『ドリトル先生の名監督』




                 第九幕  練習試合に向けて

 練習試合の申し込みを受けてあちらに連絡をしてからです、相撲部の皆は練習試合に向けて稽古を続けていました。
 その中で、です。先生は部員の人達に言われました。
「飲むお酒ですが」
「先生は何を飲まれてますか?」
「うん、色々飲むよ」
 先生は稽古場での休憩時間の時に聞かれて答えました。
「お酒はね」
「ウイスキーだけとかじゃないんですね」
「色々飲まれるんですか」
「うん、ただこれでも健康には気をつけていて」 
 それでというのです。
「肝臓に負担がかからない程度にセーブしているよ」
「飲む量はですね」
「そうされてますか」
「そう、それに一種類しか飲まない訳じゃないよ」
「だから色々ですか」
「一つの種類だけを飲んでるんじゃないんですね」
「そうなんだ、日本酒もビールも飲むし」 
 それにというのです。
「ワインやウイスキーも飲むし昨日は焼酎を飲んだよ」
「本当に色々ですね」
「イギリス人でもウイスキーだけじゃないんですね」
「日本酒も飲まれるんですね」
「焼酎も」
「そう、ただお酒には気をつけないとね」 
 健康の為にはというのです。
「特に君達みたいにスポーツをしているとね」
「それで御飯にお酒をかけて食べることはよくないって言われたんですね」
「昔の力士さんの食べ方ですけれど」
「それはよくないって」
「そう言われたんですね」
「そうだよ、それは糖尿病になるから」
 だからだというのです。
「肝臓にもよくないしね」
「だから昔の力士さんは早死にが多かった」
「そうした食生活だったからですか」
「御飯にお酒をかけて食べたりしていたから」
「だからですね」
「やっぱりお酒は適量じゃないと」
 スポーツ選手なら余計にというのです。
「スポーツにも影響が出るよ」
「それじゃあですね」
「僕達もそのことを気をつけて飲むべきですね」
「僕達も確かにかなり飲んでるし」
「そこは気をつけて」
「うん、僕が話した食生活は守ってくれてるね」
 先生は皆にこのことを確認しました。
「そうしてくれてるね」
「はい、練習だけじゃなくて」
「そこもしっかりしてます」
「今はちゃんこメインに戻しました」
「色々食べてます」
「それは何よりだよ、それとお酒も適量で」
 またお酒のことをお話してでした、先生はこうも言いました。
「煙草は止めておいてね」
「それは吸ってないです」
「僕もです」
「僕も煙草は吸ってないです」
「うちの部活で吸う子はいません」
「それは何よりだよ、煙草はね」 
 先生は煙草については特に強く言いました。
「何よりもね」
「してはいけない」
「スポーツをしているのならですね」
「あれが一番よくないね」
 スポーツをしているのならというのです。
「お薬は論外にしてもね」
「覚醒剤とかしたらもうスポーツ出来ないですよ」
「身体ボロボロになりますから」
「中毒にもなって」
「それこそ人間として終わりますよ」
「だからお薬は論外でね」 
 先生は動物の皆とお話したことを相撲部の皆にもお話します。
「煙草はね」
「スポーツをしているのならですね」
「絶対にしたらいけない」
「そうしたものですね」
「最近煙草を吸う人自体が減ったけれど」
 それでもというのです。
「煙草は絶対に駄目だよ」
「それ桑田さんも言ってますしね」
「元プロ野球選手の」
「煙草はスポーツをするなら絶対に吸うな」
「体調管理全体にも気をつけたうえで」
「そう、スポーツをするのなら体調管理は絶対だけれど」
 その中でも特にというのです。
「煙草はしたらいけないんだ」
「昔は中学で吸ってる人いましたね」
「それも運動部にいて」
「けれどそれはですね」
「駄目なんですね」
「未成年の喫煙は論外だよ」 
 先生は眉を顰めさせて答えました。
「馬鹿なこととしか言えないよ」
「そうですよね、やっぱり」
「そんなことしたらすぐに息があがりますし」
「成長にも影響しますね」
「いいことないですよね」
「僕は煙草は吸わないけれどね」
 パイプ一本持っていません、勿論買ったこともありません。
「未成年の喫煙は余計に悪いよ」
「身体に悪い」
「何よりもですね」
「だからしたらいけない」
「余計にですね」
「そう、最低でも二十歳になってからで」
 法律で定められている通りにです。
「そしてスポーツをするならですね」
「吸わない」
「絶対にですね」
「君達が吸ってないのならいいよ」
 それでというのです。
「身体にいいことは何もないからね」
「それならですね」
「煙草には手を出さないままですね」
「稽古を続けていくべきですね」
「しっかりと」
「そうしようね、とにかくね」
 またお話する先生でした。
「体調管理をして怪我をしない様にもして」
「相手に勝つ」
「そうしましょう」
「いや、確かに勝てたら嬉しいけれど」
 先生は皆の勝とうという言葉にはこう返しました。
「それは三番目かな」
「まずは怪我をしないことですね」
「それが第一ですね」
「そして同じ位大事なことはね」
 怪我をしないこと、体調管理と並んでというのです。
「スポーツマンシップを守ることだよ」
「そのことも大事なんですね」
「スポーツをするならですね」
「スポーツマンシップを守ること」
「そのこともですね」
「若しそれをしないと」
 それこそというのです。
「スポーツをする資格がないからね」
「例え勝ってもですね」
「そうしてもですね」
「そうだよ、勝ってもそんなことをしたら」
 スポーツマンシップに反する、そうした間違ったことをしたらというのです。
「勝つ意味はないよ、スポーツはね」
「喧嘩と違うからですね」
「そんなことをしたら駄目ですね」
「僕は喧嘩もしたことがないけれど」 
 腕力はからっきしです、子供の頃からのことです。
「喧嘩でも汚いことをして勝ったらどうかな」
「はい、よく思われないです」
「汚いやり方をして勝った奴って思われて」
「やっぱり奇麗に勝ってこそですね、喧嘩も」
「そうしてこそですね」
「スポーツマンシップは守る」 
 何があってもというのです。
「そうしてやるべきだよ」
「それからですか」
「試合に勝つことはですね」
「三番目ですか」
「体調管理とスポーツマンシップの後」
「それからのことですね」
「そう、勝つことだけを考えている人は」 
 スポーツをしていてもそうした人はいます、先生とは全くの正反対の考えを持っている間違っている人はです。
「スポーツをしたらいけないよ」
「だからですね」
「練習試合の時もこれからもですね」
「スポーツマンシップを守る」
「お相撲の決まりをですね」
「人としてしてはいけないことをしない」 
 こうも言った先生でした。
「そのことも大事だよ」
「そうなんですね」
「じゃあずっと守っていきます」
「僕達も力士ですから」
「そうしていきます」
「是非ね、そのことは守ってね」 
 こう言うのでした、相撲部の皆に。そしてでした。
 先生はこの日も相撲部の皆の稽古を監督しました、とはいっても怪我をしない様に見守るだけでしたが。
 その稽古のことをお家に帰ってからトミーに話すとです、トミーは先生に対してこんなことを言ったのでした。
「プロだと勝たないと、ですけれど」
「いやいや、プロなら余計にだよ」
「スポーツマンシップを守るべきですね」
「仮にもスポーツで生きているから」
 尚のことというのです。
「そこをちゃんとしないとね」
「プロになる資格もないんですね」
「そうだよ」
 まさにというのです。
「もうね」
「そういうものですね」
「そうだよ、スポーツマンシップを守らないと」
「スポーツ自体をする資格がないですか」
「勝つ為に手段を選ばない、そして勝つことだけを考えている人もね」
「スポーツをしたら駄目ですか」
「そう、日本に来て駄目だって思ったことの一つは」
 それはどういったことかといいますと。
「部活の顧問の先生が生徒が試合に負けて丸坊主にしろとか言ったことだね」
「そんな先生いますからね」
「日本の先生は酷い人が多いけれど」
「そうした先生もですね」
「駄目だよ、そこで自分も丸坊主にしたらいいよ」
「けれどそうしないで、ですね」
「生徒にだけ丸坊主を強制する先生はね」
 先生は今もそのお顔を曇らせています、そのうえでの言葉です。
「教師失格だよ」
「どう考えてもそうですね」
「人に何かを教える資格も資質もね」
「どちらもですね」
「ないよ」
 こう言い切ったのでした。
「どう考えてもね」
「イギリスでも酷い先生はいますけれど」
「そこまで酷い先生はね」
「そうはいないですね」
「しかも日本はそうした先生が多いから」
「余計に問題ですね」
「犯罪者が子供を預かってる様なものだよ」
 イギリス人から見ればというのです。
「恐ろしいことだよ」
「日本の問題点ですね」
「問題のない国はないけれど」
「日本の問題は先生ですね」
「うん、酷い先生が多いことがね」
「そのうちの一つですね」
「どんな素晴らしい国、人にも問題点があるけれど」
 日本の問題点はというのです。
「学校の先生に酷い人が多いことはね」
「日本のそれの一つですね」
「マスコミと労働組合も酷いけれどね」
「組合もなんですね」
「調べていたら酷いね」
「イギリスの労働組合よりもですか」
「酷いよ」
 実際にというのです。
「そうした人達がやってる市民団体もね」
「酷くなるんですね」
「どうしてもね」
「そういえば僕も言われました」
 トミーは自分の聞いたことを先生にお話しました。
「テレビや新聞は鵜呑みにしたら頭が悪くなるって」
「普通そういうもので勉強するけれど」
 老馬はトミーのその言葉に目を瞬かせました。
「世の中のことを」
「そうだよね、何かとね」
 ホワイティも言います。
「イギリスでもそうだしね」
「日本でもそうじゃないの?」
 ガブガブもそこが不思議です。
「何で読んだらかえって頭悪くなるのかしら」
「色々とものを知ってね」
 チーチーは人間みたいに腕を組んで首を傾げさせています。
「頭がよくなるんじゃ?」
「その為のテレビや新聞だよね」
 トートーもこう考えています。
「それで何でかな」
「鵜呑みにっていうけれど」
 ダブダブが言うには。
「テレビや新聞が嘘言うかな」
「そうした人達が嘘言ったら駄目だよ」
 ジップは若しマスコミの人達がそうしたらと考えて言いました。
「大変なことになるから」
「そう、嘘の報道なんかしたら」
 ポリネシアもそうなった場合について考えて言います。
「沢山の人が騙されるから」
「若しそんなことをしたら」
「世の中とんでもないことになるわ」
 チープサイドの家族もお互いにお話します。
「罪に問われるかどうかわからないけれど」
「やったらいけないことよ」
「ひょっとして日本のマスコミって」
「まさかと思うけれど」
 オシツオサレツは二つの頭で考えています。
「嘘報道するの?」
「だから鵜呑みにしたらいけないの」
「そうみたいだよ」 
 トミーは動物の皆に答えました。
「日本のマスコミはね」
「そうなんだね」
「だからなんだね」
「鵜呑みにしたらいけないんだ」
「騙されて変な知識を仕入れるから」
「それで頭が悪くなるから」
 動物の皆もここまで聞いて納得しました。
「成程ね」
「日本ってマスコミも酷いんだね」
「嘘を言ったり書いたりするから」
「駄目なんだね」
「そうみたいだよ、僕も調べたけれど」
 トミーも日本のマスコミについてそうしたというのです。
「確かに酷いよ」
「実際になんだ」
「日本のマスコミって悪質なんだね」
「普通に嘘を言ったり印象操作にかかるから」 
 だからというのです。
「確かに気をつけないとね」
「そうしたらなんだ」
「気をつけないといけないんだ」
「本当に鵜呑みにしたら大変なことになるんだね」
「嘘を言う相手だって思わないと」
 それこそというのです、トミーも。
「大変なことになるよ」
「頭が悪くなる」
「そうなるから」
「気をつけていかないと」
「騙されるんだ」
「だから気をつけてね」 
 また言ったトミーでした。
「皆もね」
「うん、わかったよ」
「そこは気をつけるからね」
「何としてもね」
「さもないと自分が馬鹿を見るから」
「スポーツの報道もね」 
 先生はこちらのことをお話します。
「酷い場合独裁国家の国家元首へのそれみたいだよ」
「そんなに酷いんだ」
「日本のマスコミってそんなに酷いんだ」
「独裁国家って」
「そこの国家元首への報道みたいって」
「これが本当だから。特定の球団や人への報道がね」
 それがというのです。
「そのレベルなんだ」
「じゃあそういうの読んで観たら」
「鵜呑みにしたら大変だね」
「そこイギリスの報道と違うね」
「というかどの国とも」
「僕も驚いたよ、これは独裁国家のマスコミなのかってね」
 日本のマスコミ、スポーツの報道はというのです。
「そうした国の国家元首への報道と同じだったから」
「日本のマスコミって法律あるのかな」
「変な報道しても問題ないの?」
「嘘書いたり独裁国家みたいな報道しても」
「誰も何も言わないの?」
「だから気をつけないといけないんだ」
 先生も言います。
「日本はマスコミについてもね」
「報道の自由って大事ですけれどね」
 トミーはその先生に言いました。
「それを盾に自分達の思いのままの報道したら駄目ですよね」
「日本のマスコミはそれがないからね」
「駄目なんですね」
「酷いことになっているんだ」
「そこはイギリスよりもずっと酷いですね」
「学校の先生とマスコミはね」
 そして労働組合やそうした人達が作っている市民団体はです。
「ネットでは問題になってるけれどね」
「テレビや新聞はその当事者ですから」
「言う筈がないからね」
「嘘を言っても責任を問われないと」
「そこから何だってするからね」
 どんな悪いこともというのです。
「よくないよ」
「そうですね」
「良識って言われている新聞紙がイギリスのタブロイドレベルだよ」
「そこまで酷いですね、確かに」
「もうタブロイド誌はね」
「独裁国家のなんですね」
「そこまでのレベルだから」
 先生は首を傾げてさえいます。
「とんでもないよ」
「鵜呑みにするものじゃない」
「僕はそう思ってるよ」
「先生もそうなんですね」
「マスコミの力は大きいから」
「余計にモラルを守らないと駄目ですね」
「スポーツと同じだよ」 
 それこそというのです。
「マスコミとしてのモラルを守らないとね」
「日本のマスコミみたいになるんですね」
「そうだよ」
「ううん、怖い話ですね」
「マスコミがやりたい放題なんてね」
「学校の先生もそうで」
「そのことはイギリスとは比較にならないよ」
 学校の先生、マスコミの酷さはというのです。
「本当にね」
「いい国でもですね」
「目に余るものもあるよ」
「そこはイギリスと同じですね」
 トミーはこうも思いました。
「いいところばかりじゃない」
「どの国でも誰でもどんな場所もね」
「いいところと悪いところがありますね」
「そうだよ、どうしてもね」
「日本もそうなんですね」
「そういうことだよ」
「わかりました、よく」
 残念そうなお顔で応えたトミーでした。
「日本も然りですね」
「うん、それと悪人はね」
「何処でもいますね」
「そう、何処にもね」
「学校の先生やマスコミには悪人が多いのが日本ですね」
「そういうことになるよ」
 こうお話してです、そして。
 先生はトミーにです、こうしたことも言いました。
「今度の練習試合に向けて」
「はい、先生も練習ですね」
「いやいや、僕はしないよ」 
 先生はトミーに笑って応えました。
「お相撲の練習はね」
「スポーツだからですね」
「どうしてもね」 
 それこそというのです。
「それはしないよ」
「監督だけですね」
「そうだよ、褌も着けないよ」
「褌もですか」
「期待してた?」
「お相撲ですから」
 だからという返事でした。
「ひょっとしたらって思ってましたけれど」
「それでなんだ」
「はい、そうなんですね」
「うん、スーツのままだよ」
 いつも通りというのです。
「監督をさせてもらうよ」
「先生のいつもの服装ですね」
「そうなるね」
「じゃあ頑張ってきて下さいね」
「皆に怪我がない様にするよ」
 こうも言った先生でした、そしてです。
 今度はトミーからです、先生に言いました。
「ところでこの前お好み焼き屋さんに行かれましたよね」
「ああ、大阪の」
「はい、休日に行かれて」
「美味しかったよ」 
 そのお好み焼きについてです、先生はトミーに笑顔でお話しました。その美味しさを思い出してそうしたお顔になっているのです。
「これがね」
「そうなんですね」
「焼きそばとたこ焼き、いか焼きも食べてね」
「楽しんでこられたんですね」
「凄くね、モダン焼きもよかったよ」 
 こちらもというのです。
「お好み焼きの中に焼きそばを入れたね」
「あれはびっくりしました」
 モダン焼きについてです、トミーはこう言いました。
「お好み焼きの中にさらにですから」
「入れてね」
「こんなの美味しいのかって」
「思うね、ぱっと見たら」
「ですがそれが美味しくて」
「いいんだよね、それと広島風も食べたよ」
 そちらのお好み焼きもというのです。
「大阪では広島焼きというね」
「それであっちでは大阪焼きって言いますね」
「その辺りは言うと厄介なことになるけれど」
「イングランドとスコットランド、アイルランド、ウェールズみたいな」
 イギリスの中にある四つの国です、グレートブリテン及び北部アイルランド王国即ちユナイテッドキングダムといって中にその国々があるのです。
「あそこまではいかなくても」
「地域的なね」
「ライバル意識があって」
「そこはお互い引かないんだよ」
「だからお互いに言い合ってるんですね」
「そうなっているんだ」
「野球とかサッカーでもそうですね」
 トミーはこうも言いました。
「大阪の人と広島の人って張り合いますね」
「阪神と広島だね」
「何か広島の方が勝ってますけれど」
「そのことはもっと言ったらいけないよ」
 お好み焼き以上にというのです。
「どちらの人も思い入れが凄いから」
「お好み焼きと同じか」
「下手をしたらそれ以上に」
「注意してね、ただもんじゃ焼きはね」
 こちらはといますと。
「食べてないよ」
「あれ大阪にあります?」
「あっても食べる人は少ないかな」
「あれは東京ですね」
「そう、東京のものってイメージが強くてね」
「大阪って物凄く東京に対抗意識あるから」
「もんじゃ焼きはあってもね」 
 それでもというのです、
「食べる人は少ないね」
「大阪はお好み焼きですね」
「何といってもね」
「それと焼きそばですね」
「そうだよ」
 そちらになるというのです。
「その文化だよ」
「お好み焼き文化ですか」
「うん、それを楽しんできたよ」
 食べてというのです。
「イギリスには絶対にないものだね」
「イギリス料理のお店もありましたよね」
「これが美味しんだよね」
「あれっ、けれど」
 イギリス料理のお店が美味しいとです、先生が言ってです。トミーだけでなくてでした。
 動物の皆もです、きょとんとして言います。
「あれっ、イギリス料理が?」
「僕達の母国の料理が美味しい?」
「あれだけ評判悪いのに」
「それも世界的になのに」
「それが美味しいって」
「先生何言ってるの?」
「そのお店では美味しいんだ」
 これが先生の皆への返答でした。
「そのお店のシェフの人がお料理したらね」
「そうしたらなんだ」
「イギリス料理も美味しいんだ」
「まずいまずいって言われてるのに」
「そうなんだ」
「そう、どうもちゃんとしたシェフの人が作ったら」 
 そうすればというのです。
「イギリス料理も美味しいみたいだね」
「意外だね」
「そうね」
 チープサイドの家族も思うことでした。
「あのイギリス料理が美味しいって」
「そのことがね」
「イギリス料理イコールまずいだったのに」
 ガブガブは首を捻っています。
「ちゃんと作ったら美味しいのね」
「しっかりとしたシェフの人が作ると」
 トートーもガブガブと同じく首を傾げさせていまる、ただトートーは右でガブガブは左にそうさせています。
「そうなるのかな」
「フィッシュアンドチップスもローストビーフも美味しい」 
 ジップはも考えるお顔になっています。
「イギリスで食べる以上に」
「というかシェフの人の腕次第?」
 ポリネシアはそこに答えを求めました。
「どの国のお料理も」
「そういえばチーズもお豆も素材で違うよ」 
 ホワイティが答えを求めたのはそちらでした。
「いいミルクで作ったチーズは美味しいよ」
「それでシェフの人の腕がよかったら」
 チーチーは素材の質も入れてポリネシアと同じ様なことを言いました。
「美味しくなるんだね」
「イギリス料理も工夫次第」 
 ダブダブは何時になく考える感じです。
「そういうことかな」
「そして先生はそのイギリス料理を食べて」
「実際に美味しいっていうんだね」
 最後にオシツオサレツが言います。
「いや、意外だね」
「イギリス料理が美味しいって」
「素材とキッチンの設備、シェフの人の腕がいいと」
 この三つが揃っていると、というのです。
「どうしたお料理も美味しいね」
「そうなるんだね」
「あのイギリス料理も美味しくなる」
「そうなるんだね」
「実際に」
「またあのお店に行こうかな」
 そのイギリス料理のお店にもというのです。
「よかったからね」
「そうしたらいいと思います」 
 微笑んで、です。トミーは先生に答えました。
「先生がお気に召されましたら」
「そうしようか」
「はい、そういうことで」
「そしてお好み焼き屋さんにもね」
 先生はこちらも忘れていません。
「また行くよ」
「大阪のですね」
「よく世界ではお寿司や天麩羅やお刺身というけれど」
「お好み焼きも和食ですね」
「そう、それもとても美味しいね」 
 笑顔で言う先生でした。
「和食なんだよ」
「和食って言っても幅広いね」
「そうだよね」 
 動物の皆も思うことでした。
「お醤油だけじゃないんだね」
「おソースも使ったお料理もあるのね」
「お好み焼きもそうで」
「あと洋食もあるし」
「あっちも日本食だから」
「凄い幅だね」
「本当にね」
 しみじみとした口調で言います、そして。
 先生もです、皆に言います。
「そうそう、洋食もいいんだよ」
「日本のお料理では」
「それもですね」
「いいんですね」
「実際に」
「そう、いいからね」
 実際にというのです。
「あちらも食べるよ」
「先生本当に食べることが好きになったね」
「イギリスにいた時よりも」
「食べることを楽しんでて」
「好きになってるね」
「そうだよ、食べることがね」
 先生自身も答えます。
「本当に楽しくなったよ」
「日本に来てから」
「実際にそうなって」
「そして楽しんでる」
「そうなのね」
「そうだよ、明日も楽しむよ」
 こうもお話してです、そしてでした。
 先生は食事のことも楽しむのでした、そうしたお話をお家でもしてです。稽古の時も相撲部の皆に言いました。
「僕も色々食べてるね」
「お好み焼きに洋食とですね」
「イギリス料理も」
「本当に色々召し上がられてますね」
「食べてるね」
 笑顔で皆にお話します。
「何かとね、それで君達もね」
「偏食はよくないけれど、ですね」
「それでもですよね」
「食べることはいい」
「そうですね」
「そう、お好み焼きも洋食も」
 そしてイギリス料理もです。
「食べていいよ」
「ただ、偏食はよくなくて」
「栄養バランスを考えるべきですね」
「そして力士の身体のことを考える」
「そういうことですね」
「そう、お相撲をするのならね」
 何といってもというのです。
「お相撲に相応しいものをバランスよく食べることだよ」
「だからお好み焼きも洋食もいいんですね」
「そうなるんですね」
「力士の身体を作るのなら」
「それがいいんですね」
「そうだよ、ただこの前読んだ本ではね」
 先生は大変な読書家です、そしてその読む本の中にはスポーツのものもあってその本からお話することです。
「野球の本だけれど」
「野球ですか」
「そちらのお話ですか」
「管理野球っていってね」
 その時先生が読んだ本に書いてあったことはです。
「徹底した練習と作戦だけじゃなくてね」
「食事もですよね」
「そっちも」
「そう、君達も知ってるのかな」
 その管理野球についてというのです。
「食事も白米やお肉を食べなくてね」
「昔の西武ライオンズですよね」
「ヤクルトスワローズでもでしたね」
「広岡達朗さんですね」
「あの人の野球ですね」
「そう、その人が監督の頃の野球だけれど」
 それが管理野球だというのです。
「お酒も煙草も当然なくてね」
「お魚も小魚で」
「玄米ですよね」
「炭酸飲料も禁止で豆乳飲んで」
「お昼は軽食ですね」
「当然ハンバーガーとかも禁止でね」
 そうした食事もというのです。
「食べたらいけないんだ」
「厳しいですよね、管理野球って」
「何かと」
「凄く厳しいですよね」
「軍隊みたいで」
「僕は体調管理はしっかりとしないといけないって思ってるけれど」
 それでもというのです。
「それでもね」
「管理野球までは、ですか」
「考えておられないですか」
「そこまではなんですね」
「うん、幾ら何でもね」
 先生は皆に言います。
「考えていないよ」
「あそこまではですか」
「厳しくはないんですね」
「力士としてどうあるかは考えていても」
「管理とまではですね」
「軍隊でもね」
 先程軍隊みたいという言葉が出てもです。
「そこまで厳しい部隊はまずないから」
「ですよね、自衛隊でもですよ」
「そこまで厳しくないですよ」
「レンジャー部隊ならともかく」
「そこまで厳しい部隊は殆どないですよ」
「そこまでしたから西武は強かったんだろうけれど」
 それでもというのです。
「軍隊でもそこまでする部隊は殆どないから」
「ですよね、広岡さん呉出身ですけれど」
「広島の」
「あそこは海軍の街ですけれど」
「海軍式だったんですか?」
「帝国海軍は厳しかったので有名だね」 
 帝国陸軍もそうでしたが鋼鉄の如き軍規軍律と過酷な訓練で知られています、その厳しさたるやだったのです。
「徹底した管理で」
「けれど食事までは、ですよね」
「あそこまで厳しくなかったですよね」
「白米から麦飯になったらしいですけれど」
「それは脚気対策だったからね」 
 白米から麦飯になったことはです。
「それでも肉を食べるなとかお酒を飲むなとかはね」
「海軍もしてないですからね」
「煙草も吸えましたし」
「幾ら何でもですよね」
「広岡さんは厳し過ぎますね」
「選手の人達も大変だったらしいですね」
「まあ炭酸飲料の飲み過ぎはね」
 それは実際にというのです。
「あまり骨格によくないけれど」
「それでもですね」
「飲み過ぎたらってだけで」
「完全に飲むなとはですね」
「先生も言われてないですね」
「確かに飲むのなら牛乳や豆乳、野菜ジュースがいいよ」
 身体のことを考えると、というのです。
「それでもね」
「ある程度はですね」
「飲んでいいんですね」
「炭酸飲料にしても」
「ある程度なら」
「うん、いいよ」
 こう皆にもお話します。
「君達は飲む量も凄いけれどね」
「ある程度ならですね」
「飲んでもいんですね」
「先生は管理相撲とはですか」
「そこまではいかないですか」
「普通にね」
 管理とまではいかなくて、というのです。
「それでいいよ、実はささみやゆで卵の白身もね」
「それもですか」
「そればかり食べるのならともかくですか」
「普通に食べるんならいいんですね」
「ある程度なら」
「そう、いいからね」
 先生が良くないと言っているのは偏食なのです。
「偏食は止めるべきだよ」
「お肉とお野菜、お魚もですね」
「何でもバランスよく食べる」
「それが大事なんですね」
「結局のところは」
「そうだよ、それとね」
 さらに言う先生でした。
「身体に悪いこともね」
「止めてですね」
「ある程度でいいんですね」
「それじゃあ」
「これまで通り」
「そう、気をつけてね」 
 ある程度お話してでした、先生はこの日も皆の稽古を見守りました。先生のそれはあくまで管理ではなく。
 ちゃんこ鍋の食材を見てもです、こう言いました。
「いいと思うよ」
「豚肉と鱈にです」
「白菜と大根の葉、ほうれん草にです」
「あとお豆腐です」
「蒟蒻も入れます」
「それとお餅も」
「全部安かったんです」
 スーパーで買ったものです、見れば食材を入れている袋は学園の近くにある八条スーパー本店のものです。
「それを買ってきました」
「基本安いの大量に買ってますんで」
「今日はこれでちゃんこ作ります」
「それで食べます」
「そうなんだね」
 食材については何も言わない先生でした。
「じゃあ沢山食べるんだよ」
「はい、そうします」
「今日はお味噌で味付けします」
「名古屋の八丁味噌使いますんで」
「あれっ、八丁味噌なんだ」
 そのお味噌だと聞いてでした、先生は思わず声をあげました。
「それはまた」
「関西ではないですよね」
「関西は白味噌ですからね」
「僕達も普段は基本お味噌はそっちです」
「白味噌です」
「じゃあ今日は趣向を変えてかな」
 先生は皆の考えを察して言いました。
「それで八丁味噌なのかな」
「はい、そうなんです」
「他にもだしを色々変えたりしてます」
「豆乳鍋の時もありますし」
「水炊きや豚骨もあります」
「そこは色々ですね」
「そうなんだね、お鍋といっても」
 先生もその辺りの事情は理解しました。
「食材もだしも変えてだね」
「色々な味にしてます」
「洋風の時もありますし」
「カレーもありますよ」
「そちらの味の時も」
「へえ、面白いね」
 先生もそのことは知らなかったので興味深く聞いています。
「ちゃんこは色々入れるとは聞いてたけれど」
「だしまではですか」
「ご存知なくて」
「それで、ですか」
「先生も驚かれてますか」
「うん、面白いって思ってね」
 それでというのです。
「驚いているかっていうとそうなるね」
「そうですか、じゃあ今度一緒にどうですか?」
「ちゃんこどうですか?」
「先生も」
「そうだね、じゃあ今度一緒に食べさせてね」
 先生も笑顔で応えます。
「楽しみにしてるよ」
「その時の食材でだしは変わりますけれど」
「食材とだしで合う合わないがありますから」
「そこは考えてます」
「ちゃんこって言っても色々で」
「だしも考えてるんです」
「その時の食材で」 
 先生に笑顔でお話します。
「そうしてます」
「豚骨も美味しいですよ」
「そっちのスープも」
「だから一度です」
「ちゃんこどうぞ」
「それじゃあね、今度ね」
 先生も笑顔で応えます。
「そうさせてもらうよ」
「先生には何かと教えてもらってますし」
「是非お願いします」
「監督ですからね」
「一緒に食べましょう」
「そうしようね、しかしちゃんこを食べるなんて」 
 先生はこのこと自体にも言及しました。
「イギリスにいた時は思いも寄らなかったよ」
「やっぱりそうですよね」
「イギリスにはこうしたものないですよね」
「ちゃんこなんて」
「そもそも力士さんもいないですね」
「レスラーはいても」
「レスリングはするけれど」
 それでもというのです。
「お相撲自体がないからね」
「だからですね」
「ちゃんこ鍋もない」
「当然として」
「うん、けれど日本に来て食べられる」 
 先生はにこりとして言いました。
「これも神様のお導きかな」
「嬉しいお導きですよね」
「美味しいものに巡り合わせてくれるから」
「だからですよね」
「うん、ただお相撲は神道だからね」 
 このことにも言及した先生でした。
「キリスト教とはそこが違うね」
「そこはあれですね」
「まあ深く考えないってことで」
「力士でもキリスト教徒いますから」
「最近あちこちの国から来てますからね」
「ははは、そうだね」
 その通りとです、先生も笑って応えます。
「そこは言ったら厄介なことになりかねないね」
「ですよね、まあ宗教についてはですね」
「お相撲は神道ですけれど」
「他の宗教が入ってもいいですね」
「キリスト教も」
「僕もお寺や神社に行くしね」
 最近ではお付き合いで天理教の教会にも出入りしていて留学してきているムスリムの人達ともお話しています。
「だからね」
「もうですよね」
「そのことはですね」
「寛容であれ」
「そういうことですね」
「それでいいと思うよ、じゃあ神様に感謝しよう」
 キリスト教の神様にというのです。
「日本に来られたこと、この部活に関われたこと」
「そしてちゃんこにも巡り会えた」
「そのこともですね」
「全部神様に感謝するよ」
 笑顔で言う先生でした。
「このこともね」
「先生は何でもですよね」
 部員の人の一人が先生に聞いてきました。
「神様に感謝されますね」
「うん、そうしてるよ」
「かなり信仰が篤いんですね」
「いや、僕はね」
「まだですか」
「僕より信仰の篤い人は一杯いるよ」 
 その部員さんにこう答えるのでした。
「それこそね」
「そうなんですか」
「イギリスでも他の国でもね」
「日本でもですね」
「そう、信仰の強さにも限りがないからね」
 だからだというのです。
「僕より信仰の篤い人は幾らでもいるよ」
「先生は神学者でもありますよね」
「そう、けれどね」
「それでもですか」
「牧師の資格も頂いたけれど」
 日本に来てからです、国教会から頂いたのです。
「けれどね」
「その先生よりもですか」
「そう、信仰の篤い人は沢山いるよ」
「そうなんですね」
「人の力は小さいから」
 こうしたことも言った先生でした。
「神様の前ではね」
「そのこともですか」
「自覚しているよ」
 それもいつもというのです。
「神が創られたもののうちの一つだしね」
「その世界の中の一つですね」
「そうだよ、人間は誰でも小さいんだ」
「先生も僕達も」
「だから神のお導きでね」
「今回もですね」
「僕はちゃんこにも巡り会えたんだね」 
 笑顔でこう言うのでした、そしてです。
 先生はこの日も皆の稽古を監督しました、その監督は決して怒らす声を荒らげない先生らしいものでした。



基本、先生は見守る形だな。
美姫 「みたいね。細かい指導は特にないわね」
主に健康面でって所かな。
美姫 「この調子で頑張って欲しいわね」
だな。次はどんな話になるのかな。
美姫 「次回も待っています」
ではでは。



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