『新オズの腹ペコタイガー』




                 第三幕  カレーライスのお話

 オズマ姫はこの日です、お仕事の後でジュリア=ジャムにこうしたことを言いました。
「魔法使いさんはまだなのね」
「はい、あの人は今はクルマーの国に行っておられて」
「あちらでお仕事中ね」
「少しおられないです」
「そうね、かかしさん木樵さんはウィンキーにいて」
「ジャックさんもですね」
「今は宮殿にいないわね」
 ジュリアとお話をしながらオズの国の用心達の今現在の居場所を確かめるのでした。
「そうね」
「ムシノスケ教授は大学におられます」
「それでいないわね」
「はい」
「モジャボロさんは今日も弟さんのところね」
「そちらです」
「そう思うと」
 ここまで聞いてです、オズマは言いました。
「今宮殿には人があまりいないわね」
「ベッツイさんとキャプテン=ビルさんはリンキティンク王の国におられて」
「確かに普段より少ないですね」
「何かあったら」
 その時はとです、オズマはジュリアにこうも言いました。
「私と貴女でね」
「留守を守るんですね」
「そうしましょう、ボームさんもおられるし」
「三人で、ですね」
「そうしましょうね、それと」
「それと?」
「つぎはぎ娘とガラスの猫は」
 この二人のこともです、オズマはジュリアに尋ねました。
「ギリキンの国に行って」
「二人はそのギリキンに遊びに行っていまして」
「今日帰って来るのよね」
「どうやら道草を楽しんでいるみたいです」
「あの娘達らしいわね」
「どうも気まぐれですから」
「ええ、そうね」
 オズマは二人のことは少し苦笑いをして答えました。
「だからなのね」
「道草を楽しんでおられます」
「そうね、じゃあ」
「それならですね」
「今はね」
「このままですね」
「そうしましょう、じゃあ今日のお仕事は終わったし」
 このことも喜んでです、オズマがジュリアにまた言うことはといいますと。
「これからドロシーと一緒に遊ぶわ」
「そうされますね」
「そして御飯も食べて」
「今日のお昼は何にされますか?」
「そうね、スパゲティかしら」
 少し考えてからです、オズマは答えました。
「それがいいかしら」
「パスタですか」
「ええ、イカ墨のね」
「その他には」
「サラダね」
 これもと言うのでした。
「それと羊のお肉を焼いたものを」
「それとパンですね」
「これでどうかしら」
「デザートは」
「無花果ね」
 この果物だというのです。
「それにするわ」
「ではその様に」
「そうそう、サラダだけれど」
 サラダについてです、オズマはさらに注文しました。
「レタスと胡瓜、プチトマトとセロリそれにキャロットのね」
「そのサラダですね」
「それがいいわ」
「わかりました、それではサラダはそれで」
「お願いするわね」
 こうしてです、オズマがお昼のメニューを決めてでした。皆はそのお昼御飯も食べました。そしてそこでなのでした。
 ふとです、腹ペコタイガーがこんなことを言いました。
「このスパゲティも羊のお肉もサラダも美味しいけれど」
「どうかしたの?」
「うん、最近の僕はね」
 どうかというのです。
「何かこう毎日一回はカレーを食べたいね」
「そうした気分なの」
「そうなんだ」
 こう恵梨香にもお話します。
「最近はね」
「そうなのね」
「カレーは元から好きだけれど」
「最近は特になの」
「うん、もう本当に一日一回は食べないとね」
 そのカレーをというのです。
「駄目になってるんだ」
「そういえば貴方最近よくカレー食べてるわね」
 トロットはスパゲティを食べつつ腹ペコタイガーに言いました。
「テーブル掛けから出して食べる時も」
「リクエストはそれだね」
「ええ、カレー多いわね」
「アメリカでもカレーは食べるけれど」
 ジョージはサラダをフォークで食べつつお話します、オニオンドレッシングをたっぷりとかけたそれをです。
「パンが主食だからね」
「そうらしいね、中国でもそんなに食べないよ」 
 神宝はフォークとナイフで羊肉を食べています。
「御飯は食べても」
「というか日本人が物凄く食べるんだよね」
 カルロスが言うにはです、彼もスパゲティを楽しんでいます。
「インド人は別格にしてね」
「インドのカレーと日本のカレーはまた違うわよ」
 ナターシャはパンにジャムを塗っています。
「インドのカレーはカリーっていってね」
「今のアメリカにはインド系の人もいるから」
 恵梨香は考えるお顔で言います。
「それでオズの国にもカレーがあるのかしら」
「いえ、また違うわよ」
 トロットは恵梨香にこう言いました。
「オズの国の。腹ペコタイガーが好きなカレーはね」
「そうなんですか」
「ええ、インドのカリーじゃなくて」
 そうではなく、というのです。
「日本のカレーよ」
「私の国の」
「そうよ、多分日系人の人から入った」
「そのカレーですか」
「そうみたいね」
「そうだね、僕が今はまっているカレーはね」
 腹ペコタイガー自身も言います、イカ墨で真っ黒になっていてオリーブとガーリックも効いているとても美味しいスパゲティを大きなお口ですすりながら。
「ルーがとろりとした感じの」
「日本のカレーなの」
「ビーフカレー、ポークカレー、チキンカレーに」
 腹ペコタイガーはカレーの種類も挙げていきます。
「ソーセージやハンバーグのカレーも好きだよ、あとカツカレーもね」
「カツカレーは日本のものね」 
 ナターシャは冷静に言いました。
「そうだったわね」
「インドにはないの」
「ないのよ、これが」
 恵梨香にも言うのでした。
「日本で生まれたものよ」
「そうだったの」
「そうよ、何でも日本のプロ野球選手が洋食が好きで」
 洋食も日本のお料理です、少なくとも恵梨香以外の四人はそう考えています。
「それでカレーとカツを一度に食べる」
「その為になの」
「カツカレーを考え出したのよ」
「インド人が考えたのじゃないのね」
「そもそもビーフカレーはインドにないでしょ」
「インドの人が牛肉を食べないから」
「そう、だからよ」
「そうそう、オズの国のインド系の人もね」
 トロットも恵梨香にお話します。
「大抵の人は牛肉を絶対に食べないのよ」
「オズの国でもですか」
「だから私もナターシャのお話がわかるわ」
 カレーについてのそれがというのです。
「ビーフカレーとかは日本のカレーよ」
「じゃあ腹ペコタイガーさんの好きなカレーは」
「ええ、日本のカレーね」
「そうなんですね」
「ううん、そうなるのかな」
 腹ペコタイガー自身も言います。
「僕はカレーはインドのものって思っていたけれど」
「私もだけれど」
「僕の好きなカレーは日本のカレーなんだね」
「そうなのね」
「日系人の人が日本から持ち込んだ」
「何かそう聞くと」
 恵梨香は皆の言葉を聞いて言いました。
「不思議な気持ちね」
「インドのお料理と思っていたからだね、カレーが」
「ええ」
 その通りとです、腹ペコタイガーにも答えます。
「それが、だから」
「そうだね、けれどね」
「実際にそうだから」
「僕も今までそう思ってたよ、カレーはインド料理だってね」
「けれどそれはカリーで」
「僕が好きなのはカレーライスなんだね」
 日本の、です。
「そうなんだね」
「みたいね、だからビーフカレーも食べるのね」
「ビーフカレー好きよね、タイガーさんも」
「大好きだよ」
 実際にとです、腹ペコタイガーは答えました。
「どのカレーもだけれど」
「ビーフカレーも」
「好きだよ、甘口も辛口もね」
「味はどちらでもいいのね」
「中辛も好きだよ」
「カレーのその分け方もよ」
 甘口や辛口もとです、トロットは恵梨香にお話します。
「日本だけみたいよ」
「インドのカリーにはないんですね」
「カリーにもそれぞれの味がああるけれど」
「日本みたいな分け方ではないんですね」
「そうなのよ」
「ううん、本当にびっくりです」
 恵梨香は腕を組んでしみじみとした口調になっていました、そのうえでトロットに対してあらためて言います。
「日本のお料理なんですね、カレーは」
「洋食の中でね」
「そうなんですね」
「けれど好きよね」
「大好きなことは確かです」
 恵梨香もです。
「そのことは」
「そうよね、けれどね」
「それはあくまでカレーライスですね」
「そうなのよ、カリーじゃないのよ」
 そこが違うというのです。
「私も最近になってわかったわ」
「カレーとカリーの違いですね」
「そのことがね」
「そうですか、じゃあ私はカレーライスを」
 そちらをというのです。
「今度頂きます」
「カリーじゃなくて」
「はい、カレーライスを」
 こう言うのでした、ですが恵梨香はトロットにこうも言いました。
「ですが私カリーもです」
「インドのね」
「そっちは食べたことがないですが」
「それでもなのね」
「はい、食べたいです」
 こう言うのでした。
「また機会があれば」
「じゃあ今晩どうかしら」
「今晩ですか」
「こちらはこちらで美味しいから」
「だからですか」
「ええ、食べてみればいいわ」
「それじゃあ」
 恵梨香もトロットの言葉に頷きます、そうしたお話をしながら今はお昼御飯を食べました。そうしてでした。
 午後はこの日は皆でお部屋の中でゲームをしました、男の子達はチクタクやモジャボロと一緒にバスケットボールのゲームをしてです。
 恵梨香とナターシャはドロシー、トロットと一緒にドロシーのお部屋で学園を舞台にした推理ゲームをしていました、その中でです。
 恵梨香はふとです、こんなことを言いました。
「ううん、カリーね」
「さっきのお話ね」
 メインでゲームをしえいるドロシーが恵梨香に応えます。
「トロットとお話していた」
「はい、インドの」
「どうした感じか食べてみたいのね」
「そうなんです」
「じゃあ今晩食べてみる?」
「そうさせてもらいます」
 是非にとです、恵梨香はドロシーにも答えました。
「どんな感じなのか」
「そうさせてもらいます」
「それじゃあ」
「インドですか」
「そういえば貴女達の中にインド人はいないわね」
「お友達にはいますけれど」 
 それでもというのです。
「五人の中にはいないですね」
「そうよね」
「私が日本人でして」
「私がロシア人で」
 ナターシャも言います。
「それで、後の三人はね」
「ジョージ達はね」
「それぞれアメリカ、中国、ブラジルで」
「インド人はいないわよね」
「そうよね」 
 こうお話するのでした。
「五人の中にはね」
「インドは確か」
 トロットはそのインドのお話をします。
「ボームさんがお話してくれたけれど」
「はい、暑い国でして」
「カリーの国です」
「象がいてね」
「ライオンや虎もいますよ」
「臆病ライオンさんや腹ペコタイガーさんのお友達もよね」
「います」  
 そうだというのです。
「他には豹もいます」
「色々な生きものがいるわね」
「凄く大きな。ガンジス河って河もありまして映画だと皆踊るんです」
「ミュージカルかしら」
「そんな感じです」 
 実際にと答えた恵梨香でした。
「そんな映画もあります」
「何か面白い国みたいね」
「よくわからないところがありますけれど」
 それでもとです、恵梨香はトロットにお話します。
「確かにそうです」
「面白い国なのね」
「はい、インドは」
「実は私カリーのことは知っていてもね」
 それでもというのです。
「それでもね」
「インドのことはですか」
「あまりこれといって知らないのよ」
「オズの国にインド系の人がいても」
「それでもね」
「そうですか」
「そう、あまりね」 
 どうにもというのです。
「インド系の人は少ないから」
「そうなんですか」
「確かにオズの国はアメリカが反映される国よ」
「世界中から移民が来るんですよね、アメリカは」
「だからいろいろな人がいるけれど」
 それでもとです、彼はお話します。
「アフリカ系、ヒスパニック系の人に」
「アジア系の人もいますね」
「ええ、インド系もアジア系に入るけれど」
「アジア系の中でもですか」
「インド系の人はあまり多くないのよ」
「アメリカ自体に」
「そうなの」
 アメリカのこともです、トロットは恵梨香にお話しました。
「その辺りジョージにもお話してみればわかるわ」
「インド系の人は少ないんですね」
「そうなの」
「それでカリーもですね」
「知っていても実はね」
「召し上がられたことはないですか」
「あまりね」
 食べたことはあるにしても、というのです。
「むしろカレーライスの方が多いわ」
「日本のですね」
「そうなの、どうにもね」
「そうですか」
「ええ、じゃあ今晩は私もね」
 トロットもというのでした。
「カリーを食べてみるわ」
「そうされますか」
「実はビーフカレーが好きだけれど、私」
「インドにはないですね」
「そう、本当にインド系の人は牛肉は食べないから」
 このことは絶対というのです、大抵ではあっても。
「カリーだとまずないわね」
「そうですね、インドですと」
「鶏肉が主っていうし」
「じゃあチキンカレーみたいな感じですか」
「そうじゃないかしら」
「そうなんですね。あと」
 ここで、です。恵梨香はこうしたことも言いました。
「カレーっていったら御飯ですけれど」
「パンに付けるよりもね」
「その御飯、お米が違いますね」
「日本とは?」
「はい、オズの国のお米は」
「カルフォルニア米ね」
 ドロシーがここで言ってきました。
「それは」
「そこのお米ですか」
「ええ、日本のお米と他の国のお米は大抵違うことは知ってるわね」
「はい、皆から言われます」
 外国から来た人達にです。
「日本のお米とは違うって」
「そうよね、それはアメリカも同じで」
「何かインディカ米っていうんですよね」
「そう、日本以外の国のお米ではね」
「日本のお米だけが違う感じでしたね」
「日本のお米はジャポニカ米ね」
 この種類のお米だというのです。
「その種類で」
「そうですね、日本人のお米で」
「また違っているから」
「それでカレーにしても」
「御飯が違うのよ」
「テーブル掛けで出した時は」
 恵梨香本人がです。
「ジャポニカ米ですけれど」
「恵梨香の好みで出しているからね」
「お料理の時はオズの国のお米を使うからですね」
「インディカ米なのよ」
「そうなりますね」
「そうなの、アメリカで作られているお米はインディカ米だから」
「オズの国のお米もインディカ米ですね」
 恵梨香もその辺りの事情がわかりました。
「そうなるんですね」
「そうなの」
「わかりました、そういうことですね」
「ええ、その辺りのこともわかってくれたかしら」
「はい」
 恵梨香はドロシーに確かな声で答えました。
「これで」
「そういうことよ」
「お米にも違いがあることは」 
 ナターシャが言うにはです。
「私知らなかったわ」
「ロシアではお米が採れないから」
「そうなの」
 それで、というのです。
「私その違いは知らなかったわ」
「お米がないのよね」
「寒いから採れないの」
「そうよね」
「それがね」
 またお話するのでした。
「わからなかったの」
「そうなのね」
「前にも言ったけれどお米食べたのは日本に来てからよ」
「それからだから」
「勿論お握りなんてね」
 日本人が皆好きな食べものです。
「はじめて見たわ」
「お握りも」
「ああいうのがあるってね」
「じゃあお寿司もよね」
「お寿司屋さんは高級レストランよ、それも最高級のね」 
 そこまでというのです。
「お米自体がないから」
「だから」
「そうなのね」
「日本でも確かにお寿司は高いけれど」
「ロシアはその比じゃないの」
 そこまでというのです。
「もうね」
「そうなの」
「日本では回転寿司があるでしょ」
「あれもなのね」
「ないわよ」
 本当にというのです。
「そこはね」
「そうなのね」
「そう、だから」
 それで、というのです。
「私回転寿司大好きなの」
「お寿司が好きなだけ食べられるから」
「それこそね」
「まあお寿司だったら」
 ここで言ったのはトロットでした。
「オズの国では普通に食べられるから」
「だからですね」
「ナターシャも好きなだけ食べてね」
「そうさせてもらいます」
「ただ、お米はインディカ米よ」
 テーブル掛けから出す時以外はというのです。
「そのことはわかっておいてね」
「はい、わかりました」
「日本のお料理だから日本のお米が一番合うと思うけれど」
「オズの国だからですね」
「お米はそうよ」
 インディカ米を使っているというのです。
「そうなっているわ」
「そうですか」
「ええ、それでナターシャもよね」
「今度頂きます」
 微笑んで、です。ナターシャはドオシーに答えました。
「お寿司よ」
「そういうことでね」
「お寿司もお握りも大好きです」
 微笑んで、でした。恵梨香が言いました。
「どちらも」
「恵梨香はお米自体が大好きよね」
「そうなんですl、カレーライスもハヤシライスも好きで」
「丼ものもよね」
「そちらも好きです」
「本当に好きよね」
「そうです、それと」
 またお話するのでした。
「パエリアも好きです」
「スペイン料理の」
「実は一日一介お米の御飯を食べないと」
 それこそとも言う恵梨香でした。
「気が済まないです」
「そうなんですね」
「そうです、お粥も雑炊も好きですし」
「日本人らしいわね」
 しみじみとしてです、ドロシーはトロットにも応えました。
「お米が第一なのは」
「そう言われます、学校でも」
「パンは嫌いでなくても」
「まずお米です」
 恵梨香自身こう答えます。
「本当に一日一回食べないと」
「気が済まないのね」
「勿論毎食でもいいです」
「本当に好きなのね」
 ドロシーもお話を聞いて笑顔で返しました。
「じゃあオズの国でもどんどん食べてね」
「そうしていいですか」
「遠慮はいらないわ、だからね」
「そうさせてもらいます、じゃあ」
 恵梨香はドロシーのその言葉に頷きました、そしてでした。
 皆でゲームも楽しみました、そうして午後も楽しんで。
 それからです、晩御飯は。
 カリーでした、恵梨香はお皿の上で細長いお米達の上にかけられているそのカリーのルーを見て言いました。
「カレーと、ですね」
「殆ど変わらないわね」
 トロットがその恵梨香に応えます。
「見た限りでは」
「そうですね」
「匂いもね」
「はい、こちらも」
「同じ感じね」
「けれど細かいところが」
 恵梨香はカリーをじっと見てその匂いも感じながら言います。
「また違いますね」
「そこがね、それと本当はインドではカリーは手の指で取って食べるけれど」
「それは、ですね」
「スプーンを用意してるわ」
 そちらはというのです。
「だからね」
「はい、それを使って」
「食べてもいいわ」
「わかりました、やっぱり私はカリーでも」
 カレーの様にというのです。
「手で食べるよりは」
「スプーンね」
「そちらの方がいいです」
「それは慣れね」
「そうですね、インドではそうですけれど」
「日本ではね」 
 そして他の国でもです。
「そもそも手では食べないから」
「サンドイッチやお饅頭は別として」
「お握りやお寿司もね」
「ですがカレーは」 
 カリーでもです、こうしたお料理はです。
「スプーンで食べますから」
「貴女達のお国ではね」
「オズの国でもそうですね」
「そう、だからね」 
「こうしてスプーンを使って」
「食べましょう、別に手で食べてもいいけれど」
 インド本来のカリーの食べ方で、です。
「スプーンは用意しておくわ」
「わかりました、じゃあスプーンを使わせて頂きます」
「そういうことでね」
「とてもいい匂いがするね」
 腹ペコタイガーはカリーの匂いを嗅いでにこにことしています。
「色々なスパイスが入っていて」
「何十種類ものスパイスをミックスさせてるね」
 トトはそのお鼻で匂いを嗅ぎながら言いました。
「かなり凝った作り方だね」
「そうなの、実はね」
 ジュリアはそのトトに答えます。
「シェフの人が凝って作ったルーなの」
「やっぱりそうなんだね」
「御飯の炊き方もインド風でね」
「全部インドにしたんだね」
「それがこのカリーよ」
「そうなんだね、それにしても」
 トトも言います。
「このカリー凄くいい匂いだね」
「僕の言う通りだね」
「うん」 
 その通りとです、トトは腹ペコタイガーに答えました。
「色々なスパイスの香りがミックスされていてね」
「カレーとはまた違うね」
「これがカリーの匂いなんだね」
「ええ、匂いは似ているけれど」 
 ビーナも言います。
「また違うものね」
「カレーとカリーはそこまで違うのね」
 ドロシーも言います。
「そうなのね」
「あまり大して違わないよ」
 トトがドロシーにお話します。
「やっぱりカリーがカレーの基だからね」
「だからなのね」
「うん、あまり違わないけれど」
「違ってはいるのね」
「そうだよ、似ているけれど違うんだ」
「そういうことね」
「では皆で食べましょう」
 オズマが微笑んで言いました。
「これからね」
「ええ、それじゃあね」
 ドロシーが応えてでした、そのうえで。
 皆でそのカリーを食べました、恵梨香は一口食べてから言いました。
「これは」
「美味しいね」
「カリーはカリーでね」
 ジョージと神宝が恵梨香に応えます。
「独特の味がして」
「かなりいけるよ」
「この辛さがいいね」
 カルロスはカリーの辛さについて指摘しました。
「一気にきてすぐに消えて」
「食欲をそそるわね」 
 ナターシャも微笑んで述べます。
「これはいいものね」
「そうね、確かにカレーと似ているけれど違ってて」
 恵梨香はもう一口食べてから言いました。
「これもいいわね」
「ええ、これならね」
 トロットも恵梨香に応えます。
「カレーと同じだけ食べられるわ」
「そうですね」
「デザートはね」  
 オズマはデザートのこともお話しました。
「パイナップルよ」
「あっ、パイナップルですか」
「合うかしら」
「そうですね、この辛さには」
 恵梨香はカリーのその辛さを味わいながら答えました。
「合うと思います」
「パイナップルがね」
「そして飲みものは紅茶ですね」
「そうね、紅茶がいいわね」
「元々インドは紅茶の国ですから」
「それもミルクティーね」
「オズの国ではレモンティーが多いですね」
 恵梨香は紅茶からオズマにこのことを言いました。
「そうですよね」
「ええ、アメリカがレモンティーが主流だから」
「紅茶はですね」
「オズの国でもなのよ」
 アメリカが魔法が加わったうえで反映される国だからです。
「紅茶はレモンティーが主流なの」
「そうですよね」
「ミルクティーもあるけれど」
「主流ではないですね」
「私も紅茶はレモンティーをよく飲むわ」
 コーヒー以外にはです。
「そちらを飲むわ」
「そうですか、やっぱり」
「けれど恵梨香はどちらも飲むわね」
「はい、日本ではどちらもです」 
 それこそという返事でした。
「飲みますので」
「その時々で好きな方をなのね」
「飲みます、ストレートティーもですし」
「そうよね」
「ロシアンティーも飲みます」
「ジャムを舐めながらね」 
 ロシアンティーと聞いてです、ナターシャはカリーを食べつつ微笑んで応えました。
「飲むわね」
「ロシアンティーは煎れ方も違うけれど」
「イギリスやインドの紅茶とは」
「それもまたよくて」
「そうでしょ、ロシアンティーは美味しいわ」
 ナターシャは微笑んだまま恵梨香に応えました。
「とてもね」
「僕は紅茶だとレモンティーだね」
 アメリカ人のジョージは何といってもこちらです。
「ミルクティーは殆ど飲まないね」
「そういえばそうね、ジョージは」
「アメリカにいた時からそうで」
「日本でもそうで」
「オズの国にいる時でもね」
 レモンティー派なのです、ジョージは。
「他のお茶も嫌いじゃないけれどね」
「僕は紅茶だとストレートだね」
 神宝はこちらでした。
「ミルクとかレモンは入れないで」
「そのままなのね」
「お茶の味そのものを楽しむんだ」
「それが神宝の飲み方ね」
「紅茶のね」
「僕は紅茶はあまり飲まないね」
 最後にカルロスが言います。
「何といってもコーヒーだね」
「皆もコーヒー飲むけれど」
「僕は皆よりも好きだね」
 コーヒーがというのです。
「だから紅茶を飲むよりも」
「コーヒー派なのね」
「かなりね、ただ紅茶は嫌いじゃないし」
 それに、というのです。
「何でも飲むよ」
「ミルクティーもレモンティーも」
「ストレートティーもね」
 まさにどれもというのです。
「恵梨香と一緒でね」
「そうなのね」
「まあ恵梨香は紅茶以外のお茶も飲むよね」
「麦茶とか緑茶とか」
「うん、何でもね」
「私お茶好きだから」
 だからと答えた恵梨香でした。
「それでなの」
「色々な種類のお茶を飲むんだね」
「そうなの」
「成程ね、じゃあこのカリーと一緒に」
「紅茶も頂くわ」
「ミルクティーをだね」
「このカリーにはミルクティーよ」
 これが一番というのです。
「そう思うわ」
「コーヒーじゃなくて」
「私はそう感じたわ」
「確かにレモンティーよりもミルクティーかな」」
「このカリーにはね」
 ジョージと神宝も言います。
「そっちの方が合いそうだね」
「そんな感じだね」
「じゃあ僕もそっちにしようかな」
「僕もね」
「ミルクティーでいこうかな」
「そちらでね」
「確かにそうね」
 ナターシャも言います。
「ロシアンティーよりもミルクティーね」
「ううん、僕はコーヒーでいこうかな」
 カルロスは今もそちらでした。
「そちらでね」
「何を飲んでもいいわよ」
 オズマは微笑んで五人に言いました。
「飲みものはね」
「紅茶でもコーヒーでもですか」
「どちらでも」
「好きなのを飲んで」
 そうしていいというのです。
「自分に合う様に飲めばいいわ」
「じゃあ僕はコーヒーにします」
 カルロスはオズマの言葉を聞いてあらためて言いました。
「それで」
「それじゃあね」
「はい、じゃあ」 
 こうしたことをお話しました、そしてです。
 皆でカリーも食べてです、そのうえで。
 それぞれの飲みものも飲んでデザートのパイナップルも食べてでした。皆お腹一杯になりました。その後で。
 恵梨香はお部屋に戻ってです、ソファーに座って皆に言いました。
「カリーも美味しかったわね」
「うん、とてもね」
「よかったね」
「いい辛さでね」
「御飯とも合ってて」
「確かにカレーライスとはまた違うけれど」
 それでもとです、また言った恵梨香でした。
「カリーもね」
「あれはあれでね」
「食べやすかったし」
「何杯も食べられる様なので」
「パイナップルとも合っていたわ」
「ええ、また食べたくなったわ」
 微笑んで、です。恵梨香も言います。
 その恵梨香にです、臆病ライオンが言ってきました。
「腹ペコタイガー君はお昼寝に行ったけれどね」
「あの人もかなり食べていたわね」
「うん、食べてね」
 まさにそうしてというのです。
「満足してるよ」
「そうよね」
「彼はあれで味も楽しむから」
 満腹感を楽しむだけでなく、です。
「満足しているよ」
「そちらでもなのね」
「実際にそう言ってたよ、それでね」
「満足していて」
「お昼寝に行ったんだ」
「美味しいカリーをお腹一杯食べて」
「そうなんだ、それは僕も一緒で」
 それで、というのです。
「これからお昼寝するよ」
「そうなの、ライオンさんも」
「君達もどうかな。遊ぶこともいいけれど」
「お昼寝も」
「またいいものだよ」
 そうだというのです。
「だからどうかな」
「お昼寝っていうけれど」
 ここで恵梨香が言うことはといいますと。
「もう夜だから」
「あっ、お昼寝というか」
「早いお休みになるんじゃ」
「それもそうだね」
「だから腹ペコタイガーさんも」
「お昼寝じゃなくて」
「お風呂に入って」
 寝る前にです。
「そしてお口の中も奇麗にしてね」
「寝るべきだね」
「それがいいと思うけれど」
「そうだね、確かにね」
 臆病ライオンは恵梨香のその言葉に頷きました。
「じゃあちょっと彼のところに行ってね」
「寝る前にね」
「お風呂に入る様に言うよ」
「それで奇麗にしてからね」
「寝たらいいね」
「私達もこれからね」
 その恵梨香達もというのです。
「寝るけれど」
「その前にお風呂に入るんだね」
「ええ、そうするわ」
「そうなんだね、けれどね」
「けれど?」
「皆昔に比べてかなりお風呂が好きになったね」 
 臆病ライオンはこのことに気付きました。
「ドロシーにしてもね」
「そういえばドロシーさんは昔からお風呂が好きだったけれど」
「冒険の間は水浴びをする位でね」
「そんなに入ってなかったわね」
「うん、オズの国はいつも暖かいから何時でも水浴びは出来るけれど」
「それでもよね」
「ドロシーは昔よりも奇麗好きになったよ」
 はじめてオズの国に来て臆病ライオンと会った時よりもです。
「一日二回入ることもあったりする様になったし」
「それも時代の変化かしら」
「そうかもね、皆昔は今よりお風呂入ることもなかったし」
「どの国でもね」
「そこも変わったね」
「そうよね」
「けれどいいことだと思うよ」
 皆が毎日お風呂に入ることはとです、臆病ライオンは微笑んで言いました。
「奇麗なことはいいことだから」
「ええ、誰でもね」
「僕もお風呂に入ってこの鬣を整えて」
 臆病ライオンにとっては自慢の鬣です、彼はいつもこの鬣をお風呂の後ブラッシングしてもらって整えてもらっているのです。
「奇麗にしたいからね」
「ライオンさんその鬣お気に入りよね」
「タイガー君の模様と同じでね」
「あの黒と黄色の縦縞の」
「僕のこの鬣もなんだ」
 臆病ライオンはにこにことして恵梨香にお話します。
「本当にこれが奇麗だと最高に嬉しいよ」
「それじゃあ今から」
「うん、お風呂に入って来るよ」
 腹ペコタイガーと一緒にです。
「そうしてから本格的に寝るよ」
「お昼寝じゃなくて」
「朝までぐっすりと寝るよ」
 こう言ってでした、臆病ライオンは実際にです。
 腹ペコタイガーが入ったお部屋に入ってです、彼を起こして一緒に入浴してでした。
 奇麗になってから寝ました、それは恵梨香達も同じで。
 五人共お風呂に入って奇麗になってあったまってからです、その後で朝までぐっすりと寝るのでした。そして翌朝に向かうのですが。
 寝る時にです、雌鶏のビリーナが恵梨香に言いました。
「今回の貴女達は静かね」
「宮殿で遊んでるだけね」
「貴女達が来たらいつも冒険になるけれど」
「それが、よね」
「今回は静かね」
「こういうこともあるかしら、いえ」
 ここですぐにです、恵梨香は思いなおしてビリーナに言いました。
「まだわからないわよ」
「いきなり、なのね」
「冒険に出るかも知れないわ」
「そうね、ここではいつもね」
「ええ、急に何かが起こるでしょ」
「だからなのね」
「ひょっとしたら今回も」
 考えつつです、恵梨香はビリーナに応えます。
「そうなるかも知れないわ」
「じゃあその時は」
「是非行かせてもらうわ」
 その冒険にというのです。
「今は宮殿で遊ぶことを楽しんでるけれど」
「そういうことね、じゃあ冒険を待ってるの」
「そうなるかしら」
「では待つことね、時には待っていてもね」
「来るものね」
「そういうものだから。待っているといいわ」
 ここでビリーナが恵梨香に言う言葉はこうしたものでした。
「私もそうするわ」
「それじゃあ今日は」
「私も寝床で寝るわ」
 自分のお部屋でというのです。
「そうするわ」
「そうね、じゃあまた明日ね」
「ええ、お休みなさい」42
 お休みの挨拶をしてでした、恵梨香もビリーナもそれぞれの場所に戻ってぐっすりと寝ました。明日は一体どんな楽しいことがあるのかしらと考えながら。



今回はカレーのお話だったな。
美姫 「カレーと言っても色々だものね」
だな。今回はまだ冒険に出ていないけれど。
美姫 「ビリーナも口にしていたしね」
これはあれだな。
美姫 「フラグね」
果たして、今回は冒険の旅に出る事になるんだろうか。
美姫 「次回も待っていますね」
ではでは。



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