『ドリトル先生とタキタロウ』




                第五幕  湖に入って

 先生は朝早く起きて皆と一緒に朝ご飯を食べるとです。
 日の出と一緒に船で大鳥池に入りました、そうしてです。
 船を湖の真ん中に進めながら皆にお話しました。
「寒いけれど風邪をひいてないね」
「大丈夫だよ」
「テントの中で暖房を入れて寝たからね」
「温まっていたからね」
「風邪なんてひいてないわ」
「それは何よりだよ、東北だからね」 
 今自分達がいる場所はとです、先生は皆にお話しました。
「やっぱりね」
「寒いよね」
「夜かなり冷えたし」
「今だって寒いしね」
「神戸よりもずっとね」
「そうした場所ということはね」 
 まさにというのです。
「覚えておかないとね」
「そうだよね」
「寒い場所ってことはね」
「だから暖かくしていないとね」
「いつもね」
「だから皆暖かいものを食べて」
 そうしてというのです。
「集まってね」
「寒くならない様にしないとね」
「僕達もね」
「ちゃんとね」
「そうしようね、それは僕もでね」
 皆に暖かくしようと言う先生ご自身もというのです。
「厚着をいているよ」
「そうだよね」
「イギリスにいた時と同じ位だね」
「それ位の厚着ね」
「そうよね」
「そうだよ、ただ東北はね」
 先生達が今いる地域はというのです。
「実はロンドンより緯度は南にあるよ」
「そうなんだよね」
「これがね」
「日本って緯度はかなり南よ」
「冬はこれでも暖かい方だよ」
「欧州に比べたら」
「イギリスと比べてもね」
 先生が生まれ育ったこの国よりもというのです。
「暖かいよね」
「冬でもね」
「そうだよね」
「幾ら寒いと言っても」
「まだましなんだよね」
「そうなんだよね」
「スコットランドなんかね」
 ネッシーで有名なこの地域もといいますと、尚イギリスは連合王国でありスコットランドも国家になります。ちゃんと議会もあります。
「ロンドンよりもずっと寒いね」
「そうそう」
「その寒さときたらね」
「イギリスなんて比較にならないよ」
「それこそ」
「そうだね、あの寒さと比べたら」 
 それこそというのです。
「この寒さはましだね」
「そうよね」
「実は日本の宗谷岬でもパリより緯度は南だし」
「まだましなんだよね」
「そうよね」
「そう、だからね」 
 それでというのです。
「これ位は楽だね」
「風邪に注意しても」
「日本はまだ暖かいよ」
「北海道でもね」
「そうだね」 
 先生は笑顔で言いました、そしてです。
 皆にホットミルクティーを出しました、魔法瓶の中にあります。
「これを飲もう」
「あっ、紅茶だね」
「熱い紅茶を飲んでね」
「それを飲んで温まろう」
「そうしながら調査をしよう」
「そうしようね」
 笑顔で言ってです。
 先生はご自身も紅茶を飲みました、熱くてしかもミルクとお砂糖で普通の紅茶よりも温まるそれをです。
 飲んで実際に温まりました、そのうえでです。
 先生はまずは水質調査をしました、今回はすぐにできるものでしたが。
「うん、水質はいいね」
「そうなんだ」
「湖の水質はいいんだ」
「そうなんだね」
「うん、本当にね」
 実際にというのです。
「いいことだよ、ただね」
「ただ?」
「ただっていうと」
「何かあるんだ」
「確かに水質は奇麗に越したことはないけれど」
 それでもというのです。
「奇麗過ぎても駄目だからね」
「ああ、そうらしいね」
「日本人やったのよね」
「川や海が汚いから奇麗になる様にしたら」
「奇麗になり過ぎて」
「かえって生きものが暮らしにくくなったんだね」
「こんなこともあるんだってね」
 先生は首を傾げさせつつ言いました。
「僕も驚いたよ」
「奇麗にするっていいことなのに」
「それが過ぎたらかえって駄目だって」
「それがわかるなんてね」
「日本人もよくやったね」
「そこまで」
「全くだよ、瀬戸内海の汚染が酷いので対策を徹底したら」
 そうしたらというのです。
「奇麗になり過ぎてね」
「かえって生きものが暮らしにくくなって」
「生態系に影響が出たのよね」
「汚かった時とはまた別に」
「そうなったんだね」
「そうだよ、だから奇麗にするにも程々だね」
 極端はよくないというのです。
「やっぱりね」
「そうだよね」
「そのことは頭に入れておかないと」
「さもないとかえってよくないからね」
「そうだね、考えてみれば消毒し過ぎてね」
 そうしてというのです。
「雑菌を殺して役に立つ菌までになるから」
「そうなるからね」
「かえってよくないのよね」
「考えてみればね」
「身体でもね」
「そうなるからね」
「だからよくないよ」
 先生は気付いたお顔になって言いました。
「かえってね」
「そうだよね」
「身体でもそうだし」
「湖でもよね」
「そちらもね」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「奇麗過ぎてもよくないよ、それでこの水質はね」
「奇麗でもだね」
「程々だね」
「そうなのね」
「そうだよ、いい感じだよ」
 先生は微笑んで言いました。
「これはね」
「それは何よりね」
「それじゃあだね」
「水質調査もしたし」
「その後はね」
「うん、魚群探知機を使って」
 いよいよという口調でお話するのでした。
「調べるよ」
「この湖のお魚の数や種類を」
「そしてタキタロウについても」
「そうするのね」
「そうだよ、今からね」
 こう言ってでした。
 先生は魚群探知機での調査を開始しました、するとです。
「やっぱり水面の近くが多いね」
「そうなんだ」
「そこは他の湖やお池と同じだね」
「河川ともね」
「うん、そうだね」
「タキタロウはいるかな」
 ジップが最初に言いました。
「それで」
「そうそう、何といってもタキタロウだよ」 
 ガブガブも言います。
「大鳥池はね」
「僕達もタキタロウについてお話してたし」
「魚群探知機にも反応あるっていうし」
 チープサイドの家族も言います。
「それならよ」
「反応があるかどうか」
「さあ、反応はあるかな」 
 ホワイティは目を輝かせています。
「果たして」
「前調べたら実際にあったんだよね」
 このことはトートーが言いました。
「そうだよね」
「それなら絶対にあるよ」 
 チーチーは確信しています。
「タキタロウのそれがね」
「それで先生反応あるの?」
「大きなお魚のそれは」
 オシツオサレツも彼にしては珍しく興奮しています。
「どうなのかな」
「あるよね」
「なかったらがっかりするわ」
 ダブダブは心から思いました。
「それだけは御免よ」
「全くだよ」
 老馬はダブダブの言葉に頷きました。
「そうだったらね」
「それで反応あるのかしら」
 ポリネシアは本気で心配でした。
「それで」
「水面近くには多いらしいけれど」
 トートーはその時から言いました。
「どうなのかな」
「焦ったら駄目だよ、皆」
 先生はそんな皆ににこりとしてお話しました。
「タキタロウは水面から三十メートルからその下に反応があったね」
「あっ、そうだった」
「前にそう言ってたね」
「ここに来る前にね」
「先生そんなことも言ってたね」
「だからだよ」
 それでというのです。
「今は水面近くだから」
「それでなんだ」
「まだ三十メートル辺りは調べてないから」
「それでだね」
「水面近くにはいないのね」
「そうだよ、これからどんどん深いところを調べていくから」
 それでというのです。
「だからだよ」
「焦らない」
「落ち着いてだね」
「じっくり調査していくから」
「それでよね」
「焦らないことだよ、あといることは間違いないから」
 タキタロウはというのです。
「落ち着いて調査していこう」
「うん、それじゃあね」
「じっくりそうしていこう」
「これからね」
「焦ったら駄目だよね」
「未確認生物は焦らないで落ち着いて」
 そのうえでというのです。
「かつ偏見を取り除いてね」
「調査していくものだね」
「幾ら興奮しても」
「そこにロマンを見て」
「普通の生きものを調べる時みたいにね」
 その時と同じくというのです。
「腰を据えてやっていくものだよ」
「そうなのね」
「未確認生物も普通の生きものと同じなんだ」
「わかっている種類と同じで」
「じっくりとだね」
「そうだよ、そもそも僕達からは未確認でも」
 そう認識していてもというのです。
「当の彼等から見れば違うね」
「あっ、そうだね」
「自分達は思わないね」
「自分達のことはわかっているから」
「それじゃあね」
「そうだよ、だからね」
 未確認生物といってもというのです。
「普通にだよ」
「他の生きものと同じく」
「落ち着いて調査していくことね」
「絶対に焦らないで」
「そのうえで」
「冷静にね、逸る気持ちがあっても抑えて」
 そうしてというのです。
「やっていこうね」
「それじゃあね」
「そうしていこうね」
「タキタロウについてもね」
「そうしていこう」
「それじゃあね」
 こう話してでした。
 先生は水面からその下も調べました、するとです。
「あっ、大きなお魚の反応が幾つかあるよ」
「大きな?」
「というとやっぱり」
「タキタロウだね」
「そうだね、七十センチか八十センチ位でね」
 それ位でというのです。
「幾つか反応があるよ」
「それタキタロウだね」
「絶対にそうよね」
「魚群探知機に反応があるなら」
「それならね」
「間違いないね」 
 先生もこれはというお顔で頷きました。
「これは」
「いやあ、やっぱりいたんだ」
「タキタロウいたんだ」
「いるかいるかって思ったら」
「本当にいるのね」
「うん、実在は確実と思っていて」 
 そうしてというのです。
「魚群探知機に反応があると確信していたけれど」
「それでもだね」
「実際にあってだね」
「先生も嬉しいんだね」
「実在が間違いないと自分の調査でわかって」
「嬉しいよ、それではね」
 笑顔でさらに言う先生でした。
「他の場所からも調べていこう」
「そうするんだね」
「今日は」
「これからもなのね」
「是非ね」
 こう言ってでした。
 先生は船を動かして魚群探知機での調査を続けました、そうしてお昼には岸辺に戻ってお昼ご飯にしますが。
 お握りにお野菜とスパムを炒めたものそれに卵と玉葱ともやしの簡単なスープをスタッフの皆と一緒に食べながらです。
 先生は午前中の調査のことをスタッフの人達にお話しますとどの人も目を輝かせてそのうえで言いました。
「それはいいですね」
「全くですね」
「やっぱりタキタロウはいるんですね」
「実在しますね」
「はい、そして」 
 先生はお握りを食べつつお話しました。
「お魚自体もです」
「多かったですか」
「そうでしたか」
「今回の調査は」
「はい」
 そうだったというのです。
「また調査しますが」
「それは何よりですね」
「やはり数が多いことに越したことはないですね」
「お魚も他の生きものも」
「そうですね」
「はい、ただ多過ぎますと」
 この場合についてもお話する先生でした。
「やはりです」
「問題ですからね」
「そこは注意して」
「程々がいいですね」
「何でも程々ですね」 
 先生は野菜炒めの中のキャベツを食べつつ言いました、その他には人参や玉葱それにもやしやピーマンもあります。
「やっぱり」
「そうです、それはです」
「保たないといけないです」
「いない場合も問題ですが」
「いる場合もです」
「そうですね、増え過ぎるとかえって環境を破壊します」 
 そうなってしまうというのです。
「そうなりますから」
「それは淡水でも同じですからね」
「他の地域と」
「お魚も他の生きものもです」
「増え過ぎると問題です」
「どうしても」
「ですから」
 その為にというのだ。
「僕もほっとしてしています」
「程々の多さで、ですね」
「どのお魚も」
「それで、ですね」
「そう思います、そしてです」
 先生は今度は炒められたスパムをお握りのおかずにしました、塩胡椒で簡単に味付けしているのがかえって美味しいです。
「他の生きものもです」
「はい、調査していきましょう」
「そちらも」
「そうしていきましょう」
「そうしましょう、それとです」
 先生はさらにお話しました。
「タキタロウの反応があったことは事実ですが」
「それでもですね」
「水深三十メートル位で」
「水面には上がってこないですね」
「そうです、いつもその辺りにいまして」
 それ位の深さに棲息していてというのだ。
「もっと深い場合もあり決してです」
「そこからは上がってきませんか」
「タキタロウは」
「そうですか」
「そうでした」
 まさにというのです。
「これが」
「そこから上がってこないとなりますと」
「目撃されないのも道理ですね」
「それもまた」
「そうですね」
「そうですね、おそらくごく稀に水面の方まで上がってきまして」
 そうしてというのです。
「その時にたまたまです」
「目撃されますね」
「そうですね」
「それで目撃例もありますね」
「そうでしょう、それにです」
 先生はさらにお話します。
「食べたお話もありますね」
「それがかなり美味しいらしいですね」
「何でも」
「実際に食べたという人もいて」
「それで」
「そのことからも思うのですが」 
 食べると美味しいことからというのです。
「タキタロウをイワナかマスではないかという説はです」
「信憑性がありますね」
「どちらも美味しいですから」
「だからですね」
「はい、昨晩イワナを食べてもです」
 そうもしてというのです。
「あらためて実感しました」
「確かに昨日のイワナ美味しかったですね」
「そうでしたね」
「お陰でお酒も進みましたね」
「先生もそうでしたね」
「美味しかったです」
 先生は一緒にいる動物の皆とにこりと笑い合ってからスタッフの人達にお顔を戻してからお話しました。
「まことに」
「そうですね」
「ではですね」
「そのことからもですね」
「味からもですね」
「マスも美味しいですし」
 このお魚もというのです。
「そうでしたら」
「タキタロウはイワナかマス」
「そうではないか」
「先生もそう思われますか」
「味から見ても」
「はい」
 そうだというのです。
「僕も」
「そうですか」
「よく言われていますが」
「やはりタキタロウはイワナかマスですか」
「そちらの種類ですか」
「そうかと」
 まさにというのです。
「僕もそう思います」
「そうなんですね」
「先生もですか」
「タキタロウはイワナかマスですか」
「そういったお魚の種類だというのですね」
「そうかと。原因はわかりませんが」 
 それでもというのです。
「大型になった」
「そうしたお魚ですか」
「タキタロウは」
「先生はそうお考えですね」
「泳ぎ方もそちらではないでしょうか」
 魚群探知機から見たそれもというのです。
「イワナやマスを思わせます」
「それを見てもですか」
「タキタロウはイワナやマスですか」
「そうですか」
「ソウギョではないですね」 
 この可能性はないというのです。
「おそらく」
「そういえばソウギョが美味しいとは聞かないですね」
「食べた人も日本ではいないのでは?」
「鯉はよくありますね」
「そして鯉は美味しいですね」
「はい、鯉は美味しいですね」
 先生も食べたことがあるので笑顔で言えます。
「本当に」
「そうですよね」
「鯉は美味しいですよね」
「淡水魚で一番美味しいかも知れないですね」
「鯉は鯛と共に最も格のあるお魚ですね」
 先生は笑顔でお話しました。
「そうされていますね、日本では」
「はい、海のお魚では鯛です」
「何といっても」
「それで江戸城でもよく食べていました」
「将軍様や大奥が」
「そうでしたね、そして淡水魚では」
 そちらのお魚ではというのです。
「鯉ですね」
「そうですよね」
「実際に食べても美味しいですしね」
「それだけの格を感じさせるだけ」
「本当に美味しいですよ」
「寄生虫が心配でも」
「そうですね、ですがソウギョについては」
 この大きなお魚はというのです。
「淀川や利根川という大きな川にいますし」
「日本の川は流れが急でソウギョには暮らしにくいですね」
「そう言われていますね」
「元々中国のお魚で大河に住んでいますから」
「広い中国の」
「そうですので」
 だからだというのです。
「中国のものと比べると狭い日本の湖にいるとは」
「あまり考えられないですね」
「どうも」
「ソウギョについては」
「まして大鳥池は比較的隔離されています」
 先生は大鳥池の特徴もお話しました。
「そうですね」
「はい、確かに」
「それが大鳥池です」
「堰止湖ですから」
「海とつながっていることはつながっていますが」
「隔離されています」
「そう言っていいです」
「近くにソウギョがいるという報告もない様ですし」
 このことを見てもというのです。
「どうもです」
「ソウギョはないですね」
「あらゆる面から考えても」
「そうなりますね」
「はい、あと鯉のお話が出ましたが」
 こちらのお魚のお話もするのでした。
「鯉もです、タキタロウのお話を聞きますと」
「ないですね」
「鯉も」
「そうですね」
「はい、鯉もです」
 こちらもというのです。
「ないです」
「そうですね」
「鯉もないですね」
「伝え聞く姿は鯉とは違います」
「どう考えても」
「鯉も確かに大きいです」
 このお魚もというのです。
「大きいもので一メートルはありますね」
「はい、鯉は大きくなります」
「確かに」
「環境次第でそうもなります」
「また個体によって」
「僕も伊勢神宮で見ました」
 先生はご自身のお話もしました。
「錦鯉ですが」
「あちらにはいますね」
「素晴らしい錦鯉達が」
「寄進されて」
「そのうえで」
「奇麗な彩で」
 錦鯉の中でもです。
「しかもですね」
「はい、大きさもです」
「環境と栄養がいいのでかなりのものになります」
「実際どの鯉も大きく」
「一メートル位のものもありますね」
「日本第一の大社だけあって」
 それでというのです。
「凄いですね、ですがタキタロウは鯉とはです」
「とても思えないですね」
「鯉は頑健であらゆる河川湖沼に適応出来ますし」
「大きさもかなりですが」
「伝え聞くタキタロウとは違いますね」
「どう考えましても」
「そうです、タキタロウとはです」
 まさにというのです。
「違います」
「そうですね」
「ソウギョもないですが鯉もないですね」
「やはりタキタロウはイワナかマスですね」
「そちらですね」
「そう思います」
 こう言うのでした、先生も。
「本当に」
「そうですね、問題はどちらかですね」
「イワナかマスか」
「そのどちらか」
「それが問題ですね」
「そう思います」
 実際にというのです、こうお話してです。
 先生は昼食を楽しみました、野菜炒めもスープもお握りもとても美味しくて先生は満足しました。そして午後も船で湖の調査をしますが。
 三時にはティータイムを欠かしません、今日のセットはクッキーにバウンドケーキにドライフルーツです。
 そうしたものを食べてミルクティーを飲んでいる先生にです、一緒に楽しんでいる動物の皆が言いました。
「何ていうかね」
「お昼のお話は流石先生だね」
「本当にね」
「僕達もお話を聞いていて思ったよ」
「そうね」
 こう言うのでした。
「本当にね」
「流石先生と思ったよ」
「ただタキタロウが実際にどんなお魚か」
「そこまではまだだね」
「先生もわからないんだね」
「うん、何しろ実際に見てね」 
 この目でとです、先生は温かいミルクティーを飲みつつ答えました。
「調べた訳ではないからね」
「だからだね」
「それはだよね」
「先生もわからないね」
「そうだね」
「うん、タキタロウはこうした場所にいて個体数も少ないみたいだからね」
 その為にというのです。
「幻の魚と呼ばれて調査もね」
「進んでいないね」
「そうだね」
「本当に」
「そうなんだ、実在は間違いないと言っても」
 このことはいいとしてというのです。
「かろうじてそれがわかってる位で」
「それでなんだ」
「わかっているのはそれ位で」
「他にはだね」
「それが実情なんだ、もっと調べて」 
 そうしてというのです。
「確かめていかないとね」
「駄目よね」
 ダブダブが応えました。
「これから」
「もっとよく調べて」
 ホワイティも言います。
「確めないとね」
「そうだね」
「イワナにしてもマスにしても」
 チープサイドの家族も言います。
「それぞれの科でどう分類されるか」
「どんな種類かもね」
「生物学ってそういうものだしね」
 老馬も言います。
「しっかり確めないとね」
「出来るだけ細かく確かめて分類までして」
 ジップも言いました。
「生態系も調べないとね」
「ただ実際にいて何の種類か確かめて終わりじゃない」
 トートーも言います。
「そうだね」
「出来るだけ細かく調べる」
 チーチーはここでこうも言いました。
「それが学問だね」
「そうしたことがわかっていないとね」
 今言ったのはガブガブです。
「駄目だっていうしね」
「まともな学者さんなら」
 それならとです、ポリネシアは言いました。
「そこまでしないとね」
「そして先生はまともというかね」
「立派な学者さんだからね」
 オシツオサレツはそれでと言いました。
「それじゃあね」
「そこまでするね」
「学者としてすべきことはするよ」 
 先生は皆に穏やかに答えました。
「そうするよ」
「そうよね」
「それが先生だからね」
「そうするよね」
「そうだね」
「勿論だよ、あとね」
 先生はさらに言いました。
「捏造は絶対にだよ」
「したらいけないね」
「学者なら」
「そうだね」
「それだけはね」
「こうした話はあるけれど日本でもあったんだ」
 この国でもとです、先生はとても残念そうに言いました。
「一番有名なのが考古学だね」
「そうなんだ」
「考古学であったんだ」
「そうしたお話が」
「そうなんだ、ゴッドハンドと言われて」
 そうしてというのです。
「次々に凄い発見をした人が実はね」
「捏造だったんだ」
「それをしたんだ」
「そうした人だったの」
「そうなんだ、教科書に載る程だったのに」
 それがというのです。
「発掘したものとかが全部だよ」
「捏造で」
「それまでにしたことが嘘だとわかって」
「大騒ぎになったんだ」
「そうなんだ」
 実際にというのです。
「これがね」
「日本の知識人って酷いって言うけれど」
「戦争が終わってから」
「マスコミ関係者は特にだけれど」
「学者さんもだね」
「特に文系がね」
 こちらがというのです。
「法学、哲学、歴史学、教育学になると」
「特に教育学?」
「とんでもない先生多いよね」
「暴力とか性犯罪とか汚職とか」
「犯罪率他の職業より多いね」
「うん、そしてね」
 それでというのです。
「経済学もマルクスだけ言っていればいい様な」
「それだけで通じたんだね」
「日本の経済学って」
「そうなのね」
「そう、そしてね」 
 先生はさらにお話しました。
「歴史学も従軍慰安婦のことを事実のままだってね」
「言ってたよね」
「素人が少し調べたら慰安婦の人達の証言がおかしいってわかることなのに」
「何かとね」
「出鱈目ばかりなのに」
「それがね」
 実はというのです。
「マルクス主義に近いかほぼそうした人達が言いだしたことでね」
「それでなんだ」
「多くの学者さん達が検証しなかったの」
「自分達もそうした考えだったから」
「それでなのね」
「そう、それでね」
 そのうえでというのです。
「何も検証されずにね」
「それが事実だって言ったんだ」
「日本軍が人を攫ったとか」
「それで娼婦にしたとか」
「それをやったという人がいたけれどね」 
 その人攫いをです。
「調べたら嘘だったよ」
「そうだよね」
「そうしたらわかったのに」
「それでもだね」
「多くの学者さん達はそう言わなかったんだね」
「そうだよ、完全な捏造がね」
 それがというのです。
「日本では普通に通じたんだよ」
「酷いね」
「慰安婦にしろ考古学にしても」
「日本の知識人って質が悪過ぎるね」
「マスコミ関係者も学者さん達も」
「だからオウムの教祖を支持する様な人が戦後最大の思想家だったんだ」
 あのテロで多くの人を殺したカルト教団の教祖がというのです。
「偉大とか最も浄土に近いとかね」
「何処が?」
「本当に何処が、よ」
「その思想家の人おかしいよね」
「先生何度かお話してるけど」
「常識全くなさそうだよね」
「吉本隆明って言うけれど」
 その思想家の名前も出しました。
「僕はこの人の本は読まないよ」
「うん、読んでも意味ないね」
「そんなこと言う人の本はね」
「それがよくわかるよ」
「一目瞭然だよ」
「こんな人が戦後最大の思想家と言われたのも」
 このこともというのです。
「そんなレベルだったからだよ」
「戦後の日本の知識人達があまりに酷い」
「そんな人達だから」
「それじゃあね」
「そんな人でもそこまで言われるね」
「最低な人達の中だから」
「そうだよ、日本の戦後知識人の多くは活動家と変わらないよ」
 こうまで言う先生でした。
「主張もレベルもね」
「だから捏造も平気だね」
「普通にまかり通っていたんだね」
「慰安婦もそうで」
「考古学もで」
「日本はとても素晴らしい国だし知性も優れているけれど」
 それでもというのです。
「知識人はおしまいだよ」
「どうしようもないね」
「うちの学園は大丈夫だけれど」
「他の多くの大学だとね」
「高校や中学や小学校の先生でもね」
「マスコミ関係者でも」
「マスコミなんて捏造してもお咎めなしだね」
 先生は指摘しました。
「そうだね」
「うん、全くね」
「ネットでいつも言われてるね」
「他の国にもあるけれど」
「日本は特に酷いね」
「そうした人達を見て尚更思うよ」 
 先生としてはというのです。
「捏造は絶対に駄目だって」
「まさに反面教師だね」
「戦後日本の知識人は」
「まともに検証もしないで捏造もする」
「そんな人達だから」
「そんなのだと腐敗しきってね」
 そうなってというのです。
「やがてどうにもならなくなるけれど」
「もうなってるよね」
「特にね」
「そうなってるね」
「どう見ても」
「なっているよ」
 先生は残念そうに言い切りました。
「実際にね」
「そうだよね」
「もうどう見ても」
「発言や行動に責任取らないしね」
「そんなのだしね」
「自分の学問には責任があるよ」
 先生は紅茶を飲みつつ言いました。
「絶対にね」
「そうだよね」
「自分のお仕事だからね」
「お仕事には責任があるよ」
「絶対にね」
「だから責任を放棄したらね」
 その時はというのです。
「もう何でもないよ」
「そうだね」
「もうその時点でね」
「何でもないね」
「信用もなくなるわ」
「そう、何故今知識人が信用されないか」
 日本ではというのです。
「全く責任を取らなかったからだよ」
「何を言っても何をしても」
「どんな嘘を吐いても捏造しても」
「一切責任を取らない」
「そうしたことを見られたからだね」
「捏造を繰り返したテレビ局や新聞はね」 
 日本にあるそうしたところはというのです。
「今じゃ嘘吐き呼ばわりだね」
「そうよね」
「誰も信じないでね」
「また嘘かだね」
「そう言われてるね」
「実際に」
「そして人はその嘘を忘れないから」 
 見た人はです。
「ましてそれが意図的でいつもならね」
「尚更だね」
「信用しなくなるね」
「誰もが」
「そうだよ、その新聞社の記者なんかね」
 それこそというのです。
「その肩書きだけでだよ」
「信用されないね」
「実際にそうなっているわ」
「嘘吐きだって」
「悪意を以て捏造する人達だって」
「他の誰かをそうして貶める」
「悪意を以て捏造して人を意図的に貶めるなら」
 そうしたことをする人はというのです。
「それこそが悪じゃないかな」
「そうだね」
「ことの善悪は何かと言えるけれど」
「そんなことをする人はね」
「悪としか言い様がないね」
「それもかなり卑しいね」
 悪の中でもというのです。
「そんな人だよ」
「そうだね」
「まさにそうよね」
「悪の中でもね」
「そんな人達だね」
「そんな卑しい悪人が日本の知識人にはとても多くて」
 そしてというのです。
「彼等の知性はどうしようもなくて」
「他の人達が日本の知性を担っていた」
「そういうことだね」
「他の国と違って」
「他の国なら知識人が知性を担う筈だけれど」
「普通に働いている人達が担ったんだ」 
 戦後の日本ではというのです。
「だから慰安婦でもわかったんだ」
「その素人の人達が調べて」
「それでおかしいとわかった」
「そうだね」
「そうだよ、マスコミも学者もどうしようもなくても」
 それでもというのです。
「誰でも学べば知性を得られるからね」
「別に知識人だけじゃない」
「他のお仕事の人が自分で学べばいいんだね」
「そうしたら知性も上がるんだね」
「よくなるのね」
「国家全体から見ても」
「そうだよ、しかし日本もね」 
 先生は考えるお顔で言いました。
「明治や大正は立派な知識人が多かったんだ」
「そうだったんだね」
「今は酷いにも程があるのに」
「それでも」
「福沢諭吉さんや坪内逍遥さんがいてね」
 こうした人達がいてというのです。
「加納治五郎さんや西田幾太郎さんもね」
「加納治五郎さんって柔道のだね」
「実はあの人の本職は教育者だったわね」
「それで当時はむしろそちらの方で有名で」
「人格者だったそうだね」
「そうなんだ、けれどマスコミの質は悪くてね」
 その頃からというのです。
「戦争が終わると急にマルクス主義に染まって」
「それでなんだ」
「急に悪くなったの」
「一変したの」
「そうなんだ、戦前は取り締まられていた共産主義系の学者さんが一気に出て来て」
 そうなってというのです。
「やりたい放題しだしてね」
「酷くなったの」
「学者さん達は」
「そうした事情だったの」
「言論弾圧は駄目だけれど当時の共産主義は革命を考えていてね」
 共産主義革命をというのです。
「ソ連を見ればどんな革命かわかるね」
「とんでもない国にしようとしていたね」
「共産主義者じゃないと粛清で」
「共産主義以外は全否定で」
「資本家も地主も貴族どころか革命の敵だと粛清」
「皇室も駄目だとか言ってたわ」
「それでその為には手段を選ばなかったんだ」
 革命を成し遂げる為にはです。
「革命の為にはどれだけの犠牲が出ても何をしてもいい」
「そうした革命目指す人達なんてね」
「何してもいいって考えだから」
「そんな人達が公の場に出たらね」
「とんでもないことになるね」
「幸い日本では革命は起こらなかったけれどね」
 それでもというのです。
「こんな人達がやりたい放題やって知識人の主流になったから」
「戦後日本の知識人は駄目になったんだ」
「そんな人達が出てやりたい放題やって」
「元々マスコミは酷かったし」
「そうした事情があったから」
「そうだよ、僕はそんな人達には絶対になりたくないよ」 
 先生はミルクティーを飲みつつ言いました、これ以上はない反面教師について思いつつ。そうして午後も魚群探知機を使って調査をするのでした。








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