『オズのジュリア=ジャム』




                第一幕  甘い蜜

 神宝達五人はこの時は普通に彼等の世界にいました、恵梨香のクラスに集まってそのうえで五人でお話をしています。
 まずはナターシャがです、四人に言いました。
「蜂蜜をパンにかけたらね」
「うん、凄く美味しいね」
「とんでもない位にね」 
 ジョージとカルロスはナターシャに笑顔で応えました。
「それだけでパンがお菓子になるよ」
「蜂蜜をかけるだけでね」
「そうなのよね、蜂蜜はね」
 恵梨香も言います。
「少しだけで物凄く甘いから」
「あの甘さはもう別格だよ」 
 最後に神宝が言いました。
「僕も大好きだよ」
「それでだけれど」
 ナターシャは四人のそれぞれの言葉を聞いてあらためて言いました。
「オズの国の蜂蜜を味わってみない?」
「そういえばあそこの蜂蜜はね」
「あまり食べていなかったかな」
「他の甘いものを食べても」
「蜂蜜は」
 四人もナターシャに言われて気付きました、そしてです。
 それならとです、神宝が四人に提案しました。
「それなら今日の放課後かお昼休みに行かない?」
「オズの国に?」
「そうしようっていうんだ」
「うん、どちらにしろオズの国にどれだけいてもこちらでは殆ど時間が経っていないし」
 このこともあってというのです。
「思い立ったらってことでね」
「それじゃあだね」
「放課後にでも皆でオズの国に行く?」
「時間があったらお昼休みにでも」
「そうするのね」
「そうしようよ、オズの国は美味しいものが一杯あるけれど」 
 それでもというのでした。
「蜂蜜はまだじっくり味わっていないし」
「それならだね」
「今日早速またオズの国に行って」
「そのうえで蜂蜜を楽しむ」
「そうするのね」
「そうしようね、じゃあ放課後かお昼に時間があれば」
 まさにその時にとです、こうお話してです。
 五人はお昼休みは残念ながら時間がありませんでしたが放課後に早速大学の方に行ってそうしてでした。
 時計塔の最上階にある渦からオズの国に入りました、そうして出て来たのはエメラルドの都の真ん中にある宮殿の正門でした。 
 そこに出るとです、早速門番の兵隊さんに声をかけてもらいました。
「やあ、今回もだね」
「はい、お邪魔していいですか?」
 神宝が五人を代表して兵隊さんに応えました。
「これから」
「君達はこの国の名誉市民じゃない」
「だからですか」
「何時でも来ていいんだよ」 
 兵隊さんは五人に笑顔で言うのでした。
「だからね」
「今回もですね」
「そうだよ、楽しんで行ってね」
「それじゃあ」
「今から門を開けるから」
「そうしてですね」
「オズマ姫と会ってね」
 まずはというのです、そして兵隊さんは門を開けてくれて。
 五人を宮殿の中に入れてくれました、五人はもう自分のお家みたいな宮殿の中を進んでいってでした。オズマのお部屋まで行きますと。
 オズマはにこりと笑ってです、五人にこう言ってくれたのでした。
「お昼に来てくれるかしらって思ってたけれど」
「すいません、お昼は時間が取れなくて」
 神宝がオズマに申し訳なさそうに応えました。
「それで」
「仕方ないわね、けれどね」
「もう僕達がここに来た理由は」
「蜂蜜よね」
「はい、オズの国の蜂蜜をじっくりと味わいたくなりまして」
「そのことも見せてもらったわ」
 宮殿にある鏡からです。
「だから貴方達が来てくれるのを待っていたのよ」
「流石オズマ姫ですね」
「もうご存知なんて」
 ジョージもカルロスも言うのでした。
「僕達が蜂蜜を食べたいって」
「早速ご存知なんですね」
「じゃあ今からですね」
「蜂蜜を使ったお菓子を食べさせてくれるんですね」
 恵梨香とナターシャも言います。
「これから」
「そうしてくれるんですか」
「そうよ、私達もね」
 オズマはにこりと笑って五人に応えました。
「楽しませてもらうわ」
「その蜂蜜を使ったお菓子を」
「今からですね」
「丁度ティータイムだしね」
 そのお菓子を楽しむ時間だというのです。
「一緒に楽しみましょう」
「すいません、いつも」
「思い立ったらお願いばかりして」
「やっぱり図々しいですよね」
「今更言うのは何ですが」
「そうですよね」
「そういうことは気にしなくていいのよ」
 オズマの温厚な言葉は変わりません。
「だから皆で楽しみましょう」
「はい、それじゃあ」
「今から」
「宮殿に行きましょう」
 こうしてでした、皆は食堂に入ってそうしてでした。
 蜂蜜をたっぷりと使ったお菓子を食べることになりました、見ればオズマの他にドロリーとベッツイ、トロットがいてでした。
 ジュリア=ジャムもいます。オズマはジュリアにも言いました。
「こうして皆で食べるとね」
「余計にですよね」
「ええ、美味しいから」
「だから私もですね」
「そうよ、貴女は私の友達だから」
「侍女ですが」
「お仕事のことは関係ないわ」
 お友達であることについてはというのです。
「だからね」
「お食事やティータイムの時は」
「貴女がお仕事でない時はいつもでしょ」
「はい、同席させて頂いています」
 メイド服のままですがジュリアは食堂にいます。
「この通り」
「そうよ、じゃあね」
「私もですね」
「お菓子とお茶を楽しんでね」
「そうさせてもらいます」
 にこにことしてでした、ジュリアもお菓子を食べることになりました。蜂蜜をかけたマフィンやクッキー、蜂蜜をたっぷりと使ったケーキ等をです。
 皆で食べてます、ジョージはそのケーキを食べて目を輝かせて言いました。
「あっ、確かに」
「美味しいわ」
「こんな甘い蜂蜜ないよ」
 恵梨香もカルロスもそのケーキを食べて言います、そして三人で言うのでした。
「こんなに美味しいなんてね」
「想像以上だったわ」
「そうだね」
「蜂蜜をかけたlクッキーも素敵な味ね」 
 ナターシャはこちらを食べてにこりとしています、普段よりもそうした笑顔になっています。
「癖になりそうよ」
「いや、マフィンもいいよ」 
 神宝はそちらを食べています。
「素敵な甘さになっているよ」
「ええ、これがオズの国の蜂蜜なのよ」
 ドロシーも笑顔で言ってきました。
「素敵な甘さでしょ」
「外の世界の蜂蜜とは違いますね」
「そうなの、特別な甘さなの」
「只甘いだけじゃないのよね」
「そう、食べると凄く元気が出るのよね」
 ベッツイとトロットもお話します。
「外の世界の蜂蜜よりも栄養が沢山あって」
「体調が悪くなってもすぐに回復出来るわ」
「お薬でもあるんですね」
 神宝はベッツイとトロットのお話を聞いて頷きました。
「オズの国の蜂蜜は」
「外の世界でもそうでしょ」
 ドロシーはにこりと笑って神宝に言ってきました。
「蜂蜜はお薬にもなるわね」
「はい、実際に」
「それはオズの国も同じだけれど」
「体調が悪くなってもですね」
「オズの国では殆どないことだけれどね」 
 誰も死ぬことも自分が望まない限り歳を取ることもない国です、そして病気もない国なのですから。
「元気が出るのよ」
「そういえば」
「ええ、元気が出て来たでしょ」
「何でも出来そうです」
「どんな激しいスポーツも出来るわね」
「そんな気がします」 
 実際にとです、神宝も応えます。
「凄いですね」
「じゃあ食べた後はね」
「皆でスポーツですね」
「そうして楽しみましょう」
 是非にというのでした。
「どんなスポーツをするかも問題だけれど」
「そうね、激しいスポーツなら」
 それならとです、ここでオズマが言うことはといいますと。
「ラグビーかアメリカンフットボールか」
「女の子でラグビー?」
「アメリカンフットボール?」
 ベッツイとトロットは二人の言葉に首を傾げさせました。
「聞かないけれど」
「するの?」
「駄目かしら」
「ううん、ちょっとね」
「違うと思うわ」
 二人で首を傾げさせたままオズマに応えます。
「どうもね」
「女の子がするには」
「ちょっとね」
「合わないかもと思うわ」
「じゃあね」
 オズマも二人の言葉を受けて言いました。
「水泳はどうかしら」
「あっ、水泳ならね」
「身体全体を動かすしね」
「かなりカロリーも使って」
「いいわね」
「そうでしょ、じゃあ皆で水泳をしましょう」
 こう言うのでした。
「食べた後は」
「水泳ですか」
「あの、水着は」
 恵梨香とナターシャがオズマにこのことを尋ねました。
「私達持っていないですけれど」
「五人共」
「ちゃんと王宮にあるわよ」
 オズマは二人ににこりとして答えました。
「男の子様のもね」
「あっ、そうなんですか」
「僕達のもあるんですか」
 ジョージと神宝はオズマの今の言葉ににこりと笑って応えました。
「それじゃあですね」
「今から」
「ええ、楽しんでね」 
 こうしてでした、五人も一緒にでした。蜂蜜をたっぷりと使ったお菓子と蜂蜜を入れた紅茶を楽しんだ後はです。
 皆で王宮のプールに行きました、勿論皆更衣室で着替えましたが。
 オズマは緑の、ドロシーは青、トロットは黄色、ベッツイは赤のそれぞれの色の競泳水着を着ています。恵梨香はピンク、ナターシャは黒のやっぱり競泳水着です。
 男の子達は神宝は青、ジョージは赤、カルロスは黄色のそれぞれトランクスタイプの水着です。三人は順ん微体操の前にふと言いました。
「あれっ、ジュリアさんは?」
「おられないね」
「まだ着替え中なのかな」
「あの娘は後片付けをしているから」
 オズマが三人に答えました。
「だからね」
「それで、ですか」
「遅れるんですね」
「そうなんですね」
「そうよ、だから少し待ちましょう」
 オズマは微笑んで三人にお話しました。
「準備体操もね」
「皆が揃ってからですね」
「それから準備体操をしてですね」
「水泳ですね」
「そうしましょう、あの娘は仕事が速いからすぐに来るわ」
 遅れるにしてもというのです。
「待っていればすぐにね」
「来られるんですね」
「そうなんですね」
 恵梨香とナターシャもオズマに聞きました、見ればどの水着もとても奇麗です。
「じゃあ少し待って」
「皆で」
「準備体操をしましょう、スポーツの前はね」
 何といってもというのです。
「丹念に準備体操をしないとね」
「そう、身体によくないのよね」
 ドロシーがオズマに応えました。
「何といっても」
「そう、だからね」
「準備体操はしないとね」
「それからよ、いいわね」
「泳ぐのはね」
 こうしたお話をしているとすぐにジュリアが来ました、ジュリアは紫の競泳水着でしたがここでいつも通りドロシーの足元にいるトトが言いました。
「色はそれぞれのお国の色だね」
「ええ、私達の水着はね」
 ドロシーがそのトトに応えました。
「そうしてみたの」
「オズの国のそれぞれの色に」
「どうかしら」
「面白いと思うよ」
 トトはドロシーににこりとして答えました。
「それもね」
「ならいいわ」
「うん、そして神宝達はだね」
「五人がいつも着ている色よ」
「そうだよね」
「その色の水着を用意したのよ」
「嬉しいです」
 神宝は自分が着けている青い水着を見て笑顔になっています。
「僕青が好きですから」
「神宝はそうよね」
「はい、ですから」
「いつも青い服を着ていて」
「水着もこの色がいいです」
 青がというのです。
「本当に」
「そう思って用意してよかったわ」
「有り難うございます」
「じゃあ今からね」
「はい、準備体操をして」
「泳ぎましょう」
 こうお話してでした、そのうえで。
 皆で円を作ってプールサイドでじっくりと準備体操をしてでした。それからプールに入って泳ぐのですが。
 ジュリアの水泳を見てです、神宝達はびっくりしました。
「うわ、速いね」
「ジュリアさん泳ぎ上手ね」
「どんな泳ぎ方も出来て」
「速くて」
「しかも幾らでも泳げて」
「ジュリアは王宮一の泳ぎ手なのよ」
 オズマが五人ににこりとしてお話します、オズマは五人と一緒に平泳ぎをしています。ドロシーはトロット、ベッツイと一緒に背泳ぎを楽しんでいます。
「そうしてね」
「実はね」
「そうなんですね」
「そう、もう泳ぐとなったら」
「ああしてですか」
「誰も勝てないのよ」
 王宮ではというのです、オズマは神宝にお話をしました。
「多分オズの国全体でもトップクラスじゃないかしら」
「そこまで凄いんですね」
「そうなの、実は毎朝泳いでるしね」
「このプールで、ですか」
「泳ぐのが好きで」
 そしてというのです。
「上手なのよ」
「そうなんですね」
「私達の誰もね」 
 それこそ王宮の誰もがというのです。
「水泳では勝てないわ」
「本当に速いですしね」
「物凄い速さですね」
「しかもどんな泳ぎ方も出来て」
「ターンも速くて」
 ジョージ、カルロス、ナターシャ、恵梨香の四人も言いました。
「選手の人みたいです」
「私達とは全然違いますね」
「まるで人魚です」
「そうも思えます」
「そうね、あの娘は人魚ね」
 オズマもこう言いました。
「お水の中じゃね」
「そういえばオズの国にも人魚はいますか?」
 神宝はオズマの言葉を受けてふと言いました。
「この国には」
「ええ、いるわよ」
 オズマは五人と一緒に泳ぎ続けながら神宝に答えました。
「人魚もね」
「そうなんですね」
「そうよ、海や川、湖にね」
「いるんですね」
「マンチキンの方には人魚の国もあるわよ」
「国もあるんですか」
「そうなの。そして人魚の国にはね」
 オズマはさらにお話しました。
「凄く奇麗な真珠があるのよ」
「真珠もですか」
「そう、人魚達の宝なのよ」
 それがあるというのです。
「一度見たら忘れられないから」
「そんなに奇麗なんですか」
「そうなの、これがね」
「そんなに奇麗なら」
 神宝は思うのでした。
「一度見てみたいですね」
「そう言うと思ったわ」
 オズマは神宝のその言葉ににこりと笑って応えました。
「じゃあマンチキンの国にね」
「行ってみればですね」
「いいわ」
「それじゃあ今度は」
 神宝は目を輝かせて言いました。
「マンチキンの国での冒険ですね」
「あっ、マンチキンなんだ」
「いいね、あの国に行くのも」
「あの国も楽しいのよね」
「凄くね」
「そうしたわいいわ」
 こう笑顔で言うのでした、オズマも。
「是非ね、ただね」
「ただ?」
「ただっていいますと?」
「人魚の国はマンチキンのかなり奥にあるのよ」
 その国はというのです。
「だから長い旅になることはね」
「わかっておいてですね」
「そのうえで、ですね」
「行ってきてね」
 こう言うのでした。
「そこは承知してね」
「はい、わかりました」
 五人で一度にオズマに答えました。
「冒険に出た時は」
「そのことは頭に入れておきます」
「長い旅になるんですね」
「人魚の国に行こうと思ったら」
「その時は」
「勿論貴方達五人だけで行くよりも」
 まだ子供の彼等だけで冒険に行くよりもというのです。
「他の誰かと一緒に行ってね」
「いつも通りですね」
「そうした方がいいですね」
「私達はオズの国のことなら隅から隅まで知ってるから」
 伊達にずっとこの国にいて数えきれないだけの冒険をしている訳ではないのです。
「だからね」
「その時はですね」
「どなたかと一緒ですね」
「そうして行かないと駄目ですね」
「いつも通りに」
「そうしてですね」
「そうしてね」
 絶対にと言うオズマでした。
「そこはしっかりとね、あと私は」
「オズマ姫はですか」
「今回もね」
 このことは残念そうに言うオズマでした。
「忙しくてなのよ」
「そうなんですか」
「また貴方達と一緒に行きたいけれど」
 それがというのです。
「残念ながらお仕事があって」
「だからですか」
「行けないんですね」
「そうなの」
 残念そうに言ったオズマでした。
「だから他の娘と一緒に行ってね」
「とはいってもね」
 今度はドロシーが五人に言いました。
「私達もなのよね」
「ドロシーさん達もですか?」
「今回は」
「そうなの、私達三人で臆病ライオンや腹ペコタイガー達と一緒にね」
「冒険に行かれますか」
「そうされるんですか」
「そうなの」
 こう五人にお話するのでした。
「カドリングの方までね」
「じゃあ行く方向も違いますね」
「人魚の国はマンチキンにあるっていいますし」
「それじゃあですね」
「ドロシーさん達ともですね」
「そうなの、じゃあ誰と一緒に行ってもらうか」
 ドロシーも考えました、そしてです。
 ドロシーは少し考えてです、ふとひらめいたお顔になってそのうえでオズマに言いました。
「ねえ、ジュリアはどうかしら」
「ジュリアに?」
「そう、一緒に行ってもらったら?」
「えっ、私ですか?」
 ジュリアはドロシーとオズマのやり取りに驚いて応えました。
「私が冒険に」
「いや、貴女も一緒に行くことあるじゃない」
 ドロシーはそのジュリアに応えました。
「冒険に」
「それはそうですが」
「オズマのお付きだから?」
「それでいつも行ってますが」
 しかしというのです。
「ですが」
「そういえばそうね、貴女の冒険はね」
「いつも姫様とご一緒にです」
 メイドとしてというのです。
「ですから率先してというのは」
「そういえばなかったわね」
「基本ここにいることが多いわよね」
「そうよね、ジュリアは」
 ベッツイとトロットもお話します。
「メイドさんだし」
「その方が多いわね」
 冒険に出るよりもというのです。
「王宮でお仕事をしていて」
「そうしてばかりだから」
「それなら余計にかしら」
 オズマは二人のやり取りも聞いてです、決定したお顔になりました。そのうえでジュリアに対して言うのでした。
「ジュリアは行くべきよ」
「今回の冒険は」
「そう、王宮にいるメイドさんは貴女だけじゃないし」
 ジュリア一人で何でも出来る様な小さな場所ではありません、この王宮には多くの可愛い女の子がメイドさん、つまり侍女として働いています。
「神宝達と一緒にね」
「今回はですか」
「冒険に行ってみたらどうかしら」
「そうですか、今回はですか」
「そう、勿論他の人達も一緒だけれどね」
 ジュリアだけでなくというのです。
「そうしたらどうかしら」
「姫様のお言葉なら」
 それならとです、ジュリアはオズマに礼儀正しく応えました。
「そうさせて頂きます」
「それじゃあね」
「さて、問題はね」 
 またドロシーが言ってきました。
「ジュリアと神宝達の他に誰が一緒に行くかだけれど」
「ええと、今この宮殿にいる人は」
 トロットがここで考えつつ述べました。
「モジャボロさんがおられるわね」
「そうね、キャプテンとハンクは私達と一緒に行くし」
 ベッツイも言います。
「冒険にね」
「ええ、トトもね」
「それに木挽の馬は今は王立大学に行って」
「臆病ライオンと腹ペコタイガーも私達と一緒に行くし」
「後はビリーナ?」
「あっ、ビリーナは残ってもらうわ」
 オズマが言いました。
「皆出るから相談役にね」
「王宮に残ってもらうのね」
「ボームさんと一緒にね」
「チクタクは」
「チクタクはエリカ、ガラスの猫、つぎはぎ娘と一緒にオジョのところに行ったじゃない」
 ベッツイが彼等についてお話しました。
「だからね」
「チクタク達もいないのね」
「そう、今回はね」
「それじゃあ冒険にはモジャボロさんだけ?」
「あの人だけになるかしら」
「よし、それじゃあここは」
 今度はオズマが閃きました、そして言うことはといいますと。
「かかしさんと木樵さん、あとジャックを呼びましょう」
「あっ、三人をなのね」
「そう、あの人達が一緒なら大丈夫でしょ」 
 オズマはドロシーに微笑んでお話をしました。
「何処に行っても」
「ええ、あの人達ならね」
「だからここはね」
「三人を呼んで」
「そう、一緒に行ってもらいましょう」
「それじゃあすぐに連絡しましょう」
「今からメールを送るわ」
 オズマは早速携帯電話を出しました、すぐに三人に対してメールを送りました。するとこれまたすぐにでした。
 オズマは笑顔で、です。ドロシー達に言いました。
「よかった、三人共ね」
「いいって言ってくれたのね」
「すぐに都に来るって言ってるわ」
「そう、それは何よりね」
「これで大丈夫よ」
 オズマの言葉は太鼓判を押したものでした。
「ジュリア達は無事に冒険に行けるわ」
「そして帰られるわね」
「そう、かかしさんの知恵と木樵さんの心にね」
「ジャックのユーモアがあれば」
「何も怖くないわ」
 それこそというのです。
「だから後はね」
「ええ、三人が来てから」
「出発すればいいわ、じゃあその時まではね」
「ここで、よね」
「遊びながら待っていればいいわ」
「そうなるわね、私達の出発もまだ先だし」
 ドロシーは自分達のこともお話しました。
「それならね」
「ええ、まだ王宮で楽しく遊びましょう」
 皆で一緒になったうえでお話するのでした。
「そうしましょう」
「それじゃあね」
「さて、色々遊べるけれど」
 オズマは上機嫌になっていました、どうするかを決められたので。
「明日は何をして遊ぼうかしら」
「それも問題ね」
「嬉しい悩みよ」
 ドロシーに明るく応えます、そしてでした。 
 次の日です、かかし達が来るのを待ちつつです。ジュリアは朝御飯を食べた後で神宝達を集めてこんなことをお話しました。
「皆マンチキンの国は行ったことがあるわね」
「はい、何度か」
「王立大学やジンジャー将軍のお家には」
「何度かお邪魔してますし」
「奥の方にも行ったことがあります」
「だからあの国のことは知ってるわね、けれどね」 
 それでもというのでした。
「人魚の国までは行ったことはないわね」
「そうした国があるのもはじめて聞きました」
 神宝が答えました、六人で同じテーブルを囲んでお話をしています。テーブルの真ん中にはそのマンチキンの地図が広げられています。
「オズの国に」
「人魚の人達もいるんですね」 
 ジョージはしみじみとした口調でした。
「オズの国には」
「そのこともはじめて知りましたし」
 カルロスも言います。
「昨日は驚きました」
「本当にここは不思議の国ですよね」 
 ナターシャの目はしみじみと考えるものでした。
「人魚の人達もいるなんて」
「そしてその人魚の人達がですね」
 最後に恵梨香が言いました。
「とても奇麗な真珠を持っているんですね」
「そうなの、私も見せてもらったけれど」 
 ジュリアもその真珠のお話をします。
「凄く奇麗だから」
「だからですね」
「見せてもらうとですね」
「それだけで幸せな気持ちになれるから」
 そこまでのものだからだというのです。
「楽しみにしていてね」
「わかりました」
「一体どれだけ奇麗か」
「楽しみにさせてもらいます」
「あと昨日蜂蜜のお菓子を楽しんだけれど」
 ジュリアは皆にこちらのお話もしました。
「こちらもあるのよ」
「ええと、甘いものっていいますと」 
 マンチキンで、です。神宝はこのことから考えて言いました。
「ジンジャー将軍のお家ですか?」
「いえ、将軍は蜂蜜は作ってないの」
「そうだったんですか」
「蜂蜜はまた別の人なの」
「それでその人のところにもですか」
「行くと思うわ」
 今回の冒険ではというのです。
「だから楽しみにしておいてね」
「蜂蜜のこともですね」
「その人が作る蜂蜜も美味しいから」
「それじゃあ」
「今回の冒険はね」 
 ここでこうも言ったジュリアでした。
「私にとってははじめてだから」
「オズマ姫と一緒に行かないですね」
「はじめての冒険なんですね」
「だから心配なことも多いの」
 どうしてもというのです。
「貴方達を無事に案内したり導いたり出来るか、けれどね」
「それでもですか」
「僕達と一緒にですね」
「行きたいわ、それに私だけじゃないし」 
 こうも行ったジュリアでした。
「かかしさん達も一緒だし」
「やっぱりそのことが心強いですよね」
「そうですよね」
「あの人達が一緒ですと」
「それだけで」
「とても心強いわ」
 実際にとです、ジュリアは五人に微笑んで答えました。
「あの人達はオズの国でも特に頼りになる人達の一人だから」
「モジャボロさんも一緒ですしね」
「今回の旅は十人ですね」
 数のお話にもなりました。
「合わせて」
「数も多めですし」
「そのことも安心出来ますね」
「ええ、冒険はやっぱり人の数も重要ね」
 このことはジュリアもわかっています。
「多いとね、何かあっても」
「そうですよね」
「助ける人がいてくれて」
「それで困った状況も救われますね」
「多ければそれだけ」
「人手にも考えも出るし」
 人が多ければというのです。
「有り難いわ、ましてあの人達だとね」
「余計にですよね」
「頼りになりますね」
「今回の冒険でも」
「そうよ、それとね」
 さらに言うジュリアでした。
「かかしさんと木樵さんはマンチキン出身よね」
「あっ、そうでしたね」
「ドロシーさんとお会いするまであの国にいたんですね」
「あの人達は」
「だから誰よりもあの国のことに詳しいわ」
 かかし、そして木樵はというのです。
「だから色々と教えてもらえるわ」
「マンチキンのことも」
「私達がこれから行くあの国のことも」
「そうよ、それで人魚の国はね」
 テーブルの真ん中に開いて置いているその地図のマンチキンの部分を指さしつつです、ジュリアは五人にその国のことをさらにお話しました。
「ここにあるのよ」
「あっ、海の方ですね」
「やっぱり人魚だからそこにお国があるんですね」
「そうなんですね」
「そうよ、だから海に入るかも知れないから」
 だからだというのです。
「水着も持って行きましょう」
「水着もですか」
「そちらもですか」
「ええ、途中服の木から手に入れることも出来るけれど」
 オズの国にはそうした木もあって服を自由に手に入れることも出来るのです、その服の中には水着もあるのです。
「それでもね」
「昨日着た水着もですか」
「持って行くんですか」
「そうしましょう、それに私あの水着が好きなの」 
 ジュリアはくすりと笑ってこうも言いました。
「紫の競泳水着がね」
「あの水着似合ってましたよ」
 神宝は微笑んでジュリアに言いました。
「ジュリアさんに」
「有り難う、実はよくそう言ってもらってるから」
「だからですか」
「あの水着が好きなの」
「そうなんですね」
「そうなの、だからあの水着を持っていくわ」
 好きな水着だからこそというのです。
「そうするわ」
「そういえば水着も」
 ジョージはふと気付いた様になって言いました。
「色々あるね」
「競泳水着だけでなくね」
 カルロスもジョージに応えて言いました。
「ワンピースとか半ズボンみたいなのとかスカートがあるのとか」
「ビキニもあるわね」
 ナターシャはこの水着を思い出しました。
「二つに別れた」
「あの水着は着るのが恥ずかしいわ」 
 実際に恵梨香はお顔を赤くさせています、自分があの水着を着たらと想像してです。
「ちょっとね」
「私も姫様達もビキニは抵抗があるの」
 ジュリアはビキニについてはこう言いました。
「競泳水着はよくても」
「そちらはですね」
「大丈夫なんですね」
「そうなの、けれどね」
 それでもというのです。
「泳ぐのは好きよ」
「そのこと自体はですね」
「大丈夫なんですね」
「だから毎日泳いでいるし」
 王宮のプールで、です。
「楽しんでいるわ」
「それでオズの国でも指折りのスイマーなんですね」
「そうなられてるんですね」
「泳ぐのが好きで毎日していたら」
「それで、ですか」
「泳ぎ上手になったんですか」
「そうなの、だから海で泳ぐことになっても」
 その時もというのです。
「楽しませてもらうわ」
「ううん、海ですか」
「オズの国の海も奇麗ですしね」
「その海で泳ぐと考えますと」
「それも楽しみですね」
「そうよね、じゃあね」
 それならというのでした。
「水着も持っていきましょう」
「はい、そうしましょう」
「そちらも」
「勿論旅道具も持って」
 折り畳み式のテントやテーブル掛け等をです。
「かかしさん達が来たらよ」
「その時にですね」
「出発ですね」
「そうしましょう、あとモジャボロさんにもお話しましょう」
 一緒に行くことになっているこの人にもというのです。
「そうしましょう」
「そういえばモジャボロさんは」
「王宮におられるのは聞いてますけれど」
「何処におられるんですか?」
「一体」
「実は昨日から図書館に入っていて」
 そしてというのです。
「お食事もあちらでだから」
「それでなんですか」
「今はですか」
「僕達もお会い出来ていないんですか」
「そうなんですね」
「ええ、けれど応急におられるから」 
 このことは間違いないからだというのです。
「安心してね」
「一緒に冒険に行けますね」
「そのことは大丈夫ですね」
「そうよ、だから安心してね」
 ジュリアは優しいお姉さんの笑顔で五人に言いました・
「あの人も一緒よ」
「それは何よりです」
「一緒に来てくれるのなら」
 五人もジュリアのお話を聞いて笑顔になりました。
「嬉しいです」
「モジャボロさんとご一緒ならそれだけで幸せになれますから」
「とても嬉しいです」
「ラブ=マグネットがなくても」
「あの人って普通に素晴らしい人で」
「一緒にいたくなりますよね」
「そう、あの人はいつもあの石を持ってるけれど」
 それでもというのです。
「あの石がなくてもなのよ」
「凄くいい人で」
「とても幸せな気持ちになれますね」
「一緒にいますと」
「それだけで」
「あの人は石はいらないかも知れないわ」
 ラブ=マグネット、それはというのです。
「私もそう思うわ」
「そうですよね」
「あの人位になりますと」
「あの石もいらないですね」
「そうも思いますね」
「そうよね、けれどあの石があると余計になのよ」
 普通にしていてもとても魅力的なモジャボロがというのです。
「魅力的になってね」
「もうこの世の誰もがですね」
「どんな生きものでもですね」
「引き寄せられてしまって」
「お友達になってしまいますね」
「それで多くの人を助けてきているから」 
 だからだというのです。
「あの人はいつもあの石を持っておられるのよ」
「それが人を助けることにもなるから」
「だからですか」
「そうよ」
 こう五人にお話するのでした。
「あの人は石を持っているわ」
「そういうことですか」
「あの石は人助けですか」
「その為のものですか」
「そうなの、そしてあの人もいるから」
 ジュリアはまたお話しました。
「安心してね」
「わかりました、それじゃあ十人で」
「皆で行きましょう」
「マンチキンに」
「そうしましょう、それと」
 ここまでお話してあらためてです、ジュリアは皆に言うのでした。
「もうず十時ね」
「あっ、もうですか」
「十時ですか」
「お茶の時間ですか」
「ええ、そうよ」
 ティータイムだというのです
「だから皆ね」
「はい、今からですね」
「お茶とセットを出して」
「そうして食べるんですね」
「そうしましょう、お茶は何がいいかしら」
 ここでジュリアは考えましたがそのジュリアに神宝が言いました。
「中国茶にしませんか?」
「貴方のお国のお茶ね」
「それと桃饅頭や杏仁豆腐、ゴマ団子を出して」
 セットはこちらはどうかというのです。
「どうでしょうか」
「あっ、いいね」
「ゴマ団子好きだよ」
「その組み合わせならね」
「皆大好きよ」
 四人も言います、そしてジュリアもです。
 中国茶とそのセットにです、にこりとして応えました。
「私もそれでいいと思うわ」
「それじゃあ」
「今回のティーセットは中華よ」
 まさにそれだというのです。
「それでいきましょう」
「わかりました」
「そしてね」
 さらに言うジュリアでした。
「食べ終わったらね」
「はい、またですね」
「一緒にですね」
「冒険のことをお話していきましょう」
「皆で」
「そうしましょう、けれどね」 
 ここでにこりと笑ってです、ジュリアはこんなことも言いました。
「こうして冒険のことを考えるのって凄く楽しいわね」
「はい、そうなんですよ」
「このこと自体が凄く楽しいんですよ」
「一体どうした冒険にしようか」
「地図を見て考えるだけでも」
「そこからもう楽しめるんです」
「そうね、私ずっとこのことを知らなかったわ」
 ジュリアはというのです。
「冒険はついていくばかりだったから」
「だからですよね」
「ジュリアさんがリーダー的なポジションで行かれるいことはなかったから」
「それで、ですね」
「こうしたことははじめてなんですね」
「ええ、だから余計にね」
 にこにことしてです、ジュリアは言うのでした。
「楽しませてもらってるわ」
「それじゃあですね」
「このことも楽しんで、ですね」
「そして、ですね」
「冒険に行かれますね」
「皆で」
「そうしましょう、これであの人達が来たら」
 かかしと木樵、そしてジャックがというのです。
「出発よ」
「はい、その時までに予定を決めて」
「そうしてですね」
「かかしさん達が来られたら」
「早速ですね」
「マンチキンの国に出発ですね」
「そうしましょう」
 笑顔で言うジュリアでした、そうしてです。
 皆で中国茶、漢方薬も入ったそれを飲んでそうして中華のティーセットを食べました。そのうえでこの日は冒険の打ち合わせをするのでした。



蜂蜜を食べたくてオズの国へ。
美姫 「それで別世界に行くっていうのも凄い事よね」
確かにな。でも、美味しそうだな。
美姫 「蜂蜜を食べに来たのに人魚の国に行く事に」
これまた楽しそうな。
美姫 「どんな冒険になるのかしら」
次回も待っています。
美姫 「待っていますね〜」
ではでは。



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