『黄金バット』




           第五十二話  黒バット博多に舞う闇

 博多の夜は今日も賑わっていました、あちこちのお店でお酒を飲んで美味しいものを食べて楽しんでいる人達がいます。
「もつ鍋美味しかとよ」
「鯖よかたい」
「やっぱり鶏ばい」
「最後は豚骨ラーメンとよ」
 こうしたことを言いながらです、皆楽しい一時を過ごしています。ドームでは白熱した試合が行われカラオケに興じている人も沢山いてデートを満喫している人達もいます。
 そんな楽しい中にです、突如として黒い影が現れました。
「フフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフ!!」
「なっ、黒バット!?」
「黒バットが出て来たとよ!」
「空を舞いながらステッキの先の宝玉から怪光線を出してきたばい!」
「直撃を受けたヤクザ屋さんが黒焦げたい!」
「これは危なかとよ!」
「すぐに逃げったい!」
 突如として現れた魔人に皆驚いて逃げ惑います、そして黒バットが出て来たという通報を受けてでした。
 福岡県警の人達が即座に出動してきました、県警の人達は機動隊まで動員してそのうえで黒バットを囲みました。
「気を付けるとよ」
「あの怪光線を受けたらお陀仏ばい」
「直撃を受けたヤクザ屋さんが一瞬で黒焦げになったとよ」
「そんなもの受けたらいかんたい」
「そのうえで黒バットを倒すばい」
「発砲を許可する」
 お巡りさん達を率いている署長さんが深刻なお顔で言いました。
「あの魔人を一刻も早くやっつけて街の安全を守るとよ」
「わかりました」
「そうします」
「必ず」
 お巡りさん達は皆署長さんの命令に頷きました、そうしてです。
 誰もが腰の拳銃を取り出して手に持って引き金に手を当てます、そのうえで次々に魔人に対して攻撃を浴びせますが。
「くっ、左右に飛び回ってたい」
「全く当たらんとよ」
「やっぱり魔人は魔人たい」
「そう簡単には倒せんとよ」
 お巡りさん達は銃弾を巧みにかわす魔人に歯噛みしました、ですが諦めず皆で力を合わせて攻撃を続けました。
 魔人は今は怪光線を出しません、ですがそれでも何時出してくるか誰もが心配でした。ですがそれでもです。
 お巡りさん達は何とか博多の町の安全を脅かす魔人をこの場でやっつけようとしました、拳銃の弾丸がなくなると大急ぎで充填してです。
 また攻撃します、大勢のお巡りさん達が攻撃し続け一進一退の攻防が行われる中で。
 突如としてです、博多のとあるビルの屋上からあの笑い声が聞こえてきました。
「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
「この笑い声は!」
「間違いない!」
「黄金バットたい!」
「黄金バットが出て来てくれたとよ!」
「あのビルの屋上たい!」
 誰もが高笑いがしたビルの屋上を見上げるとです。
 そこに黄金バットがいました、マントを颯爽とたなびかせ両手を腰にやっています。
 黄金バットは高笑いの後即座にでした、ビルの屋上からひらりと飛び降りてです。
 そうして黒バットの方に来ました、黄金と漆黒の髑髏の超人達は夜空を舞いつつそれぞれのステッキの宝玉を前に突き出してそこから怪光線を出します。黄金バットは青、黒バットは黄色のものでした。
 怪光線を出し合い互いに空を舞う激しい闘いが暫く続きました、ですが黄金バットがここぞと見てでした。
 自身のステッキから続け様に怪光線を七つまさに流星群の様に放つとです、黒バットもそれをかわしきれず。
 最後の一つをステッキの宝玉を受けると彼の宝玉は砕け散ってしまいました、それを見て黒バットも実に詳しそうになってです。
 忌々し気にマントで身体を覆うとそのまま消えてしまいました、皆それを見てわかりました。
「今回もたい」
「黄金バットが助けてくれたとよ」
「お巡りさん達が必死に頑張ってるのを見て姿を現してくれて」
「おい達を助けてくれたとよ」
「黄金バット有り難う」
 自然とこの言葉が出ました。
「今回も助けてくれてお礼を言うたい」
「あんたこそまことのヒーローばい」
「有り難うたい」
 口々にお礼を言います、そのお礼を受けてでした。
 黄金バットは月に向かって飛んで姿を消しました、その後には奇麗に黄色く輝く三日月とヒーローを讃える声が残りました。


黄金バット  第五十二話   完


                  2023・7・30








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