『オズのキャプテン船長』




               第二幕  リンクティンク王の国で

 一行はカドリングの国に入ってこの国も一気に縦断してそのうえでリンキティンク王の国に来ました。するとです。

 リンキティンク王はいつもの調子で皆に言ってきました。
「ハハハ、もう連絡は来ているぞ」
「そうなんだね」
「では早速かな」
 こう船長に言うのでした。
「出港といくかい?どうせならだよ」
「この国でだね」
「少し遊んでいくといい、ハハハ」
「少し休む意味も含めて」
 王様の第一の親友でいつも一緒にいるボボ王子も一向に言ってきました。
「一日でも二日でもこの国にいたらどうですか」
「さて、どうしたものか」
 船長は二人の提案を受けて考えるお顔になりました。
「ここは」
「いいんじゃないかしら」
 トロットが船長に答えました。
「ここは」
「王様達の申し出を受けてだね」
「ええ、確かにすぐに出港したら」
「疲れるかな」
「都からここまでずっと歩いてきて」
 それでというのです。
「やっぱり疲れてるでしょうし」
「だからだね」
「そう、ここはね」
「休憩の意味も含めてだね」
「一日か二日でも」
 それ位でもというのです。
「休んで」
「そしてだね」
「出港しましょう」
「そういえば特に急がないね」
 モジャボロも言います。
「それならね」
「ここはリンキティンク王の申し出を受けよう」
 教授もトロットの意見に賛成でした。
「少し休もう」
「船長は早く海に出たいの?」 
 ビリーナは船長に尋ねました。
「そうしたいの?」
「いや、焦ることはないからね」
 船長はビリーナに答えました。
「だからね」
「それじゃあよね」
「うん、特に急がないから」
「だったらね」
「暫くの間だね」
「一日か二日でも」
 その間でもというのです。
「休んでね」
「遊ぶことだね」
「そうしましょう」
 是非にと言ってです、そしてでした。
 一行はリンキティンク王の国に少し滞在して王様達と一緒に遊ぶことにしました、そうなるろとでした。
 王様は皆をお菓子の牧場に案内してそこで様々なお菓子やジュースを飲みながら歌いはじめました。その歌を聞いてです。
 王子は少し首を傾げさせて尋ねました。
「その歌は何の歌ですか?」
「鳩の歌じゃよ」
 王様は歌い終わってから王子に上機嫌で言いました。
「太った飛べない鳩の」
「ああ、ドードー鳥ですね」
「左様、わしの大好きな鳩じゃ」
 それの歌だというのです。
「実に愛嬌があってよい鳩じゃな」
「そういえばあの鳥は鳩の仲間でしたね」
「そうなのじゃよ」
「あれっ、ドードーって鳩だったんですね」
 カルロスはそう聞いて目を丸くさせました。
「ドードーって鳥だと思っていました」
「そう、王様の言う通りだよ」
 そのカルロスに神宝がお話します。
「ドード―鳥は鳩の仲間なんだ」
「顔がそんな感じだね」 
 ジョージはドード―鳥のそのことからお話しました。
「そういえばね」
「鳩が閉鎖的なところで進化して」
 ナターシャはこう考えました。
「ああした姿になったのね」
「太って飛べなくて」
 それでという恵梨香でした。
「何か大丈夫かしらって思うわね」
「だからだよ」
 船長が五人にお話します。
「あの鳥は外の世界ではいなくなったんだ」
「太っていて動きが鈍くて」
「しかも飛べなくて」
「捕まえやすくて」
「それで人や犬に狙われて」
「それで、ですね」
「しかも人が乗っている船にいた鼠が卵を狙ったから」
 だからだというのです。
「その結果だよ」
「いなくなったんですね」
「発見されてから」
「外の世界ではいなくなって」
「それで、ですね」
「オズの国にしかいなくなったんだね」
「わしは外の世界は知らぬが」
 王様はこう言いました。
「ドードー鳥は知っていてな」
「今歌ったんだね」
「そうじゃ」
 こうモジャボロに答えるのでした。
「そうしたのじゃよ」
「成程ね」
「それでじゃが」
 王様はさらにお話します。
「あの鳥はこの国にもおるぞ」
「ああ、そうだったね」
 教授が王様の今の言葉に応えました。
「ドードー鳥はこの国にも分布していたね」
「うむ、赤いドードー鳥がな」
「いたね」
「赤いドードー鳥って」
 そう聞いてです、恵梨香は興味深そうに言いました。
「どんなのかしら」
「それは興味があるね」
「ドードー鳥はもう観たけれどね」
「オズの国でね」
「けれど赤いドードー鳥は観たことがなかったから」
「観てみたいわね」
 恵梨香はジョージ達四人共お話しました。
「ここは」
「では後で紹介しよう」
 王様は恵梨香達に上機嫌で約束しました。
「ここでお菓子とジュースを楽しんでからな」
「わかりました」
 五人は王様に答えました。
「それでは」
「では次は赤いドード―鳥を観るということにして」
 王子も言ってきました。
「まずはリンキティンク王が言う通り」
「ここでお菓子を食べて」
 トロットはシュークリームを食べながら言いました。
「そしてジュースも飲んで」
「楽しんでね」
「そうさせてもらうわ」
「しかしね」
 ここでこんなことを言った船長でした。
「お菓子を食べていると」
「どうしたの?」
「お酒も飲みたくなるな」
 こう言うのでした。
「ラム酒やブランデー、特にワインを」
「お酒なのね」
「うむ、わしはな」
 そうだというのです。
「飲みたくなった」
「それじゃあワイン出すわね」
 トロットは船長に応えてでした。
 そのうえで実際にテーブル掛けからワインのボトルを何本も出しました、そうしてこう言ったのでした。
「大人の人達皆の分を出したわ」
「おお、多いね」
「ええ、好きなだけ飲んでね」
「ふむ、お酒か」
 王様もそのワインを見て言います。
「まあわしは飲まぬが」
「そういえばそうですね」
 王子は王様に応えました。
「飲むことは飲んでも」
「あまり飲まぬな」
「どちらかというとジュースですね」
「お酒を飲むよりじゃ」
 ジュースだというのです。
「それをふんだんに飲むことがじゃ」
「王様の楽しみですね」
「そうじゃ」
「王様はそちら派ですね」
「お酒を飲むならジュースじゃ」
 また言う王様でした。
「わしはな」
「それじゃあこのワインは」
「船長さん達がわしの分まで飲めばいい」
 こうトロットにも答えます。
「そうすればいい」
「そうなのね」
「こうして紅茶もある」 
 今度はミルクティーを飲んでいます、そのうえで。
 傍にあったクッキーを手に取って摘まんで食べてまた言うのでした。
「これで充分じゃ」
「じゃあ貰うよ」
 モジャボロが王様に言いました。
「早速ね」
「うむ、わしの分は皆で飲んでくれ」
「一人辺りボトル二本あるけれど」
「全部飲んでくれ」
 遠慮なく言う王様でした。
「自分が飲まぬのにあれこれ言わぬわ」
「だからだね」
「ふんだんに飲むのじゃ」
「それじゃあね」
 お言葉に甘えて、でした。
 船長達はワインを飲みながらお菓子も食べます、王子もそうしていてアイスクリームを食べてから赤ワインをグラスに入れて飲みながら言うのでした。
「うん、ワインとお菓子は本当に合うよ」
「あの、お酒を飲む人は」
 恵梨香が言ってきました。
「甘いものは苦手だって」
「いうんだね」
「日本ではそうですが」
「いやいや、それがだよ」
「オズの国では違うんですか」
「オズの国だけではないよ」
 船長も恵梨香にお話します。
「アメリカとかね」
「他の国ではですか」
「ワインやラム酒はケーキやシュークリームにも合うから」
 だからだというのです。
「一緒に楽しめるんだよ」
「そうですか」
「わしも日本酒は飲むよ」
「日本酒はお菓子には合わないんですね」
「そうじゃ」
 その通りだというのです。
「わしは実際に飲んでわかった」
「日本酒はお菓子には合わないですか」
「あとビールもだよ、ただ中国の杏酒は中国のお菓子に合う」
「そうなんですね」
「しかし日本酒や焼酎は」
 こうした日本のお酒はというのです。
「魚介類やお豆腐や鍋ものには合っても」
「それでもですね」
「どうしても日本のお菓子には合わん」
 そうだというのです。
「あの味がな」
「お酒によってそれぞれですね」
「おはぎやお饅頭はお茶だよ」
「あっ、確かにお茶と一緒に飲むといいですね」
 恵梨香はそのお饅頭を見ながら船長に応えました。
「日本のお茶と」
「そうだね」
「それでも日本酒には合わないんですね」
「だから日本でお酒が好きな人はだよ」
 日本酒が好きな人はというのです。
「甘いものは好きじゃないんだよ」
「そうなるんですね」
「しかし他の国そしてオズの国では違うんだよ」
「ワインとかがお菓子に合うからですね」
「そうだよ」
 今度はビスケット挟んだその間にチーズがあるものを食べてからです、船長は赤ワインをグラスでぐいと飲みました。
 そしてです、また言うのでした。
「この通り」
「そうですか」
「そう、そして飲みはじめると」
「止まらないのですね」
「いや、実に美味くて」
 どんどん飲んでもう船長さんのお顔は真っ赤になっています。
「止まらないのだよ」
「じゃあ私も大人になったら」
「こうして飲むといいよ」
 恵梨香ににこりと笑ってお話しました。
「これもまたお酒の楽しみ方なのだからね」
「そういうことですね」
「ドーナツにも合うよ」
 モジャボロは今はエンゼルショコラを食べています。そうしてからワインを飲んでそうして言うのでした。
「どちらも美味しいよ」
「何か本当に美味しそうですね」
「実際にね」
 言いつつさらに飲みます。
「楽しんでいるよ」
「そうですね」
「さて、そしてだよ」
「そして?」
「君達も食べているかな」
「はい」
 笑顔で答えた恵梨香でした。
「凄く」
「それは何よりだよ、お菓子の牧場に来たら」
「それこそですね」
「ふんだんにね」
 お菓子をというのです。
「食べないとね」
「そうしないとですね」
「ここに来た意味がないからね」
「その通りじゃ」
 王様は月餅を食べつつ言いました、本当に色々なお菓子があります。
「わしは退屈と遠慮が嫌いじゃ」
「だからですね」
「皆どんどん食べるのじゃ」
 遠慮なんかしないでというのです。
「よいな」
「はい、じゃあ」
「腹一杯食うのじゃ」
 是非にというのでした。
「よいな」
「そうさせてもらいます」
「そしてじゃ」
「お腹一杯食べて」
「それからな」
「ドードー鳥ですね」
「赤いな、何故赤いかはな」
 王様はこのこともお話しました。
「ここもカドリングだからじゃよ」
「赤一色の国だからですね」
「それでドードー鳥もじゃ」
 この鳥もというのです。
「赤いのじゃ」
「そういうことですね」
「そういうこじゃよ」
 まさにというのです。
「そうなるのじゃ」
「そこはオズの国ですね」
「勿論マンチキンのドードー鳥は青くてな」
「他の国のドードー鳥もですね」
「それぞれの色じゃ」
 そうなっているというのです。
「まさにな」
「そうですね」
「そしてじゃ」
 さらに言う王様でした。
「ここは赤いドードー鳥がおってな」
「そのどーどー鳥を見てですね」
「楽しんでもらいたい」
「わかりました」
「そして出港したら」
 王子はそれからのことをお話しました。
「色々な生きものに出会えるよ」
「オズのくににしかいない」
「そう、彼等にね」
「じゃあ今回の出湊は」
「そのことも楽しみにして」
 そうしてというのです。
「行くといいよ」
「そうなんですね」
「僕も外の世界のことは知らないけれど」
 それでもというのです。
「オズの国にしかいない生きものは多いからね」
「ドードー鳥以外にもですね」
「沢山いるからね」
「それはオズの国の大陸と同じですね」
「そう、海もお伽の国だから」
 オズの国はというのです」
「だからね」
「海も不思議な生きものが一杯いて」
「彼等を観て楽しめるよ」
「不思議でこそオズの国じゃ」
 王様は上機嫌でこうも言いました。
「若しそうでないとじゃ」
「オズの国ではないですか」
「そうじゃ」
 もうその通りだとです、王様は恵梨香に答えました。
「何もかもが不思議であってこそな」
「まさにオズの国ですね」
「それでわしも大好きなのじゃよ」
「オズの国そのものが」
「こうして君達も来てくれるしのう」
「こうして会えるのも縁だからね」
 王子もお顔がすっかり赤くなっています、そうしてにこにことしてそのうえで恵梨香達に言うのです。
「この国にいる間も楽しんでね」
「今みたいにですね」
「そう、是非ね」
「お菓子を食べてジュースを飲んで」
「そしてだよ」
「ドードー鳥もですね」
「見て欲しいんだ」
 楽しみとして、というのです。
「彼も喜ぶぶしね」
「ドードー鳥さんもですか」
「そうだよ、彼等も陽気な性格でね」
 それでというのです。
「誰かと会うことが好きなんだ」
「そうなんですか」
「そしてお喋りもね」
 そちらもというのです。
「大好きだからね」
「だからですか」
「彼と会って」
 そしてというのです。
「皆でお話してね」
「されじゃあそうさせてもらいます」
「そういうことでね」
「この国は生きものも喋るからね」
「中に入ったら喋られるのよね」
 鶏のビリーナが言ってきました。
「私もそうだし」
「あっ、そうよね」
「そう、私もトトもエリカも最初は喋られなかったのよ」
 それがというのです。
「オズの国に入ってね」
「喋られる様になったわね」
「これもオズの国の不思議よ」 
 そのうちの一つだというのです。
「それで喋れる様になって」
「私達ともやり取りが出来るのね」
「あと外のどの国の人でもね」
「あっ、オズの国だとね」
「普通に英語でお喋り出来てるわね」
「私英語まだまだ駄目なの」
 恵梨香はそうで、そして他の子達もでした。
「英語難しいね、中国語と文法同じでも」
「ポルトガル語と違うよ」
「ロシア語とは文字が違うわ」
「僕は普通だけれどね」
「その皆が普通にお喋り出来ているのよ」
 このこともというのです。
「オズの国の不思議なことでしょ」
「そうよね、確かに」
「言葉も普通に通じるの」
「動物でも英語が苦手な人でも」
「そうなることはね」
 まさにというのです。
「私も有り難く思ってるし」
「そして私達もね」
「そうなるわね」
「そうよね」 
 恵梨香はビリーナの言葉に頷きました。
「本当に」
「そうでしょ、じゃあね」
「ドードー鳥とも」
 まさにと言うのでした。
「会うのよ」
「そうさせてもらうわね」
「そういうことでね、ただね」
「ただ?」
「いや、私オズの国に来てドードー鳥と会ったけれど」
「そうよね、外の世界はもうね」
「私がアメリカにいた時はいなかったから」
 だからだというのです。
「オズの国に来てはじめて会ったわ」
「そうだったわね」
「ええ、けれどそんなに珍しいとはね」
「貴女は思わないのね」
「そうなの」
 ビリーナはというのです。
「他の生きものもね」
「それはあれね」
「あれっていうと」
「貴女はドードー鳥はこの世界で知ったのよね」
「ええ、そうよ」
 その通りだとです、ビリーナは答えました。
「それからよ」
「そうよね、アメリカにいた時は知らなかったのよね」
「リョコウバトは知っていたけれど」
 それでもというのです。
「あの鳥を知ったのはね」
「それじゃあね」
 それならというのです。
「不思議と思わないの」
「あっ、わかったわ」
 ビリーナもここで頷きました。
「オズの国ではじめて知ったから」
「それが普通になってね」
 それでというのです。
「不思議にならないのよ」
「外の世界にいないことを知っていてこの世界にいることを知ったら」
「不思議になるのよ」
「そういうことよね」
「そう、それでね」
 さらにお話する恵梨香でした。
「私達はね」
「外の世界にはもういないことを知ってるから」
「オズの国でドードー鳥を見て不思議に思うのね」
「そういうことよ」
「そのことがわかったわ」
 ビリーナは納得した声で述べました。
「本当に」
「それは何よりよ」
「ははは、わしは何でも不思議に思っているぞ」
 リンキティンク王はそうでした。
「それこそな」
「それでいつも笑うんだね」
「そうだよ、高らかに」
 船長にもこう答えます。
「不思議でかつ楽しい」
「王様にとって不思議は楽しいだね」
「同じだよ」
「そうなんだね」
「だからいつも楽しい」
「それは何よりだね」
「うむ、ただ」
 王様はこうも言うのでした。
「最近お客さんが来てくれなかったことは寂しかったぞ」
「それを言ってたんですよ」
 王子も皆にお話します。
「お客さんが来て欲しいと」
「そうだったんだね」
「僕と遊びながらも」
 そうしてもというのです。
「そう言ってたんですよ」
「そうですか」
「そして今です」
「わし等が来て」
「凄く嬉しいんですよ」
「お客さんが来たら一緒に遊べるからな」
 だからだと言う王様でした。
「本当に嬉しいよ」
「それでわし等に一日でも二日でもだね」
「この国に来て欲しいと言ったんですよ」
「そういうことか」
「この前お客さんが来たのは一月前か」
 王様はこの国に最後にお客さんが来た時を思い出しました。
「ボタン=ブライトが来たのう」
「あの子が来たのかい」
「うむ、しかしな」
「あの子はね」
「いきなり出て来てのう」
 そうしてなのです、ボタン=ブライトという子は。
「いきなりいなくなるからじゃ」
「それでだね」
「三日この国にいたが」
「寝て朝にかな」
「起きて来ないので部屋に行くといなかった」
「いつも通りだね」
「それでスマホに今何処かと聞くとカエルマンの家じゃ」
 そこにいたというのです。
「いつも通り寝ている間に瞬間移動じゃ」
「あの子の特殊能力だよ」
「いつも通りだめ」
「それでわしはな」
 ボタン=ブライトがカエルマンの家に行ってです。
「笑ったわ」
「不思議なことだと思ってだね」
「それでじゃ」
 まさにというのです。
「大笑いしたわ、しかしじゃ」
「お客さんがいなくなって」
「それで寂しくなったわ」
「やれやれだね」
「しかし今日君達が来てくれた」
 また笑顔で言う王様でした。
「存分に楽しんでくれ」
「じゃあね」
 トロットはここまで聞いて皆に言いました。
「一日か二日ってお話だったけれど」
「もっとだね」
「今回の冒険は急がないから」
 このことがあってと船長に答えます。
「だからね」
「それでだね」
「そう、それでね」  
「もっとここにいるんだね」
「五日位いない?」
 これがトロットの提案でした。
「どうかしら」
「うん、それ位いたらね」
 それならとです、船長も頷きました。
「王様も寂しい思いはしないね」
「そうでしょ、そして五日の間ね」
「ずっとだね」
「皆で一緒に遊んで」
 そうしてというのです。
「楽しみましょう」
「それがいいね」
「うむ、では皆お菓子はお腹一杯食べたな」
 王様はトロットと船長のお話から皆にあらためて尋ねました。
「それではじゃ」
「ドード―鳥だね」
「それを観に行くぞ」
 こうモジャボロに答えました。
「よいな」
「うん、それじゃあね」
 モジャボロは王様の言葉に笑顔で頷いてでした。
 そのうえで皆はお菓子の牧場から王宮に戻ってそこの動物園にあるドード―鳥のコーナーに行きました、するとです。
 赤い羽毛のドードー鳥達がいてです、教授はその鳥を見て言いました。
「うむ、いい毛並みだな」
「うん、僕は元気だよ」
 そのドードー鳥も言ってきました。
「いつも通りね」
「それは何よりだね」
「ご飯も美味しいよ」
「そういえばドードー鳥ってね」
 ここで言ったのはカルロスでした。
「麦やお米や玉蜀黍を食べてるね」
「大体鳩と同じだね」
 神宝も言います。
「穀物が好きだね」
「黍とか稗とか粟も食べてるし」
 ジョージはそうした鳥の餌のことをお話に出しました。
「そうだったね」
「草食性ね」
 ナターシャはドードー鳥をそうした鳥だと言いました。
「つまりは」
「私達と同じね」
 こう言ったのはビリーナでした。
「要するに」
「君達とは違う種類だけれど」
 ドードー鳥もビリーナに応えます。
「食べるものは大体同じだね」
「そうよね」
「それに公道も似てるかな」
「飛べないからっていうのね」
「そこもね」
「そうね、けれど私達は飛べないけれど」 
 それでもと言うビリーナでした。
「跳ぶことは出来るわよ」
「そちらはだね」
「そう、地面から木の上に跳んで」
 そしてというのです。
「枝に止まる位は出来るわよ」
「そこは僕達と違うね」
「というかあんた達って地面を歩くだけよね」
「そうだよ、ヨチヨチとね」
 そうした調子でというのです。
「歩くだけだよ」
「走ってもね」
「駝鳥さん達に素早くないよ」
「オオウミガラスやペンギンみたいに素早く泳げないし」
 このことも言うのでした。
「そうよね」
「うん、本当に歩くだけだよ」
「だからよね」
 恵梨香はドードー鳥のそのお話を聞いて悲しいお顔になって言いました。ナターシャ達四人もそうしたお顔になっています。
「外の世界ではいなくなったのね」
「外の世界では僕達はもういないことは知ってるよ」 
 ドードー鳥はこう恵梨香達緒に答えました。
「そのことはね」
「貴方自身もなの」
「うん、確かに僕達はヨチヨチ歩くしか出来ないから」
 だからだというのです。
「それでね」
「すぐに捕まったりして」
「外の世界じゃね」
「いなくなったのね」
「うん、けれどオズの国ではね」
「今こうしてよね」
「ちゃんといるよ」
 右の羽根を動かしてお話します。
「この通りね」
「それは何よりよ」
「そう言ってくれるんだね」
「だって外の世界でいなくなっても」
 それでもというのです。
「オズの国にいてくれたら」
「それでなんだ」
「嬉しいから」
 これが恵梨香の返事でした。
「だからねこれからもね」
「僕達にだね」
「会いたいわ」
 心から思っていることを言うのでした。
「本当にね」
「そこまで思ってくれるんだ」
「だから。外の世界ではもういないのよ」
 またこのことを言うのでした。
「貴方達は」
「その君達がオズの国ではいる」
 船長も言うのでした。
「これがどれだけ不思議なことか」
「オズの国は不思議なことばかりだけれど」
 それでもと言うトロットでした。
「このこともよ」
「不思議なんだね」
「そうよ」
 こうドード―鳥に言います。
「本当にね、それとね」
「それと?」
「貴方達って私達は沢山の卵を生めないから」
「毎日ぽんぽんと」
「それは本当に凄いことよ」
「そうだったのね」
「鶏や家鴨はそうでも」
 毎日卵をどんどん生めてないというのです。
「そこは家畜化されていないせいかしらね」
「そういうことね」
「だからね」
 さらに言うドードー鳥でした。
「このことは羨ましいのよ」
「ううん、そのことがわかったかしら」
 ビリーナは考える顔になって述べました。
「鶏では普通のことがね」
「私達にとっては凄かったりするのよ」
「毎日卵を生むことも」
「そのこともね」
「そういえばね」
 ここで恵梨香が言ってきました。
「そんな鳥は野生ではいないわね」
「そういえばそうね」
「しかも雛にならない卵生めるでしょ」
「無精卵ね」
「あれはかなり特殊でしょ」
「そうだね、わしとしてはね」
 船長が恵梨香達に言ってきました。
「その卵から孵る直前の雛を食べたことがあったけれど」
「ベトナムのお料理ですね」
「あれを食べるのも好きだよ」
「卵と鶏の間ですか」
「丁度ね、それが美味しいんだよ」
「そうなんですか」
「恵梨香達もベトナムから来た子達と知り合いかな」
 船長は恵梨香にこのことも尋ねました。
「どうかな」
「はい、隣のクラスに女の子がいます」
 恵梨香は船長に答えました。
「ホーチミンから来てる娘です」
「その娘から聞いているかな」
「はい、そういえば」
「そうだね、これが食べると元気が出て」
 そうしてというのです。
「美味しいんだよ」
「そうなんですね」
「ベトナム料理も面白くてね」
「生春巻きもそうですし」
「その他の食べものも面白いんだ」
「それでそうしたものも食べるんですね」
「そうだよ、機会があれば食べてみるといいよ」
 船長は恵梨香達に笑顔でお話しました。
「一度ね」
「わかりました」
「卵も色々なお料理があるんだよ」
「そういうことですね」
「そして」
 ここで、でした。
 船長はまたドードー鳥を見てお話しました。
「君達も家畜になったらだよ」
「毎日卵を生める様になるかな」
「雌はね」
「鶏みたいに」
「品種改良して」
 そしてというのです。
「その結果ね」
「僕達も家畜になったその時は」
「毎日生めるよ」
「そうなると面白いね」
「うん、確かに君達は飛べない鳥だけれど」
 このことは変わらなくてもというのです。
「品種改良でね」
「毎日卵を生めたりするんだね」
「飛べなくても跳べたり」
 鶏の様にです。
「早く走ったり泳ぐこともね」
「出来るかな」
「そうなるかも知れないよ」
「僕達みたいに歩くことしか出来なくても」
「そうだよ、特にこのオズの国は不思議の国だから」
 それ故にというのです。
「それだったらね」
「余計にだね」
「そう、品種改良にだね」
「色々なことが出来る様になるんだね」
「今は無理なこともね」
「それは面白いね」
「そうだね」
 こうドードー鳥に言うのでした。
「あと大きくなることもね」
「あっ、大きいドードー鳥なら」
 赤いドードー鳥は大きいと言われて船長に答えました。
「もういるよ」
「ああ、この動物園にはいないがね」
 教授が大きなドードー鳥についてお話します。
「南の島々にはいるね」
「そうそう、人間位の大きさのね」
「彼等がいたね」
「そんな島があるの」
 このお話を聞いて驚いたのは恵梨香達でした。
「オズの国は不思議の国だけれど」
「大きなドードー鳥もいるなんて」
「流石オズの国?」
「人間位の大きさのドードー鳥までいるなんて」
「お伽の国ならではね」
「そう、何かね」
 ドードー鳥は恵梨香達五人にさらにお話します。
「何処かの不思議の国か鏡の国にもいるそうだけれど」
「アリスかしら」
 そうした国の名前を聞いてふと思った恵梨香でした。
「その国は」
「君達は知ってるのかな」
「子供の頃絵本で読んだことがあったわ」
 それで知っているというのです。
「大きなドードー鳥のことは」
「それで知っているんだ」
「トランプの兵隊やチェシャ猫や大きな芋虫さんもいて」
 そしてというのです。
「大きなドードー鳥もいてね」
「君達も知ってるんだね」
「何処となくね」
「そうだったんだ」
「それでこの国にいてもね」
 このオズの国にもというのです。
「別にね」
「不思議とは思わないのね」
「ええ、私はね」
「そうなんだね」
「そこはわかってくれるかしら」
「よくね、じゃあ君達はその島に行くのかな」
「そうだね」
 船長が答えました。
「わしもその島のことは知っているし」
「それならだね」
「海に出たら」
 その時はというのです。
「その島に行くよ」
「そうしてだね」
「そのドードー鳥も観るよ」
 この目でというのです。
「是非ね」
「わかったよ、じゃあね」
「さて、赤いドードー鳥の他に」
 ここでまた言った王様でした。
「この動物園には多くの生きものがいるのだから」
「その生きもの達もですね」
「観るといい」
「カバキリンもいるしね」
 王子はオズの国のこの生きものの名前も出しました。
「観るかな」
「あのカバキリンもですね」
「よく凶暴と思われるね」
「実際にそうですよね」
「けれどこの動物園のカバリキンは大人しいんだ」
「そうなんですか」
「カバよりもキリンの属性が強いせいかね」
 それでというのです。
「大人しいんだ」
「それはいいですね」
「これがカバの属性が強いとね」
「凶暴なんですね」
「実はカバは結構凶暴だからね」
 王子はこのことを知っていて言うのでした。
「それでだよ」
「カバの属性が強いと」
「それでね」
「凶暴になるんですね」
「そうだよ、ここのカバキリンはキリンの属性が強いから」
 また言う王子でした。
「安心してね」
「わかりました」 
 恵梨香は王子のその言葉に頷きました、そのうえで皆で一緒にそのカバキリンも観ました。そのカバキリンは実際に大人しくてです。
 皆が傍に来てもも笑顔でいます、それで恵梨香達はいいました。
「カバキリンも大人しいとね」
「ほっと出来るね」
「これが怖かったらね」
「とても近寄れないけれど」
「今みたいに」
「そうだね、最近の彼等も大人しいけれど」
 カバの属性が強いカバキリン達でもというのです、船長は恵梨香達にお話しました。
「それでもね」
「キリンの属性が強いなら」
「元から大人しいんですね」
「こうした感じで」
「だから僕達が近寄っても何もしない」
「そうなんですね」
「そうだよ」
 その通りだとです、船長は五人にお話しました。
「そしてその大人しい属性が強まってるから」
「元々よりもですか」
「だから余計にですか」
「何もしてこない」
「静かに草を食べるだけですね」
「そうなんですね」
「そうだよ、だから安心してね」
 そうだというのです。
「君達も」
「それじゃあ」
「そしてね」
 さらに言う船長でした。
「この動物園の隅から隅までね」
「観てですね」
「そうして楽しめばいいですね」
「この動物園も」
「他の場所でそうしているみたいに」
「そうすればいいですね」
「是非共ね、それと」
 船長はここでこうも言いました。
「もう一つ楽しむべきものがあるよ」
「この動物園のスナックコーナーは凄く美味しいのよ」
 トロットがその楽しむべきものについてお話します。
「ハンバーガーもアメリカンドッグもサンドイッチもあるの」
「そうなんですか」
「じゃあそこに行ってですね」
「それで皆で食べるんですね」
「ハンバーガーやホットドッグを」
「そちらも楽しむといいんですね」
「お饅頭やおうどんやピロシキもあるわよ」
 各国の軽食もというのです。
「ちゃんとね」
「アメリカが色々な国から人が来ていてね」
 それでと言う船長でした。
「それぞれの食文化も入ってね」
「オズの国がアメリカが反映されるので」 
 恵梨香が応えました。
「だからですね」
「そうだよ、色々な軽食があってね」
「それでも楽しめるんですね」
「そうだよ、じゃあね」
「その軽食もですね」
「楽しんでね」
 そしてというのです。
「動物園を満喫しようね」
「わかりました」 
 恵梨香が応えてでした、そうしてです。
 皆でスナックコーナーにも行って沢山食べてそちらも楽しんででした、そのうえで動物園の色々な生きもの達も観るのでした。








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