『オズのケーキ』




           第一幕  村でのお話

 カエルマンはこの時クッキーと自分達が住んでいる村でコーヒーを飲みながらケーキ最近は仇名がクッキーになっている彼女が作ってくれたチョコレート菓子を食べつつお話をしました。
 それで、です。こう言いました。
「チョコレート菓子にはコーヒーだね」
「そうですよね」
「うん、甘くてほろ苦いチョコレートにね」
 今はチョコレートそのものを食べつつ言います。
「コーヒーの組み合わせは」
「もう最高ですね」
「紅茶もいいけれど」
 チョコレート菓子にはというのです。
「やっぱりね」
「コーヒーですね」
「うん、だから今私はね」
「楽しまれていますね」
「最高の気持ちだよ」
 まさにというのです。
「本当にね」
「そうですね」
「だからね」
 それでというのです。
「今日はね」
「このままですね」
「うん、この組み合わせを楽しもうね」
「是非」
 クッキーも笑顔で応えます、ですが。
 ここで、です。こうも言ったのでした。
「私達だけで楽しんでも」
「あっ、どうもね」
「寂しいですね」
「どうも」
 こう言うのでした。
「そうだね」
「こうした時は」
「村の皆と一緒にね」
 カエルマンはクッキーに今度はコーヒー0を飲みつつ提案し0ました。
「飲もうか」
「そうしますか」
「うん、とはいっても」
 こうも言ったカエルマンでした。
「皆それぞれね」
「楽しまれていますね」
「お茶を飲んで」
 紅茶、そしてコーヒーを飲んでいる人もいます。
「お菓子を食べてね」
「ティータイムですからね」
「そうしているね」
「そうですね」
「じゃあ今はね」
「二人で、ですね」
「コーヒーとお菓子を楽しもうか」
 そのチョコレート菓子をというのです。
「そうしようか」
「そうですね、今は」
「うん、ただ今回はね」
 こうも言ったカエルマンでした。
「二人で楽しもう」
「そうすべきですね」
「そして」
「そして?」
「今度は他のお友達も入れて」
「そうしてですね」
「楽しもうね」
 クッキーに笑顔で提案します、そしてです。
 カエルマンはこの時はクッキーと一緒にコーヒーとチョコレート菓子を楽しみました、そしてその後でなのでした。
 楽しみを終えた二人のところにです、何とリンキティンク王がボボ王子と一緒に二人の前に姿を現わしました。
 そしてです、二人にこんなことを言ってきました。
「これからわし等の旅に同行してくれるか」
「またいきなりですね」
 クッキーはリンキティンク王に対してお顔を向けて応えました、とはいってもお顔はあまり驚いたものではありません。
「王様はいつもですけれど」
「はっはっは、そうかな」
「はい、本当に急に出て来られて」 
 そしてというのです。
「言って来られますね」
「そういえばそうかな」
「だからいつも言ってるじゃないですか」
 ボボ王子もこう言ってきました。
「王様は急過ぎるんですよ」
「いつもか」
「はい、そして」
 それでというのです。
「周りも慣れてますけれど」
「それでもか」
「戸惑いの段階じゃないですが」
 それでもというのです。
「またかってなっています」
「そうなのか」
「そうですよ、今回にしても」
「旅に出ようと思ってな」
「それで、ですよね」
「国を大臣達に任せてな」
 そうしてというのです。
「まずはこの村に来たが」
「あの、まずと言いましても」
 それでもとです、クッキーはリンキティンク王に言いました。
「王様のお国からです」
「この村までじゃな」
「かなりの距離がありますよ」
「ほっほっほ、それでもじゃ」
「その距離もですか」
「わしには特に思うことがなくな」
 それでというのです。
「楽しく来たぞ」
「そうですか」
「二人でのう」
「お供はいつも通り私ということで」
 王子はやれやれといった感じでも優しい笑顔で言ってきました。
「二人で、なんだよ」
「そうですか」
「うん、まして王様を一人にしていると」
「何をするかですか」
「わからないからね」
 それで心配だからというのです。
「お供をしているんだよ」
「そうなんですね」
「そう、そしてね」
 王子はさらにお話しました。
「ここまで一緒に来たんだ」
「そうですか」
「ただね」
「ただ?」
「ここに来るまで色々と美味しいものを食べられたよ」
 このことも笑顔でお話するのでした。
「有り難いことにね」
「果物やお菓子の実る木に」
 カエルマンが笑顔で言ってきました。
「お弁当の木もあるから」
「二人で楽しく食べながら」
 そうしてというのです。
「ここまで来たんだ」
「それは何よりだね」
「王様は特に目的地を決めなくて」
 それでというのです。
「旅を続けてきたけれど」
「それは今もかな」
「うん、これといってね」
 特にというのです。
「決めていなくて気の赴くまま歩いていて」
「この村まで来たんだ」
「それで王様は思いついて」
 それでというのです。
「お二人を旅のお供に誘おうって」
「思ってのう」
 王様は笑って言いました。
「ここまで来たのじゃ」
「そういうことだね」
「それで二人の返事を聞きたいが」
「旅の申し出は断らない」
 カエルマンは笑顔で応えました。
「それがオズの国の決まりだから」
「それではじゃな」
「是非ね」
「一緒に来てくれるか」
「村の人達には旅に出るとお話して」
 そしてというのです。
「それからね」
「うむ、行こうな」
「それではのう」
 二人でお話してです、そしてでした。
 カエルマンとクッキーは村の人達に笑顔で旅に出るとお話してです、そのうえでリンキティンク王とボボ王子の旅に合流しました。
 そしてです、そのうえで。
 四人で村を出るとです、クッキーはリンキティンク王に言いました。
「村から出ましたけれど」
「それで、じゃのう」
「これから何処に行くか」
「勿論考えておらぬ」
 一切という返事でした。
「出た時と同じくな」
「そうですか、それなら」
「行く先を考えてくれるか」
「はい、ラベンダーグマさんのところに行きませんか」
「クマセンターにか」
「どうでしょうか」
 こうリンキティンク王に提案するのでした。
「これから」
「うむ、いいのう」
 それではとです、王様もでした。
 頷いてそれでクマセンターに行くことになりました、そして王子は自分達の右手にあるものを見ました。
 それはお弁当の実る木でこう言ったのでした。
「早いにしても」
「それでもだね」
「そう、ここはそれぞれ取って」
 お弁当をというのです。
「晩ご飯の時に食べましょう」
「おお、ではな」
「それぞれ好きなものを手に取りましょう」
「うむ、ではわしは鰻弁当じゃ」
 リンキティンク王は笑って応えました。
「日本のな」
「それですか」
「最近好きになってのう」
 その鰻弁当がというのです。
「だからじゃ」
「今夜もですか」
「それを食べよう」
 是非にというのでした。
「そうしよう」
「そうですか、じゃあ僕は」
 王子は王様のお話を聞いて言いました。
「サンドイッチとフライドチキンですね」
「その二つか」
「はい、やっぱり」
「鰻にはせんのか」
「お昼和食でしたから」
 それでというのです。
「今回はそちらで」
「サンドイッチとか」
「はい、フライドチキンです」
「ううむ、そうなのか」
「というか最近確かに王様鰻お好きですね」
「鰻のゼリーはそうでもないが」
 それでもというのです。
「鰻のかば焼きは大好きでじゃ」
「それで、ですか」
「わしはな」
 実際にというのです。
「最近はじゃ」
「鰻のかば焼きが好きで」
「それでじゃ」
「召し上がられますか」
「そうする」
「確かにかば焼きは美味しいですね」
 王子もこのことは認めます。
「本当に」
「そうであろう」
「はい、僕もそう思います」
「だから今夜はそれじゃ」
 鰻のかば焼きにご飯の鰻弁当だというのです。
「それにする」
「わかりました」
「さて、私はハンバーガーにしようかな」
 カエルマンはこちらでした。
「それを食べようかな」
「飲みものは」
「コーラにするよ、それとフライドポテトもね」
 こちらもとです、カエルマンはクッキーに答えました。
「是非ね」
「そうですか」
「そう、そして」
 それにというのでした。
「今夜は楽しむよ」
「そうですか、では私は」
 クッキーはといいますと。
「パンにソーセージにサラダで」
「その三つだね」
「飲みものは牛乳にして」
 それでというのです。
「頂きます」
「その組み合わせもいいね」
「そうですね」
「うん、じゃあね」
「それぞれですね」
「手に取って食べよう」
 こうお話してでした、そのうえで。
 四人はそれぞれが食べたいお弁当を手に取ってそうして晩ご飯の時に食べることにしました、その中でリンキティンク王は。
鰻弁当にお茶を手に笑いながら言いました。
「ところで鰻と梅干の相性が悪いというのは」
「王様この前一緒に召し上がられてましたね」
「しかし何ともなかった」
 こう王子に答えました。
「わしはな」
「そうでしたね」
「うむ、まことにな」
「身体の調子は、ですね」
「何ともなくてな」
 それでというのです。
「どちらも美味かった」
「そうでしたか」
「そしてじゃ」
 リンキティンク王はさらにお話しました。
「西瓜と天婦羅もな」
「その食べ合わせもですね」
「何もなかった」
 一緒に食べてもというのです。
「そしてこちらもじゃ」
「どちらも美味しかったんですね」
「まことにな」
「食べ合わせのお話はどうも」
 カエルマンもハンバーガーが包まれている袋達を手にしています、勿論フライドポテトやコーラもあります。
「迷信というか」
「実際は違うのう」
「そうみたいだね」
「わしも食べてみてわかった」
 実際にそうしてというのです。
「本当かどうか確かめようとも思ってな」
「美味しいものを楽しむ為にもだね」
「ほっほっほ、そうしたらじゃ」
 これがというのです。
「何もじゃ」
「なくてですね」
「美味しいだけであった」
「鰻も梅干しも」
「そして西瓜と天婦羅もな」
 こちらもというのです。
「特にじゃ」
「何もだね」
「なくてな、美味いものを楽しめた」
「何かお話を聞いていますと」
 クッキーもリンキティンク王に言ってきました。
「王様最近和食に本当に」
「凝っておるのう」
「左様ですね」
「鰻や梅干し、天婦羅だけでなくな」
 さらにというのです。
「お刺身やお豆腐、お寿司、お味噌汁、すき焼きもな」
「何でもですか」
「あと納豆や塩辛もよいのう」
「そういったものもですか」
「最近好きじゃ」
「納豆までとは」
 クッキーはこのことに驚いて言いました。
「また凄いですね」
「糸を引いていて何かと思うな」
「はい、腐っているんじゃないかって」
「それがじゃ」
「実は違いますね」
「あれは発酵しておってな」
 腐っているのではなく、というのです。
「言うならヨーグルトと同じじゃ」
「そのことは聞いてます」
「それでお醤油やからしを入れてかき混ぜてな」
 そうしてというのです。
「ご飯の上にかけるとな」
「これが、ですか」
「実に美味いのじゃ」
「そうなんですね」
「わしはおうどんやお蕎麦も好きじゃが」
 こちらの話蜀もというのです。
「こうしたものと組み合わせてもな」
「いいんですね」
「山かけみたいにして食っても」
「山かけ、山芋をすりおろしたものですね」
「あれも美味いがな」
 リンキティンク王はこちらもお好きだというのです。
「こちらは麦飯にも合う」
「麦飯も召し上がられますか」
「これが結構以上に美味くてな」
「山芋をかけるとですか」
「一度食してみるといい」
「そうさせてもらいます」
「そして納豆もな」
 またこちらのお話をするのでした。
「食うとよいぞ」
「じゃあそうさせてもらいます」
「是非な、これはあの娘にもお話するか」
「恵梨香ちゃんですね」
「あの娘にもな」
 日本人でオズの名誉市民の一人であるこの娘にというのです。
「話をせねばな」
「いいですね、あの娘も納豆好きでしたね」
「何でもあの娘の住んでいる関西では馴染みが薄かったらしいが」
 それがというのです。
「最近は馴染みも出来て」
「あの娘の住んでいる地域でもですね」
「結構食べられる様になったというのう」
「それで、ですね」
 クッキーはリンキティンク王にお話しました。
「あの娘も食べますね」
「それも結構好きだというのう」
「それでは王様とも」
「一緒に食えるのう」
 納豆、それをというのです。
「今度会った時が楽しみじゃ」
「そうなんですね」
「しかしじゃ」
「しかし?」
「あの娘はともかくとして」
 恵梨香はいいとしてとです、リンキティンク王は考えるお顔になってそのうえでクッキーにお話しました。
「他の子達がどうかのう」
「ナターシャちゃん達ですね」
「うむ、あの四人じゃ」
 ナターシャにカルロス、ジョージ、神宝の四人はというのです。
「あの四人はどうかのう」
「それはわからないですね」
「うむ、納豆は外見は糸を引いていて」
 まずはそのことからお話しました。
「匂いもきつい」
「そうなんですよね、その二つが」
「どうしてもな」
「問題ですね」
「味はよいし身体にもよいが」
「それでもですね」
「あの姿と匂いだからのう」
 この二つが問題でというのです。
「どうしてもな」
「日本以外の国の人達には」
「馴染みがないのう」
「僕も最初大変でしたよ」
 王子が言ってきました。
「いや、本当に」
「王子は最初見て何だとなったのう」
「ベジマイトみたいで」
「あれも凄いのう」
「何かって思いました」
「ほっほっほ、わしはあちらも好きじゃが」
 そのベジマイトもとです、リンキティンク王は王子に応えて言いました。
「王子はどちらにも苦労したのう」
「今ではどちらも食べますが」
「左様じゃな」
「納豆は大豆ですよね」
 王子はここで首を傾げさせて言いました。
「お味噌やお醤油の原料で」
「そうじゃな」
「お豆腐やきな粉、ずんだにもなる」
「色々と使えるのう」
「枝豆にもなって」
「あれも最高に美味いのう」
「枝豆は僕も大好きですが」
 それでもと言う王子でした。
「納豆がこうしたものと同じなんて」
「想像も出来んかったな」
「全く別の食べものだと」
 それこそというのです。
「思いました」
「そうじゃな」
「とにかくです」
 王子はさらに言いました。
「あれは衝撃的ですね」
「ほっほっほ、その衝撃もよいのじゃ」
「そうしたことまで楽しまれるから」
「わしはいつも幸せなのじゃ」
 楽しめるからだというのです、何でも。
「そうなのじゃ」
「そうですか、ですが」
「ですが。何じゃ?」
「いえ、王様のそうしたところは僕もです」
 王子はリンキティンク王にあらためて言いました。
「見習います」
「わしをか」
「何でも幸せに感じられるところは」
「そんなことは別によいが」
「いいんですか?」
「わしは王様じゃが全然偉い人間でない」
 リンキティンク王はこう王子にお話するのでした。
「我儘で勝手な人間だからのう」
「それで、ですか」
「わしを見習うよりもな」
「他の人をですか」
「見習うべきじゃ。例えば」
 ここでリンキティンク王が言う人はといいますと。
「オズマ姫とかのう」
「あの方を見習うべきですか」
「左様、わしを見習ってもじゃ」
 それこそというのです。
「何にもならんぞ」
「そうでしょうか」
「わしはそう思う」
 実際にという返事でした。
「だからじゃ」
「いえ、王様は最初の冒険で凄いことをされましたし」
 クッキーがそのリンキティンク王に言いました。
「他にも色々なことをされていていつも陽気で明るい政治でお国をよくされていますし」
「見習うべきというのか」
「そのうちのお一人だと思いますよ」
「だといいがのう」
「はい、ではまずは」
「クマセンターにじゃな」
「行きましょう」
 こうお話してです、クッキーとカエルマン、リンキティンク王にボボ王子の四人はお弁当を手にクマセンターに向かうのでした。
 この時エメラルドの都では」
 ナターシャとカルロス、ジョージに神宝、恵梨香の五人が宮殿を後にしていました。一緒にいるのは都に呼ばれていたアン=アニャコレヤ王女とムシノスケ教授そしてモジャボロです。
 アン王女は見送りのオズマとドロシーに笑ってお話しました。
「私も久し振りの旅だし」
「だからなのね」
「貴女も楽しみなのね」
「都に呼ばれて遊んでいたら」
 その時にというのです。
「クマセンターへの使者に選ばれるなんてね」
「私が行くつもりだったけれど」
 ここでドロシーが少し残念そうにアン王女に答えました。
「これからね」
「ハイランドに行くのよね」
「トトと一緒にそうしないといけなくなったから」
 だからだというのです。
「貴女にお願いしたの」
「私も今は国に帰っても何もないし」
 それでとです、アンはドロシーに答えました。
「渡りに舟というかね」
「それならって思ってなのね」
「ええ、是非にと思って」
 それでというのです。
「このお話受けさせてもらったのよ」
「そうなのね」
「そして私達もだよ」
「暫く旅に出ていなかったからね」
 教授とモジャボロも楽しそうに言ってきます。
「それならと思ってだよ」
「同行を申し出たんだ」
「ええ、アン王女にね」
 今度はオズマガお話します。
「貴方達もいてくれたらね」
「安心出来る」
「だからだね」
「そうよ、色々とお願いね」
「それで私達は、ですね」 
 三人と一緒に冒険の旅に出るオズの五人の名誉市民の子供達の中からナターシャが言ってきました。
「オズの国に来ていたから」
「そうよ、いいタイミングだから」
 それでとです、オズマはナターシャにも笑顔で答えてお話しました。
「貴女達にも声をかけたのよ」
「そうですね」
「今回の旅も楽しんできてね」
「そうさせてもらいます」
「クマセンターに行くの楽しみです」
 カルロスがそのオズマに笑顔で言いました。
「本当に」
「ラベンダーグマさんにもお会いして」
 ジョージは彼と会うことを楽しみにしています。
「久し振りにお話もしたいですしね」
「クマセンターに行くまでの道中も楽しみですし」
 神宝はそちらのことも考えています。
「今からうきうきとしています」
「じゃあ今から出発ですね」 
 恵梨香もにこにことしています。
「楽しい旅のはじまりですね」
「そうよ、楽しんできてね」
 オズマは五人の子供達にも優しい笑顔を向けました、そしてです。
 笑顔のまま一時の別れを告げ合って手も振り合って別れてでした、ナターシャ達は冒険の旅に入りました。
 冒険がはじまってです、アン王女はすぐにこんなことを言いました。
「林檎が食べたいわね」
「いいですね、じゃあお昼は」
「ええ、テーブル掛けを借りてるから」
 オズマが貸してくれたのです、今回の旅にあたってオズマはアン王女にそれを貸して何時でも好きなものを出せて食べる様にしてあげたのです。
「だからね」
「それで林檎も出してですね」
「食べましょう、林檎を入れたサラダもいいし」
「あっ、あれ美味しいですよね」
 ナターシャは王女に笑顔で応えました。
「甘くて他のお野菜や果物の味も引き立てて」
「そうでしょ、それとね」
 王女はお話を続けました。
「林檎の芯を抜いて中にバターを入れて」
「そうしてですね」
「じっくり熱してもね」
「あれも美味しいですね」
「そのまま食べてもいいしケーキにしてもパイにしても」
 そうしたお菓子にしてもというのです。
「美味しいから」
「だからですね」
「ここはね」
 是非にと言うのです。
「林檎を食べましょう」
「お昼になれば」
「サラダも出して」
「デザートもですね」
「林檎にしましょう」
「いいね、アン王女は林檎がお好きだから」
 モジャボロも林檎が好きです、それで言うのでした。
「僕も一緒に旅が出来て嬉しいよ」
「そう言ってくれるのね」
「心からね、本当に林檎があれば」
 それでというのです。
「幸せになれるからね」
「林檎は非常によい果物だよ」
 教授も林檎についてにこにことお話します。
「身体によくて美味しくて」
「素敵な果物よね」
「だから沢山食べていいんだよ」
 王女にもこう答えます。
「だからね」
「それで、よね」
「お昼は皆で林檎を楽しもう」
「是非共ね」
 二人でこうお話してでした、一行はまずはお昼まで歩きました。途中十時には軽くお茶を飲みもしましたが。
 お昼は林檎とオレンジそれにパイナップルにレタスやセロリ、ブロッコリーを入れてフレンチドレッシングをかけたサラダにです。
 ビーフシチューにオイルサーディン、チキンのグリルにパンと林檎ジュースそしてデザートに林檎の芯を抜いてそこにバターを入れてかなり熱したものを出しました、ナターシャはその中のサラダを食べて言いました。
「こうしたサラダも大好きになりました」
「ロシアのサラダとよね」
「はい、こうしたあっさりしたサラダも」
 アン王女に笑顔でお話します。
「そうなりました」
「それで今もよね」
「美味しく頂いています」
「いいことよ、本当にね」
「林檎は、ですよね」
「こうした時も美味しいから」
 サラダに入れてもというのです。
「素敵なのよ」
「そうですよね」
「ただね」
「ただ?」
「私最近実はチョコレートも好きなの」
 こちらもというのです。
「これがね」
「そうなんですか」
「林檎も好きなままだけれど」
 それだけでなくというのです。
「チョコレートもね」
「そうですか」
「だからおやつ、ティータイムには」
「チョコレートをですか」
「出したいわ」 
 こうナターシャにお話するのでした。
「是非共ね」
「チョコレートもいいですからね」
「あちらも美味しいですよね」
「いつも食べたい位に」
「甘くてほろ苦くて」
「素敵な味ですね」
「そうでしょ、だからティータイムはそちらを出すわね」
 王女はナターシャ達五人の子供達にお話しました。
「それでいくわ」
「ははは、今はお昼だけれどね」
 モジャボロは王女とナターシャ達のお話を聞きながらビーフシチューを食べています、そうしつつ言うのでした。
「おやつの時も楽しみになってきたよ」
「チョコレートは頭も刺激するのだよ」
 教授はグリルを食べつつお話に入りました。
「素敵なお菓子だよ」
「だから教授もだね」
「よく食べるよ、チョコレートを食べて」
 そしてとです、教授はモジャボロに応えました。
「コーヒーを飲めば」
「それでだね」
「頭が冴えてね」
「学問もはかどるね」
「本当にそうだからね」
 それでというのです。
「よくチョコレートを食べて」
「コーヒーも飲んで」
「そして本を読んだりね」
 そうしたりしてというのです。
「論文も書いているよ」
「そうだね」
「林檎もいいけれどチョコレートもいい」
「学問にとっても」
「林檎も頭を冴えさせてくれるんだ」
 この果物もというのです。
「そしてチョコレートもだよ」
「成程ね、ではおやつの時は」
「私も楽しみだよ」
 教授はモジャボロににこにことしてお話します。
「本当にね」
「お昼なのにおやつの時が楽しみなんてね」
 アン王女は笑いながら言いました。
「贅沢なことね」
「そうですよね、お昼も楽しんで」
 ナターシャはアン王女に笑って応えました。
「おやつも、ですから」
「こんな贅沢なこともないわよね」
「本当にそうですね」
「オズの国の贅沢はね」
「楽しみがずっと続くということですね」
「最高の贅沢だと思うわ」
 まさにとです、アン王女はパンに林檎のジャムをたっぷりと塗ってお口の中に入れてから述べました。
「本当にね」
「まさにそうですね」
「皆がその贅沢を楽しめているし」
「限られた人達でけでなくて」
「本当にいいと思うわ」
「楽しみが終わらない」
 ナターシャはこのことについてこんなことを言いました。
「こんないいことはないですね」
「そうでしょ、それでナターシャも」
「はい、楽しませてもらいます」
 実際にと言うのでした。
「本当に」
「それは何よりね」
「昨日はサウナも入りましたし」
 エメラルドの都の宮殿で入ったのです。
「とてもよかったですよ」
「そういえば貴女お風呂は」
「はい、サウナが好きで」
 それでというのです。
「あればです」
「入ってなのね」
「楽しませてもらっています」
「そちらも楽しみよね」
「そうなんです、サウナっていいですよね」
「そうね、私もあればね」
 サウナについてです、アン王女も答えました。
「入ってね」
「そうしてですよね」
「汗をかいてね」
 そうしてというのです。
「水風呂も入って」
「そうしてですね」
「身体を冷やしてまた入るわ」
「それがいいですよね」
「ロシアのお風呂はサウナっていうけれど」
 ここで言ったのはモジャボロでした。
「それも面白いね」
「全くだよ、サウナは汗をかいて身体にもいい」
 教授も笑顔でお話します。
「あれば是非入るべきだよ」
「身体にもいいしだね」
「気持ちよくもなるからね」
 それでというのです。
「入るべきだよ」
「そうだね」
「まあ旅の間はサウナはそうないから」
 だからです、ここで言ったのは王女でした。
「あればね」
「入る位ですね」
「そうなるわ、そしてサウナがあれば」
「入ってですね」
「楽しみましょう、それとナターシャってよく見れば」
 ここでこうも言った王女でした。
「お人形さんみたいね」
「そうですか?」
「恵梨香もだけどね」 
 王女はこの娘も見てお話しました。
「服装もそうだし」
「黒のゴスロリですね」
「貴女いつもその服なのね」
「はい、そうなんです」
「それでオズの国でもなのね」
「この服です」
 ゴスロリ、黒のそれだというのです。
「色は黒が好きですから」
「だからなのね」
「服の色もそうしています」
「成程ね、ただ貴女なら」
 王女はナターシャを見つつ彼にお話しました。
「どんな色の服でも似合うわよ」
「そうですか」
「そう、そしてね」
 それでというのです。
「色々着てみるといいわ」
「そうですか」
「ただ貴女達五人それぞれの色が決まってるわね」
 王女は笑ってこうも言いました。
「ナターシャは黒で」
「それで、ですね」
「カルロスは黄色、ジョージは赤、神宝は青で」
「恵梨香はピンクで」
「それぞれ色が決まってるわね」
「オズの国みたいですね」
 ここでこうも言ったナターシャでした。
「それは」
「そうね、オズの国もね」
「それぞれの色が決まっていますね」
「そのことと同じね」
「このことも私達がオズの国に縁がある理由の一つでしょうか」
「それもあるかも知れないわね」
 王女も否定しませんでした。
「だからね」
「この国に来てですね」
「そしてね」
 そのうえでというのです。
「楽しんでいるのよ」
「ずっとですね」
「そうよ、まあ貴女達は好きな様にしてね」
「好きな服を着てですね」
「楽しんでね」
「そうしてもいいですね」
「オズの国はそれぞれの色があるけれど」
 それぞれの国でというのです。
「実は誰がどんな色の服を着てもね」
「いいんですね」
「そう、いいから」
 だからだというのです。
「貴女達もね」
「好きな時にですね」
「好きな服を着てね」
 こうしたお話もしました、そしてです。
 皆でお昼を食べてから旅を再開しました、そうした時にです。
 ふとです、アン王女は黄色い煉瓦の道を皆と一緒に歩きながらそのうえでこんなことを言ったのでした。
「このまま一直線にね」
「クマセンターまで行けますね」
「この煉瓦の道はね」
 こうお話するのでした。
「あのセンターに行く道だから」
「それで、ですね」
「このまま歩いていけば」
 そうすればというのです。
「着くわよ」
「そうですね」
「そう、それと」
 さらにお話する王女でした。
「途中もね」
「面白い場所がありますか」
「だからね」
「センターまでの旅路もですね」
「楽しめるから」
 それでというのです。
「期待していてね」
「わかりました」
「具体的にはね」
 その楽しみについてです、王女はナターシャ達にお話しました。
「温泉もあるしバイキングの渡し守さんもいるから」
「温泉あるんですか」
「そしてバイキングの人もおられるんですね」
「渡し守もしていて」
「その人とも会えるんですか」
「そうなんですね」
「そうよ、いい人なの」
 そのバイキングの人はというのです。
「とても大きくて逞しい体格でね」
「バイキングの人って大きいそうですが」
「実際に大きいんですね」
「それで力が強いんですよね」
「船に乗っていて」
「鎧も着ていて」
「そうよ、ただ武器は持っていても」
 それでもというのです。
「戦うことはないから」
「バイキングっていいますと」
 ナターシャは自分が知っているこの人達のお話をしました。
「剣や斧ですね」
「槍も持ってるわね」
「けれど何といっても」
 その武器はといいますと。
「斧です」
「そうよね」
「斧がないと」
 それこそというのです。
「バイキングじゃないっていいますか」
「そのイメージよね」
「丸い盾と厚着と」
「それと装飾のない兜で」
「それがバイキングですね」
「私もそのイメージよ。ただね」
「ただ?」
「それはあくまでイメージで」
 それに過ぎなくて、というのです。
「オズの国では外見は同じでも」
「それでもですか」
「本当に戦うことはないから」
 バイキングにつきもののこれはないというのです。
「安心してね」
「そうなんですね」
「怖くないから」
「外の世界のバイキングは勇猛だけれど野蛮だね」
 教授がこう言ってきました。
「どうも」
「そうなんですよね」
「いきなり舟から来て襲い掛かって来る」
「そんなイメージです」
「実際に外の世界ではそうだったけれど」
「オズの国のバイキングの人達は」
「勇敢で力は強いけれど」
 それでもというのです。
「優しい人達だよ」
「安心していいですね」
「ただ食べる量はね」
 こちらはといいますと。
「物凄いからね」
「私達より遥かにですね」
「そうなんだ、身体が大きいうえにいつも身体を動かしているから」
 それでというのです。
「本当にね」
「食べる量は凄いですか」
「もう一人で羊一頭とか林檎の木一本とか」
「そんなにですか」
「食べて」
 そしてというのです。
「飲むしね」
「それは凄いですね」
「そのことはもうね」
 教授はナターシャに穏やかな声でお話します。
「頭に入れておいてね」
「わかりました、それじゃあ」
「今からね」
「バイキングの人達のところにも行って」
「楽しくね」
 旅をしようというのです、ナターシャ達もアン王女達と一緒に旅をはじめてクマセンターに向かうのでした。








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