学園祭が終了してそれほど時が経っていない頃。

 俺は相変わらず、ガルガンチュアで保父をしていました。

 

「マスター。お代わり」

「私もだ、蛍火」

 

 その時、追い払うようにしてしまったから二人の機嫌が悪い。

 この数日間、事後処理をしていてこちらに顔を出していなかった事が更に拍車をかけているのだろう。

 

 ヤケ食いに近い形で二人は俺が作った料理を食べていた。

 

 うぅ、もう少し味わって食べてくれてもいいんじゃないか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くぅ〜、久々の蛍火の飯はやっぱり美味いな!」

「えぇ、この味を知ったら粗食など食べていられない」

 

 ムドウとシェゼルも何時もに比べて食べる勢いが凄い。

 今まで断食していたかのように食べる速度が凄い。

 

 そこまで俺の料理を褒めてくれるのは嬉しい限りだ。

 

 

「これで、肴にもありつけるぜ!」

「これで、粗食から開放される!」

 

 ムドウは酒の肴が欲しくて喜んでいたのか。

 シェザル、育ちが良すぎるから粗食が食えなかっただけなのか……

 

 なんというかこっちでの自分の存在価値が食事に関する事以外にないのかと思ってしまう。

 

「まぁ、私も酒の付き合う相手が戻ってきてくれて嬉しい限りです」

 

 ダウニーの励ますような声。表情も何処か気遣わしげだが……

 

 お前の酒に付き合うと大半が愚痴なんだよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まぁ、そんなこんなで何時通り保父さんをしていたわけだったが……

 

 平穏とはやっぱり続かない。

 

 突如舞い降りた一羽の鳩。

 その足には紙が巻きつけられていた。

 

 その鳩を肩にとめたダウニーはその足に巻きつけられている紙を広げて――固まった。

 

 顔は険しく、今まで見たこともないほどの怒り。

 憎悪と嫌悪、憤怒に染まった表情。

 

 ダウニーの表情をここまで変えるほどの情報か……中々に酷い事態になりそうだ。

 

「出撃します」

 

 何も語らずに唯一言だけを発した。

 戸惑いはなく、躊躇はなく、動く事に対する恐れすら見せていない。

 

「ホルム州から私軍がホワイトカーパスに進軍中との情報が入ったので……私達が出撃して潰します」

 

 その言葉にムドウ、シェザル、イムは驚きを表す。

 ムドウとシェザルは人を殺せる事に喜びも見出しているが……

それでもあの冷静なダウニーが今表に出るといっていることに驚いている。

 

 この二人が驚くほどにダウニーの行動は意外すぎる。

 

 何よりもこちら側の準備が整っていない。

 無限召喚陣はまだ五割しか完成していない。このままでは使い物にはならない。

 レベリオンの場所も割り出していない。王国最高の攻撃力を誇る武器の所在を知らなければどうにも出来ない。

 そして、救世主の鎧。このガルガンチュアを地に封じ込めている楔の場所が特定できていない。

 あれを砕かなければこのガルガンチュアは空に浮かび上がらない。

 

 そして、兵がまだ少ない。本格的に動いていない事もあり、まだ兵士の数が圧倒的に少ない。

 獣達も役に立つのだが……作戦を展開するのならやはり人の兵士がもう少し欲しい。

 

 まだこんなにも準備が整っていないのにダウニーが出撃するのはやはり焦りすぎているとしか思えない。

 

 

 いや、まぁレベリオンと救世主の鎧に関しては俺が所在を知っているのですがね。

 調べておかないと色々と危険ですし?

 

 

 

 しかし、ホルムから進軍か……

 

 まだホワイトカーパスは王国を裏切る立場を取っていない。

 いや、そもそも攻め込むという言葉は間違っているのかもしれない。

 

 ホワイトカーパスは破滅の民が数多くいる場所。

 破滅の民を迫害しようとして個人的に動いている軍なら納得も出来る。

 それはある意味で日常だからだ……

 

 

「主幹さんよ。まだ準備は整ってないんじゃなかったのか?」

「えぇ、ですが今ホワイトカーパスを蹂躙されては意味がありません。折角、兵士の数があそこに集結しているのですから」

 

 王国に知られないように兵士の数を集めるにはホワイトカーパスの住民が一番だ。

 ここには昔からの破滅の民”が多い地域だ。

 

 そして、ここを“破滅の民”の根城としている。今ここに攻め入られては色々と厄介だ。

 

 

 

 だが、それだけでは白の将達を前に出す理由がない。

 

 

 

 

 

 一方で俺は納得していた。

 ダウニーが口に出したホルム州。そこはダウニーの故郷。そして、妹を殺した場所。

 

 あそこが動いたとなれば、領主が変わっていても動揺はするか……

 

 

 しかし、ホルムの私軍ね……これもまた因縁深い。

 何故なら、あそこの領主をしているのはダウニーが皆殺しにした前領主の孫なのだから。

 

 奇跡的に外に出ていた孫。

 だが、妻は殺されていた。前領主の遺体と共に斬殺されていた。大方、復讐というところだろう。

 

 ふむ、しかし、どうしてこちらに進行してくるのだろうか?

 ダウニー関連を調べていた時の資料によるとその時の犯人は見つかっていないと記載されている。

 

 もし、その孫がダウニーを見ていて黙っていたとしても……ダウニーがこちらに居る事は知らないはずだ。

 

 こちらに来るときは厳重に注意している。

 学園では普通に姿を出しているから捕まえるなら、王都付近で捕まえるほうが楽だ。

 

 なのにそれをしていない。

 だとすると相手は、復讐の相手が破滅の民だという事は知っているがそれ以上は知らないということになる。

 

 

「失敬」

 

 ダウニーの手に未だある伝令の紙をかすめ取り、中身の確認を。

 

『ホルムより私軍が進軍。兵数、およそ四千。大砲のような物があるが……火薬や弾は運ばれていない』

 

 なるほど、予想通り、私軍か。

 だが……大砲のようなもの?

 

 何故断言できてない? 何故、火薬や弾が運ばれていない?

 伝令から見てもそれは大砲に似ているが、別物に見えるそれか……

 

 興味があるな。

 

 違う……覚えがある。

 

 何処だ? 俺は何処でそれを知った?

 俺は何でそれを知った? 何故思い出せない? そうだ、何故そこまで興味を持つ?

 何故、ここまで焦燥感がある?

 

 調べる必要が有るな。

 

 

「ダウニー先生、私も参加します」

「いけません! 貴方が前に出るのは危険すぎます!」

 

 かなり慌てた声を出している。

 その理由は分かる。俺が今はまだ赤側で動いている事があるからだ。

 それも救世主候補クラスという最も赤の中心で、

 

 それを言えばダウニーもそうなんだが。

 

「ダウニー先生が前に出るという事は、殲滅戦でしょう? 一匹も漏らす事のできない。

 だとしたら私は上空で待機して逃げ出す兵士を遠距離から打ちますよ」

 

 俺からしても、まだ『破滅の主幹』としてのダウニーが表に出るのは宜しくない。

 

「……ありがとうございます。では、これより殲滅戦を行う!」

 

 

 

 号令がかけられると共に各々が準備をし始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イム」

「あら、何かしらマスター?」

 

 他の皆が準備中の中イムにだけ話しかける。

 イムは他の者と違って準備する必要がないからな。

 

「レベリオンを小型化したような遺失兵装はありますか?」

「? ちょっと待って」

 

 一瞬、何を聞かれているか分からないような表情をしていたが、すぐに俺の命令と有って眼を瞑っていた。

 イムは長い記憶があるのだからそれに類する物を知っているかもしれない。

 

 そもそも、レベリオンが小型化した兵器がないほうがおかしいのだ。

 あれ程に強力な武器を量産していないはずがない。

 

 マナの使用量が半端ではないが……それを小型化して持ち運びを可能に出来る兵器なら尚のこと、需要があるはずだ。

 作られている可能性がかなり高い。

 

「え〜と確か…………一つだけあった気がする」

「名前は? 動力源は? 有効射程は? 構造は? 破壊可能ですか? それは今も稼動可能数はどれぐらいありますか?」

「ちょっ、ちょっとマスター! そんなに一度に聞かれても答えられないわよ!」

 

 イムの声で冷静さを取り戻す。

 ダウニーに続いて俺も冷静さを失うとは情けない。

 

 とりあえず俺、Be coolだ。

 

「名前ぐらいは分かりますか?」

「名前は……トリーズだったわね」

 

 不服従、反抗、規律に対する違反を意味しているのか……名前からして確実にレベリオンに関係があるな。

 

「それはどれぐらい存在していたか分かりますか?」

「さすがに……それは分からないわ。でも確実に存在した」

 

 そうか、存在していたのか。

 そういえば、俺が見た文献にもそんな名前のモノがあった気がしたな。

 

「でもどうして、急にそんなモノに興味を持ったの?」

「いえ、もしかたら今回の進軍に関係が有るかもしれないと思いましてね」

「……は? まさか。あれはもう万単位の年月を経ているのよ? 残っていないわよ」

 

 イムがありえないと断言にする。表情もそんなモノが残っている事を考えてさえ居ない。

だがそうは思えない。というか思わない。何故ならそれを実証するのが幾つも存在している。

 

「レベリオンは?」

「あれは、王国が管理していたからよ。ガルガンチュアは他とはちょっと違うし」

 

 そうだったな。

 ガルガンチュアは神が創ったモノ。遺失兵装とは訳が違う。

 これは正しく神器。これに関しては例外としか言いようがない。

 

「他に遺失兵装が残っている例は知らないわ」

 

 ふむ、それだけ人の記憶に埋もれてきたのか。

 だが、だからこそ掘り起こされる可能性が高い。

 

 可能性は低そうだが……今も尚、人知れず自動に生産されているかもしれない。

 

「でも例外はありますよ?」

「レベリオンは確かに例外だけど」

「違います。私が持ってます」

「………………は?」

 

 イムの呆れた表情。

 あっ、なんか以前にも見た気がする。

 

「何処で拾ってきたの?」

「竜族から預かってきました」

「はぁ、今度は竜族ね。納得したわ」

 

 今度はあっさりとイムは認めてしまった。

 なんというかもう、俺という存在は何が起きても可笑しくない存在らしい。

 

「マスターのコートがブラックドラゴンの翼膜だって分かってたから驚くはずないじゃない」

 

 あぁ、そうか。分かるやつには分かるか。失念していたな。

 

「それでどうして急にそんな情報を知りたかったの? 興味が湧いた程度じゃ納得しないからね」

「え〜と、実際、興味が湧いただけなんですけど……」

 

 俺の言葉にイムが睨みつけてくる。

 隠し事は赦してくれないのだろうか? というか……昔よりも隠し事が下手になったなぁ〜。

 

「マスターが意味もない行動をするはずがないわ。マスターが行動する限り、それが無意味に見えてもきっと意味がある。

 今は意味がなくても、きっと将来的に意味がある」

 

 それは確信していると告げているほどに自信に溢れていた。

 その一点に関してのみ俺の事を無条件で信じてくれていると伝わってくる。

 

「それで、どうして?」

「…………今回の進軍にそれが使われている可能性が高い」

「確証は?」

「ありませんよ。唯、報告書に大砲みたいなモノがあるのに火薬も弾も運ばれていないという記述があっただけです」

みたいなモノであって、その上、火薬も弾もない……ね。なるほど、血が上ってる主幹じゃ深い意味は分からなかったでしょうね」

「それで、その情報が欲しいと……その後は?」

「それだけですよ?」

 

 今、欲しい情報はそれだけだ。

 だが、後々もっと他の情報が必要になる。

 

「了解。まぁ、マスターが動く本当の理由が分かっただけでいいわ」

「失礼な。私だって白の主ですよ? こちらの為に動くことだってある」

「相変わらず、マスターの心は分からないわね。まぁ、そこが魅力的なんだけど」

 

 分からないのは……俺のほうだ。

 つい最近まで、己が本当に望むものにさえ気付いていなかったのだから。

 

「それで、マスターは大砲のようなそれをどうするつもり?」

「壊しますよ。そんな骨董品が世にはびこって暴発したら大変ですから」

 

 骨董品といえない可能性もあるのだが……

 人の手が入らないところで常に整備を受けて残っているモノもある可能性がある。

 それに中には俺が今、ポケットの中に入れているモノのように、整備さえ不要な武器が残っている可能性もある。

 

 

「了解」

「サポートよろしくお願いします」

「してもらうのは私達じゃない?」

「それでもですよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一人、夜空をかける。

 比喩でもなんでもなく、夜空を駆ける。

 

(それで、今回は白側みたいだけど一体何をするの?)

 

 移動速度を少しで上げる為に観護を取り出していた。

 基礎能力を上げるのなら召喚器を取り出すのが最も早い。

 俺が自分にかけられる身体強化の魔術も召喚器に備わっている身体強化魔法には及ばない。

 

 ダウニーたちよりも先に着く必要がある。

 そうでなければ危険すぎる。

 

(関係のない人を殺すの?)

(……違わないかもしれない。今から殺すのは戦争を前にホワイトカーパスに進軍している愚か者を食い止めるためだ)

(迫害は続くのね)

(その為に、ダウニーは戦っているからな)

 

 その言葉で観護は止まってしまう。

 

(何が正しいのかしらね?)

(正しい事など何もないさ。これも戦争だ。そこに人間の醜悪さと気高さが混在しているだけだ)

 

 本当にこの戦いはどちらもが正しくない。

 強いて言うのなら、そこに介入しようとするモノが悪だ。

 だが……本当にそうなのだろうか? 誰も彼もが必死なだけでないだろうか?

 

 

(表では動かないのよね?)

(お前は移動手段のためだけに出しただけだ。気にしないでいい)

(気にするわよ! ……ごめんなさい。本当に

 

 心の中で言葉を交わしているから声は聞こえる。

 だが、そんな言葉を聞きたいわけじゃない。

 

 

 

(ねぇ、蛍火君。やっと気付いたんだけど……貴方の体)

(むっ? そろそろ索敵範囲に入るな。還すぞ、観護)

(なっ、ちょっと待ちなさい! 蛍……)

 

 

 強引に観護を還す。

 まだ知る必要の無い事だというのに気付いてしまったか。

 厄介な。

 

 

 これからもさらに観護に頼る事は出来ないな。

 つまらん用事で呼び出せば先ほどの事を聞かれるに決まっている。

 

 どうせ観護も本当の事は理解できていないだろうが……それでも極力避けておいたほうがいいな。

 

 

 

 気分転換に気配の探知。

 これ以上考えていても今は無駄だ。思考を切り替えねばな。

 

 幾ら、殲滅戦とはいえそこに参加していない諜報員に関しては別だ。

 表に出ずに情報だけはもって帰る。

 

 これ以上に厄介な存在はない。

 

 まだ白側の動きをクレアや学園長に知らせるわけには行かない。

 

 だから、知己の関係であろうとも散ってもらおう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 血飛沫が舞う。

 手の小太刀に、血が纏い、肉を斬り裂く感触が伝わってくる。

 

 森をさらに駆け、同族を狩る。

 気配を殺して成り行きを唯見守っている愚か者に鉄槌を。

 

 走り続けて、見つけて、殺す。

 そんな単純作業。

 

 クレア直属の諜報員だけでなく、学園長、議長、俺が知っている者達の諜報員がそれなりの数が見つかる。

 知っているものもいた。

 茶を飲み交わした者も、酒を飲み交わした者も、剣を交えた者もいた。

 

 だが、それさえも殺す。

 俺は殺す。役割という名を与えた残酷な行為を。

 

 知り合いであったとしてもそれでもこの物語を進める為に、契約を果す為に……

 

 

 

 

 

 気づかれる事も無く、相手を絶命させる。

 知り合いだった。

 

 今までもこいつと情報を交換した事も会った。

 

 

 

 

 

 

 

 あたりに漂うのは人が焼けた匂い。

 何時ものようにこちらで殺した分は焼いて証拠を消している。

 その匂いをかぐのが最早当たり前に成っている自分がいるのに驚きはすでにない。

 

 これで粗方始末し終えた。

 ダウニーも心置きなく全力で戦えるだろう。

 

 俺は上空で待機とするか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 進軍に合わせて俺も歩みを進める。

 それにしても軍というのは遅いな。俺が普段行動するよりも遅いなんて……

 やはり活動は一人に限るな。この前も痛い目にあったし。

 

 

 そろそろ、俺の目から見ても集落が見えてきた。

 本来そこに住んでいる人の気配は感じられない。

 すでに避難が終了しているのだろう。これで被害は少なくなるはずだ。

 

 下を見ると、足を止めて大砲らしきものの準備に取り掛かっていた。

 火薬は結局見られず、そして弾も見つけられない。

 

 そして、周囲から失われていくマナ。

 少しずつ、少しずつ周囲に多大な影響がないくらいに僅かずつにマナが消えていく。

 

 この減少具合は正しく遺失兵装特有のモノだ。

 周囲からマナを吸収する兵器特有のマナの動き。

 

 

 そして、大砲の前にマナが凝縮されていた。

 小さく見えるものだ。俺からしても、レベリオンと比較しても……

 

 だが、それは俺たちから見ての話。

 一般人にしたらそれは十分に脅威なレベル。

 

 召喚器を持っていない人間からしたら十分に即死レベルの圧縮具合。

 

 

 危険だ。思っている以上に危険だった。

 精々、骨董品を見つけて粋がっている領主だと想っていたがそうでない可能性が高い。

 

 整備をしている可能性が高い。そしてこの武器を知り尽くしている可能性が高い。

 でなければこんなに遠目から狙いを定めるはずがない。

 

 この位置では細かくなんて狙いを定められるほどに接近していない。

 精々、村の端が見える程度でしかない。だというのに、この精密なまでのマナの圧縮具合。

 危険すぎる。

 

 

 

 

 

 マナの圧縮率と収束率が頂点に立ったとき……大砲のようなものから何かが発射された。

 暗闇を切り裂いて、光が突き進む。

 

 本来ソレはとても神々しいもののはずなのに……それはとても禍々しく見えた。

 

 すでに分かっていた。それが遺失兵装だという事は。

 

 あれの本来のあり方を知っているからこそ余計にその光が禍々しく見える。

 

 あれは本来破滅を焼く光。

 未来を作り出すための光。

 

 断じて人々を斬り裂く光ではない、断じて人々を虐殺するための光ではない。

 

 

 だというのにあの光は人々を殺すために放たれている。

 その先に人間は一人たりとていないがそれでもそこの乗せられている思いは人を殺すためのもの。

 

 だからこそ、その光が何よりも禍々しく見える。

 

 

 

 

 

 そして、着弾。

 

 

 ファルブレイズンよりもさらに激しい光とともに、建物を中心に爆発する。

 かなり離れた場所に居る俺にさえ、爆風が届き俺の髪を揺らす。

 

 兵器として及第点どころではない。

 十分な殺戮兵器だ。俺以上の力を込めた兵器。

 

 ……唯一の救いはあれでは、学園のバリアを潰す事ができない事か。

 恐らく、対象に当たると同時にマナが炸裂する仕組みになっているのだろう。

 無色だったはずのマナに爆発という付加要素を加えるという時点で当時の技術者のレベルの高さがうかがえる。

 

 だが、あれはレベリオンとは違って、貫通する物ではない。

 学園のバリアの表面を削ってもバリアを壊すほどには至らない。

 

 最も、あれが量産されているとなれば別の話だが……

 

 あれが戦場に出てきたならば戦況を服す事など容易いだろう。

 レベリオンと違って、戦場で使うことを目的とされているだけあってさすがだ。

 

 

 

 

 

 ……この戦いにはやはり不必要か。

 あれがあると本来の歴史を壊してしまう。それにあれが残ってしまえばかなりの問題だ。

 あんな代物が残ってしまえば……またしても世界は荒れるだろう。

 

 人は強大すぎる力を持ってしまえばきっと破滅する。

 俺のように、歴史が示すように、今度は神による破滅ではなく、人による破滅。

 

 

 それでは意味がない。

 それをなされてしまっては何の為に俺が動くのかが分からない。

 

 

 まずは、現場の指揮官から情報を引き出そう。

 その後、指揮官から情報を引き出し、屋敷ごと資料を焼却処分。

 

 あぁ、後。この場にいる白の将以外の者の殺戮だな。

 

 この情報を外に漏らすには危険すぎる。

 

 やれやれ、これで俺にも人を殺す理由が出来た。

 

 

 

 思う存分、フォローをしながら殺そうか……

 

 

 

 


後書き

 

 今回は裏話。

 白側のありえたかもしれない話です。

 追いかけてきた過去。復讐に走った為に起こってしまった現象。

 過去は切り離せるものではありません。

故に、この話で復讐に走って怒りに任せて復讐相手の周り全てを奪ってしまったダウニーには当たり前のように起きること。

 

今回出てきたトリーズは無論、オリジナルです。

レベリオンなどという非常識なモノが残っているのなら、劣化した物が残っていても不思議ではないと思います。

というか製造されていると思うんですけどね?

 

 

 

 

観護(久しぶりに出番がっ!!)

 初めにソレかよ。

観護(……まぁ、実はあんまり嬉しくないけどね。蛍火君の身体の秘密知っちゃったし)

 あぁ〜、あんまり言うなよ? それってこの話の肝に繋がるから。

観護(分かってるわよ。…………はぁ、でも知らなければ良かったかもしれないわね)

 まぁな。知らないほうが幸せなことって必ずあるからな。

観護(そうね、あぁ〜、しめっぽい話はヤメっ!! 今回ダウニーは結構、冷静じゃなかったわね)

 そりゃまぁ、復讐相手の血縁が過去と同じことを繰り返そうとしているんだ。切れるだろ?

観護(そうかもしれないけど、ちょっと予想外)

 うちはそういうのが好きで書いているからな〜。原作で描かれていない側面とか大好きだし。

観護(さて、次回予告)

 次もこのまま続きます。

観護(それだけっ!? ほら、もっという事あるでしょ?!)

 いや、これ以上言ってもね。では、次の話でお会いいたしましょう。





また物騒な物が出てきたな。
美姫 「元々は破滅と戦うためのものみたいなのにね」
まあ、道具はあくまでも道具だ。
要は使う人次第だな。次回はこのお話の続きになる訳だけれど。
美姫 「気になるわね」
だな。次回も楽しみにしてます。
美姫 「待ってますね〜」



▲頂きものの部屋へ

▲SSのトップへ



▲Home          ▲戻る