突然だが、今、限りなくピンチだ。

この世界に来て初めてワーウルフと戦った時よりも、禁書庫で獣に囲まれた時よりも、

守護者に禁伎が効かなかった時よりも、学園長に睨まれた時よりも、そう今まで経験したそのピンチな状況よりもかなりヤヴァイ。

 俺の本能が告げる、あの敵には敵わない。例え何があろうともお前の敗北は必定だと頭の全てが警鐘を鳴らしている。

 

 俺が師匠に習った流派には戦えば勝つ、我が流派に敗北の二文字は無いという妄言にも似た言葉がある。

もちろんそれは例え何であったとしても常勝無敗と言うわけではない。

 勝てる要素が皆無なら逃げて戦わなければいい。そして、戦うのならば自らの有利な、そう、より勝つ要素が多い場所で戦う。

戦うのであればどんな不利であったとしてもそこに必ずある勝機を逃すなと言うことだ。

 

 だが、その理を叩き込まれ、骨の髄まで染み付いている俺でも勝つこと出来そうにない。

いや、そもそも戦いと言うものに持ち込めそうに無い。そう、もはや戦いではなく一方的な蹂躙。

 

許されるのなら逃げ出したい。出来るのならば恥も外聞も捨てて逃走したい。全力でもって、死力を尽くして逃走したい。

 だが、この敵からは逃げられない。例え何があろうとも逃げることは叶わない。

 こんな状況は始めてだ。逃走は叶わない、勝つことも不可能、あまつさえこの俺が敵に対して恐怖を感じるなどと。

 

 あぁ、くっ。冷や汗どころか、脂汗が出てきた。汗が目に入って眼をしっかりと開けない。敵を正視しなければ。

 

ぐぅ、やはり正視するのは無理だ。あの敵を正面から睨み返すなど例え大河であっても出来ない。

 周りに味方はいない。人がいるにはいるのだが、今の俺にとってはむしろそいつらは敵だと判断できる。

 くそっ、いったい何時、何処で死亡フラグを立てたというのだ?

ぐっ、あの時あんなことを言わなければ。

 

 

 

 

 

 

 

 

第五十二話 レンのお料理教室 前編

 

 

 

 

 

 それはありふれたいつもの夕食だった。本当にいつもと変わらない夕食だった。

 そう、“だった”のだ。

 あのメリッサの一言が無ければ平穏な夕食だっただろう。あの一言が無ければこんなにも殺伐としたものにならなかっただろう。

メリッサが口にしたその一言、それは

 

「ねぇねぇ、蛍火君の好きな女の子のタイプってどんなの?」

 

 だった。その一言により、表面は穏やかだが、その内にはどろどろとしたものが溢れる空間に変じてしまった。

 俺に好意を寄せている七人はニコニコと笑っている。

笑っているのだが、その眼は笑っていない。まるで、獲物を前にした猛獣のように輝いている。

 大河たち四人とセルとイリーナは我関せずとこちらをまったく見ない。

いや、むしろ眼を背けている。俺も出来ればそちらに周りたいものだ。

 

 ここで下手なことはいえない。しかし、嘘はつきたくない。ふむ、女性の好みね。俺にそんな思考は無いんだが。

 この場合は好ましい人でもいいか。

 

「やっぱり魅力的な人ですね」

 

 その一言にガッツポーズを取る者、うな垂れる者、自分の体を触る者などなどと反応が別れた。

別に体のことを言っているわけではないのだが。

 

「あー、別に身体的なことを言ってるわけではないですから。信念と理想を持ってそれに突き進んでいける人だと言っているんですけど」

 

 体が魅力に溢れていたとしても内面が輝いていないのなら俺にとってその人物に興味が無くなる。

そう、俺が心底眩しいとさえ思えるほどの信念と理想を持った人物が好ましい。

そういう意味でなら一番は同着で大河とダウニーかな。

次が学園長とクレアと言うところだ。その次がロベリア、イム、ルビナス、リコかね。

 

 こいつらは自分の信念のためならば死ぬことも厭わない。人を殺すことさえ厭わない。だからこそ俺はこいつらを魅力的だと思える。

 まぁ、かといってそこに恋愛感情が混じるわけではない。この思いは憧憬だろう。

俺とは正反対であるが故に、俺が持っていない物を持っているが故に生じる想い。

 前にも言ったように俺には恋愛感情は無い。死んだ時に置いてきた物だ。元々薄かったというのもあるが。

 

「あの〜、それって随分と曖昧ですよね」

 

エリザの困惑したような声。まぁ、そうだな。外見を磨くことは容易いが内面を磨くことは想像以上に難しい。

 

「まぁ、そうですね。私自身、そういった人には出会ったこと少ないですから」

 

 最後まで自分の意志を貫ける奴など現代日本には少なすぎる。だからこそ、追い求めているのかもしれないな。

 

「じゃあさ、これから僕が幾つか聞くからそれを答えて欲しいな」

「まぁ、かまいませんが」

「年上、同年代、年下、どれが好み?」

「いえ、特にありませんが」

 

子供であっても、大人であっても、老人であっても尊敬できる奴はできる。

子供であるのならそれは限りなく純粋で何も混じってないからこそ、

老人であったのならそれには堅牢なまでの決意があるからこそ尊敬できる。

 

「じゃあ、背は高いのと低いのはどっちがいいですか?」

「特に無いですね。」

 

 外見は特に気にしていない。唯、昔は彼女を抱きしめた時に相手を包み込めるぐらいに大きくなりたいと思っていたことがある。

何故かその願いはかなって俺の身長は百八十あるのだが。

 まぁ、そんな感じで幾つかの質問を聞かれた。どんな質問が来ても基本的に特に無いと伝えた。

だって、外面ばかり聞くから。

 

 

 

 

「蛍火さんはマスター並みに無節操ですね」

 

 大半の質問を終えたときにリコに言われた言葉が胸に突き刺さった。そういう意味じゃないんだけどな。

 

「じゃ、最後に、家事の中で一番ポイントが高いのは?」

 

 ふむ、今までの質問と違ってある意味答えやすいな。しかも、この場合の答えは俺としても持っている。

 

「やっぱり、料理ですね。他の洗濯、掃除、裁縫に比べて一番分かりやすいですから」

 

 洗濯や、掃除、裁縫でも努力の具合は分かるのだが、料理が一番分かりやすい。結果が五感ですぐに理解できる。

――――――そう、この最後の言葉がいけなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌朝、トレーニングを終えて寮に戻り、

いつものようにエリザとアムリタに挨拶しようと食堂のキッチンに向かうと…………そこにはレンがいた。

 

 俺は何度も目をこする。こんなに朝早くからレンが食堂にいる。あまつさえ、料理をしている。

うん、きっと俺は夢を見ているんだろう。

 

 はははっ、ダメじゃないか。こんな夢であったとしてもありえない夢を見るなんて。

 とりあえず、定番の自分の頬をつねる。ふむ、痛いな。

痛覚を切っていないから痛みは感じる。だが、痛みを感じる夢もあるだろう。

 うん、きっと今の俺は珍しく寝坊しているに違いない。ベッドの中で普段ならないほどに熟睡しているに違いない。

 

「蛍火さん。夢だと思いたいでしょうけど現実ですよ」

 

 あまりにも呆然としていたためにエリザの接近に気付けなかった。Why? イマナンテイイマシタカ、エリザサン。

 

「僕だって最初は信じられなかったけど認めるしかないんだよ。色々な意味で」

 

 いや、アムリタ。最後の言葉がすごく気になるんだが。なぁ、いったいどういう意味だ?

 ポンとエリザが俺の肩を沈痛な表情で叩く。

 

「蛍火さん、どうか強くあってください」

 

 ちょっ!?何、その某雪の町が舞台のゲームに出てくる自称物腰が上品な女の子の台詞?

 

「蛍火さん。僕の事、忘れないで下さい」

 

 えっ!?次はそのゲームのうぐぅが口癖の女の子の二つ目の願い? 何、そのこれから死地に逝く夫を見送るような悲壮な表情は。

 え? え? え? もしかして今かなりヤヴァイ?

 

 

 

 

 

 

 

 エリザとアムリタの意味が朝食が並んだときに漸く理解できた。

 俺の目の前に置かれている皿には極彩色をしたナニか。そう、それは決して料理と呼べるものではない。

それはナニかとしか形容しがたいほどに凄い物だった。

 というよりもさ、何で現実世界なのにこの物体にモザイクが掛かってるのさ。

もしかして脳がそれを認識する事を拒絶してモザイクが掛かっているように見えるのか?

 

 助けを求めようと大河のほうを見るが眼をそらされてしまう。

ならばと大食漢()であるリコの視線を向けるが、サッと逸らされてしまう。

 最後の手段にとこの物体を創った(作った所でないところがミソ)であろうレンに視線を向ける。

 

 そこには眼をキラキラさせながら食べてくれるよね?といった視線を向けてくるレンがいた。もしかして、俺に逃げ場は無い?

 俺は恐る恐る聞きたくてたまらない、聞いてはならない質問する。

 

「レン。もしかして料理をしたのは初めてですか?」

「うん。だから、蛍火に一番に食べて欲しい」

 

 あまりにも無垢な言葉。あまりにも純粋な思い。

あぁ、無垢と純粋は罪だと俺は知っていたが、その二つは時に極悪になるということは知らなかったよ。

 もしかして、味見すらしていないのか?

あぁ、だからこそあんなに純粋な眼をして俺を見ているのか。

 レンの視線に耐え切れず、目の前の物体にもう一度眼を向ける。うっ、眩暈すらしてきた。

 

 ニゲロニゲロニゲロニゲロニゲロニゲロドアヲアケロー!!!と俺の本能が過去最大限に告げる。

 これは人が食べていいものではない。というよりも人が創造していいものではない。

これに比べれば俺が使う死伎でさえも学校の校則を違反した程度にしか感じられない。それぐらいに反則的な物体だ。

 これを俺が食べなければいけないのか?

 

 レンをもう一度見る。期待した眼で俺を見てくる。俺にはあの娘の期待を何故か裏切ることは出来ない。

ぐぅ、今心底、レンを引き取ったことを後悔しているぞ。

 俺は震える手でスプーンを握り、その物体に恐る恐る触れる。

 

ジュッ

 

 スプーンをさしたとは思えない焦げる音がする。俺は恐る恐るスプーンを引き抜くと少しだけ溶解していたスプーンの先が見えた。

 いったいなんて物を創造したんだ、レン?!?!??!!

 

さすがにこの音を聞けば考え直してくれるだろうと思いレンを見た。

だがそこには変わらず期待の視線を向けているレン。…………俺にこれを喰えと?

 俺は生まれて初めて死の気配を感じた。料理如きに死の気配を感じるなと言うなかれ、これは確実に死を運ぶ物体だ。

 俺は、新しいスプーンを握り、さっきよりもさらに震える手で目の前の物体にスプーンを押し込む。

 

ガキンッ

 

 おい、どうしてさっきと違って金属音がするんだよ。明らかにおかしいだろ。

あはははっ、そっか。これは夢だ。今までの全てが夢だったんだ。

 なら、これを食べても大丈夫だろう。おそらく、食べてみるとかなりうまいとかいうオチだろう。ウン、キットソウダ。

 

スプーンで物体を掬い、それを夢だと分かっていても震える手で口にまで運ぶ。

 そして、意を決して口に入れる。

 

「――――――――――――!!!?!?!??!????!?!!!!?!?!」

 

 口に入れた瞬間、物体が俺の舌を侵す。何とも形容しがたい味。いや、味といっていいのだろうか?

甘いのに、辛い。そして、苦くて酸っぱくて塩辛くて、もはや何が何だか分からない。これはまさしく混沌とした味。

 

 これ以上、舌を侵されてはかなわないとその物体を噛むことなく飲み込む。

その時、ドロッと咽に纏わり付くようにゆっくりと食道を降りていく。

 

「!?!??!!!?!??!???!!!」

 

 さらに悶絶する。その遅々と進まない物体が喉にへばりついて、食道を蹂躙する。

 なんとか嚥下して、荒い息をつく。

ぐっ、何故か頭痛と腹痛と吐き気がする。腐った食材でも致死毒あったとしても症状が出ない俺にこれほどのダメージを与えるとは。

 レン以外の誰もが心配そうにしている。ただし、こちらを見ずに。

よほどこの物体を視界に入れたくない、関わりたくないらしい。あぁ、その気持ち痛いほどに分かる。

そちら側だとしたらまったく同じ反応を示すだろう。

 

 ぐっ、意識が朦朧としてきた。もしかしてすでに危ない症状が出ているのか?

これ以上摂取するならば真剣に死ぬ覚悟をしなければならないかもしれない。

 

――――――もう一度、レンを見る。

俺が脂汗をかいているさまを見て、食べてくれないんだと悲しそうな視線をしている。

 

 

………ぐっ、すまん観護。契約は果せそうにない。

新城蛍火、突貫する。

 

俺はスプーンを構えなおし、猛然としたスピードで目の前の物体を口に入れる。

 

「お、漢だな。蛍火」

 

 大河が血涙を流しながら俺を応援する声が聞こえる。俺はその応援に答えるようにさらにスプーンを動かす速度を上げる。

 

 

 

 

 

 

 もはや、柄だけになったスプーンを皿の上に置き、俺は荒い息を付く。

ぐっ、ヤバイ、意…識……が混濁…………してい…………る。

 

ドダンッ

 

ど……うやら、俺は……イ……ス………から……崩れ……落…………ち……たら……し………………い。

 

「蛍火、よくやった。よくやったぞ!!」

 

 血涙………を……流し……なが……ら…………俺……を褒め……称……え……る……大……河が……最……後…………に、

見た……光……景…………だ………………った。

 

 

 

 

 

 

Interlude レンs view

 

蛍火が私の作った料理を食べて倒れた。どうして? 美味しく作ったはずなのにどうして蛍火は倒れてるの?

 蛍火に近づいてみた。そこには苦しそうな顔をして倒れている蛍火。どうして?

 蛍火が苦しそうな顔をしているのは私の料理のせいだと分かっている。だからこそ、私はあの料理の味を確かめなければいけない。

 お皿に残っている料理を少しだけ指で取ってみる。そして――――食べた。

 

「なっ、レンちゃん、食べちゃダメ!!!!!」

 

 最後に聞こえたのは未亜お姉ちゃんだったのか、アムリタお姉ちゃんだったのか分からなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目覚めてみるとそこはベットの上だった。ここは私と蛍火の部屋。あれ、何で私、ここで寝てたんだろう?

 

「あっ、レンちゃん。やっと起きましたか。心配したんですよ?」

 

 そう言って本当に心配そうに見つめてくるエリザお姉ちゃん。何でそんなに心配してるんだろう?

 

「?」

 

 私は訳がわからなかった。そんな私に呆れたような顔をしているエリザお姉ちゃん。

 

「レンちゃんが初めて創った料理を自分で食べて倒れたのよ」

 

 そうだ。私は自分で作った料理を食べて気絶したんだった。味は分からなかったけど、きっと酷いものだったんだ。

 

「蛍火さんが倒れるぐらいの物を食べるからよ」

 

 呆れた様子でそういうエリザお姉ちゃん。…………エリザお姉ちゃん、何気に蛍火の扱いが酷いと思う。

でも、蛍火だからと納得出来てしまう。

 

「どうして、料理を作ったの?」

 

 村にいたときと同じように私にやさしく聞いてくるエリザお姉ちゃん。うん、正直に答えよう。

 

「蛍火が昨日、料理が得意な女の子がいいって言ったから」

 

 そう、蛍火が昨日そういったから料理をしてみようと思った。

お母さんの手伝いなんかしたことがなかったけど、料理なんか一度もしたことなかったけど。

 

「そう、でも料理もしたことがないのに一人でしたら危ないわ」

 

 うん。それはよく分かった。知らないのに料理をしたらあんなに危ないものができるって分かったから。

 でも、料理は覚えたい。蛍火のことが好きだから、蛍火に好きだって言って欲しいから、蛍火に喜んで欲しいから料理はしたい。

 

「蛍火は?」

 

 舐めただけの私が倒れたのだから蛍火はもっと酷いはずだ。

 

「蛍火さんなら、あっちのソファにいるわ。蛍火さんはまだ眼を覚まさなさそうだわ」

 

 私はベットから降りて蛍火のところにいく。そこにはまだ苦しそうな表情をしている蛍火。

ごめん…………ごめんなさい。

 

 

 あれ?そういえばなんでエリザお姉ちゃんがいるんだろ。出かけなきゃいけないって言ってたのに。

 

「エリザお姉ちゃん。用事はいいの?」

「レンちゃんと蛍火さんが心配でしたから」

 

 そっか。うん、私も起きたし、私一人で大丈夫。それに蛍火の寝顔はこれ以上エリザお姉ちゃんには見せたくない。

 

「行って来て。大丈夫、私が見てる」

「うーん、そうですね。分かりました。行ってきます」

 

 エリザお姉ちゃんは少し考えた後、任せるって言ってくれた。

これで蛍火の寝顔は私だけのもの。

 

 

 部屋から出て行くエリザお姉ちゃんを見送って、そして蛍火の傍による。苦しそうな表情で眠っている蛍火。

 本当に苦しそう。蛍火のために料理は覚えたい。

けど、蛍火に苦しい思いはして欲しくない。蛍火に倒れて欲しくない。

 

 

……だから、もう料理はしないほうがいいと思う。

 蛍火の頬を撫でながら私は落ち込んでいた。私が頬を撫でたからなのか蛍火の表情が少しだけ柔らかくなった。

 こんなので苦しみが少なくなるのならもう少し撫でてあげよう。うん、だんだんと普通の寝顔になっている。

 

 

 うっ、一回だけ一緒に眠った時にも思ったけど蛍火の寝顔ってかわいい。普段は少し凛々しい表情だけど寝てる時は子供みたい。

 

 

 

 

 

 

 

 ねぇ、蛍火…………蛍火は知らないよね?

 

 月明かり照らす私の家で貴方と出逢ったときから私は貴方に恋している事を。

 夜の闇にすら交われない孤独な貴方の姿を見たときから、

その瞳の奥に隠した貴方の矛盾を見つけたときから貴方に恋していたんだよ?

 

 私がいつも堅い話方をしているのは貴方のせい。

貴方に話しかけられると、貴方の顔を真正面から見ると私の胸が高鳴ってどうしようもなくっているからなんだよ?

 

 何時も何時も蛍火は何処かに行っている。私はその度に貴方を探しているんだよ? 貴方の面影がある場所で待っているんだよ?

 

 毎晩毎晩、蛍火は私が寝た事を確認してから布団を抜け出して何処かに行っているっていう事を私は気付いているんだよ?

貴方がいない冷たい布団で貴方が帰ってくるのを待っているんだよ?

 

 蛍火、本当はね。私は気付いてるんだ。私の●●●●がもう●●●いる事を気付いてるんだよ。

最初こそ認めたくなかったけど今はもう気付いているんだよ? 気付かないように自分を騙しているだけなんだよ?

 

 蛍火、貴方が向けてくれる優しさで私は貴方を愛しているって気付いたの。

ねぇ、蛍火、気付いてくれなくてもいいから、ずっと傍にいてね?

 

 

 

 


後書き

 今回はレンのお料理教室なのですが随分と切なくなりました。

 この場所をおいて他にレンが自分の心情を吐露するとは思えなかったからです。

 作中にあった●で伏字してあった部分。

 それは『私のお母さんがもう死んでいる事』です。なぜ伏字にしたのか。

 それはレンは気付いているけど気付かない振りをしているから。レンは自分を騙しているだけです。

 さて、この話でレンがSchwarzes Anormalesでの唯一のヒロインだとお気づきになった方もいらっしゃると思います。

 原作のキャラではなく、先に出ていたオリキャラでもなく何故レンなのか。それはいずれ語らなければならない日が来ます。

 次回もレンのInterludeは続きますので

 

 後、当分の間は週一で一話だけ更新する予定です。色々と合って以前のように更新できなくてすみません。

 その週に投稿できない場合は次の週に前の週の分とその週の分を投稿させてもらうようにしますので、本当にすみません。

 

 それと浩さんが蛍火の戦力に関して勘違いをなさっているご様子。

 勘違いしてもらえるようにわざとしていたので、喜んでいいのかちと複雑なところです。

 詳細はもう少し先の本編にて語りますので。

 

 

 

 

観護(ほっ、ほのぼのやギャグだったはずなのに……)

 だねぇ。でも仕方ないよ。私が書いたんだから

観護(威張るな!!)

 ぐはっ、まっ魔法は反則じゃないか?美姫さんもやっかいな物を付けてくれて

観護(というかいきなりレンちゃんがメインヒロインとか暴露するな!!未亜は?リリィは?その他大勢は!?)

 無理、彼女達ではメインヒロインたり得ない。というか原作のキャラでは何があってもヒロインにはなりえない。

観護(何でよ!?)

 ん〜、今は内緒♪

観護(死ね!!蒼月・禁伎・零閃!!

 禁伎は反則!?

観護(まったく、でもレンちゃんが蛍火君を愛してるなんて)

 それもレンがヒロイン足りえる理由でもあるんだけどね。

 レンは赤の陣営の中で唯一、蛍火を愛してるから。他のみんなは蛍火に恋してるだけ

観護(禁伎喰らってなんで平然としてるのよ)

 蛍火と比べたら君の禁伎なんて普通の魔術ぐらいにまで威力が落ちるよ。

観護(まぁいいわ。でも何でレンちゃんだけなの?)

 うん、レン以外は蛍火に向けている感情が憧れだったり、つり橋効果だったりするから。

 そこから脱してないんだ。

 さて、次回も続くレンのお料理教室

観護(レンちゃんの頑張りを見てもらえると嬉しいです♪)

 では、次話でお会いいたしましょう。





むむむ、勘違いか。いや、多分こうじゃないかなというのはあるんだが。
美姫 「多分、それも間違ってるわよ」
……まあ、詳細はその内明らかになるだろうからそれを楽しみに待つさ。
美姫 「さて、今回はレンが頑張ってたわね」
だな。けれど、とんでもないものを作ったな。
もしかして、蛍火の天敵はレン!?
美姫 「はいはい。今回は前編だから、後編もあるのよね」
どんな話になっているんだろう。
美姫 「気になる後編は……」
この後すぐ!



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