『ドリトル先生と日本に来た仲間達』
第五幕 懐かしのパドルビー
電車は遂にパドルビーに着きました、先生は皆と一緒に駅に降り立つと早速周りを見回して言いました。
「殆ど変わってないね」
「僕達が出た時とね」
「殆ど変わっていないね」
「少なくとも駅の周りは」
「そうだね」
「この街を経って随分長かったけれど」
それでもと言う先生でした。
「これがね」
「うん、そうだね」
「変わってないね」
「のどかで静かなままだよ」
「落ち着くわ」
「この落ち着きがいいんだよね」
先生はにこりと笑ってお話しました。
「本当に」
「そうそう、パドルビーだよ」
「この街の持ち味なのよ」
「決して大きくないけれど静かでのどかで」
「落ち着いているのよね」
「そうなんだよね、じゃあね」
それならと言う先生でした。
「今からホテルに入ろう」
「ああ、お家は今は資料館になっているから」
「だからだね」
「もうあそこでは暮らせないから」
「ホテルに入って」
「そちらで休むんだ」
「パドルビーにも八条グループのホテルがあるから」
それでというのです。
「そちらに入ってね」
「それでだね」
「しばらくの間はそこで暮らして」
「移転のアドバイスをするね」
「先生は」
「そうしようね」
笑顔で皆にお話してでした。
先生は駅を出てのどかで静かな街を皆と一緒に歩いてそのうえで街の中にあるホテルに入りました。そのホテルはといいますと。
「和風だね」
「ホテルっていうか旅館だね」
「日本のね」
「木造の造りで襖や畳もあって」
「それでね」
「そうであるからね」
だからだというのです。
「暫くはここで暮らすけれどどうかな」
「嬉しいね」
「日本のこの造りが」
「今の僕達にはね」
「とても落ち着くから」
「すっかり日本に馴染んだからね」
笑顔でお話する先生でした。
「今ではね」
「そうそう、すっかりね」
「日本文化に馴染んで」
「住んだり泊まるところだって」
「日本のものが一番になっているわ」
「すっかりね」
「そう思ってなんだ」
笑顔でお話するのでした。
「パドルビーに八条グループのホテルがあって」
「それでだね」
「そのホテルが日本の旅館風だから」
「こちらにしたんだ」
「ここに泊るって」
「そうなんだ、ちなみにこのホテルは人気があるよ」
先生は襖に障子、畳のお部屋の中でお話します、座布団やちゃぶ台もあってまさに日本の旅館の中です。
「忠実に日本を再現しているからね」
「異国情緒だね」
「日本風がいいから」
「それでだね」
「イギリス中から人気でね」
そうしたホテルでというのです。
「私達以外にもだよ」
「泊まっている人多いんだ」
「そうなんだね」
「このホテルは」
「今もね、そのホテルに泊まりながら」
「そしてだね」
「移転のアドバイスをするんだね」
「今回は」
「そうしていこう」
皆に笑顔で言います、そしてまずはホテルでゆっくりします。
日本風の温泉に入って夕食もいただきますが。
「うわ、鯉だね」
「鯉のお造り」
「海老や山菜の天婦羅もあって」
「鰻のきも吸いもあるよ」
「お豆腐に野菜のおひたしに」
「鰻のかば焼きまであるし」
「和菓子もあるわ」
皆完全な和食に驚いています、浴衣姿になった先生も言います。
「日本から板前の人が来ているんだ」
「まさに日本だね」
「この旅館は」
「温泉もあるし」
「お料理だってそうで」
「こうして主食もご飯だしね」
先生は白いそちらも見てお話します。
「だからね」
「それでだね」
「純粋な和食を楽しめるね」
「イギリスにはない」
「それを」
「そうだよ、勿論鯉は一度完全に冷凍されているから」
だからだというのです。
「寄生虫の心配もないよ」
「それはいいことだね」
「とてもね」
「お刺身は美味しいけど」
「寄生虫の問題があるから」
「だからね」
それでというのです。
「冷凍してあるんだ」
「そうだね」
「特に鯉は淡水魚だから寄生虫の心配があるけれど」
「冷凍しているから」
「大丈夫だね」
「徹底的に冷凍して」
そうしてというのです。
「寄生虫を殺す」
「そのことも大事だね」
「本当に」
「それならだね」
「安心して食べられるね」
「鯉のお刺身も」
「そして鰻は」
かば焼きを見つつ言います。
「ゼリーじゃないよ」
「あの評判の悪いね」
「ゼリーじゃないね」
「日本のお料理だね」
「ちゃんとあった」
「そうだよ、じゃあ食べようね」
日本酒が入ったおちょこも手にしてです。
先生は皆と一緒にパドルビーで日本の旅館で日本のお料理を楽しみました、そうしてその後でなのでした。
お布団で寝てです、朝は卵焼きにお味噌汁、お漬けものに海苔にご飯という献立を楽しんでから旅館を出ましたが。
先生は懐かしい街を歩きつつです、皆に言いました。
「お味噌汁は飲めないと思っていたら」
「飲めたね」
「美味しかったね」
「本格的なもので」
「美味しかったよ」
「しばらくお別れと思っていたら」
お味噌汁とです。
「食べられたらね」
「よかったね」
「しかも美味しかったし」
「元気が出たね」
「本当に」
「うん、じゃあ施設に行こう」
先生はお味噌汁を飲めてそのことにも上機嫌になってでした。
皆でまずは懐かしい我が家に入りました、そこは先生がこれまで為してきた学問のことが紹介されていますが。
資料館の中で、です。緑色のカナリアがいて皆驚きました。
「えっ、ピピネッラじゃない」
「まさかパドルビーにいるなんて」
「思わなかったわ」
「どうしてここに?」
「だってね」
そのカナリア、ピピネッラが驚く皆に答えました。
「お兄さんが資料館の管理人さんだからね」
「ああ、ピピネッラと一緒に暮らしていた」
「風車小屋の中で」
「他の国の政府に追われたりしていた」
「あの人だね」
「先生と縁があるってことでね」
それでというのです。
「資料館の管理人さんにって声をかけられて」
「それでなんだ」
「管理人さんになって」
「ピピネッラもなんだ」
「ここにいるんだ」
「そうよ、他の皆もいるわよ」
ピピネッラは笑顔でこうもお話しました。
「ここにはね」
「私もいるわよ」
ここで今度は一匹の猫が出てきました。
「皆久し振りね」
「あっ、イティー」
「ここに残っていたけれど」
「動物園に行ったと思ったら」
「資料館にいるんだ」
「この通りね」
まさにと言うイティーでした。
「私もいるわよ」
「いきなり懐かしい顔触れに会ったね」
ガブガブはしみじみとして言いました。
「ピピネッラにイティーに」
「会うって思っていたけれど」
「いきなり二匹ね」
チープサイドの家族も言います。
「最初からこうだから」
「これからもだね」
「このお家の中も懐かしいよ」
トートーはお部屋の中を見回して微笑みました。
「本当にね」
「ずっとここに暮らしていたからね」
ジップの口調はしみじみとしたものでした。
「皆で」
「このお部屋だって」
ダブダブはお部屋について言いました。
「色々なことがあったわ」
「ここにあるのは楽しい思い出ばかりだよ」
ホワイティは笑顔で言いました。
「嫌な思い出なんて全くないよ」
「今は資料館になっていて暮らせないけれど」
チーチーはそれでもと言います。
「僕達にとっては特別な場所だね」
「真っ先にここに戻ってみたかったけれど」
ポリネシアも笑顔になっています。
「旅館から最初に来てよかったわ」
「いや、ここであった色々なことが思いだされて」
「最高の気分だよ」
オシツオサレツも二つの頭でお話します。
「先生と、皆と暮らして」
「何かとあったね」
「いや、ここにいて」
老馬も笑顔で言います。
「本当にいいことばかりあったね」
「うん、そのことを思い出して」
それでとです、先生も笑顔でお話します。
「嬉しいね」
「うん、まさに懐かしい我が家」
「このお家はね」
「今は資料館になっていても」
「私達にはそうだよ」
「お家が資料館とかになることはあるよ」
先生はこうしたお話もしました。
「日本でもね」
「あるよね」
「グラバー園もそうで」
「誰かに由縁があるとね」
「そうもなるね」
「けれど私達のお家がそうなるなんてね」
笑顔のまま言う先生でした。
「思わなかったね」
「全くだよ」
「そんなこと考えもしなかったよ」
「まさか僕達のお家が資料館になるなんて」
「学問について」
「先生がこれまでしてきた」
「そうだね、ただね」
先生もお家の中に懐かしさを感じています、その中で言うのでした。
「私のしてきたことがね」
「色々な生きものとお話をして」
「その語学を皆に紹介して」
「アフリカや南米、海底と行って」
「月にも行って」
「それで見聞きしたことも学んで」
皆も言います。
「世の中に紹介したからね」
「歴史や文化、地理、宗教と」
「それに動物園や郵便局も作ったし」
「サーカス団のこともあって」
「生物学でも大きな貢献をしているからって」
「それを功績と認めてくれて」
そうしてというのです。
「資料館に展示してくれるなんてね」
「本当に思わなかったね」
「それも全く」
「こうしてくれるなんて」
「本当にね」
「全くだよ」
本当にと言う先生でした。
「信じられないことだよ、けれど嬉しいよ」
「功績だって認めてくれて」
「そうして展示してくれているからだね」
「先生も嬉しいね」
「とてもね」
笑顔で皆にお話します、そしてです。
そこに知的でかつ優しいお顔立ちと雰囲気の痩せた中背の赤髪の若い男の人が来てです、先生に言ってきました。
「ようこそ」
「こちらこそ、前にも会っているよね」
「はい、ピピネッラと一緒にいる」
「ステファンさんだね」
「そうです、ずっとジャーナリストをしていましたが」
「今はだね」
「こちらで資料館の管理人をしています」
そうだというのです。
「ひいては動物園についても」
「管理人さんなんだ」
「そうさせてもらっています」
「ずっと管理していてくれて有り難う」
先生はステファン氏に笑顔で言いました。
「皆も私も嬉しいよ」
「そう言ってくれますか」
「心からね」
「それは何よりです。それで私もです」
濃紺のスーツ姿のステファンさんはこうも言いました。
「日本に移ることになっていまして」
「引き続き管理をしてくれるんだね」
「そう決まっていまして」
それでというのです。
「これからもです」
「宜しくね」
「はい、是非」
「しかし先生のファッションは変わらないわね」
イティーがこのことを言いました。
「ずっと」
「スーツかタキシードでだね」
「ええ、正装でね」
そうであってというのです。
「シルクハットもで」
「私はいつも正装だよ」
「ジェントルマンとして」
「その服装だよ、ただ今は日本で暮らしているから」
「着物も着るの」
「お家の中では作務衣を着ているよ」
「日本の服ね」
「それを着てね」
そうしてというのです。
「暮らしているよ」
「そうしているのね」
「けれど外出する時は」
「スーツかタキシードね」
「モーニングかね」
「それでシルクハットね」
「シルクハットはね」
この帽子はといいますと。
「私にとっては欠かせないよ」
「絶対のものなのね」
「だから日本にいてもね」
この国にというのです。
「私のトレードマークにもなっているよ」
「いつもシルクハットだから」
「スーツやタキシードもね」
「今常に正装している人もですね」
ステファン氏も言ってきました。
「イギリスでもです」
「減ってきているね」
「ラフな服装が増えていますね」
「そうだね」
「はい、私も遊びに行く時は」
「そうした服装だね」
「ラフな」
そうしたというのです。
「そうです」
「そうなんだね」
「ですが先生は」
「うん、遊びに行く時もね」
「スーツだったりしますね」
「そうなんだ、それでね」
先生はさらにお話します。
「サプールみたいだとも言われるよ」
「コンゴのですね」
「いつもスーツだからって」
「あっ、そうね」
ピピネッラも確かにと頷きました。
「いつも正装ならね」
「サプールみたいだね」
「先生はね」
「今だとそうだね」
「ええ、けれど逆に先生が正装でないと」
そうした服装ならというのです。
「先生じゃないわ」
「そうなんだね」
「そんな感じよ、それで今から」
「うん、ここにあるものをね」
先生はあらためてお話しました。
「日本にだよ」
「移転していくのね」
「そうするからね」
「そのアドバイスをなのね」
「させてもらっていいかな」
「その為に来てくれたから」
是非にとです、ピピネッラは応えました。
「お願いするわ」
「それではなね」
「皆待っていますよ」
ステファン氏が笑顔で言ってきました。
「先生を」
「そうなんだね」
「先生がここに戻って来られて」
そうしてというのです。
「また何時でも会える様になりますね」
「日本に移ってね」
「皆日本のことは知らないですが」
それでもというのです。
「けれどです」
「それでもだね」
「また何時でも先生とお会い出来るなら」
それならというのです。
「これ以上嬉しいことはないですから」
「それでなんだ」
「確かに皆ここにいてです」
ステファン氏は笑顔のままお話しました。
「幸せに暮らしていますが」
「八条グループのお世話でだね」
「生きもののことがわかっていて」
そうしてというのです。
「お金のこともです」
「問題ないね」
「やはりお金がありませんと」
そうであると、というのです。
「食べものも設備の維持もです」
「出来ないね」
「人手も用意出来ません」
「現実はそうだね」
「はい、八条グループといえば」
「世界的な企業グループでね」
「お金のことはです」
今お話しているそちらのことはというのです。
「全くです」
「心配いらないね」
「持っている資産は世界屈指ですね」
「そうなんだよね」
先生もそうだと答えます。
「これが」
「ビル=ゲイツ氏以上で」
「そこまでの資産があるから」
「それで、ですね」
「こちらの管理もね」
「出来ますね」
「むしろ私だけで管理するよりもね」
それよりもというのです。
「お金のことはね」
「安心出来ますね」
「私はそちらはからっきしだからね」
先生は少し苦笑いになって答えました。
「お金、世事のことは」
「そこが先生の弱点なのよね」
ダブダブは少し怒ったお顔になって言いました。
「どうにも」
「お金がないと、なんて言うしね」
トートーも言います。
「昔は特にね」
「今もそうした考えで」
ジップも続きます。
「無頓着なんだよね」
「無欲はいいけど」
ホワイティはそれでもと言います。
「使い方はいつもどうかだね」
「それでここにいた時はいつも苦労していたよ」
ガブガブもこのことがわかっています。
「何故かいつもどうにかなっていたけれど」
「そんな先生が管理しているから」
老馬はその頃を思い出してお話します。
「お金は大変だったね」
「それに人手も足りなくて」
「そちらも大変だったわね」
チープサイドの家族もその時のことを思い出しています。
「先生とトミーと王子で」
「他に手伝ってくれる人がいても」
「人手にお金」
ポリネシアはしっかりとした声で言いました。
「やっぱり必要よ」
「八条グループだとどちらもあるから」
チーチーは笑顔で言いました。
「安心だね」
「しかもこうした活動に理解のあるグループだから」
「慈善事業全体にね」
オシツオサレツは二つの頭で言いました。
「有り難いよね」
「世界一のお金持ちでもね」
先生はそれでもと言いました。
「思いやりも優しさも自分以外の命を労わる気持ちがないなら」
「それならね」
「意味がないわよね」
「どれだけお金持ちでも」
「本当に世界一でも」
「そうだよ、人を助けないで悪いことばかりして」
そうしてというのです。
「ひたすらお金を儲け続けて挙句政府に取り入って」
「今度は権力を貪って」
「自分の都合がいい様にやっていく」
「弱い人達を虐げて」
「それで笑っているならね」
「こんな人は間違っているとしかね」
その様にというのです。
「言えないよ」
「全くだね」
「お金だけ儲けてね」
「その為に悪いことばかりして」
「思いやりや優しさを持たない」
「権力まで手に入れて弱い人達を虐げて」
「自分に都合のいい様にしていくのなら」
それならとです、先生は怒ったお顔になって言いました。
「皆その人をどう思うかな」
「普通の人は嫌うよ」
「自分もそうなりたいって思う人以外はね」
「もっともそんな人も嫌われるわ」
「どう考えたって悪人だから」
「良心のある人は嫌うわ」
「そうだよ、ましてね」
先生はさらに言いました。
「その人が礼儀作法もなくて傲慢で下品で嘘吐きでナチスまで大好きならどうかな」
「うん、最悪だね」
「世界一のお金持ちでも」
「少しでも良心や良識のある人は大嫌いになって」
「その人に反対するよ」
「その人の会社とかの為に何もしないよ」
「信用もしなくなるね」
先生はこうも言いました。
「そうだね」
「絶対にね」
「そこまでの悪人誰も信用しないわ」
「そして忌み嫌って」
「その人の為に何もしないどころか」
「排除しようとするわ」
「そうなったらお金なんてね」
その人が何よりも大好きなそれもというのです。
「なくなるよ」
「そうだね」
「誰も信用出来ない人の為に使わないから」
「大嫌いな悪人に対して」
「自然と離れるよ」
「お金はそんなものだよ」
「当然権力もなくなって」
そうした人が大好きなもう一つのものもというのです、先生は皆に対して怒ったお顔のままお話しました。
「何もなくなるよ」
「幾ら世界一のお金持ちでも」
「そうなるね」
「思いやりも優しさも労わりの心もないなら」
「良心がなくて悪いことばかりしているのなら」
「必然的にそうなって」
「破滅するね」
「そうなるよ、けれど八条グループは違っていて」
そうした悪いお金持ちとは、というのです。
「ちゃんとね」
「はい、他にも何かとです」
ステファン氏もお話します。
「慈善事業にも力を入れています」
「そうだね」
「そして多くの人や生きものを助けています」
「そうしているね」
「本当にそうしたことも必要ですね」
「世の中にはね」
「企業にも」
こうお話するのでした。
「そうです」
「全くだね」
「何故か最近愛国ばかり言って」
「そんなことは全く考えない人がいるね」
「人を助けたり思いやる」
「そんな心は全くなくてね」
それでというのです。
「他の人を罵ったり攻撃的なことを言ったり」
「嘘を吹聴したり」
「そして歴史がどうとか言ってもね」
「全く学ぼうとしない」
「そんな人がいるね」
「目立ちますね」
「何処でもね、そんな人達はね」
それこそと言う先生でした。
「神様に叱られるよ」
「何時かそうなりますね」
「罰を受けるよ」
「天罰が下ります」
「私も色々悪人と渡り合ってきたけれど」
「皆そうなりましたね」
「そうなるよ、天網恢恢疎にして漏らさずで」
そうであってというのです。
「そんな人達はね」
「報いを受けますね」
「神様の天罰を受けて」
そうしてというのです。
「人も見ているし」
「人からも裁きを受けますね」
「そうなるからね」
だからだというのです。
「その結末はね」
「その心に相応しいものになりますね」
「そうだよ、自分を見て人間に必要なものは何かを考えて」
「学ぶことですね」
「大切なことはね、しかし本当にね」
先生もお部屋の中を見回してお話します。
「奇麗だね」
「よく掃除されて資料の管理も行き届いていますね」
「私達が暮らしていた時よりも奇麗だよ」
「はい、それはです」
ステファン氏はそれがどうしてかとお話しました。
「やはりです」
「お金も人手もあるからだね」
「八条グループに」
「それでだね」
「やっぱりしっかりしたグループですから」
それでというのです。
「管理もです」
「ちゃんとしているね」
「そうなんです」
これがというのです。
「素晴らしいことに」
「本当に素晴らしいことだね」
「はい、そして」
ステファン氏はさらにお話します。
「他の場所もです」
「同じだね」
「動物園もそうで」
こちらもというのです。
「犬のホームも鼠倶楽部もです」
「ちゃんとしているんだね」
「はい、馬達の牧場も」
「皆だね」
「そして先生とです」
「会いたいんだね、皆」
「懐かしい顔触れが揃っていますよ」
ステファン氏は笑顔でこうも言いました。
「本当に」
「私にとっても皆にとっても」
「そして彼等にとっては」
今懐かしい顔触れと言われた生きもの達はというのです。
「先生とお会いしたくて」
「楽しみにしてくれているんだ」
「はい」
まさにというのです。
「そうなっています」
「それは嬉しいね」
「先生もそう言われますね」
「心からね」
これが先生の返事でした。
「そうだよ」
「そうですよね」
「日本にいてね」
「その間ですね」
「ずっと皆がどうしているか」
このことがというのです。
「気になっていたよ」
「そうでしたね」
「日本は凄くいい国で」
そうであってというのです。
「食べものも満喫していたけれど」
「ははは、イギリスといいますと」
ステファン氏は笑って応えました。
「やはり」
「食べものについてはね」
「どうしてもですからね」
「紅茶だってね」
先生の大好きなこの飲みものもです。
「お水が違って他のこともね」
「違っていて」
「それでだよ」
「日本の紅茶の方が美味しいですね」
「そうだしね、けれどね」
「それでもですね」
「ずっと親しんできた味だから」
それ故にというのです。
「イギリスの紅茶もだよ」
「飲みたいですね」
「今ね」
「はい、ではお昼とです」
ステファン氏はそれならと応えました。
「ティータイムに」
「紅茶を頂けるね」
「はい、ミルクティーを」
「それではね」
「確かに日本の紅茶の方が美味しいですが」
ステファン氏もこう言います。
「ですが」
「それでもね」
「イギリスの紅茶も味がありますね」
「これは美味いとかじゃなくて」
そうした問題でなくというのです。
「舌が親しんでいる」
「そういうことですね」
「そう、だからね」
それ故にというのです。
「私もだよ」
「是非ですね」
「暫くの間は」
「イギリスのお料理に親しまれますね」
「そうさせてもらうよ」
「色々ありますしね、イギリス料理もね」
「そうだね、ちゃんと作るとね」
そうすればというのです。
「それはそれでね」
「美味しいですしね」
「これがね」
「ですから」
それでというのです。
「先生もですね」
「楽しませてもらうよ、ただ一番食べたいのは」
そのお料理はといいますと。
「カレーだね」
「はい、カレーは僕もです」
ステファン氏も言います。
「好きですし」
「よく食べるね」
「はい」
そうだというのです。
「何かと」
「確かによく食べるわね」
ピピネッラが見てもです。
「ステファンさんも他の人達も」
「そうだよね」
「今のイギリスの人達はね」
「そうなったよ」
ステファン氏はピピネッラにも応えました。
「今はね」
「昔は食べなかったけれど」
「イギリスに伝わって広まって」
「そうしてね」
「皆何かと食べる様になったよ」
「そうなのよね」
「手軽に食べられてね」
カレーはというのです。
「そしてね」
「そのうえでよね」
「栄養バランスもいいしね」
「美味しいしね」
「だからね」
それでというのです。
「皆よく食べるよ」
「イギリスではね」
「そうなっているよ」
「ええ、それではね」
「今日のお昼もだよ」
「カレーね」
「それを食べて」
そうしてというのです。
「紅茶もだよ」
「飲むのね」
「そうなるよ、先生達と一緒にね」
「楽しみだよ、しかし」
ここでこうも言う先生でした。
「何処でカレーを食べるのかな」
「この施設の食堂です」
ステファン氏はすぐに答えました。
「こちらで」
「ああ、食堂が出来たんだね」
「はい、今は」
「私が日本に行ってからだね」
「グループの人達が管理していますので」
「それでだね」
「食堂も出来まして」
そしてというのです。
「寮もです」
「あるんだね」
「一人暮らし用のアパートですが」
それが寮だというのです。
「それを買い入れて改築しまして」
「寮にしたんだね」
「そうです、そこに食堂もありまして」
そうしてというのです。
「お風呂場におトイレもです」
「あるんだね」
「イギリスのアパートです」
「ああ、そうなんだ」
先生はそう聞いて笑顔で言いました。
「日本のものではないね」
「いえ、それがです」
「それが?」
「お風呂場とアパートは別になっています」
「ユニットじゃないんだ」
「そこは違います」
「日本から来ている人が多いからかな」
「日本ではどうしてもですね」
ステファン氏は先生にお話しました。
「別になっていますね」
「最近はそうしたお部屋もあるけれどね」
「基本は分かれていますね」
「お風呂場とおトイレはね」
「ですから」
それでというのです。
「寮もです」
「別なんだね」
「そうです、それで先生は旅館におられますね」
「そうなんだ、そこで寝泊まりしながらね」
先生はステファン氏に正直にお話しました。
「働かせてもらうよ」
「左様ですね」
「そしてね」
先生はさらに言いました。
「そこで温泉もね」
「楽しまれますか」
「実際に温泉があるんだ」
旅館にはです。
「お風呂場がそうなんだ」
「いや、イギリスで温泉もです」
「昔はなかったね」
「それも日本風の」
「全くだね」
「日本の旅館なんて」
それこそというのです。
「あるなんて」
「想像もつかなかったね」
「ですがその旅館がです」
「このパドルビーに出来てね」
「利用出来ますから」
「嬉しいね」
「凄いことです」
ステファン氏も言います。
「本当に」
「そうだね」
「はい、それでは」
「うん、これから宜しくね」
「こちらこそです」
ここで、でした。ステファン氏は右手を差し出しました。先生もそのステファン氏に応えて右手を出してです。
握手をしました、そうしてお話しました。
「宜しくお願いします」
「こちらこそ」
「それではです」
「これからお昼を食べて」
「そしてです」
そのうえでというのです。
「ことをはじめましょう」
「それではね」
「はい、それで気付いたことですが」
ステファン氏は握手の後でこうも言いました。
「先生の英語はキングス=イングリッシュですが」
「私が話すのはそうだね」
「訛りがありますね」
「ああ、それはね」
どうしてかとです、先生はすぐに答えました。
「私がずっと日本にいるからだね」
「だからですね」
「今は殆ど日本語を話して」
そうしていてというのです。
「頭で考える言語もね」
「日本語で」
「すっかり日本語に親しんで」
そうなっていてというのです。
「そのせいでね」
「日本語の訛りがありますね」
「逆に私の日本語はずっと英語訛りがあるって言われていたよ」
「キングス=イングリッシュのですね」
「そう、そしてね」
そうであってというのです。
「わかる人はこのパドルビーのね」
「訛りがあるとですね」
「言われたよ、そう考えると」
それならというのです。
「今こうしてね」
「英語に訛りが出てもですね」
「面白いと思うよ」
「面白いですか」
「自分では普通に話をしているつもりでも」
それでもというのです。
「訛りはね」
「出ますね」
「どうしてもね、そしてね」
そうであってというのです。
「そのことを調べるのもね」
「学問になりますね」
「語学のね、ちなみに私の日本語は関西の言葉だよ」
「日本のですね」
「口調はそこまでいっていなくても」
それでもというのです。
「言葉のアクセントがね」
「日本の関西のものですね」
「神戸という街のね」
「八条グループの拠点がある」
「そうなんだ、ではその英語でね」
それでというのです。
「話していって」
「お仕事もですね」
「していこう」
笑顔でお話してでした。
先生はステファン氏と一緒にカレーを食べに行きました、先生の懐かしい街でのお仕事がいよいよはじまろうとしています。