『オズのトロット』




            第一幕  オズの国からの使者

 トロットはこの時一番の親友と言っていいキャプテン=ビルと一緒にエメラルドの都で一緒にお茶を飲んでいました。
 そうしながらです、ふと窓の外を見てこんなことを言いました。
「ねえキャプテン、最近私達冒険に出ていないわね」
「ああ、そういえばそうだね」
 キャプテンもトロットの言葉で気付きました。
「最近はずっと宮殿にいるね」
「それで遊んでるけれど」
「それでだね」
「冒険に出たくなったけれど」
「一体何処に行くのかな」
「ううん、そう言われても」
 どうにもと返したトロットでした。
「冒険に出たいってだけで」
「何処に出たいかまではだね」
「考えていないの」
「そうなんだ」
「ただそれでもね」
「冒険に出たいんだね」
「何処かにね、ドロシーみたいに」
「ドロシーはオズの国一の冒険家だからね」 
「それで何処にでも行くけれど」
「私もそうしようかしら」
 こう言うのでした。
「とりあえず都を出てね」
「そうしてだね」
「もう足が向くままにね」
「オズの国を冒険していくんだ」
「そうしようかしら」 
 こう思ったのでした、するとです。
 そのトロットのところにです、そのオズの国一の冒険家ドロシーが来て彼女とキャプテンに言ってきました。
「二人共オズマが呼んでるわよ」
「オズマがなの」
「そう、そしてね」
 そのうえでというのです。
「何かお願いがあるみたいだから」
「すぐになのね」
「オズマのところに行ってくれるかしら」
「ええ、わかったわ」
「じゃあ今からね」
 トロットだけでなくキャプテンも快諾しました、こうしてです。
 二人はオズマのところに行く為に席を立ちました、するとドロシーは二人に笑顔でこうも言ってきました。
「じゃあ私は今から冒険に出るから」
「あっ、そうなの」
「今回はリンキティンク王の国にね」
 そちらにというのです。
「かかしさんや樵さんと一緒に行って来るわ」
「そう、僕達もね」
「一緒だよ」
 そのかかしと樵も出て来ました。
「じゃあね」
「これから一緒に行くから」
「また会いましょう」
 こう二人に言ってでした、ドロシーは二人と別れてかかしと樵と三人で出発しました。そうしてでした。
 トロットとキャプテンは一緒にオズマのところに行きました、そこでオズマに直接こうお願いされたのでした。
「今からギリキンの国に行って欲しいの」
「あちらになの」
「そう、これからね」
「ギリキンで何かあったの?」
「イックス王国にこれを届けて欲しいの」
 こう言って出したのはエメラルドで造られた箱型の大きな時計でした、エメラルドを基調としてサファイアやルビー、ダイアに真珠にオパールに珊瑚にと色々な宝石で飾られていてとても眩くて奇麗です。
 その時計を出してです、オズマはトロットに言うのでした。
「あちらの国へのプレゼントなの」
「じゃあこれを届けに」
「ギリキンまでね」
 イックス王国があるこの国にというのです。
「お願いするわね」
「ええ、それじゃあね」
「今から行って来るよ」
「お願いね、ただね」
 ここで少し困ったお顔になって言ったオズマでした。
「問題は貴方達二人だけしかね」
「今はなの」
「行けないんだね」
「そうなの、トトもね」
「うん、僕は今まで身支度をしていたからね」
 オズマの足元にいたトトが言ってきました。
「これからドロシー達を追いかけてね」
「行ってもらうし」
 それでというのです、そしてトトはここでお部屋を出てドロシー達の後を追いかけて行ってしまいました。
「他の人達も大体出ててね」
「いないの」
「そうなの、貴方達二人だけだと」 
 どうもと言うオズマでした。
「何かあったら困るし」
「他の人は何処にいるの?」
「ドロシーは今リンキティンク王の国に出たし」
 かかしと樵、そしてトトとです。
「ベッツィはハンクと一緒にチクタクやカエルマンとも組んでウィンキーのジャックのところに行って」
「ベッツィも行ったの」
「さっきね」
 出発したというのです。
「臆病ライオンとはらぺこタイガーはビリーナの王国に木挽きの馬と一緒に行ったわ」
「ガラスの猫とエリカは」
 キャプテンは二匹の猫について尋ねました。
「何処に行ったのかな」
「つぎはぎ娘と一緒にマンチキンに行ってもらったわ」
 そちらの国にというのです。
「オジョのところにね、魔法使いさんもそちらで合流するわ」
「じゃあ本当に今は誰もいないんだ」
「そうなの、とりあえずムシノスケ教授とモジャボロが王立大学にいるから」
 それでというのです。
「あの二人を呼んでそして後は」
「あっ、あの子達を呼びましょう」
 ここでトロットが明るく言ってきました。
「恵梨香達をね」
「あっ、あの子達ね」
「そう、あの子達を呼びましょう」
「それで合わせて九人でなのね」
「ギリキンに行きましょう」
 こう言うのでした。
「そうしましょう」
「それはいいわね、じゃあね」
「ええ、すぐに教授とモジャボロさんを呼んで」
「そしてね」
「あの子達も呼んで」
 恵梨香達五人をというのです。
「そうしましょう」
「それじゃあね」
「いや、二人だけならどうしようかって思ったけれど」
 トロットは笑顔でオズマに言いました。
「九人ならね」
「ええ、問題ないわね」
「ではまずは教授とモジャボロ君に来てもらって」
 キャプテンも言ってきました。
「そしてね」
「あの子達も呼んで」
「皆集まってから行こう」
「そうしましょう」
「ではあの子達にオズの国に来てもらいましょう」
 オズマも早速決めています、こうした時の決断の早さは流石です。
「今から」
「じゃあ私が行って来るわ」
 トロットがオズマに笑顔で言ってきました。
「あの学校に出てね」
「八条学園ね」
「携帯でメールを送ってから」
「それでお願いするわね」
「それじゃあね。ただね」
「ただ?」
「いや、本当に携帯で連絡出来るから」
 恵梨香達五人にというのです。
「楽よね」
「そうね、携帯があるとね」
「こうした時凄く楽よ」
「昔はオズの国にもなかったけれど」
 携帯電話の様なものはです、トロットがオズの国に来た時もそうでしたしオズマがオズマになった時もです。
「それが変わったから」
「便利よね、携帯って」
「本当にね、じゃあね」
「今から連絡する和ね」 
 五人にとです、こうお話してでした。
 トロットはすぐに五人にメールを送りました、そうしてすぐに都からオズの国と学園を行き来する渦に向かってです。
 そうしてそこに行こうとしますがオズマはそのトロットを呼び止めてこう言いました。
「旅の用意はね」
「ええ、忘れたらいけないわね」
「テーブル掛けを持って」
 広げれば好きな食べものを幾らでも出せるそれをです。
「それと折り畳み式のテントも」
「忘れたらいけないわね」
「そう、そうした支度もして」
「そのうえで行くわね」
「そこは忘れないでね」
「ええ、何か最近冒険に出ていなくて」92
 このことをここで思い出したトロットでした。
「私自身ね」
「忘れるかも知れないのね」
「そこまで考えていなかったわ」
「じゃあ今からね」
「よし、そこはわしが用意をしておこう」
 キャプテンが快諾してくれました。
「そちらは」
「そうしてくれるの」
「そう、そしてトロットはね」
「恵梨香達のところに行くわね」
「そうしてくれるね」
「それじゃあね」
 こうお話してです、そしてでした。
 すぐに宮殿から時計塔のところに行きました、学園のそこに。そして時計塔から出るとそこにもう五人がちえです。
 そのうえで笑顔で、です。こう言ってきました。
「じゃあ今からですね」
「オズの国に行って」
「そして冒険ですね」
「メール見ました、ギリキンですね」
「あちらですね」
「ええ、あそこに行くの」
 トロットは五人に笑顔で答えました。
「今回はね」
「ギリキンっていいますと紫でしたね」
 ジョージはお国の色をお話しました。
「そうでしたね」
「そういえばあそこには最近行ってなかったし」
 神宝は前にギリキンに行った時は何時だったかと考えています。
「今回行くのもね」
「というか私達ギリキンはあまり行ってないんじゃ」
 ナターシャはこれまでのオズの国に行った時のことから言うのでした。
「思えば」
「そういえばギリキンの北にも色々なお国があるけれど」
 恵梨香はギリキンのそちらのお話します。
「私達そちらにはまだ行ってないわね」
「イッソス王国にしましても」 
 最後にカルロスが皆が行く国のことをトロットに聞きました。
「僕達まだ行ってないです」
「じゃあ丁度いいわね」
 トロットはカルロスの言葉に笑顔で返しました。
「皆は私と一緒にね」
「イッソス王国に行ってですね」
「はじめて行くあの国にお邪魔して」
「そうしてですね」
「ギリキンの国も通って」
「そうして冒険していくんですね」
「そなるわ、キャプテンも一緒だし」
 この人もというのです。
「教授とモジャボロさんも来てくれるわ」
「今回も楽しい冒険になりそうですね」
 カルロスは一緒に行ってくれる顔触れを聞いて笑顔になりました。
「それじゃあ」
「今からオズの国に行ってね」
「冒険をはじめるんですね」
「そうしましょう」
「わかりました」
 カルロスが五人を代表して答えてでした、そのうえで。
 一行は冒険をする為にオズの国に入りました、トロットの場合は戻りました。そうしてまずはエメラルドの都の宮殿に入ってです。
 オズマ、そしてキャプテンと冒険のことをお話しました、トロットはオズマの前で五人に笑顔で言いました。
「私達はギリキンにも何度も行って地図も持って行くから」
「だからですか」
「ええ、安心してね」
 こちらのことはとカルロスに答えます。
「本当にね」
「やっぱり道がわかっている人がいるといいですね」
「オズの国でも何処でも」
「迷わないで済みますから」
「じゃあトロットさん達にですね」
「私達はついていってとなりますね」
「そうなるわ、ギリキンの国に入ってね」
 そうしてというのです。
「そうしてよ」
「イッソス王国に行くまでに他の国にも行ってもらうから」
 オズマも五人に笑顔でお話します。
「今回も楽しい冒険になるわよ」
「そういえばギリキンの北には色々な国がありましたね」
 カルロスはオズマにもこのことを聞きました。
「そうでしたね」
「ええ、そうよ」
「そうした国にもですね」
「行ってもらうから」
「言うならば今回は使節団だね」
 それになるとです、キャプテンも言ってきます。
「我々は」
「冒険をしてですか」
「それと共にね」
 各国への使節団となるというのです。
「オズの国の中のね」
「うわ、何か凄いですね」
「いやいや、君達はもう何度も使節になっているよ」
「そうなんですか」
「エメラルドの都の代表の一人として色々な国を訪問しているからね」
 これまでの冒険においてというのです。
「だからね」
「今回だけじゃないですか」
「そう、だからわしの言葉は正確には今回も、かな」
 今回ではなく、とカルロス達にお話します。
「そうなるかな」
「そうですか」
「考えてみればね、じゃあ教授とモジャボロ君が来たら」
「その時にですね」
「出発しよう」
 ギリキンの国に向けてというのです、こうお話をしてです。
 一行はまずは教授とモジャボロを待つことになりました、そうしてその間は都で遊ぶことになりましたが。
 五人はトロットと一緒に宮殿の中でかくれんぼをして遊びましたがその後でカルロスはこうしたことを言いました。
「いや、宮殿は広くて」
「隠れがいがあってね」
「凄いよね」
「もう見付けるのが大変」
「本当に」
「うん、学校でするのと違うよ」
 本当にというのです。
「宮殿ですると」
「そうでしょ、宮殿でかくれんぼをするとね」
 トロットも五人に言います。
「もう凄いことになるのよ」
「そうですね、何かと」
「広くてお部屋も沢山あって」
「皆見付けるのが大変ですね」
「隠れる方も何処に隠れるか迷う位」
「凄いところですね」
「だから私もね」
 トロットにしてもというのです。
「ドロシー達とかくれんぼしたらね」
「こうしてですか」
「見付けるのが大変ですか」
「隠れる方も」
「そうした場所なんですね」
「この宮殿は」
「ええ、隠れようと思ったらね」 
 それこそというのです。
「隠れる場所があんまりにも多くて」
「迷宮みたいですね」
 カルロスはここでこう言いました。
「本当に」
「ええ、実際にね」
「ここは迷宮ですね」
「そう言っていいわ」 
「何かここも地図が必要かも」
「はじめて来る人の為にあるわよ」
 実際にというのです。
「この宮殿のね」
「やっぱりそうですか」
「この宮殿は昔よりも広くなったし」
「改築していって」
「階も増えたしね」 
 そうもなってきてというのです。
「面積自体もね」
「それでなんですね」
「昔から広かったけれど」
「今はもっとですか」
「広くなってるわ」
「そうなんですね、ですから」
「かくれんぼしたら」
 今みたいにというのです。
「凄いことになるわ」
「そうした場所ですか」
「ええ、だから面白いけれどね」
 ここでこうも言ったトロットでした。
「迷うと大変よ」
「今何処にいるのかわからなくなって」
「その時はジュリアが探してくれるけれどね」
 ずっと宮殿で働いているこの娘がというのです。
「酷いことになるわ」
「そうですか」
「カルロス達はこの宮殿に何度も来ていて沢山の時間ここにいて宮殿のことも知ってるわね」
「はい、隅から隅まで」
「それで隠れられて迷わないけれど」
「それでもですか」
「知らない人が下手にかくれんぼしたら」
 この宮殿のことを知らない人がというのです。
「ジュリアじゃないと助けられないわ」
「凄い宮殿なんですね」
「外の世界でもないんじゃないかしら」
「この宮殿みたいに広くてお部屋の多い宮殿は」
「そうそうね」
 こうトロットが言うとでした、カルロス達も言いました。
「ベルサイユも凄いですけれど」
「フランスの」
「もう凄い大きさでお部屋も多いらしいし」
「お庭も凄くて」
「けれどあの宮殿よりも」
「この宮殿は広いかも知れないわね」
 トロットはこう五人にお話しました。
「私もあの宮殿のことは聞いてるけれど」
「はい、凄く大きくて」
「奇麗なんですよね」
「写真とかを見ていたら」
「完成までに二百年かかったとか」
「とんでもない宮殿ですね」
「あの宮殿よりも大きくて立派かも」
 そのエメラルドや金銀、他の多くの宝石や大理石で飾られた宮殿を見回して五人に答えるのでした。
「ここはね」
「そうですよね」
「しかもオズマやグリンダの魔法で造られているから」
「人手はですか」
「かかっていないから」
「それは凄いですね」
「ああした宮殿は人手もお金もとんでもなくかかるけれど」
 造るに際してです。
「この宮殿は違うから」
「魔法で造られているから」
「人手はかからないしすぐに出来るし」
「オズの国はお金もないですから」
 カルロスはこのことをお話に出しました。
「だからですね」
「そう、何の苦もなくね」
「造られているんですね」
「そうよ、とんでもない人でもお金もかかってなくて」
「時間もですね」
「かかっていないの」
「それはいいことですね」
「そうでしょ、オズの国ならではよ」
 こうした巨大な宮殿を造ってもというのです。
「人手もお金もかからないことは」
「オズの国は本当に凄いですね」
「魔法の力でね」
「そういえば作業用の車両とかも」
「全部魔法で動かせるものもあるでしょ」
「はい」
 オズマやグリンダが動かすものです。
「そうですよね」
「そういうものもあるし」
「だからですか」
「普通にね」
 それこそというのです。
「すぐに完成もさせられるのよ」
「そういえば昔は」
 ここでカルロスはあることについて思いました、そのこととは一体どうしたものかといいますと。
「機械もなくて」
「外の世界には魔法もないわね」
「はい、立派な宮殿を造ろうと思えば」
 それこそというのです。
「大変でしたね」
「そうだったわね」
「けれど今は」
「ショベルカーもトラックもブルドーザーもあるわね」
 こうしたものは外の世界だけでなくオズの国にもあります。
「何でも」
「はい、しかもオズの国では魔法で動かせるものもあって」
「建設工事も楽に出来るのよ」
「科学もあってですね」
「オズマとグリンダの魔法もあってね」
「つまり科学と魔法が合わされた」
 カルロスはオズの世界のこのことに思いを馳せました。
「凄い力になるんですね」
「その通りよ」
「こんな立派な宮殿もすぐに造られる」
「そこまでの力になるのよ」
「凄い力ですね」
「そうでしょ、オズの国にいれば」
 それこそというのです。
「こうした沢山の素晴らしい力を見られてね」
「実感もですね」
「出来るのよ」
 両方をというのです。
「凄い国でしょ」
「外の世界では考えられない位に」
「それがオズの国ということよ」
「この国にいると本当にね」
「驚くことばかりで」
 ジョージと神宝も唸って言います。
「科学と魔法が一緒にあって」
「両方が合わさっていてね」
「他にも不思議なことが一杯で」
「飽きることがないのよね」
 ナターシャと恵梨香も二人でお話をします。
「何時何処に行っても」
「まさにお伽の国ね」
「そう、お伽の国だからよ」
 そうであるからとです、トロットは四人にもお話しました。
「この宮殿にも不思議があるのよ」
「どうして造られたか」
「そのことですね」
「オズの国の宮殿だから」
「そうして造られたんですね」
「そうよ、じゃあ遊んで身体を動かしてお腹が空いたから」 
 それでというのです。
「おやつにしましょう」
「そういえば」
 カルロスは自分達の近くにあった壁にかけられている時計を見ました、鳩時計ですが緑の木で造られていて所々に宝石が飾られています。
「もうすぐ三時ですね」
「ええ、時間的にもいいから」
「今からですね」
「食堂に入って」
 そこでというのです。
「おやつを食べましょう」
「わかりました」
「今日のおやつは何かしら」
 うきうきとして言うトロットでした。
「楽しみよね」
「はい、とても」 
 カルロスも笑顔で応えて他の四人もでした、そうしてです。
 六人で食堂に入るともうオズマとキャプテンがいてです、六人に笑顔で言ってきました。
「じゃあ今からね」
「はい、おやつですね」
「皆でそれを食べるんですね」
「そうしましょう、今日のおやつはね」
 それは何かといいますと。
「甘いベーグルよ」
「あっ、ベーグルなんですね」
「それと紅茶よ」
 飲みものはそちらだというのです。
「レモンティーよ」
「アメリカですね」
「ええ、ベーグルも最近定着したわ」
 オズの国にとカルロスに答えます。
「アメリカでもよく食べられる様になってね」
「オズの国でも定着して」
「私達も食べられるの」
 そうだというのです。
「おやつとしてもね」
「それで今日のおやつはだよ」 
 キャプテンもにこにことしてお話します。
「うんと甘い、ドーナツみたいなベーグルだよ」
「ベーグルといってもですか」
「そうしたベーグルなんだ」
「ベーグルといっても色々ですね」
「パンとして食べるベーグルもあればね」
「おやつのベーグルもあって」
「今はおやつだよ」 
 そちらのベーグルだというのです。
「そしてそれをね」
「今から皆で、ですね」
「食べようね」
「そしてレモンティーはね」
 オズマはにこにことして飲みもののお話もしました。
「エメラルドの都のレモンティーだから」
「緑色ですか」
「そう、オレンジじゃなくてね」
 そちらの色になるというのです。
「面白いでしょ、そのことも」
「普通レモンティーってオレンジだけれど」
「そうそう、紅いお茶にレモンの黄色が入って」
「それでオレンジになるけれど」
「エメラルドの都だから」 
 カルロス以外の四人も言うのでした。
「緑のティーに緑のレモンが入って」
「それで緑のままなのね」
「けれどティーの緑でなくなる」
「レモンティーの緑になるんだ」
「そういうことよ、そのレモンティーも飲みましょう」
 エメラルドの都のそれをというのです、こうしたお話をしてから皆でおやつを食べますがレモンティーの色は薄い透き通った緑でした、キャプテンはそのレモンティーを見ながら五人にお話しました。
「これがだね」
「エメラルドの都のレモンティーですね」
「緑に緑が入ってこうなる」
「薄い透き通った緑ですね」
「そうした緑になるんですね」
「まるでエメラルドを溶かした様な」
「そうだよ、そして味はね」 
 そちらはといいますと。
「甘くてね」
「味はオズの国のレモンティーよ」
 こう言ったのはトロットでした。
「とても美味しいわよ」
「そうですね」
「じゃあ今からね」
「はい、皆でですね」
「この緑のレモンティーとね」
 エメラルドを溶かした様なそれと、というのです。
「ベーグルを食べましょう」
「わかりました」
 カルロスが五人を代表して答えてでした、皆でそのベーグルとレモンティーを食べはじめました。そしてそれからでした。
 オズマはベーグルを食べつつこんなことを言いました。
「今回私はね」
「ええ、この宮殿にいてね」
「お休みね」
「そうなるわね」
 こうトロットに答えるのでした。
「宮殿には留守番も必要だし」
「皆今は出ているから」
「私が残るしかないわ、けれど我儘を言えば」
「オズマもね」
「冒険に出たいわね」
 少し残念そうに笑って言うのでした。
「やっぱりね」
「オズマも冒険好きだし」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「今回はね」
「残念なのね」
「どうにもね、けれどね」
「そこが我慢して」
「残るわ」
 そうするというのです。
「今はね」
「そうするのね」
「吉報を待ってるわ」
 トロット達のそれをというのです。
「そしてね」
「宮殿に残っても」
「楽しく過ごすわ」
「ここはここで楽しいから」
「そうするわ」 
 まさにというのです。
「ジュリア達と一緒にね」
「それじゃあね」
「私は私で楽しんでおくわ」
 こう答えたオズマでした。
「何に対しても楽しめる」
「それがオズの国だしね」
「そうするわ、それとね」
「それと?」
「いえ、これはそんな気がするだけだけれど」
「どうかしたの?」
「ノーム王がこの宮殿に来る様な気がするの」
 この人がというのです。
「遊びにね」
「あの人が来られたら」
 カリフ王がというのです。
「またね」
「一緒に遊ぶのね」
「そうするわ」
「ええ、じゃあその時は」
「一緒に遊ぶわ」 
 こうトロットにお話しました。
「その時はね」
「ノーム王と仲良くね」
「遊ぶはね、それにしても今はね」
 かつての頃をしみじみと思い出したオズマでした。
「ノーム王ともノームの国とも仲がいいわね」
「ええ、とてもね」
「そうなったわね」
「昔は色々あったけれど」
 ノーム王が攻め込もうとした時もありました、そしてノームの国の中で大きな騒動が起こったこともありました。
「今は仲がいいわね」
「変われば変わるものね」
「ええ、本当に」
「素晴らしいことよ」
「全く以てね」
 こう笑顔でお話する二人でした、そして。
 そこで、です、こうもお話したオズマでした。
「ノーム王と何をして遊ぼうかしら」
「来られた時は」
「そのことを考えるのも楽しみね」
「そうよね」
「考えるだけでも」
 にこにことして言うオズマでした。
「楽しいわ、じゃあ楽しみながら」
「そうしてね」
「留守を守っておくわね」
 宮殿、そして都のというのです。
「そうしておくわね」
「そうしてね、じゃあ私達はね」
「教授とモジャボロさん達が来たら」
 カルロスが目を輝かせて言いました。
「いよいよですね」
「ええ、ギリキンの国に出発よ」
「わかりました」
 カルロスはトロットの言葉に頷きました、そのうえで出発のその時を待りますが五人でトロットにこうも言いました。
「僕達ギリキンは久し振りね」
「ちょっと忘れてることも多いです」
「一体どんな国だったか」
「紫の国なのはわかってますけれど」
「これといって」
「ええ、案内役も任せて」
 トロットは五人に笑顔で答えました。
「私もキャプテンもあの国には最近もよく言ってるし」
「だから安心してだよ」
 キャプテンも五人に陽気にお話します。
「ギリキンに行こうね」
「わかりました」
「じゃあ皆さんと一緒に行ってです」
「色々教えてもらいます」
「そうさせてもらいますね」
「イッソス王国まで」
「そうそう、君達イッソス王国にも行っていなかったね」
 キャプテンは五人のこのことにも気付きました。
「そうだったね」
「そうなんです、これまで沢山のところを巡ってきましたけれど」
 それでもとです、カルロスはキャプテンに残念そうに答えました。
「イッソス王国とかオズの北の方の国々には」
「まだだったね、幸いそうした国々も回るからね」
「使節団としてですね」
「そうしたこともするからね」
 だからだというのです。
「楽しみにしておいてね」
「はい、これまで行っていなかったオズの北の国々」
 ギリキンの中にあるその国々にです。
「行かせてもらいますね」
「そうしようね」
 キャプテンはカルロスそして他の子達に笑顔でお話しました、そうして皆で笑顔で教授とモジャボロを待つのでした。



新しい冒険が始まる。
美姫 「今回はキャプテンが一緒」
恵梨香たちからではなく、誘われてという形で。
美姫 「どんな冒険になるのかしらね」
次回も待っています。
美姫 「待っていますね」
ではでは。



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