『ドリトル先生と桜島』




                第六幕  芋畑

 先生は皆と一緒に地質調査で鹿児島の各地を巡りつつ歴史や農業の勉強もしていきます。その中で、です。
 鹿児島名物のピンク色のアイスクリームにソフトクリームそしてシロクマのティーセットを紅茶と共に楽しみますが。
 一緒にいる皆はシロクマを見て言いました。
「何でその名前かね」
「不思議だったけれど」
「こうした理由だったんだ」
「盛り付けがシロクマさんのお顔だから」
「それでなんだ」
「そうだよ、だからね」
 先生は笑顔でお話します。
「シロクマなんだよ」
「そうなんだね」
「かき氷が白くてね」
「そこをベースにシロクマさんのお顔を作るから」
「だからだね」
「その名前なんだよ」
 シロクマになるというのです。
「面白いよね」
「本当にね」
「それで食べても美味しいしね」
「素敵だね」
「このセンスがいいよね」
 ネーミングと盛り付けのデザインのそういったものがとです、先生はそのシロクマを食べながらお話しました。
「尚且つとても美味しいから」
「鹿児島の気候にも合ってるね」
「暖かいからね」
「それで尚更いいね」
「美味しく感じるよ」
「それにね」
 皆はここで、でした。
 ピンク色のアイスクリームとソフトクリームも見てです、それでまたお話しました。
「これもいいよね」
「ピンクのアイスとソフトも」
「こっちも美味しいよね」
「薩摩芋のね」
「薩摩芋自体が甘いからね」
 先生はこちらのお話もしました。
「だからね」
「いいよね」
「甘くてね」
「素敵な味よ」
「とてもね」
「うん、しかも今日は暑い位だから」
 それでというのです。
「尚更美味しいね」
「そうそう」
「そして紅茶も飲む」
「ミルクティーをね」
「アイスのそれを」
「これもいいよ、しかしこの気温は」  
 先生はまたそちらのお話をしました。
「神戸とは全く違うね」
「そうだね」
「神戸は夏涼しくて冬は寒い」
「そうした場所だからね」
「前は海ですぐ後ろは山で」
「いつも六甲おろしが吹くからね」
「だからね」
 それでというのです。
「気温は低いけれど」
「しかも実感よりもね」
「六甲おろしのせいでね」
「尚更に」
「そうだけれど」
 それがというのです。
「この鹿児島はね」
「あったかいね」
「今日は暑い位で」
「同じ日本とは思えない位よ」
「そこまでだよ」
「お陰でこうしたものが美味しいよ」 
 シロクマやアイスクリームそれにソフトクリームがというのです。
「とてもね」
「全くだよ」
「じゃあ今日のティータイムはこっちを楽しもう」
「そうしようね」
「そしてね」
「食べ終わったらね」
「また地質調査だよ、今度はね」 
 先生は皆に笑顔でお話します。
「芋畑に行くよ」
「そっちの調査もするんだね」
「地質の」
「そうするのね」
「そうするよ、全体を調査して」
 そうしてというのです。
「その調査報告をまとめて提出する」
「それが先生の今回のお仕事だから」
「それでだね」
「そうするのね」
「芋畑も」
「そうするよ」
 笑顔で言ってでした。
 冷たいスイーツと飲みもののティータイムの後はまた地質調査をしました、実際に芋畑に行ってです。
 それを行うと火山灰は殆どありませんでした、先生は皆にそれがどうしてかを笑顔でお話しました。
「いつも手入れしているからね」
「それでだね」
「火山灰が少なくて」
「薩摩芋に相応しい土壌にしている」
「そうなんだね」
「確かに薩摩芋は痩せた土地でも沢山出来るよ」
 先生はこのことも言いました。
「ジャガイモと同じでね」
「だからこうして栽培されてるんだよね」
「畑で」
「そうだよね」
「けれどやっぱり適した土地の方がね」
 薩摩芋にとってというのです。
「よく出来るからね」
「だからだね」
「ちゃんと手入れして」
「火山灰もない様にする」
「そうしているんだね」
「そうだよ」
 まさにというのです。
「鹿児島の農家の人達もね」
「成程ね」
「そこは流石日本の農家の人達だね」
「痩せた土地でも沢山実る作物でもね」
「もっと実る様にする」
「その努力を怠らないんだ」
「そうだよ、そして薩摩芋自体の品種改良もね」
 そうしたこともというのです。
「しているよ」
「そういえば日本の薩摩芋ってね」
「食べても美味しいね」
「それもかなり」
「そうよね」
「沢山実って」
 そうしてというのです。
「そしてね」
「そのうえでだよね」
「美味しいし」
「しかも大きいのもあるし」
「その辺り流石だよね」
「日本人だよ」
「不思議だよね」
 先生は笑ってこうも言いました。
「日本はこれだけ農家の人達が頑張って沢山の農作物を作っているね」
「うん、スーパーとか行ってもね」
「日本の農作物多いよ」
「お野菜も果物も」
「種類も量も多くて」
「凄く豊かだよ」
「けれど日本の農業は駄目とね」
 その様にというのです。
「言われていたね」
「ああ、それが不思議だね」
「今先生が言う不思議は」
「そうだね」
「そうだよ、食糧自給率が低くて」
 そうしてというのです。
「農業が衰退してるって」
「何かやたら言われてたんだよね」
「日本の農業って」
「結構前まで」
「そうだったんだよね」
「学者やマスコミの人達がね」
 所謂知識人の人達がというのです。
「口を揃えて言っていたよ」
「ああ、いつもの大合唱だね」
「もうそれしか言わない」
「駄目だ駄目だって」
「日本の常だよね」
「いつも駄目だと言われてるとね」
 それも知識人というものを知っていてわかっていると思われている人達にです。
「駄目だって思うよね」
「そうそう」
「学校の先生にもね」
「いつも駄目と言われるとね」
「自然と駄目だって思って」
「やる気なくしたりするね」
「それで日本の農業もそう思われていたけれど」
 それでもというのです。
「この自給率は主食のことだったんだ」
「お米だね、日本は」
「あと主食だと麦とか大豆だね」
「そうしたものだね」
「その麦や大豆の国内生産が低かったから」
 だからだというのです。
「自給率が低いと言われていたんだ」
「けれど日本人の主食ってお米だし」
「何と言ってもね」
「麦や大豆がそうであってもね」
「一概に言えないわね」
「そして他の農作物はね」
 主食以外のというのです。
「畜産や水産もだけれど」
「かなりよくない?」
「あちこちで沢山作ってるよね」
「日本全土で」
「そうしてるね」
「そうだよ、だから農作物の総生産量は高くて」
 その実はというのです。
「しかも質もいい」
「決して日本の農業は駄目じゃない」
「そうだね」
「そもそも調べたら日本全土で農業やってて」
「スーパー行っても日本産の農作物多いし」
「それでどうして駄目か」
「不思議だね」
「そうだよ、実は日本は世界屈指の農業大国なんだ」
 その実はというのです。
「日本の先進技術特に農家の人達の頑張りを受けてのね」
「駄目どころかだね」
「その実はだね」
「そうだったんだね」
「日本の農業は」
「日本の知識人の人達のおかしなところがだよ」
 このことはぼやいて言う先生でした。
「また出てるね」
「ううん、もう何かね」
「日本の知識人の人達っておかしな人多過ぎだね」
「学者さんもマスコミの人達も」
「何かとね」
「そうだね、何しろとあるところからお金を貰って」
 そうしてというのです。
「先進国は皆パンだからパンを食べようとか言った先生もいたから」
「確か東大教授だよね」
「その先生って」
「東大教授がそう言ったらね」
「鵜呑みにする人多いよね」
「今もそうだし昔だとね」
 それならというのです。
「尚更だよね」
「昔はネットないしね」
「検証してそれを言う人少ないし」
「それじゃあね」
「総合雑誌で検証して言ってもね」
 例えそうしてもというのです。
「そうした雑誌よりも圧倒的に発行部数が多い週刊誌特に新聞でね」
「言うとね」
「もう効果絶大だよね」
「そうだね」
「うん、特にテレビで言うと」
 この媒体でというのです。
「凄いよ」
「その効果はね」
「かなりのものだね」
「それこそ」
「そうなるね」
「雑誌や新聞は文章を読んでね」
 そうしてというのです。
「そこから頭の中で想像して考えて理解するね」
「そうだよ」
「それが文章だよ」
「雑誌や新聞でもね」
「それに対してテレビはね」
 こちらはといいますと。
「映像と声でね」
「目と頭から直接入って」
「想像することなく頭に入って」
「それで理解するから」
「影響力は文章の比でないね」
「だからテレビで変なことを言うと」
 そうすればというのです。
「その悪影響たるやね」
「絶大だね」
「それで日本の知識人の人達はおかしな人が多過ぎて」
「農業でもそう言ってたから」
「テレビでもだね」
「それでだね」
「皆本当はどうか検証しないで」
 自分でというのです。
「それでね」
「そう思ってたんだね」
「日本の農業は駄目だって」
「食料自給率が低いから」
「それでだね」
「そうだったんだ、けれどその実は」
 先生は見事な薩摩芋畑を観つつ言いました。
「この通りだよ」
「見事な農作物が沢山あって」
「市場にも出回っていて」
「それでだね」
「凄く豊かなんだね」
「そうだよ、もう日本ではどの国より遥かにね」 
 それこそというのです。
「マスコミ特にテレビでの知識人の人達の言うことはね」
「信じたら駄目だね」
「間違っていることが多いから」
「それでだね」
「そうだよ、本当かどうかね」
 このことをというのです。
「自分で確かめないとね」
「そういうことだね」
「意図的に嘘吐く人いるしね」
「世の中にはね」
「残念なことに」
「そうしていこうね」
 是非にと言う先生でした、そしてです。
 皆で薩摩芋の地質調査を行う先生と一緒に芋畑を見ていきました、その畑はあまりにも見事なもので。
 チープサイドの家族もです、こう言いました。
「凄いね」
「立派な薩摩芋が沢山出来るわね」
 チープサイドの家族の中でこう言うのでした。
「この畑なら」
「間違いなくね」
「何か他の国のお芋よりもだよ」
 食いしん坊のガブガブはもう食べたくて仕方ない感じです。
「美味しいお芋が沢山出来そうだね」
「薩摩芋というだけあってね」
「鹿児島県のは特に美味しそうだよね」
 オシツオサレツも二つの頭で言います。
「実際ここに来て食べてるけれど」
「美味しいしね」
「それでこの畑のお芋もだね」 
 トートーも畑を目を輝かせて見ています。
「美味しいんだね」
「こうしたお話をしてると食べたくなるね」
 ホワイティの目も輝いています。
「お芋をね」
「さっきアイスやソフトクリームに使われていてね」
 ジップはティータイムの時のお話をしました。
「食べたけれどね」
「また食べたくなるわね」
 ダブダブはジップの言葉に頷きました。
「こうして見ていると」
「焼いても煮てもよくて」
 ポリネシアはお料理の方法を言いました。
「揚げてもね」
「潰してもいいんだよね」
 チーチーはこちらのお料理のお話をしました。
「お芋って」
「薩摩芋だってね」
 是非にと言う老馬でした。
「色々なお料理に使えるからね」
「そう、ジャガイモもいいけれど」
 それでもと言う先生でした。
「薩摩芋もね」
「いいよね」
「物凄く美味しいよ」
「それじゃあね」
「また食べようね」
「是非ね、今晩ホテルの晩ご飯に出たら」
 先生は言いました。
「食べたいね、それにね」
「それに?」
「それにっていうと」
「うん、お酒でもね」
 こちらでもというのです。
「飲みたいね」
「ああ、芋焼酎だね」
「薩摩芋から造った」
「それもあるね」
「ここに来て結構飲んでるけれど」
 それでもというのです。
「やっぱりね」
「飲みたくなるんだね」
「美味しいから」
「それでだね」
「黒糖焼酎もいいけれど」
 こちらだけでなくというのです。
「芋焼酎もね」
「いいよね」
「それじゃあね」
「今夜芋料理が出ても嬉しいけれど」
「お酒もだね」
「いいね」
 またこう言うのでした。
「じゃあホテルの人達にね」
「お願いするね」
「お酒は芋焼酎」
「そちらに」
「そうするよ、しかし焼酎もね」
 こちらのお酒自体がというのです。
「美味しいね」
「日本酒もいいけれど」
「焼酎もいいんだね」
「先生にとっては」
「そう思うよ、日本酒の美味しさに感激して」
 日本に来てというのです。
「そうしてね」
「焼酎にもそうなって」
「それでだね」
「今夜も飲むよ」
 笑顔での返事でした。
「そうするよ」
「うん、それじゃあね」
「是非そうしようね」
「今夜は芋焼酎飲もう」
「薩摩芋で造ったね」
 皆も笑顔で応えました、そうしてです。
 先生は皆と一緒に地質調査の後でホテルに戻りました、その途中お掃除をしているお婆さんを見ましたがそのお婆さんはです。
 他には見ない袋を持っていました、その袋は。
「火山灰入れる袋だね」
「鹿児島にはああした袋があるんだ」
「桜島がいつも噴火して」
「火山灰が降るから」
「それで火山灰をお掃除して」
「その灰をあの袋に入れているんだ」
「そうだよ、あの袋は鹿児島県独特のものでね」
 先生も皆にお話します。
「兎に角毎日みたいに噴火するから」
「火山灰がいつも降って来る」
「それでだね」
「お掃除をしないといけないから」
「その灰をどうするか」
「捨てない訳にはいかないけれど」
「普通のゴミじゃないから」
「それで専用の袋があるんだ」
 火山灰を入れるというのです。
「この県にはね」
「そういうことだね」
「鹿児島県独特だね、このことは」
「桜島がいつも噴火しているから」
「それでだね」
「そうだよ、ああした袋があることもね」
 まさにというのです。
「鹿児島県ならではだよ」
「そういうことだね」
「そうした地域性も見られたね」
「それだけ桜島はいつも噴火して」
「それで灰が多いってことだね」
「そういうことだよ、本当に鹿児島ならではだよ」
 先生は皆に微笑んでお話しました、そしてホテルに戻ると皆と一緒にそちらの大浴場に入りました。
 大浴場はサウナに水風呂もあってです。
 見事な湯舟もあります、先生はその湯舟の中に皆と一緒に入って言いました。
「このホテルは温泉でもあるけれど」
「その温泉もだよね」
「こちらもだね」
「桜島だね」
「そうだよね」
「そうだよ、桜島の地熱でね」 
 それによってというのです。
「鹿児島は温泉も多いんだよ」
「ただ噴火するだけじゃないんだね」
「火山灰を降らせるだけじゃないのね」
「温泉ももたらしてくれるんだね」
「桜島という火山は」
「そうなんだ、だからあちこちでね」 
 鹿児島県のというのです。
「温泉があるよ」
「そのことはいいことだね」
「悪いことばかりじゃないね」
「桜島は」
「そうだね、そしてね」 
 先生はさらに言いました。
「日本ではとてもよくあることだけれど」
「よくあること?」
「というと?」
「他に何かあるの?」
「うん、日本は神羅万象にそれぞれ神様がいるね」 
 日本のこのこともお話するのでした。
「そうだね」
「ああ、八百万の神」
「神道ではそう言うね」
「日本は神様がとても多くて」
「あらゆるものにそれぞれ神様がいるね」
「そうした国だね」
「富士山にも神様がいるしね」
 あの日本第一の山にもというのです。
「そしてだよ」
「桜島にもなんだ」
「神様がいるんだ」
「そうなのね」
「何でも感じられる人はね」
 神様をというのです。
「桜島には非常に大きな霊的なものがね」
「あるんだ」
「つまりそれがだね」
「桜島の神様なんだね」
「そうみたいだよ、もう鹿児島県全体を守護する様な」
 そこまでのというのです。
「凄い存在みたいだよ」
「そうなんだ」
「桜島は鹿児島県の象徴だけれど」
「霊的な存在、神様がいて」
「鹿児島県を護っているんだ」
「そうなんだね」
「そうみたいだよ、僕はキリスト教徒だけれどね」 
 先生はそれでもとお話しました。
「他宗教は否定しないし」
「肯定してね」
「キリスト教の神様以外の神様も認めてるね」
「その存在も」
「以前からそうだったけれど」
 それでもというのです。
「今はね」
「さらにだよね」
「そうなったよね」
「日本に来てね」
「日本という国に触れてから」
「そうなったよ、本当にね」
 まさにというのです。
「森羅万象に神々がいる」
「この世のあらゆるものに」
「それで山にもで」
「桜島にもで」
「鹿児島県を霊的に守護しているんだ」
 まさにというのです。
「素晴らしいことだね」
「全くだよ」
「いや、本当にね」
「只の元気な火山じゃないんだね」
「そうしたものでもあるんだね」
「そうだよ」
 先生は桜島がもたらしてくれている温泉を楽しみつつお話しました。
「素晴らしいことだね」
「全くだね」
「ただの火山じゃないんだね」
「そのこと覚えておくよ」
「僕達もね」
「そうしようね」 
 先生は笑顔のままです、そしてです。
 皆にです、こうも言いました。
「そういえばね」
「そういえば?」
「そういえばっていうと」
「うん、西郷さんも今は鹿児島に戻っているってお話したね」 
 このこともお話するのでした。
「僕は」
「そうだったね」
「大久保さんと一緒にね」
「今はそうしているってね」
「西郷さんは波乱万丈の人生だったね」 
 このことを振り返るのでした。
「武士として低い身分からはじまって」
「それで凄い貧乏でね」
「腕を痛めて剣道が出来なくなって」
「大久保さんに言われて学問を志して」
「それでどんどん成長してね」
「藩主の人に抜擢されて」 
 皆も西郷さんの人生についてお話します。
「活躍したけれど」
「その藩主さんがお亡くなりになって」
「その後の騒動で自殺未遂をして」
「死んだことになって島に流されて」
「その後で戻ったけれど」
「今度は次の藩主のお父さんに冷遇されて」
「とんでもない島の牢獄に入れられて」
 そうなってというのです。
「大変な目に遭って」
「そこから大久保さんが何とか助け出して」
「幕末の薩摩藩の領袖になって」
「大久保さんと一緒に大活躍して」
「討幕を果たして」
「維新でも日本の為に働いたね」
「そして明治帝にも気に入ってもらって」 
 そうしてというのです。
「その能力や人柄も認められて」
「お傍にいたけれど」
「征韓論で政府を辞めて鹿児島に戻って」
「畑仕事をしつつ犬と一緒に暮らして」
「後進の人達を教えていたけれど」
「西南戦争に担ぎ出されて」
「遂にね、けれどね」
 それでもというのです。
「必要とされる時にね」
「そうそう、西郷さんって出て来るよね」
「そうした人生だよね」
「波乱万丈でね」
「それでいて不思議だね」
「そんな人生だね」
 まさにとです、先生は言いました。
「運命に導かれた様な」
「その最期もね」
「そんな風だね」
「大久保さんと幼馴染みで」
「ずっと一緒にいて」
「その絆はずっとあったことも」
「運命はあるし」
 先生は確信しています。
「そしてその運命によってね」
「西郷さんは生きていたんだね」
「そして沢山のことをして」
「そのうえで最期を迎えたんだね」
「あの人は」
「そしてその西郷さんも」 
 先生はお風呂の中から浴場の窓の向こうに見える桜島を見ました、桜島は夕暮れの中にその姿を見せています。
「桜島にね」
「護られてたんだ」
「その一生を」
「そうだったんだ」
「そうかもね」 
 こう皆にお話しました。
「悲劇的な最期でも」
「それで士族の人達の叛乱が終わって」
「明治政府は確かになったし」
「その死まで意味があったね」
「日本の為になったね」
「西郷さんは叛乱を起こす様な人じゃなかったけれどね」
 決してというのです。
「それでも士族の人達が暴発して」
「それで担ぎ出されて」
「西郷さんも腹を括った」
「覚悟を決めて」
「この戦争で死ぬとわかっていて」
「そうしたけれどね」 
 このこともというのです。
「全てね」
「日本の為になったね」
「その死も」
「それも運命だったんだ」
「そして立派な最期だったよ」
 その死もというのです。
「潔くてまさに武士で」
「堂々としたね」
「少しも悪いところのない」
「見事なものだったね」
「そして死んでからも」
 それからもというのです。
「明治帝は賊とはされなかったね」
「そうそう、あの方ご自身がね」
「西郷さんは逆賊じゃないって言われてね」
「自ら言われて」
「後で高い位を与えられて」
「弟さんも西郷さんについていった人も重く用いられたね」
「その西郷さんもね」 
 まさにというのです。
「桜島に護ってもらっていたのかもね」
「ううん、凄いことだね」
 まさにとです、トートーは頷いて言いました。
「そこまで考えたら」
「桜島は鹿児島県を護っていて」
「西郷さんもだったのね」
 チープサイドの家族もお話しました。
「鹿児島の人だから」
「そして日本の為に純粋に動いてくれる人だから」
「最期の最期まで護って」
 ポリネシアは考える顔で言いました。
「死後までなのかな」
「西郷さんはまともな人なら貶めないわよ」 
 ダブダブは断言しました。
「絶対にね」
「そうだよね」
「立派な人だったことは間違いないからね」
 オシツオサレツはダブダブの言葉に二つの頭で頷きました。
「火との見方はその人それぞれで批判する人はいても」
「まともな人は貶めないよ」
「そんな西郷さんも護っていて」 
 ジップも言いました。
「必要な時に働ける様にしていたのかな」
「大久保さんという人がいてくれたことも」
 チーチーはこの人のことも思いました。
「そのうちの一つかな」
「西郷さんって何度も何度もピンチを迎えたけれどね」
 ホワイティは腕を痛めたり流されたりしたことを言いました。
「いつも奇跡的に最後は救われてるしね」
「やっぱり護られていたんだろうね」
 老馬も思いました。
「桜島に」
「そして運命のまま生きて」 
 ガブガブは桜島の方を見て言いました。
「運命のまま今に至るのかな」
「そうかもね、そして桜島は西郷さんだけでなくね」
 先生は皆にお話しました。
「鹿児島の人全てをね」
「護ってるんだ」
「そうしているんだ」
「鹿児島県や西郷さんだけでなく」
「そう思うよ」 
 先生としてはです。
「今の僕はね」
「霊的なものだね」
「このお話って」
「運命的で」
「宗教だよね」
「そちらのお話になるね」
「うん、宗教を否定すると」
 ひいては神の存在をというのです。
「どうしてもね」
「説明出来ないことってあるよね」
「世の中って」
「科学とかだけだとね」
「どうしてもね」
「そうだね、理屈だけではね」
 科学等を出してそれはというのです。
「とてもね」
「説明出来ないよね」
「西郷さんの人生も」
「とても」
「神様も仏様も否定して」
 そうした人のこともお話するのでした。
「自分の力、能力だけで生きるという人がいても」
「何かそうした人こそだよね」
「失敗するよね」
「えてしてそうしたものよね」
「日本でそうした人の中で僕が見た人は」
 そうした人はといいますと。
「以前お話したけれど日本の皇室や自衛隊は否定して」
「ああ、北朝鮮の世襲の体制は認めているんだったね」
「共産主義なのに世襲だっていうのに」
「そうした人だよね」
「もうね」
「もうこの時点で間違えてるしね」
 そうなっているというのです。
「その後の人生もね」
「失敗するよね」
「間違いなく」
「その考え自体が失敗しているから」
「そこからどうしても」
「僕はこの人を見てあらためて確信したよ」 
 そうなったというのです。
「人間はね」
「うん、神も忘れてはいけないね」
「その存在を感じる」
「そのことも大事だね」
「自分の力だけで生きられないね」
「まして今お話した人が自分の力だけで生きられるか」
 先生は皆に問う様に言いました。
「わかるね」
「普通の人に言ったら馬鹿だろでね」
「それで終わる人だからね」
「自分の力だけで生きられないよ」
「絶対に」
「僕もそう思うよ」 
 先生もというのです。
「間違いなくね」
「考えをあらためないとね」
「さもないととんでもない馬鹿な人生歩むね」
「大抵の人から駄目出しされる」
「そんな人生になるね」
「沖縄に行った時基地の前で不法にいつもいる人達がいたけれど」
 先生は沖縄で見たその人達のことを思い出しました。
「あの中に入っていてもね」
「おかしくないね」
「あの人達異様だったけれど」
「近寄った人に自棄に攻撃的で」
「やりたい放題な感じだったけれど」
「平和とか言いつつね」 
 口ではそう言ってもというのです。
「その行いはね」
「全然平和じゃなかったね」
「もう如何にもならず者で」
「カルトめいたものもあって」
「絶対にまともじゃないよ」
「あの中にいてもね」
 その人はというのです。
「おかしくなかったよ」
「そうだよね」
「最早ね」
「そうしたおかしな考えを持っていたら」
「そうなってもおかしくないね」
「うん、神仏を信じない人は誰もがそうなるとは思わないけれど」
 それでもというのです。
「そうなりかねないってね」
「思うよね」
「まあその人共産主義者かそれに近いと思うけれど」
「その考えは」
「僕は共産主義も否定しているけれどね」  
 先生はそうした考えでもあります。
「神は存在していると確信しているから」
「感じるしね」
「これまで妖怪さん達とも会ってきたけれど」
「妖怪さん達って神様がなったものでもあるっていうし」
「日本では極めて近いしね」
「神様と妖怪さん達は」
「そのこともあってね」
 まさにと言う先生でした。
「本当にね」
「先生はだよね」
「宗教を否定しないね」
「絶対に」
「神仏もね、いやしかし今お話した人については思うよ」
 先生は心から思いました。
「今沖縄の基地の前にいてもね」
「全然不思議じゃないね」
「違和感ないわ」
「若しそうしていても」
「別にね」
「そうなると思うと」 
 無神論者の人全てがそうでなくとも、というのです。
「怖くすらあるよ」
「ああなるとね」
「本当におしまいだからね」
「人間として」
「そうなるから」
「神学は続けていってね」
 そうしてというのです。
「神の存在を確かめていきたいよ」
「それが先生だね」
「学問をしていって」
「そこに神様も見ているのがね」
「まさにそうだね」
「そうだよ、ちなみに今お話している人はね」 
 その人のことをさらにお話しました。
「民主主義はどんな形態があるかと聞かれたら」
「何て言ったのかな」
「おおよそ察しはつくけれど」
「どう答えたのかな」
「共和制か共産主義と言ったからね」
 その様に答えたというのです。
「その人の頭の中では日本やイギリスは民主主義でなくて」
「北朝鮮が民主主義なんだ」
「もう完全に間違えてるね」
「どうしようもない位に」
「若い子にその人の話をしたら」 
 そうしたならというのです。
「馬鹿か阿呆ですかってね」
「言われたんだ」
「まあそう言うよね」
「どう見てもおかしいから」
「北朝鮮が民主主義とか」
「誰でもわかるからね」
「一歩間違えなくても運動家になって」
 そうしてというのです。
「その考えをね」
「行動に移してもね」
「おかしくないね」
「全く」
「そう思うよ」
 先生は残念そうに言いました。
「若しこの人が神様を信じる様になって」
「自分の力だけじゃない」
「神様も信じて生きていったら」
「違うんだね」
「そんな風にはなってないかも知れないのね」
「そうも思うよ、共産主義云々以前にね」
 それこそというのです。
「北朝鮮を支持することなんてね」
「もう有り得ないよね」
「日本の皇室に反対して」
「立憲君主制も否定するなら」
「うん、無神論以前かも知れないけれど」
 それでもというのです。
「そうした無神論の人を見るとね」
「どうしてもだよね」
「無神論はよくないって思うよね」
「間違えやすい考えだって」
「そうだよ、何かの折に神様を感じることもね」
 このこともというのです。
「人として大事だよ」
「全くだね」
「間違ってもその人みたいな考えに至ったらいけないわ」
「やっぱりね」
 皆もその通りと頷きました、そうしてです。
 皆でお風呂に入りながら桜島の霊的なもののことを考えてです。
 お風呂から上がると鹿児島のお料理と芋焼酎を楽しみました、その芋焼酎はとても楽しく先生も満足出来ました。








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