
「本当にすぐに着いたね」
 ここで、でした。ピーターの背中からもう一人の人が降りましたが。
 すらりとした長身にジーンズ、嘘みたいに整ったお顔立ちに見事なリーゼントの人が出て来ました。その人こそです。
 ジェームス=ディーンさんでした、五人はディーンさんを見て言いました。
「はじめまして」
「まさかディーンさんにもお会い出来るなんて」
「オズの国に来られているんですね」
「そして今こうしてですね」
「私達と一緒に」
「はじめまして」
 ディーンさんも五人に笑顔で応えます。
「僕がジェームス=ディーンだよ」
「はい、何か本当に」
 ジョージがディーンさんを見上げて言います。
「オズの国にいると」
「そう、外の世界にいた人達もね」
「オズの国に来ることが出来て」
「こうして会えるんだよ」
「そうですよね」
「だからボームさんもいて」
 ずっとオズの国のことを皆に紹介してくれていたこの人もです。
「そしてね」
「皆さんもですね」
「オズの国に来ることが出来てね」
 そしてというのです。
「君達とも会えるんだよ」
「そうなんですね」
「そう、そして沢山の人達が集まってるね」
 また言うディーンさんでした。
「それじゃあね」
「これからですね」
「僕もパーティーに参加させてもらっていいかな」
「是非共」 
 ヘンゼルとグレーテルがディーンさんに同時に答えました。
「それじゃあね」
「今からディーンさんも参加してね」
「そうさせてもらうよ、しかし」
 ディーンさんは微笑んでこうも言いました。
「映画撮影が終わってやったと思ったらね」
「パーティーで、ですか」
「これまたやったとね」 
 ジョージに笑顔で答えます。
「思っているよ」
「そうなんですね」
「うん、流石はオズの国だね」
「いいことにいいことが続く国ですね」
「そうした国だから」
 それ故にというのです。
「来てよかったとも思っていてね、実際にね」
「楽しまれていますね」
「オズの国自体をね」
「そうなんですね」
「じゃあ皆で楽しもう、あとお菓子にはね」
 ディーンさんは笑顔でさらにお話しました。
「甘い飲みものやワインも必要だね」
「ブランデーもいいね」
 ディーンさんにエジソンさんが応えます。
「甘いものには」
「お酒もね」
「大人の人ってお菓子食べてお酒飲むけれど」
 ドロシーは二人の会話を聞いて思いました。
「ワインやブランデーは確かに合うのよね」
「あんた達が飲むのはアルコール入ってないものね」
「子供だからね」
 ドロシーはつぎはぎ娘にも答えました。
「そこはね」
「そうよね」
「だからそうしたワインやブランデー飲むけれど」
 お菓子を食べつつ、というのです。
「確かに合うのよね」
「そうなんですよね」
「どちらも甘いお菓子と合いますよね」 
 ヘンゼルとグレーテルはドロシーのその言葉に頷きました。
「こうしたお酒は」
「これがかなり」
「だからどちらもお菓子に使われるんだよ」
「こうしてね」
 ライト兄弟がドロシーにワインゼリーを出しつつお話します。
「お菓子にも合うからね」
「ブランデーケーキもあるし」
「紅茶にブランデー入れることもあるし」
「あとボンボンにも入れるよ」
「そういうことね、そういえばこの国は」 
 今度はです、ドロシーはお菓子の国のことについても考えました、そうしてこんなことを言うのでした。
「ワインの川や井戸もあるわね」
「そこでワインを汲んでお菓子を楽しむ」
 お菓子の魔女だったお婆さんが笑って言ってきました。
「これがわしの趣味の一つですじゃ」
「そうなのね」
「だから王女もですじゃ」
「アルコールなしでもなのね」
「ワインやブランデーも楽しむことですじゃ」
 こうドロシーに言うのでした。
「悪くないですぞ」
「じゃあそっちを楽しもうかしら」
「さてさて、皆で楽しもう」
 バニャンさんが特大のケーキを手に言います。物凄く奇麗なデコレーションケーキでとても美味しそうです。
「これからね」
「そうだね、皆で食べて」
 アップルシードさんはアップルパイを手にしています。
「楽しもうね」
「わかったわ、じゃあ皆で飲んで食べましょう」
 ドロシーが頷いてです、この娘の乾杯という言葉と共にでした。
 皆は舞踏の間そしてお庭でお菓子を食べて甘い飲みものやワインを楽しみはじめました、主な人達ではバニャンさんはお庭にいて他の人達は舞踏の間にいます。その中で臆病ライオンは腹ペコタイガーに言いました。
「君も満腹になるね」
「うん、それまでね」
 是非にとです、腹ペコタイガーは臆病ライオンに答えました。
「食べて飲んでね」
「楽しむね」
「是非ね」
 シロップをたっぷりとかけているパンケーキを食べつつ答えます。
「そうするよ」
「そうだよね」
「こうしてね」
「さて、次は何を食べようかな」
 トトは桃饅頭を食べつつ言いました。
「一体」
「羊羹はどうかな」
「これはどう?」
 ピーターはトトに栗羊羹を出しつつ勧めました、もう身体の大きさは小さくしています。
「こっちも美味しいよ」
「羊羹も栗もね」
「いいね、羊羹も美味しいよね」
 トトはその羊羹を見て笑顔で応えました。
「こちらも」
「そうだよね」
「だからね」
「一緒に食べよう」
「そうしよう」
「それじゃあね」
「皆笑顔だね」
 ジャックは甘いものを楽しんでいるパーティーの参加者の人達を見ながらそのうえでこう言いました。
「いい笑顔だよ」
「全くだね」
 かかしがジャックのその言葉に応えます。
「素敵な人達が揃っているうえにね」
「うん、どの人もいい笑顔だから」
「余計にいいね」
「ここにいる僕達もね」
「幸せな気持ちになるね」
「笑顔を見てね」
「そう、笑顔こそが最大の幸せの源だよ」
 樵はここで断言しました。
「まさに」
「笑う門にはというしね」
「そう、楽しいから笑顔になると」
「そこからさらにだね」
「楽しくなれるんだよ」
「そういうものだね」
「世の中、特にオズの国はね」
 こう木挽きの馬に言います。
「そうなんだよ」
「そうだね、確かに僕達も幸せな気持ちになってるし」
 木挽きの馬も言います。
「いいね」
「そうだね」
「本当にね」
「確かに。どの人も笑顔で」
 カルロスも色々なお菓子を食べながらそこにいる人たちの笑顔を見て言います。
「雰囲気いいね」
「美味しいものを食べても笑顔でないなら」
 ナターシャは言いました。
「見ていても面白くないし」
「こうして笑顔なら」
 皆がとです、恵梨香は思いました。
「そこにいても気持ちがいいわ」
「美味しいものを食べたら笑顔になることは当然にしても」 
 それでもとです、神宝も言いました。
「笑顔を見るだけで本当に嬉しくなるね」
「全くだね、だから余計に美味しいよ」
 ジョージは皆の言葉に頷きました。
「今は」
「というかね」
「むっつりして食べても楽しくないよ」
「笑顔で明るく食べないと」
「どうせ食べるならね」
「そう、食べるからにはだよ」
 アームストロングさんがバウンドケーキを食べながら五人に言ってきました。
「やっぱり楽しくだね」
「そうですよね」
「どうせ食べるなら」
「美味しいものを食べるのなら」
「むっつりせずに」
「笑顔であるべきですね」
「厳粛な時は厳粛でね」
 そしてというのです。
「楽しむ時はね」
「笑顔で」
「それでいいいですよね」
「いつも厳粛である必要はないですね」
「楽しむ時は楽しめばいいですね」
「そうすれば」
「そうだよ、だからね」
 それでというのです。
「一緒に笑顔でいようね」
「ドーナツがあるんだよ」
 プレスリーさんはこちらのお菓子を食べながらにこにことしています。
「なら自然と笑顔になるね」
「君は本当にドーナツが好きだね」
「うん、大好きだよ」
 プレスリーさんはアイスクリームを食べているルースさんに応えます。
「こればかり食べてもね」
「飽きない位だね」
「そこまで好きだよ」
「そうだったね、僕もね」
 かく言うルースさんはといいますと。
「アイスクリームには目がないしね」
「君はそうだね」
「他にはステーキも好きだけれど」
「お菓子はだね」
「まずはアイスクリームだよ」
 こちらだというのです。
「だからね」
「今からだね」
「沢山食べよう」
「それぞれのお菓子をね」
「これからね」
「オズの国では幾ら食べても太らないからいいね」
 マイケルさんはこう言いつつチョコレートを食べています。
「僕もどれだけでも食べられるよ」
「彼と一緒にだね」
 リンドバーグさんはマイケルさんと一緒にいる着飾った服を着ているお猿さん、バブルス君と笑顔で挨拶をしてからマイケルさんに言いました。
「そうだね」
「うん、この世界にもバブルスがいてるし」
「君としてはだね」
「何も不満はないよ」
「好きなものを好きなだけ食べられて」
「歌とダンスもね」
 こうしたものもというのです。
「楽しめるからね」
「不満はないね」
「全くね」
 それこそというのです。
「僕は」
「そうだね」
「うん、次は何を食べようか」
「これはどうかな」
 リンドバーグさんはプリンを差し出してきました。
「これは」
「いいね、じゃあ次はね」
「プリンをだね」
「頂くよ」 
 こうお話してです、そしてです。
 マイケルさんはバブルス君と一緒にプリンを食べはじめました、とにかく皆で甘いものを飲んで食べて楽しんでいて。
 つぎはぎ娘は色々な歌とダンスの後でこんなことを言いました。
「まだまだね」
「歌って踊りたい」
「そうなのね」
「ええ、そうよ」 
 ヘンゼルとグレーテルのご両親に答えます。
「こうした楽しい場所にいるとね」
「それではだね」
「貴女はまだ踊るのね」
「そうするわ、パーティーの最後の最後まで」
 その時までというのです。
「そうさせてもらうわ」
「そうだね」
「じゃあそうしたらいいわ」
「是非ね」
 つぎはぎ娘は応えてでした、そうして。
 実際に彼女独特の歌と踊りを続けます、ジョージはまた一曲終えた彼女にシュークリームを食べつつ尋ねました。
「君はよくそんなに歌やダンスを思い付くね」
「もう自然とね」
 つぎはぎ娘はジョージに答えました。
「出て来るのよ」
「そうなんだ」
「もう何か見たら」
 それでというのです。
「歌が思い付いてね」
「ダンスもだね」
「出て来るのよ」
「それが凄いよ」
「楽しいものを見たら」
 つぎはぎ娘はジョージに明るくお話します。
「それでね」
「楽しい気持ちになって」
「それでね」
「曲を思い付くんだ」
「歌詞も曲もダンスもね」 
 その三つ全てをというのです。
「思い付くのよ」
「そうなんだね」
「そしてね」
「そして?」
「すぐにでもね」
「その場でもだね」
「歌って踊るのよ、そしてね」
 さらにと言うのでした。
「動画にもね」
「投稿するんだね」
「そうしているのよ」
「そうだね、よく歌詞も曲も思いつかないって人がいるけれど」
「あたしはないわね」
「それも全く、だね」
「ないわよ、思いつかなくても何ともないし」
 これといって、とうのです。
「その時はこれまでの歌やダンスだしね、お喋りも好きだし」
「困らないんだね」
「というかどうして歌詞や曲が思いつかないの?」
 そもそもとです、つぎはぎ娘はジョージに尋ねました。
「一体」
「インスピレーションが下りなくてね」
「それでなの」
「思いつかないそうだよ」
「そうなの」
「けれど君は違うんだね」
「本当に楽しいものを見たら」
 それでというのです。
「思い付くわ」
「それが凄いよ、あと新曲を出さないといけないとかは」
「思わないわよ」
「そうなんだ」
「何かをしなければいけないとかね」
「そうした考えはなんだ」
「あたしには全くないの」
 それこそと、というのです。
「いつもこうして過ごしていて」
「楽しいものを見たら」
「もうそこから自然とね」
 まさにそうしたものでというのです。
「歌詞も曲も出てダンスもね」
「出るんだね」
「そうよ、一日何曲も出ることもあるわね」
「それもまた凄いよ」
「そうなのね」
「相当にね」
「まあね、別にね」
 つぎはぎ娘はこうも言いました。
「それも何とも思っていないから」
「別に?」
「あたしとしてはね」
「歌が出なくても」
「そうよ、まあ毎日一曲は出るけれど」
 それでもというのです。
「だってこれはあたしの趣味でかつ自然に出るものだから」
「こだわらないんだ」
「そうよ、別にね」
「成程ね」
「そういうことよ」
「それが貴女よね」
 ドロシーもつぎはぎ娘に笑顔で声をかけます。
「こだわらない、もう気の向くままにね」
「好きなことをするのよ」
「そうよね、それが皆の迷惑にならないし」
「いいでしょ」
「そのこともね」
「それでこのパーティーの後はどうするの?」 
 つぎはぎ娘はドロシーに尋ねました。
「一体」
「そのことね」
「どうするの?」
「その後は同じ道を帰ってね」
「そうして都まで戻るのね」
「そうするつもりよ」
 こうつぎはぎ娘に答えます。
「別に急がないし」
「そう、それじゃあね」
「ええ、帰りはそうして帰りましょう」
「じゃあ僕はその途中でね」
「お家の近くに着いたらお別れするよ」
 ピーターはドロシーのお話を聞いて二つの頭で言いました。
「そしてまたね」
「機会があったら楽しもうね」
「ええ、けれどその時まではね」
 ドロシーはピーターのその言葉に笑顔で応えました。
「一緒にいましょう」
「そうしようね」
「その時までは」
「是非ね、しかし」 
 ここでこうも言ったドロシーでした。
「今は皆でパーティーを楽しみましょう」
「そういえばね」
 またつぎはぎ娘が言ってきました。
「あたし今回の冒険自体の歌は出してないわね」
「そういえばそうね」
「冒険は帰るまでが冒険だけれど」
 それでもというのです。
「ここで歌っていいかしら」
「ええ、いいわよ」
「じゃあね、今からね」
「今回の冒険の歌を歌うのね」
「そして踊るわ、じゃあ皆観てね」
 そこにいる皆にも言います。
「これから歌って踊るわね」
「そうしてね、貴女の歌とダンスを観られることもとても幸せなことだから」
 ドロシーはそのつぎはぎ娘に声を贈りました。
「是非ね」
「ええ、歌わせてもらうわね」
「これからね」 
 ドロシーが言うとでした、すぐにです。
 つぎはぎ娘は今回の冒険の歌を歌いダンスを踊りました、皆はそれを観て楽しみ彼女に拍手喝さいを贈りました、そうして今回の冒険のことを心から楽しいものだと思うのでした。その素晴らしい歌とダンスも観て。


新オズのつぎはぎ娘   完


                   2020・3・11








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