『ドリトル先生と沖縄の蛇達』




                 第七幕  蛇のいる島達に

 先生は安座間さんにお声をかけられました、そのうえでのお話はといいますと。
「明日からですが」
「いよいよですね」
「ヒヤンやハイの保護にです」
「彼等がいる島にですね」
「行きましょう」
「わかりました」
「僕もご一緒させてもらいますので」
 ここで真喜志さんも先生に言ってきました、センターの中で三人一緒にいます。
「宜しくお願いします」
「それでは」
「はい、それとですが」
「それと?」
「とにかくヒヤンもハイもです」
 真喜志さんもこの蛇達についてお話します。
「非常に少ない蛇なので」
「だからですね」
「出会うことすら大変です」
 それでというのです。
「お気をつけ下さい」
「そうですね」
「それとです、ご存知ですよね」
「ヒヤンやハイについて」
「毒もあります」
 このこともお話するのでした。
「先生は動物とお話が出来るので大丈夫だと思いますが」
「軽率は行動はですね」
「慎まれて下さい」
 相手が毒のある蛇だからというのです。
「くれぐれも、ですが先生はそうした方ではないですね」
「そうでありたいと思っています」
 これが先生のお返事でした。
「僕自身」
「わかりました、それでは」
「はい、明日からですね」
「彼等の島に行きましょう」
 こうお話してでした、そのうえで。
 先生は明日からヒヤンやハイのいる島に行くことになりました、このことをセンターを出てから動物の皆にお話をしますと。
 皆もです、先生にそれぞれ言いました。
「いよいよだね」
「そのヒヤンやハイに会えるんだね」
「沖縄のごく一部の島にしかいない」
「その蛇達に」
「そう、会ってね」
 そしてというのです。
「保護するからね」
「毒蛇もなんだね」 
 ここで言ったのはホワイティでした、鼠としてはどうしても蛇は苦手です。
「保護されるんだね」
「怖いのに」
「保護されるのね」
 チープサイドの家族も雀として言います。
「毒のある蛇でも」
「そうしないといけないの」
「そういえばハブもそんな話があったね」
 トートーは沖縄に沢山いるこの蛇のお話をしました。
「駆除もしてるけれど」
「駆除しているけれど保護もする?」
 老馬はこのことに矛盾を感じています。
「何かおかしいね」
「昔は毒蛇は容赦なく退治してたけれど」
 チーチーはかつてのお話をします。
「そこはかなり変わったね」
「というか変わり過ぎ?」
 ガブガブも首を傾げさせています、歩きながら。
「それは」
「変わり過ぎていて」
 ジップも言います。
「驚く位だね」
「保護をするけれど駆除もする」
 ダブダブも矛盾を感じています。
「変だよね」
「どうして同時にするのかしら」
 ポリネシアもそこがわかりません。
「保護と駆除を」
「それはね」
「確かに変だね」
 オシツオサレツは二つの頭で同時に考えますがそれでも答えは出ません。
「ハブにしても」
「毒蛇の保護もね」
「まずどんな種類でも地球にある生きものは守らないといけないんだ」
 先生は皆にお話しました。
「毒蛇でもね、絶滅させてしまうと」
「それはよくないこと」
「残念なことだから」
「しない」
「そう務めるべきなんだ」
「うん、だからね」 
 それでというのです。
「このことは毒蛇とかいう問題じゃないんだ」
「その生きものが地球にいるなら」
「絶滅しない様にしないといけない」
「だから保護をする」
「そうなんだ」
「そうだよ、このことは毒蛇も猛獣も変わらないよ」 
 どんな生きものでもというのです。
「地球にいるのなら」
「だから先生もなんだ」
「今回ヒヤンやハイのいる島に行くんだ」
「そしてその蛇達を保護する」
「そうするんだね」
「そうだよ、それと駆除の話だけれど」
 先生は皆が矛盾を感じていたこのことについてもお話しました。
「これは残念なことだけれどね」
「しないといけないの」
「そうなの」
「ある種類の生きものが増え過ぎたらその地域の生態系を狂わせたりするし」 
 さらにお話をする先生でした。
「畑を荒らしたりハブだとね」
「毒のある牙で噛んでくるから」
「だから駆除しないといけない」
「そうなんだ」
「うん、色々と困ったことになるからね」 
 それでというのです。
「駆除も必要なんだ」
「保護しないといけないけれど」
「駆除もなんだ」
「どっちもしないといけない」
「正反対のことでも」
「沖縄でもそうだし」
 先生はこうしたお話もしました。
「日本本土の猪や鹿や猿もだね」
「ああ、畑荒らすんだったね」
「それで困っている人達がいるね」
「最近猟師の人もいないそうだし」
「そのことでも」
「うん、猟師の人が減っていることは」 
 このことにも言った先生でした。
「深刻なことなんだ」
「このことについて」
「畑を守ることについても」
「必要だから」
「猟師の人の問題もどうにかしないと」
「そう、難しいことにね」
 本当にというのです。
「駆除もしないと。生態系や畑のことがあるから」
「ううん、保護も必要だけれど駆除も必要」
「難しいね」
「世の中っていうのは」
「こうしたことについても」
「僕もそう思うよ、そして駆除をしても」
 それでもというのです。
「遊びで狩ったりとかはよくないよ」
「その生きものの命のことを考える」
「このことが大事なんだね」
「粗末にしてはいけない」
「そういうことだね」
「そうだよ、絶対にだよ」
 それはというのです。
「それはとても悪いことだから」
「生きものの命を粗末にすること」
「このことは絶対で」
「やったらいけない」
「そうしたものだね」
「そうだよ、駆除した生きものはちゃんと供養して」
 そしてというのです。
「肉や毛皮とかをね」
「食べたり使ったりする」
「そうしたことも大事なんだね」
「狩った生きものも大切にする」
「そうしないといけないんだ」
「僕は狩りはしないけれど」
 欧州では狩猟もスポーツです、よく王様や貴族が行っていました。この狩りも森や畑を荒らす獣の駆除の意味もありました。
「それでもね」
「駆除はだね」
「そちらも必要なんだね」
「どうしても」
「このことは」
「そうだよ、保護と一緒になんだ」
 それこそというのです。
「必要なことなんだ」
「鹿は奈良県に一杯いるね、日本だと」
「そうそう、街の中で堂々としてるけれど」
「あの鹿は駆除しないんだ」
「別に」
「あの鹿は神様の使いなんだ」
 奈良の鹿達はというのです。
「だから駆除はされないんだ」
「ああ、そうなんだ」
「あの鹿達は別なんだね」
「あくまで畑とかを荒らす場合だよ」
 鹿でもそうした鹿達を狩って駆除するというのです。
「猪や猿も言ったけれど狐や狸、熊とかもね」
「そうした生きものも駆除しないといけない」
「熊もそうで」
「何か色々とね」
「駆除も大変だね」
「昔は狼がいたけれど」 
 先生がまだ日本にいることを見付けたニホンオオカミです。
「狼がいなくなったからね」
「鹿や猪を食べる」
「そうしてくれる狼がいなくなったから」
「だからそうした生きものが増えて」
「困ってるんだ」
「そうなんだ、難しい問題なんだ」
 本当にとです、先生もお話をしつつ深刻なお顔になっています。
「駆除の問題はね」
「何かと」
「保護も必要だけれど」
「全体の生態系や畑のことを考えたら」
「難しいんだね」
「そうなんだ」
 実際にというのです。
「このことはね」
「成程ね」
「先生もこのことを真剣に考えているんだね」
「保護の問題と駆除の問題」
「そのどちらも」
「僕なりにね、どちらも大事な問題だよ」
 先生はこうも言います、そして皆にこうしたことも言いました。
「鹿や猪は美味しいしね」
「そうそう、どっちもね」
「匂いはするけれど美味しいよね」
「鹿も猪も」
「どっちも」
「ああいうのを食べてもいいしね」
 駆除した獣をです。
「それもまた粗末にしないことだから」
「じゃあ神戸に帰ったら鹿食べる?」
「それか猪?」
「どっちか食べる?」
「そうするの?」
「それもいいね、特に猪は」
 先生は猪について言うのでした。
「豚に似ている味でね」
「そうそう、美味しいよね」
「特にお鍋にするといいわ」
「ぼたん鍋ね」
「あれは美味しいわね」
「冬に食べると」 
 特にこの季節に食べることを思う先生でした。
「身体が温まるし」
「余計にいいよね」
「冬はお鍋だけれど」
「ぼたん鍋もいいね」
「こちらも」
「だからね」
 それで、というのです。
「駆除と一緒にこうしたこともしていくといいよ」
「食べることを楽しんだり」
「毛皮も使ったり」
「そうしたこともしていく」
「そういうことだね」
「そうだよ、駆除は残念なことであるけれど」
 それでもというのです。
「向かっていくことも大事なんだよ」
「わかったよ、先生」
 皆で先生の言葉に頷きます、そしてでした。 
 先生達はこの日のお昼も食べました、今日はミミガーとラフテー、それにタコライスとスパムチャンプルでした。
 そのミミガーを食べつつです、皆言いました。
「そういえば沖縄って猪いないね」
「こうして豚はよく食べるけれど」
「猪はいないね」
「鹿や猿もそうだし」
「熊もね」
「うん、沖縄は日本の中で独特の生態系だからね」
 先生は皆にお話をします、お店の中でそうしたお料理を食べつつ。
「熱帯のものに近いから」
「ああ、そうした生きものはいないんだ」
「本土にいるみたいな鹿や猪は」
「あと熊とかも」
「狐や狸もいないし」
「そう、いないんだ」
 そうした生きもの達はというのです。
「本土にいるみたいな生きものはね」
「北海道とも違うし」
「北と南で」
「北海道は本土と同じ様で違う」
「そんな感じだったけれど」
「そう、北海道はね」
 先生はこの地域のお話もしました。
「亜種の生きものが多いね」
「狐も狸もしかも」
「熊は羆だけれど」
「似ているよね」
「亜種で」
「そう、北海道はそうで」
 それでというのです。
「沖縄は熱帯なんだ」
「そちらに近いんだね」
「台湾とかかな」
「そっちに近い?」
「そんな感じかしら」
「そうだね、台湾の方に近いかもね」
 沖縄の生態系はというのです。
「本土よりも」
「そちらの方で」
「日本にあるけれど独特な」
「そうした生態系なんだね」
「そうなんだ、海の方もね」
 そちらもというのです。
「そうした感じだよ」
「ウミヘビもいるし」
「ジュゴンもいて」
「海の生態系も違うんだ」
「ジュゴンも見たいね」
 先生はにこりと笑ってこちらの生きものについてもお話しました。
「あの生きものも」
「先生は海洋生物学者でもあるしね」
「そちらの研究もしてるし」
「海は永遠に無限の可能性がある場所だよ」
 先生はその海についてこう言いました。
「人類にとってもね」
「今もなんだね」
「かなり調査されて調べられていても」
「それでもなんだ」
「海は今も無限の可能性があるんだ」
「そうした場所なんだ」
「そうなんだ、まだ発見されていない生きものも多いよ」
 海にはというのです。
「陸もそうだけれどね」
「海は余計にだね」
「まだ見付かっていない生きものもいる」
「だからこそ」
「発見したいんだね」
「そう思ってるんだ」
 心から言う先生でした。
「僕は」
「そういえばリュウグウノツカイも」
「あのお魚も謎ばかりだし」
「どうやって生きているのか」
「殆どわかっていないね」
「そう、あのお魚のこともね」
 リュウグウノツカイもというのです。
「もっと調べてわかっていきたいし」
「海のこと自体も」
「もっとなんだ」
「調べていって」
「わかっていきたいんだ」
「うちの学園の水族館には剥製があるけれど」
 リュウグウノツカイのそれがです。
「まだまだね」
「わかってないよね」
「というか殆どわかってない?」
「リュウグウノツカイについては」
「まさに謎の生きものだね」
「そしてまだ発見されていない生きものもいるんだ」
 海にはというのです。
「特に深海については」
「まだまだ謎で」
「わかっている様で全くわかっていない」
「わかっているものは僅か」
「そうなんだ」
「そう、わかっているものはほんの僅かで」
 深海のことはというのです。
「殆どわかっていないんだ」
「だから深海に行ってだね」
「その場所を自分で調べたいんだ」
「先生も」
「月には行ったけれど地球にもまだまだ謎が多くて」
 特にというのです。
「海、とりわけ深海はね」
「殆どわかっていなくて」
「無限の可能性がある場所」
「だからこそ」
「先生は海にも行きたいんだ」
「そうなんだ、まあ深海には行くことだけで大変で」
 特別の潜水艇が必要です、海の大きさを考えると豆粒なんてものではありません。もっともっと小さなものです。
「調べられる時間も僅かだから」
「わかることはいつも少ない」
「調べに行っても」
「そうした場所だから」
 先生のお話は残念そうです。
「何度も行かないといけないけれど」
「行ってみたい」
「そこに無限の可能性があるから」
「だからこそ」
「こうも思っているんだ」
 こうお話するのでした、皆に。
 そのうえで、です。トルコライスも食べて言いました。
「それでね」
「うん、それでね」
「今はだね」
「この沖縄料理を食べる」
「そうするんだね」
「このことも楽しもうね」
 食事、そしてそこにある文化もです。
「是非、いやそれにしても」
「この沖縄料理はね」
「美味しいね」
「独特の味で」
「八条学園の食堂にもあるけれど」
「やっぱり本場は違うわ」
「多分味自体は変わっていないんだ」
 それはと言う先生でした。
「ただ、気候が違うね」
「うん、神戸とは」
「全く」
「そのせいでね」
 神戸と沖縄では全く違います、本当に沖縄は暑いです。
「味も違って感じるんだ」
「より美味しく」
「沖縄料理も」
「沖縄で食べたら」
「神戸とかで食べるよりも」
「美味しく感じるんだね」
「お料理は気候の影響を受けるからね」
 その気候の中で考えられ作られ食べられそこから改善されていきます、だからこのことは当然と言えることでした。
「だから沖縄料理もなんだ」
「沖縄で食べると一番美味しい」
「そうなるんだね」
「うん、ただイギリス料理は」
 こちらのお料理はといいますと。
「日本で食べる方が美味しいね」
「それ先生いつも言うね」
「イギリスで食べるイギリス料理は駄目だって」
「日本で食べる方がずっと美味しいって」
「そう言うね」
「ティーセットもね」
 先生が大好きなこちらもです。
「どうしても」
「イギリスで飲んで食べるよりも」
「日本の方が美味しいのね」
「どうしても」
「そうなのね」
「皆もそう思うよね」
 先生は皆にも尋ねました。
「イギリスのティーセットより日本のティーセットの方が美味しいよね」
「うん、確かにね」
「日本のお菓子の方が美味しいよ」
「あと紅茶も」
「お菓子も紅茶も日本は種類が多いし」
「日本のお茶もあるし」
「そっちのセットもいいしね」
 皆も言います。
「イギリス料理についてはね」
「日本で食べた方がいいね」
「ティーセットについても」
「どちらもね」
「いいよね」
「日本に来てわかったよ」 
 しみじみとして言う先生でした。
「イギリス料理はイギリスで食べるよりもね」
「日本で食べる」
「その方がいいね」
「むしろね」
「そちらの方が」
「三時は決まってるけれど」
 今日もというのです。
「ここでもそのことを確かめようね」
「ティーセットも日本のものの方が美味しい」
「他のイギリス料理と同じで」
「沖縄でもそうだって」
「確かめることになるのね」
「ことお料理については」
 先生はこのことは残念に思いつつ言いました。
「祖国は弱いね」
「評判悪いね」
「世界のあちこちでネタにされてるよ」
「まずいって」
「オリンピックの時だってそうだし」
「お寿司を作っても」
 日本のお料理です、言うまでもなく。
「お握りかとか違うとか」
「日本の人達に言われるし」
「何かとね」
「やっぱりネタにされて」
「最近はよくなったっていうけれど」
 そのイギリス料理もです。
「僕も食べることに身を入れだしたのは来日してからだからね」
「王子にすき焼きをご馳走になって」
「そしてだったね」
「先生食文化に目覚めたね」
「実際に」
 動物の皆も言います、お昼御飯を食べながら。
 そしてそのうえで、です。沖縄の琉球王家ゆかりの場所をフィールドワークしてです。三時になるとでした。
 喫茶店に入ってティータイムを楽しもうとしたところで安座間さんから連絡が入りました、それに出るとです。 
「今どちらですか?」
「はい、喫茶店に入ってです」
「ティータイムですね」
「それを楽しもうと思っているのですが」
「何処の何というお店ですか?」
「それは」
 現在地とお店の名前を確認してです、先生は安座間さんにお話しました。安座間さんはそう聞いてすぐに明るい声で返してきました。
「私丁度すぐ近くにいますので」
「そうですか」
「今からそちらにお伺いして」
 そしてというのです。
「ご一緒して宜しいですか?」
「はい、是非共」
 こう答えた先生でした。
「ティータイムは皆で楽しんだ方が美味しいので」
「では」
「はい、お待ちしています」
「すぐに行きます」
 こうしてでした、安座間さんはです。
 先生の前に駆ける様にして来ました、そのうえで。
 先生と一緒に喫茶店に入ってティータイムを楽しみます、この時にです。
 先生は安座間さんがミルクティーを注文したのを見て尋ねました。お店の中は白くて涼しさを感じさせるものでした。神戸や大阪のお店より夏を感じさせて屋外の席もあるお店です。木造ですがその木のところを白く塗っています。
「ミルクティーはお好きですか?」
「好きですが沖縄では」
 こう答えた安座間さんでした。
「コーヒーやレモンティーを飲む人が多いかも知れないですね」
「あっ、アメリカの影響で」
「暫くアメリカの統治下にありまして」
 そしてというのです。
「今もアメリカ軍と関係者の人が多いので」
「だからですね」
「はい」 
 それでというのです。
「コーヒーやレモンティーを飲む人が多いです」
「そうですか」
「ですが私は」
「ミルクティーがお好きですか」
「コーヒーやレモンティーも確かに飲みますが」
 それでもというのです。
「ミルクティーも好きです」
「そうですか、わかりました」
「はい、そして」
「そして?」
「沖縄のお菓子ですが」
「お菓子もですね」
「アメリカの影響を受けています」
 こちらもというのです。
「ケーキやクッキーは」
「これから食べるティーセットも」
「はい、甘さがです」
 アメリカのものだというのです。
「そちらになりますので」
「そうですね、実は僕も」
「先生もですか」
「沖縄に来ても十時と三時には頂いてきましたが」 
 ティーセットをです。
「アメリカの味でしたね」
「ケーキやクッキーも」
「沖縄の味なのですが」
「アメリカが入っていますね」
「そう感じました」
「アメリカ軍の方が多いので」
 とにかくこのことが大きいです。
「ですから」
「それで、ですね」
「ティーセットもアメリカの感じになります」
「アメリカはティータイムの風習は」
「イギリスのものとはですね」
「また違います」
 先生はアメリカに行ったこともあるのでこのこともご存知です。世界のあちこちを行ったことがあるのです。動物の皆と一緒に。
「そこは」
「コーヒーやミルクティーですよね」
「お菓子もです」
 そちらもというのです。
「イギリスのものとはまた違います」
「そうですね、ですから沖縄のティーセットも」
「本格的なイギリス風のものでも」
「アメリカの影響がどうしても強いです」
「はい、このお店でも」
 ここでティーセットが先生達のテーブルに運ばれてきました。冗談はクッキー、中段はチョコレートケーキ下段はフルーツですが。
 パイナップルやオレンジにはシロップがかけられています、先生はクッキーからケーキ、そのフルーツまで見て言うのでした。
「こうした感じですね」
「アメリカのですね」
「ティーセットですね」
「こちらは如何でしょうか」
「はい、実は日本に来てから」
 笑顔でお話する先生でした。
「レモンティーも飲む様になりまして」
「こうしたアメリカの色が強いセットもですね」
「食べる様になりました、和風や中国風のセットもです」
「そちらもですか」
「楽しむ様になりました」
「では日本のお茶や中国茶も」
「楽しんでいます」
 こう答えた先生でした。
「今は」
「そうなのですね」
「はい、美味しいですね」 
 先生はにこりと笑って安座間さんに言いました。
「どのセットも、ただ僕はお茶派でして」
「コーヒーは、ですね」
「口にしないです」
「イギリスでもですか」
「イギリスでもコーヒーを飲む人はいますが」
 それでもというのです。
「僕はお茶派です」
「ミルクティーやレモンティーで」
「日本のお茶や中国茶です」
「そうですか」
「沖縄のお茶もいいですね」
 にこりと笑ってです、先生は今いる場所のお茶についてもお話しました。
「こちらも」
「美味しいですよね」
「はい、とても」
「では沖縄のティーセットも」
「一度楽しみました」
「ではヒヤンやハイを探す時も」
「楽しみたいですね」
 明日からもというのです。
「是非」
「そうですか」
「そうさせてもらいます」 
 こう言ってでした、そのうえで。
 先生達はミルクティーとアメリカのカラーが強いセットを楽しみました。安座間さんはその中で明日からのこともお話しました。
 ヒヤンについてです、先生も言うのでした。
「実はこの目で見たことは」
「ないですね」
「図鑑で見ただけです」
「とにかく珍しい蛇ですから」
「沖縄の人でも見た人が少ない程の」
「はい、島の人達でもです」
 ヒヤンやハイがいるその島に住んでいる人達でもというのです。
「見た人は少ないです」
「本当に稀少な蛇ですね」
「そうですから」
 それでというのです。
「実は私もです」
「安座間さんもですか」
「見たことはないです」
 こうお話するのでした。
「果たして見付かるかどうか」
「そこまで、ですね」
「野生のヒヤンやハイは」
「ううん、そうですか」
「見たこともないので」
「本当に稀少な蛇ですね」
「全体の個体数は間違いなく少ないです」
「島の中でも」
「そうです」
 こう言うのでした。
「本当に一時期実在が疑われていました」
「どちらの種類も」
「ハイは模様で二種類ありますが」
「そのどちらのハイもですね」
「実在するか」
 このことはというのです。
「ようやくわかった位で」
「そうした蛇だからこそですね」
「見付けて」
「保護ですね」
「そうしないといけないです」
「絶滅しない為にも」
「個体数があまりにも少ないですと」
 ここでもこの問題が出るのでした、保護のそれが。
「問題ですから」
「固有種でしかも特定動物ですしね」
「生息地の開発の問題もありまして」
「少ない個体数がさらに」
「減っていますので」
「この問題は何処でもありますね」
「はい」
 安座間さんは難しいお顔で先生に言いました。
「このことは」
「沖縄でもありますか」
「リゾート地開発等もありますから」
「産業ですね」
「産業も人が生きる為に必要ですが」
「自然との調和は」
「本当に難しいです」
「自然に帰れといいますと」
 先生はあえてここでルソーの言葉を出しました。
「違いますね」
「そう主張する人もいますが」
「大抵そうした人は文明社会を満喫していますね」
「それでいてそう言ったり」
 安座間さんはそう主張する人についてこうしたことも言いました。
「些細なことですぐに激怒して喚く人が」
「ああ、漫画に出るみたいな」
「そうした人ばかり出るグルメ漫画があります」
「ああした人達ですね」
「本当の意味で野蛮な人達がです」
 それこそというのです。
「そう主張しています」
「文明を否定して」
「自然に帰れ、産業なんていらないとさえです」
「言いますね」
「ですが産業もないと」
「人は生きていけないですね」
「観光産業は沖縄の貴重な産業です」
 この問題もあるのです。
「私達も生きていかないといけないので」
「産業も必要で」
「この中には農業や商業、工業もあります」
「色々と」
「そのことも考えて主張して欲しいです」
 これが安座間さんの考えでした。
「この件については」
「産業のことも」
「産業と自然はです」
 この両者はといいますと。
「対立するのではなく」
「調和ですね」
「そうあるべきで」
「人も生きなくてはならないですから」
「もっと極端な人は人間こそが地球の癌と」
「挙句には」
「もうそんなことを言ってしまう人もいます」
 本当に漫画みたいな主張でここから人類を滅亡させようというお話になったりもします。自然を愛する心は大事にしても暴走してしまうのです。
「ここまできますと」
「おかしいですね」
「日本の総理大臣にもこう言う人がいましたが」
「その人は」
「会員制のクラブで飲んでいいスーツを着て」
「文明を満喫していますね」
「他にもおかしなことばかり言っていますが」
 それがあまりにも酷いのでおかしいんじゃないかという人すらいます。
「そうしたことも言っていました」
「文明は否定出来ないです」
 先生は理性からお話しました。
「ましてや人間も自然の一部、文明と自然は対立するものではなく」
「共にありですね」
「調和が大事ですから」
「ヒヤンやハイについても」
「はい、産業のことも大事ですが」
「保護もですね」
「二つのことを同時に考え」
 そのうえでというのです。
「進めていきましょう」
「それが大事ですね」
「はい、それと」
「それと」
「もう一つです」
 さらにお話した先生でした。
「どの島に行かれますか」
「三つの島に行く予定です」
「三つですか」
「奄美大島、渡嘉敷島、久米島です」
 この三つの島にというのです。
「行く予定です」
「そうですか」
「はい、ヒヤンやハイがいる島は幾つかありますが」
「その中で、ですね」
「この三つの島に行って」
 そしてというのです。
「保護にあたります」
「わかりました」
 先生はとても甘いチョコレートケーキを食べつつ頷きました、そして。 
 その後の打ち合わせもしてでした、喫茶店を出て安座間さんと別れてフィールドワークを再開しますと動物の皆が言いました。
「先生もね」
「隅に置けないね」
 最初にオシツオサレツが言います。
「何かとね」
「人気あるよね」
「そうそう」
 ダブダブも言います。
「これでね」
「見てる人は見てる」
「それが世の中だから」
 チープサイドの家族は老馬の背中にいます。
「安座間さんもね」
「先生がわかってるのよ」
「そうした人は何人もいてくれて」
 老馬はその目をにこにことしています。
「安座間さんもそうだってことだね」
「まあ安座間さんはね」
 トートーが見るにです。
「踏み留まってるかな」
「先生がここにいるのは一時期だから」
 チーチーも述べます。
「お友達でね」
「そこでご自身を止めてるわね」
 ポリネシアもこう見ています。
「何とか」
「ずっと会えないとなると」
 ガブガブは少し残念な声の色です。
「そうしないといけないのね」
「一時とは、とはなれない」
 ジップの声もしみじみとしています。
「難しいところだね」
「皆また変なことを言い出したね」 
 先生だけがこう言います。
「何かわからないけれど」
「先生はこれだし」
「何も気付かないし」
「やれやれね」
「全く」
「安座間さんはいい人だよ」
 先生は安座間さんについて思っている感情はこうしたものです。
「沖縄でも真喜志さんと安座間さんというお友達が出来てね」
「よかったんだね」
「はいはい、お友達ね」
「先生ってお友達が凄く多いのね」
「いいお友達が」
「このことは確かに素晴らしいことも」
「いいお友達が沢山いてくれていることは」
 このことも先生の人徳故ですが。
 先生は本当に残念なことにです、その人徳がもたらしてくれるもう一つのことには全く気付くことがないのです。
「女の人のお友達がいるなら」
「それなら」
「もっとね」
「踏み込んだことを考えないのか」
「そこがわからないよ」
「何がわからないのかわからないけれど」 
 先生のコメントです。
「一体」
「うん、そうだよね」
「先生らしいコメントだよ」
「やれやれっていう」
「本当に」
 もうお手上げの皆でした、ですが」
 あらためてです、先生に尋ねました。
「明日からのことだけれど」
「やっぱり僕達も一緒だよね」
「三つの島に行く時も」
「そうだよね」
「うん、皆とはいつも一緒だからね」 
 それ故にと答えた先生でした。
「明日からもね」
「やっぱりそうだよね」
「僕達はいつも先生と一緒だからね」
「何しろ家族だから」
「それでね」
「宜しく頼むよ」 
 旅行の時もというのです。
「安座間さんと真喜志さんも一緒だけれど」
「うん、皆でね」
「三つの島を回って行こうね」
「そうしようね」
「楽しくね」
「さて、彼等に会えるね」
 にこにこともする先生でした。
「ヒヤン、そしてハイに」
「いよいよ」
「明日から」
「そうなるね」
「楽しみで仕方ないよ」
 心からのお言葉です。
「今からね」
「そうだよね、けれどね」
「夜はちゃんと寝ようね」
「楽しみで寝られないとかね」
「それはよくないから」
「わかっているよ」
 お医者さんとして答えた先生でした。
「よく寝ること」
「まずはね」
「そのことが大事よね」
「健康の為には」
「よく食べてよく寝る」
「このことが大事よね」
「そう、だから今日もね」 
 明日のことが楽しみでもです。
「よく寝るよ」
「じゃあ僕達もね」
「よく寝るよ」
「そして明日からね」
「ヒヤンとハイを探しに行こうね」
 動物の皆も応えてでした、そのうえで。
 皆は明日のことを楽しみに夕方もフィールドワークをしてでした、夜はしっかりと食べます。この夜のお食事はといいますと。
 この日も先生は泡盛を楽しんでいます、そして御飯も食べますが。
 山羊のお刺身と足てびちを食べてです、笑顔で言うのでした。
「山羊がね」
「先生気に入ったよね」
「前も食べてたし」
「今も食べてるね」
「それも楽しんで」
「うん、沖縄の食べものは沖縄で食べると一番美味しいけれど」
 その中でもというのです。
「この山羊のお刺身がね」
「いいんだね」
「物凄く美味しい」
「そうだっていうんだね」
「だから今もね」 
 お箸を動かしながらの言葉です。
「こうして食べているんだ」
「それでお酒は泡盛」
「それなんだね」
「沖縄のこの暑い中で飲むとね」
 ロックにしてです、先生は飲んでいます。
「最高だね」
「それじゃあだね」
「その泡盛もたっぷり飲んで」
「足てびちも食べて」
「それからだね」
「うん、明日もね」
 まさにというのです。
「楽しもうね」
「皆でね」
 皆はその先生に笑顔で応えました、そのうえで晩御飯とお酒を楽しんでこの夜もぐっすりと寝て休むのでした。



蛇のいる島へは明日らしいな。
美姫 「みたいね。今日は飲んで食べてと」
先生はやっぱり先生というか。
美姫 「これは仕方ないわよ」
だな。それも含めて先生って感じだし。
美姫 「次回はいよいよ蛇の島かしら」
どうなるのか、次回も待っています。
美姫 「待っていますね〜」



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