『オズのファイター大尉』




                第八幕  世界樹の中

 一行はホテルを出てすぐに世界樹の方に向かいました、そうして世界樹の方に行ってあらためて世界樹を上の方まで見上げますと。
 神宝が思わず唸って言いました。
「何度見ても高いね」
「うん、何千メートルあるか」
 カルロスが続きます。
「わからない位だよ」
「高いだけじゃなくて幅も凄いから」
 ジョージは幹の太さと枝の数、葉の多さを見ています。
「とてつもなく大きな木だね」
「全体的にクリスマスツリーみたいな感じね」
 ナターシャは世界樹を見てこう思いました。
「この木は」
「北欧神話のユグドラシルにも似てると思うけれど」
 恵梨香はこちらの神話を思い出しました。
「やっぱりクリスマスツリーね」
「そうだね、じゃあそのクリスマスツリーに」
 神宝がまた言いました。
「今から入って登るんだね」
「そうだよ、皆で入ってね」
 大尉も答えます。
「そうしてね」
「頂上まで行って」
「うん、これは冒険でもあるから」 
 ただ世界樹の葉を手に入れるだけでなくです。
「だからね」
「世界樹の中も巡ってね」
「見ていくんですね」
「そうするんだ」
 こう神宝にお話するのでした。
「それでいいね」
「わかりました」
 神宝は大尉に頷いて答えました、それは他の四人も同じでそれでドロシーも皆にこう言うのでした。
「今から入るけれど注意してね」
「僕達は入るのははじめてだから」
「だからですよね」
「世界樹の中は全く知らないですから」
「しかも広い場所なので」
「迷わない様にですね」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「私達についてきてね」
「道案内をするからね」
 ジャックも皆に言います。
「僕達から離れないでね」
「若しはぐれたらすぐにスマホで連絡をしてね」
 かかしはこう五人に言いました。
「そうしてその場所から動かないでね」
「その時は僕達が迎えに行くから」
 樵は五人に優しい声でお話します。
「安心してね」
「オズの国のスマホは何処でもつながるから」
 トトもスマホのことがわかっています。
「世界樹の中でも大丈夫だよ」
「そういうことで行きましょう」
 ドロシーは自分が先頭に立って言いました、もう世界樹への入り口はすぐ目の前にあります。今すぐに入ることが出来ます。
「これから」
「それでは」
 五人も応えてでした、一行は遂に世界樹の中に入りました。世界樹の中は木らしく穴がお部屋になっていたり通路になっていたりしてです。
 迷路みたいです、それで神宝は思わず言いました。
「本当に油断したら」
「迷いそうだよね」
「少しのことで」
「そう、だからね」
 それでとです、大尉は神宝にお話しました。
「世界樹の中もね」
「迷路と思ってですね」
「特に君達ははじめて入るから」
 それだけにというのです。
「注意して僕達からはぐれない様にして」
「そうしてですよね」
「進んでいってね」
「わかりました」
 確かな声で頷く神宝でした、そうしてです。
 世界樹の広くて複雑な幹の中の空洞を進んでいってでした。先に進んでいきますがある広いお部屋に出ますと。
 そこに人間位のカブトムシやクワガタ、それに芋虫達がいて人間みたいな仕草で卓を囲んでトランプをしていました、その彼等を見てでした。
 神宝は最初少し驚いた感じでしたがすぐに納得したお顔になってそのうえでこんなことを言いました。
「ああ、木だからね」
「そうだよ、木には虫がいるから」
 かかしが神宝に答えました。
「だからなんだ」
「虫もいるんですね」
「世界樹の中には沢山の住人もいるって言ったね」
「その住人さん達がですね」
「彼等なんだ」
 まさにというのです。
「それでこうしてね」
「世界樹の中にいてですか」
「くつろいでいるんですね」
「そうだよ」
「ああ、ドロシー王女じゃないか」
 カブトムシがドロシ―達に気付いて声をかけてきました。
「お久し振り」
「ええ、皆元気そうね」
「うん、この通りね」
 カブトムシはドロシーに明るい声で答えました。
「僕達はね」
「元気よね」
「そうなんだ」
「それで今何をしているのかしら」
「御飯を食べたから」
 それでと言ったのはクワガタでした。
「遊んでるんだ」
「トランプをしてなの」
「今はポーカーをしているんだ」
 この遊びをというのです。
「皆でね」
「そうしてるのね」
「あとね」
 カミキリムシもいます、彼の前足、上の二本にもトランプのカードが数枚あります。
「前はブラックジャックをしていたんだ」
「ポーカーの前は」
「そうしてたんだ」
「今日はお外で遊ばないのね」
「後でそうするつもりだよ」 
 芋虫の返事です、何処か不思議の国にいてアリスと会っていたあの芋虫に似ているところがあります。
「幹と葉の方に出て」
「そうしてなのね」
「そう、そしてね」 
 そのうえでというのです。
「遊ぶよ」
「そうするのね」
「それでその子達が」
 カブトムシは今度は神宝達を見て言いました。
「オズの国の名誉市民の子達かな」
「そうだよ」
 大尉が答えました。
「彼等がね」
「この子達にははじめましてだね」
「うん、僕達もね」
 神宝が応えました。
「世界樹に来たことははじめてで」
「それでだね」
「世界樹にいる人達に会うことも」
 このこともというのです。
「はじめてだよ」
「そうだね」
「エルフやフェアリーの人達もいて」
「僕達もいてね」
 カミキリムシが応えました。
「皆楽しく暮らしているよ」
「そうなんだね」
「鳥さん達がいて栗鼠さん達も蛇さん達もいて」
「賑やかだね」
「色々な生きものがいるんだ」
 この世界樹の中にはというのです。
「それでとても賑やかだよ」
「皆仲良く暮らしているんだ」
 クワガタムシもお話します。
「楽しくね」
「そうだね、この世界樹の中もね」 
 樵はお部屋の中を笑顔で見回しています。
「オズの国らしくね」
「楽しい世界だよ」
「そうだね」
「上の方には妖精さん達も遊びに来るし」
 芋虫はこのことを楽しそうに言います。
「皆の知り合いにも会えるかな」
「あっ、そういえば」
 ジャックは芋虫の言葉であることを思い出しました、その思い出したことは一体何かといいますと。
「最近ポリクロームに会ってないね」
「そういえばそうだね」
 トトも言われて気付きました。
「僕達はね」
「うん、元気なのは間違いないけれど」
「今どうしてるかな」
「気になるね」
「会えたらいいわね」
「そう思うと会えるよ」 
 大尉がジャックとトトに笑顔でお話しました。
「それがオズの国だから」
「だからだね」
「ポリクロームにも会えるんだね」
「そうなるんじゃないかな、じゃあね」
「ええ、今はね」
 まさにと言うドロシーでした、大尉に応えて。
「先に進みましょう」
「頂上まで行くのかな」
 カブトムシは他の虫達とポーカーを続けながらそのうえでドロシーのその言葉に尋ねました。
「そうしたいのかな」
「ええ、それで世界樹の花を見て」
「そうしてだね」
「頂上に行って」
 そうしてというのです。
「世界樹の葉を手に入れるつもりなの」
「あの葉をだね」
「あの葉をおじさんとおばさんが造るワインに入れて」
「最高のワインにするんだね」
「そのつもりなの」
「ドロシー王女はおじさんとおばさんが大好きだからね」
 ヘンリー叔父さんとエムおばさんがです。
「だからだね」
「そうなの、だからね」
 ドロシーもカブトムシにその通りだと答えます。
「ここまで来たから」
「頂上にまで行って」
「そしてね」
 そのうえでというのです。
「世界樹の花を見て」
「世界樹の葉も」
「それもね」
 そちらもというのです。
「手に入れるわ」
「そうするんだね、世界樹の葉はね」
「幾らでもあるわね」
「ここから上がったら」
 そうすればというのです。
「結構高い場所から幹と葉がある木だけれど」
「それでもね」
「物凄く沢山あるから」
「かなり貰っても大丈夫ね」
「そうなのよね」
「それで何枚貰うのかな」
 クワガタはドロシー達にこのことを尋ねました。
「それで」
「一枚よ」
「一枚なんだ」
「そう、一枚貰って」
 それだけだとです、ドロシーはクワガタに答えました。
「磨り潰してワインの中に入れて」
「味付けに使うんだ」
「一枚分だけでね」
 本当にそれだけでというのです。
「味が凄く違うっていうから」
「一枚でいいんだね」
「それで充分よ」
「その一枚が味を変えるんだね」
「だからね」
 それでというのです。
「一枚だけ。貰うわ」
「わかったよ、じゃあ木の中の冒険も楽しんでね」
「そうさせてもらうわ」
 ドロシーはクワガタに笑顔で応えました、そうしてです。
 一行は虫達を笑顔でお別れをして先に進みました、するとあるお部屋の真ん中で上に向かう階段がありましたが。
 その階段に行く時に大尉が神宝達に言いました。
「まずは男の子が登ってね」
「あれっ、女の子が最初じゃないんですか?」
「レディーファーストじゃないんですか?」
「違うんですか?」
「うん、本来はそうだけれど」
 大尉は神宝とジョージ、カルロスにお話しました。
「こうした時はどちらかが先にってなるけれど」
「男の子が先ですか」
「先に行かないといけないんですか」
「そうなんですか」
「だって今ドロシー王女達はスカードだよ」
 だからだというのです。
「それでなんだ」
「ああ、スカートだからですか」
「スカートの中を見ない様にしないとけないから」
「だからですか」
「その気遣いでね」 
 それでというのです。
「ここはね」
「簿記たちが最初に登って」
「最初から見ない様にする」
「そうした気遣いですね」
「だから僕達もだよ」
 大尉達もというのです。
「男性だからね」
「そうした気遣いをしてですね」
「最初に登って」
「ドロシーさん達が安心して登れる様にするんですね」
「うん、まあ今のドロシー王女達は」
 ナターシャと恵梨香もというのです。
「スカートは膝を覆う位の長さだから心配はあまりいらないけれど」
「そういえばオズの国のスカートって長めね」
「そうよね」
 ナターシャと恵梨香は二人でお話しました。
「ミニスカートってあまりないわね」
「膝までの丈が殆どね」
「ええ、そこは外の世界と違うの」
 ドロシーもこのことをお話します。
「スカートの丈は」
「そうですよね」
「言われてみますと」
「オズマなんかはね」
 オズの国の国家元首である彼女はといいますと。
「いつも丈の長いスカードでしょ」
「言われてみますと」
「ドレスでもですね」
「ええ、それでね」 
 そのうえでというのです。
「私もね」
「絶対に膝まで覆うスカートですよね」
「いつもスカートですが」
「それが一番好きだから」
 だからだというのです。
「いつもこの丈なの」
「宮殿だとドレスですし」
「ドロシーさんも基本長めですね」
「トロット王女やベッツイ王女もなんだよね」 
 大尉がまた言ってきました。
「皆スカートの丈が長い時にオズの国に来たしね」
「そう、スカートの丈が短くなるのは」
 ドロシ―は外の世界のそのファッションのお話をしました。
「私達がオズの国に入って何十年かした」
「その時だったね」
「だからね」
「ドロシー王女達はね」
「スカートの丈は長めなの」
「今の外の世界の娘達と違って」
「そうなのよ」
 こう大尉にお話するドロシーでした、そのお話をしてから大尉に対してあらためてこんなことを言いました。
「ただ。ここでの気遣いは嬉しいわ」
「スカートのことで」
「やっぱりスカートの中はね」
「見られたくないよね」
「女の子ならね」
 このことはどうしてもというのです。
「だからね」
「そうだよね」
「ナターシャも恵梨香もスカートの丈は短くないけれど」
 ナターシャの黒いロリータファッションも恵梨香の可愛らしいピンクうハウス系を思わせるファッションもです。
「それでもね」
「こうしたことはだね」
「気遣ってくれたらね」
「嬉しいよね」
「とてもね」
「登る時はそうで」
 大尉はドロシーにさらにお話しました。
「降りる時はね」
「女の子が先ね」
「そうしてね」
 そのうえでというのです。
「進んでいこうね」
「わかったわ、それじゃあね」
「大尉は紳士だよね」
 トトは大尉のこの性格について指摘しました。
「そうだよね」
「うん、大尉というと士官だね」
「士官だからだね」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「こうしたことにはね」
「気をつけているんだ」
「そう、士官ともなると」
 本当にというのです。
「礼儀作法やエチケットはね」
「弁えていないといけないんだね」
「だからだよ」
「大尉も気をつけているんだ」
「そうなんだ」
 実際にと答えた大尉でした。
「いつもね」
「だから紳士なんだね」
「そうなんだ、それじゃあね」
「うん、今からね」
「階段を昇って上に行こう」 
 男の子が先にと言ってです、大尉が最初に昇ってかかしと樵、ジャックが昇ってそれから神宝とジョージ、カルロス、そしてトトとなり。
 ドロシーとナターシャ、恵梨香も昇りました。そうして上に進みましたが。
 ドロシーは神宝達に言いました。
「とにかく高い場所だから」
「これからですね」
「どんどん昇っていくんですね」
「世界樹の中を」
「高い建物を昇るみたいに」
「そうしていくんですね」
「そうなの。雲に届く位だから」
 そこまで高いからというのです。
「気長に昇っていくわよ」
「わかりました」
「そうさせてもらいます」
「先が長いということで」
「そのことを踏まえて」
「先に行かせてもらいます」
「そういうことでね」
 行こうとです、こうお話してでした。
 本当に一階一階という感じで、でした。皆は世界樹を昇っていきました。男の子が先に進みながらです。
 その中で色々な人にお会いして今はといいますと。
 ホビットやフェアリーの人達と会いました、この人達は幹のお部屋の中でダンスパーティ―を開いていました。
 その彼等と一緒にダンスに興じましたが。神宝はホビットに言われました。
「頂上に行くんだよね」
「そうだよ」
「頂上まで長いからね」
 だからというのです。
「気長に楽しんでね」
「そうしてだね」
「進んでね」
 これがホビットのアドバイスでした。
「是非ね」
「気長になんだ」
「本当に高くて広いからね」
 この世界樹はというのです。
「だからだよ」
「気長に。つまり途中で諦めて」
 そうしてというのです。
「帰ることはね」
「止めるべきだね」
「僕達はずっとここに住んでるけれど」
 それでもというのです。
「何度か頂上に行ってるけれどね」
「大変なんだね」
「そうだよ、それに楽しい場所だから」
「楽しんでなんだ」
「先に進むといいよ。色々な人達と出会ってね」
「色々なものを見て食べてだね」
「先に進むといいよ」
 そうしていくといいというのです。
「この世界樹ではね」
「そうなんだね」
「そう、今だって楽しんでるよね」
「ダンパーティーをね」
「ならこうしてね」
「楽しんでいけばいいんだね」
「そうだよ、どんどん行こうね」
 是非にと言ってです、そうしてでした。
 一行は今はダンスパーティーを楽しみました、その中で可愛い女の子のフェアリーが大尉のダンスを見て言いました。
「大尉さんのダンス素敵ね」
「そうかな」
「ええ、私を上手にエスコートしてくれて」
 そうしてくれてというのです。
「大尉さんご自身もね」
「ダンスが上手だっていうんだね」
「軍人さんはダンスも得意なのかしら」
「パーティーに出ることもあるからね」
「だからなの」
「それでダンスを踊ることもあるから」
 それでというのです。
「ダンスもね」
「ちゃんとなのね」
「踊れるのだろうね」
「そうなのね」
「オズの国は皆何かあればパーティーを開くね」
「ええ、この世界樹の中でもね」
「僕もよくパーティーに参加するから」
 その数多くのパーティーにです。
「ダンスもよく踊ってね」
「お上手ってことね」
「ブリキの身体だけれど」
 それでもというのです。
「この通り踊れるよ」
「そういうことね」
「うん、我が主と一緒だよ」
「そう、僕もね」
 ここで言ったのは樵でした。
「踊れるしね」
「はい、皇帝のダンスはです」
「いいんだね」
「エスコートは私以上です」
「そこはどうしてかな」
「他の人への気遣いが違います」
 それがというのです。
「皇帝はオズの国で最も優しい心の方ですから」
「だからだね」
「はい、ですから」
「エスコートが上手なんだ」
「相手のことを誰よりも気遣うので」
 そうした人だからというのです。
「エスコートが素晴らしいのです」
「成程ね」
「樵さんはオズの国一のエスコートをしてくれるのよ」
 ドロシーもこう言います。
「お陰で私もね」
「いつもだね」
「いいエスコートをしてもらってるわ」
 樵自身に言います。
「ダンスの時は」
「それは何よりだよ」
「それに幾ら踊っても疲れない」
「ブリキの身体だからね」
「ええ、さっきからね」
 ホビットの女の子が言ってきました、外見は人間の子供と変わらない本当に可愛らしいものです。小柄な種族だけあって。
「大尉さん達ずっと踊ってるわね」
「うん、こうしてね」
「ずっと踊っていられるよ」
 かかしとジャックがホビットの女の子に応えました。
「僕達の身体だとね」
「疲れることはないからね」
「こうした時本当にいいなって思うよ」
 今は休んでいるトトの言葉です。
「かかしさんや樵さんの身体はね」
「幾ら踊っても疲れないなんて」
 フェアリーの男の子が言ってきました、この子はナターシャと踊った後で恵梨香と踊っています。他のホビットやフェアリー達は神宝とジョージ、カルロス達と楽しく踊ったり用意してあるサンドイッチやチーズ、チキンナゲットやクラッカーといったものを食べています。他にはテリーヌもあります。
「いいね」
「そうだね、食べなくてもいいし」
 ここで言ったのはジョージでした。
「寝なくてもよくて」
「動こうと思えばずっと動ける」
 カルロスも言います。
「凄いよね」
「オズの国にはそうした人もいて」
 しみじみとした口調になっているナターシャでした。
「本当に色々な人がいるわね」
「そうしたところもよね」
 最後に言ったのは恵梨香でした。
「今もあらためて思ったわ」
「そう、オズの国はお伽の国だから」
 それでと五人にお話したのはドロシーでした。
「色々な人達がいてね」
「かかしさんや樵さんみたいな人達もいて」
「それぞれの身体の長所を楽しんでるのよ」
「長所を楽しむとなると」
 神宝も頷きました。
「僕達もですね」
「そうよ、私達の身体も長所があるでしょ」
「それを楽しんで、ですね」
「生きていけばいいのよ」
「そういうことですね」
「そう、じゃあ踊ってね」
「食べてですね」
「そうしていきましょう、休む時は」
 その時のこともお話するドロシーでした。
「ご馳走になりましょう」
「どんどん食べて下さい」 
 ホビット達もフェアリー達もドロシーに言いました。
「折角あるんですから」
「遠慮したら駄目ですよ」
「サンドイッチもクラッカーもあります」
「チーズのチキンナゲットも」
「どんどん食べて下さいね」
「僕としてはね」
 トトが言うにはです。
「テリーヌがいいね」
「うん、僕達も好きだよ」
「テリーヌいいよね」 
 ホビット達がトトに笑顔で応えました。
「だからね」
「トトもどんどん食べてね」
「そうさせてもらうね、あとね」
「あと?」
「あとっていうと」
「ワインもあって」
 ドロシー達今回の旅の一行は飲まないものです。
「君達ホビットの人達もフェアリーの人達も飲んでるね」
「僕達お酒好きなんだ」
「私達もね」
 フェアリーの人達も笑顔で言ってきました。
「だからパーティーになるとね」
「お酒は欠かせないよ」
「僕達これでも大人だしね」
「小さいけれどね」
「あっ、そういえば」
 神宝も言われて気付きました。
「ホビットのやフェアリーの人達は小さいけれど」
「そう、例えば私がね」
 蝶々の羽根を生やした可愛い赤髪のフェアリーが神宝に応えました。
「大人なのよ」
「種族によって大きさが違って」
「年齢も違うのよ」
「そういうことですね」
 年長、大人の人にはしっかりと礼儀を弁えている神宝です。このことは他の四人も同じことです。皆しっかりしています。
「つまりは」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「子供のホビットやフェアリーもいるわよ」
 大人だけでなくです。
「このパーティーの中にはね」
「僕がそうなんだ」
 子供のフェアリーが言ってきました、この子はトンボの羽根です。
「子供だよ」
「ううん、何かあまりね」
「外見で年齢がわからないかな」
「僕達にはね」
 どうにもとです、神宝はそのフェアリーの子に答えました。
「わかりにくいね」
「種族が違うとそういうところがあるね」
「そうよね」
 ホビットの人達がお話します。
「そこはね」
「どうにもね」
「うん、こうしたことを見ることも」 
 神宝は今はダンスを休んでいます、そうして上に小さく切った果物やジャムや生クリームを乗せたクラッカーを食べて紅茶を飲みながら言いました。
「面白いね」
「そうだね、こうしたことも楽しみながらね」
「頂上に行くことだね」
「景色もいいしね」
 ホビットの人のうちの一人が言います。
「だからね」
「景色も楽しみながら」
「そうしてね」
「頂上まで目指してね」
「そうなの、色々と楽しんで」
 そしてとです、ドロシーも言ってきました。
「頂上を目指す場所よ」
「この世界樹は」
「本当に高くて広いけれど」
「楽しみながらですね」
「進んでいくわよ」
 こう神宝達に言うのでした、ドロシーは今も踊っています。
「いいわね」
「わかりました」
 五人で応えました、そしてでした。
 皆ホビットやフェアリーの人達とダンスパーティーを楽しみました、それでまた先に進んでいきますが。
 幹の穴から外を見てです、大尉は皆に言いました。
「まだ百メートル位かな」
「まだまだ先ね」
「うん、そうだね」
 一緒に外を見ているドロシーに答えます。
「この木は何千メートルもあるからね」
「だからね」
「まだまだ先だね」
「本当にどんどん昇って」
「頂上を目指そうね」
「ううん、今で百メートルですか」
 ジョージはそう聞いて言うのでした。
「本当にまだまだ先ですね」
「先だけれど」
 カルロスもこう言います。
「これまでも住人の人達と会ってるね」
「虫やホビット、フェアリ―の人達と」
 ナターシャはカルロスに応えました。
「そうしてるわね」
「ここから先も色々な人がいるのね」
 恵梨香はこう考えました。
「そう思うと物凄く楽しみだわ」
「ここも不思議な場所だね」
 神宝は今しみじみと思っていました。
「オズの国の中にあるだけあって」
「そうだよ、だから諦めないで楽しみながら」 
 大尉は五人にも言いました。
「上に進んでいこうね」
「はい、ただ百メートルでも」
 神宝達は穴から外を見て思いました。
「結構な景色ですね」
「そうだね、けれどこれが頂上になるとね」
「もっとですか」
「オズの国が全部見える様なね」
「そんな風ですか」
「あの景色を見ると」
 本当にというのです。
「来たかいがあったって思うよ」
「そうなんですね」
「だからね、世界樹に来たからには」
「頂上にですね」
「皆行こうと思うし」
 それにというのです。
「大抵の人がね」
「頂上まで行くんですね」
「楽しみながらね」 
 何千メートルもの高さを昇ってというのです。
「だからね」
「僕達も」
「先に先にね」
 まさにというのです。
「行きましょう」
「わかりました」
 こうお話をしてでした、また上に昇りました。そうして何度も何度も階段を上がっていって色々な人達と会って。
 夜になると寝るのですが。
「温かいからね」
「この中で、ですか」
「寝てもいいんですね」
「テントの中に入らずに」
「ここですぐに寝てもですか」
「いいんですか」
「そうしてもいいの」
 世界樹の中ではです。
「葉のところに出ても」
「そういえば」
 神宝も言いました。
「ここは温かいですね」
「ええ、そうでしょ」
「オズの国の中でも」
「世界樹は生きていてね」
 そうしてというのです。
「その温もりがあるから」
「だからですか」
「温かくて」
 それでというのです。
「寝られるわ、ただね」
「ただ?」
「やっぱり毛布は必要よ」
 テントの中に入らなくてもです。
「それで暖かく寝ましょう」
「そうして寝るんですね」
「そう、あとね」
 ドロシーはさらにお話しました。
「もう一つあるわ」
「もう一つっていいますと」
「このすぐ近くにお風呂があるから」
「お風呂も入られるんですね」
「そうなの、温泉よ」
 それがお風呂だというのです。
「世界樹の中には温泉もあるの」
「昨日泊まったホテルみたいにですね」
「樹液が温泉になってるんですね」
「木の温もりで」
「それで温泉があって」
「そこに入られるんですね」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「これから入りましょう」
「それじゃあですね」
「今からですね」
「温泉に入って」
「身体を奇麗にしてあったまって」
「それから寝るんですね」
「そうしましょう、しかもこの近くの温泉にはサウナもあるから」
 そちらのお風呂もというのです。
「それも楽しんでね」
「サウナいいですよね」
 ナターシャはサウナと聞いて笑顔になりました。
「私大好きです」
「ロシアはサウナの国だから」
 恵梨香はナターシャがどうしてサウナが好きなのかすぐにわかりました。
「だからなのね」
「いいね、じゃあサウナにも入ろう」
 カルロスもサウナと聞いて乗り気でした。
「湯舟のお風呂にもね」
「お風呂も楽しめるなんて」
 ジョージもしみじみとして言います。
「素敵な場所だね」
「そうだね、流石はオズの国だよ」 
 神宝もこう言います。
「楽しんで進んでいけるいいダンジョンだね」
「ダンジョン、そうだね」
 大尉は神宝のその言葉に応えました。
「そう言われるとね」
「この世界樹もダンジョンですね」
「そうした場所だね」
「面白いですね、そう考えても」
「かなりね、後ね」
「後?」
「皆今日の晩御飯はどうするのかな」
 世界樹の中は夜でも明るいです、見れば蛍達が飛んでいてしかも天井にはヒカリゴケがあるからです。それで夜でも明るいのです。
「一体」
「そうね、今晩はね」
 ドロシーも言われて考えだしました。
「木の中だけれど」
「それでもなんだ」
「お肉はどうかしら」
「それだね」
「昨日はホテルで野菜や果物がメインだったでしょ」
 エルフ料理のこともお話します。
「だからね」
「今夜はだね」
「お肉どうかしら」
「それじゃあ」 
 神宝はお肉と聞いてドロシーに言いました。
「鶏肉とかは」
「鶏肉ね」
「そのお料理は」
「そうね、じゃあね」
 鶏肉と聞いてです、ドロシーはこのお料理の名前を出しました。
「ローストチキンどうかしら」
「ローストチキンですか」
「それかローストターキーかしら」
 七面鳥もというのです。
「どうかしら」
「あっ、いいね」 
 トトはローストターキーと聞いて尻尾を横にぱたぱたとさせました。
「それじゃあね」
「メインはそれね」
「ローストチキンとね」
「ローストターキーね」
「両方用意して」
 そしてというのです。
「そのうえでね」
「他のお料理もだね」
「出しましょう、そうね」
 少し考えてから言うドロシ―でした。
「ラザニアを出して」
「トマトを沢山使った」
「それとほうれん草とベーコンをオリーブオイルで炒めたものに」
「お野菜のお料理はそれだね」
「ええ、それでパンも出して」 
 さらに言うドロシーでした。
「デザートは葡萄ね、チーズも出して」
「それでだね」
「皆で食べましょう」
「テーブルかけから出して」
「皆で食べましょう」
 皆でお話してでした。
 皆で早速そのお料理を食べます、ローストチキンもローストターキーも皮はカリカリに焼けていてじっくりと火が通っていてです。
 脂も出ています、しかも香辛料の使い方もよくて。
 神宝達五人は明るい笑顔で言いました。
「いや、本当にね」
「美味しいね」
「この美味しさっていったら」
「幾らでも食べられそうよ」
「鶏も七面鳥も」
 そのどちらもというのです、そしてです。 
 トトもです、両方を食べてドロシーに言いました。
「どっちもいいね」
「そうね、チキンもターキーも」
「最高に美味しいよ」
「私もそう思うわ。両方出して」
 それでというのです。
「正解ね」
「そうだったね」
「片方だけだったら」
 どうかと言うドロシーでした。
「やっぱりね」
「その分ね」
「楽しみが減っていたわね」
「そうだね、こうした時はね」
「欲張りでもいいかしら」
「状況が許せばね」
 そうならというのです。
「こうしてね」
「両方食べてもいいわね」
「どっちかって時もあるけれど」
「その時はその時で」
「今はね」
 テーブル掛けで両方出せる時はというのです。
「こうしてだよ」
「両方出して」
「食べて」
 そうしてというのです。
「楽しんでね」
「いいわね」
「そうだね、欲張っていい時もある」
「それが出来たらね」
「むしろあれだよね」
 こうも言ったトトでした。
「欲張らないと駄目な時もあるね」
「そうなのよね、世の中って」
「これが不思議だよね」
「無欲でいい時もあれば」
「欲を出さないといけない時もある」
「その辺りが微妙よね」
「時と場合によって違うってことは」
「どうにもね」
 こうお話するのでした。
「あるから」
「そこを見極めてね」
「やっていくべきよね」
「そうだね、オズの国でもね」
「それじゃあね」
「今は両方食べましょう」
 鶏肉も七面鳥のお肉もとです、こうお話してでした。
 一行は楽しく食べてお風呂も入ってでした、そうしてそれから寝ました。世界樹の中はとても暖かくて寝やすかったです。








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