『オズのケーキ』




               第三幕  フェアリーの女の子

 クッキー達は山登りの後は黄色い煉瓦の道に戻ってそのうえでクマセンターに向かいました、その途中で。
 リンキティンク王は他の皆にうきうきとした足取りで先に進みつつ言いました。
「何かこうしているだけでのう」
「気分がよくなってですね」
「うむ、先に先にとな」
 こうクッキーにも答えます。
「行きたくなるわ」
「それでは」
「このことを歌うか」
 こう言うのでした。
「是非な」
「そうですね、歌って」
 是非にと言うのでした。
「踊って」
「また一曲作るか」
「王様今回の旅は随分作曲されますね」
 王子はリンキティンク王にこうも言いました。
「随分と」
「うむ、機嫌がよいからのう」
「作詞作曲もですね」
「気が上向いておってな」 
 それでというのです。
「ついついな」
「先に先にと進みながら」
「それで、ですね」
「歌もな」
「作詞作曲されてますね」
「そうじゃ」
 こう王子に答えてです、そのうえで。
 早速また歌を歌って踊って動画にもあげました、その後でリンキティンク王は皆に御ドリ続けながら言いました。
「ほっほっほ、あまりにも楽しい旅でのう」
「歌も踊りもだね」
「進むわ」
「そうなんですね」
「そうじゃ、ただな」
「ただ?」
「一つ思うことは」
 そのことはとです、クッキーにもお話しました。
「オズの国の旅じゃ」
「だからですか」
「何かあるとな」
 その様にというのです。
「思うが」
「そう言ったら何かがあることがね」
 まさにとです、カエルマンが言ってきました。
「それがね」
「オズの国の旅だのう」
「言わなくても何かあるしね」
「楽しいことがのう」
「だからだね」
「今回もな」
 まさにというのです。
「楽しみじゃ」
「そしてそのことについても」
「何か起こったら」
 その時はというのです。
「歌って踊るぞ」
「そうするね」
「その時も楽しみじゃ」
「ではまず楽しみの一つに」
 ここで、でした。クッキーは。
 手にしているバスケットからあるものを出してきました、それは一体どういったものかといいますと。
 クッキーでした、クッキーはそれを出してリンキティンク王にお話しました。
「如何ですか?」
「おお、お菓子か」
「はい、クッキーです」
「そういえばクッキーさんはお菓子作りが得意だったな」
「いつも作っています」
 笑顔で、です。クッキーはリンキティンク王に答えました。
「そうしています」
「それでじゃな」
「はい、今こうしてです」
「クッキーを出してくれたんじゃな」
「如何ですか?」
「是非共。しかしな」
 ここでリンキティンク王はこうも言いました。
「問題があるぞ」
「と、いいますと」
「そうじゃ、今わし等は歩いておる」
 黄色い煉瓦の道をというのです。
「歩きながら食べることは今はな」
「されないことですか」
「そうじゃ、それはな」
 どうかというのでした。
「今は止めておいて」
「そのうえで」
「そうじゃ」
 まさにというのです。
「座って皆で食べよう」
「それでは」
「おやつの時間にのう」
「いいですね、では三時に」 
 王子はリンキティンク王の言葉を聞いて笑顔でよしとしました。
 そしてそのうえで、です。皆で三時にそのクッキーを近くのお菓子が実る木から貰ったモンブランのケーキやチョコレートムースと一緒にです。
 ティーセットにしました、そしてお茶としてレモンティーを近くのお茶が出る泉からすくっててに入れて。
 そうしたものでティータイムにしようとするとでした。
 そこにフェアリーの十歳位の女の子が来ました、赤い薔薇のお花から造ったドレスを着ていて緑の目と髪の毛がとても奇麗です。
 その娘を見てクッキーは声をかけました。
「貴女もよかったら」
「あっ、貴女達は」
 フェアリ―はクッキーの言葉で一行を見て言いました。
「リンキティンク王と」
「わしを知っておるか」
「オズの国でご存知ない人は」
 どうもと言うのでした。
「おられないかと」
「ほっほっほ、そうか」
「はい、そして」
 それにと言うのでした。
「ボボ王子と」
「僕も知ってるんだね」
「それにカエルマンさんと」
 次はこの人でした。
「そしてクッキーさんですね」
「私のことも知ってるのね」
「はい、それで皆さんは」
「ええ、クマセンターに行くけれど」
「その途中ですか」
「旅に出ていてね」
 それでとです、クッキーはフェアリーの娘に答えました。
「それでなの」
「そうですか」
「それで貴女はこの辺りに住んでいるのかしら」
「そうです、この近くの森に」
 そこにとです、フェアリーの娘はクッキーの質問に答えました。
「そうしています」
「そうなのね」
「今度私達の女王様のお祝いで今何かと」
「用意をしているのね」
「それで今ちょっと用がありまして」
 それでというのです。
「外出していまして」
「それで私達と会ったのね」
「そうなんです」
「何のお祝いかのう」
 リンキティンク王はフェアリーの娘に尋ねました。
「それで」
「女王様のお誕生日のお祝いです」
「それでか」
「はい、私達六人の大臣はそれぞれです」
「お前さんは大臣か」
「そうなんです、首相と外務大臣、内務大臣、財務大臣、典礼大臣、法務大臣がいて」
「お前さんはその一人か」
「そうです、これが」
「そうか、ではな」
「今丁度お仕事を終えて」 
 そしてというのです。
「その帰りです」
「左様か」
「はい、それでなんですが」
「うむ、ではな」
「それではですね」
「また縁があればな」
 その時にとです、リンキティンク王は応えました。
「宜しく頼む」
「それでは」
「その様にな」
 こうお話してでした、そのうえで。
 一行はフェアリーの娘をお茶にも誘いましたがこう言われました。
「お仕事の途中なので」
「帰る時も」
「ですから寄り道しないで」
 そうしてというのです。
「森まで帰るので」
「だからなのね」
「折角のお誘いですが」
 それでもとです、クッキーに答えるのでした。
「申し訳ありません」
「そう、じゃあね」
「はい、また」
「機会があれば」
「宜しくお願いします」
 こう言ってです、そのうえで。
 フェアリーの女の子は北の方に向かいました、そうして一行は自分達でティータイムを楽しんででした。
 旅を再開させましたが歩きはじめてすぐにでした、クッキーはカエルマンからこんなことを言われました。
「少し気になるね」
「フェアリーの娘達のことがですね」
「そう、どうもね」
 こう言うのでした。
「どんなお祝いになるか」
「そうですよね」
「まあ縁があればね」
「その時にですね」
「フェアリーの人達のそれにお邪魔するかも知れないけれど」
 それでもというのです。
「今はね」
「縁がないですね」 
 クッキーも応えて言います。
「だからですね」
「そう、今の私達はね」
「このままですね」
「クマセンターに行こうね」
「そうすべきですね」
「そう、そして」
 そのうえでというのです。
「ラベンダーグマさんともお話しよう」
「そうですね、そうして」
「今回の旅は終わりだから」
「私達は村に帰りますね」
「そうなるね」
「そうですね、まあこれといって」
「今回の旅は今のところにしても」
 こう言うのでした。
「穏便にね」
「終わりそうですね」
「そうだね、すぐに」
 クッキーに笑顔でお話しました。
「まあそれでもね」
「こうして旅に出ますと」
「いいものだね」
「色々なものが見られて」
「村にいてもいいけれど」
 それでもというのです。
「こうしてね」
「旅に出ることも」
「いいね」
「そうですね」
 クッキーも笑顔で応えました。
「本当に」
「ほっほっほ、わしも旅は好きじゃ」
 リンキティンク王も笑顔で言ってきました。
「それで機会があれば出ておる」
「そして僕がいつも一緒で」
 王子も言ってきました。
「楽しんでいますね」
「左様じゃな」
「そして」
 さらに言う王子でした。
「今回の旅もあと少しで折り返し地点ですね」
「そうじゃな、思えば短いのう」
「いや、そう思いますと」
「これが、じゃな」
「そうはならないのが世の中そして」
「オズの国じゃな」
「この国はいい意味で何かがいつも起こる国です」
 そうした国だからだというのです。
「絶対にです」
「何かあるのう」
「そう思いますと」
「ほっほっほ、では是非思ってな」
「そうしてですか」
「何かが起こる様にするか」
「そう言われると王様らしいですね」
 王子はリンキティンク王のお話に笑って応えました。
「やっぱり」
「わしは楽しいことが何よりも好きであるからじゃな」
「そうじゃ、ではな」
「これからですね」
「楽しみにしているぞ」
「それじゃあ」
 こうしたことを話しつつです、そのうえで。
 四人でクマセンターに向かっていきます、そしてこの四人とは別にアン王女達もクマセンターに向かっていて。
 この時は温泉の前に来ていました、ナターシャはその温泉の前でアン王女に対してこんなことを言いました。
「サウナもありますので」
「貴女にしてみるとね」
「本当にです」
「よかったのね」
「はい」
 満面の笑顔での返事でした。
「本当に」
「そこまでサウナが好きなのね」
「そうなんです、サウナがあると聞いて」
 温泉の前の説明にサウナもあるとはっきりと書いてあります。
「本当に嬉しいです」
「それじゃあ」
「是非入りましょう」
「サウナに」
「勿論湯舟のお風呂も入ります」
 こちらもというのです。
「絶対に」
「ナターシャそちらも好きね」
 恵梨香が応えました。
「お湯のお風呂も」
「そういえば僕達お風呂よく入るけれど」
 神宝はオズの国でもと思うのでした。
「ナターシャもだね」
「そうした時は水着着てね」
 ジョージはそのお風呂の入り方のお話をしました。
「そうして入るけれど」
「ナターシャ確かにお湯のお風呂も好きで」
 カルロスも言いました。
「楽しんでるね」
「ここの温泉は男湯と女湯に別れているから」
 モジャボロはその出入り口を見てお話しました。
「水着を着る必要はないね」
「そうしたお風呂もいいものだよ」
 教授もこう言います。
「気兼ねなく入られるからね」
「そうだね、ではね」
「今から入ろう」
「じゃあ私とナターシャと恵梨香は女湯で」
 王女が言ってきました。
「それで他の皆はね」
「男湯だね」
「そうなるわね、三人だけになることは」
 このことについても言う王女でした。
「思わなかったけれど」
「じゃあ温泉は」
「ええ、水着を着てね」
 そうしてというのです。
「入ると思っていたから」
「そうだったんですね」
「ええ、けれどそれならそれで」
「入られますね」
「私もお風呂好きだから」
 王女はナターシャに微笑んで応えました。
「だからね」
「それじゃあですね」
「今から楽しみよ」
 お風呂に入ることがというのです。
「本当に」
「それじゃあ」
「そしてね、すっきりして」
「そうしてですね」
「また旅に入りましょう」
「それじゃあ」
「そしてね」
 さらに言う王女でした。
「クマセンターにも向かいましょう」
「そうですね」
「もう少ししたら着くけれど」
 そのクマセンターにというのです。
「着いたらね」
「そこからですね」
「都に帰るけれど」
「旅はお家に戻るまで、ですね」
「ええ、その時までね」
「旅を楽しむべきですね」
「そういうことよ。私も旅は久し振りだし」
 それでというのです。
「楽しませてもらってるから」
「最後の最後まで、ですね」
「満喫させてもらうわ」
 是非にと言うのでした。
「本当に」
「そしてサウナも」
「今からね」
 こうしたことをお話してでした、皆それぞれ男湯と女湯に別れてそうしてお風呂に入りました。そしてです。
 ナターシャは王女そして恵梨香と一緒にまずは身体を洗ってサウナに入りましたがその時にでした。
 汗が身体に滲んできてナターシャは笑って言いました。
「こうしてですね」
「サウナに入っていると」
「汗が滲んできて」
「少しずつね」
「それが滝みたいになって」 
 その滝がというのです。
「汗を沢山かいて」
「それで、よね」
「はい、本当に」
 まさにと言うのでした。
「サウナに入っていると実感出来ます」
「そうよね」
「それで我慢出来なくなったら」
 その時のお話もするのでした。
「その後は」
「水風呂に入って」
「身体を冷やして」
 そしてというのです。
「そのうえで」
「また入るのね」
「そうして」
 そのうえでというのです。
「また汗をかいて」
「すっきりしてから」
「お湯のお風呂に入りたいですね」
「まずはサウナなのね」
「大好きですから」
 それでというのです。
「まずはです」
「そちらね」
「サウナがあるとそうしています」
「身体を洗って」
「それで」
「こうしてなのね」
「入っています」
 今の様にというのです。
「それで汗をかいています」
「じゃあ私もね」
「私も」
 恵梨香も言ってきました。
「ナターシャに言われて入ってみると」
「気持ちいいでしょ」
「ええ」
 恵梨香はナターシャに笑顔で答えました。
「本当に」
「たっぷり汗をかいて」
「そしてよね」
「身体に悪いものも出して」
「すっきりするのね」
「それがサウナなの、汗が流れて身体の汚れも落としてくれるし」
 こうした要素もあるというのです。
「サウナはいいの、そして熱くなり過ぎたら」
「そこで水風呂にも入って」
「また身体の汚れを落として」
「身体も冷やして」
「またサウナに入ってもいいし湯舟にもね」
 そちらのお風呂にもというのです。
「入ってもいいわね」
「そうしましょう、勿論身体を洗うこともね」
 このこともというのです。
「いいから」
「それじゃあね」
「温泉をね」
「ここでも楽しむべきね」
「そうよ」
 是非にと言ってでした、そしてでした。
 女の子三人で温泉を楽しんで、でした。皆すっきりしてからそのうえで温泉を後にして旅を再開しました。
 皆服はそのままですがすっきりして清潔になっています、教授はピカピカになった感じでにこにことして言いました。
「いやあ、本当にお風呂はね」
「いいよね」 
 応えるモジャボロはお鬚も奇麗になっています。
「身体だけでなく心も洗われる感じで」
「すると頭もね」
「よく回る様になるね」
「しかも」
 教授はさらにと言いました。
「頭がすっきりするから本も」
「それもだね」
「よく詠める様になるからね」
「読んでも頭に入るね」
「すいすいとね、だからね」
「尚更いいね」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「お風呂はいいんだよ」
「そうだね」
「シャワーもね」
 これもというのです。
「いいけれどね」
「もっとすっきりしたいなら」
「やっぱりお風呂だね」
「こちらだね」
「お風呂に入ると」
 王女も言います、王女も何もかもが洗濯されたみたいに奇麗になっています。
「本当に何もかもがね」
「すっきりするね」
「王女も」
「ええ、お陰で気分も一新されたから」
 それでと教授とモジャボロに応えました。
「だからだね」
「王女も大好きだね」
「そうよ、じゃあ気持ちよくね」
「クマセンターにね」
「向かい続けるね」
「そうしましょう」
 こうお話してでした。
 一行でクマセンターに向かっているとそこに、でした。
 フェアリーの女の子、藍色の髪の毛と目の娘が飛んできました。蝶々の羽根に赤い奇麗な薔薇のお花で作ったドレスを着ています。
 その女の子にナターシャが声をかけました。
「あの、貴女は」
「私?」
「ええ、フェアリーさんよね」
「見ての通りよ」
 笑顔で、です。女の子はナターシャに答えました。
「この辺りのフェアリーの国の大臣の一人よ」
「そうなのね」
「女王様がおられて」
 そしてというのです。
「首相に内務、外務、典礼、財務、法務のね」
「六人の大臣がいるのね」
「それで私達七人が中心になってね」
 そうしてというのです。
「森にあるフェアリーの国を治めているの」
「そうなのね」
「それで今私達七人って言ったね」
 カルロスは女の子のその言葉に対して聞きました。
「女王様と大臣のお話で」
「ってことは君も大臣さんだね」
 ジョージも言いました。
「そうだよね」
「女王様にしては冠を被っていないし服も身軽だから」
 ドレスでもとです、神宝も言いました。
「そうじゃないね」
「大臣さんのお一人ね」
 恵梨香も女の子を見ています、その大きさは二十センチ位で蝶々の羽根でお空を飛んで今はぱたぱたとその場にホバリングしています。
「つまりは」
「そうよ、私達七人は生まれた時からのお友達で」
 それでというのです。
「今はね」
「七人でなのね」
「国を治めているのよ」
 こうナターシャに答えました。
「そうしているのよ」
「そうなのね」
「それでね」
 女の子はさらにお話しました。
「私はちょっと使者に行ってたの」
「使者に?」
「そうなの、今度女王様のお誕生日で」
 その日になるからだというのです。
「お祝いのパーティーを開くから」
「生誕祭ね」
「そうなの、それがあるから」 
 だからだというのです。
「私達六人はそれぞれね」
「お誕生日の為に働いてるのね」
「そうなの」
 まさにというのです。
「皆でね」
「それで今私達に」
「使者としてちょっと他の国に行って」
 そしてというのです。
「招待状を送って」
「その帰りだったのね」
「そうなのよ」
 こうお話するのでした。
「丁度ね」
「オズの国にはフェアリーもいるって聞いてたけれど」
「会うのははじめて?」
「そうかも知れないわね」
「私は何度も会ってるわよ」
 王女がナターシャに笑顔で言ってきました。
「オズの国にずっといるから」
「だからですね」
「ええ、それでね」
「オズの国にですね」
「ずっといるから」
 だからだというのです。
「何度も会ってね」
「お話もですね」
「してるわよ」
「そうですか」
「ただ。住んでいる場所が限られているから」
「会うことはですね」
「あまりないのよね」
 これがというのです。
「このことはエルフやダークエルフもそうだけれど」
「他の種族の人達についてもですね」
「オズの国は色々な種族がいて」
 人間以外にもです。
「そしてね」
「お会い出来ますね」
「そうだけれど」
「そうした人達は住んでいる地域が限られていて」
「オズの国にずっといても」
「お会いする機会は限られていますね」
「例えば人魚がそうね」
 王女はナターシャにこの人達のお話もしました。
「貴女達も人魚の女王様にお会いしたわね」
「ジュリア=ジャムさんと一緒に冒険した時に」
「そうだったわね、けれどね」
「人魚の人達は海にいますね」
「川や湖に行くことも出来るけれど」
「水辺から離れられないですね」
「そこはどうしようもないの」
 人魚の人達はというのです。
「だった足がお魚でしょ」
「そうですね」
「だからね」
「水から離れられないですね」
「だから住んでいる場所も限られているの」
「そういうことですね」
「そして他の種族の人達も」
 人魚に限らずというのです。
「住んでいる場所が限られていることが多いの」
「そういうことですね」
「私達は何処でも住もうと思えば住めるけれど」
 またフェアリーの女の子がお話してきました。
「エルフの人達と同じで」
「それでなのね」
「そう、住むところはね」
 それはというのです。
「森が好きでそこで採れるものや空気、お水が好きだから」
「森の中に国があるのね」
「砂漠に住むフェアリーはいないでしょ」
「聞かないわね」
 実際にとです、ナターシャは答えました。
「そういえば」
「砂漠でもオアシスに住めるけれど」
 それでもというのです。
「やっぱりオアシスよりもね」
「森の方がいいのね」
「ずっとね、だからね」
「貴女達のお国も森にあるのね」
「そうなの」
 こうお話するのでした。
「私達の国も」
「それじゃあ」
「そう、そして」
「そして?」
「このことは他のフェアリーの国も同じよ」
 女の子の国だけではないというのです。
「やっぱり森の中に国があるの」
「それでそこで暮らしているのね」
「そうなの、本当に森を離れると」
「生きていけても」
「馴染めないの」
「本当に森が好きなのね」
「ちなみに好きな食べものは甘い果物よ」
 女の子は笑って好物のお話もしました。
「フェアリーは」
「果物ね」
「甘いのならお野菜も好きよ。ミルクも好きだし」
「甘党なのね」
「基本ね。けれどパンやチーズも食べるし」
 そうしたものもというのです。
「雨露も好きなの」
「そうしたものもなの」
「そこは妖精だから」
 だからだというのです。
「好きなの」
「ポリクロームさんみたいね」
「あの娘とお友達なのね」
「実はそうなの」
「私達もお友達よ」 
 女の子はナターシャに笑顔で答えました。
「あの娘そして虹の妖精さん達ともね」
「そうなのね」
「それでね」
 女の子はナターシャにさらにお話しました。
「お空に行ったこともあって」
「じゃあ虹の妖精の宮殿にも」
「お邪魔したことがあるわ」
「そうだったのね」
「あの娘達に連れて行ってもらってね」
「自分達で飛んでは」
「羽根があるから行けるかっていうのね」
 女の子はナターシャが言いたいことを先に察して言いました。
「そうなのね」
「ええ、それは」
「難しいわよ、私達が雲の上まで行くのは」
「そこまではなのね」
「オズのお空は海みたいに色々な生きものがいるでしょ」
「鳥にお魚に」
「そうした場所でね、私達は小さいしあまり速く飛べないから」
 だからだというのです。
「お空を高隈で飛んでね」
「雲のところまで行くには」
「物凄く大変だから」
 それでというのです。
「行かないの」
「そうなのね」
「その時はポリクロームさん達に連れて行ってもらって」
「そうして行ったのね」
「そうなの」
 こうナターシャにお話しました。
「私達は」
「それで虹の妖精の宮殿に行って」
「ギリシアの神様の神殿みたいなね」
「あそこそうよね」
「そこに行って一緒に遊んだこともあるの」
 女の子はその時のことを思い出してにこりとなりました、そのにこりとしたお顔がナターシャにもはっきりと見えました。
「とても楽しかったわ、そしてね」
「その楽しいことは」
「女王様のお誕生日にもね」
「あるのね」
「皆で女王様をお祝いして」
 そしてというのです。
「そのうえで美味しいものも食べて歌に踊りで」
「楽しんで」
「その楽しみを満喫するのよ」
「だから余計になのね」
「準備もしてるし」
「その準備も楽しそうね」
「勿論よ」
 これまた笑顔でのお返事でした。
「本当にね」
「何かと満喫しているのね」
「今からね、私達は毎日楽しんでいるけれど」
 このことはオズの国の他の人達と同じです。
「今回のお誕生日も」
「楽しんでいるのね」
「私達七人それぞれのお誕生日をね」
「お祝いしているの」
「そうよ、私達はお友達同士だから」
「七人全員がなのね」
「それでよ、じゃあ今からね」
 女の子は自分から言ってきました。
「帰るわ」
「ええ、森に帰るのね」
「私達の国にね」
「そうするのね」
「これからね、それじゃあまたね」
「ええ、縁があったらね」
「またお会いしましょう」
 こうお話してでした、そのうえで。
 一行はフェアリーの女の子と笑顔で別れてそうしてでした、皆でまたクマセンターに向かいました。
 そうしていく中で王女は笑顔でお話しました。
「いや、フェアリーの娘にも会えて」
「そしてですね」
「得した気分ね」
「王女はフェアリーがお好きですか」
「フエアリーは幸運を招いてくれるってね」
「言われているんですね」
「私達の国ではね」
 王女のお国ではというのです。
「そうも言われているから」
「だからですか」
「これはいいことがあるって」
「そうした風にですか」
「思えてきたから」
「だからですか」
「そう、今本当にね」
 見れば王女はにこにことしてお話しています。
「得した気分よ」
「これからいいことがある」
「そう思えてね」
「そうですか」
「そしてね」
 王女はナターシャにさらにお話しました。
「そのいいことを待つ間もね」
「その間もですか」
「期待しているから」
 そのいいことが起こることをです。
「それだけでも幸せよ」
「そういうことですね」
「何か足取りもね」
「軽くなってきましたか」
「そんな感じがしてきたわ」
 見れば王女の足取りは実際にこれまで以上に明るく軽くなっています、まるでスキップをするみたいになっています。
「本当に」
「それは何よりですね」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「これは私の勘よ」
 こう前置きしてです、王女は言うのでした。
「あの娘とまたね」
「会うってですか」
「そんな気がするの」
「そうなんですね」
「これは私の勘でね」
 そこから感じることでというのです。
「根拠はないけれど」
「それでもですね」
「そう感じるから」
「ひょっとしたらですか」
「あの娘にもね」
「もう一度ですね」
「会えるかもね」
 こう言うのでした。
「運がよかったらだけれど」
「そうですか、それじゃあ」
「会った時はね」
「また楽しくお話しましょう」
「そうしましょう、それとね」
 王女はナターシャにさらにお話しました。
「もう一つ思うことは」
「もう一つ?」
「そう、ポリクロームのお話が出たけれど」
「あの人のことですか」
「私彼女には最近会ってないわ」
 そうだというのです。
「どうもね」
「そういえば私達も」
「あの娘は普段お空にいてね」
「そこで暮らしていますから」
「あまり会う機会もね」
 それもというのです。
「ないのよね」
「そうですよね」
「だからあの娘ともね」
「またですね」
「会いたいわね」
「それも機会があればですね」
「そうなるわね、そしてオズの国は」
 今度はこちらのお話をしました。
「機会がね」
「とても多い国ですね」
「偶然が物凄く多くて」
「外の世界よりも」
「それもいい偶然ばかりだから」
「それが機会になって」
「そうしてね」
 そのうえでというのです。
「素敵な出会いがね」
「数多いんですね」
「再会もね、だからね」
「ポリクロームとも」
「また会えるわね」
 こう言うのでした。
「その時のことを期待しているわ」
「そうですか」
「何でも期待して」
「その間も楽しんで」
「そしてその時もね」
 この場合はお会いした時です。
「楽しませてもらうわ」
「それじゃあ」
「そう、そして」
 それでというのです。
「これからさらにね」
「クマセンターにですね」
「行きましょう」
 こうお話してでした、皆でクマセンターへの道をさらに進んでいきます。その左右はカドリングの赤い草原に森があって。
 村や街も見えます、柵もお家も赤いです。
 その赤い中にいてナターシャは思うのでした。
「赤が自然に馴染んできますね」
「カドリングにいるとね」
「エメラルドの都は緑でウィンキーは黄色で」
「マンチキンは青、ギリキンは紫でね」
「本当にそれぞれの色がありますね」
「そうなのよね、そしてその色にね」
「その国にいますと」
 赤い奇麗な草原を見ながらです、ナターシャは言うのでした。
「馴染んできますね」
「自然とね」
「それで私が好きな瞬間は」
 その時はといいますと。
「他の国に入る」
「今いる国から」
「その時です」
「色が奇麗に変わるのよね」
「国境で。あれがとても印象的ですね」
 そうだからだというのです。
「もうそこで色が一変するので」
「オズの国ではそうなのよね」
「あれがいいですよね」
「色が国境ではっきり分かれていて」
「そこから違う色に入る瞬間が」
「好きなのね」
「その時も」
 まさにというのです。
「大好きです」
「それじゃあその時も楽しみにして」
「オズの国の冒険をしています」
「そうね、じゃあ私も余裕があれば」
「冒険をですね」
「もっとしていくわ、確かにあの瞬間は凄く印象的だから」
 それで心に残るからだというのです。
「それを見る為にもね」
「旅をですね」
「していくわ」
 これからもというのです。
「そうしていくわ」
「では私達も」
「そうするのね」
「オズの国に来たら」
 その時はとです、ナターシャは王女に笑顔で応えました。
「そうさせてもらいます」
「そう、じゃあ一緒になった時はね」
「王女と一緒にですね」
「旅をしましょう」
「はい、こちらこそお願いします」
 ナターシャは王女に今回も笑顔で応えました、そうしてそのうえでクマセンターに向かっていくのでした。








▲頂きものの部屋へ

▲SSのトップへ



▲Home          ▲戻る