『ドリトル先生と不思議な自衛官』




                第四幕  雨と雪の街

 先生達はホテルに荷物を置くと早速舞鶴の街に出てフィールドワークに入りました。
「基地だけでなくね」
「そこにある街もだね」
「うん、見て回らないとね」 
 王子にその中に入ってとお話しました。
「駄目だからね」
「まずは舞鶴の街に出て」
「見て回ろう」
「そうするんだね」
「この街は結構広くてね」
 先生は早速舞鶴の街についてお話しました。
「色々見て回ると面白いんだ」
「そうなんだね」
「基地だけじゃなくてね」
「だからその街並みも見て回って」
「学ぼうね」
「まずはそうするんだね」
「明日は基地に行くけれど」 
 それでもというのです。
「今日はね」
「そうするんだね」
「そうだよ、夜までね」
「街の中を見て回るね」
「そして夜はね」
 この時間はといいますと。
「ホテルに戻って」
「そちらでだね」
「ディナーを楽しんで」 
 そうしてというのです。
「くつろごうね」
「そうするね」
「今日はね」
 こうお話するのでした。
「時間の許す限り」
「街を見て回るんだね」
「商店街は駅からホテルに行く間で見たけれど」 
 それだけでなくというのです。
「他の場所もね」
「見ていくね」
「それは舞鶴にいる間は」
「ずっとだね」
「やっていこう」
「基地を見るだけじゃないことは」
 王子はしみじみとした口調で言いました。
「いいね」
「そう言ってくれるね」
「先生らしいよ」
 こう言うのでした。
「本当にね」
「広く見るんだよね、先生って」
「学問について」
「只学ぶ対象だけ見ないで」
「その周りも見るんだよね」 
 動物の皆も言います、先生のあるところ皆ありなので当然ながら今も先生と一緒にいて舞鶴の街を闊歩しています。
「そうするんだよね」
「それで多くの物事を学ぶんだよね」
「今現在学ぶ対象以外のことも」
「本当に広く学んで」
「そうして学問を深めていくね」
「学問は垂直に掘るんじゃなくてね」
 先生は皆に学問を地面を掘ることに例えてお話しました。
「すり鉢みたいにね」
「掘っていくものだね」
「本当に広く」
「そうしていくものだね」
「だからね」
 それでというのです。
「僕もね」
「そうしていくね」
「広く学んでいく」
「自衛隊だけじゃなくて」
「その周りのことも」
「舞鶴の街のこともね」
 そちらもというのです。
「していくよ」
「そうだね」
「じゃあ見ていこう」
「舞鶴の街もね」
「そうしていこうね」
「是非ね」 
 皆にもお話してでした。
 先生は舞鶴の街を皆と一緒に歩いてフィールドワークをしていきます。ですが五時位になるとでした。
「暗くなってきたね」
「早いね、日が落ちるのが」
「冬だしね」
「仕方ないね」
「うん、冬は夜になるのが早いよ」
 先生も言いました。
「朝は遅くてね」
「そうだよね」
「だから仕方ないね」
「夜になったことも」
「このことも」
「だからね」  
 それでというのでした。
「ここはね」
「もう帰るね」
「そうするね」
「ホテルに」
「それで休むね」
「焦ることはないよ」 
 先生の決して焦ることがない性格も出ました。
「別にね」
「そうだよね」
「今回もね」
「焦らずじっくりと見ていけばいいね」
「そうしてもね」
「そうだよ、夜は夜で学べるしね」 
 先生はホテルに帰ってからのこともお話しました。
「本を読んでインターネットを使って」
「そうだよね」
「幾らでも学べるよね」
「学ぼうと思えばね」
「その時は」
「だからね」 
 それでというのです。
「嫌に思うことはないよ」
「夜になっても」
「そうなることが早くても」
「それでフィールドワークが出来なくなっても」
「フィールドワークは欠かせなくても」
 学問にはです。
「それが出来ないならね」
「それならそれで学べる」
「それが学問だね」
「色々な学び方がある」
「そうだね」
「そうだよ、じゃあホテルに戻ろう」
 皆にお話してでした。
 先生は実際にホテルに戻りました、そしてまずは皆でお部屋のお風呂に入りましたが窓から夜の舞鶴を見るとです。
 雪が降っていました、皆それを見て言いました。
「うわ、雪だよ」
「寒いだけあって」
「雪が降ったね」
「これは積もるかしら」
「この勢いだと積もるね」
 先生は雪のそれを見て皆に答えました。
「朝になったら銀世界が見られるよ」
「ううん、そうなるとね」
「ちょっと大変だね」
「基地に行くにしても」
「足元には注意だね」
「こうなることは想定していたよ」 
 先生は落ち着いて声で述べました。
「雪が積もることもね」
「そうなんだ」
「先生としては」
「お天気のことも頭に入れていて」
「そうだったのね」
「うん、舞鶴は寒いし」
 それにというのです。
「雨や雪もね」
「多いんだね」
「そうなんだね」
「この通り」
「だから住むと」
 舞鶴にというのだ。
「寒さとね」
「このことにもだね」
「注意しないと駄目なのね」
「雨や雪が多いことも」
「そうだよ」
 湯舟の中に入りながらお話します、外は雪ですがお湯はとても温かくて気持ちいいものでした。皆も一緒に入っています。
「頭に入れることだよ」
「成程ね、思えばね」
 ここでホワイティが言いました。
「僕達も雨や雪には慣れてるね」
「寒さにもね」
「慣れてるね」
 オシツオサレツは二つの頭で言いました。
「イギリスでね」
「そうだね」
「イギリスって雨多いからね」
「凄くね」 
 チープサイドの家族も言います。
「ステッキの代わりに傘を持つ」
「そう言われてる位だしね」
「しかも日本より緯度が高いから」
 だからだと言うトートーでした。
「冬は特に寒いんだよね」
「だから雪も多いんだよね」
 ジップが続きました。
「これがね」
「だから慣れてるのよ」
 ガブガブはきっぱりとした口調で言いました。
「雨や雪にはね」
「寒さにもね。好きでなった訳じゃないけれど」
 それでもと言う老馬でした。
「慣れてると困らないね」
「こうしたことも経験ってことね」
 ポリネシアはこう考えました。
「要するに」
「そうだね、気候のことも経験だね」
 チーチーがポリネシアに応えました。
「そのうちの一つだね」
「本当に経験は強いね」
 ダブダブもこのことについて思いました。
「最大の教師の一人かもね」
「うん、舞鶴に最初に来た人は戸惑うそうだから」
 先生は皆に応えました。
「その気候にね」
「そうだね」
「けれど慣れてると戸惑わない」
「学問も落ち着いて出来る」
「そうだね」
「その通りだよ」
 まさにというのです。
「本当にね、じゃあ明日はね」
「落ち着いてだね」
「雪の舞鶴の中を歩いて」
「それで基地にお邪魔して」
「見学させてもらうわね」
「そうさせてもらおうね」
 皆に笑顔でお話してでした。
 そのうえでまずはお風呂を楽しみました、その後でディナーとなりましたが王子はそのディナーを食べて目を輝かせました。
「美味しいね」
「とてもね」
 先生も食べて笑顔になります。
「これはまたね」
「素敵な味だよ」
「特に魚介類がね」
「舞鶴は日本海に面しているから」
 それでと言う王子でした。
「魚介類はいいんだね」
「そうだよ、だからね」
「舞鶴にいる間は」
「魚介類も楽しもうね」
「それじゃあね」
「あとね」
 先生はさらに言いました。
「自衛隊がある街の特徴かな」
「何かな」
「飲めるお店も多いから」
「ああ、そのことお話してくれたね」
「だからね」 
 それでというのです。
「そちらもね」
「楽しめばいいね」
「そうしようね」
「それじゃあね」
「それとね」 
 さらにお話する先生でした。
「明日は雪が積もって」
「うん、凄い雪だね」
 王子もこのことについて頷いて言います。
「見れば」
「だからね」
 それでというのです。
「明日は暖かくして」
「服をそうして」
「そしてね」
 そのうえでというのです。
「足元にも気を付けて」
「行くことだね」
「間違いなく積もるから」
 だからだというのです。
「そうしようね」
「それじゃあね」
「それと僕はお食事の後は部屋にいるから」
「そこで学問をするんだね」
「舞鶴と海上自衛隊についてね」
「学ぶなね」
「本を持って来たしノートパソコンもあるから」
 だからだというのです。
「そちらでね」
「学ぶんだね」
「そうするよ」
「先生は本当に学問の人だね」
「好きだよ」
「その好きをね」
 まさにと言う王子だった。
「越えてるね」
「そこまでなんだね」
「もう飲んだり食べたり息をする」
「そこまでだっていうんだね」
「先生の場合はね」
 学問はというのです。
「そこまでだよ」
「そうなんだね」
「そう思ったよ、それじゃあ」
「うん、食べ終わったらね」
「学問だね」
「励ませてもらうよ」
 そうさせてもらうというのです。
「是非ね」
「頑張ってね、僕はね」
 王子は自分のお話をしました。
「食べ終わったら執事さんとね」
 今も後ろに控えています、この人はもう食べ終えています。
「明日のことでね」
「お話をするね」
「そうさせてもらうよ」
 笑顔で言うのでした。
「僕は公務だからね」
「王子としてのだね」
「留学中でもね」
 そうであってもというのです。
「お仕事はね」
「あるよね」
「これがね」
「王室の人も大変だね」
「否定出来ないね」
 王子は少し苦笑いになって答えました。
「そのことは」
「そうだね」
「本当に何かとね」
「公務があるね」
「うちの国でもそうだし」
「どの国でもそうだね」
「特に日本の皇室はね」 
 王子は今自分達がいるお国のこちらの方々のことも思いました。
「そうだね」
「物凄いね」
「うん、もうご公務ばかりで」
「息をつく時間もない位だよ」
「そうだよね」
「あの方々はね」
「本当に大変だね」
 こう言うのでした。
「僕なんかよりもね」
「遥かにだね」
「うん、そういえば」
 王子はさらに言いました。
「皇室の方々は今は自衛隊には」
「おられないよ」
「そうだね」
「お一人もね」
 先生は確かな声で返事をしました。
「おられないんだ」
「今はそうだね」
「かつてはおられたけれどね」
「日本軍にはだね」
「戦争前はね」
「そうだったね」
「イギリスみたいにね」
 先生の祖国の様にというのです。
「そうだったよ」
「むしろイギリスに倣ったね」
「当時の欧州の皇室や王室にね」
「そうだったね」
「君主の家の方なら」
「当時は軍務に就いていたね」
「そして今でもね」
 先生はメインの豚肉のステーキを食べつつ答えました。
「イギリスではだよ」
「軍務に就いておられるね」
「そうだよ、けれどね」
「今の日本は違うね」
「自衛隊だしね」
 軍隊でなくというのです。
「それに戦前と今ではね」
「何かと違うから」
「皇室の方でね」
「軍務に就いておられる方はおられないね」
「だから軍服もね」
 この服もというのです。
「戦前は着ておられたね」
「昭和帝もね」
「けれど今は」
「全く着られないね」
「そうだよ、そこもね」
「大きな違いだね」
「戦前までの日本と今の日本と」
 それにというのです。
「帝国陸海軍と陸空海の自衛隊とのね」
「違いだね」
「そうなんだ」
「成程ね」
「何しろ今の日本は」
 先生は微妙なお顔になって言いました。
「自衛隊にも皇室にもね」
「否定的な人がいるね」
「そうだね」
「若し皇室の方が自衛隊に入られたりしたら」
「もうね」
 それこそというのです。
「どれだけ言うか」
「わかったものじゃないね」
「けれどこうした人達は常にね」
 それこそというのです。
「自衛隊や日本の皇室は駄目で北朝鮮はね」
「いいんだよね」
「あの国の軍隊も共産主義なのに世襲の独裁者もね」
「あちらの国民の人達が支持してるとか言って」
「支持されている筈がないよ」
 絶対にというのです。
「若し本気で思っていたら」
「どうかしているね」
「もうその時点でね」
 それこそというのです。
「どうしようもない位にね」
「そう言っていいよね」
「うん、あそこに支持以外言えるか」
「言える筈がないね」
「そして自衛隊や皇室は」
 日本の方はというのです。
「その人が支持していなくても」
「他の多くの人がだね」
「支持しているよ」
「そうした人達って自分だけってことだね」
 王子は豚肉のステーキをさらに食べつつ言いました。
「もうね」
「そうだよ、それこそね」
「自分が支持しているしていないで」
「言っているだけだよ、そしてね」
「そして?」
「さらに無神論者であることも多くて」
 そうした人達はです。
「自分の力だけで進むって言うよ」
「うん、間違えるね」 
 王子は冷めた口調で断言しました。
「絶対に」
「そうした人達はだね」
「そんな頭じゃね」
「自分の力だけで進んでも」
「間違えるよ」
「人生自体をね」
「変な活動家になって」
 そうしてというのです。
「世の中の殆どの人達から白い目で見られてね」
「終わりだね」
「確実にね」
「僕も確信しているよ」
「そんな人達はね」
「考えをあらためない限り」
 さもないと、というのです。
「確実にね」
「間違えるね」
「とんでもない主張ばかり声高に叫んで」
 そうしてというのです。
「周りを全く見ないでね」
「そうしてだね」
「人生を決定的に間違えて」
「おかしい人生を歩んで」
「そして周りから軽蔑されて」
「しかも実りある人生にはならないね」
「何でも反対で」
 それでと言う先生でした。
「北朝鮮みたいな国を支持してね」
「皇室や自衛隊は反対」
「そんな風だとね」
「実りある人生である筈がないね」
「そうだね」
「沖縄の基地の前で騒いでいる人達がね」
 先生は沖縄に行った時のことを思い出しつつお話しました。
「まさにそうした考えの人達だけれど」
「何も生み出してないね、あの人達」
「そして何も備えてないね」
「努力も何もしてなくて」
「人間性も教養も磨いていないね」
「彼等は歴史でどう評価されるなんて」
 それこそと言う先生でした。
「言うまでもないね」
「もうそれこそ」
「そんな人達なんてね」
「絶対にいい評価受けないよ」
「どう考えても」
「その人達が自分達をどう思っていてもね」
 主観で、というのです。
「けれどね」
「それでもだよね」
「もう言うまでもないね」
「それこそ」
「そんな人達については」
「学生運動の頃からね」
 昭和四十年代の日本のこの騒動のお話もしました。
「もうそれこそだよ」
「全く変わっていない」
「そうだよね」
「暴れるだけ叫ぶだけで」
「他は何もないし」
「体制に反対していることがいいことか」
 先生は言いました。
「違うね」
「体制がどういったものかチェックして」
「問題があれば訂正していく」
「その為に選挙に行って」
「投票して自分達が支持する政党に政権を取ってもらう」
「そうすることだね」
「民主主義はね」
 まさにと言う先生でした。
「そうしたものだね」
「少なくとも国会があるとね」
「そうした風だよね」
「自分の主張を言うことは当然だけれど」
「要は選挙だよ」
「選挙に行けばいいよ」
「選挙でも勝てないから革命起こして政権に就くなら」
 それならと言う先生でした。
「それは暴力だね」
「暴力を肯定するとね」
「その時点でおかしいよね」
「少なくとも法律守ってないよ」
「犯罪になるよ」
「犯罪がいいというならね」 
 先生は眉を曇らせて言いました。
「もうね」
「逮捕されるね」
「それで罪に問われるよ」
「少なくとも法律でそうなってるし」
「法律は守らないとね」
「問題のある法律は変えればいいし」
 そう思うならというのです。
「それを行う権利もね」
「民主主義だとあるよね」
「今の日本にも」
「そうだよね」
「そうだよ、あるよ」
 先生は皆に言いました。
「しっかりとね」
「自分達が支持する人達に政権を担ってもらって」
「そして自分達がそうあって欲しいという社会にしていく」
「それが民主主義だね」
「法律についてもね」
「それをね」
 そうした社会の仕組みや考えをです。
「否定してね」
「ああして暴れて叫んでも」
「それも基地の前にテント張って住み込んで」
「平日もずっと朝から夜まで抗議している」
「それじゃあね」
「そもそもどうして生活の糧を得ているのかね」
 先生はこちらのことも指摘しました。
「気になるしね」
「沖縄だけじゃなくてね」
「他のところでもああした人達いるけれど」
「平日のお昼にデモして」
「それも毎日みたいに」
「そのことも調べられて」
 そうなってというのです。
「歴史でね」
「批判されるね」
「そうならない筈がないね」
「それこそ」
「本当にね」
「間違いなくね、何かああした人達を見ていたら」
 先生は心から思いました。
「自衛隊や皇室をしっかりと見て神様仏様もね」
「見てね」
「信仰心も持つ」
「そうすることが大事だね」
「そう思うよ、無神論で自分の力だけで生きていくという考えはいいけれど」 
 先生はこの考え自体は認めています、そうした考えもまた肯定する人としての器の大きさも備えているのです。
「けれどね」
「それでもだよね」
「考えが間違っているとね」
「人生を間違えるね」
「絶対に」
「そうならない筈がないよ」
 先生は言いました、そしてです。
 食事を楽しんでいってその中でデザートも食べてでした。
 その後でお部屋に戻って十二時まで学問に励みました、そして起きるとです。
 朝起きて朝食の後で基地に皆で歩いて向かいますが。
「やっぱりね」
「雪が積もってるね」
「屋根にも道にも」
「一面銀世界よ」
「そうなってるね」
「これが舞鶴なんだ、本当に雨や雪が多くて」
 先生は雪道を歩きつつ皆にお話します。
「冬はね」
「こうして積もって」
「街が白く化粧される」
「そうなるのね」
「そうなんだ」
 まさにというのです。
「そうした街なんだ」
「成程ね」
「寒くて降水量も結構で」
「こうなるんだね」
「そうした街だよ」
 皆に笑顔で言います。
「それじゃあそのことを頭に入れたうえで」
「うん、今からね」
「基地に行きましょう」
「海上自衛隊のそちらに」
「早く出たからね」
 先生は時間のお話もしました。
「八時にはね」
「基地に着くね」
「あちらに」
「そうなるわね」
「そうなるよ、自衛隊は八時だから」
 この時間にお仕事がはじまるというのです。
「丁度いいね」
「それは絶対だよね」
「八時にはじまることは」
「そのことは」
「そして陸自さんと空自さんは四時半に終わって」
 そうなってというのです。
「海自さんも基地はそうで艦隊だとね」
「そうそう、日没に終わるんだよね」 
 王子が言ってきました。
「そうだね」
「そうだよ、ただ下士官や兵隊さんは当直でないと」
 王子にもです、先生はお話します。
「基本四時半でね」
「終わりだね」
「そしてまた明日だよ」
「そうなっているね」
「それで夕食を食べて」
「後は自由時間だね」
「そうなるんだ、もっとも夜も当直だとね」
 それならというのです。
「お仕事あるけれどね」
「それはどの国の軍隊でも同じだね」
「そうだね、そしてね」
 先生はさらにお話します。
「僕達は八時からね」
「基地にお邪魔して」
「見学させてもらうよ」
「そうだね」
「楽しみだよ」
 今度は、でした。先生は。
 まるでピクニックに行く様なお顔になってです、こんなことを言うのでした。
「今からね」
「自衛隊の基地を見られるから」
「それで学べるから」
「だからだね」
「そうだよ、凄く楽しみだよ」 
 皆にその笑顔で言うのでした。
「本当にね」
「そうだよね」
「それじゃあね」
「今から行って」
「それで楽しみましょう」 
 皆も笑顔で応えてでした。
 そのうえで基地の門まで行きました、そこで守衛のセーラー服の人達に事情をお話し大学で発行してもらっている身分証にマイナンバーカードを見せてでした。
 中に入れてもらいました、するとです。
 黒地に袖のところに四本の太い金モール、リングがあるブレザーの制服と制帽を着た人がそこにいて先生に言ってきました、細面できりっとした涼し毛がお顔立ちの人でした。年齢は四十代前半といったところです。
 その人が敬礼をしてです、先生達に言ってきました。
「堀与実良です、この度は皆さんの案内役をさせて頂きます」
「あの、一等海佐さんですね」
 先生は堀与さんの制服の袖を見て尋ねました。
「そうですね」
「はい、総監部に勤務していまして」
「それで、ですか」
「この度は王子そして先生の案内役です」
「僕が来ているからかな」
 ここで王子が言いました。
「一等海佐、大佐なんて凄い人が出て来るのは」
「そうだね」
 先生は王子に応えました。
「やっぱり」
「そこまでしてくれるなんて」
「いえ、実はです」
 堀与さんは王子に畏まって答えました。
「基地司令がです」
「司令さんって」
「自ら案内させて頂くところです」
「それは幾ら何でも」
「王室の方それも太子なのですから」
 王子がそうした立場の人だからだというのです。
「本来は」
「いや、僕の国なんて小さいよ」
 それこそと言う王子でした。
「そんな国なのに」
「国の大小が関係あるでしょうか」 
 堀与さんは王子にこう返しました。
「そうしたことがある」
「あるよね」
「ないです、国家は国家です」
 堀与さんは確かな声で答えました。
「全く。ですから」
「一佐の人がなんだ」
「それでも失礼とです」
 その様にというのです。
「恐縮しています」
「そうなんだ」
「はい、それではこれから」
「案内をだね」
「させて頂きます」
「宜しくお願いします」
 ここで、でした。王子は。
 プライベートではなく公の口調になりました、そうしてです。
 皆と一緒に堀与さんの案内を受けて基地の中を観て回りました、まずは港に行きましたが多くの護衛艦が停泊しています。
 その中にとても大きな角張ったところもある護衛艦を観てでした、皆はこれはというお顔になって言いました。
「これがだね」
「イージス艦だよね」
「大きいね」
「そして恰好いいね」
「海上自衛隊を象徴する艦の一つだね」 
 先生もイージス艦を観て言います。
「まさに」
「そうだよね」
「凄く大きいね」
「こうして観たら」
「とても強そうだよ」
「そう、防御に回ったら」
 それこそというのです。
「舞鶴だけでなく日本のかなりの部分をなんだ」
「カバー出来るんだ」
「このイージス艦は」
「そうなんだ」
「レーダーで敵を察知して」
 そうしてというのです。
「数多くのミサイルを発射してね」
「そうしてだね」
「敵の攻撃を防ぐ」
「日本を守ってくれるんだね」
「海からね、何隻かあって」 
 海上自衛隊にというのです。
「日本を守っているんだ」
「成程ね」
「自衛隊は日本を守ってくれているけれど」
「まさにその代表だね」
「おかしな国から守ってくれている」
「北朝鮮がしょっちゅうミサイルを発射するけれど」
 先生はここでもこの国のお話をしました。
「その時何かあったら」
「その時はだね」
「このイージス艦が守ってくれる」
「そうしてくれるのね」
「そうなんだ、勿論他の兵器も守ってくれるけれど」 
 それでもというのです。
「イージス艦はね」
「その代表だね」
「海上自衛隊において」
「そうした艦艇なのね」
「そうなんだ、あとイージスというのは」
 先生はこの言葉についてもお話しました。
「ギリシア語でエイギス、アテナの盾だよ」
「敵から守るからだね」
 老馬はそのお話を聞いて言いました。
「盾だね」
「それも万全に守る女神の盾」
 ポリネシアも言います。
「その名前に相応しいわね」
「いいネーミングだよ」
 チーチーは感心している感じです。
「本当にね」
「自衛隊に相応しい艦でね」
「名前もそうね」
 チープサイドの家族も思うことでした。
「日本も国民の人達も守ってくれる」
「素敵な盾ね」
「確かあの盾にはメデューサの首があったね」 
 ダブダブはこのことを思い出しました。
「髪の毛が蛇」
「無数の五ミサイルが蛇ってことね」
 ガブガブはすぐにこう考えました。
「要するに」
「メデューサって怖いイメージがあるけれど」
「誰かを守ってもくれるんだ」
 オシツオサレツはしみじみと思いました。
「使い方によっては」
「そうなんだね」
「流石に見て石には変わらなくても」
 それでもと言うトートーでした。
「蛇の髪の毛が武器だね」
「その盾が幾つもある」
 ジップはしみじみとした口調で自分の考えを言いました。
「これは心強いね」
「そうだね、やっぱり誰かが守らないと」
 先生はさもないと、とお話しました。
「駄目だしね」
「そうだよね」
「国も国民もね」
「日本人がね」
「日本人がなる自衛官の人達がね」
「その為の兵器だよ、そして」 
 ここで、でした。先生は。
 基地の中を見学させてもらってイージス艦だけでなく他の護衛艦や基地の景観を撮影している人達を見て皆に言いました。
「僕達以外にも見学している人達がいるね」
「そうだね」
「結構多いね」
「今日は平日だけれど」
「何かお仕事がお休みで来たとかお話してるわね」
「有給取ったりとか」
「大学生の人も講義が休講でとか」
 皆もその人達を見て言います。
「お仕事や学校の間に来るなんて」
「熱心ね」
「しかも随分マニアックなお話をして」
「熱心に見ているし」
「マナーも守ってね」
 そのうえでというのです。
「しっかりとね」
「そうだよね」
「皆紳士だよ」
「案内役の自衛官の人のお話も聞いて」
「しっかりしてるね」
「沖縄で基地反対とか言ってる人達は全く違うよ」
「そう、ああした人達もいるけれど」
 それでもというのです。
「遥かに多くね」
「こうした人達がいてくれるね」
「自衛隊を好きな人達が」
「応援している人達が」
「いてくれるね」
「兵器や制服のマニアの人がいてね」
 そうしてというのです。
「自衛隊という組織自体を好きな人がだよ」
「いてくれているね」
「この通り」
「そうだね」
「そう、このことがね」
 まさにというのです。
「現実だよ」
「自衛隊が嫌いな人がいて」
「文句ばかり言っていても」
「それでもだね」
「遥かに多く好きな人がいてくれている」
「自衛隊を理解してくれている人達が」
「そうなんだ、ああした人達は一部だよ」
 自衛隊が嫌いな人達はというのです。
「それより遥かにね」
「こうしてだね」
「自衛隊を好きで」
「それでだね」
「応援していて」
「写真も撮っているんだね」
「それをインターネットでも掲載するからね」
 撮影した写真、画像をというのです。
「サイトやブログで自衛隊に好意的なものはね」
「多いんだね」
「反対している人達のそれより」
「遥かに」
「皇室も同じだけれどね」
 こちらの方々もというのです。
「ごく一部の人達が何を言っても」
「本当にごく一部で」
「殆どの人達はだね」
「自衛隊を支持して理解して」
「そして応援しているんだね」
「そもそも自衛官の人達は国民で」
 そうしてというのです。
「自衛隊は日本の組織だよ」
「そうだよね」
「そもそもね」
「ご家族やご親戚にもいるよ」
 自衛官の人達がというのです。
「そんな人達も多いよ」
「そうだね」
「言われてみればね」
「そうした人達もいるね」
「実際に」
「だからね」
 それでというのです。
「好きな人達は多いよ、というかね」
「というか?」
「というかっていうと」
「うん、これまでお話した自衛隊とかが嫌いな人達は」
 ここでまたそうした人達のことを言うのでした。
「自分達だけが日本人と思っているんだろうね」
「自分達と違う考え方だと日本人じゃない」
「そして自分達だけが正しい」
「そう思っているんだね」
「もうこうなるとね」
 それこそというのです。
「悪いこと間違ったことをしてもだよ」
「自覚しないね」
「そうなっても」
「そうだね」
「そうだよ」
 皆にお話しました。
「だから駄目なんだ」
「そうだよね」
「自分だけが正しいと思って」
「それで間違いを認めない」
「それが一番問題だね」
「だからね」
 そうした人達だからだというのです。
「本当に果てはね」
「沖縄の基地の前にいて」
「ずっとあそこで野宿みたいに過ごして」
「喚いて暴れてばかりいる」
「そうなるんだね」
「あれでは野蛮の極みで」
 そうしてというのです。
「品性も知性も秩序もね」
「何もないね」
「もうどうしようもないね」
「あの人達は」
「生きてはいても」
 それでもというのです。
「ゴミか何かとね」
「同じだね」
「あそこまでなったら」
「もうね」
「心から思うよ」
 先生はこんなことも言いました、そうして軍艦や基地を観て回ります。その案内役は堀与さんのままでした。








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