『ドリトル先生のオーケストラ』




               第十二幕  素晴らしいオーケストラ

 いよいよコンサートの日になりました、大学のオーケストラもお野菜の楽器を演奏する子供達も歌手の人達もです。
 しっかり練習していて今か今かと待っています、お肌の色も髪の毛や目の色も様々です。先生はその人達を見て微笑んで言いました。
「必ずです」
「素晴らしいコンサートになりますね」
「はい、なります」
 指揮を務める教授に笑顔で言います。
「きっと、ですから」
「若し変な人達が来てもです」
「私が絶対に学園に入れないので学園側もです」
「全面的に協力してくれますね」
「理事長さんも仰っていますね」
「はい、必ずです」
 まさにというのです。
「何かありますと」
「警察を呼んでくれますね」
「暴力には法律です」
「否定する力がありますね」
「正しいそれが」
 まさにというのです。
「あります」
「そうですね」
「そしてです」
 そのうえでというのです。
「学園のガードマンさん達もです」
「協力してくれますね」
「はい、ですが」
 それでもというのです。
「私がその前にです」
「彼等を退けますか」
「偏見に基づく暴力なぞあってはなりません」
 先生は強いお顔と声で言いました。
「コンサートにムスリムの人がいて何だというのですか」
「問題ないですね」
「アフリカ系の人達もです」 
「同じですね」
「ですから若し彼等が来ても」
「間違っていると言いますね」
「はい、そして」
 そのうえでというのです。
「退けます、音楽は誰が楽しんでもいいのです」
「どんなジャンルでもですね」
「そうです、聴いて歌って演奏してもです」
「いいですね」
「誰であろうとも、ですから」
 それ故にというのです。
「彼等が来ましても」
「先生がですね」
「必ずです」
「退けてくれますか」
「理性と法律で以て」
 この二つでというのです。
「偏見と暴力を退けます」
「そうされますか」
「必ず。では」
「はい、これからですね」
「向かいます」
 こう言ってでした。
 先生は実際に学園の正門の前に行く準備をしました、当然動物の皆も一緒で先生は彼等に言いました。
「いいね、どうしてもという時でないとね」
「先生だけで充分だね」 
 ガブガブが応えました。
「そうなんだね」
「相手がどれだけいても」
 それでもと言うチーチーです。
「先生は大丈夫だね」
「僕達は今回も先生の傍にいるけれど」
 ホワイティも言います。
「それでも大丈夫だね」
「相手はただの偏見の塊の無教養な連中だし」
 ポリネシアは相手のことに言及しました。
「先生なら問題ないわ」
「まして今の日本は法律がちゃんと機能していて」 
 トートーはそれでと言いました。
「独裁者もいないし大丈夫ね」
「どれだけ非常識で邪悪な奴が来ても」 
「先生だけで大丈夫ね」
 チープサイドの家族も言います。
「余程のことがない限り」
「そんな連中先生だけでこと足りるよ」
「先生がどれだけのピンチを乗り越えて知識が教養があるかわからないね」 
 塔馬は断言しました。
「ああした人達は」
「所詮餓鬼なんでしょ、あいつ等」
 ダブダブは目を怒らせてぴしゃりと言いました。
「どれだけいてもものの数じゃないわ」
「烏合の衆っていうけれど」
 ガブガブはこう言いました。
「烏さん達に失礼だね」
「餓鬼のレベルの低さを考えると」
 それならと言うジップです。
「先生一人で充分だね」
「けれど若しあいつ等が先生に何かしようものなら」
「その時はだよ」
 オシツオサレツが二つの頭で言います。
「もうね」
「僕達はすぐに動くよ」
「門のところでは王子とトミーがいてくれてるし」
 待っていてくれているというのです。
「マグ氏とお静さんもいてくれて」
「それでだよ」
「いざという時はね」
「皆が先生を助けるよ」
「人も生きものも妖怪も来て」
「ガードマンさん達もいてくれてるし」
「だから大丈夫だね、じゃあね」
 先生は皆にスマートフォンで正門の状況を確認しつつ言いました、彼等が投稿した動画で実況されています。もう既に多くの人達が集まっています。
「行こう」
「コンサートを守る為にね」
「皆で楽しく演奏される為に」
「そして聴かれる為に」
「そうしよう」
「これからね」
 皆も応えます、そしてです。
 皆で行きました、するとでした。
 正門の前に何十人ものデモ隊がいました、プラカードや横断幕を掲げて偏見そのものの醜い言葉を喚いています。
 その中心にです、五十代半ば位の赤いキャップ帽を被った河馬をひねくれさせた様なとても醜悪な人がいてです、拡声器で叫んでいました。
「アフリカ系やアラブ系が音楽をするな!」
「そうだそうだ!」
「クラシックを楽しむな!」
「日本の曲を楽しむな!」
「自分達の価値観を押し付けるな!」
「日本から出て行け!」
 こう叫んでいます、先生はその人達の前に立って言いました。
「彼等はちゃんと許可を得て日本に来て留学してきているよ」
「何だこいつ」
「やけに太っているな」
「白人だな」
「この大学の奴か」
「私はジョン=ドリトル。この大学の教授だよ」
 先生は名乗りました。
「国籍は日本だよ」
「何っ、白人なのに日本人か」
「帰化したのか」
「この大学は帰化人を教授にしているんだな」
「本当にそうしているんだな」
「白人だからいいけれどな」
「私が白人だからいいという根拠は何だい?」
 先生はその発言を指摘しました。
「まさか白人だから優秀だというのかい?」
「その通りだ」
「白人はいいんだ」
「白人はな」
「根拠なく言っているね、それは間違いだよ」 
 先生はぴしゃりと言いました。
「人は人種では決まらない、努力で決まるんだ」
「努力?馬鹿言え」
「人種で決まるんだよ」
「民族でな」
「そんなことも知らないのかこいつ」
「そうした意見は知っているけれど間違っていると言うよ」
 これが先生の返答でした。
「人は誰だって最初は白紙なんだ」
「白紙から努力するのか」
「それでよくなるのか」
「そうだっていうのか」
「そうだよ、努力なくしてね」
 それこそというのです。
「何もならない、そしてアフリカ系やアラブ系でもだよ」
「同じだっていうのか」
「黒い奴等もムスリムも」
「そうだっていうのか」
「俺達と同じだっていうのか」
「同じだよ、むしろ君達よりまともな人が多いよ」
 そうだというのです。
「わざわざここに来て差別発言を平気で行う君達よりはね」
「これは差別じゃない」
 拡声器を持っている赤い帽子を被った人差別発言をする人達の中心にいるその人が来て先生に言ってきました。
「日本人第一なんだ」
「ここは日本だからだね」
「日本人を尊重すのは当然だ」
「そう、当然だよ」 
 先生はこの人に返しました。
「日本人国籍の人に日本人の権利があって保証されることはね」
「日本国籍?」
「例え外国生まれでも日本国籍を持っていると日本人だよ」 
 そうだというのです。
「法的にはね」
「法律なんてものを出すのか」
「出すよ、日本は法治国家だからね」
 それ故にというのです。
「法律ではそうなっているからね、それに」
「それに、何だ」
「日本国籍を持つ人の権利を保証してもだよ」
 それでもというのです。
「外国人を差別していいとはならないよ」
「何っ?」
「何っ、じゃないよ。彼等は人間だよ」
 外国の人達もというのです。
「人間なら人間の権利が保証されるね」
「外国人だぞ」
「外国人でも人間だよ」
 きっぱりと言います。
「そして障害者も君達と考えの違う人達もね」
「福祉を貪ってたりする奴や極左がか」
「極左を言うなら君達こそ極左だよ」
「何っ、我々が極左だというのか」
「そうだよ、ナチスそっくりじゃないか」
 このことを指摘しました。
「ナチスは極左、ドイツ国家社会主義労働者党だったね」
「あっ、そうだな」
「言われてみれば」
「党名にもなってるし」
「実際の政策もそうだった」
「労働者とか国民への奉仕とか言ってたし」
「それなら」
 これまで黙って聞いていた周りの特に学園の人達が気付きました。
「ナチスは極左だ」
「ソ連も極左だったけれど」
「間違いない」
「ナチスも極左よ」
「そして確かにこいつ等言ってることナチスそのままだし」
「それなら」 
 皆デモ隊を見ました、そのうえで言いました。
「お前達こそ極左だ」
「ナチスそのままだよ」
「そして偏見の塊じゃないか」
「先生が正しいぞ」
「先生の言う通りだ」
「お前達は間違っているぞ」
 デモ隊に口々に言います。
「人間は同じじゃないか」
「日本国籍の人の権利は当然だが差別は駄目だ」
「そんなこともわからないのか」
「まさか差別したいのか」
「差別を楽しみたいだけか」
「くっ、我々は日本人の権利を守ろうとしているんだ」 
 赤い帽子の人が怒って言いました。
「それを邪魔するのか愚民共」
「何が愚民だ!」
「自分達と意見が違うとそうか!」
「同じ日本人でもか!」
「お前そういう奴なんだな」
「他の奴等もな!」
 しかし皆はさらに言いました。
「やっぱりそうか!」
「只の差別主義者じゃないか!」
「自分のことしか考えていないだろ!」
「どうせ権力持っても私利私欲貪るだけだろ!」
「そんなことしか考えてないだろ!」
「おのれ、これ以上言えば」
「ここまでだ」
 ここでお巡りさんが来て言ってきました。
「騒乱罪の現行犯で逮捕する」
「何っ?」
 赤い帽子の人はお巡りさんにお顔を向けて言いました。
「現行犯だと」
「ここでの活動に許可を得ていないな」
 だからだというのです。
「そのうえで長時間集団で騒いだからだ」
「犯罪だというのか」
「現行犯だ」 
 まさにというのです。
「それになる」
「我々は日本の為に動いているんだぞ」
「犯罪は犯罪だ」
 お巡りさんはまた言いました。
「法律は守ることだ」
「くそっ、逮捕なんてされるか」
 赤い帽子の人はお巡りさんにも怒りました。
「こうなれば」
「何だ?何をするんだ」
「捕まってたまるか」
 真っ先に逃げました、一緒に騒いでいた人達を置いて。
 そして他の人達も逃げようとします、ですがお巡りさんは一人ではなく大勢いて悪者達を皆捕まえてしまいました。
 その上で連行していきます、先生は連行されながら喚く人達を見て言いました。
「これでだよ」
「終わったね」
「悪者達はいなくなったよ」
「よかったよ」
「どうなるかって思ったけれど」
「無事にね」
「うん、逮捕されたからね」 
 それでと言う先生でした。
「若し彼等に余罪があれば」
「特に赤い帽子の人はね」
「前から問題ばかり起こしていたし」
「それならね」
「もう終わりだね」
「前科もついて」
「社会的に終わりだね」
 皆で先生に言います。
「前科がついたらね」
「日本だとかなりまずいよ」
「しかも差別発言したし」
「全員社会的に終わったね」
「もう職場でも学校でもお家でも白い目で見られるよ」
 そうなるというのです。
「確実にね」
「そうだね」
「もう何も出来ないね」
「職場にも学校にもお家にもいられなくなったし」
「何処でもね」
「うん、しかし誰が警察に連絡したのかな」
 先生はこのことが気になりました。
「ガードマンさんかな、少し早いけれど」
「あっしでさあ」
 マグ氏が正門の裏から出て来て言ってきました。
「あっしが通報しましたよ、あれだけ騒いでいたらって思いやして」
「それでなんだ」
「ええ、騒乱罪になるって」
「しかも許可なくデモを行っているとだね」
「そう思いやしたから」 
 だからだというのです。
「ああした連中なので」
「モラルがないのは明らかだしね」
「法律も無視しまして」
「それでね」 
 そうであってというのです。
「通報したんだね」
「それで先生とのやり取りを動画に保存しました」 
 そうもしたというのです。
「ですから」
「それでだね」
「後で先生のお顔と声を編集して」
「隠すのかな」
「そうしまして」
 それでというのです。
「通報します」
「ああ、それはいいよ」
 編集はとです、先生は答えました。
「私はもう知られているからね」
「学問の分野で」
「昔から隠さなかったしね」
 お顔等をというのです。
「だからね」
「それで、ですか」
「もうね」
「じゃあすぐに投稿していいですか」
「ユーチューブでもね」
「じゃあそうしますね、どっちが正しいかはです」
 先生か彼等のどちらかがというのです。
「一目瞭然ですよ」
「殆どの人達から見ればかな」
「ええ、そうしたらです」 
 それこそというのです。
「明らかですから」
「彼等はそこからも終わりだね」
「ええ、もう何も出来ないですよ」
 そうなったというのです。
「ですから」
「それでだね」
「先生にも何も出来ません」
「復讐を企もうとも」
「若し襲撃を仕掛けようとしても」
 先生をというのです。
「無理ですからね」
「僕達がいるからね」
「先生は僕達が守るよ」
「絶対にね」
「そうするからね」
「そう、皆がいるから」
 マグ氏は皆に応えました。
「大丈夫でさあ」
「皆が私の家族でだね」
「ボディーガードですから」
 だからだというのです。
「大丈夫ですよ」
「安全のことは」
「ええ、あとです」
「あと?」
「あの連中は何が出来るか」
「一人ではだね」
「果たして」
 こう先生に言います。
「出来るか」
「出来ないね」
 先生はきっぱりと答えました。
「はっきり言えば」
「そうですよね」
「ああしたことを言うのもね」
「群れてですね」
「そしてね」 
 そうであってというのです。
「世の中ああしたことを言う人が出たから」
「おおっぴらに言っていますね」
「最初からね」
「あんなことは言わないですね」
「誰かそれも立場のある人が言ったから」
「自分もってなっていますね」
「そうした人達だよ」
 彼等はというのです。
「つまりね」
「只の臆病者ですね」
「一人では言えなくてね」
「誰かが言わないと言えない」
「立場のある人がね」
「それで偏見を言うだけの」
「そう、勇気もないね」
 そうしたというのです。
「臆病者達だよ」
「臆病な差別主義者ですね」
「そうだよ」
 まさにというのです。
「所詮はね」
「下らない連中ですね」
「自分達を国士と言っていても」
 その実はというのです。
「そうした連中だよ」
「馬鹿な奴等ですね」
「そう言うしかないよ」
「何ていいますか」
 マグ氏は腕を組み眉を顰めさせて言いました。
「連中にはまともな知性を感じませんでしたよ」
「教養もだね」
「ええ、理性も」
「全く以て野蛮で無教養だったね」
「それで偏見ばかりで客観性もなくて」
「自分が正しいと思い込んでいたね」
「全員が。まあ中心にいる奴はです」
 赤い帽子の人はといいますと。
「また違いましたね」
「あれは詐欺師だね」
「ええ、平気で人を騙して利用しますね」
「悪事がばれても平気だよ」
「訴えられて裁判にならない限りは」
「実刑を受けても刑務所に入らない限りはだよ」
 そうでないと、というのです。
「平気だよ」
「悪事を何とも思っていない奴ですね」
「それこそ自分の行動でどれだけの人が困って最悪死に至ってもね」
「全く平気ですね」
「そう言う輩こそだよ」 
 先生は眉を顰めさせtお話しました。
「悪人って言うんだよ」
「それこそ最悪の部類のですね」
「そうだよ、自分が信じる宗教や思想の持ち主でもね」
「悪人がいまして」
「その悪人をだよ」
「信じるならですね」
「もうね」
 それこそというのです。
「救い様がないよ」
「あの連中の殆どがそうでしたね」
「根っからの悪人に騙されていて」
「そのことに気付いていない」
「そしてその輩が悪人と公になっても」
「認めないですね」
「若しその輩が破滅していなくなっても」
 そうなろうともというのです。
「また同じこと言う悪人に騙されるんだ」
「馬鹿なままですね」
「歴史を見ればわかるよ」
 先生はこうも言いました。
「日本のね」
「前にもああした連中がいたんですね」
「スターリンを信じてね」
 この独裁者をというのです。
「共産主義をね」
「スターリンがどんな独裁者かわかってもですね」
「共産主義が間違っているとは思わないでね」
 そうであってというのです。
「まただよ」
「別の独裁者に騙されましたね」
「共産主義のね、挙句金日成に騙されたよ」
「北朝鮮の独裁者じゃないですか」 
 マグ氏は金日成と聞いて言いました。
「また酷い奴が出ましたね」
「その独裁者にも騙されたよ」
「そうした連中は」
「今も尚ね」
「その連中と同じですか」
「そうだよ」
 完全にというのです。
「彼等は共産主義で今捕まった人達は言うなら社会主義で」
「同じ様なものですね」
「この二つの思想はまたそれぞれ違うけれど」
 それがというのです。
「極端になるとね」
「違わなくて」
「それでね」
「同じことをやるんですね」
「繰り返してね、ただ今捕まった人達は自分達は保守だと思い込んでいて」
 そうであってというのです。
「共産主義そして社会主義も大嫌いだよ」
「自覚していないんですね」
「自分達のことをね」
「考えが全然保守じゃなくてもですね」
「関税や移民の排除で鎖国みたいなことをしてね」
 そうしてというのです。
「自国だけの経済をして思想統制も行って教育や企業活動に制限をかけるんだよ」
「ああ、それ完全に違いますね」
 マグ氏も言われて頷きました。
「社会主義ですね」
「共産主義にも近いね」
「それで政敵は攻撃しますね」
「時には暴力も使ってね」
「そのままナチスですね」
「社会的弱者も切り捨てるからね」
「全然保守でも資本主義でもないですよ」
 マグ氏は断言しました。
「それこそ」
「そうだね、自由経済も教育や企業活動の自由もね」
「ないですね」
「挙句思想にも言うから」
「何処が保守なのか」
「間違ってもイギリス保守党とも違うし」
 先生は祖国の政党のお話もしました。
「日本の大きな保守政党ともね」
「違いますね」
「そうだよ、彼等は保守じゃないんだ」
「極左ですね」
「そうであってね」
 それでというのです。
「そのこともわかっていない」
「自分達のことも」
「挙句他の国の変な人を見て」 
 そうしてというのです。
「その人に憧れてその国の何十番目かの州になりたいとかね」
「それって国士とか言う人の発言じゃないよ」
「言ったら悪いけれど売国奴じゃない」
「とんでもないこと言うね」
「恥知らずの発言だよ」
「そんなこと言ったら終わりだろ」
 皆も聞いて呆れました。
「もうね」
「保守でも何でもないわ」
「売国奴じゃない」
「まさに国賊」
「最低だね」
「そうだよ、これも極左の発言でね」
 そうであってというのです。
「スターリンや金日成にひたすら呆れていたんだ」
「そんな人達と同じね」
「全く以て」
「そうした意味でも極左だね」
「極端になり過ぎでね」
「もうどうしようもなくなっているんだ」
「そう、そしてね」
 そうであってというのです。
「彼等はあのままだよ」
「進歩も成長もしない」
「努力もしない」
「あのままだね」
「馬鹿なままなのね」
「自分で気付いたらね」
 そうなればというのです。
「反省して後悔してね」
「考えをあらためて」
「それでだね」
「そうした人達から離れて」
「努力する様になって」
「変わるね」
「そうなるけれど」
 それでもというのです。
「そうでもないとね」
「変わらなくて」
「反省もしない」
「騙され続けて利用され続けて」
「どうしようもなくなるのね」
「そうなるよ、挙句基地の前にいる人達みたいになるよ」 
 彼等の様にというのです。
「沖縄のね」
「そうなるだろうね」
「あの人達はね」
「正直言ってそっくりだからね」
「沖縄の基地の前の人達と」
「見ていて思ったよ」
「そうして口を開けば差別発言だから」
 だからだというのです。
「どうにもならないよ」
「軽蔑するしかないね」
「全員前科ついたけれどどうなるか」
「反省しないのはわかってるけれど」
「それでもね」
「ああした人達が少しでも変わることを願うよ」
 こう言ってでした。
 先生はことが終わったことを確かめて皆と一緒にホールに向かいました。
 そしてホールに入るとすぐにコンサートが入りました、まずはお子さん達のお野菜の楽器のオーケストラでおもちゃのチャチャチャや赤とんぼが演奏され。
 大学のオーケストラがモーツァルトやベートーベン、ワーグナー、ブラームス、ラヴェル、チャイコフスキーと演奏しまして。
 アニメたゲームの曲にです、カンツォーネを演奏しまして。
「まさに四国の音楽だね」
「そうだね」
 先生は一緒に聴いている王子に応えました、執事さんも一緒にいてトミーにマグ氏にお静さんもいます。
「民謡はね」
「イングランドにね」
「スコットランド、ウェールズ、ァイルランドの」
「ブリテンの四国だね」
「それぞれの民謡を演奏して」
 そしてというのです。
「歌も歌ってくれるから」
「素晴らしいね」
「うん、演奏もいいけれど」
「歌手の人達もね」
「上手だよ」
 まさにというのです。
「本当にね」
「そうだよね」
「思い出すよ」 
 先生は目を細めさせてお話しました。
「イギリスにいた頃を」
「パドルビーで暮らしていた頃だね」
「よく冒険をしてね」
「お家を空けることも多かったね」
「けれどやっぱりお家はあそこにあったから」
「イギリスのパドルビーにね」
「よくイギリスの民謡を聴いたよ」
 懐かしむお顔での言葉でした。
「勿論今の音楽もだけれど」
「それと共にだね」
「民謡も聴いたよ」
「そうだったね」
「私はイングランドだけでなくてね」
「他の三国にもよく行ったね」
「そしてね」
 そうであってというのです。
「それぞれの国の音楽を聴いてきたよ」
「そうしていたね、先生は」
「さっき日本の差別主義者と対したけれど」
「本当に何処でもいるからね、ああした人達は」
「それでイギリスは四国に分かれていて」
「それぞれの対立感情もあってね」
「差別も見られるよ」
 そうだというのです。
「四国間でね」
「そこに階級もあるしね」
「イギリスはね、移民のこともあって」
「むしろ日本より複雑だろうね」
「そしてね」 
 そのうえでというのです。
「私はそうした色々な差別を目の当たりにしてね」
「差別について考えていったね」
「若い頃からね、そして」
 そのうえでというのです。
「差別は間違っている、おかしいとね」
「考えているね」
「そうだよ、四国の人達それに貴族と平民に」
「資本家と労働者にね」
「移民の人達もっと言えば健常者と障害者にね」
「何の違いがあるか」
「もうね」
 それこそというのです。
「変わらないよ、お肌や目や髪の毛の色が違っていて」
「生まれや立場や健康状態が違ってもね」
「そのこともわかったよ、そして音楽が好きなら」
 それならというのです。
「演奏して聴いてもね」
「いいね」
「そうだよ、イスラム教徒の人達も」
 彼等もというのです。
「何が問題か。お互いに理解して」
「じっくりお話してね」
「そしてね」 
 そのうえでというのです。
「共存していくべきだよ、若し排除して」
「追い出すとね」
「本当に極左のね」
「ナチスやソ連になるね」
「そしてああした国家がどうなったか」
「歴史にある通りだよ」
「そうだよ、鎖国みたいなことをして粛清とかもして」
 そうしてというのです。
「どんどんおかしくなって」
「破滅したね」
「そうなったから」
 だからだというのです。
「彼等を歴史の教訓にしてね」
「ああした人達は間違っていると言わないとね」
「駄目だよ、ましてやコンサートを妨害するなんて」
「以ての外だね」
「しかもそれを煽って自分達の利益にしようとする人は」
 あの赤い帽子の人を思い出して言いました。
「絶対に許してはいけないよ」
「うん、僕達にもわかったよ」
 ホワイティが強い声で言ってきました。
「あの人はね」
「完全な悪人だよ」
 老馬も言います。
「それも極めつけのね」
「悪人も悪人で」
 それでと言うダブダブです。
「邪悪と言っていいわね」
「邪悪な人なんて滅多にいないけれど」
「あの人はそうだったよ」
 オシツオサレツも二つの頭で言います。
「もうね」
「それこそだよ」
「何て言うかね」
「最低最悪ね」
 チープサイドの家族も思うことでした。
「まさに餓鬼よ」
「人でなくした」
「人相にも出ていたよ」 
 チーチーはどうかと言う顔で言いました。
「もう卑しさと邪さがね」
「発言のどれも物凄く酷かったわ」 
 ポリネシアはこちらのお話をしました。
「根拠のない嘘ばかりの偏見まみれの汚い差別発言ばかりで」
「知性も品性も教養もなかったよ」
 トートーが見てもです。
「どう見たってとんでもない悪人だったじゃない」
「何であんな人を欠片でも認められるの?」
 ガブガブは本気でわかりませんでした。
「そんな要素ないじゃない」
「これまでどう生きてきたらあんな人信じられるのか」
 それこそと言うジップです。
「相当悪い人生送ってきたんだね」
「そう、何も学ばず努力せずまともな本を読まずまともな人ともお付き合いしないで」
 先生は皆にお話しました。
「いいものに触れてこなかったんだよ」
「まさにまともな人生を送ってこなかった」
「まともな人生経験がない」
「本も人もちゃんとしたものを読んだりお付き合いしてこなくて」
「結局悪いものばかり備えた人達が信じるのね」
「そして社会が悪い誰かが悪い移民が悪いとかばかり考えて」
 そうであってというのです。
「自分で努力してこなかったんだ」
「自分が悪いと思わず」
「問題があると思わず」
「自分で何とかしようとしないで」
「努力をしてこなかった人が信じて」
「騙されるんだ、そうした偏見なんて」
 それこそというのです。
「音楽の前にはだよ」
「何でもないね」
「実際色々な国の色々な人が演奏してるし」
「それも素晴らしい演奏だし」
「調和も取れていて」
「オーケストラは一人でやらないね」
 皆に言いました。
「まさに誰もが息を合わせて」
「一つになってね」
「調和して演奏するね」
「そうしていくものね」
「人間は一人一人の個性があって」
 そのうえでというのです。
「お互いを認めて合わせていく」
「調和ね」
「個性を認めたうえで」
「そして息を合わせていく」
「今日のコンサートも同じだね」
「そうだよ、彼等は一緒にいてもね」
 差別を叫ぶ輩共がというのです。
「ただ類は友を呼ぶで集まって」
「喚いているだけね」
「群れて」
「調和なんてしていなくて」
「ただ馴れ合っているだけね」
「そうだよ、仲間ではないんだ」
 彼等の間柄はというのです。
「お友達でもね」
「オーケストラとは違って」
「歌手の人達とも」
「ただ馴れ合ってるだけで」
「何でもないわね」
「集まっているだけのね」
 同じレベルの輩共がというのです。
「何でもないよ」
「下らない集団ね」
「至って」
「低レベルで集まって馴れ合って」
「叫んでいるだけの」
「そして認め合うんじゃなくて押し付けるんだ」
 そうするというのです。
「集まってもね」
「こうしたオーケストラの調和じゃなくて」
「群れて押し付ける」
「そして聴いてもらうんじゃなくて聞かせてね」
「聴いて欲しい演奏して欲しい人を受け入れるんじゃなくて
「反対意見を排除するのね」
「そうだよ、全く違うんだ」
 彼等と今回のオーケストラはというのです。
「受け入れるのと排除する」
「自分達と違うだけで」
「そして馴れ合う」
「そんなものじゃないね」
「だから今回のオーケストラは素晴らしいんだ」
 先生は皆に言いました。
「これ以上はないまでにね」
「そういうことだね」
「先生の言う通りよ」
「今回のオーケストラは成功だね」
「そして音楽も素晴らしいね」
「最高の芸術の一つだよ」
 先生は笑顔のまま言います、コンサートは一曲一曲ずつ拍手が鳴り響いてでした、終わってからもです。
 拍手が鳴り止まずカーテンコールも行われ最高の結末を迎えました、そして先生は皆と一緒に心地よくお家に帰りました。
 後日サラがまた来日してきて先生から今回のコンサートの一連のことを聞いてから先生のお家でこんなことを言いました。
「兄さんも大変だったのね」
「いや、それ程でもないよ」
 先生はサラに一緒に麦茶を飲みつつ答えました。
「別にね」
「大したことじゃなかったの」
「難がなくてよかったよ」
「兄さんからするとそうなの」
「私からというと?」
「兄さんってこれまでも色々あったから」
 だからだというのです。
「私が聞くと大変でもね」
「私自身からするとだね」
「大したことじゃないのね」
「そうなるっていうんだね」
「ええ、けれど本当に何もなくてよかったわ」
 サラはほっとして言いました。
「そんな危ない人達と悶着があってね」
「やはり邪魔はさせてはならないからね」
 先生は確かな声で言いました。
「コンサートはね」
「それでああした人達の前に立って」
「止めたんだ、そこでね」
「マグさんの通報もあって」
「何もなくてよかったよ」
「そうね、しかしね」
 サラは麦茶を飲みながら言いました。
「そうした人達は何処でもいるわね」
「そうだね」
「特におかしな人がそれなりの立場に就いて言ったら」
 その時はというのです。
「偉い人のお墨付きが出たと思ってね」
「そうしたことを声高に言うね」
「それまで言えなくてもね」
「そう、彼等は自分で言っている様でね」
「追従しているだけね」
「付和雷同だよ」
 そうだというのです。
「実はね」
「そうよね」
「主体性はないんだ」
 その実はというのです。
「彼等にはね」
「あると思っていても」
「そしてその偉くなった人がいなくなれば」
 その時はというと。
「忽ち後ろ盾をなくした様に」
「力をなくして」
「糾弾されるんだ」
「そうなるのがヲチね」
 サラも確かにと頷きました。
「結局ね」
「そうした人達は何かがあってね」
「自分の偏見を喚いているだけね」
「普通は言えなくても」
「周りが批判するから」
「その批判に対抗できる立場にそうした人が就いたらだよ」
 そうなればというのです。
「その人をバックにしてね」
「言っているだけね」
「彼等自身には何の力もないんだ」
「後ろにいる人がそうであるだけで」
「何の能力もないしね」
「だからその人がいなくなったら」
「すぐにね」 
 それこそというのです。
「力がなくなって」
「元々ないしね」
「後ろ盾という力がなくなってね」
「ただの差別主義者に戻るのね」
「そうだよ、そんな連中だよ」
 先生は看破しました。
「だからね」
「何でもないわね」
「全くね、だからね」 
 それでというのです。
「私も何とも思っていないよ」
「怖いとも何ともよね」
「そうだよ、じゃあそのコンサートの動画がインターネットにあるけれど観るかな」
「そして聴かせてもらうわ」
 サラは微笑んで答えました。
「それならね」
「じゃあお茶を飲みながら一緒に聴こう」
 先生は自分のスマートフォンを出してユーチューブの八条大学のオーケストラの動画を出しました、そしてその動画にあるコンサートの音楽をサラと一緒に楽しんだのでした。


ドリトル先生のオーケストラ   完


                    2025・9・11








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