『オズのエリカ』




               第九幕  建国したけれど

 エリカはティ―タイムの後で早速アンに今自分達がいる辺りの地図を出してもらいました、そしてです。
 そこに自分の右の前足でさっと街の場所を区割りを描いてしまいました。城塞都市の中にお家やお店、王宮の場所や大きさまで書かれています。
 その細かい、道の大きさまで書いてあるそれにアンは驚きました。
「もうそこまでなの」
「考えていたの」
「これはあれだね」
 かかしは国の区割りを見て言いました。
「エメラルドの都だね」
「あの都を参考にしているわ」
 エリカもかかしに答えます。
「実際にね、ただね」
「うん、猫の国だからね」
「大きさは猫に合わせているの」
 そこもしっかりしているエリカでした。
「思い付いてからずっと考えていてね」
「それで決めたんだね」
「そうよ、やっぱり全部すぐだったけれどね」
 区割りやお家の大きさもというのです。
「考えて決めたのよ」
「そうなんだね」
「それでなの」
 エリカはさらに言います。
「こうしたものにしたけれど」
「いいね、近くに湖や森もあるし」
「お水や建物に困らない様にしたの」
「そして食べものにもだね」
「そうよ、湖のお魚も獲れるし」
 このことにも言うのでした。
「キャットフード畑も作られるし」
「湖のお水でね」
「これで万全よ、暮らせるわ」
 こうかかしに言うのでした。
「無事にね」
「うん、よく出来ているよ」
 ウィンキーの皇帝として政治にあたっているブリキの樵もエリカが描いた国の区割りを見て言うのでした。
「この国ならね」
「皆楽しく暮らせるでしょ」
「猫の皆もね、それで王宮にだね」
「私が暮らすのよ、私が住んで」
 そしてというのです。
「エメラルドの都にも住むし」
「この王宮にもだね」
「住むの。二つの国を行き来するわ」
「ビリーナみたいに暮らすんだね」
「そうよ、ちなみにビリーナのお国も参考にしているわ」
 国の区割りについてはというのです。
「それで考えたのよ」
「成程ね」
「じゃあこれで建国して問題ないわね」
「いいと思うよ」
 まずは樵が答えました。
「僕はこれでね」
「うん、これなら問題はないよ」
 かかしも太鼓判を押します。
「これはいい国になるよ」
「まさかここまでのものを考えているなんて」
 アンはかえって驚いています。
「エリカもやるわね」
「その言葉賛成って思っていいわね」
「賛成よ、これでいいと思うわ」
「僕も反論はないよ」
「僕もだよ」
 臆病ライオンも腹ペコタイガーもでした。
「これだけの国ならね」
「出来てすぐにやっていけるよ」
「それであんた達は?」
 エリカは五人にも尋ねました。
「どうなの?」
「僕達はまあね」
「国のことはわからないから」
「それも全然ね」
「どうとも言えないわ」
「そうよね」
 五人はお顔を見合わせてこう言うだけでした。
「だからね」
「反対しようにも出来ないし」
「賛成にしてもね」
「そうだから」
「意見も言えないよ」
「そうなの、じゃああんた達は置いておいて」
 エリカも五人の言葉を聞いて述べました。
「皆賛成でいいわね」
「うん、そうだね」
「それでいいね」
 かかしと樵がエリカに応えました。
「それじゃあね」
「今から建国だね」
「ええ、グリンダが来たら」
 それならというのです。
「具体的な国を造ってもらうわ」
「城壁もお家もお店もだね」
「道路も王宮も」
「勿論水道もよ」
 それもというのです。
「全部用意してもらうわ」
「じゃあそういうことでね」
「後は明日だね」
「ええ、じゃあ夜まで皆で遊んで」
 エリカはお仕事が終わったと見て述べました。
「晩御飯食べて湖で身体を奇麗にしてから寝ましょう」
「うん、ただね」 
 ここで神宝が言いました。
「エリカ今地図に街描いたけれど」
「前足でペン持ってね」
 カルロスも言います。
「そうしたけれど」
「オズの国は生きものももの書けるのね」
 ナターシャもこのことに思うのでした。
「描くことも」
「それも上手だし」
 恵梨香がその地図を述べます。
「細かいところまで正確に書いて」
「そうよ、オズの国はお伽の国でしょ」
 だからとです、エリカは子供達に答えました。
「それでなのよ」
「ものを書いたりも出来るんだ」
「ええ、ペンを使ってね」
 ジョージの返事にも答えます。
「筆も使えるわよ」
「じゃあ書道もだね」
「出来るわ」
「しかもあっという間に地図を描いたけれど」
「私は速筆なのよ」
 書いたり描いたりすることはというのです。
「考えることも決めることも速くてね」
「書いたり描いたりすることもなんだ」
「もう一瞬でね」
「出来るんだ」
「今そうしてみせた様にね」
 エリカはジョージに胸を張って答えました。
「それが出来るのよ」
「それも凄いね」
「凄いでしょ、それが私なのよ」
「そこで自慢するのもエリカだね」
 それもまた、と言うことも忘れないジョージでした。
「謙虚ではないんだね」
「自慢出来るものを自慢しなくてどうするのよ」
 逆にこう言い返すエリカでした。
「そうでしょ」
「うん、とてもらしい言葉だね」
「そうでしょ、だったらね」
「自慢してなんだ」
「明日グリンダが来たらね」
「建国するんだね」
「あと建物の中はね」
 エリカはそちらのお話もします。
「実はまだ考えていないの」
「王宮の中もなんだ」
「建物の中を自分の好きにアレンジ出来る魔法の杖があるから」
「その杖を使ってなんだ」
「住む人それぞれにアレンジしてもらうわ」
 そうするというのです。
「そこはね」
「それぞれなんだね」
「そうよ、全部一緒にしたら好みに合わないとかあるから」
 だからだというのです。
「そこはそうするわ」
「そこまで考えているんだね」
「水道がどうにかなるなら後はね」
「オズの国だとね」
「まあ水道も出るけれどね」
 オズの国では何処からでも蛇口さえ用意して付けるとそこから幾らでもお水が出るのです。それこそお湯もです。
「もうどうにかなるし」
「テレビもパソコンも大丈夫だしね」
「いいけれど」
「中はだね」
「そこはしっかりと個々でね」
「アレンジしてもらうんだ」
「そうしてもらうわ、そしてね」
 さらに言うエリカでした。
「私の王宮もよ」
「自分の好きな様にアレンジするんだ」
「そうするわ、楽しく寝られて遊べる」
「そうした王宮にするんだ」
「そうするわ、じゃあね」
「うん、後は明日だね」
「そうなるわ」
 こう言ってでした、エリカはもう政治のお話を止めました。そうして自分の近くを飛ぶ虫に前足を出しつつ言いました。
「さて、これからはね」
「遊ぶのね」
「そうするわ」 
 こうアンに答えます。
「楽しくね」
「早速切り替わってわね」
「政治から遊びにね」
「その切り替えの早さも貴女ってことね」
「そう、猫はそうでしょ」
「すぐに切り替わるわね」
「だからよ」
 それでというのです。
「こうしてね」
「遊びモードになるのね」
「そうよ、それじゃあね」
「今から遊ぶのね」
「さて、虫を追いかけて遊ぼうかしら」
「それじゃあね」
 ここで、です。かかしは。
 その手に猫じゃらしを出しました、そのうえでエリカに言いました。
「これはどうかな」
「あら、猫じゃらしじゃない」
 その猫じゃらしを見てです、エリカはとても嬉しそうに声をあげました。
「私それ大好きなのよ」
「猫で嫌いな子はいないね」
「ガラスの猫だってそうでしょ」
「あの娘もこれは大好きだね」
「だって素敵な動きをするから」
 それでというのです。
「手を出さずにいられなくて」
「それで遊べるからだね」
「嫌いな猫がいるなんてね」
 それこそというのです。
「想像も出来ないわ」
「それでエリカもだね」
「ええ、大好きだから」
「じゃあ今からこれで遊ぶんだね」
「そうさせてくれるかしら」
「うん、いいよ」
 かかしは笑顔で応えてでした、アンも交えてエリカと猫じゃらしで遊びました。そして樵はジョージ達五人にこう言ったのでした。
「すごろくをしようか」
「すごろくですか」
「それをするんですか」
「うん、すごろくといってもね」 
 大きなボードを出しつつ皆に言います。
「人生ゲームってあるね」
「日本のですね」
「あのゲームですね」
「それをするんですか」
「そうしよう、実は僕このゲームも好きでね」
 それでというのです。
「よくかかし君やジャックと遊んでいるんだ」
「そうなんですか」
「じゃあ今からですか」
「僕達で人生ゲームをするんですね」
「そうしないかい?オズの国の人生ゲームをね」
 見れば駒も他のものも一杯あります、ですがオズの国にはお金はないのでその要素は全くありません。
「職業をそれぞれ選んで」
「ううん、お百姓さんに漁師さんに」
「商人さんもいますね」
「兵隊さんもいますし」
「王宮の使用人の人もいれば」
「本当に色々ですね」
「そうだよ、皆それぞれ選んでね」
 見れば樵は郵便局の人を選びました、竜に乗ってお手紙を届けるあの人達です。
「そうして遊ぼうね」
「あの、ですが」
 ジョーズはルーレットを置きつつ樵に尋ねました。
「悪いことが全然書いてないですね」
「あっ、確かに」
「人生のイベントで悪いことはなくて」
「いいことばかりで」
「しかもゴールはまたふりだしに戻りで」
「だってオズの国には不幸はないんだよ」
 樵は五人に笑顔で答えました。
「だったら悪いイベントもないね」
「あるにはあるんですが」
「全部その駒ですぐに終わって」
「余計にいいことになって」
「それで一回休みとかなくて」
「さくさく進めますね」
「そうだよ、オズの国の人生ゲームだから」
 それでとです、またお話する樵でした。
「それに死ぬこともないしね」
「だからゴールはふりだしに戻りなんですね」
「遊びたいなら遊べっていうんですね」
「そう書かれているんですね」
「そうだよ、そこは外の世界の人生ゲームとは違うね」
 こうも言う樵でした。
「お金や悪いことや寿命がないことは」
「そうですよね」
「ですがそれはそれで、ですね」
「外の世界ですよね」
「うん、それもまた楽しいものだと思うよ」
 オズの国の住人として思い言う樵でした。
「悪いものがあるからいいものが余計に楽しめて」
「死んだら生まれ変われるか天国に行ける」
「お金もよし悪しっていいますし」
「そうしたものがある外の世界もですね」
「いい世界なんですね」
「僕はそう思うよ、ただ外の世界は人それぞれみたいだね」
 樵はドロシーがオズの国に来るまで何かと大変だったことを聞いています、ヘンリーおじさんもエムおばさんも生活が大変でした。
 ですがドロシーはカンサスでの暮らしで楽しい思い出をお話することも多いので樵もこう言ったのです。
「幸福と不幸が。けれどね」
「けれど?」
「けれどっていいますと」
「自分を幸福だって思える人は幸福で」
 まさにその人がというのです。
「不幸と思える人はね」
「不幸なんですね」
「そうなるんですね」
「ドロシーは大変な生活だったけれど」
 カンサスにいた頃はです。
「それでも不幸だったかっていうと」
「そうでもなかったんですね」
「ドロシーさんもそう言われているんですね」
「おじさんとおばさん、そしてトトもいるから」
 だからというのです。
「幸せだったって言っているよ」
「カンサスにおられた時もですか」
「そうだったんですか」
「うん、だから外の世界ではね」
 その悪いものも一杯ある世界でもというのです。
「幸福と不幸はね」
「その人それぞれですか」
「そうなるんですか」
「そうだと思うよ、そしてオズの国はね」
 樵はまた今自分達がいる世界のことをお話しました。
「悪いことが少なくて悪いことがあっても」
「それでもですか」
「樵さんが身体が変わったみたいに」
「そうそう、僕は身体のあちこちを切り落とすことになったけれど」
 最初は生身でした、それがブリキの身体になりましたが。
「この通り最高の身体になれたね」
「不幸がすぐに幸福になる」
「そういうことですか?」
「オズの国は」
「そうした国ですか」
「そうなんだ、外の世界にも希望はあるけれど」
 皆もうゲームをはじめています、樵は郵便局員になった自分の駒をルーレットに従って進めさせつつ五人にお話していきます。
「オズの国の希望は凄くてね」
「もうすぐにですか」
「来てくれるんですか」
「そうなんですね」
「そうなんだ、だから僕もこうしてね」 
 自分のことをさらにお話していくのでした。
「ブリキの身体になってドロシー達と出会えて」
「それで、ですよね」
「ウィンキーの皇帝にもなって」
「沢山のお友達も出来て」
「そうなられましたね」
「そうなったことも」
 まさにというのです。
「希望のお陰だね」
「オズの国の希望は凄いんですね」
「人にすぐに幸せを与えてくれるんですね」
「そうしてくれるんですね」
「そうだよ、ではね」
 それならと言うのでした。
「オズの国の人生ゲームを楽しもうね」
「はい、それじゃあ」
「今から遊んでいきましょう」
「このゲームを」
「是非ね」
 こう言って自分からでした、樵とジョージ達はオズの国の人生ゲームを楽しみました。そしてでした。
 そのゲームの後で、です。晩御飯を食べるのですがこの時はお寿司でしたがエリカはお寿司について言いました。
「これ日本のお寿司よね」
「ええ、本場のね」
 お寿司を出したアンが答えます。
「握り寿司よ」
「そうよね、何かね」
「何かっていうと」
「オズの国のお寿司時々こういうのじゃないでしょ」
「アメリカのお寿司とか?」
「そちらのお寿司ってどうもね」
 これがというのです。
「派手なのよね」
「そういえばそうね」
「けれど日本のお寿司はね」
「こうした感じよね」
「何ていうか」
 ここでこうも言ったエリカでした。
「こじんまりとしているけれど」
「それでもよね」
「整っているわね」
「そうなのよね」
「お寿司は日本のお料理だけれど」
 それでもというのです。
「お国によって違うわね」
「それは確かね」
「それでね」
 さらに言うエリカでした。
「このお寿司も美味しいわね」
「鮪もハマチもね」
「どれも美味しいわ、私お寿司大好きなのよ」
「私もそうだけれどエリカが好きだからね」
「出してくれたのね」
「ええ、だからどんどん食べてね」
 言いつつアンもお寿司を食べます、アンは今は鳥貝を食べています。
「そうしてね」
「言われなくてもね」
「ええ、それじゃあお腹一杯食べて」
「今日はお休みね」
「そうしましょうね、身体も奇麗にして」
 このことも忘れないアンでした。
「また明日ね」
「そうね、それで明日はね」
「グリンダさんが来てくれるから」
「国が実際に出来るのね」
「そうなるわ」
「わかったわ、それじゃあね」
 エリカはお寿司を食べつつアンに応えました。
「食べたらぐっすり寝てね」
「そうしてよね」
「身体も奇麗して」
 猫は奇麗好きです、ですからエリカもこのことは忘れないです。
「そうしてね」
「朝まで寝て」
「グリンダを待つわ」
「わかったわ、それじゃあね」
「ええ、今はお寿司をたっぷり食べるわ」
「そうするのね。しかし驚いたわ」
 アンもお寿司を食べています、そのうえでエリカに言うのでした。
「貴女が細かいところまで国のことを考えていたなんて」
「地図に描いたあれ?」
「ええ、凄いわ」
「だからあれはね」
「エメラルドの都とビリーナの鶏の国をなの」
「観てよ」
 そしてというのです。
「考えたもので別にね」
「難しいとかはなの」
「ないわよ」
 そうだというのです。
「別にね」
「そうなの」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「どうってことないわよ」
「そんなものなの」
「ただ見て覚えていたことをね」
「貴女が考える国の中に入れたのね」
「私のオリジナルはないから」
 そうしたものはというのです。
「当てはめて考えていったから」
「それでなの」
「そう、一から考えたものでもないし」
 既に出来上がっていたものを組み入れていくものだったからだというのです。
「苦労して考えることもね」
「なかったの」
「そう、だからね」
「それでなの」
「私は一度覚えたことは忘れない時は忘れないしね」 
「そういえば猫は忘れる時もあるけれど」
「自分が覚えたいと思ったことはね」
 そうしたものはというのです。
「忘れないから」
「それで頭の中にあって」
「それを描いたまでよ」
「そうだったのね」
「そうよ、だからね」
 特にというのです。
「別に何でもないわよ」
「そうなのね」
「そう、本当にね」
 まさにというのでした。
「大したことじゃないわよ」
「貴女はそう思っているのね」
「ええ、それで後はね」
「国を建てて」
「そしてね」
 そのうえでというのです。
「女王になるわよ」
「私もね」
 まさにと言ってです、そしてでした。
 エリカはお寿司を食べてからです、身体を奇麗にしてから寝ました。そして朝になるとそこでなのでした。
 朝御飯の中華粥を食べつつです、こう言ったのでした。
「さて、今日よね」
「うん、グリンダが来てね」
「そうしてだよ」
「国を建ててくれるのね」
 かかしと樵に応えます。
「そうしてくれるのね」
「そうだよ、君の考えた国をね」
「実際に生み出してくれるよ」
「楽しみね、じゃあその国にね」
 まさにというのでした。
「私が最初に入るわ」
「そしてだね」
「その国の女王となるんだね」
「猫の国のね」
 まさにその国のというのです。
「なるわ、その時が楽しみよ」
「何かお話がとんとん拍子に進んでいるね」
「そうだよね」
 臆病ライオンと腹ペコタイガーはお粥を食べつつ顔を見合わせました、かかしと樵以外は皆楽しく食べています。
「物凄い勢いでね」
「そうなってるね」
「それは私の思考と決断が速いからよ」
 エリカは二匹のオズの国を代表する獣達にも胸を張って答えました。
「だからよ」
「エリカは迷わないから」
「だからだっていうんだね」
「そうよ、私だからこそね」
 まさにというのです。
「こうしてさくさくと進んでいくのよ」
「それでグリンダさんが来たら」
「その時は」
「そうよ、建国よ」
 実際にそれになるというのです。
「楽しみだわ」
「何かね」
 ここでカルロスが言いました。
「ここまで順調だと怖いね」
「そうよね、好事魔多しっていうし」
 恵梨香はカルロスのその言葉に頷きました。
「何もなくここまで進むって」
「怖いわね」
 ナターシャはこう考えました。
「どうにも」
「これから何か凄いことが起こるとか」
 オズの国の冒険でもよくあることです、それで神宝も思うのでした。
「そんな気もするね」
「今回はグリンダさんの宮殿に行くまで結構色々見てきたけれど」
 ジョージも言いました。
「建国してからもあるんじゃないかな」
「あってもね」
 それでもと言ったエリカでした、五人の子供達にも。
「私がいたらね」
「難を逃れられるんだ」
「そもそも私がすぐに考えて決めているからここまで順調じゃない」
「じゃあエリカじゃなかったら」
「そうよ、それはね」
 本当にというのです。
「順調にはいかなかったわ」
「そうなんだね」
「そうよ、今回は私じゃなかったら」
「こんな順調にはいかないんだ」
「もっと何かあるわよ」
「そうなのかな」
「私が言ってることだから問題ないわよ」
 根拠なく言うのでした。
「安心しなさい」
「そう言うけれど今回の冒険は」
 アンは中華スプーンでお粥を食べつつエリカに言いました、お粥の中には細かく刻んだザーサイがあります。
「貴女が言いだしてからはじまったし」
「それがどうしたの?」
「どうしたも何もね」
「私が言って素敵な冒険がはじまったからいいでしょ」
「何でそう自分に好意的に考えられるのよ」
「それが猫であり私でしょ」
 エリカはそのアンに平然と返します。
「困ることあるの?」
「困ってはいないわ」
 アンもそれは、でした。
「ただ、あまりにも自分勝手じゃないかしらってね」
「そうかしら」
「自覚ないのも貴女らしいけれど」
「じゃあアン今回の冒険で嫌な思いしたかしら」
「それはないけれど」
 アンもそうで他の皆もそう言われると特にでした。
 嫌な思いはしていません、それで特にエリカに反論しませんでした。それで何も言わないとエリカはまた言いました。
「じゃあいいでしょ、それじゃあね」
「グリンダさんが来たら」
「建国しましょう」
 こう言ってでした、そしてです。
 皆で朝御飯を食べました、その朝御飯が終わってすぐにでした。グリンダが空を飛ぶペガサス達に曳かれた馬車に乗ってきました。
 そうしてです、エリカの地図を見て言いました。
「よく出来てるわね、これではね」
「もうすぐにだね」
「建国してもいいね」
「ええ、私の魔法でね」
 それを使ってというのです。
「国を造るわね」
「そうするね」
「これからそうするんだね」
「ええ、そうさせてもらうわ」
 かかしと樵に答えました。
「是非ね」
「じゃアお願いするわね」 
 エリカも言ってきました、そしてグリンダは魔法のステッキを一閃させてそうしてエリカが描いた地図をそのまま国に造りました。ですが。
 グリンダは建国してです、こう言いました。
「ここからが問題よ」
「何が問題なの?」
「国民が来るかどうかよ」
 こうエリカに言うのでした。
「それ次第よ」
「そんなの何でもないわよ」
 エリカはグリンダにあっさりと返しました。
「気にすることじゃないじゃない」
「そうなのかしら」
「ええ、そんなの私にかかればね」
 それこそというのです。
「何でもないわよ」
「そうかしら」
「そう、私の手にかかれば」
「貴女ならなの」
「普通にね」
「国民の人達が来るわ」
「そうなるから」
 だからと言うのでした。
「貴女も安心していいわ」
「それじゃあ見せてもらうわね」
「ええ、見ていることよ」
 エリカはこう言いますがグリンダも不安です、そしてそれはです。
 他の皆もです、こう言ったのでした。
「一番肝心なことよね」
「うん、どんな素晴らしいお皿でもね」
「その上にご馳走がないと意味がないよ」
 臆病ライオンと腹ペコタイガーがアンに応えました。
「この国だってね」
「中に国民の人達もいないとね」
「そうよね、これじゃあね」
 アンはその素晴らしい国を見ます、猫のサイズに合わせた見事な街です。
 ですがそれでもです、こう言ったのでした。
「まさに豪華なお皿でしかないわ」
「お皿はお皿でいいけれど」
「国なら国民の人達がいないとね」
 かかしと樵も言います。
「何にもならないよ」
「幾ら素晴らしい国でもね」
「だから不安なんですが」
「そうね、果たして国民の人達が集まって住んでくれるかしら」
 グリンダがまた言いました。
「それが心配だけれど」
「ううん、どうでしょうか」
「エリカは大丈夫って言ってますけれど」
「それでもですよ」
「一番の問題ですよね」
「そこが」
「あの、エリカ本当に大丈夫なの?」
 アンはまたエリカに言いました。
「国民の人達は来るの?」
「皆のその気持ちは杞憂よ」
 エリカだけは後ろ足で耳の後ろで掻きながら述べました。
「すぐにその杞憂は晴れるわ」
「貴女のその楽天さがわからないわ」
「わかるわよ、すぐに」
「杞憂っていうの」
「そう、杞憂でね」
 まさにというのでした。
「それがすぐにわかるわ」
「じゃあこれからどうするの?」
「決まってるじゃない、宣伝してね」
「国が出来たって」
「それで国民を集めるのよ」
 そうするというのです。
「市民って言うかも知れないけれど」
「この場合は臣民じゃないかしら」 
 アンはここで言ったのでした。
「王国よね」
「私が女王でね」
「それじゃあね」
「それならなの」
「臣民になるわね、国民だったらどの国でも通用するけれど」
「王国だと臣民かしら」
 エリカはこのことについては首を傾げさせて思うのでした。
「それで市民は何なの?」
「共和国の場合?」
「大統領がいる場合なの」
「オズの国は共和国もあるけれど」
 オズの国の中にはそうした国もあります、王国も共和国もあってそしてオズの君全体をオズマが治めているのです。
「その国は市民でね」
「それでなのね」
「貴女の国は王国になるから」
 それでというのです。
「だからね」
「それでなの」
「臣民かしら、国民でもいいけれど」
「呼び名なんてどうでもいいじゃない」
「いいの?」
「私は国民でも臣民でもね」
 まさにというのです。
「いいわ、ただ市民はね」
「王国だとっていうのね」
「確かにあまりしっくりこないわね」
 こうアンに答えました。
「だからいいわ」
「そうなのね」
「そう、まあ国民か臣民ね」
 このどちらかというのです。
「呼び名は」
「どっちかでいくのね」
「ええ、それでね」
「後はよね」
「国民の人達を呼ぶな」
 まさにと言うのでした、そしてです。
 皆でそうしてです、是非でした。
 エリカはあらためてです、皆に言いました。
「じゃあ今度はね」
「ええ、宣伝よね」
「一旦エメラルドの都に戻りましょう」
 そこにというのです。
「そうしましょう」
「戻るの」
「ええ、戻ってね」
 そうしてというのです。
「宣伝にかかりましょう」
「そうするの」
「そう、そしてね」
「国民の人達を集めるのね」
「そうしてね」
 そのうえでというのです。
「素晴らしい国にするわ」
「そうするの」
「そう、だからね」
「一旦都に戻るのね」
「そうしましょう、まあ皆不安だけれど」
 そう思っていてもというのです。
「すぐにそれが杞憂だってわかるわ」
「そこでそう言うのね」
「そうよ、実際に杞憂だから」
 エリカが見る限りそうなのです。
「杞憂は晴れるものでしょ」
「というか晴らさないといけないものね」
「そうでしょ、まあね」
「今からなのね」
「宣伝でね」
 まさにというのです。
「それが晴れるわ」
「だといいけれど」
「そう、しかしね」
「しかし?」
「一つ思うことは」
 それはというのでした。
「皆本当に心配性ね」
「だって本当に大丈夫かしらってね」
 そもそもというのです。
「思わずにいられないから」
「やれやれね、心配してもね」
「意味がないっていうの」
「そうよ、何の意味もね」
 それこそというのでした。
「ないからね」
「杞憂は心配するだけっていうのね」
「それこそ何の意味がないわよ」
「それでなのね」
「あれこれ悩んで心配するより考えて決めて」 
 そういったことは即座にです、エリカの場合は。
「動くことよ、それかね」
「それか?」
「寝ることよ」 
 こう言ってまた欠伸をしたエリカでした。
「それかね」
「いや、今はね」
「都に戻ることね」
「そうするって言ったじゃない」
 他ならぬエリカ自身がです。
「だったらね」
「都に戻る為にも」
「起きていないと」
「そうだったわね」
「ええ、何で忘れるのよ」
「だって今すぐでなくてもいいじゃない」
 都に戻ることはというのです。
「別にね」
「だからなのね」
「そう、もうね」
 それこそというのです。
「一旦お昼寝して」
「そしてなの」
「十時のティータイムの後でね」
「出発すればいいっていうの」
「そうよ、焦ることもないでしょ」
「ううん、そうかしら」
「宣伝はすぐにはじめるものでもないし」
「徐々になの」
「そう、徐々にね」
 まさにというのです。
「はじめるものだし」
「だからなのね」
「眠いから寝て」
 また欠伸をして言ったエリカでした。
「そうしてね」
「十時にお茶を飲んでから」
「出発すればいいじゃない」
「マイペースね」
「猫は自分のペースを守るものよ」
 マイペースこそ猫だというのです。
「だからね」
「それでいいの」
「いいのよ、じゃあね」
「このままなの」
「そう、ゆっくり寝て」
「十時までは」
「そうすればいいじゃない」
「まだ六時だよ」
 かかしがここでこうエリカに言いました。
「四時半に起きて御飯を食べたけれど」
「あら、まだそんな時間なの」
「うん、これから寝たら」
 それこそというのです。
「四時間寝ることになるよ」
「僕達は寝ないけれどそれだけ寝たら」
 樵も言ってきます。
「結構じゃないかな」
「そういえばそうね」
「それ位寝ると」
 どうにもというのです。
「寝過ぎじゃないかな、夜寝てそれだけは」
「猫は一日の三分の二寝るわよ」
「それじゃあなんだ」
「それ位寝てもね」
 四時間寝てもというのです。
「別にいいでしょ」
「そういうものかしら」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「別に寝てもいいでしょ」
「じゃあ僕達はどうするのかな」
「エリカが寝ている間は」
 臆病ライオンと腹ペコタイガーはエリカに彼女が寝ている間の自分達のすべきことについて尋ねました。
「一体」
「ここで遊んでいるのかな」
「遊んでもいいし寝てもいいでしょ」
 これがエリカの返事でした。
「別にね」
「そうかな」
「それでいいのかな」
「いいじゃない、また言うけれど焦る必要ないのよ」
 またこのことを言うのでした。
「だったらね」
「遊んでも寝ていても」
「特にいいんだ」
「そうよ、寝てね」
 そしてというのです。
「ゆっくりすればいいのよ」
「そういう訳にもいかないでしょ」
 アンがそのエリカに言いました。
「やっぱりね」
「早いうちになの」
「戻って」
 そしてというのです。
「はじめないと」
「だから焦ってどうするのよ」
「焦っても宣伝は上手にいかないっていうの」
「そうよ、もう私の頭の中で考えて決まってるし」
 その宣伝もというのです。
「だったらね」
「焦らないでいいの」
「そうよ、だからね」
「今は寝るのね」
「そうすればいいわ」
「そこまで言うのなら」
 グリンダはあくまで自分のペースのままのエリカを見てこう提案しました。
「私が魔法で都まで送るけれど」
「今すぐになの」
「そうするけれど」
「じゃあそうしてくれるかしら」
 エリカはグリンダのお話に乗って応えました。
「都で寝てもいいしね」
「どちらにしても寝るのね」
「そうよ、やっぱり焦ることじゃないしね」
「それならそうするわね」
「では僕達もね」
「都に行くよ」
 かかしと樵も言ってきました。
「これから気球でね」
「都に向かうよ」
「そうするのね」
「うん、そしてオズマやドロシーともお話をして」
「そうしてエリカを助けさせてもらうよ」
「わかったわ。じゃあ私はエリカ達を都に送るわね」
 グリンダは二人の言葉も受けて言いました。
「そうするわね」
「うん、じゃあね」
「そうしてくれるかな」
「それではね」
 グリンダは二人に頷きました、そうしてでした。
 エリカ達を魔法で都まで送りました、かかしと樵はまた気球に乗って都に向かい一人残ったグリンダは馬車で自分の宮殿に戻りました。出来たばかりの猫の国はそこにありますがまだ誰も住んではいません。








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