『オズのケーキ』




               第四幕

 クッキー達はクマセンターに着きました、するとリンキティンク王は到着した喜びをすぐに歌にしました。
 一曲歌って踊ってです、そのうえで言うのでした。
「ほっほっほ、遂に着いたのう」
「遂にですか」
「うむ、目的地に着くとな」
 旅のそれにとです、リンキティンク王は王子に笑顔で応えました。
「そうした気分になる」
「王様の場合は」
「どんな場所でもな」
 それが目的地ならというのです。
「わしはそうじゃ」
「それで言われたんですね」
「うむ、しかしな」
 ぬいぐるみの熊達を見ながら言うのでした、まだノッコス伍長も王様であるラベンダー熊もいません。
「ここでふと思ったのじゃが」
「どうしたんですか?」
「わし等はクッキー嬢とも一緒におるが」
 ここで言ったのは彼女のことでした。
「前はケーキ嬢と呼んでおったな」
「クッキー作りが得意でありまして」
 そのクッキーの言葉です。
「それで仇名みたいになっています」
「そうだったのか」
「他にも色々付いていますが」
「名前は長いのか」
「はい、どっちで呼んでくれてもいいですが」
「ではケーキ嬢に戻していいか」
「はい」
 クッキーはリンキティンク王に笑顔で応えました。
「それじゃあ」
「ではな、ケーキ嬢とな」
「宜しくお願いします」
「さて、ではな」
 リンキティンク王はケーキにあらためてお話しました。
「わしは今一曲歌って踊ったが」
「そのうえで、ですね」
「このセンターの諸君に挨拶したいが」
「今のが最高の挨拶でしたよ」
 ここでぬいぐるみの茶色い毛の熊、帽子と銃で武装した彼がとことこと来ました。彼こそそのノッコス伍長です。
「相変わらず賑やかですね」
「おお、来てくれたか」
「はい、それで今回は」
「うむ、ラベンダー熊君に贈りものをな」
「届けに来てくれたんですね」
「そうであってな」
 それでというのです。
「来たのじゃが」
「それなら同じですね」
「同じ?」
「はい、アン王女一行と」
「おお、あの娘も来ておるのか」
「オズマ姫からの贈りものを届けに」
 伍長はリンキティンク王にこのこともお話しました。
「それで、です」
「左様か、しかしな」
「しかし?」
「王女達に会えるならな」
 それならというのでした。
「そのことも楽しみじゃ」
「楽しみが増えましたな」
 カエルマンもにこにことして言いました。
「これは」
「全くじゃな」
「ナターシャ嬢達も一緒ですし」
 伍長はこのこともお話しました。
「これからパーティーを開きますが」
「わし等が来たか」
「はい、歓迎の」
 それでというのです。
「そうしますが」
「うむ、では喜んでな」
「パーティーに参加してくれますね」
「申し出は断らん主義じゃ」
 これがリンキティンク王の返事でした。
「ではな」
「それじゃあ」
「そしてな」
 リンキティンク王は伍長にさらに言いました。
「ラベンダー熊氏にもな」
「贈りものをですね」
「渡したい」
「そのことは承りました」
 伍長はリンキティンク王に礼儀正しく応えました。
「ではこれよりお通しします」
「ラベンダー熊氏のところにな」
「そうさせてもらいます」
 こうお話してです、そしてでした。
 一行はラベンダー熊のところに案内してもらいました。皆でピンクの子熊を抱いているラベンダー熊のところに行きますと。
 そこにアン王女達がいました、ケーキはその中にナターシャ達を見てそれで明るい笑顔で五人に挨拶をしました。
「久し振りね」
「あっ、ケーキさん」
 ナターシャが五人を代表して応えました。
「まさかここでお会い出来るなんて」
「そうよね、奇遇よね」
「そしてその奇遇がですね」
「オズの国よね」
「そうですよね」
「いや、何かあるとは思っていたけれど」
 モジャボロもにこにことして言います。
「こうした出会いがあるなんてね」
「やはりオズの国だね」
 カエルマンも笑顔でいます。
「思わぬ出会いがいつもあるね」
「そうだね」
「思わぬ出会いはまだあるよ」
「オズの国だから」
 ラベンダー熊が玉座から子熊がラベンダー熊に抱かれて言ってきました。
「またお客さんが来るよ」
「ここにね」
「というと」 
 ケーキが反応するとでした。
 何と今度はかかしとブリキの樵それに臆病ライオンが来ました、ドロシーの最も古いお友達が三人もでした。
 場に来ました、それで言ってきました。
「やあ、王女達もいるね」
「リンキティンク王も」
「皆もいるなんてね」
 かかしも樵もライオンも皆を見て笑顔になっています。
「招待されて嬉しかったけれど」
「こんなにいるなんてね」
「やっぱりオズの国はいいね」
「そうだね、思わぬ出会いがいつもあるから」
 教授もこういうのでした。
「オズの国は最高だよ」
「全くだよ、それで君達はどうしてここに来たのかな」
 かかしは教授と挨拶をしてからその訳を尋ねました。
「それで」
「うん、僕達はオズマ姫からラベンダー熊さんへの贈りものをね」
「届けにだね」
「来たんだ」
「そうだったんだね」
「私達もなんです」 
 ケーキもお話しました。
「リンキティンク王に途中で一緒になって」
「それでなんだね」
「ここまで旅をしてきました」
「僕達とは違うね。けれどね」
 それでもと言う樵でした。
「こうして一緒になったのなら」
「それならですね」
「一緒に楽しもう」
「これから開かれるパーティーを」
「そうしようね」
「歌って踊って」
 ラベンダー熊も言ってきました。
「美味しいものも用意してね」
「そうしてですね」
「皆で一緒に楽しもう」
「果物もジュースも沢山用意するよ」
 子熊も皆にお話します。
「だから楽しんでね」
「是非そうさせてもらうね」 
 今度は臆病ライオンが応えました。
「これから」
「そうしてね」
「ほっほっほ、ではまた歌わせてもらうか」
 リンキティンク王も上機嫌で言います。
「そうさせてもらうか」
「是非そうしてね」 
 ラベンダー熊が応えました。
「僕達も期待しているから」
「それではのう」
 こうしたお話をしてでした、そのうえで。
 皆でパーティーを楽しみました、かかしや樵そしてぬいぐるみの熊達は何も食べる必要がないので歌って踊るだけでした。
 ですがケーキ達は用意された果物やお菓子、ジュースを楽しんでいました。カエルマンは苺のゼリーを食べつつナターシャ達に言いました。
「いや、君達と出会えるとはね」
「思わなかったですよね」
「うん、けれど会えたなら」
 それならとナターシャに言うのでした。
「一緒にね」
「楽しむべきですね」
「是非ね」
 こう言うのでした。
「そうしよう」
「それじゃあ」
「こうして果物やお菓子も食べて」
 恵梨香はプリンを食べつつ言いました。
「そうしてですね」
「ここのお菓子美味しいですね」
 神宝はブルーベリーのケーキを食べながら言いました。
「本当に」
「これだけ美味しいと」
 ジョージはヨーグルトに林檎のジャムをたっぷりと入れて食べています。
「幾らでも食べられますね」
「ここのお菓子も美味しいから」
 それでとです、カルロスはクッキーを食べながら言うのでした。
「幾らでも食べられますね」
「皆で沢山食べて」
 王女はアップルパイを食べつつ言うのでした。
「楽しみましょう」
「そうしようね、ジュースも美味しいしね」
 カエルマンは五人にオレンジジュースを飲みつつ応えました。
「どんどん楽しもうね」
「素敵な再会にパーティーに」
 ナターシャも羊羹を食べながら言います、見れば和菓子や中華菓子も沢山あります。ナターシャはその中から羊羹を食べているのです。
「最高ですね」
「これまでの旅もよね」
「はい、最高でしたし」
 ナターシャはバニラのアイスクリームを食べているケーキにも応えました。
「今もです」
「最高なのね」
「最高の気持ちのままです」
「最高の経験を続けていって」
「本当に」
「それは何よりね、私達もね」
 ケーキは自分達のお話もしました。
「最高の旅をね」
「続けてこられたんですね」
「そうなの」 
 満面の笑顔で言うのでした。
「本当に」
「そうだよね、そういえば僕も」
 臆病ライオンが言ってきました。
「ナターシャ達と会うのは暫くぶりだね」
「そういえばそうよね」
「一緒に冒険に出ることもね」
「最近ないし」
「そう思うと」
 本当にというのです。
「今回の出会いはね」
「オズの神々の配剤ね」
「運命の出会いは常にある」
「神々が用意してくれるから」
「皆にね、それじゃあ」
「一緒によね」
「今日のパーティ―を楽しもうね」
 こうお話してです、皆で楽しく遊んでパーティーを過ごしました。そしてその後で。
 ラベンダー熊は皆にこう言いました。
「明日もね」
「パーティーをじゃな」
「しようね」
 こう言うのでした。
「折角だから」
「そうだね、ただね」
「ただ?」
「明日はまたお客さんが来るよ」
 こう言うのでした。
「このセンターにね」
「ほう、明日もか」
「そう、だからね」
 それでとです、リンキティンク王にお話します。
「皆でね」
「一緒にじゃな」
「明日も楽しもう」
「ほっほっほ、明日は誰が来るのかのう」
 リンキティンク王は笑ってでした。
 そうしてここでも歌って踊りました、子熊は先生のその歌を聞いてそしてこんなことを言うのでした。
「明るい歌だね」
「わしの作った歌じゃ」
「作詞作曲共に」
「だからじゃ」
 それでというのです。
「明るい曲なのじゃ」
「そうだね」
「わしは常にじゃ」
「明るい曲を作るね」
「明るい曲でないとな」
 どうしてもというのです。
「わしはじゃ」
「作らないね」
「そうじゃ」
 こう言うのでした。
「それで今回もな」
「明るい曲を作ってだね」
「歌って踊ったが」
「明日もそうするね」
「勿論じゃ」
 返事は一つでした。
「わしはずっとな」
「明るい曲を作っていくね」
「そして歌い踊る」
「じゃあ明日も楽しみにしておくね」
「ほっほっほ、宜しくな」
 こうしたお話をしてでした、そのうえで。
 皆はお風呂に入ってから用意してもらったセンターの中に吊るされているハンモックに入ってそこで寝ました。
 そして朝起きたのですが。
 そこに子熊が昨日言っていたクマセンターへの新たなお客さんが来ました、そのお客さんはといいますと。
 七人いました、そしてその七人は。
 皆フェアリーの女の子でした、ケーキと王女がその七人を見て言いました。
「あれっ、貴女は」
「ここに来る途中で会ったわね」
「フェアリーの娘じゃない」
「大臣の一人っていう」
「あっ、どうも」
「またお会いしましたね」 
 フェアリーの中から緑の瞳と髪の毛の娘と藍色の瞳と髪の毛の娘が応えました。
「クマセンターにいらしてたんですね」
「そうだったんですね」
「そうね、何ていうか」
 こうも言ったケーキでした、七人のフェアリーの娘を見て。
「どの娘のそれぞれの色があるわね」
「よく見たら虹色ですね」
 ナターシャもこう言います。
「配色が」
「そうよね、ただ」
「ただ?」
「誰が誰か」
 まだとです、ケーキは言うのでした。
「わからないわね」
「そうよね」
「でしたら」 
 青い髪の毛と瞳の娘が言ってきました、薔薇の服は七人の中で一番立派です。
「私が紹介させてもらいます」
「そうしてくれるのね」
「私がフェアリーの女王です」
「貴女がなのね」
「名前はヨシノといいます」
「マユといいます」
 今度は赤い瞳と髪の毛の娘が名乗りました。
「首相です」
「アイリです」 
 藍色の瞳と髪の毛の少女が言いました。
「内務大臣です」
「ミナミです」
 黄色い瞳と髪の毛の娘でした。
「外務大臣です」
「ナナミです」
 紫の瞳と髪の毛の娘です」
「典礼大臣です」
「カヤです」
 緑の瞳と髪の毛の少女も名乗りました。
「法務大臣です」
「ミユです」 
 オレンジ色の瞳と髪の毛の女の子が最後でした。
「財務大臣です」
「私達七人が、です」
 またヨシノ女王が名乗りました。
「フェアリーの七人です」
「そうなのね」
「この度ラベンダー熊さんに呼ばれて」
 そしてというのです。
「七人でお邪魔しました」
「貴女達七人はお友達なのよね」
「はい、生まれた時から一緒の」
 女王はケーキに笑顔で答えました、七人共赤い薔薇のドレスを着ていて背中には蝶々の羽根があります。大きさも同じ位です。
 そこで、です。女王は言うのでした。
「お友達です」
「そうよね」
「はい、それでいつも一緒にいて」
「それで、ですね」
「七人でいまして」
 それでというのです。
「政治もしています」
「若し私達の誰か欠けても」
 こう言ったのはヨシノでした。
「駄目なんです」
「そうなのよね、七人それぞれがお仕事をしないと」 
 アイリは少し心配そうになってヨシノに応えました。
「政治は出来ないよね」
「それぞれの大臣のお仕事があるから」
 それでとです、ナナミも言います。
「それぞれ真面目に働かないと」
「真面目に働いたら」
 まさにとです、ミナミも言いました。
「七人全員がそうしたらいいけれど」
「本当に一人でもいなくなったら」
 カヤはそう考えただけで不安になる感じでした。
「私達の国も」
「そう思うしね」
 それだからとミユも言うのでした。
「いつも力を合わせて頑張ってるわね」
「それはどの国でも同じだね」
 まさにとです、王子も応えました。
「誰かが欠けてもね」
「国はですね」
「動かないんだよね」
「本当にそうですよね」
「僕もわかってるよ、このことは」
「若しも」
 また言う女王でした。
「私達の誰かがいなかったら」
「そうだよね、我が国も」
「リンキティンク王のお国も」
「王様がいなくて大臣の人達もいなくて」
「王子様もおられないと」
「やっぱり動かないね」
「わし等は時々旅行に行ってもな」
 それでもとです、リンキティンク王も言いました。
「やはり国におらんとな」
「駄目ですからね」
「そうじゃのう」
 リンキティンク王は王子に応えました。
「全く以て」
「ですから旅が終わりましたら」
「国に帰らないとな」
「全くじゃ」
「そうだね、特に君達は」
 カエルマンもフェアリーの娘達にお話します。
「絆が強いみたいだしね」
「七人でいつも考えて動いています」
 カヤがカエルマンに答えました。
「本当に」
「そうだよね」
「起きている時も寝ている時も一緒ですし」
「寝ている時もなんだ」
「ベッドも」
 その寝る場所もというのです。
「同じです」
「そうなんだね」
「見る夢も一緒ですし」
「おや、そうなんだ」
「はい、私達は」
「夢の中でも一緒なんて」
「七人全員が」
 一人も欠けずにというのです。
「そうなんです」
「それは凄いね」
 カエルマンはカヤのお話を聞いて言いました。
「本当に」
「国はこのセンターの北北東の森です」
 今度はミユがお話します。
「その森全体がです」
「君達の国だね」
「そうなんです」
 ミユは臆病ライオンに答えました。
「そして森の糧で暮らしています」
「食べものや飲みものを手に入れてだね」
「お家や宮殿もです」
 そうしたものもというのです。
「あるんです」
「まさにフェアリーの場所だね」
「本当にそうですね」
「僕もお話を聞いて思ったよ」
「それで、ですが」
 女王がここで皆に言ってきました。
「私の誕生日のパーティーに」
「それにだね」
「皆さんも招待したいのですが」
 こう言うのでした。
「如何でしょうか」
「私達をなの」
「はい」
 女王はナターシャに微笑んで答えました。
「是非」
「それでは」
「そして」
 女王はさらにお話しました。
「皆で楽しみましょう」
「女王様のお誕生日のパーティーを」
「そうしましょう」
「あのですね」
 マユが女王のすぐ傍に来て言ってきました。
「私達フエアリーは歌と踊りが大好きで」
「わしと同じか」
「そうなんです」
 マユはリンキティンク王にその通りだと答えました。
「実は」
「それでか」
「是非です」
 本当にとです、マユはリンキティンク王に応えてさらにお話しました。
「賑やかなパーティーにしましょう」
「ほっほっほ、そこもわしと同じじゃな」
「そうですね、賑やかなのも大好きですし」
「陽気でのう」
「はい、ただ」
 ここでマユはこうも言いました。
「王様とは違うところがあります」
「それは何じゃ?」
「リンキティンク王は明るい曲専門ですね」
「うむ、わしが作詞作曲してな」
 そしてというです、リンキティンク王はマユに答えました。
「全部明るいポップスやそんな感じじゃ」
「私達は違いまして」
 アイリもお話しました。
「歌と踊りも七人一緒ですが」
「明るい曲とは限らないんだね」
「確かにそうした曲が多いですが」
 アイリはかかしの言葉に答えました。
「バラードとかしっとりとした曲も」
「歌うんだね」
「そこにダンスも入れます」
「そうしているんだね」
「はい、ですから」
「そこはリンキティンク王とは違うね」
「色々なジャンルの音楽を歌い踊ります」
 そうするというのです。
「いつも」
「そうなんだね」
「ただ、ラップは」
 アイリはこちらの音楽のお話もしました。
「私達も歌いますが」
「どうも王様には負けますね」
 ミナミが少し困ったお顔で言いました。
「どうも」
「王様はラップも得意だからね」
「そうですよね」
「うん、歌にね」
「ダンスもですね」
「もうとびきりのリズム感覚で踊るから」
 ラップのそれをというのです。
「本当にね」
「私達以上ですね」
「君達がそう思うこともね」
「当然ですか」
「確かに王様は明るい曲限定だけれど」
 それでもというのです。
「その歌とダンスはね」
「凄いですね」
「ミュージッカーさんと並んでね」
 それこそというのです。
「明るい曲、ラップも含めてね」
「オズの国随一ですね」
「そうだと思うよ、僕も」
「あとです」
 ナナミが言うことはといいますと。
「私達の歌とオズの国の昔の歌は違いますね」
「ええ、私達の時はね」
 どうだったかとです、ケーキがナナミに答えました。
「カエルマンさんが最初の冒険に出た時は」
「かなり前ですね」
「貴女達はその時オズの国にいなかったわね」
「はい、まだ」
 そうだったとです、ナナミはケーキに返答しました。
「この国に生まれていなかったです」
「そうだったわね」
「その頃のオズの国の音楽は」
「まだジャズも主流じゃなかったわ」
「そうでしたか」
「ゴスペルとかブルースとかもね」
 こうしたジャンルの音楽もというのです。
「主流じゃなくて」
「本当に全く違うんですね」
「今のオズの音楽とはね」
「そうでしたね」
「オズの国はアメリカの影響を受けるから」
 このことを指摘したのはブリキの樵でした。
「音楽もね」
「アメリカの音楽がですね」
「そのまま出て来るからね」
「だからですね」
「その頃はジャズもなかったし」
「ゴスペルとかもですね」
「ロックもなかったよ」
 この音楽もというのです。
「本当に」
「そう思いますと」
 カヤは実際に考えるお顔になってお話しました。
「オズの国は音楽も随分変わったんですね」
「私も音楽は好きだけれど」
 王女も言ってきました。
「昔のオズの国の音楽はね」
「今のものとはですね」
「全く違うの、それで私は今の音楽も昔の音楽もね」
「どちらもですね」
「好きよ」 
 そうだとです、王女はカヤに答えました。
「昔の音楽を今もね」
「聴かれていますか」
「そうしているの」
「じゃあ女王のお誕生日の時は」
 カエルマンは笑顔でお話しました。
「フェアリーの今の音楽が聴けるのかな」
「そうです、皆で全力で歌います」 
 ミユがカエルマンに答えました。
「その時は是非聴いて下さい」
「では楽しみにしているよ」
「宜しくお願いします」
「こちらこそね」
「そして今日は」
「そう、僕達のパーティーをね」
 それをとです、ラベンダー熊がミユに答えました。
「皆で楽しんでね」
「わかりました」
 七人のフェアリー全員でラベンダー熊の言葉に答えました。
「そうさせてもらいます」
「是非ね、果物もケーキもあるし」
「ジュースも甘いお茶もあるわ」
 ナターシャは葡萄のとても甘いジュースを飲んでいます、黒にとても近い紫色のジュースは本当にとてつもない甘さです。
「そちらも飲んでね」
「果物も美味しいよ」
 ジョージは洋梨を食べつつ言います。
「こちらもね」
「お菓子だってね」
 神宝はチェリーのゼリ―を食べながらフェアリー達にお話しました。
「凄く美味しいよ」
「チーズもあるし」
 カルロスはそのチーズ、カドリングの赤いものではなく白いものを食べています。まるで雪の様な白さです。
「どんどん食べてね」
「あとお野菜も」
 恵梨香は西瓜を食べています、三角にスライスされたそれはとてもみずみずしくてそして素敵な甘さがあります。
「甘いものがあるから」
「私達甘いものが大好きなの」
「果物もジュースもね」
「お菓子も好きだし」
「お茶だってね」
 七人共子供達に笑顔で答えます。
「それにチーズも好きよ」
「お野菜も甘いものが好きだし」
「貴女達が勧めてくれたもの全部好きよ」
「何でもね」
「こちらもかしら」
 ケーキはその牛乳を飲みつつフェアリ―達に尋ねました。
「ミルクも」
「大好きですよ」
「ミルクは毎日沢山飲んでいます」
「あったかいミルクも冷たいミルクも」
「どのミルクも好きで」
「それじゃあね」
 それならとです、ケーキは。
 コーンフレークがあったのでそれにミルクをたっぷりとかけてそのうえで七人に出してにこりとして尋ねました。
「こちらもかしら」
「あっ、いいですね」
「コーンフレークにミルクですね」
「それ最高に美味しいですね」
「朝によく食べます」
「皆で」
 フェアリー達はケーキに笑顔で答えました。
「それで今からですね」
「皆で、ですね」
「笑顔で食べさせてもらいます」
「朝ですし」
「是非」
「それじゃあね。ミルクはね」
 ケーキはこの飲みものについてさらにお話しました。
「美味しいだけじゃなくて」
「とても身体にいいんですよね」
「栄耀の塊みたいなもので」
「食べていますと」
「もうそれだけで元気になれますよね」
「そうよね。じゃあ皆で飲みましょう」
 ケーキもそのコーンフレークにミルクをかけたものを食べています、銀のスプーンですくってスープみたいにそうしています。
「そうして食べましょう」
「こうした食べものも」
 今度言ったのはナターシャでした、今は胡桃を食べています。
「いいのよね」
「そういえば」
 ここで、でした。ケーキは。
 ふとパーティーに出ている食べものや飲みものを見てこんなことを言いました。
「メニューは甘いものが多いわね」
「ああ、そのことだね」
 ピンクの子熊が答えました。
「僕達はぬいぐるみだから食べたり飲んだりしないけれど」
「それでもなのね」
「熊だからね」
 この生きものだからだというのです。
「熊は甘いものが好きだね」
「だからなのね」
「皆におもてなしとして出すものも」
「甘いものが多いのね」
「そう、特にね」
 ここで、でした。
 皆の前に蜂蜜や蜂蜜をたっぷりとかけたパンやお菓子、果物が出て来ました。そのメニューを出してです。
 子熊は笑顔でお話しました。
「これだよね」
「蜂蜜は熊の大好物だからね」
 ラベンダー熊も皆にお話します。
「だからだよ」
「出してくれるのね」
「熊はお魚とかも好きだけれど」
 それでもというのです。
「甘いものが好きだからね」
「そちらを優先したのね」
「そうだよ、栗と」
 見れば茹でたそれや天津甘栗もあります。
「そのお菓子もあるしね」
「熊は栗も好きだね」 
 臆病ライオンがこのことを指摘しました。
「そういえば」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「こちらも用意したんだ」
「食べなくても熊だから」
「わかるからね」
 熊の好きなものがというのです。
「だからよ」
「用意してくれて」
「食べて飲んでもらうよ」
「この美味しさは」
 何といってもとです、ケーキは蜂蜜をジャムみたいにたっぷりと塗ったパンを食べながら言いました。
「本当に素敵で」
「遠慮せずに食べてくれるね」
「是非」
「じゃあ私も」
 ナターシャもそっとそのパンを手に取って食べて言いました。
「いただきます」
「そうしてね、では我々は皆が楽しく飲んで食べるのを見て」
 クマセンターの熊達は食事を摂りません、それはぬいぐるみだからです。そしてそのぬいぐるみとしてこう言うのです。
「楽しむよ」
「では僕もそうさせてもらうよ」
「僕もね」
 かかしと樵もでした。
「食べる必要も飲む必要もないから」
「皆がそうするのを見て楽しませてもらうよ」
「では私も」
 伍長も言ってきました。
「その様に」
「貴女は伍長って言うけれど」
 ナターシャは今度は伍長にお話しました。
「ただね」
「ただとは」
「このセンターの軍事の責任者よね」
「ラベンダー熊様からそう任じられオズマ姫様からも認められた」
 背筋をぴんと張っての返事でした。
「クマセンターの軍事責任者だよ」
「伍長さんは下士官で階級は高いと言えないけれど」
「それでも立場は将軍に匹敵するのだよ」
「そうなのね」
「私は」
「じゃあクマセンターでとても偉い人なのね」
「如何にも」
 ここでも背筋をぴんと張って答えました。
「以後ご承知あれ」
「それじゃあね」
「その様に」
「オズの国はそこも外の世界と違うのね」
「ちなみに私は自分の国の軍隊の司令官よ」
 王女も背筋をぴんとさせてナターシャに言ってきました。
「階級は大将よ」
「大将ですか」
「元帥ではないけれどね」
「元帥になりますと」
「もうね」
 それこそというのです。
「特別偉いから」
「軍隊においては」
「だからね」
 それでというのです。
「お母様やお姉様がおられるし王様のね」
「お父上がですね」
「おられるから」
「大将ですか」
「この階級でも充分過ぎるから」
 こう言っていい位に階級が高いというのです。
「これでいいの」
「大将閣下ですか」
「オズマ姫からも認めてもらってるわ」
「お国の軍隊の大将ですね」
「そしてオズの国においてもね」
「大将閣下ですか」
「そうなのよ」 
 その立場にあるというのです。
「それでオズマ姫ひいてはウィンキーの皇帝であられる樵さんの指揮下にね」
「入っているんですね」
「そうなのよ」
「あれっ、そう言われたら」
 ここでカエルマンはあることに気付きました、その気付いたことは一体何かといいますと。
「ファイター大尉は大尉でも」
「ウィンキーの軍隊では僕に次ぐからね」
「大将のアン王女よりも上にあるね」
「そうだよ」
 実際にというのです。
「僕がそう定めているんだ」
「大尉も階級はそうでも」
「将軍の待遇だよ」
「伍長さんと同じだね」
「そうなるね」 
 樵はその伍長に目をやりつつカエルマンに答えました。
「やっぱり」
「そうなんだね」
「それとね」
 さらにお話する樵でした。
「僕は皇帝だけれどね」
「オズの国の国家元首は」
 ナターシャがまさにその人のお話をしました。
「オズマ姫で」
「王女さんがだよね」
「国家元首で」
「皇帝は外の世界では一番尊いとされているね」
「あの」
 ナターシャは胡桃を食べて牛乳を飲みつつ樵にお話しました。
「外の世界で皇帝は恵梨香のお国で私達が今住んでいて学校にも通っている」
「日本だね」
 かかしが言ってきました。
「僕達も時々行く」
「はい、日本の国家元首は天皇陛下で」
「皇帝となるね」
「そのお立場は」
「王様よりも偉いね」
「オズの国ではそれこそ」
 まさにという口調でお話するのでした。
「オズマ姫と同じ様な」
「そこまでのお立場だね」
「流石に世界の国家元首ではないですが」
「それでも皇帝として」
「別格の方です」
 日本の天皇陛下はそうした方だというのです。
「文字通りに」
「オズマ姫は樵君よりも上だからね」
「ウィンキーもオズの国の中にあって」
「オズマ姫はオズの国全ての国家元首だからね」
「皇帝よりも立場が上ですね」
「それもオズの国だよ」
「外の世界とは違うところもあるんですね」
 ナターシャも納得しました、ここまでお話して。
「オズの国は」
「そうだよ、伍長や大尉でも将軍扱いだったりするし」
「王女様が一番偉かったり」
「そうした国なんだ、しかし」
「しかし?」
「日本の天皇陛下は僕が聞いても凄いね」
 かかしも認めることでした。
「途方もなく長い間続いていて今もだからね」
「オズの国よりもずっと古くからあるお家なんてね」
 臆病ライオンも言うことでした。
「僕も想像出来ないよ」
「実は聖書が出来た時代よりも前からあるとか」
「ああ、キリスト教のだね」
「さらに古いらしいから」
「一体どれだけ古くからあるのかな」
 流石のカエルマンも首を傾げさせてしまいました。
「日本の皇室は」
「源氏物語にも普通に出ているね」
 教授はこの古典の名前を出しました。
「皇室は」
「あの本凄く古かったね」
 モジャボロは教授に応えました。
「確か」
「その頃にはもうだよ」
「日本の皇室は存在していて」
「そしてだよ」
 そのうえでというのです。
「源氏物語にも出ているからね」
「それは凄いね」
「イスラム教が出来た頃には」 
 源氏物語よりも前の時代です。
「存在していたしね」
「アーサー王の頃にもかな」
「勿論だよ、オズの国にはアーサー王もおられるけれど」
「円卓の騎士さん達もね」
「聖杯を守護してね、そのアーサー王の時代よりも」
「古いんだね」
「私はこのことを知って腰が抜けたよ」 
 かつては自分の知識に誇りを持ち過ぎていて尊大なところもあった教授でもそうなったというのです。
「こんな家があってしかも」
「皇帝だね」
「それだけにだよ」
「凄いものがあるね」
「ひょっとしたら」
 ここでナターシャが言いました。
「オズマ姫はもう」
「日本の天皇陛下とお会いするお話が出ているとか」
「そう言うのかな」
「そう思いましたけれど」
「実現したら凄いね」
 教授はナターシャにかなり真剣な面持ちで応えました。
「公には出来なくても」
「日本の天皇陛下とですね」
「オズマ姫がお会い出来たらね」
「凄いですよね」
「真剣に考えてみようか、オズマ姫と私達が日本を訪問するか」
 例え公に出来なくてもです。
「それかね」
「天皇陛下にですね」
「オズの国を訪問してもらうか」
「どちらかですね」
「実現出来る様にね」
 動いてみようかとです、皆はそうしたお話もしました。そうしたお話もしつつクマセンターでのパーティーを楽しむのでした。








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