『オズのアン王女』




                 第三幕  曲がりくねった山道

 ドロシー達はウーガブーの国に一直線に向かっていきます、その国までは道があるので何の問題もなく向かえます。
 ですがここで、です。トトが道を歩きながら言いました。
「何か起こるかな」
「そうね、私達の冒険はね」
 まさにとです、ドロシーもトトに応えます。
「何かがあるのが常だから」
「そうだよね」
「オズの国のことを考えると」
「何が起こってもね」
「いいように気構えはしておきましょう」
「そうしていようね」
「何かあれば」
 大尉は皆の先頭を行くドロシーとトトに言ってきました。
「その時は皆で力を合わせて」
「そうしてよね」
「乗り越えていきましょう」
「そういえば前にもこのコース歩きましたけれど」
 ウィンキーの国の中央からウーガブーの国の方までです、ジョージは歩きながらこのことも思い出していました。
「回る山もありましたね」
「あの時は飛行船で越えたね」
 神宝も言います。
「そうだったね」
「そうそう、あの時はね」 
 カルロスにとっても懐かしいことです。
「それで難を逃れたけれど」
「今回もあの山の方に行くのかしら」
 ナターシャはどうなるのかを考えています。
「また飛行船に乗るのかしら」
「ううん、それなら問題はないかしら」 
 恵梨香は少なくとも山は、と考えています。
「別に」
「あそこも通るわよ」
 実際にとです、ドロシーは五人に答えました。
「もう少ししたら行くわ」
「やっぱりそうですか」
 ジョージはドロシーの返事に腕を組んで頷きました。
「あそこも」
「ウーガブーの国に行くのなら」
 それならというのです。
「あの山は絶対に通らないといけないから」
「最短距離で行くのなら」
「それならね」
 まさにというのです。
「あそこは通るわ」
「そうですか」
「けれど飛行船はあるから」
 このことは変わらないというのです。
「安心してね」
「わかりました」
 笑顔で応えたジョージでした、五人を代表して。
 そのうえで先に先にと進んでいきますが十時になるとしっかりとでした。一旦休憩してティータイムに入りました。
 そこで、です。ドロシーはアップルティーを飲みつつ皆に言いました。今回はアップルパイにアップルケーキ、干し林檎と林檎尽くしです。
 その林檎尽くしにです、ドロシーは言うのです。
「ウーガブーの国に行くからよ」
「だからですね」
「そう、林檎よ」
「それで統一したんですね」
「そうなの」
 三段ティーセットの上段は干し林檎、中段はアップルパイそして下段にアップルケーキがあります。そして飲みものはアップルティーとなっているのです。
「思いついてだけれど」
「林檎は身体にもいいですし」
 神宝はこのことから言いました。
「最高の果物の一つですね」
「このことも考えて」
 ドロシーは神宝にもお話しました。
「林檎で統一したの」
「凄く甘いですしね」
 カルロスは干し林檎のその甘さににこにことしています。
「林檎はお菓子にしても」
「そうなのよね、そのまま食べても美味しいけれど」
 ナターシャも林檎の味を楽しんでいます。
「お茶やお菓子にしてもいいのよね」
「ジャムも美味しいのよね」
 恵梨香は丁度出されているジャムを見ています、皆パイに入れたり紅茶に入れたりそのまま舐めたりしています。
「こちらも」
「林檎は素敵な果物だよね」
 トトも食べて楽しんでいます。
「そのままでもいいし色々な調子の仕方もあるしね」
「香りもね」
 大尉は食べることも飲むこともしていませんが場にいます、そのうえで香りを楽しんでいるのです。
「いいですしね」
「そう、林檎は香りもいいから」
「それで、ですね」
「素敵な果物なのよ」
「そうですよね」
「だから大尉さんも楽しんでいるのね」
「この通り」
 ドロシーににこりと笑って答えるのでした。
「そうしています」
「そうなのね」
「ではお茶をお菓子を楽しんで」
「また出発しましょう」
「それでは」
「今頃アン王女も林檎食べてるかな」
 トトはふとこう思ったのでした。
「あの人も林檎大好きだし」
「むしろ私達以上にね」
「毎食林檎を食べたいっていう位にね」
「そして実際に食べる」
「そうした人だから」
 それ故にというのです。
「食べているかもね」
「きっとそうね」
 ドロシーはトトににこりと笑って答えました。
「あの人は」
「そうだよね、ウーガブーの国の名産の一つで」
「無類の林檎好きだから」 
 それ故にというのです。
「やっぱりね」
「林檎を食べてるだろうね」
「今もね」
 丁度ドロシー達がティータイムを楽しんでいるこの時間もというのです。
「そうしているわね」
「そのうえで僕達を待ってるかな」
「どうかしら、そこは」
「まさか」
「あの人も活発な人だから」
 ドロシーと同じくです、彼女とはやや違ったカラーでアンも活発な王女であることはオズの国ではよく知られていることです。
「私達に会う為にね」
「もう出発していたり」
「そういうこともあるわよ」
「言われてみれば」
 確かにとです、トトもドロシーの言葉に頷きました。
「あの人はね」
「あるわね」
「充分にね」
 こう言うのでした、トトも。
「そうだね」
「そうだとしたら合流出来たらね」
「いいね」
「そうよね」
「アン王女は確か」
 ジョージはこの人のお話をここでしました。
「オズの国を征服しようとしましたね」
「ええ、かつてはね」
「そして自分がオズの国の支配者になる」
「そう考えたこともあったわ」
「そのことも含めて活発な人ですね」
「とても元気な人よ」 
 それこそというのです。
「いつも動いていないと気が済まない人よ」
「元気な人なんですね」
「私も冒険に出たり遊ぶことが大好きよ」 
 このことは自分でもよくわかっているドロシーです。
「けれどね」
「それでもですよね」
「あの人はね」
「ドロシーさんとはまた別のカラーで」
「活発な人なのよ」
 いつも動いていないと気が済まない人というのです。
「待つよりもね」
「自分がやるか動く」
「そうした人なのよ」
 それがアンだというのです。
「お掃除でも何でもね」
「自分で、ですか」
「するのよ」
「ううん、あまりお会いしたことはないですが」
「そうした人だから」
「このことを頭に入れてですね」
「アン王女のことを考えると」
 そうしてみると、というのです。
「まずね」
「もう、ですか」
「あの国にはチクタクが行ったそうだけれど」 
 ドロシーもこのことはオズマから途中で携帯で連絡を受けて知っています。
「多分ね」
「そうですか」
「ちょっとオズマに確認してみるわね」
 こう言ってそしてでした、実際に。
 ドロシーは携帯でオズマにアンが今どうしているのかを尋ねました、するとオズマはこうドロシーに言いました。
「今朝確認したらね」
「オズの国全体のことをよね」
「アン王女はチクタクと一緒によ」
「国を出て?」
「そう、そしてね」 
 そのうえでというのです。
「貴女達と合流しようとしてるわ」
「やっぱりそうなのね」
「チクタクを連れてね」
「一直線に来てるわね」
 アンの性格からです、ドロシーはこう察しました。
「そうね」
「そうよ、ここまでね」
「実際になのね」
「貴女達の方に向かってるわ」
「やっぱりそうなのね」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「貴女達と合流出来るかも知れないわ」
「むしろした方がいいわね」
 考えるお顔になってです、ドロシーは言いました。
「そのうえでウーガブーの国に入って」
「そしてね」
「ええ、その上でね」
「起こることに対する」
「そうしてね」
「わかったわ、じゃあアン王女の細かい動きは」
 それはというのです。
「何かあったら伝えてくれるかしら」
「わかったわ」
 すぐにです、オズマはドロシーに答えました。
「それではね」
「そうしてね」
「アン王女にもそうした方がいいわね」
 彼女の方にもです、オズマは考えを及ばさせました。
「それならね」
「そうね、お互いに位置をわかっているとね」
「余計に合流しやすいから」
「そうしてくれるかしら」
「わかったわ」
 オズマはドロシーににこりと笑って応えました。
「そうさせてもらうわ」
「それではね」
 こうしてです、オズマはアンにも連絡を取ることにしました。ドロシーはそうしたお話をオズマと携帯でお話をしてです。
 ティータイムが終わってからです、皆言うのでした。
「ではね」
「はい、出発ですね」
「そうしましょう」
 ジョージに笑顔で応えました。
「ここはね」
「わかりました」
 こうして頷いてでした、皆でです。
 一行はまた出発しました、ウーガブーの国に向けて。
 それはアンも同じで、です。ティータイムで林檎のものもちゃんとあるお菓子と今は普通のレモンティーを楽しんでからチクタクに言いました。
「出発よ」
「再びーーですね」
「ティータイムが終わったからね」
 もうテーブル掛けは鞄の中に収めています。
「それじゃあね」
「出発ーーして」
「ドロシー王女達に会いに行くわよ」 
 こう言って立ち上がるとです、ここで。
 アンのズボンのポケットから可愛い音楽が流れてきました、チクタクはその音楽を聴いてアンにすぐに言いました。
「そのーー音は」
「携帯の音よ」
「誰からーーでしょうか」
「今確かめるわね」
 こうチクタクに応えてでした、そのうえで。
 アンは携帯を取り出しました、まずはかけてきた人をチェックしますと。
「オズマ姫からだったわ」
「あの方ーーからですか」
「ええ、何かしら」
「もう何かーーあったのでは」
 ウーガブーの国にとです、チクタクは言いました。
「そうーーなら」
「もうすぐに戻らないとね」
「そうーーですね」
「ええ、けれどね」
「まずはーー電話にーー出て」
「お話を聞いてみるわ」
「それがーーいいーーですね」 
 チクタクも頷いてでした、アンはです。
 電話に出ました、するとオズマはこうアンに言ってきました。
「貴女今は国を出ているわね」
「あっ、チェックしたのね」
「ええ、毎朝オズの国のあちこちをチェックしているわね」
「貴女はね」
「それでわかったの」
 あとお昼と夕方もそうしています、今は。
「貴女がお国を出たことが」
「そうなのね」
「そう、ドロシー達に会いに行ってるわね」
「来るのを待つよりはね」
 アンにとってはです。
「その方がいいから」
「貴女らしいわね」
「そうでしょ、それでどうかしたの?」
「これから何かあれば」
 その時にというのです。
「貴女に連絡していいかしら」
「私に?」
「ドロシー達の場所をね」
「そうしてくれるの」
「彼女達にも貴女達の場所を知らせてね」
「そうしてなのね」
「合流しやすい様にしたいけれど」
 こうアンに申し出るのでした。
「どうかしら」
「あっ、それじゃあね」
 アンはオズマの提案に笑顔で応えました。
「そうしてくれるかしら」
「いいのね」
「こちらもお互いの場所がわかってるとね」
「合流しやすいでしょ」
「それだけでね」
「じゃあいいわね」
「ええ、名案ね」
 電話の向こうのオズマに笑顔で応えました。
「宜しくね」
「そういうことでね」
「そうしたやり方があるわね」
「そう、携帯の科学と鏡の魔法を使ってね」 
 そのうえでとういうのです。
「進めていくわ」
「いいやり方ね」
「科学と魔法の両方を使うと」
 オズの国にはその両方が存在します、そしてその両方を使えばというのです。
「こうしたことも出来るわ」
「それじゃあ」
「ドロシー達と合流してね」
「是非ね」
「また何かあれば電話するし」
「知らせてもくれるわね」
「そうさせてもらうわ」
 是非にとです、オズマはアンにお話しました。そのうえでまたチクタクと一緒にドロシー達の方に一直線に向かいます。
 ですがここで、です。お昼前に通りがかった村を見てです。
 アンは首を傾げさせてです、こう言いました。
「あれっ、何か」
「草がーー伸びていますーーね」
「村全体がね」
「草刈りをーーすべきでは」
「そう思ったわね、チクタクも」
「はい」
 アンの言葉にこくりと頷きました。
「これーーは」
「そうよね」
「どうもーー見ていますと」
「これはよくないわ」
 アンは眉を曇らせて言いました。
「何とかしないとね」
「そうーーですね」
「草は出来る限り刈った方がいいのよ」
「見栄えがーーいいーーですし」
「それにね」
 さらにというのです。
「そこに蛇や虫がいつかないから」
「だからーーですね」
「いいのだけれど」
「これは」
「ちょっと村の人達に聞いてみるわね」
 村の黄色い家や柵、それに草木を見て言うのでした。ウィンキーの国なので全てが黄色なのです。
「そうしてみましょう」
「それでは」
「今からね」
 こうしてです、アンはたまたま近くにいた村の人に村の草のことを尋ねました、するとその村の人はすぐに困ったお顔で答えました。
「実はこの前刈ったばかりなんです」
「この前?」
「はい、二週間前に」
「二週間前に刈った割には」
 その草の伸び方を見ますと三ヶ月放っておいた感じです。
「随分伸びているわね」
「そうですよね」
「これはおかしいわね」
「どうしてかそうなっています」
「ううん、これは」
 腕を組んで考えつつ言うアンでした。
「ちょっとないわね」
「ここ最近こうなんです」
「最近なの」
「はい、どうも」
「こうなることには原因があるわ」
 絶対にと言うアンでした。
「これはね」
「やっぱりそうですよね」
「農業の時に何かしてる?」
 アンは村の人に尋ねました。
「何か」
「それは」
 村の人はここでお話しました。
「肥料を村全体に撒いてまして」
「撒く時に?」
「はい、気球を使って」
「そうしてるの」
「それが一番広く速く撒けるので」
「ああ、それはね」 
 そのお話を聞いてです、アンはすぐに言いました。
「かえって駄目よ」
「そうなんですか」
「だってそれをやったらね」
 気球で村全体に肥料を撒くとです。
「お家にもお庭にもかかるわね」
「そして野原にもですか」
「そう、だからね」 
 そのせいでというのです。
「草も伸びてるのよ」
「野原のですか」
「オズの国の肥料は質もいいから」
 それで農作物もあっという間に成長するのです、だからオズの国の農業はいつも豊作なのです。元々何処も土地がとても肥えていますし。
「だからね」
「お庭や野原に肥料を撒くと」
「凄く成長するのよ」
「そうだったんですか」
「だから気球で撒くことはね」
「止めた方がいいですか」
「というかどうしてそんなことをしたの?」
 アンは逆に首を傾げさせて村の人に尋ねました。
「一体」
「いえ、ですから速いからです」
「気球で撒いたら」
「村長さんがそうしようって決めて」
「確かに速いけれど」
 それでもとです、アンはまた言いました。
「それはね」
「止めてですか」
「そう、ちゃんと畑にだけ撒くの」
 そうしないといけないというのです。
「自分の手で」
「それが大事なんですね」
「ちょっと村長さんに会わせてくれるかしら」
 アンは眉を少し顰めさせて村の人に言いました。
「そしてね」
「村長さんにもですか」
「このことをお話するわ」
「そうされますか」
「そしてね」 
 そのうえでというのです。
「このことを止めてもらうから」
「止めればですね」
「そう、野原の草がこんなに育つことはなくなるわ」 
 野原に肥料が撒かれることがなくなるからです。
「決してね」
「それじゃあ」
「ええ、案内してくれるかしら」
「わかりました」
「ではーー私も」
 チクタクもここで言いました。
「王女にーー同行して」
「ええ、貴方も来て」 
 アンはチクタクにも声をかけました。
「折角だからね」
「それーーでは」
「必要とあらば二人でお話しましょう」 
 村長さんにです、ですがここでチクタクはアンにこんなことを言いました。
「そのーー前に」
「どうしたの?」
「背中のネジをーー巻いてーー下さい」
 こう言うのでした。
「今ーーから」
「ああ、そろそろなのね」
「はい」 
 それでというのです。
「お願いーーします」
「わかったわ」
「あっ、チクタクさんはそうでしたね」
 村の人はオズの国の名士であるこの人のことを思い出しました。
「背中のネジを巻かないと」
「動けなくーーなります」
「そうでしたね」
「ですーーから」
 それ故にというのです。
「アン王女にーーお願いーーしました」
「そうですね」
「ではーーアン王女」
 チクタクはアンにお顔も向けて声をかけました、再び。
「お願いーーします」
「それじゃあね」
 アンも頷いてでした、そして。
 実際にです、アンはチクタクの背中のネジを撒いてでした。そうしてから村の人に村長さんのお家に案内してもらいました。
 そのうえで、です。村長さんの他のウィンキーの人達と変わらないお家の中で村長さんに村の草のことをお話しました。
 するとです、村長さんは難しいお顔になって言いました、恰幅のいいそのお顔を。
「そうですか、だからですか」
「そう、手早くやることもいいけれど」
「それが過ぎるとですね」
「こうしたことになるから」
「畑にだけですね」
「自分達でね」
 人間の手で、というのです。
「肥料を撒いた方がいいわ」
「気球で空から撒くよりも」
「気球で畑の上にだけ撒いたつもりでも」
 それでもというのです。
「風に流されてね」
「お庭や野原にですね」
「肥料が撒かれるから」
「よくないのですね」
「そうよ、だからね」
 それでというのです。
「畑に自分達でね」
「撒くべきですね」
「そうした方がいいわ」
「わかりました」
「ここはね」
 またお話したアンでした。
「そこまで広い村じゃないから」
「畑もですね」
「確かにあまりにも広い畑だとね」
 その場合はというのです。
「お空から種や肥料を撒くのがいいけれど」
「この村位ならですか」
「そう、人が撒いた方がね」
「いいのですね」
「さもないと草はすぐに成長するわよ」
 このことを言うのでした。
「今みたいに」
「そうなりたくないのなら」
「肥料は自分の手で撒くことよ」
 絶対にそうして欲しいというのです。
「いいわね」
「わかりました」
 村長さんもアンの言葉に頷きました。
「アン王女のお言葉に従います」
「それでお願いするわね、ただ」
「ただ、とは」
「貴方というか村の人達私のこと知ってるのね」
「王女のことは有名ですから」 
 だからというのです。
「ウーガブーの国の主にしてオズの国の名士のお一人ですから」
「それでなのね」
「よく知られています、とても活発な方だと」
「そうだったの」
「勿論チクタクさんもですよ」
 村長さんは一緒にいる彼にもお顔を向けてお話しました。
「有名人ですから」
「私もーーですか」
「はい」
 実際にというのです。
「オズの国で知らない人はいないです」
「私達ーーは」
「そうですから」
「そうだったのね」
「アン王女はお国の農業もいつも見ておられるので」
 それ故にというのです。
「このこともよくごご存知ですから」
「我が国は農業が盛んだからね」 
 アン自身このことを言います。
「どうしてもね」
「それで、ですね」
「私も農業についてはね」
 必然的にというのです、毎日見ているからです。それも細かいところまで。
「詳しいことは事実ね」
「そうですね」
「だからこのこともわかったし」
「そのアン王女のお言葉なら」
「聞いてくれるのね」
「やはり楽をしてはいけないということでしょうか」
「していい場合としていけない場合があって」
 それでというのです。
「こうしたことはね」
「楽をしてはいけないですね」
「さもないともっと大変なことになるから」 
 さらに忙しくなるというのです。
「草がすぐに成長してね」
「草刈りにですね」
「余計に力を使うことになるから」
「お庭のーー草むしりもーーですね」
 チクタクも言います。
「そちらーーも」
「実はそちらにも困っていました」
「やはりーーそうですか」
「はい、ですがもうこれからは」
「畑にだけ肥料を撒けばね」 
 アンはまた村長さんにお話しました。
「こうしたことはなくなるから」
「わかりました」
「気球は他にも使えるから」
 他の目的にというのです。
「そうしてね」
「はい、それでは」
「これでね」
 こうお話してでした、村長さんはアンの言葉に頷いて丁度お昼だったのでお昼御飯をご馳走してくれました。
 お昼御飯は黄色いパンに黄色いソーセージとポテトサラダ、それにコーンスープに林檎でした。林檎についてです。 
 アンはにこにことしてです、こう言いました。
「やっぱり林檎があるとね」
「王女は林檎がお好きですね」
「ええ、大好きよ」
 実際にというのです。
「だからね」
「このことはですか」
「有り難いわ」
 とても、というのです。
「私としてはね」
「林檎ジュースもあります」
 こう言って出してくれたのはやっぱり黄色いジュースでした。
「お飲み下さい」
「私の林檎好きも有名なのね」
「はい、このことも」
「そうだったのね」
「毎食林檎を召し上がられていることは」
 まさにというのです。
「有名ですから」
「そうなのね、けれどね」
「それでもですか」
「他のものも好きだから」
 林檎以外もというのです。
「楽しみよ」
「では」
「うん、それじゃあ」
 こうしたことをお話してです、アンは黄色いウィンキーのお料理を楽しみました。そして満足して村を後にすることになりますが。 
 村長さんは村を出るアンとチクタクに言いました。
「今から草を刈りまして」
「そしてよね」
「もう肥料は畑にだけ撒きます」
「そうしてね」
「さもないとですね」
「またこうしたことになるから」
 草が育って仕方なくなるというのです。
「だから気をつけてね」
「そうさせてもらいます」
 村長さんも頷いてでした、そのうえで。
 アンとチクタクは村を後にして道を進みます、ですが。
 途中に山道があってそこを進んでチクタクは言いました。
「困りますーーね」
「こうした道は苦手なの?」
「はい」
 そうだと答えるチクタクでした。
「どうにも」
「そういえば貴方は」
 アンはここでチクタクを見て言いました。
「足がね」
「細いーーですね」
「しかも胴体が大きいから」
「こうした道はーーです」
 不安定な山道はというのです。
「苦手ーーです」
「こけそう?」
「心配ーーです」 
 こけるかどうか、というのです。
「どうーーにも」
「実際になのね」
「そうーーです。ですから」 
 そのせいでというのです。
「気をつけてーー歩いてーーいます」
「それがいいわね」
「それとーーです」
 さらに言うチクタクでした。
「普段以上にーーです」
「エネルギー使ってるの?」
「気をつけてーー歩く分」
 それだけというのです。
「頭もーー身体も」
「じゃあその分ネジも巻かないといけないわね」
「その通りーーです」
「何かと大変ね、貴方も」
「こうしたーー場所は」
 山道はというのです。
「苦手ーーです」
「そうね、けれどね」
「それでもーーですか」
「この道はね」
「どうしてもーーですね」
「通らないといけないから」
 そうした道だからというのです。
「我慢してね」
「わかりーーました」
「若し動けなくなるのなら」
 その場合はというのです。
「私がネジ巻くから」
「すいまーーせん」
「こうしたことは当然のことよ」
「当然ーーですか」
「そうよ、だってお友達だし」
 それにというのです。
「一緒に旅をしてるのなら」
「それならーーですか」
「当然よ」
 にこりと笑って言うのでした。
「だから安心してね」
「当然のことーーとですね」
「思っておいてね、それと」
 さらにお話するアンでした。
「この山道を越えたらね」
「その時はーーですか」
「多分いい時間になるから」
 だからというのです。
「晩御飯を食べて」
「休憩ーーですね」
「そうなると思うわ」
「そしてーーですね」
 さらに言うアンでした。
「明日の朝ーーですね」
「またね」
「朝御飯をーー食べて」
「出発よ」
 そうなるというのです、そしてです。
 二人で山を進んでいきます、チクタクは確かに山道を苦労して進んでいきますがその中においてでした。
 足元が何度もふらふらしましたがその都度立ち止まってバランスを取って進みます。そのチクタクを見てです。
 アンは彼の横からです、こう言うのでした。
「慎重に進んで」
「そうーーすれば」
「こけないし」
「こけそうにーーなれば」
「立ち止まってね」
 そしてというのです。
「バランスを取ればね」
「いいーーですね」
「慎重によ」
 ふらふらしないように、ふらふらしてもというのです。
「そうしていきましょう」
「わかりーーました」
「そうね、こうした山道は」
 アンにとってはといいますと。
「私は普通だけれどね」
「ウーガブーのーー国では」
「山に囲まれてる国だから」
 だからというのです。
「普通よ」
「そうなのーーですね」
「けれどそこも人それぞれね」
 納得して言うアンでした。
「私も貴方も」
「そうなりますーーね」
「そうね、じゃあ」
「私はーー足元をーー気をつけて」
「そうして進んでいきましょう」
 この山道をです、そうしたお話をしながらです。二人で山道を進んでそしてでした。山道を出るといい時間なので。
 お食事を摂って近くの湖で身体と髪を洗ってアンは寝ました、そのうえで出発です。
 ドロシー達も同じく夜は休んで朝早く起きて朝御飯を食べるのでした、この日の朝御飯は中国の餅ですが。
「お餅はお餅でもね」
「お米のお餅じゃないんだよね」
「そうなの」
 ドロシーはその焼いた餅を食べながらトトに応えます。
「小麦粉を練って焼いたものよ」
「パンと同じだね」
「そうね」
「中国のパンと言ってもいい食べものって多いのよね」
 中国人の神宝も見ながらお話します。
「包とかお饅頭とか」
「はい、そういうのもですね」
 その神宝が笑顔で応えます。
「欧州とかではパンになりますね」
「そうですよね」
「お饅頭はピロシキね」
 ナターシャはお国の食べもののことから言いました。
「言うなら」
「包は蒸かしたパンだね」
 カルロスも言います。
「言うなら」
「餅は焼いたパンね」
 恵梨香はお箸でそれをお皿に取って食べています、恵梨香にとってもとても美味しいものです。
「そうなるわね」
「そうそう、パンケーキに近いかな」
 ジョージはこう言うのでした。
「お菓子じゃないけれど」
「パンケーキも焼くわね」
 ドロシーはジョージにも応えました。
「それなら近いかしらね」
「お好み焼きかも知れないですが」
 ジョージはパンケーキについて日本のお料理も比較として出しました。
「パンケーキも焼きますね」
「そうよね」
「餅も焼いて」
「こちらもね」
「そうですよね」
「何かそうしたところがね」
「似てますね」
 ジョージは言いました。
「何処か」
「そうなのよね」
「僕最初この餅はチャイナタウンで食べました」
 アメリカにあるそこで、です。
「こんなのもあるんだって思いました」
「実際に食べてみてよね」
「はい、それから結構食べています」
 他の中華料理と一緒にです。
「美味しいですよね」
「こうしてね」
「何かね」
 トトもはふはふしながら餅を食べています。
「食べやすいんだよね」
「朝もね」
「だからいいんだよね」
「それで今朝はこれにしたの」
 実際にとです、ドロシーは自分のお隣にいるカンサス以来のお友達にお話しました。
「餅にってね」
「そうなんだね」
「そう、お茶もね」
 それもというのです。
「用意してるし」
「中国茶だね」
「これもね」
 ドロシーはそのお茶についても笑顔でお話しました。
「いいのよね」
「朝にもね」
「だからね」
「こうして出して」
「飲みましょうね」
 実際にです、ドロシーはお茶も飲んで言いました。
「朝のお茶もね」
「いいよね」
「元気が出るわ」
「僕もね」
 トトにしてもというのです。
「お茶を飲むとね」
「元気が出るわね」
「うん、不思議な位にね」
「それは身体にいいからよ」
 だからというのです。
「お茶はね」
「だから飲むと元気が出るんだね」
「しかも目を覚ますものも入っているから」
「それもあるからなんだ」
「そう、元気が出るから」
「飲むといいんだね」
「そうよ、では飲みましょう」
 こうお話してです、そしてなのでした。
 ドロシーは餅とお茶を飲んでなのでした、そのうえで。
 皆にです、テーブル掛けを収めてから言いました。
「ではね」
「出発ですね」
「そうよ」
 笑顔で大尉に応えます。
「それじゃあ行きましょう」
「さて、道中何があるかわかりませんが」
 大尉はすくっと立って笑顔で言うのでした。
「皆がいれば何とでもなりますよ」
「いざって時は大尉さんがおられますからね」
 ジョージが大尉で笑顔で声をかけました。
「サーベルを持っておられて」
「これで戦うからね」
「そうですよね」
「実際サーベルの腕には自信があるよ」
 大尉にしてもです。
「だから任せてね」
「はい、いざという時は」
「君達の為に戦うよ」
 このことを約束するのでした。
「ですから安心してね」
「大尉さんのサーベルはオズの国一って聞いてます」
 神宝は大尉がオズの国一の剣術使いという評判から言うのでした。実際に大尉はサーベルについてはオズの国で並ぶ人がいないまでの腕前です。
「宜しくお願いします」
「何かありましたら」
 カルロスも大尉に言います。
「宜しくお願いしますね」
「じゃあ皆で出発しましょう」
 ナターシャも大尉を見ています。
「大尉さんも」
「大尉さんと一緒に旅をするのははじめてですが」
 それでもとです、最後に恵梨香が言いました。
「他の方の時と一緒で凄く楽しいですね」
「そう言ってくれると僕も嬉しいよ」 
 大尉は五人の子供達の言葉ににこにことして返しました。
「じゃあ朝から笑顔でね」
「はい、出発しましょう」
「今日も」
 こうお話してでした、ドロシー達も出発します。ウーガブーの国に向かって。



オズマのお蔭ですれ違う事はなくなったみたいだな。
美姫 「確かにね。魔法と科学を使って」
いや、便利だな。
美姫 「後は合流してどうするかよね」
だな。まだ何が起こるのかは分からないし。
美姫 「どうなるのか、次回も待っていますね」
待っています。



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