『ドリトル先生と学園の動物達』




                第九幕  解決の前に

 動物園と水族館の動物達にお菓子をあげていたのがインド人と聞いてです、王子は成程というお顔になってお話してくれた先生に自分の洋館の中で言いました。
「やっぱり、かな」
「インドの人だからっていうのかな」
「だって、インドのお菓子って僕から見てもね」
「甘いっていうんだね」
「甘いにも程があるよ」
 それこそ、というのです。
「最初食べた時はびっくりしたから」
「その甘さにだね」
「あんな甘いお菓子は他にはないよ」
 インドのお菓子はというのです。
「これ多分パキスタンやバングラデシュもだろうけれど」
「うん、元々は同じ国だったからね」
「イギリス領になる前から」
「そう、ムガール帝国だったからね」
 このことはスリランカも同じです。
「だからお菓子はね」
「そうした国でもなんだね」
「甘いんだよ、僕はパキスタンのお菓子は食べたことがないけれど」
「あっ、ないんだ」
「うん、食べる機会がなかったんだ」
「じゃあまたあれ?」
「ティーセットは口にしていたよ」
 先生にとっては欠かせないものです。
「それでもね」
「そうだったんだ」
「そうだったんだ、けれどね」
「それでもなんだ」
「パキスタンとかのお菓子は食べていないんだ」
「それで知らないんだ」
「そうなんだよ、けれどインドのお菓子はね」
 先生はインドにも何度か行っていてです、そのうえでインドのお菓子も食べているのです。それで知っているのです。
 王子もです、それでこう言うのです。
「甘いからね」
「それで王子もなんだね」
「動物の皆の虫歯の原因がわかったよ」
「そのインドの女の人があげていたんだよ」
「そういうことだね、ただね」
「ただ?」
「どうしてお菓子あげているのかな」
 王子は先生にこのことも言うのでした。
「そのことが気になるね」
「そうだね、ただね」
「ただ?」
「悪気があってしたとはね」
 そうしたことはというのです。
「あまり考えられないね」
「そうだね、皆を虫歯にする為にお菓子をあげるとかね」
「性格が悪いにも程があるよ」
「そこまで性格の悪い人はね」
「そうそういないよね」
「そこまでする人がいるなんて信じられないよ」 
 王子にしてもです。
「滅多にいないよね、そこまで性格の悪い人は」
「性格の悪い人は確かにいるけれど」
「それでも程度があるからね」
「そこまで性格の悪い人となるよ」
「滅多にいないよ」
 そこまではというのです、王子にしても先生にしてもです。
「そうそうね」
「だから悪気があってしているとはね」
「考えられないね」
「うん、だから善意じゃないから」
「よかれと思ってお菓子をあげているんだね、動物の皆に」
「そうじゃないかな、ただね」
「ただ?」
 王子はまた先生に問い返しました。
「ただっていうと」
「うん、よかれと思っていてもね」
 それでもというのです。
「実はよくないことだっていうこともあるね」
「世の中にはね」
「うん、だからね」
 それでというのです。
「今回のことはね」
「その人を見付けて注意しないといけないんだね」
「さもないとまだ虫歯になる子がいてね」
「痛い思いをするね」
「虫歯は大変だよ」
 非常にというのです。
「だからその人を見付けて注意しよう」
「そういうことだね」
「だから今その人を探しているんだ」
「うちの学校日本以外の国からの来ている人も多いけれど」
「けれどだね」
「インド人は案外少ないんだよね」
「そう、そしてね」
 先生は王子にさらにお話します。
「若い女の人となると」
「さらに限られるね」
「そうなると調べるのは楽だね」
「そうだね、ただね」
「学園の関係者じゃなかったら」
 その時はというのです。
「ちょっと厄介だね」
「あっ、その可能性もあるね」
「その人は動物園や水族館に随分出入りしているから多分八条学園の関係者だと思うよ、僕もね」
 王子もそう見ています、けれどです。
「そうじゃない可能性もあるんだよね」
「あの動物園や水族館は誰でも出入り出来るからね」
「入園料を払えばね」
 ちなみに学園関係者はかなり格安になります。
「入られるよ」
「そうだね、だったらね」
「学園関係者じゃないことも」
「可能性として考えられるね」
「そうだね、ただね」
「ただ?」
「随分頻繁に動物園にも水族館にも出入りしているから」
 だからとです、先生は紅茶を飲みつつ王子にお話しました。
「だからね」
「学園関係者と思っていいね」
「その可能性が一番高いのは確かだね」
「少なくともインド人であることは間違いないよ」
 このことは確実だとです、王子も確かに言いました。
「それだけ甘いお菓子を作って防犯カメラに映っている服装がね」
「インドの服だから」
「うん、だからね」
 それで、というのです。
「インド人であることは間違いないよ」
「インド人となるとね」
「僕が思うにインド人は世界一目立つ人達だよ」
「独特な人達だからだね」
「うん、何処にいてもすぐにわかるよ」 
 その人がインド人だと、というのです。
「僕の国にもいるしね」
「ああ、王子の国にもインドから来ている人達がいるね」
「華僑にアメリカ人もいてね」
「イギリス人はどうかな」
「ううん、かなり減ったね」
 先生のお国の人達は、といいますと。
「昔に比べたらね」
「そうなんだ」
「その分日本人が増えたね」
「あれっ、日本人はなんだ」
「うん、増えたよ」 
 そうなったというのです。
「昔と比べたらずっとね」
「日本人は世界中で活動しているからね」
「僕の国にも来ているよ」
「企業の人達がかな」
「いや、その他にね」
「他にもなんだ」
「あと学校の先生達も来ているよ。それにね」
 王子は日本から来ている人達について先生にお話していきます。
「色々と。助けてくれる人達も」
「学校を作ったり橋を作ってくれる人達が」
「有り難いよ、特に日本人って学校好きだね」
「あちこちで学校を作ってるみたいだね」
「それで皆に色々なことを教えてくれるんだ」
「日本人は教育が大好きなんだ」
 ここで、です。先生は王子にこのこともお話しました。
「その国に進出したらね」
「学校を建設しないでいられないんだ」
「それで先生も来てね」
「教育することが好きなんだ」
「それは台湾等でもしてきたんだよ」
「ああ、台湾は昔日本だったからね」
 王子は台湾のことを勉強したこともあります、それで台湾のこともよく知っているのです。
「日本人も学校を作っていたんだ」
「そうだよ、王子の国以上にね」
「学校が建てられて」
「先生が来て教育を行っていたんだ」
「そうだったんだ」
「そういえば台湾ってね」
 王子はこの国についてです、これまで聞いたことをお話するのでした。
「凄いお金持ちの国だよね」
「うん、かなりのものだよ」
「そうなったのは日本だったからなんだ」
「日本の統治が台湾の今の基礎を築いたんだよ」
「あれだけの国になったんだ」
「そうだよ、日本の統治は確かに問題もあったけれど」
 それでもというのです。
「台湾があそこまでになる基礎を築いた統治なんだ」
「そこまでよかったんだね」
「そう、だから王子の国に日本の人達が学校を建てて先生が来ることは」
「いいことだね」
「きっと王子の国の為になるよ」
 このことは間違いないというのです。
「橋や堤防。道路も作ってくれるね」
「そうそう、それもね」
 それもまた、と言う王子でした。
「有り難いよ」
「別に悪い魂胆もないから、日本人には」
「お仕事のことで便宜位かな」
「まあそんなところだね」
 流石に何もなく、はないですがそれでもです。
「日本人が僕の国にしてくれていることは有り難いよ」
「そうだろうね、じゃあこれからもだね」
「日本人を歓迎するよ、公平で親切な人達も多いし」
「では何時かは台湾みたいにだね」
「ああした豊かな国になりたいね」
 しみじみとして言う王子でした。
「是非ね」
「そういうことだね」
「うん、それで話が戻るけれど」
「お菓子のことだね」
「何につけても誰か突き止めてその人に直接言ってね」
「止めてもらわないとね」
「これからも動物の皆が虫歯になるから」
 だからというのです。
「そこを何とかしよう」
「絶対にね」
「すぐに誰か見付かりそうだね」
 インド人だからです、ここでもこう言う王子でした。
「本当に目立つ人達だし、それに」
「それに?」
「食堂で食べるものも決まってるしね」
「ナンかカレーだね」
「とにかくカレーばかり食べるよね」
 インド人はというのです。
「びっくりする位に」
「元々あの国の料理だからね」
「そうだね、まあ日本のカレーはインドのカレーとはまた違うけれど」
「それでもカレーを食べているね」
 このことは間違いないというのです。
「あそこの人達は」
「だからこのことでもというんだね」
「うん、わかるよ」 
 食事のことでもというのです。
「あの国の人達については」
「そうだね、じゃあ調べていこう」
 是非にというのです、そうお話してです。
 そうしてでした、王子は先生にです。こうしたことも言いました。
「それでなんだけれど」
「今度は何かな」
「先生に前にナポリタンご馳走したよね」
「あの日本のスパゲティだね」
「他にもスパゲティ食べてるかな」
「うん、トミーが作ってくれているよ」
 時々です、トミーがというのです。
「休日なんかにね」
「それはいいことだね」
「ナポリタンはいいね」
「そうだね、けれどね」
「けれど?」
「他のスパゲティも食べているよ」
 ナポリタン以外のスパゲティもというのです。
「ミートソースやボンゴレ、他にもね」
「色々なスパゲティを食べているんだ」
「ペスカトーレもね」
 そのスパゲティもというのです。
「後ネーロもね」
「イカ墨のだね」
「あのスパゲティもいいね」
「あれ最初見たらびっくりするけれどね」
「あのスパゲティはね」
 先生はそのイカ墨のスパゲティについてもです、王子にお話します。今は赤い紅茶を楽しみながらそのうえで。
「インクかと思ったよ」
「インクをかけてだね」
「そうしたソースかと思ったけれど」
「それでもだね」
「これが食べてみるとね」
「美味しいね」
 笑顔で言う先生でした。
「あれはイタリア人が最初に考えたんだってね」
「そうそう、イタリアから日本に伝わってね」
「定着しているね」
「あれがね」
 実にというのです。
「日本人の面白いところだよ」
「美味しいものなら何でも受け入れる」
「それも日本人だよ」
「それで日本でもイカ墨のスパゲティが食べられるね」
「これもまたいいね」
「とてもね、この国は色々なものが食べられるよ」
 日本の中にいてです。
「スパゲティにしてもね」
「カレーもだね」
「うん、そのインドからの料理もね」
 それもまた、というのです。
「色々なものがあるよ」
「そうだね、それでスパゲティは」
「あれも色々ある、けれど」
「けれど?」
「スパゲティには、イギリスにいたらわからなかったけれど」
 日本にいてわかったことだというのです。
「スパゲティ、パスタに大蒜は欠かせないね」
「そうだね、パスタには大蒜とチーズだよ」
「そうそう、チーズもだね」
「この二つがないとね」
「何かが違うね」
 そうだとです、二人でお話します。
 そしてです、先生はこうしたことも言いました。
「大蒜とチーズの二つがあると全然違うよ。そして茹でる状態はアルデンテだよ」
「アルデンテだね」
「うん、それだよ」
 それもまた忘れてはいけないというのです。
「イギリスにいたらわからないことだよ」
「イギリスのスパゲティはね、大蒜やチーズはなおざりで」
「茹で方もね」
「それもね」
 それもまたです。
「ないんだよね」
「本当にイギリスって食べることではね」
「あまりね」
「期待出来ない国だね」
「そこは仕方ないね」
「最近よくなってきているとも聞くけれど」
「どうなのかな、その辺りは」
 どうにもという先生でした。
「少なくとも僕の知っている限りじゃね」
「そうでもないんだ」
「そう思うよ」
 こう返す先生でした。
「火の加減も調味料の種類も使い方もね」
「日本とは違うね」
「そこがどう変わっているかがね」
 それが、というのです。
「問題だけれど」
「イギリスの場合は」
「不安だね、そこが」
「先生のお国だけにそうしたことがね」
「気になるんだ」
「日本はまた違うけれど」
 この国はです。
「料理のことへの関心が違うからね」
「イギリスはその関心がだね」
「日本とは違うんだよ、紅茶は別だよ」
「それに一緒に食べるお菓子はだね」
「あと朝食はね」 
 こうしたものはいいというのです、イギリスは。
「けれど全体で言うと」
「スパゲティにしても」
「僕は日本のスパゲティの方がずっと好きだよ」 
 先生の偽わらざる本音です。
「本当にね」
「ナポリタンもネーロもだね」
「うん、日本はパスタも多いね」
「麺類自体が好きだね、日本人は」
「それでスパゲティもね」
「日本に来てからなんだ」
「余計に好きになったよ」
 そうなったというのです。
「実際にね」
「そうなんだ、そういえば僕も」
「王子もかな」
「日本に来て色々なものを食べる様になって」
 そして、というのです。
「スパゲティもね」
「食べる様になったんだね」
「そうなったよ」
 こう先生にお話するのでした。
「スパゲティについても」
「イギリスにいる時よりもかな」
「いや、祖国にいる時よりも」
 その時よりもというのです。
「食べる様になったよ、スパゲティもね」
「それだけ日本のスパゲティが美味しいということだね」
「実際にかなり美味しいしね」
 こう先生にお話します。
「それで今日もね」
「晩御飯にだね」
「食べるよ」
 実際にというのです。
「楽しみにしているよ」
「それは何よりだね」
「それもナポリタンをね」
「大蒜とチーズを忘れないで」
「茹で方はアルデンテで」 
 勿論このことも忘れません。
「それでね」
「そういうことだね」
「このアルデンテがね」
「また外せないね」
「何でイギリス人はアルデンテが出来ない人が多いのかな」
 パスタのその茹で方が、とです。王子は先生に尋ねました。
「あれが」
「ううん、やっぱりイギリス人はね」
「料理が下手だとか?」
「無頓着だったのは確かだね」
 それで、というのです。
「イギリスでは料理の味についてとかく言うことは好まれていないから」
「失礼だって思われるんだね」
「紳士淑女の言うことじゃないってね」
「紳士淑女じゃないってことはね」
「イギリスじゃ物凄くマイナスだからね」
 先生は王子にこのこともお話しました。
「だからね」
「パスタについてもなんだ」
「うん、アルデンテにせずにね」
「もう長く茹でるだけで」
「コシもないんだよ」
 パスタのそれが、です。
「そうなんだよ」
「そういうことだったね」
「他のお料理でもそうだね」
「うん、お肉でもお野菜でもね」
 まさにあらゆるお料理がなのです、イギリスでは。
「焼き過ぎ、茹で過ぎで」
「味付けもだね」
「基本お酢とお塩だけかな」
「味がないとも言われるね」
 つまり火を通し過ぎていてです、それになのです。
 味付けもです、乏しいからなのです。
「だからだね」
「同じ島国でもそこが日本と全然違うね」
「日本の食文化の豊かさときたら」
「それこそだね」
「世界一かも知れないよ」
 そこまで素晴らしいというのです。
「江戸時代でも素晴らしかったからね」
「ふうん、昔からなんだ日本の食文化は」
「うん、お豆腐にお寿司に天麩羅に」
 それに、というのです。
「お刺身にお野菜のお料理もね」
「豊かなんだ」
「そうだよ、何かとね」
 それこそというのです。
「日本の食文化は江戸時代に花開いてね」
「それからなんだ」
「今に至るんだよ」
「江戸時代なんだ」
「今の日本の基礎は江戸時代にあるんだ」
 まさにこの時代にというのです。
「食文化以外のものもね」
「江戸時代だね」
「そう、その時代にあるんだよ」
「日本の江戸時代っていうと」
 ここで王子が思い浮かべることはどういったことかといいますと。
「あれだよね、ちょん髷をしていて着物を着ていて」
「時代劇だね」
「それに刀を持ってて」
「うん、そうだよ」
「それに木造の家に畳、麩で」
 家等のお話もします。
「殿様もいるね」
「大体そうだよ」
「江戸時代って不思議な時代だね」
「学んでいてとても面白い時代だよ」 
 生粋の学者である先生にとってはです。
「あらゆることがね」
「そんなに面白い時代なんだ」
「あらゆることがね。それにいい時代だったみたいだね」
「あれっ、時代劇だと」
 王子はここでも時代劇のことからお話します、王子が見ている江戸時代は一体どういったものかというとです。
「悪い代官や勘定奉行、商人がいたんじゃ」
「あれはお芝居だからね」
「実際はなんだ」
「ああした話はまずなかったよ」
「じゃあ年貢が重かったりとかは」
「むしろ欧州の方がずっと高かったね、税金みたいなものは」
 先生は先生がこれまでいた地域のこととも比較するのでした。
「江戸時代の日本は年貢が軽かったんだ」
「あっ、そうだったんだ」
「だからお米が食べられないこともね」
「時代劇だと稗や粟のお粥だね」
「そうしたものを食べている人もいるけれど」
 それでもというのです。
「そうでもなかったんだよ」
「お米をちゃんと食べていたんだ」
「茶粥という食べものがあるけれど」
「茶粥っていうとお茶を入れたお粥かな」
「そうだよ、お米のね」
「ふうん、そうしたものが普通に食べられていたんだ」
「奈良とかではね」 
 本当に普通に食べられていたというのです。
「朝とかにね」
「何か時代劇の中よりもいい時代だったんだね」
「そうだよ、昔の日本はね」
「それで先生も江戸時代の日本が好きなんだ」
「あの時代の日本にいたいとも思えるよ」
 先生はそのお顔に憧れも見せてお話するのでした。
「他の時代の日本も面白いけれどね」
「僕は戦国時代かな」
 王子が興味のある日本の時代はこの時代でした。
「戦争は嫌だけれど面白い時代だと思うよ」
「織田信長みたいな人がいてだね」
「うん、戦国大名も武将も面白いね」
「その時代について書かれた本も多いね」
「そうした本で勉強しているんだ」
 実際に、と言う王子でした。
「あと八条学園の博物館にも戦国時代の資料が多いから」
「行ってだね」
「勉強しているよ」
 そうだというのです。
「僕もね」
「そうなんだね、王子も学問に励んでいるんだね」
「僕なりにね、先生程じゃないけれど」
 それでもだというのです。
「ちゃんとしているよ」
「そうなんだね」
「うん、ただね」
「ただ?」
「先生程じゃないよ」
 そこまで学問に励んでいないというのです。
「先生は本当にいつもあらゆる学問に励んでいるよね」
「そうかな」
「だって歴史だって勉強してるじゃない」
 日本の江戸時代のそれについてです。
「だからね」
「僕は王子より勉強してるっていうんだね」
「そう思うよ」
 まさにというのです。
「先生は本当に凄い学者さんだよ」
「そう言われると照れるね」
「あはは、お世辞じゃないけれどね」
 そうだというのです。
「このことは」
「そうなんだ」
「そうだよ、僕は先生にありのままお話しているだけだよ」
 先生自身のそうしたことをです。
「本当にね」
「ありのままなんだ」
「先生にとってもね、それでだけれど」
「うん、今度は何かな」
「虫歯の話もそろそろ終わりだね」
 そうなるとです、先生はこのこともお話するのでした。
「そうなるね」
「そのインド人が誰かだね」
「それが問題だね」
「多分学園の関係者だと思うよ」
 王子もそのことはというのです。
「だからね」
「それでだね」
「うん、学園のインド人を調べていけば」
「わかるね、すぐに」
「そうだね、だからもうすぐだよ」
 今回の騒動はというのです。
「終わるよ」
「そしてその人に注意をして」
「動物の皆にお菓子をあげないようにしてもらえばね」
 それで、というのです。
「終わりだね」
「そうだね、無事ね」
「その人がお話を聞いてくれればだけれど」
「そもそも動物園、水族館で動物に何かあげるのって駄目だよね」
「うん、規則でそうなっているよ」
 餌をあげていいのは係の人達だけです、お客さんがあげてはいけないのです。
「そのことはね」
「その通りだね、聞いてもらうしかないね」
「それこそね」
 先生もこのことについては強く言います。
「そこは言うしかないよ」
「それじゃあ」
 こうお話してでした、そのうえで。
 先生は王子と一緒に王子のお家でお茶を楽しみました、そうしてお家に帰ってでした。先生は今度はトミーと動物の皆からです、こう言われました。
「どうでした、王子のお家は」
「多分何もなかったと思うけれど」
「お茶を飲んでお喋りした位だよね」
「別jに変わったことはなかったわよね」
「皆の虫歯のこととかも」
「うん、虫歯のこともお話したけれど」
 それでもだというのです。
「特にね」
「別にですね」
「何もなかったんだよね」
「事件のことでの進展は」
「そういうことは全くなかったよ」
 本当に何一つとして、とお話する先生でした。
「別にね」
「それじゃあ御飯は」
「お茶を飲んだだけだよ」
 先生はトミーのこの問いに笑顔で答えました。
「お菓子を少しもらったけれど」
「そうですか」
「お饅頭をね」
 それをご馳走になったというのです。
「二つね」
「じゃあ晩御飯も」
「大丈夫だよ」
 食べられるというのです。
「そちらもね」
「そうですか、じゃあ今日の晩御飯は」
 トミーは先生に笑顔で、です。この日の晩御飯のメニューが何かとお話しました。
「スパゲティですよ」
「あっ、そうなんだ」
「イカ墨の」
「そうそう、王子ともお話したんだよ」
「イカ墨のスパゲティのことをですか」
「うん、そぷだったんだよ」
「それはまた奇遇ですね」
 王子も先生のお話を聞いて笑顔になって返しました。
「何にしようかって思いまして」
「それでなんだ」
「はい、スパゲティで」
「しかもイカ墨だね」
「オリーブオイルと大蒜、それに唐辛子で味付けをして」
 そして、というのです。
「烏賊の切り身やトマト。オニオンも細かく切って入れます」
「随分豪勢だね」
「いや、日本だと普通ですよ」
 そうした調理の仕方はというのです。
「あと粉チーズも忘れていません」
「ううん、すっかり日本になっているね」
「そうですね、僕もイギリスにいた時は」
「そこまでお料理に凝っていなかったね」
「そうでした、全然」
 それが随分変わったというのです、トミーもまた。
「スパゲティも茹でて。市販のおソースをかけて」
「それで終わりだったね」
「それ以上は」
 とてもだったというのです。
「考えられませんでした」
「イギリスは本当にそこはだね」
「日本程じゃないですね」
「スパゲティだけじゃなくてね」
「茹で方もね」
 それ一つを取ってもです。
「アルデンテも」
「勿論茹で方にも気をつけています」
 トミーもなのでした、このことは。
「ちゃんと」
「アルデンテだね」
「それを意識していきますので」
「では何かと頼むよ」
「はい、お任せ下さい」
 笑顔で応えるトミーでした、そしてです。
 真っ黒のスパゲティ、パスタだけでなく烏賊もトマトも何もかもがそうなっているスパゲティの上に粉チーズをかけてです、先生は笑顔で言いました。
「美味しいね、とても」
「オリーブオイルもふんだんにです」
「使ったんだね」
「やっぱりスパゲティはオリーブと大蒜、それにチーズがないと」
「とてもだね」
「こうした味になりません」
 本当にとても、というのです。
「日本にいると普通にここまでなりますね」
「そうだよね、日本にいると麺類もね」
「よく食べますね」
「何気に冷凍うどんもいいね」
「ああ、あれすぐに調理が出来て」
 それにというのです、トミーも。
「しかもコシが凄くて」
「美味しいね」
「インスタントラーメンもいいですよね」
「日本人は自分達を発明の才能がないとか独創性がないとか言っているみたいだけれど」
「凄いですよ」
 その発明の才能や独創性がというのです。
「冷凍うどんなんて」
「全くだね」
「あのコシは素晴らしいです」
「お湯に入れて簡単にほぐれるし」
「お鍋に入れてもいいですからね」
「あんないいものはないね」
「本当にそう思います」
 トミーは先生に心から答えました。
「あれは素晴らしい発明です」
「全くだよ、インスタントラーメンも」
「先生はどんなラーメンがお好きですか?」
「塩ラーメンかな」
「サッポロ一番の」
「うん、あれはいいね」
 先生のお気に入りのインスタントラーメンはこちらみたいです。
「あんな美味いインスタントラーメンはね」
「インスタントラーメンの中でも」
「そうはないよ」
 そこまで美味しいというのです。
「本当にね」
「僕は袋のインスタントラーメンでした」
「何が好きなのかな、トミーは」
「好きやねんですね」
 このラーメンだというのです。
「あれが好きです、うまかっちゃんも」
「大阪と九州なんだ」
「何かそういう味が好きなんです」
 トミーは、というのです。
「あとカップでしたらどん兵衛のきつねですね」
「僕はカップだったら日清のカップヌードルのシーフードかな」
「そちらですか」
「カップ麺だとね」
「成程、それぞれですね」
「そうだね、しかしインスタントラーメンは」
 あらためて言う先生でした。
「あれも物凄い発明だよ」
「何時でも手軽に食べられますし」
「あれで助かる人も多いと思うよ」
「人は食べるものがないと生きられませんから」
「そうだよ、人間はまず食べないとね」
 それこそというのです。
「生きていられないよ」
「そういうことですからね」
「うん、そのこともあって」
「日本人の発明はですね」
「これまた素晴らしいものがあるよ」
 食べものについてはです。
「僕はそう思うよ」
「ですね、まあとにかくこのスパゲティも」
 これもです、皆で今一緒に食べているそれも。
「全部日本のものですよ」
「スパゲティもだね」
「オリーブオイルもですよ」
「ううん、イタリアにも負けない味だね」
「本当に。じゃあ沢山ありますんで」
 そのスパゲティがです。
「どんどん食べて下さいね」
「言われなくてもね」
 ガブガブもスパゲティ、イカ墨のそれを食べています。ちゃぶ台のすぐ傍でお皿の上にあるそれを美味しくです。
「食べてるよ」
「ガブガブもこのスパゲティ美味しいと思うよね」
「勿論だよ」
「まあ僕達はね」
「私達の御飯を食べてるけれどね」
 ジップとポリネシアは彼等の御飯を食べています。
「日本の食べものはね」
「確かに美味しいわね」
「この干し肉じゃが」
 トートーも自分の御飯を食べつつ言います。
「絶品じゃ」
「稗や粟もね」
 ダブダブも上機嫌でお話します。
「凄く美味しいわよ」
「うん、本当に」
「美味しいわ」
 チープサイドの家族もダブダブと同じものを食べています、そしてチーチーもです。ドライフルーツを食べながら言いました。
「いや、幾らでも食べられるよ」
「食べ過ぎて太ったかも」
 ホワイティは肥満さえ気にしています。
「これはまずいかな」
「わしなんかどれだけ体重が増えたか」
「僕もね」
「絶対に太ったよ」
 老馬とオシツオサレツも日本の草を食べています。
「美味いのでついつい食べ過ぎて」
「それでね」
「かなり太ったかな」
「そういえば僕も」
 先生もです、スパゲティを食べつつ述べました。
「太ったかな」
「あれっ、そうですか?」
「そうかな」
「うん、どうかな」
 こうトミーにも尋ねるのでした。
「僕も太ったかな」
「どうでしょうかね、それは」
「僕は元々だったけれどね」
 イギリスにいた時からです、先生は確かに太めです。
 しかしです、日本に来てから余計にというのです。自分で。
「どうかな、そこは」
「見たところ特には」
「前より太ってないかな」
「はい、確かに食べる量は増えていますけれど」
 それでもだというのです。70
「太ってはいませんよ」
「だといいけれどね」
「実際に体重を測ってみたらどうですか?」
 トミーは先生にこうも言いました。
「どうでしょうか」
「そういえばうちにも体重計あったよね」
「買っておいたんです」 
 こうしたこともしっかりしているトミーです。
「ですから」
「じゃあ今日にでも」
「脱衣場にありますから」
「じゃあお風呂からあがったらだね」
「はい、すぐに測ってみるといいと思います」
「太り過ぎはよくないからね」
 健康にです、只でさえ太めの先生ですからこうしたことは意識しているのです。普通の人と比べてもそうしているんおです。
「だからね」
「それで、ですね」
「うん、測ってみてね」
「若し太っていたらですか」
「色々と考えないといけないね」
 こう言うのでした。
「僕は運動はしないけれどね」
「わしに乗る位じゃな」
 老馬が先生に応えて言ってきます。
「先生は」
「うん、乗馬を少し位だね」
「後は歩く位じゃな」
「散歩だね」
「先生は運動はからっきしじゃからな」
「昔から大の苦手だからね」
 先生はそうしたことはとてもなのです。
「だからね」
「それならじゃ」
「うん、散歩をしようかな」
「歩くことはいいことですよ」
 トミーはにこりと笑って先生に応えました。
「ダイエットにも」
「よく言われることだね」
「先生は確かにスポーツはされないですけれど」
 それでもというのです。
「お散歩ならです」
「僕もそれはするし好きだしね」
「じゃあ若しも太っていたら」
 その時はとです、また言うトミーでした。
「お散歩に励みましょう」
「それでは」
 こうお話してでした、そのうえで。
 先生はお風呂に入ってから体重を測るのでした。その結果はといいますと。



今回はまだ犯人は特定されていないな。
美姫 「そうね。犯人明かしの前の一休憩って所かしら」
のんびりと王子たちとお話だったけれど。
美姫 「体重の事が出てきたわね」
まあ、美味しいからついつい食べてしまうって所か。
美姫 「実際に増えてしまったのかしらね」
さて、どうなのか。
美姫 「犯人がどんな人物なのかも含めて続きを待っています」
待っています。



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